JP2007191378A - フッ素ガスの供給方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロセス上必要とされる流量のフッ素ガスを安全かつ安定に連続的に供給でき、さらに、安価で操作性に優れた簡易な方法を提供すること。
【解決手段】本発明のフッ素ガスの供給方法は、金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、金属フッ化物固体を入れた容器をフッ素ガス供給配管部に接続した後に容器接続部の気密を確認する工程[1]と、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値に基づいて、前記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程[4]と、発生したフッ素ガスを、前記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁を開放して供給する工程[5]と、発生したフッ素ガスの供給を、前記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程[6]などとを順次に自動運転操作により進行することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素ガスの供給方法およびその装置に関する。より詳しくは、半導体デバイス等の製造に使用される高純度のフッ素ガスを安全かつ安定に連続供給する方法およびその装置に関する。
近年、半導体デバイス、MEMSデバイス、液晶用TFTパネルおよび太陽電池パネル等の製
造工程では、基板のエッチングプロセスやCVD装置等の薄膜形成装置のクリーニングプロ
セス用のガスとして、基礎研究から実用化段階に至る広い範囲でフッ素ガスが使用されている。
フッ素ガスは、毒性・腐食性・反応性が著しく強いために、その他の一般的な電子材料ガス(例えば、フルオロカーボンガス、六フッ化硫黄ガス、三フッ化窒素ガスのようなフッ化物ガス)と同じようにガスボンベに充填された形態で流通するのは困難であると考えられている。その主な原因は、ガスボンベを輸送中等にフッ素ガスの漏洩トラブルが発生した場合、フッ素ガスの持つ高い支燃性に起因する大規模な火災・爆発事故等に発展する可能性があるためである。
一般的な電子材料ガス(例えば、フルオロカーボンガス、六フッ化硫黄ガス、三フッ化窒素ガスのようなフッ化物ガス)を半導体デバイス等の製造工程で用いる場合には、電子材料ガスが充填されたガスボンベをシリンダキャビネットと呼ばれる筐体内に収納して使用されている。シリンダキャビネットにおいては、自動開閉機能付弁の操作によって、ガスボンベをガス供給配管部に接続した後にガスボンベ接続部の気密を確認する工程と、ガスボンベ接続部の配管内部を窒素ガス等でサイクルパージして洗浄する工程と、ガスボンベの元弁を開けてガスを供給する工程と、ガスボンベの元弁を閉めてガス供給を停止させる工程と、ガス供給配管部よりガスボンベを脱着する前にガスボンベ接続部の配管内部を窒素ガス等でサイクルパージして洗浄する工程とを、自動運転操作により進めることができるシステムが組み込まれている場合が多い(非特許文献1)。ガスボンベを用いてガス供給を行う場合には、このようなシリンダキャビネットのシステムを利用して、操作者が直接実施する手動の作業を、ボンベ交換作業のみとすることが可能となっているため高い生産性が実現されている。
一方、上述したように、主に輸送中におけるフッ素ガスの潜在的な危険性を回避することを目的として、窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスによりフッ素ガスの濃度を20体積%以下程度まで希釈してガスボンベに充填されたものを用いてフッ素ガスを供給する方法や、または、フッ化水素を電気分解する装置より発生したフッ素ガスを直接供給する方法等が提案され、一部で実用化されつつある。
しかしながら、不活性ガスによりフッ素ガスを希釈したガスボンベでは、フッ素ガスの支燃性能力が抑制されるため安全性が高まる一方で、フッ素ガスの充填量が少量となるため、ガスボンベの交換頻度が多くなり非効率的である。さらに、大量のフッ素ガスの供給が必要な場合には、カードル(ガスボンベ数本〜数10本を金属枠内に束ねて、配管で連結したガスボンベの集合体)等による供給システムが必要となるため、フッ素ガスの物流システムに要するコストが極端に大きくなってしまうという問題がある。また、フッ化水素を電気分解する装置では、フッ化水素の供給設備や電気分解反応で発生したフッ素ガス中に含有するフッ化水素ガスを除去・精製する設備等の付帯設備を含む装置全体の設置コスト、設置面積が極めて大きくなることや、いわゆる化学プラントのような大掛かりな装
置を運転する上での日常メンテナンス等の煩雑さが実用上の大きな障壁となっている。
その一方で、フッ素ガスの供給方式の新たな提案として、金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給する方法が開発されている。この方法では、高次の金属フッ化物固体を容器内に充填し、その容器を加熱して発生するフッ素ガスを容器外部に取り出して、必要な場所で必要な時に必要な量のフッ素ガスを供給するものである。この方法を用いれば、危険性の高いフッ素ガスが室温付近では安定な状態で固定化されていること、容器の加熱温度を制御することによりフッ素ガスが発生する圧力を制御できるため必要最小限の低圧力下での運転が可能となることから、容器の輸送中、保管中および使用中の各フェーズにおける安全確保が容易に行えるという利点がある。そのため、主にフッ素ガスを用いる比較的小規模な実験用途などに対しては、金属フッ化物固体の熱分解反応を利用したフッ素ガスの供給システムが実際に適用されるようになってきている。
しかしながら、従来のシステムのままでは、大量かつ大流量のフッ素ガスを使用するような半導体生産ライン等のプロセスに対しては、フッ素ガスを安定的に連続供給することができないという問題があることがわかった。
樫原稔著、「半導体用特殊材料ガス供給システムデザインマニュアル」、(株)リアライズ社、1999年、p.7−41
上述したような技術背景に鑑み、本発明の目的は、金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給する方法において、プロセス上必要とされる流量のフッ素ガスを安全かつ安定に連続的に供給でき、さらに、安価で操作性に優れた簡易な方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、毒性・腐食性・反応性が著しく強いフッ素ガスを、極めて簡易な操作のみによって安全かつ安定に連続供給する方法を初めて開発した。この方法は、操作者が直接実施する手動作業を、金属フッ化物固体を入れた容器をフッ素ガス供給配管部に接続する操作および脱着する操作のみとし、それらの操作以外の全ての装置運転を自動運転操作によって進行することが可能な新規のシステムである。
すなわち本発明は、以下のとおりに要約される。
(1) 金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、
フッ素ガスの発生圧力と、上記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、上記金属フッ化物固体の加熱温度を決定し、上記金属フッ化物固体を入れた容器の加熱温度を制御して、フッ素ガスを発生することを特徴とするフッ素ガスの供給方法。
(2) 金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、
金属フッ化物固体を入れた容器をフッ素ガス供給配管部に接続した後に容器接続部の気密を確認する工程[1]と、上記容器接続部の配管内部を不活性ガスでサイクルパージして洗浄する工程[2]と、上記容器内部の気相部を排気して減圧する工程[3]と、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値に基づいて、上記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程[4]と、発生したフッ素ガスを、上記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁を開放して供給する工程[5]と、発生したフッ素ガスの供給を、上記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程[6]と、上記容
器を冷却してフッ素ガスの発生を停止させる工程[7]と、上記容器内部に不活性ガスを充填する工程[8]と、上記容器を上記フッ素ガス供給配管部より脱着する前に上記容器接続部の配管内部を不活性ガスでサイクルパージして洗浄する工程[9]と、
を順次に自動運転操作により進行することを特徴とするフッ素ガスの供給方法。
(3) 上記工程[4]が、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値と、上記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、上記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程であることを特徴とする上記(2)に記載のフッ素ガスの供給方法。
(4) 上記金属フッ化物固体の化学組成が、上記フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量に基づいて計算されることを特徴とする上記(3)に記載のフッ素ガスの供給方法。
(5) 上記金属フッ化物固体の化学組成が、上記フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算重量に基づいて計算されることを特徴とする上記(3)に記載のフッ素ガスの供給方法。
(6) 上記工程[4]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、上記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程であることを特徴とする上記(2)〜(5)のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
(7) 上記工程[5]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガスを、上記フッ素ガス供給弁を開放して供給する工程であり、上記工程[6]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガスの供給を、上記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程であることを特徴とする上記(2)〜(6)のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
(8) 上記工程[1]が、金属フッ化物固体を入れた複数の容器を、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに接続した後に容器接続部の気密を確認する工程であり、上記工程[5]が、上記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられたフッ素ガス供給弁を順次切り替えて開放して、フッ素ガスを連続供給する工程であることを特徴とする上記(2)に記載のフッ素ガスの供給方法。
(9) 上記工程[5]が、開放されたフッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量を測定し、該フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量が規定値に到達した場合に、該開放されたフッ素ガス供給弁を閉じ、他のフッ素ガス供給弁を開放して、フッ素ガスを供給し、この操作を繰り返す工程であることを特徴とする上記(8)に記載のフッ素ガスの供給方法。
(10) 上記工程[5]が、開放されたフッ素ガス供給弁が設けられたフッ素ガス供給配管部に接続された上記容器の重量を測定し、該フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算重量が規定値に到達した場合に、該開放されたフッ素ガス供給弁を閉じ、他のフッ素ガス供給弁を開放して、フッ素ガスを供給し、この操作を繰り返す工程であることを特徴とする上記(8)に記載のフッ素ガスの供給方法。
(11) 上記工程[1]が、金属フッ化物固体を入れた複数の容器を、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに接続した後に容器接続部の気密を確認する工程であり、上記工程[5]が、上記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられたフッ素ガス供給弁を複数開放して、少なくとも2本の容器からフッ素ガスを同時に供給する工程であることを特徴とする上記(2)〜(7)のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
(12) 上記金属フッ化物固体が、CoF3、MnF4およびK3NiF7からなる群から選ばれる化
合物を少なくとも1種含む混合物であることを特徴とする上記(2)〜(11)のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
(13) 金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガス供給装置であって、
金属フッ化物固体を入れた、加熱部を具備した容器と、
容器接続部を介して上記容器と接続されたフッ素ガス供給配管部と、
上記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁と、
フッ素ガスの発生圧力を測定する圧力測定部と、
上記圧力測定部で得られた圧力値に基づいて、上記容器の加熱温度を制御する加熱温度の制御部と、
を有することを特徴とするフッ素ガス供給装置。
(14) 上記加熱温度の制御部が、上記圧力測定部で得られた圧力値と、上記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、上記容器の加熱温度を制御することを特徴とする上記(13)に記載のフッ素ガス供給装置。
(15) さらに、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する信号受信部を有し、
上記加熱温度の制御部が、さらに、上記受信部で受信した上記指示信号に従って、上記容器の加熱温度を制御することを特徴とする上記(13)または(14)に記載のフッ素ガス供給装置。
(16) さらに、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する信号受信部と、
上記受信部で受信した上記指示信号に従って、上記フッ素ガス供給弁の開閉を行う供給弁開閉部とを有することを特徴とする上記(13)〜(15)のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置。
(17) 金属フッ化物固体を入れた、加熱部を具備した複数の容器と、
複数の容器接続部それぞれを介して上記複数の容器それぞれと接続された複数のフッ素ガス供給配管部と、
上記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられた複数のフッ素ガス供給弁とを備え、
上記複数の容器それぞれの設置空間を分離する金属隔壁を備えることを特徴とする上記(13)〜(16)のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置。
(18) 上記(13)〜(17)のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、基板のエッチングを行う方法。
(19) 上記(13)〜(17)のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、薄膜形成装置のクリーニングを行う方法。
(20) 上記(13)〜(17)のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、被処理物のフッ素化処理を行う方法。
本発明の方法を用いれば、半導体デバイス等の製造に使用されるフッ素ガスを安全かつ安定に連続供給することが可能になる。特に、CVD装置のクリーニングプロセス等の用途
で必要とされる大量のフッ素ガスを安価に連続供給することが可能となるため、その実用上の価値は極めて大である。
以下、本発明に係るフッ素ガスの供給方法およびその装置について詳細に説明する。
本発明のフッ素ガスの供給方法を実施可能なフッ素ガス供給装置の一例を図1に示す。図1のフッ素ガス供給装置の構成について、以下に説明する。
図1のフッ素ガス供給装置は、金属製筐体25内に金属フッ化物固体を入れた容器A(
加熱用ヒータ付)1と金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5とが併設さ
れ、金属製隔壁26によって、それぞれの容器の設置空間が分離独立した構造となっている。
金属フッ化物固体を入れた容器は、1本のみ設置されていてもよいが、複数の容器を併設するのが好ましい。図1では、2本の容器が併設されているが、3本以上の容器が併設されていてもよい。複数の容器を併設することにより、2本の容器を交互に使用し、あるいは、3本以上の容器を順次使用する等の方法によって、フッ素ガスを安定的に連続供給することが可能である。また、フッ素ガスを使用するプロセス側で大流量でのフッ素ガス供給を必要とする場合には、1本の容器から発生させるフッ素ガス流量では不足するケースも考えられる。そのような場合には、少なくとも2本の容器から同時にフッ素ガスを供給することにより必要流量の確保が可能になる。金属フッ化物固体を入れた容器を併設する本数は、フッ素ガスを使用するプロセスに合わせて設定することが好ましい。
また、複数の容器を併設する場合には、各容器の間に金属製の隔壁を設けることが好ましい。隔壁を設けることによって各容器の設置空間を分離すれば、1本の容器からフッ素ガスを発生して供給している最中であっても、他の容器の交換作業を安全に行うことが可能となる。フッ素ガスを発生中の容器側から万一フッ素ガス漏洩トラブルが発生した場合でも、容器の設置空間を分離することによって、作業者が毒性の高いフッ素ガスに暴露される危険性を回避することが可能となる。
上記容器の使用を開始する前および使用を終了した後(輸送中、保管中等)には、容器内には金属フッ化物固体と共に保安用の窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを充填し、加圧サイド(0.01〜0.1MPa-G(ゲージ圧)程度)にするのが好ましい。輸送中や保管中に容器元弁等からリークが発生した場合には、保安用の不活性ガスが充填されていない場合、大気が容器内に混入することとなり、金属フッ化物固体が大気中に含まれる水分と加水分解反応を生じて品質劣化の原因となる。また、万一、雰囲気ガスとして可燃性ガスが存在していた場合には、可燃性ガスが容器内に混入することとなるため金属フッ化物固体と可燃性ガスの反応が起こり危険である。しかし、上記のようなトラブルが想定されないような特別な場合では、容器内には金属フッ化物固体が入っていればよく、保安用の不活性ガスの充填は必須ではない。
また、金属フッ化物固体は、加熱により熱分解してフッ素ガスを発生するものであれば何でもよいが、せいぜい600℃程度までの加熱により充分なフッ素ガスの発生圧力が得ら
れるものが好ましい。600℃程度以上の高温領域におけるフッ素ガスの接触に対して、長
期間で充分な耐食性能を有する材質が存在しないためである。容器に入れられる金属フッ化物固体は、三フッ化コバルト(CoF3)、四フッ化マンガン(MnF4)、および、七フッ化ニッケル酸三カリウム(K3NiF7)からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種含む混合物であることが好ましい。さらに、400℃以下の低い温度領域においても充分なフッ素
ガスの発生能力を有するMnF4またはK3NiF7を含む混合物を選択することがより好ましい。上記容器の材質は、高温でのフッ素ガス耐性が高く、かつ、充分な機械的強度を有するニッケルまたはモネル(ニッケル−銅合金)を選択するのが好ましい。
金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1および金属フッ化物固体を入れ
た容器B(加熱用ヒータ付)5には、それぞれ容器元弁A(自動開閉機構付)2および容器元弁B(自動開閉機構付)6が取り付けられており、容器元弁A(自動開閉機構付)2およ
び容器元弁B(自動開閉機構付)6は、それぞれ容器A接続部3および容器B接続部7によ
ってフッ素ガス供給配管部A4およびフッ素ガス供給配管部B8に接続されている。
フッ素ガス供給配管部A4とフッ素ガス供給配管部B8には、それぞれ3台の自動開閉機能付弁が接続されている。不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9および不活性ガス供
給弁B(自動開閉機能付)10は、それぞれフッ素ガス供給配管部A4およびフッ素ガス供給配管部B8の配管内部をサイクルパージにより洗浄する際に、フッ素ガス供給配管部A4およびフッ素ガス供給配管部B8の配管内部に窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを
供給する目的で、または、使用を終えた金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ
付)1および金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5の内部に窒素ガスや
ヘリウムガス等の不活性ガスを供給する目的で使用される自動開閉機能付弁である。不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9および不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10の上流には、不活性ガス20の供給圧力を調整するための不活性ガス供給用圧力調整器19、および、不活性ガス供給圧力測定器15が設置されている。
排気弁A(自動開閉機能付)13および排気弁B(自動開閉機能付)14は、それぞれフッ素ガス供給配管部A4およびフッ素ガス供給配管部B8の配管内部をサイクルパージにより洗浄する際に、フッ素ガス供給配管部A4およびフッ素ガス供給配管部B8の配管内部より窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを排気する目的で、または、使用を開始する前に金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1および金属フッ化物固体を入れ
た容器B(加熱用ヒータ付)5の内部に予め充填されていた窒素ガスやヘリウムガス等の
不活性ガスを排気する目的で使用される自動開閉機能付弁である。排気弁A(自動開閉機
能付)13および排気弁B(自動開閉機能付)14の下流には、真空排気ポンプ23と真
空排気圧力測定器18が設置されている。
フッ素ガス供給弁A(自動開閉機能付)11およびフッ素ガス供給弁B(自動開閉機能付)12は、それぞれ金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1および金属フ
ッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5より発生したフッ素ガスを取り出して供
給する目的で使用される自動開閉機能付弁である。フッ素ガス供給弁A(自動開閉機能付
)11およびフッ素ガス供給弁B(自動開閉機能付)12の上流には、それぞれ主に、金
属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1および金属フッ化物固体を入れた容
器B(加熱用ヒータ付)5より発生したフッ素ガスの圧力を測定するためのフッ素ガス発
生圧力測定器A16およびフッ素ガス発生圧力測定器B17が設置されている。フッ素ガス供給弁A(自動開閉機能付)11およびフッ素ガス供給弁B(自動開閉機能付)12の下流には、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1および金属フッ化物固体を
入れた容器B(加熱用ヒータ付)5より発生したフッ素ガスを取り出して供給したフッ素
ガスの流量を測定するフッ素ガス流量計21が設置されている。フッ素ガス流量計21は、流量を制御または制限する目的で流量制御機能付を選択するのが好ましく、また、フッ素ガスの総流量を積算して記憶する目的で流量積算機能付を選択するのが好ましい。
本発明の方法は、金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、フッ素ガスの発生圧力と、上記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、上記金属フッ化物固体の加熱温度を決定し、上記金属フッ化物固体を入れた容器の加熱温度を制御して、フッ素ガスを発生することを特徴とする。
具体的には、本発明の方法は、金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、金属フッ化物固体を入れた容器をフッ素ガス供給配管部に接続した後に容器接続部の気密を確認する工程[1]と、上記容器接続部の配管内部を不活性ガスでサイクルパージして洗浄する工程[2]と、上記容器内部の気相部を排気して減圧する工程[3]と、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値
に基づいて、上記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程[4]と、発生したフッ素ガスを、上記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁を開放して供給する工程[5]と、発生したフッ素ガスの供給を、上記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程[6]と、上記容器を冷却してフッ素ガスの発生を停止させる工程[7]と、上記容器内部に不活性ガスを充填する工程[8]と、上記容器を上記フッ素ガス供給配管部より脱着する前に上記容器接続部の配管内部を不活性ガスでサイクルパージして洗浄する工程[9]と、を順次に進行することを特徴とするフッ素ガスの供給方法である。
特に、作業者が直接手動操作を行うことを極力減らして操作性を高めることを目的として、上記工程[1]〜[9]における各操作、および各工程の切り替えを順次に全て自動で進行するフッ素ガスの供給方法が好ましい。
以下、上記工程[1]〜[9]の具体的な方法と目的等について詳細に説明する。
工程[1]において気密を確認する方法は、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用
ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5を、作業者に
よってフッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に接続した後、不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9または不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10を介してフッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを導入し、容器接続部に封入した不活性ガスの圧力が一定時間以上低下しないことを、フッ素ガス発生圧力測定器A16またはフッ素ガス発生圧力測定器B17およびタイマーにより確認する等の方法を適用するのが好ましい。容器接続部の気密確認作業は、危険性の高いフッ素ガスを取り扱う上で非常に重要であることから、上述したような圧力保持による気密確認方法を採用する場合には、フッ素ガスが発生する設計圧力以上、かつ、常用での使用圧力の1.5倍以上の圧力で不活性ガスを封入する方法が好ましく、かつ、実用上可能な限り長時間の圧力保持を確認するのが好ましい。
より具体的には、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フ
ッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5をフッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に接続した後、不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9または不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10を開けて、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器A16またはフッ素ガス発生圧力測定器B17によって窒素ガスの導入圧力が、例えば、0.50MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9または不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10を閉めて、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に気密確認用の窒素ガスを封入する。その後、フッ素ガス発生圧力測定器A16またはフッ素ガ
ス発生圧力測定器B17およびタイマーによって窒素ガスの封入圧力が、0.50MPa-Gを3時
間以上保持することを確認後、排気弁A(自動開閉機能付)13または排気弁B(自動開閉機能付)14を一旦開けた後、再び閉止することによってフッ素ガス供給配管部A4また
はフッ素ガス供給配管部B8を真空に排気することによって工程[1]の操作は完了する
また、工程[1]において、容器A接続部3または容器B接続部7に、接続不良が確認された場合、すなわち、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に封入した気密確認用の窒素ガスが外部に漏れ出していることが、フッ素ガス発生圧力測定器A1
6またはフッ素ガス発生圧力測定器B17によって確認された場合には、フッ素ガス供給
装置の外部に対して警報(ブザーや表示ランプ)を出力することによって、装置の管理者に気密異常の発生を知らせると同時に、自動運転操作は次工程(工程[2])に進むことなく、一時停止される。その場合には、作業者によって該容器の接続を再び行った後に工程[1]を再度行うこととなる。
工程[2]では、工程[1]の完了を確認後、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素
ガス供給配管部B8に不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9または不活性ガス供給弁B
(自動開閉機能付)10を介してフッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを導入する操作と、フッ素ガス供給配管部A
4またはフッ素ガス供給配管部B8に封入された不活性ガスを排気弁A(自動開閉機能付)13または排気弁B(自動開閉機能付)14を介して真空排気する操作とを交互に繰り返
すことによりサイクルパージを行う方法が好ましい。不活性ガスの導入圧力および真空排気圧力は、フッ素ガス発生圧力測定器A16またはフッ素ガス発生圧力測定器B17によって確認される。サイクルパージの回数はカウンターで積算され、予め設定された回数のサイクルパージが終了した時点で、工程[2]の操作は完了する。
工程[2]のパージ洗浄工程では、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付
)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5をフッ素ガス供給配管
部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に接続する際に、フッ素ガス供給配管部A4または
フッ素ガス供給配管部B8に微少量混入した空気を排出することを目的としている。特に
、混入した空気中に含まれる水分は、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配
管部B8に強く吸着するため、吸着した水分が残存している部位に対して、続く工程で発
生させるフッ素ガスが接触すると、腐食性の高いフッ化水素酸を生成して大変危険である。不活性ガスの導入と真空排気とを繰り返すことによって、フッ素ガス供給配管部A4ま
たはフッ素ガス供給配管部B8に混入した微量の水分を完全に除去することが好ましい。
サイクルパージの回数は、可能な限り多いことが好ましいが、実際にはサイクルパージに要する時間と弁の開閉回数とを抑制するために、10〜50回程度とするのが好ましい。
工程[3]では、工程[2]の完了を確認後、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱
用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5内に、予め
窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスが充填されていた場合に、このガスを容器元弁A
(自動開閉機能付)2または容器元弁B(自動開閉機能付)6、および、排気弁A(自動開閉機能付)13または排気弁B(自動開閉機能付)14を開けることにより真空排気する
操作を行う。金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物
固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5内が真空に到達したことの確認は、フッ素ガス
発生圧力測定器A16またはフッ素ガス発生圧力測定器B17によって行い、排気弁A(自
動開閉機能付)13または排気弁B(自動開閉機能付)14を閉止することによって工程
[3]の操作は完了する。上述したように、金属フッ化物固体を入れた容器には、金属フッ化物固体と共に窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガス等が充填されているのが保安上好ましいが、不活性ガスが充填されていない場合には、工程[3]を省略することが可能である。
工程[4]では、工程[3]の完了を確認後、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱
用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5を加熱する
ことによって、金属フッ化物固体の熱分解反応を進行させて一定の圧力でフッ素ガスを発生させる。
金属フッ化物固体の熱分解反応は、金属フッ化物固体の温度によって、発生するフッ素ガスの圧力が固有の物性値として定まっている所謂平衡反応である。そのため、金属フッ化物固体を入れた容器を加熱して発生しているフッ素ガスの一部を系外に取り出して供給した場合でも、フッ素ガスの発生圧力は一定の値を容易に維持できるだろうと期待されていた。しかしながら、実際には、主に下記の2つの理由によって原理的・本質的にフッ素
ガスの発生圧力が低下することがわかった。
第1の理由は、金属フッ化物固体の熱分解反応が大きな吸熱反応であることに起因していると考えられる。例えば、金属フッ化物固体がK3NiF7を含む混合物である場合には、下記の反応式(1)に従って熱分解反応によりフッ素ガスを発生する際の吸熱量は68kJ/mol程度と計算された。
K3NiF7 → K3NiF6 + 1/2F2 − 68kJ/mol ・・・(1)
一方、図2には、金属フッ化物固体を加熱する温度と発生するフッ素ガスの圧力の関係を例示した。上記の反応式(1)からわかるように、容器内に入れた金属フッ化物固体には、実際はK3NiF7及びK3NiF6が含まれる。金属フッ化物固体中のK3NiF7のモル分率が74%程度である場合について、金属フッ化物固体の温度と発生するフッ素ガスの圧力との関係を近似線で示してある。図2より、金属フッ化物固体(K3NiF7のモル分率74%)の温度を320℃とした場合には、フッ素ガスの発生圧力は0.1MPa絶対圧(=0.0MPa-G(ゲージ圧)
)程度であるのに対して、加熱温度を340℃とした場合には、フッ素ガスの発生圧力は0.2MPa絶対圧(=0.1MPa-G(ゲージ圧))を超過することがわかる。このように、僅か20℃
程度の温度の違いによって、フッ素ガスの発生圧力は2倍以上も変化してしまうほど、金属フッ化物固体を加熱して発生するフッ素ガスの圧力が金属フッ化物固体の温度変化に敏感に影響を受けることがわかる。
ある温度において金属フッ化物固体とそこから発生しているフッ素ガスとが平衡状態にある場合に、金属フッ化物固体の熱分解反応によって発生したフッ素ガスの一部を系外に取り出して供給すると、平衡は右側に偏り、K3NiF7からはフッ素ガスの発生反応が進行することになる。その際、金属フッ化物固体を入れた容器は加熱用ヒータにより連続的に加熱されてはいるものの、容器材質及び金属フッ化物固体自体の熱伝導には比較的長時間を要するために、金属フッ化物固体自体の温度は吸熱反応によって瞬時に低下することとなる。そのため、平衡状態は低温側にシフトして、フッ素ガスの発生圧力は大きく低下するものと考えられる。
また、第2の理由は、金属フッ化物固体の化学組成自体が変化することに起因していると考えられる。例えば、上記反応式(1)に従って発生したフッ素ガスの供給・消費を行うと、金属フッ化物固体の化学組成が変化し、金属フッ化物固体中のK3NiF7のモル分率は少しずつ低下することになる。図2には、金属フッ化物固体中のK3NiF7のモル分率が低下した場合に、金属フッ化物固体の温度およびフッ素ガス発生圧力の関係が変化していく様子も例示した。図2より、金属フッ化物固体中のK3NiF7のモル分率の低下に伴って、フッ素ガスの発生圧力は最初緩やかに低下していくこと、そして、K3NiF7のモル分率が20〜10%程度以下まで低下するとフッ素ガスの発生圧力は急激に低下することがわかった。
従来技術のように、金属フッ化物固体を入れた容器の加熱温度を一定として特別な制御を行わない方法では、上記2つの理由によってフッ素ガスの発生圧力(発生量)が連続的に低下することとなるため、フッ素ガスを使用するプロセス側で必要とされる流量をいずれ確保できなくなってしまうのは必然であることがわかった。
従って、本発明の方法のように、金属フッ化物固体を入れた容器の加熱温度を制御して、一定の圧力でフッ素ガスを発生するシステムを新たに開発することによって、フッ素ガスを安定的に連続供給することがはじめて可能となる。
このため、工程[4]では、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値に基づいて、上記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させることが好ましい。
具体的には、本発明のフッ素ガスの供給方法では、フッ素ガス発生圧力測定器A16ま
たはフッ素ガス発生圧力測定器B17(圧力測定部)によって、金属フッ化物固体を入れ
た容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5より発生しているフッ素ガスの圧力を測定し、測定されたフッ素ガスの圧力値が一定となるように、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物
固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5の加熱温度を微調整する制御運転を行うのが好
ましい。このように、加熱温度を微調整する制御運転を行えば、フッ素供給装置の安定な連続運転が可能である。
より具体的には、実際に測定された圧力値が予め設定された値より低い場合には、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5の加熱温度を上昇させ、逆に、実際に測定された圧力値が予め設定された値より高い場合には、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1また
は金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5の加熱温度を降温させることに
よって、フッ素ガスの発生圧力が一定の値または一定の範囲内となるように制御する。すなわち、加熱温度の制御部(図示なし)において、予め、実際に測定された圧力値に基づいて加熱温度が決定されるように昇温プログラムを設定しておく。この加熱温度の制御部に実際に測定された圧力値が入力されると加熱温度が決定され、次いで、この加熱温度に基づいて、金属フッ化物固体を入れた容器A1および金属フッ化物固体を入れた容器B5に備えられている加熱用ヒータが稼動し、フッ素ガスの発生圧力が一定の値または一定の範囲内となるように制御される。
フッ素ガス発生圧力の設定値は、フッ素ガスを供給する流量や圧力等のフッ素ガスを使用するプロセス側の条件に合わせて任意に設定すればよい。例えば、フッ素ガスを大気圧以下の真空領域で使用するプロセスでは、フッ素ガスの発生圧力を大気圧程度または大気圧以下とすることが可能であり、そのような運転条件を選択することによって、万一のトラブル発生時におけるフッ素ガス漏洩量を最小限に抑制することが可能となる。
また、工程[4]が、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値と、上記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、上記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程であることがより好ましい。ここで、上記圧力値は上記と同様に測定される。
具体的には、金属フッ化物固体がK3NiF7を含む混合物である場合、図2に示したような実験データに基づき、予め設定された昇温プログラムを利用して、金属フッ化物固体を入れた容器の加熱温度を制御する。この昇温プログラムでは、フッ素ガスの発生圧力を一定に保つために、脱フッ素による化学組成の変化(K3NiF7のモル分率の低下)を考慮して、上記圧力値とともに、化学組成(ここでは、K3NiF7のモル分率をいう。)に基づいて、加熱温度を設定する。例えば、フッ素ガスの発生圧力が大気圧(0.0MPa-G)程度(設定値)になるように制御するときは、金属フッ化物固体の化学組成、すなわち、K3NiF7のモル分率が74%である場合には加熱温度を320℃とし、K3NiF7のモル分率が48%に低下した場合
には加熱温度を330℃、K3NiF7のモル分率が19%に低下した場合には加熱温度を345℃とするような昇温プログラムを、蓄積した実験データに基づいて予め設定しておく。すなわち、加熱温度の制御部(図示なし)において、予め、実際に測定された圧力値および化学組成に基づいて、加熱温度が決定されるように昇温プログラムを設定しておく。この加熱温度の制御部に測定された圧力値および化学組成が入力されると加熱温度が決定され、次いで、この加熱温度に基づいて、金属フッ化物固体を入れた容器A1および金属フッ化物固
体を入れた容器B5に備えられている加熱用ヒータが稼動し、フッ素ガスの発生圧力が一
定の値または一定の範囲内となるように制御される。この場合は、化学組成も考慮して昇
温プログラムが設定されているため、測定されるフッ素ガスの発生圧力が低下する前に、該発生圧力を保持するための適切な加熱温度が決定できる。したがって、フッ素ガスの発生圧力のみに基づく昇温プログラムを用いるよりも、フッ素ガスをより一層安定的に連続供給できる。
また、上記金属フッ化物固体の化学組成は、上記フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガス(供給して消費されたフッ素ガス)の積算流量または積算重量に基づいて計算することが好ましい。上記化学組成は、以下のように計算部(図示なし)で計算される。フッ素流量計21で、測定された流量から積算流量が計算されると、上記計算部にこの積算流量値が入力される。次いで、上記計算部で、この値に基づいて上記金属フッ化物固体の化学組成が計算される。あるいは、容器A1の重量測定部(図示なし)および容器B1の重量測定部(図示なし)で、測定された重量から積算重量が計算されると、上記計算部にこの積算重量値が入力される。次いで、上記計算部で、この値に基づいて上記金属フッ化物固体の化学組成が計算される。例えば、上記計算部は、1モル(≒22.4L≒38g)分のフッ素ガス
が供給・消費されたことを確認すると、K3NiF7のモル分率が1%低下したことを認識する
また、実際にフッ素ガスを使用するほとんど全てのプロセスでは、フッ素ガスの供給・消費は断続的となる。例えば、半導体製造プロセスにおいて、フッ素ガスを薄膜形成装置のクリーニングガスとして使用する場合、薄膜形成工程と次の薄膜形成工程との間に行われるクリーニング工程のみでフッ素ガスの供給が必要になる。そのため、フッ素ガスの供給と供給の停止が繰り返される実際のプロセス条件では、その変化に随時対応して操作者が手動操作によって上記容器を加熱する温度の調整作業を繰り返すことは、現実的には明らかに不可能である。
このため、フッ素ガス供給装置側には、フッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する機能(信号受信部)を有することが好ましい。すなわち、工程[4]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、前記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程であることが好ましい。上記信号受信部(図示なし)で、フッ素ガスを使用する流量、使用する総流量、または、使用するタイミング等の使用条件についての指示信号を受信することによって、より安全かつ安定的にフッ素ガス供給装置側の運転を行うことが可能となる。具体的には、上記信号受信部で受信した指示信号が上記加熱温度の制御部に入力されると、この指示信号に応じて、金属フッ化物固体を入れた容器A1および容器B5に備えられている加熱用ヒータが稼動される。例えば、フッ素ガスを1時間後に使用開始するという信号が信号受信部(図示なし)に入力された場合には、その時点まではフッ素ガス発生圧力を大気圧以下(<0.0MPa-G)に抑制するように制御する運転を行い、該信号の入力後よりフッ素ガス発生圧力を例えば0.3MPa-Gに上げるような制御運転を行うことによって、特にフッ素ガスを使用していない時間中のフッ素ガス漏洩危険性を低減でき、プロセスの安全性をより高めることが可能となる。
工程[5]および[6]は、工程[4]において金属フッ化物固体を入れた容器A(加
熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5を加熱し
て発生したフッ素ガスの圧力が設定値(例えば、0.3MPa-G)に到達したことをフッ素ガス発生圧力測定器A16またはフッ素ガス発生圧力測定器B17により確認(工程[4]の進行を確認)した後、発生しているフッ素ガスを、フッ素ガス供給弁A(自動開閉機能付)
11またはフッ素ガス供給弁B(自動開閉機能付)12を開閉操作することにより、フッ
素ガスを使用する装置側に供給(工程[5])し、または、供給を停止させる工程(工程[6])である。
フッ素ガス供給装置側には、フッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する機能(信号受信部)を有することが好ましい。すなわち、工程[5]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガスを、上記フッ素ガス供給弁を開放して供給する工程であり、工程[6]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガスの供給を、上記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程であることが好ましい。上記信号受信部(図示なし)で、フッ素ガスを使用する流量、使用する総流量、または、使用するタイミング等の使用条件についての指示信号を受信することによって、より安全かつ安定的にフッ素ガス供給装置側の運転を行うことが可能となる。なお、この信号受信部は、工程[4]で記載した信号受信部と同一であっても、別に設けられていてもよい。
また、工程[1]が、金属フッ化物固体を入れた複数の容器を、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに接続した後に容器接続部の気密を確認する工程であり、工程[5]が、上記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられたフッ素ガス供給弁を順次切り替えて開放して、フッ素ガスを連続供給する工程であることが好ましい。例えば、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1からフッ素ガスを供給していた場合に、該容
器内に残存するフッ素量が規定値以下に低下したことを検知して、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1からのフッ素ガスを停止させると同時に、併設された他
方の容器、すなわち、金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5からのフッ
素ガスの供給を開始する運転制御を行うことが好ましい。図1では、上記容器は2本併設
されているが、3本以上併設し、フッ素ガスを連続供給してもよい。
使用中の容器内に残存するフッ素ガス量が規定値以下に低下したことを検知するためのシステムとしては、該容器から供給したフッ素ガスの積算流量を測定する機能を有することによって、該容器から供給したフッ素ガスの積算流量が既定値に到達したことを検知する方法や、該容器の重量を測定する機能を有することによって、該容器から供給したフッ素ガスの積算重量が規定値に到達したことを検知する方法などを採用するのが好ましい。すなわち、工程[5]が、開放されたフッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量を測定し、該フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量が規定値に到達した場合に、該開放されたフッ素ガス供給弁を閉じ、他のフッ素ガス供給弁を開放して、フッ素ガスを供給し、この操作を繰り返す工程であってもよく、工程[5]が、開放されたフッ素ガス供給弁が設けられたフッ素ガス供給配管部に接続された上記容器の重量を測定し、該フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算重量が規定値に到達した場合に、該開放されたフッ素ガス供給弁を閉じ、他のフッ素ガス供給弁を開放して、フッ素ガスを供給し、この操作を繰り返す工程であってもよい。図1では、上記容器は2本併設されてい
るが、3本以上併設し、上記操作を繰り返してもよい。このような交互運転方式を採用することによって、安定したフッ素ガスの連続供給が可能となる。
また、工程[1]が、金属フッ化物固体を入れた複数の容器を、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに接続した後に容器接続部の気密を確認する工程であり、工程[5]が、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられたフッ素ガス供給弁を複数開放して、少なくとも2個の容器からフッ素ガスを同時に供給する工程であってもよい。なお、図1で
は、上記容器は2本併設されているが、3本以上併設し、そのうちの少なくとも2個の容器からフッ素ガスを同時に供給してもよい。
工程[7]では、フッ素ガスを消費して使用済みとなった金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5の加熱を停止して、冷却することによってフッ素ガスの発生を停止させる工程である。フッ素ガスの発生は上記容器が冷却されることにより停止されるが、冷却方法としては、ヒータ加熱を停止するだけの自然冷却方式でもよいが、冷却速度を上げることを目的として強
制的に空気を送り込む空冷方式や冷却水を循環する水冷方式を採用してもよい。金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5の温度が低下(例えば、<50℃)したこと、および、フッ素ガスの発生圧力が低下(例えば、<-0.10MPa-G)したことをフッ素ガス発生圧力測定器A16または
フッ素ガス発生圧力測定器B17によって確認することによって、工程[7]は完了する
工程[8]では、工程[7]の完了を確認後、不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)
9または不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10を開けて、金属フッ化物固体を入れ
た容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5内に不活性ガスを充填する。不活性ガスの充填圧力は、フッ素ガス発生圧力測定器A1
6またはフッ素ガス発生圧力測定器B17により確認して、不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9または不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10、および、容器元弁A(自動開閉機能付)2または容器元弁B(自動開閉機能付)6を閉止することによって工程[8
]は完了する。また、上述したように、金属フッ化物固体を入れた容器には、金属フッ化物固体と共に窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガス等が充填されるのが保安上好ましいが、不活性ガスの充填が必要ではない場合には、工程[8]を省略してもよい。
工程[9]では、工程[8]の完了を確認後、使用した後の金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5をフッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8より脱着する前に、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8の配管内部を不活性ガス等でパージして洗浄する工程である。フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)9または不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)10を介してフッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8に窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを導入する操作と、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管
部B8に封入された不活性ガスを排気弁A(自動開閉機能付)13または排気弁B(自動開
閉機能付)14を介して真空排気する操作とを交互に繰り返すことによりサイクルパージを行う方法が好ましい。不活性ガスの導入圧力および真空排気圧力は、フッ素ガス発生圧力測定器A16またはフッ素ガス発生圧力測定器B17によって確認される。サイクルパージの回数はカウンターで積算され、予め設定された回数のサイクルパージが終了した時点で、工程[9]の操作は完了する。
工程[9]のパージ洗浄工程では、金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付
)1または金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)5をフッ素ガス供給配管
部A4またはフッ素ガス供給配管部B8から脱着する際に、フッ素ガス供給配管部A4また
はフッ素ガス供給配管部B8に微少量残留しているフッ素ガスを排出することを目的とし
ている。特に、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配管部B8にフッ素ガスが吸着しているため、吸着したフッ素が残存している部位に対して続く工程で空気中の水分が接触すると、腐食性の高いフッ化水素酸を生成して大変危険である。不活性ガスの導入と真空排気を繰り返すことによって、フッ素ガス供給配管部A4またはフッ素ガス供給配
管部B8に残留する微量のフッ素を完全に除去することが好ましい。
サイクルパージの回数は、可能な限り多いことが好ましいが、実際にはサイクルパージに要する時間と弁の開閉回数とを抑制するために、10〜50回程度とするのが好ましい。
本発明の方法は、操作者が直接実施する手動の操作を極力減らすことによってフッ素ガス供給装置の操作性および安全性を高めることを目的として、上記工程[1]〜[9]の各工程を順次に進行することを特徴としている。しかし、人為的に工程の進捗を管理する
こと等を目的とした場合に、上記工程[1]〜[9]の一部分を手動操作により行うこととしてもよい。
本発明のフッ素ガス供給装置は、金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガス供給装置であって、金属フッ化物固体を入れた、加熱部を具備した容器(1、5)と、容器接続部(3、7)を介して前記容器と接続されたフッ素ガス供給配管部(4、8)と、前記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁(11、12)と、フッ素ガスの発生圧力を測定する圧力測定部(16、17)と、前記圧力測定部で得られた圧力値に基づいて、前記容器の加熱温度を制御する加熱温度の制御部(図示なし)とを有することを特徴とする。
上記加熱温度の制御部(図示なし)は、上記圧力測定部で得られた圧力値と、前記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、上記容器(1、5)の加熱温度を制御することが好ましい。
上記フッ素ガス供給装置は、さらに、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する信号受信部(図示なし)を有し、上記加熱温度の制御部(図示なし)は、さらに、上記受信部(図示なし)で受信した上記指示信号に従って、上記容器(1、5)の加熱温度を制御することが好ましい。
また、上記フッ素ガス供給装置は、さらに、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する信号受信部(図示なし)と、上記受信部(図示なし)で受信した上記指示信号に従って、上記フッ素ガス供給弁の開閉を行う供給弁開閉部(11、12)とを有することが好ましい。
また、本発明のフッ素ガス供給装置は、金属フッ化物固体を入れた、加熱部を具備した複数の容器(1、5)と、複数の容器接続部(3、7)それぞれを介して上記複数の容器それぞれと接続された複数のフッ素ガス供給配管部(4、8)と、上記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられた複数のフッ素ガス供給弁(11、12)とを備え、上記複数の容器(1、5)それぞれの設置空間を分離する金属隔壁(26)を備えていることが好ましい。
本発明のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、半導体デバイスやMEMSデバイス等に用いられるシリコンやガラス等の基板のエッチング、CVD装置等の薄膜形成
装置のクリーニング、金属やセラミックス等の無機物や有機物等のフッ素化処理を行うことが可能である。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示したフッ素ガス供給装置を用いて、フッ素ガスの供給試験を実施した。
図1のフッ素ガス供給装置は、ステンレス製筐体25内に、金属フッ化物固体としてK3NiF7を含む混合物(実際にはK3NiF7とK3NiF6との混合物であり、K3NiF7のモル分率は90%であるもの)をそれぞれ40kg入れたニッケル製容器A1とニッケル製容器B5との2本の容器が併設されている。両容器内部の気相部には保安用の窒素ガスが充填されて0.15MPa絶
対圧 (0.05MPa-G)に加圧されている。上記の反応式(1)から見積もると、1本の容器から発生可能なフッ素ガスの量は、1300SL(標準状態(0℃)において1300L相当)である。また、ステンレス製隔壁26によって、2本の容器の設置空間が分離独立した構造となっている。
フッ素ガス供給装置から供給されたフッ素ガス22を使用する装置(CVD装置)では、
クリーニングプロセス用に120minに1回の頻度で1SLM(標準状態(0℃)において1L/min
相当)のフッ素ガスの供給(60min)が必要とされている。また、CVD装置のプロセス圧力は0.05MPa絶対圧(-0.05MPa-G)であった。
なお、操作者が直接実施する手動作業を、金属フッ化物固体を入れた容器をフッ素ガス供給配管部に接続する操作および脱着する操作のみとし、それらの操作以外の全ての装置運転を自動運転操作によって進行した。
[容器A1側の運転]
まず始めに、容器A1側の運転を以下に示す方法(工程[1]〜工程[4])により開
始した。
<工程[1]>
作業者によって容器A1をフッ素ガス供給配管部A4に、容器A接続部3を介して接続し
た。その後、不活性ガス供給弁A9を開けてフッ素ガス供給配管部A4に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって窒素ガスの導入圧力が0.50MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁A9を閉めて、フッ素ガス供給配管部A4に気密確認用の窒素ガスを封入した。続いて、フッ素ガス発生圧力測定器A16およびタイマーによって窒
素ガスの封入圧力が、0.50MPa-Gを3時間保持することを確認した。最後に、排気弁A13
を一旦開けた後、再び閉止して工程[1]の操作を完了した。
<工程[2]>
不活性ガス供給弁A9を開けてフッ素ガス供給配管部A4に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって窒素ガスの導入圧力が0.10MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁A9を閉めて、フッ素ガス供給配管部A4にパージ用の窒素ガスを封入した。次に、排気弁A13を開けてフッ素ガス供給配管部A4の窒素ガスを排気し、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって圧力が-0.10MPa-Gに到達したことを確認後、排気弁A13を閉止した。同様にして、フッ素ガス供給配管部A4への窒素ガスの封入と真空排気の
操作とを交互に繰り返してサイクルパージを行った。カウンターによってサイクルパージの回数を積算し、30回到達を確認して工程[2]の操作を完了した。
<工程[3]>
容器元弁A2および排気弁A13を開けて、容器A1の内部を排気した。フッ素ガス発生
圧力測定器A16によって圧力が-0.10MPa-Gに到達したことを確認後、排気弁A13を閉止して、工程[3]の操作を完了した。
<工程[4]>
容器A1の加熱用ヒータを稼働して、容器A1の温度を305〜370℃の範囲で温度可変した。ヒータ加熱温度の設定値の変更は、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって検知され
るフッ素ガスの発生圧力をフィードバックすることにより行った。フッ素ガスの発生圧力の目標制御圧力を0.10〜0.20MPa絶対圧(0.00〜0.10MPa-G)として、表1に示す昇温プログラムを用いて、ヒータ加熱温度の制御を行った。検知された圧力値が加熱温度の制御部(図示なし)に入力されると、予め設定された昇温プログラムに従って加熱温度が決定され、次いで、この加熱温度に基づいて容器A1の加熱用ヒータが稼動された。
具体的には、フッ素ガス発生圧力測定器A16の指示値が0.121MPa絶対圧未満の圧力領
域では、容器A1のヒータ加熱温度を370℃に設定し、フッ素ガス発生圧力測定器A16の
指示値が0.121MPa絶対圧に到達したことを検知した際には、容器A1のヒータ加熱温度を365℃に降温させ、さらに、フッ素ガスの発生圧力の上昇に合わせてヒータ加熱温度を順次低下させて、フッ素ガス発生圧力測定器A16の指示値が0.181MPa絶対圧に到達したこと
を検知した際には、容器A1のヒータ加熱温度を305℃まで降温させる。このようにして、フッ素ガスの発生圧力が0.10〜0.20MPa絶対圧となるようにヒータ加熱温度の設定値を適
宜変化させた。
Figure 2007191378
[容器B5側の運転]
容器A1側の運転中、同時に、容器B5側の運転を以下に示す方法(工程[1]〜工程[4])により開始した。
<工程[1]>
操作者によって容器B5をフッ素ガス供給配管部B8に、容器B接続部7を介して接続し
た。その後、不活性ガス供給弁B10を開けてフッ素ガス供給配管部B8に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器B17によって窒素ガスの導入圧力が0.50MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁B10を閉めて、フッ素ガス供給配管部B8に気密確認用の窒素ガスを封入した。続いて、フッ素ガス発生圧力測定器B17およびタイマーによっ
て窒素ガスの封入圧力が、0.50MPa-Gを3時間保持することを確認した。最後に、排気弁B
14を一旦開けた後、再び閉止して工程[1]の操作を完了した。
<工程[2]>
不活性ガス供給弁B10を開けてフッ素ガス供給配管部B8に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器B17によって窒素ガスの導入圧力が0.10MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁B10を閉めて、フッ素ガス供給配管部B8にパージ用の窒素ガスを封入した。次に、排気弁B14を開けてフッ素ガス供給配管部B8の窒素ガスを排気し、フッ素ガス発生圧力測定器B17によって圧力が-0.10MPa-Gに到達したことを確認後、排気
弁B14を閉止した。同様にして、フッ素ガス供給配管部B8への窒素ガスの封入と真空排気の操作とを交互に繰り返してサイクルパージを行った。カウンターによってサイクルパージの回数を積算し、30回到達を確認して工程[2]の操作を完了した。
<工程[3]>
容器元弁B6および排気弁B14を開けて、容器B5の内部を排気した。フッ素ガス発生
圧力測定器B17によって圧力が-0.10MPa-Gに到達したことを確認後、排気弁B14を閉止して、工程[3]の操作を完了した。
<工程[4]>
容器B5の加熱用ヒータを稼働して、容器B5の温度を305〜370℃の範囲で温度可変した。容器A1の場合と同様にして、ヒータ加熱温度の設定値の変更は、フッ素ガス発生圧力
測定器B17によって検知されるフッ素ガスの発生圧力をフィードバックすることにより
行った。フッ素ガスの発生圧力の目標制御圧力を0.10〜0.20MPa絶対圧(0.00〜0.10MPa-G)として、表1に示す昇温プログラムを用いて、ヒータ加熱温度の制御を行った。
[容器A1側からのフッ素ガスの供給]
容器A1側からのフッ素ガスの供給を以下に示す方法(工程[5]および工程[6])
により開始した。
<工程[5]および工程[6]>
容器A1を加熱して発生したフッ素ガスの圧力が0.15MPa絶対圧(0.05MPa-G)に到達し
たことをフッ素ガス発生圧力測定器A16により確認した後、フッ素ガスを使用する装置
からの指示信号を信号受信部(図示なし)で受信し、該指示信号に従って、フッ素ガス供給弁A11を開放してフッ素ガスを供給した。フッ素ガスを使用する装置からの指示信号
に従って、1SLM(標準状態(0℃)において1L/min相当)の流量でフッ素ガスを供給(工
程[5])した。このとき、フッ素ガス流量計21によりフッ素ガスの積算流量を計測した。フッ素ガスを供給開始して60min経過後に、フッ素ガスを使用する装置からの指示信
号を信号受信部(図示なし)で受信し、該指示信号に従って、フッ素ガス供給弁A11を
閉じてフッ素ガスの供給を停止(工程[6])した。
フッ素ガスの供給を停止して60min経過後に、再び、フッ素ガスを使用する装置からの
指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガス供給弁A11を開閉してフッ素ガス
を供給(1SLM×60min)した。同様にして、フッ素ガスの供給(1SLM×60min)と供給の停止(60min)を20回繰り返し行った。その間、表1に示したヒータ加熱温度の制御によ
り、フッ素ガスの発生圧力は0.10〜0.20MPa絶対圧を維持し、フッ素ガスの安定供給(1SLM×60min)を繰り返し20回行うこと(60min×20回=1200SLの供給)に成功した。
[容器の切り替え]
次に、フッ素ガスを供給する容器の切り替え(容器A1側から容器B5側への切替え)を以下に示す方法により行った。
上記20回目のフッ素ガスの供給を停止して60min経過後に、再び、フッ素ガスを使用
する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガス供給弁A11を開放
してフッ素ガスの供給(1SLM、21回目)を開始した。21回目のフッ素ガス供給中、フッ素ガス流量計21により計測したフッ素ガスの積算流量は1250SL(標準状態(0℃)に
おいて1250L相当)に到達し、容器A1内に残存するフッ素量が規定値(50SL=予め設定した任意の値)に到達したことを検知した。そのとき、容器B5を加熱して発生したフッ素
ガスの圧力が0.15MPa絶対圧(0.05MPa-G)に到達したことをフッ素ガス発生圧力測定器B
17により確認した後、フッ素ガス供給弁B12を開放して容器B5からのフッ素ガスの供給を開始した。同時に、フッ素ガス供給弁A11を閉じて容器A1からのフッ素ガスの供給を終了した。このように、フッ素ガスを供給する容器を切替えすることにより、スムーズなフッ素ガスの連続供給が実現できた。
[容器A1側の運転停止]
次に、容器A1側の運転停止を以下に示す方法(工程[7]〜工程[9])により行っ
た。
<工程[7]>
容器A1の加熱ヒータを停止して、容器A1を冷却してフッ素ガスの発生を停止させた。容器A1の温度が40℃まで低下したこと、および、フッ素ガス発生圧力測定器A16によりフッ素ガスの発生圧力が-0.10MPa-Gに到達したことを確認して、工程[7]の操作を完了した。
<工程[8]>
不活性ガス供給弁A9を開けて、容器A1に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって窒素ガスの導入圧力が0.05MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁B10および容器元弁A2を閉めて、容器A1内部に保安用の窒素ガスを封入した。
<工程[9]>
不活性ガス供給弁A9を開けてフッ素ガス供給配管部A4に窒素ガスを導入し、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって窒素ガスの導入圧力が0.10MPa-Gに到達したことを確認後、不活性ガス供給弁A9を閉めて、フッ素ガス供給配管部A4にパージ用の窒素ガスを封入した。次に、排気弁A13を開けてフッ素ガス供給配管部A4の窒素ガスを排気し、フッ素ガス発生圧力測定器A16によって圧力が-0.10MPa-Gに到達したことを確認後、排気弁A13を閉止した。同様にして、フッ素ガス供給配管部A4への窒素ガスの封入と真空排気の
操作とを交互に繰り返してサイクルパージを行った。カウンターによってサイクルパージの回数を積算し、30回到達を確認して工程[9]の操作を完了した。工程[9]の完了を確認後、作業者によって容器A1をフッ素ガス供給配管部A4より脱着した。
[実施例2]
工程[4]における容器A1および容器B5の加熱用ヒータの温度制御方法を以下に示す方法に変更した以外は実施例1と同じようにして、フッ素ガスの供給試験を実施した。
フッ素ガス流量計21により計測したフッ素ガスの積算流量に基づいて、容器A1およ
び容器B5に入れたK3NiF7のモル分率を計算部(図示なし)で計算させた。ここで、上記
計算部において、14.5SL(標準状態(0℃)において14.5L相当)のフッ素ガスが供給されたことを検出することによって、K3NiF7のモル分率が1%低下したことを検知するシステムを設定した。
計算されたK3NiF7のモル分率および検知された圧力値が加熱温度の制御部(図示なし)に入力されると、表2に示す昇温プログラムに従って加熱温度が決定され、次いで、この加熱温度に基づいて容器A1および容器B5の加熱用ヒータが稼動された。このようにして、ヒータ加熱温度を305〜370℃の範囲で制御した。
Figure 2007191378
フッ素ガスの供給(1SLM×60min)および供給の停止(60min)を20回繰り返し行った。その間、表2に示す昇温プログラムを用いたヒータ加熱温度の制御により、フッ素ガスの発生圧力は0.12〜0.18MPa絶対圧を維持し、フッ素ガスの安定供給(1SLM×60min)を繰り返し20回行うこと(60min×20回=1200SLの供給)に成功した。
[実施例3]
工程[4]における容器A1および容器B5の加熱用ヒータの動温度制御方法を以下に示す方法に変更した以外は実施例2と同じようにして、フッ素ガスの供給試験を実施した。
重量測定部(図示なし)で測定された容器A1および容器B5の積算重量に基づいて、容
器A1および容器B5に入れたK3NiF7のモル分率を計算部(図示なし)で計算させた。ここで、上記計算部において、25gのフッ素ガスが供給されたことを検出することによって、K3NiF7のモル分率が1%低下したことを検知するシステムを設定した。
計算されたK3NiF7のモル分率および検知された圧力値が加熱温度の制御部(図示なし)に入力されると、表2に示す昇温プログラムに従って加熱温度が決定され、次いで、この加熱温度に基づいて容器A1および容器B5の加熱用ヒータを稼動させた。このようにして、ヒータ加熱温度を295〜370℃の範囲で制御した。
フッ素ガスの供給(1SLM×60min)および供給の停止(60min)を20回繰り返し行った。その間、表2に示す昇温プログラムを用いたヒータ加熱温度の制御により、フッ素ガスの発生圧力は0.12〜0.18MPa絶対圧を維持し、フッ素ガスの安定供給(1SLM×60min)を繰り返し20回行うこと(60min×20回=1200SLの供給)に成功した。
[比較例1]
工程[4]における容器A1の加熱用ヒータの設定温度を330℃(一定値)に変更した以外は実施例1と同じようにして、フッ素ガスの供給試験を実施した。
フッ素ガスの供給を開始する前のフッ素ガス発生圧力は0.05MPa-Gであったが、容器A1側からのフッ素ガスの供給(1SLM×60min)を繰り返し3回行った後、4回目のフッ素ガ
スの供給中にフッ素ガス発生圧力は-0.01MPa-Gまで低下した。その結果、フッ素ガスの発生圧力(-0.01MPa-G)がCVD装置側のプロセス圧力(-0.05MPa-G)に接近したことにより
、必要流量(1SLM)でのフッ素ガスの連続供給が継続できなくなった。
本発明のフッ素ガスの供給方法を実施可能なフッ素ガス供給装置の一例を示す概略図である。 金属フッ化物固体の温度とフッ素ガス発生圧力の関係の一例を示す図である。
符号の説明
1: 金属フッ化物固体を入れた容器A(加熱用ヒータ付)
2: 容器元弁A(自動開閉機構付)
3: 容器A接続部
4: フッ素ガス供給配管部A
5: 金属フッ化物固体を入れた容器B(加熱用ヒータ付)
6: 容器元弁B(自動開閉機構付)
7: 容器B接続部
8: フッ素ガス供給配管部B
9: 不活性ガス供給弁A(自動開閉機能付)
10: 不活性ガス供給弁B(自動開閉機能付)
11: フッ素ガス供給弁A(自動開閉機能付)
12: フッ素ガス供給弁B(自動開閉機能付)
13: 排気弁A(自動開閉機能付)
14: 排気弁B(自動開閉機能付)
15: 不活性ガス供給圧力測定器
16: フッ素ガス発生圧力測定器A
17: フッ素ガス発生圧力測定器B
18: 真空排気圧力測定器
19: 不活性ガス供給用圧力調整器
20: 不活性ガス
21: フッ素ガス流量計
22: フッ素ガス
23: 真空排気ポンプ
24: 排気ガス
25: 金属製筐体
26: 金属製隔壁

Claims (20)

  1. 金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、
    フッ素ガスの発生圧力と、前記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、前記金属フッ化物固体の加熱温度を決定し、前記金属フッ化物固体を入れた容器の加熱温度を制御して、フッ素ガスを発生することを特徴とするフッ素ガスの供給方法。
  2. 金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガスの供給方法であって、
    金属フッ化物固体を入れた容器をフッ素ガス供給配管部に接続した後に容器接続部の気密を確認する工程[1]と、前記容器接続部の配管内部を不活性ガスでサイクルパージして洗浄する工程[2]と、前記容器内部の気相部を排気して減圧する工程[3]と、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値に基づいて、前記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程[4]と、発生したフッ素ガスを、前記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁を開放して供給する工程[5]と、発生したフッ素ガスの供給を、前記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程[6]と、前記容器を冷却してフッ素ガスの発生を停止させる工程[7]と、前記容器内部に不活性ガスを充填する工程[8]と、前記容器を前記フッ素ガス供給配管部より脱着する前に前記容器接続部の配管内部を不活性ガスでサイクルパージして洗浄する工程[9]と、
    を順次に自動運転操作により進行することを特徴とするフッ素ガスの供給方法。
  3. 前記工程[4]が、フッ素ガスの発生圧力を測定し、得られた圧力値と、前記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、前記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程であることを特徴とする請求項2に記載のフッ素ガスの供給方法。
  4. 前記金属フッ化物固体の化学組成が、前記フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量に基づいて計算されることを特徴とする請求項3に記載のフッ素ガスの供給方法。
  5. 前記金属フッ化物固体の化学組成が、前記フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算重量に基づいて計算されることを特徴とする請求項3に記載のフッ素ガスの供給方法。
  6. 前記工程[4]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、前記容器の加熱温度を制御し、一定の圧力でフッ素ガスを発生させる工程であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
  7. 前記工程[5]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガスを、前記フッ素ガス供給弁を開放して供給する工程であり、前記工程[6]が、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信し、該指示信号に従って、フッ素ガスの供給を、前記フッ素ガス供給弁を閉じて停止させる工程であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
  8. 前記工程[1]が、金属フッ化物固体を入れた複数の容器を、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに接続した後に容器接続部の気密を確認する工程であり、前記工程[5]が、前記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられたフッ素ガス供給弁を順次切り替えて開放して、フッ素ガスを連続供給する工程であることを特徴とする請求項2に記載のフッ素ガスの供給方法。
  9. 前記工程[5]が、開放されたフッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量を測定し、該フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算流量が規定値に到達した場合に、該開放されたフッ素ガス供給弁を閉じ、他のフッ素ガス供給弁を開放して、フッ素ガスを供給し、この操作を繰り返す工程であることを特徴とする請求項8に記載のフッ素ガスの供給方法。
  10. 前記工程[5]が、開放されたフッ素ガス供給弁が設けられたフッ素ガス供給配管部に接続された前記容器の重量を測定し、該フッ素ガス供給弁から供給したフッ素ガスの積算重量が規定値に到達した場合に、該開放されたフッ素ガス供給弁を閉じ、他のフッ素ガス供給弁を開放して、フッ素ガスを供給し、この操作を繰り返す工程であることを特徴とする請求項8に記載のフッ素ガスの供給方法。
  11. 前記工程[1]が、金属フッ化物固体を入れた複数の容器を、複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに接続した後に容器接続部の気密を確認する工程であり、前記工程[5]が、前記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられたフッ素ガス供給弁を複数開放して、少なくとも2本の容器からフッ素ガスを同時に供給する工程であることを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
  12. 前記金属フッ化物固体が、CoF3、MnF4およびK3NiF7からなる群から選ばれる化合物を少なくとも1種含む混合物であることを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載のフッ素ガスの供給方法。
  13. 金属フッ化物固体の熱分解反応によりフッ素ガスを発生して供給するフッ素ガス供給装置であって、
    金属フッ化物固体を入れた、加熱部を具備した容器と、
    容器接続部を介して前記容器と接続されたフッ素ガス供給配管部と、
    前記フッ素ガス供給配管部に設けられたフッ素ガス供給弁と、
    フッ素ガスの発生圧力を測定する圧力測定部と、
    前記圧力測定部で得られた圧力値に基づいて、前記容器の加熱温度を制御する加熱温度の制御部と、
    を有することを特徴とするフッ素ガス供給装置。
  14. 前記加熱温度の制御部が、前記圧力測定部で得られた圧力値と、前記金属フッ化物固体の化学組成とに基づいて、前記容器の加熱温度を制御することを特徴とする請求項13に記載のフッ素ガス供給装置。
  15. さらに、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する信号受信部を有し、
    前記加熱温度の制御部が、さらに、前記受信部で受信した前記指示信号に従って、前記容器の加熱温度を制御することを特徴とする請求項13または14に記載のフッ素ガス供給装置。
  16. さらに、供給したフッ素ガスを使用する装置からの指示信号を受信する信号受信部と、
    前記受信部で受信した前記指示信号に従って、前記フッ素ガス供給弁の開閉を行う供給弁開閉部とを有することを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置。
  17. 金属フッ化物固体を入れた、加熱部を具備した複数の容器と、
    複数の容器接続部それぞれを介して前記複数の容器それぞれと接続された複数のフッ素ガス供給配管部と、
    前記複数のフッ素ガス供給配管部それぞれに設けられた複数のフッ素ガス供給弁とを備え、
    前記複数の容器それぞれの設置空間を分離する金属隔壁を備えることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置。
  18. 請求項13〜17のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、基板のエッチングを行う方法。
  19. 請求項13〜17のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、薄膜形成装置のクリーニングを行う方法。
  20. 請求項13〜17のいずれかに記載のフッ素ガス供給装置より得られたフッ素ガスによって、被処理物のフッ素化処理を行う方法。
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