JP2007193902A - 磁気ヘッドの検査方法、磁気ヘッドの製造方法及び磁気ヘッド、磁気ディスク装置 - Google Patents
磁気ヘッドの検査方法、磁気ヘッドの製造方法及び磁気ヘッド、磁気ディスク装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】磁気ヘッドは、磁気ディスク表面や塵埃との衝突により機械的なストレスを受けており、これらの機械的ストレスにより再生出力が低下する問題や、出力極性が反転するという問題が発生している。
【解決手段】ステップ100において、測定対象のローバー1上のGMR素子540もしくはスライダ52上のGMR素子540について外部磁界に対する出力を測定する。次にステップ102において、ローバー1もしくはスライダ52のGMR素子形成面2と浮上面3が交差する端部に浮上面3と平行な方向に圧子4により所定の剪断応力を印加する。次にステップ104において、再度GMR素子540の出力を測定する。最後にステップ106において、応力印加前と印加後のGMR素子出力を比較して出力の劣化量が所定の基準より多い場合には不合格とし、所定の基準内の場合に合格とする。
【選択図】図1
【解決手段】ステップ100において、測定対象のローバー1上のGMR素子540もしくはスライダ52上のGMR素子540について外部磁界に対する出力を測定する。次にステップ102において、ローバー1もしくはスライダ52のGMR素子形成面2と浮上面3が交差する端部に浮上面3と平行な方向に圧子4により所定の剪断応力を印加する。次にステップ104において、再度GMR素子540の出力を測定する。最後にステップ106において、応力印加前と印加後のGMR素子出力を比較して出力の劣化量が所定の基準より多い場合には不合格とし、所定の基準内の場合に合格とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気ヘッドおよび磁気ディスク装置に係り、特に外部からの応力に対する磁気ヘッド再生素子の信頼性に関する。
磁気ヘッドの再生素子を検査する従来の技術として、特許文献1に記載されているような方法がある。この方法は、磁気抵抗効果型ヘッドの出力特性を、磁気ディスク円板を用いずに、交流磁界をかけた状態で測定するものであり、さらに、出力変動の他に、ノイズ、出力波形変動、波形非対称変動を測定している。このとき磁気ヘッドには外乱として磁界および温度を変化させて測定している。この検査方法により再生素子の持つ静的な状態での不安定性を測定し、許容値以上の不安定性を示す磁気ヘッドを選別して排除することができる。
上記特許文献1に記載されているような検査方法では、実際の磁気ディスク装置内で再生素子が受けるストレスの内、温度を考慮しているのみである。実際の磁気ディスク装置内では、磁気ディスク表面や塵埃との衝突により機械的なストレスを受けており、これらの機械的ストレスにより磁気ヘッドの再生出力が低下することや、出力極性が反転するという問題が発生している。これらのストレスに対し耐性を持った磁気ヘッドを供給することが必要である。
本発明の目的は、磁気ヘッドの再生素子が機械的ストレスに対し脆弱であるかどうかを定量的に判断する検査方法を提供することである。
本発明の他の目的は、再生素子が機械的ストレスに対し十分な耐性を持った磁気ヘッドの製造方法および磁気ヘッドを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、再生信号の品質が高く、高信頼性の磁気ディスク装置を提供することである。
磁気抵抗効果、特にGMR(Giant Magnetoresistive)効果を利用する磁気ヘッドの再生素子は、磁気記録密度の向上と共に微細化が進み、現状素子幅は200nm以下となっている。素子形状の微細化に伴い素子内部の磁化方向基準となる固定層の磁化ベクトルが不安定になりやすく、ヘッドの加工工程中および磁気ディスク装置内に組み込みんだ後の読み書き動作中に素子の出力が劣化する現象が見られるようになってきている。この現象に関し、数千Oe(数百KA/m)という強磁界下での素子の電気的特性を解析することでGMR素子構造中の固定層の働きに異常があることが判明した。この異常を引き起こす原因として、素子に加わる様々なストレスを想定し、発生原因であるかどうかを実際にストレスを印加して評価した結果、素子への機械的ストレスがダメージ発生の主原因と判った。
検査方法としては検査対象となるヘッド素子の浮上面と素子形成面の角に樹脂で出来た圧子を押し当てスライドさせ、その前後で外部磁界変動に対するGMR素子の出力特性を測定する方法であり、圧子のスライド後に素子出力が低下するものがみられることが判明した。このときGMR素子には、浮上面に対して垂直方向に圧子の押しつけ力に相当する剪断力が、またGMR素子のトラック幅方向に圧子とヘッド浮上面との間で生じる摩擦力に相当する剪断力が生じる。対照実験として圧子をスライドさせずにヘッド素子の浮上面に垂直方向のみに剪断力を加えた場合ではGMR素子の出力特性の劣化は生じなかった。従って、素子形成面に対し素子のトラック幅方向に剪断応力が加わった場合にGMR素子の特性劣化が起こることが判明した。
GMR素子の固定層は浮上面に対し垂直の方向に着磁されている。これに応力が作用すると磁歪により発生する磁化により固定層の磁化ベクトルに影響を及ぼすが、浮上面に垂直な方向に力が加わった場合にはベクトルの向きに変化はない。しかし、素子のトラック幅方向に応力が生じた場合は本来の着磁方向と直交するためベクトルの向きが変わることになる。膜構造に欠陥がない場合には加えられた応力が取り除かれれば固定層の磁化ベクトルも元の状態に戻るが、膜に何らかの欠陥が生じ磁気特性のヒステリシスが大きくなっている場合では応力が取り除かれた後でも磁化ベクトルの向きが元に戻らない現象が生じ、その結果として出力が低下するものと考えられる。
上記目的を達成するために、本発明の磁気ヘッドの検査方法においては、固定層と自由層を含む磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドの浮上面と素子形成面の角に樹脂でできた圧子を押し当てスライドさせることにより、浮上面に対し平行な方向に剪断応力を印加し、その印加前後での磁界変動に対する磁気抵抗効果素子出力の変化を測定することを特徴とする。
上記他の目的を達成するために、本発明の磁気ヘッドの製造方法においては、固定層と自由層を含む磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドの浮上面研磨の後に、前記磁気ヘッドの検査方法を実施し、測定した出力変化が許容値以内の磁気ヘッドを合格品とすることを特徴とする。
上記さらに他の目的を達成するために、本発明の磁気ディスク装置においては、前記磁気ヘッドの製造方法において合格となった磁気ヘッドと、この磁気ヘッドにより再生が行われる情報を保持する磁気ディスクとを有することを特徴とする。
本発明によれば、磁気ヘッドの再生素子が機械的ストレスに対し脆弱であるかどうかを定量的に判断することができる。また、再生素子が機械的ストレスに対し十分な耐性を持った磁気ヘッドを得ることができる。さらに、再生信号の品質が高く、高信頼性の磁気ディスク装置を得ることができる。
まず図9A〜図11を用いて、本発明に係る磁気ヘッド、再生素子、磁気ディスク装置の構成について説明する。図9Aに、浮上面研磨およびレール加工後のローバーをスライダ毎に切断して完成した磁気ヘッド50を浮上面側から見た斜視図を示し、図9Bにヘッド素子部の断面を図9AのA−A線断面図として示す。図9Aにおいて、52はスライダでありアルチック材(Al2O3-TiC)等からなるセラミックのウェハ材で構成されている。スライダ52の磁気ディスクと対向する面である浮上面56には、磁気ディスク上で所定量だけ磁気ヘッド50が浮上するのに必要な2段階レールである浅溝レール58、深溝レール59が形成されている。スライダ52の後端面には、保護膜53が形成され、保護膜53の上にヘッド素子54が形成されている。
図9Bを参照するに、ヘッド素子54は、保護膜53の上に再生素子を構成する下部シールド膜541、磁気抵抗効果素子(GMR素子)540、上部シールド膜542が形成され、再生素子の上部に記録素子であるインダクティブ型ヘッドを構成する下部磁性膜544、上部磁性膜545が形成され、下部磁性膜544と上部磁性膜545の間には磁気ギャップ膜546と、絶縁材548に周囲が覆われたコイル導体547が形成されている。記録素子の上部には硬質保護膜549が形成され、硬質保護膜549の上にGMR素子540に接続された端子55(図9B参照)が形成されている。GMR素子540の浮上面からの奥行き方向の高さhは、再生素子の感度を決定するものであり、MR素子高さと呼ばれる。
図10は、CIP(Current In the Plane)型GMR素子540を浮上面側から見た拡大図であり、GMR素子540の膜構造を示す。同図において、512は反強磁性層、513及び515は2つの強磁性層であり非磁性層514によって磁気的に分離されている。これらの磁性層の両端にはハードバイアス膜516と電極517が配置されている。強磁性層(固定層)513は、反強磁性層512との界面で生じる交換結合磁界により磁化の向きXが固定されている。それに対して、強磁性層(自由層)515は、外部磁界の向きに応じて磁化の向きYが可変可能となっている。磁気ディスク装置は、固定層513と自由層515の磁化の向きの成す角度によりGMR素子540の抵抗が変化する特性を利用して、磁気ディスク上の情報を再生している。具体的には、固定層513の磁化の向きと自由層515の磁化の向きが平行の場合、GMR素子540の抵抗は最小となり、反平行の場合は、GMR素子540の抵抗は最大となる。
図11に上記磁気ヘッド50を搭載した磁気ディスク装置の概略図を示す。磁気ディスク装置は、情報を保持する磁気ディスク43と、磁気ディスク43を支持して回転させるディスク駆動モータ44と、磁気ディスク43に対して情報の記録あるいは再生を行う磁気ヘッド50と、磁気ヘッド50を支持して磁気ディスク上を半径方向に移動させるアクチュエータ41と、信号処理基板45とを有する。信号処理基板45は機構制御部46と信号処理部47を有し、機構制御部46はアクチュエータ41やディスク駆動モータ44を制御し、信号処理部47は磁気ヘッド50の記録素子に供給する記録信号の処理および磁気ヘッド50の再生素子からの再生信号を処理する。
次に、本発明の第1の実施例による磁気ヘッドの検査方法について図1を参照して説明する。検査対象であるローバー1(図2参照)は、アルチック材(Al2O3-TiC)等からなるセラミックのウェハ上に、スパッタ等の薄膜形成技術とリソグラフィ技術を用いて複数のヘッド素子を形成した後、研削砥石やワイヤソ−等でウェハを一列ずつ切り出した、複数のヘッド素子(約45個)が連結した状態のブロックである。ローバー1は、長さLが約2インチ、厚さtが約0.3mmである。最初に第1の測定ステップ100において、検査対象のローバー1上のGMR素子540もしくはスライダ52上のGMR素子540について外部磁界に対する出力を測定する。次にステップ102において、ローバー1もしくはスライダ52のGMR素子形成面と浮上面の角に圧子により所定の剪断応力を印加する。次に第2の測定ステップ104において、再度GMR素子540の出力を測定する。最後にステップ106において、応力印加前と印加後のGMR素子出力を比較して出力の劣化量が所定の基準より多い場合には不合格とし、所定の基準内の場合に合格とする。
図2に、上記磁気ヘッドの検査方法で使用される応力印加装置の構成を示す。検査対象であるローバー1と平行にスライドレール6とスライドレール6上をスライドするベース7が設置されている。ローバー1はその浮上面3(磁気ヘッドの浮上面56となる面)を上向きに、また素子形成面2をスライドレール6と反対方向に向けて設置されている。ベース7上には2本の支柱10が固定され、2本の支柱間に軸9が取り付けられている。軸9には、軸9の周りを回転するロッド8が取り付けられ、ロッド8の先端には樹脂製の円柱状の圧子4が固定されている。圧子4はローバー1の素子形成面2と浮上面3が交差する端部に接している。ロッド8の先端にはウエイト5が配置され、ウエイト5の重量を変えることで圧子4がローバー1に接する力を変えることができる。圧子4をローバー1の浮上面3と素子形成面2の角に接したままベース7をスライドレール6上で移動させることにより、GMR素子540のトラック幅方向(浮上面3と平行な方向)に剪断応力を発生させることができる。
圧子4は、グラファイトを混入して導電性を付与したナイロン樹脂またはポリエーテルエーテルケトン樹脂で形成されており、その導電性により帯電を防止し、圧子4が接触するときの放電や摺動時のトライボチャージによるGMR素子540のダメージを防いでいる。またローバー表面との動摩擦係数は0.1程度が好適であるが、実用的には0.05〜0.4の範囲であれば良い。圧子4の接する角度は浮上面3に対し10°〜45°の範囲であるが、浮上面3に対し垂直な方向に力がかかるように配置される。
図3に上記磁気ヘッドの検査方法を実施する自動検査装置の構成を示す。本装置はワーク搭載部11、素子出力測定部12、応力印加部13の3つのステーションを有し、それぞれのステーションに跨り移載用レール21が設置され、その上をローバー1もしくはスライダ52をワークとして搭載する移載ホルダ20がレール21上を移動できるように構成されている。ワーク搭載部11で移載ホルダ20に搭載されたワーク(ローバー1)を素子出力測定部12に移動し、上下可動のプローブ22を各GMR素子540の端子55に接触させ、磁界印加手段により変動する磁界を浮上面3に対し垂直方向に印加しながらGMR素子540の出力を測定する。通常測定時に印加する磁界は正負方向に300Oe(24KA/m)とし、GMR素子540にはプローブ22を通じ1mAの直流バイアス電流を通電している。さらに移載ホルダ20は応力印加部13に移動し、所定の値に加圧力が制御された圧子4を素子形成面2の浮上面側端部に押し当て(図2参照)、ワーク1上をスライドさせることでGMR素子540に剪断応力を印加する。応力印加後にワーク1を再度素子出力測定部12に移動し、GMR素子出力を再度測定することで、応力印加前後の素子出力の変化を検査することができる。
同一品種の複数のヘッド素子に対し圧子4の接する力を徐々に増やしてスライドさせ、その都度GMR素子の出力値を測定し、GMR素子の出力劣化が規定値以上に変動したヘッド素子の割合をプロットしたグラフが図4である。出力値の測定は、測定対象のGMR素子に対し浮上面に垂直な方向に正負の方向に300Oe(24KA/m)の交番磁界を印加し、同時にGMR素子に1mAの一定電流を流したときのGMR素子両端の電位変化分を検出して行った。このように圧子4の押しつけ力が増えるに従い劣化するGMR素子の発生率が増加する。図5Aに正常なGMR素子の出力特性を示す。また図5Bに出力が低下した場合の代表的な出力特性例を、更に図5Cには出力の極性が反転する劣化をおこした場合の出力特性例を示す。ここでは素子の劣化は正常出力に対し20%以上低下した場合および出力極性が反転した場合を劣化と定義している。
また測定する項目としては上記の出力値のみならず、同じ磁界変動範囲での、あるいは正負1T程度の強い磁界を加えたときの磁界変動に対する抵抗変動曲線の変化を指標としても良い。一例として正常なGMR素子の抵抗変動曲線を図5Dに示す。図中矢印で示しているHpの大きさはGMR素子の磁化固定層の安定性を示している。これに対して図5EではHpが劣化して弱くなっていることが判る。このほか図5Fに示すようなヒステリシスの発生を指標にして異常判定を行うことが出来る。
実際に磁気ヘッドがハードディスクドライブ(HDD)内でどの程度の応力に耐えればよいかは、HDDが使用される環境と、HDD内での磁気ヘッドの動作制御や磁気ディスクの表面状態等に深く係るため一概に決めることはできないが、上記評価結果から、ある押しつけ力Fを加えたときにGMR素子出力変化が規定値以内であった良品ヘッドの集合A(F)を、HDDに搭載し一定の信頼性試験を行うことで目処を付けることができる。信頼性試験としては、高温(約85°C)、高湿(約85%)での連続運転(100〜200時間)後、エラーレートを測定する方法等がある。いくつか押しつけ力Fを変えて、それぞれのFi毎のヘッドの集合A(Fi)についてHDDに搭載して信頼性試験を行い不良発生率を求め、押しつけ力Fに対する不良発生率が図6のような変化を示した場合、目標不良発生率を下回る力F1がHDDの中で磁気ヘッドが受けている応力の上限と見做すことができる。従って、F1もしくはそれ以上の力Fで上記検査を行い、それに耐える磁気ヘッドを選別してHDDに組み込むことで不良発生率の低い製品を市場に提供することができる。
また、図4に示す劣化発生率の分布は、GMR素子の構造や材料によって影響されることが判っており、この評価方法を用いて、外部応力に強い素子構造および材料を選ぶことができる。図7に、素子構造および材料を変えたいくつかの品種のヘッド素子の集合に対して上記測定を行い、圧子押しつけ力耐性として図4に示すような劣化発生率(応力印加後の出力の低下が20%以上であるヘッド素子の割合)が例えば5%以上となる圧子押しつけ力を各品種毎に平均して求めた値を横軸に、またそれぞれのヘッド素子品種毎にHDDに組み込んで一定の信頼性試験を行い、その後不良が発生したヘッド素子の割合を縦軸にプロットした。このようにHDD内での不良発生は本測定で求めた圧子の押しつけ力に対する耐性と強い相関を持っていることが判る。本測定によりどのような構造および材料の素子にすることがHDD内で信頼性の高い素子であるかを判断する評価指標とすることができる。
ところで、図4の結果で判るように、劣化が発生する応力は、同一品種のヘッド素子の中でもバラツキがあり、たとえ耐性の高い構造・材料を選んで設計しても、量産された個々の磁気ヘッドの中には応力に対し劣化しやすい素子が含まれている可能性がある。
そこで第2の実施例として、磁気ヘッドの量産工程に上記検査方法をヘッドのスクリーニングとして用いた磁気ヘッドの製造方法を、図8にフローチャートとして示す。ステップ200でセラミックウェハ上に薄膜形成技術およびリソグラフィ技術によりGMR素子および記録素子、出力端子等を形成する。次にステップ202でウェハから数十個のスライダが連なった状態のローバー1を切り出し、ステップ204でこのローバー1の状態で浮上面3を研磨して浮上面3の平坦性を出し、同時にGMR素子540の素子高さhを所定の長さに加工する。次にステップ206で浮上面3のレール加工を行った後、ステップ208で応力耐性試験をローバー1の状態で行い、所定の押しつけ力Ftを用いて応力を印加する前後での出力変化が所定許容値以内のヘッド素子を合格とし、それ以外を不合格とする。この時点では複数のスライダが連なった状態であるため、試験したローバー1はそのまま後の工程に流し、ステップ210において個々のスライダに切断する。その後、ステップ212において応力耐性試験(ステップ208)の合否情報を元に不合格素子が搭載されているスライダを廃棄し、合格品のみを選別する。
上記応力耐性試験(ステップ208)において、基準となる圧子押しつけ力Ftを決定する方法を以下に説明する。本実施例では押しつけ力を0から10Nまでの10段階に分けて印加し、それぞれのF毎に出力の変動が規定値以内であった磁気ヘッドのみ集めてHDDに組込み、一定の信頼性試験でのヘッドの不良発生率を各集合毎に求めた。その結果は図6に示した通りである。目標不良発生率を下回る力F1がHDDの中で磁気ヘッドが受けている力の上限と見做すことができるので、基準となる圧子押しつけ力FtはF1以上の値が必要で、本実施例ではマージンを見込んでF1の1.2倍とした。
応力耐性試験を行う工程は、浮上面研磨加工後であれば浮上面レール加工の前に行うこともできる。あるいはスライダ切断後に個々のスライダ毎に応力耐性試験を行いその場で合否判断して不合格品を廃棄することも可能である。
上記第2の実施例によれば、磁気ヘッドの量産工程中での不良素子のスクリーニングができるので、HDD組み立て後に発生するヘッド起因の不良発生を低減することができる。また、合格品として選別された磁気ヘッドは、磁気抵抗効果素子の固定層の磁化ベクトルが安定したものであり、再生出力の低下や出力極性が反転することはない。
上記第2の実施例では全てのヘッド素子に対して応力耐性試験を行ったが、試験にかかる時間を節約するために、各ウェハの中で一部のローバーについてのみ先行的に浮上面研磨加工して応力耐性試験を行い、試験した素子のうち不合格になる素子の割合がある一定値以上であればそのウェハの全てを廃棄するようにしてもよい。これにより、ウェハ工程での異常などによる大量な不良発生を早い段階で検知することができ、不良スライダ選別工程での良品収率を向上することができる。
次に、第3の実施例として、HDDの製造方法を、図8を用いて説明する。ステップ212までは上記第2の実施例と同じである。第3の実施例の特徴は、不良スライダ選別ステップ212で合格品となった磁気ヘッドを、HDD組み立てステップ214においてHDDに組み込むことである。本実施例により、HDDの信頼性試験における不良発生は実施以前の1/5に低減することができた。このように第3の実施例によれば、不良発生率が低いHDDを供給することができる。また、得られたHDDは、再生出力の低下や出力極性が反転することがなく、再生信号品質の高い高信頼性のHDDとなる。
以上説明したように、上記磁気ヘッドの検査方法を用いることにより、GMR素子の外部応力に対する耐性を評価することができ、素子設計においてどのような構造および材料の素子にすることがHDD内で信頼性の高い素子であるかを判断する評価指標とすることができる。また、この検査方法を磁気ヘッドの量産工程中での不良素子のスクリーニングに用いることで、HDD組み立て後に発生するヘッド起因の不良発生を低減することができる。さらに、磁気ヘッドの製造方法において合格となった磁気ヘッドは磁気抵抗効果素子の固定層の磁化ベクトルが安定したものであり、再生出力の低下や出力極性が反転することはない。また、磁気ヘッドの製造方法において合格となった磁気ヘッドをHDDに組み込むことにより、不良発生率が低いHDDを供給することができる。さらに、磁気ヘッドの製造方法において合格となった磁気ヘッドを搭載したHDDは、再生出力の低下や出力極性が反転することがなく、再生信号品質の高い高信頼性のHDDとすることができる。
なお、上記各実施例においては、磁気抵抗効果素子としてCIP型GMR素子を用いたが、これに限られることはなく、固定層を有するCPP(Current Perpendicular to the Plane)型GMR素子やTMR(Tunneling Magnetoresistive)素子であってもよく、その場合でも得られる効果は上記各実施例と同じである。
1…ローバー、2…素子形成面、3…浮上面、4…圧子、5…ウエイト、6…スライドレール、7…ベース、8…ロッド、9…軸、11…ワーク搭載部、12…素子出力測定部、13…応力印加部、20…移載ホルダ、21…移載用レール、22…プローブ、41…アクチュエータ、43…磁気ディスク、44…ディスク駆動モータ44、45…信号処理基板、46…機構制御部、47…信号処理部、50…磁気ヘッド、52…スライダ、53…保護膜、54…磁気ヘッド素子、55…端子、56…浮上面、58…浅溝レール、59…深溝レール、512…反強磁性層、513…固定層、514…非磁性層、515…自由層、516…ハードバイアス膜、517…電極、540…GMR素子、541…下部シールド膜、542…上部シールド膜、544…下部磁性層、545…上部磁性層、546…磁気ギャップ、547…導体コイル、548…絶縁材、549…硬質保護膜。
Claims (11)
- 固定層と自由層を有する磁気抵抗効果素子が形成された素子形成面と浮上面とを有する磁気ヘッドの前記浮上面に変動磁界を印加して、前記磁気抵抗効果素子の出力を測定する第1の測定ステップと、
前記磁気ヘッドの前記素子形成面と前記浮上面が交差する端部に前記浮上面と平行な方向に剪断応力を印加するステップと、
前記剪断応力を印加後の前記磁気ヘッドの前記浮上面に変動磁界を印加して、前記磁気抵抗効果素子の出力を測定する第2の測定ステップと、
前記剪断応力の印加前後に測定した前記磁気抵抗効果素子の出力を比較するステップと、
を含むことを特徴とする磁気ヘッドの検査方法。 - 前記剪断応力を印加するステップにおける浮上面と平行な方向は、前記磁気ヘッドのトラック幅方向であることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドの検査方法。
- 前記浮上面に印加する変動磁界は、交番磁界であることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドの検査方法。
- 前記第1及び第2の測定ステップにおける磁気抵抗効果素子の出力の測定は、前記磁気抵抗効果素子に直流電流を通電し、前記浮上面に正負方向に交番磁界を印加して行うことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドの検査方法。
- 前記剪断応力の印加は、圧子を前記磁気ヘッドの前記素子形成面と前記浮上面が交差する端部に押しつけ、前記浮上面と平行な方向にスライドさせることにより印加することを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドの検査方法。
- 前記圧子は、前記浮上面に対して10゜〜45゜の角度で接することを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの検査方法。
- 前記圧子は、導電性の樹脂で形成されていることを特徴とする請求項5記載の磁気ヘッドの検査方法。
- ウェハ上に固定層と自由層を含む磁気抵抗効果素子を有するヘッド素子を形成するステップと、
前記ウェハを切り出してローバーにするステップと、
前記ローバー上の前記ヘッド素子の浮上面を研磨するステップと、
前記研磨された浮上面にレールを形成するステップと、
前記浮上面の方向から前記ヘッド素子に変動磁界を印加して、前記磁気抵抗効果素子の出力を測定する第1の測定ステップと、
前記ローバーの前記ヘッド素子が形成された素子形成面と前記浮上面が交差する端部に前記浮上面と平行な方向に剪断応力を印加するステップと、
前記浮上面の方向から前記ヘッド素子に変動磁界を印加して、前記剪断応力印加後の前記磁気抵抗効果素子の出力を測定する第2の測定ステップと、
前記剪断応力の印加前後に測定した前記磁気抵抗効果素子の出力を比較して、出力の変化が許容値以内か否かにより合否を判定するステップと、
前記ローバーを前記ヘッド素子毎に切断して個々のスライダにするステップと、
前記スライダのうち前記合否を判定するステップにおいて合格になったものを選別するステップと、
を含むことを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。 - 前記ローバーをヘッド素子毎に切断して個々のスライダにするステップを、前記ローバー上のヘッド素子の浮上面を研磨するステップの後に実施し、切断した個々のスライダに対して前記剪断応力の印加、剪断応力印加前後の磁気抵抗効果素子の出力の測定、合否判定および選別を実施することを特徴とする請求項8記載の磁気ヘッドの製造方法。
- 素子形成面と浮上面とを有するスライダと、該スライダの前記素子形成面に形成された固定層と自由層とを有する磁気抵抗効果素子を含むヘッド素子を有し、前記素子形成面と前記浮上面が交差する端部に前記浮上面と平行な方向に剪断応力を印加した後、前記磁気抵抗効果素子の出力が剪断応力印加前の出力に対して20%以上低下していないことを特徴とする磁気ヘッド。
- 素子形成面と浮上面とを有するスライダと、該スライダの前記素子形成面に形成された固定層と自由層とを有する磁気抵抗効果素子を含むヘッド素子を有し、前記素子形成面と前記浮上面が交差する端部に前記浮上面と平行な方向に剪断応力を印加した後、前記磁気抵抗効果素子の出力が剪断応力印加前の出力に対して20%以上低下していない磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドにより再生が行われる情報を保持する磁気ディスクと、を有することを特徴とする磁気ディスク装置。
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