JP2007191433A - トリスオキセタンエーテル化合物およびその製法、ならびにそれを用いた光導波路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のフェノール類を、セシウム塩によりセシウムフェノラート化し、次いで、3−アルキル−ヒドロキシメチルオキセタンのスルホン酸エステルと反応させて、トリスオキセタンエーテル化合物が製造される。そして、基板1と、その基板1上に形成されたクラッド層2とを備え、上記クラッド層2中に所定パターンで、光信号を伝搬するコア部3が形成されてなる光導波路であって、上記クラッド層2およびコア部3の少なくとも一方が、上記トリスオキセタンエーテル化合物を含有する樹脂組成物によって形成されている。
【選択図】図1
Description
温度計、冷却器、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた2000mlの三つ口ナスフラスコに、p−トルエンスルホン酸クロライド190.65g(1.0mol)、テトラメチルアンモニウムブロミド32.24g(0.1mol)及びトルエン400mlを加え、氷浴中で攪拌しながら5℃まで冷却した。これに3−エチル−ヒドロキシメチルオキセタン116.16g(1.0mmol)を加えた後、35重量%水酸化ナトリウム水溶液130mlを滴下漏斗により30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま同温で上記フラスコを1時間攪拌した後、更に室温で16時間攪拌した。反応終了後、上記フラスコ内に水800mlを加えて激しく攪拌し、その後、放置して、水相と有機相に分離した。この有機相を水400mlでさらに洗浄し、無水硫酸マグネシウムで一晩乾燥した。その後、硫酸マグネシウムを濾別し、濾液を濃縮した。このようにして得られた粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)により分離精製し、目的物である無色液体、すなわち、2−(3−オキセタニル)ブチルトシレートを243.3g(収率90%)得た。
13C−NMR(DMSO−d6 、100MHz):δ(ppm);8.05、15.39、15.56、15.60、18.45、18.70、18.87、26.36、38.13、42.65、42.89、70.05、70.12、70.19、76.82、113.42、113.60、122.72、122.85、123.19、125.82、127.67、128.18、128.73、129.05、129.12、133.45、133.81、133.98、134.07、134.22、144.64、154.40、154.41、154.63
13C−NMR(CDCl3 、100MHz):δ(ppm);8.29、19.24、19.43、19.78、26.44、26.49、27.02、27.05、27.15、27.18、32.93、33.35、33.43、33.49、33.54、33.58、37.15、37.41、37.91、39.02、43.46、43.49、43.80、70.23、70.40、70.46、78.49、78.53、113.38、113.47、125.06、125.88、125.91、126.14、127.99、128.37、133.63、134.43、134.62
まず、実施例1で得られた1,1,3−トリス〔2,5−ジメチル−4−[2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル]〕−3−フェニルプロパン70重量部(以下、「部」と略す)と、脂環式エポキシである3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P)30部と、4,4−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50%プロピオンカーバイド溶液1部とを、シクロヘキサノンに溶解し、クラッド層形成用の重合性組成物Aを調製した。つぎに、青板ガラス基板(5cm×5cm×厚み2mm)を準備し、その表面に、上記重合性組成物Aをスピンコート法により塗布し、100℃で5分乾燥させた。そして、2000mJ/cm2 の照射量にて全面に紫外線を照射し、引き続き100℃にて30分加熱処理することにより、アンダークラッド層を形成した(図2(b)参照)。このアンダークラッド層の厚みを接触式膜厚計にて測定したところ、30μmであった。また、上記アンダークラッドの屈折率は波長633nmにおいて1.559であった。
次に、実施例1で得られた1,1,3−トリス〔2,5−ジメチル−4−[2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル]〕−3−フェニルプロパン90部と、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(エポキシ当量320)10部と、4,4−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50%プロピオンカーバイド溶液1部とを、シクロヘキサノンに溶解し、コア部形成用の重合性組成物Bを調製した。そして、スピンコート法により、上記重合性組成物Bを前記アンダークラッド層上に塗布した(図2(c)参照)。そして、この塗布層を、150℃で20分乾燥させ、さらにその上に、50μm幅の直線光導波路パターンが描画された合成石英系のクロムマスク(フォトマスク)を配設し(図2(d)参照)、このクロムマスクを介してコンタクト露光法にて2000mJ/cm2 の照射量の紫外線を照射し、さらに、150℃にて30分間加熱処理を行った。その後、未照射部を除去するため、γ−ブチロラクトン水溶液を用いて現像を行い、さらに150℃で30分加熱することにより、コアパターンを形成した(図2(e)参照)。測長顕微鏡によりコア形状を測定したところ、幅50μm、高さ50μmの方形の断面形状を有するコアパターンとなっていた。また、このようにして形成されたコア部の屈折率は、波長633nmにおいて1.583であった。
アンダークラッド層形成時に調製した重合性組成物Aと同じものを、上記コア部およびアンダークラッド層上にスピンコート法により塗布した。つぎに、100℃で5分乾燥させ、2000mJ/cm2 の照射量にて全面に紫外線を照射し、引き続き150℃にて60分加熱処理することにより、オーバークラッド層を形成した(図2(f)参照)。このようにして、比屈折率Δ=1.5%の光導波路を作製した。
上記光導波路を、ダイシング装置(ディスコ社製モデル522)を用いて10cmの長さに切り出し、端面処理を行った。そして、光導波路の断面形状を測長顕微鏡により観察したところ、アンダークラッド層の厚みが30μm、コア部が50μm×50μm、オーバークラッド層の厚みが70μmの埋め込み型マルチモード光導波路となっていることを確認した。そして、この光導波路に対し、波長850nmのレーザー光を用いて常法のカットバック法により光伝搬損失を測定したところ、0.08dB/cmであった。また、本導波路は、基板から剥離することでフィルム状導波路とすることが可能であった。そして、このフィルム状導波路は、R=20mmの曲げに対しても損失低下は観察されず、また、R=5mmの曲げが可能など、フレキシブル性も良好であった。
まず、実施例2で得られた1,1,3−トリス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−[2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル]〕−3−フェニルプロパン70部と、脂環式エポキシである3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製、セロキサイド2021P)30部と、4,4−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50%プロピオンカーバイド溶液1部とを、シクロヘキサノンに溶解し、クラッド層形成用の重合性組成物Cを調製した。つぎに、青板ガラス基板(5cm×5cm×厚み2mm)を準備し、その表面に、上記重合性組成物Cをスピンコート法により塗布し、100℃で5分乾燥させた。そして、2000mJ/cm2 の照射量にて全面に紫外線を照射し、引き続き100℃にて30分加熱処理することにより、アンダークラッド層を形成した(図2(b)参照)。このアンダークラッド層の厚みを接触式膜厚計にて測定したところ、30μmであった。また、上記アンダークラッドの屈折率は波長633nmにおいて1.555であった。
次に、実施例2で得られた1,1,3−トリス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−[2−(3−オキセタニル)ブトキシフェニル]〕−3−フェニルプロパン90部と、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(エポキシ当量320)10部と、4,4−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフィニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートの50%プロピオンカーバイド溶液1部とを、シクロヘキサノンに溶解し、コア部形成用の重合性組成物Dを調製した。そして、スピンコート法により、上記重合性組成物Dを前記アンダークラッド層上に塗布した(図2(c)参照)。そして、この塗布層を、150℃で20分乾燥させ、さらにその上に、50μm幅の直線光導波路パターンが描画された合成石英系のクロムマスク(フォトマスク)を配設し(図2(d)参照)、このクロムマスクを介してコンタクト露光法にて2000mJ/cm2 の照射量の紫外線を照射し、さらに、150℃にて30分間加熱処理を行った。その後、未照射部を除去するため、γ−ブチロラクトン水溶液を用いて現像を行い、さらに150℃で30分加熱することにより、コアパターンを形成した(図2(e)参照)。測長顕微鏡によりコア形状を測定したところ、幅50μm、高さ50μmの方形の断面形状を有するコアパターンとなっていた。また、このようにして形成されたコア部の屈折率は、波長633nmにおいて1.579であった。
アンダークラッド層形成時に調製した重合性組成物Cと同じものを、上記コア部およびアンダークラッド層上にスピンコート法により塗布した。つぎに、100℃で5分乾燥させ、2000mJ/cm2 の照射量にて全面に紫外線を照射し、引き続き150℃にて60分加熱処理することにより、オーバークラッド層を形成した(図2(f)参照)。このようにして、比屈折率Δ=1.5%の光導波路を作製した。
上記光導波路を、ダイシング装置(ディスコ社製モデル522)を用いて10cmの長さに切り出し、端面処理を行った。そして、光導波路の断面形状を測長顕微鏡により観察したところ、アンダークラッド層の厚みが30μm、コア部が50μm×50μm、オーバークラッド層の厚みが70μmの埋め込み型マルチモード光導波路となっていることを確認した。そして、この光導波路に対し、波長850nmのレーザー光を用いて常法のカットバック法により光伝搬損失を測定したところ、0.09dB/cmであった。また、本導波路は、基板から剥離することでフィルム状導波路とすることが可能であった。そして、このフィルム状導波路は、R=20mmの曲げに対しても損失低下は観察されず、また、R=5mmの曲げが可能など、フレキシブル性も良好であった。
2 クラッド層
3 コア部
Claims (5)
- 上記セシウム塩が、炭酸セシウムである請求項2記載のトリスオキセタンエーテル化合物の製法。
- 基板と、その基板上に形成されたクラッド層とを備え、上記クラッド層中に所定パターンで、光信号を伝搬するコア部が形成されてなる光導波路であって、上記クラッド層およびコア部の少なくとも一方が、請求項1記載のトリスオキセタンエーテル化合物を含有する樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする光導波路。
- 上記クラッド層およびコア部の少なくとも一方が、請求項1記載のトリスオキセタンエーテル化合物と、エポキシ基またはビニルエーテル基を有する化合物とを含有する樹脂組成物によって形成されている請求項4記載の光導波路。
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