JP2007191113A - ブレーキ装置への作動流体充填方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両組立工場における設備との間の通信を必要とすることなく、真空充填工程の進行状況を判定する技術を提供する。
【解決手段】本発明のブレーキ装置への作動流体充填方法では、イグニッションオン後、マスタ圧センサ48およびシリンダ圧センサ44の出力値を監視する。それぞれの圧力センサの出力値が、基準値から所定値を減算した値よりも下がった場合に、ECU200が、真空引きを実施中であることを判定し、増圧弁40を開弁して、高圧管30をマスタシリンダ14に連通させ、高圧管30の真空引きを行う。続いて、作動流体圧送装置120からブレーキフルードを圧送すると、ECU200が各圧力センサの出力値をもとに、ブレーキフルードの圧送中であることを判定する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のブレーキ装置への作動流体充填方法では、イグニッションオン後、マスタ圧センサ48およびシリンダ圧センサ44の出力値を監視する。それぞれの圧力センサの出力値が、基準値から所定値を減算した値よりも下がった場合に、ECU200が、真空引きを実施中であることを判定し、増圧弁40を開弁して、高圧管30をマスタシリンダ14に連通させ、高圧管30の真空引きを行う。続いて、作動流体圧送装置120からブレーキフルードを圧送すると、ECU200が各圧力センサの出力値をもとに、ブレーキフルードの圧送中であることを判定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ブレーキ装置への作動流体充填方法に関し、特に電磁弁を有するブレーキ装置への作動流体充填方法に関する。
ブレーキ装置の配管内にエアが存在すると、増圧時にそのエアが圧縮されることによりブレーキ操作時の応答速度や制御性が低下する。そのため、車両組立工場において、ブレーキ装置にブレーキフルード(作動流体)を充填する際には、まずブレーキ装置の配管内のエアを取り除く真空引きを行い、その後、作動流体を充填する「真空充填処理」が一般的に採用される(例えば、特許文献1参照)。
真空充填処理では、ブレーキ装置のリザーバタンクに、車両組立工場の設備、すなわち外部設備である真空引き用ポンプと作動流体圧送装置とが取り付けられる。続いて真空引き用ポンプを駆動して真空引きを行い、その後、作動流体圧送装置により作動流体をブレーキ装置の全ての流路に圧送充填させる。
特開2000−118387号公報
電磁弁には、電力の供給を受けなければ閉弁状態を維持する常閉型の電磁弁と、電力の供給を受けなければ開弁状態を維持する常開型の電磁弁とが存在する。常閉型電磁弁によりリザーバタンクとの連通が遮断される空間を有するブレーキ装置においては、その電磁弁を開弁して閉塞空間をなくし、真空引きおよび作動流体の充填を行う必要がある。電磁弁の開閉制御は、車両に搭載される電子制御ユニット(以下「ECU」という)によって実行されるが、ECUは、真空充填処理を行うことを示す情報を取得したことを契機として電磁弁を開弁することになる。
そこで、ECUのコネクタに外部設備を接続して、ECUに真空充填処理を行うことを示す情報を伝達し、ECUが電磁弁を制御可能とする手法が考えられる。また電磁弁の制御をECUが行うのではなく、油圧アクチュエータのコネクタに外部設備を接続し、外部設備が、電磁弁を直接制御可能とする手法も考えられる。
しかしながら、これらの電磁弁制御手法では、外部設備をECUまたは油圧アクチュエータのコネクタに接続する必要があり、真空充填処理の終了後は、コネクタから外部設備を切り離す必要がある。そのため、車両においてコネクタを作業性の優れた場所に設けたり、また作業可能な位置に真空充填処理専用のコネクタを別途設けたりする必要が生じ、コネクタ位置が制限される。コネクタ位置が制限されることで、油圧アクチュエータの形状が大きくなるなど、コストアップする可能性がある。また、正規の車両用のワイヤーハーネスが既にコネクタに接続されている場合には、ワイヤーハーネスを一旦取り外してから外部設備をコネクタに接続し、真空充填処理の終了後に再びワイヤーハーネスを装着させるため、作業負担が大きいという問題もあった。
そこで、本発明は、電磁弁を搭載したブレーキ装置に効率的に作動流体を充填する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のブレーキ装置への作動流体充填方法は、マスタシリンダと、ホイールシリンダと、マスタシリンダとホイールシリンダとを連通する流路と、作動流体圧を蓄圧可能なアキュムレータ部と、アキュムレータ部とマスタシリンダの間の連通を制御する電磁弁と、マスタシリンダの圧力を検出するマスタ圧センサと、ホイールシリンダの圧力を検出するシリンダ圧センサと、アキュムレータ部の圧力を検出するアキュムレータ圧センサとを備えたブレーキ装置に作動流体を充填する方法に関する。この作動流体充填方法は、マスタシリンダに連通する位置に取り付けた真空引き用ポンプを駆動して真空引きを行う工程と、マスタ圧センサおよびシリンダ圧センサの出力値を監視する工程と、マスタ圧センサおよびシリンダ圧センサの出力値が、それぞれの基準値からそれぞれの第1の所定値を減算した値よりも下がった場合に、真空引きを実施中であることを判定する工程と、真空引き実施中であることを判定した後、電磁弁を開弁する工程と、マスタシリンダに連通する位置に取り付けた作動流体圧送装置からブレーキ装置内に作動流体を圧送する工程とを有する。
この態様によると、ブレーキ装置が、外部設備との間の通信を必要とすることなく、自律的に真空引き実施中であることを判別できる。
電磁弁を開弁した後、アキュムレータ圧センサの出力値が、その基準値から第2の所定値を減算した値よりも下がった場合に、真空引きを完了したことを判定する工程をさらに有してもよい。アキュムレータ部については電磁弁を開弁することでマスタシリンダに連通することになるが、アキュムレータ圧センサの出力値を監視することで、真空引きの完了判定の精度を高めることができる。
マスタ圧センサ、シリンダ圧センサおよびアキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第3の所定値を加算した値よりも上がった場合に、作動流体を充填中であることを判定する工程をさらに有してもよい。これにより、ブレーキ装置が、外部設備との間の通信を必要とすることなく、自律的に作動流体を充填中であることを判別できる。
作動流体を充填中であることを判定した後、マスタ圧センサ、シリンダ圧センサおよびアキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第4の所定値を加算した値よりも下がった場合に、作動流体の充填が完了したことを判定する工程をさらに有してもよい。これにより、ブレーキ装置が、外部設備との間の通信を必要とすることなく、自律的に作動流体の充填が完了したことを判別できる。
作動流体を充填中であることを判定した後、マスタ圧センサ、シリンダ圧センサおよびアキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第4の所定値を加算した値よりも下がった場合に、電磁弁を閉弁する工程をさらに有してもよい。これにより、ブレーキ装置が、外部設備との間の通信を必要とすることなく、自律的に電磁弁を閉弁できる。
真空引きを実施中であることを判定した後、または電磁弁を開弁した後、第1の所定時間を経過するまでに、アキュムレータ圧センサの出力値が、その基準値から第2の所定値を減算した値よりも下がらない場合に、真空引きが十分でないことを示す警告を出力する工程をさらに有してもよい。
また、真空引きを完了したことを判定した後、第2の所定時間を経過するまでに、マスタ圧センサ、シリンダ圧センサおよびアキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第3の所定値を加算した値よりも上がらない場合に、作動流体の充填が十分でないことを示す警告を出力する工程をさらに有してもよい。
また、真空引きを完了したことを判定した後、第3の所定時間を経過するまでに、マスタ圧センサ、シリンダ圧センサおよびアキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第4の所定値を加算した値よりも下がらない場合に、作動流体の充填が十分でないことを示す警告を出力する工程をさらに有してもよい。
本発明によれば、電磁弁を搭載したブレーキ装置に効率的に作動流体を充填する技術を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。図1は、本発明による作動流体の充填技術が適用されるブレーキ装置の構成例を示し、まず、既に作動流体が充填されて、制動制御を実現可能な状態にあるブレーキ装置について説明する。
図1は、本発明の実施例に係るブレーキ装置10を示す系統図である。同図に示されるブレーキ装置10は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、運転者によるブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12の操作に応じて車両の4輪のブレーキを独立かつ最適に設定するものである。ブレーキペダル12は、運転者による踏み込み操作に応じて作動流体(作動液)としてのブレーキフルードを送り出すマスタシリンダ14に接続されている。また、ブレーキペダル12には、その踏み込みストロークを検出するためのストロークセンサ46が設けられている。更に、マスタシリンダ14には、リザーバタンク26が接続されており、マスタシリンダ14の一方の出力ポートには、開閉弁23を介して、運転者によるブレーキペダル12の操作力に応じた反力を創出するストロークシミュレータ24が接続されている。なお、開閉弁23は、非通電時に閉状態にあり、運転者によるブレーキペダル12の操作が検出された際に開状態に切り換えられる常閉型電磁弁である。
マスタシリンダ14の一方の出力ポートには、右前輪用のブレーキ油圧制御管16が接続されており、ブレーキ油圧制御管16は、図示されない右前輪に対して制動力を付与する右前輪用のホイールシリンダ20FRに接続されている。また、マスタシリンダ14の他方の出力ポートには、左前輪用のブレーキ油圧制御管18が接続されており、ブレーキ油圧制御管18は、図示されない左前輪に対して制動力を付与する左前輪用のホイールシリンダ20FLに接続されている。右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右電磁開閉弁22FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、左電磁開閉弁22FLが設けられている。これらの右電磁開閉弁22FRおよび左電磁開閉弁22FLは、何れも、非通電時に開状態にあり、運転者によるブレーキペダル12の操作が検出された際に閉状態に切り換えられる常開型電磁弁である。
また、右前輪用のブレーキ油圧制御管16の中途には、右前輪側のマスタシリンダ圧を検出する右マスタ圧センサ48FRが設けられており、左前輪用のブレーキ油圧制御管18の中途には、左前輪側のマスタシリンダ圧を計測する左マスタ圧センサ48FLが設けられている。ブレーキ装置10では、運転者によってブレーキペダル12が踏み込まれた際、ストロークセンサ46によりその踏み込み操作量が検出されるが、これらの右マスタ圧センサ48FRおよび左マスタ圧センサ48FLによって検出されるマスタシリンダ圧からもブレーキペダル12の踏み込み操作力(踏力)を求めることができる。このように、ストロークセンサ46の故障を想定して、マスタシリンダ圧を2つの圧力センサ48FRおよび48FLによって監視することは、フェイルセーフの観点からみて好ましい。
一方、リザーバタンク26には、油圧給排管28の一端が接続されており、この油圧給排管28の他端には、モータ32により駆動されるオイルポンプ34の吸込口が接続されている。オイルポンプ34の吐出口は、高圧管30に接続されており、この高圧管30には、アキュムレータ50とリリーフバルブ53とが接続されている。アキュムレータ50、オイルポンプ34、モータ32は、ブレーキフルード圧を蓄圧可能なアキュムレータ部として機能する。オイルポンプ34の吸入口は、非駆動時、油圧給排管28との連通が遮断されている。本実施例では、オイルポンプ34として、モータ32によってそれぞれ往復移動させられる2体以上のピストン(図示せず)を備えた往復動ポンプが採用される。また、アキュムレータ50としては、ブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギに変換して蓄えるものが採用される。
アキュムレータ50は、オイルポンプ34によって例えば14〜22MPa程度にまで昇圧されたブレーキフルードを蓄える。また、リリーフバルブ53の弁出口は、油圧給排管28に接続されており、アキュムレータ50におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ53が開弁し、高圧のブレーキフルードは油圧給排管28へと戻される。更に、高圧管30には、アキュムレータ50の出口圧力、すなわち、アキュムレータ50におけるブレーキフルードの圧力を検出するアキュムレータ圧センサ51が設けられている。
そして、高圧管30は、増圧弁40FR,40FL,40RR,40RLを介して右前輪用のホイールシリンダ20FR、左前輪用のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RRおよび左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。以下、適宜、ホイールシリンダ20FR〜20RLを総称して「ホイールシリンダ20」といい、適宜、増圧弁40FR〜40RLを総称して「増圧弁40」という。増圧弁40は、何れも、非通電時は閉じた状態にあり、必要に応じてホイールシリンダ20の増圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。なお、図示されない車両の各車輪に対しては、ディスクブレーキユニットが設けられており、各ディスクブレーキユニットは、ホイールシリンダ20の作用によってブレーキパッドをディスクに押し付けることで制動力を発生する。
また、右前輪用のホイールシリンダ20FRと左前輪用のホイールシリンダ20FLとは、それぞれ減圧弁42FRまたは42FLを介して油圧給排管28に接続されている。減圧弁42FRおよび42FLは、必要に応じてホイールシリンダ20FR,20FLの減圧に利用される常閉型の電磁流量制御弁(リニア弁)である。一方、右後輪用のホイールシリンダ20RRと左後輪用のホイールシリンダ20RLとは、常開型の電磁流量制御弁である減圧弁42RRまたは42RLを介して油圧給排管28に接続されている。以下、適宜、減圧弁42FR〜42RLを総称して「減圧弁42」という。
右前輪用、左前輪用、右後輪用および左後輪用のホイールシリンダ20FR〜20RL付近には、それぞれ対応するホイールシリンダ20に作用するブレーキフルードの圧力であるホイールシリンダ圧を検出するシリンダ圧センサ44FR,44FL,44RRおよび44RLが設けられている。以下、適宜、シリンダ圧センサ44FR〜44RLを総称して「シリンダ圧センサ44」という。
上述の右電磁開閉弁22FRおよび左電磁開閉弁22FL、増圧弁40FR〜40RL、減圧弁42FR〜42RL、オイルポンプ34、アキュムレータ50等は、ブレーキ装置10の油圧アクチュエータ80を構成する。そして、かかる油圧アクチュエータ80は、電子制御ユニット(以下「ECU」という)200によって制御される。ECU200は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備える。
続いて、上記したブレーキ装置10へのブレーキフルードの充填方法について説明する。ブレーキフルードの充填は車両組立工場で、ECU200や油圧アクチュエータ80などの各構成の車体への組み付けが完了して、ブレーキ装置10が構成された状態で行われる。従来のブレーキフルードの充填技術では、ECUに対して真空充填が行われていることを車両組立工場の設備(以下、「外部設備」ともよぶ)側から通知するなどの処理が必要であったが、本実施例によるブレーキフルードの充填技術では、ECU200が、ブレーキ装置10内に設けられた圧力センサの検出値を利用して、真空充填が行われていることを自律的に判別できる。外部設備側とブレーキ装置10の間での通信を不要とするため、ECU200のコネクタに外部設備側から通信ケーブルを接続する必要がなく、ブレーキフルードの充填作業にかかる作業員の手間を軽減できる。
車両組立工場において、真空引き用ポンプ110が、リザーバタンク26に取り付けられる。真空引き用ポンプ110はリザーバタンク26からブレーキ装置10内を真空引きする。また、リザーバタンク26には作動流体圧送装置120が取り付けられ、真空引き用ポンプ110による真空引きが終了すると、作動流体圧送装置120がブレーキ装置10内にブレーキフルードを圧送する。
真空引き工程においては、ブレーキ装置10内の全ての空間を真空引きすることが必要である。一方で、ブレーキ装置10においては様々な電磁弁が流路上に配置されており、常閉弁などにより閉じられた閉塞空間が存在している。具体的には、オイルポンプ34は、非駆動時にその吸入口側で油圧給排管28と高圧管30との連通を遮断しており、また高圧管30の下流側に位置する増圧弁40FR〜40RLは常閉弁として構成されている。そのため、オイルポンプ34ないしは増圧弁40FR〜40RLに電力が供給されなければ、高圧管30が閉塞空間となり、真空引きされるリザーバタンク26と連通しない。真空引き工程およびブレーキフルード圧送工程は、高圧管30とリザーバタンク26とを連通させた状態で行われる必要がある。
本実施例のブレーキ装置10は、ブレーキフルードを真空充填する際、車両組立工場の外部設備側との間で通信を行わない。そのため、真空引き用ポンプ110より真空引き工程が開始された場合に、ECU200は、真空引きが行われていることを自律的に判別して、閉塞空間をなくすために必要な電磁弁を開弁する必要がある。ブレーキ装置10において、増圧弁40FR〜40RLのいずれかを開弁すると、リザーバタンク26と高圧管30との間を連通させることができる。
本実施例の真空充填処理においては、真空充填を行う前にECU200や油圧アクチュエータ80などの各種コネクタの接続を完了させておく。その状態で車両のイグニッションスイッチがオンにされると、ECU200が起動し、ブレーキ装置10内の各圧力センサからの出力を受け取ることができ、また各電磁弁の開閉制御を行うことができる。ECU200には、その初期状態において、真空充填が実施されていないことを示す「真空充填未実施フラグ」がオンに設定されている。この真空充填未実施フラグは、真空充填工程が完了するとオフにされるが、オンの間はブレーキの制御を行うことは禁止される。以下、フラグがオンとは、フラグが立っている状態を表現し、フラグがオフとは、フラグが降りている状態を表現する。したがって真空充填未実施フラグがオンのときにブレーキペダル12を操作しても、ECU200はブレーキ制御を行わない。リザーバタンク26には真空引き用ポンプ110および作動流体圧送装置120が取り付けられる。リザーバタンク26はマスタシリンダ14に連通しており、真空引き用ポンプ110および作動流体圧送装置120の取り付け位置として適しているが、真空引き用ポンプ110および作動流体圧送装置120は、マスタシリンダ14に連通する他の位置に取り付けられてもよい。
真空引き用ポンプ110および作動流体圧送装置120は同時にリザーバタンク26に連通されることはない。真空引き用ポンプ110が駆動されてブレーキ装置10の真空引きが完了し、真空引き用ポンプ110とリザーバタンク26との間の連通が遮断された後、作動流体圧送装置120がリザーバタンク26に連通されて、ブレーキフルードをブレーキ装置10に圧送する。外部設備では、真空引き工程とブレーキフルード充填工程とが、予め定められた時間で実行される。
たとえば、真空充填処理の過程でエラーが発生した場合に、ECU200側からエラーメッセージを外部設備側に送信できれば、真空充填処理をその時点で一時中止することも可能である。本実施例の真空充填処理は、そのような状況下でも実施できるが、特にECU200と外部設備との間で通信が行われない状況下で実施する場合に効果的である。本実施例の真空充填処理においては、既述したように、外部設備により真空引き工程とブレーキフルード充填工程とが所定の時間スケジュールで実施される。その間にエラーが発生した場合には、ECU200が音声や画面出力などで警告を発生し、作業員にエラー発生状況を伝えるようにする。作業員は警告をうけて、外部設備の稼働を停止させたり、また真空充填処理を最初からリスタートさせたりするなどの処置を行うことができる。
真空充填未実施フラグがオンの間、ECU200は、各圧力センサからの出力値を常時監視する。ブレーキ装置10において、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜RL、アキュムレータ圧センサ51の圧力センサが各流路に設けられている。本実施例の真空充填処理では、ECU200が、圧力センサの出力値を効率的に利用して真空充填処理の状況を自律的に判断することができる。これによりブレーキ装置10に新たな構成を付加することなく、真空充填処理を効率的に実施することができる。
右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜RL、アキュムレータ圧センサ51の全ての圧力センサは同一のものが採用されてもよい。各圧力センサの出力は、電圧値(V)で表現される。圧力センサの特性にもよるが、真空引き工程中の圧力センサの出力変動値が微小であるとき、圧力センサの出力値の相対的な変動幅を利用して、後述する圧力判定を行うことが好ましい。たとえばイグニッションをオンにしたときにECU200は各圧力センサの初期値を取得し、それぞれの初期値を基準値として、後に取得された出力値との差分値をもとに圧力判定を行ってもよい。以下では、説明の便宜上、全ての圧力センサの初期値を0.5Vとするが、あくまでも初期値との差分値が判定に利用されるのであって、初期値は別の値であってもよく、また圧力センサごとに異なってもよい。
車両のイグニッションがオンされ、ECU200が各圧力センサの初期値を取得して、継続して各圧力センサの出力値を監視している状況の下で、外部設備が真空引き用ポンプ110を駆動し、真空引き工程が開始される。以後、車両組立工場の外部設備では、予め定められたスケジュールにしたがって、所定時間経過後に真空引き工程が終了し、続いて、ブレーキフルード圧送工程が所定時間だけ実施されることになる。
真空引き工程が開始されると、リザーバタンク26に連通している流路中の圧力センサの出力値が初期値よりも小さくなる。電磁弁の駆動前、リザーバタンク26に連通している流路中の圧力センサは、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RLである。電磁弁を駆動しない状態では、アキュムレータ圧センサ51が設けられる流路のみがリザーバタンク26とは連通しておらず、それ以外の流路は連通した状態にある。
流路が十分に真空引きされると、圧力センサの出力値は、たとえば初期値(0.5V)から0.0167V下がるものとする。そのため、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RLの出力値が、それぞれの初期値から第1の所定値Aを減算した値よりも下がった場合に、真空引き工程を実施中であることが判定される。第1の所定値Aはマージンをもって、たとえば0.016V程度の値に設定されてもよい。なお、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RLのいずれかが異なる種類の圧力センサである場合は、第1の所定値Aが圧力センサの種類ごとに設定される必要がある。
ECU200は、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RLの全ての出力値が、初期値から第1の所定値Aを減算した値を下回った場合に真空引き工程を実施中であることを判定することが好ましいが、いずれか1つの圧力センサの出力値を利用して判定してもよい。なお、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RLの全ての出力値を利用することで、リザーバタンク26に連通する空間が確実に真空引きされたことを評価できる。このときECU200は、外部設備により真空引き工程が実施されており、電磁弁を駆動していない状態でリザーバタンク26に連通した領域の真空引きが行われたことを自律的に判別できる。ECU200は、真空引き工程が実施中であることを示す「真空引き実施中フラグ」をオンに設定する。
ECU200は、真空引き実施中フラグを立てると、必要な電磁弁を開弁する。この状態では、オイルポンプ34と増圧弁40FR〜40RLの間の高圧管30を含んだ空間が閉塞されており、真空引きされていない。そこで、ECU200は、増圧弁40FR〜40RLの少なくとも1つを開弁する。増圧弁40FRまたは40FLを開弁すると、高圧管30が、ブレーキ油圧制御管16または18、および開弁した増圧弁40FRまたは40FLを介してリザーバタンク26に連通する。また、増圧弁40RLまたはRRを開弁すると、高圧管30が、油圧給排管28、および開弁した増圧弁40RLまたはRRを介してリザーバタンク26に連通する。
ECU200は、増圧弁40を開弁した後、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、その初期値から第2の所定値Bを減算した値よりも下がった場合に、ブレーキ装置10内の真空引きを完了したことを判定する。これにより、ブレーキ装置10内の全ての流路の真空引きが行われたことが評価される。このようにECU200は外部設備と通信することなく、自律的に、真空引きが実施されていることを判定して必要な電磁弁を開弁するとともに、電磁弁開弁後に真空引きが完了したことも判定できる。
ECU200は、真空引きが完了したことを示す「真空引き完了フラグ」をオンに設定する。なお、真空引き完了フラグが立てられたことは外部設備には伝えられず、真空引き用ポンプ110は、ブレーキ装置10の状態によらずに、予め決められた時間だけ真空引き工程を実施する。
なおECU200は、真空引きを実施中であることを判定して真空引き実施中フラグを立てた後、または増圧弁40を開弁した後、第1の所定時間(X秒)を経過するまでに、アキュムレータ圧センサ51の出力値がその初期値から第2の所定値Bを減算した値よりも下がらない場合に、真空引きが十分でないことを示す警告を出力することが好ましい。
本実施例の真空充填処理においては、外部設備が、予め決められたスケジュールにしたがって真空引き工程とブレーキフルード圧送工程とを実施するため、スケジュール完了後は、ブレーキフルードがブレーキ装置10に充填されることになる。そのため、実際には十分な真空引きが行われていない状態でブレーキフルードが充填されていても、作業員には、適切な状態でブレーキフルードが充填されたか否かの判断が困難となる。そこで、第1の所定時間経過後に、アキュムレータ圧センサ51の出力値が初期値から第2の所定値Bを減算した値以上であれば、ECU200は、真空引き工程に何らかのエラーが発生したことを判定する。
警告の出力は、たとえば車両のモニタ(図示せず)に画面表示する形態であっても、またスピーカ(図示せず)から音声出力する形態であっても、またランプ(図示せず)を点灯する形態であってもよい。いずれの形態であっても、作業員にエラーが発生したことを知らせればよく、作業員は警告を受けることで、ブレーキフルード圧送工程を中断したり、また真空充填工程を最初からやり直したりする機会を得ることができる。
真空引き用ポンプ110は、真空引き開始から所定時間経過後に真空引きを停止し、続いて、作動流体圧送装置120がブレーキ装置10内にブレーキフルードを圧送する。なお、このブレーキフルードの圧送工程も、圧送開始から所定時間経過後に停止される。作動流体圧送装置120は、ブレーキフルードを一定の注入圧(たとえば0.3MPa)で注入する。真空引き工程中に開弁された増圧弁40は、ブレーキフルード圧送工程においてもその開弁状態を維持する。
ブレーキフルード圧送工程が開始されると、各圧力センサの出力値が初期値よりも大きくなる向きに変動する。したがって、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RL、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、それぞれの初期値にそれぞれの第3の所定値Cを加算した値よりも上がった場合に、ブレーキフルードを充填中であることが判定される。第3の所定値Cは、ブレーキフルードの注入圧により定められる。複数種類の圧力センサが採用される場合には、第3の所定値Cは圧力センサの種類ごとに設定される必要がある。
ECU200は、ブレーキフルードを注入中であることを示す「フルード注入中フラグ」をオンに設定する。このように、ECU200は、外部設備との間で通信しなくとも、ブレーキフルードの圧送工程が実施されていることを判定できる。このとき、真空引き工程において立てた「真空引き実施中フラグ」と「真空引き完了フラグ」を降ろしてもよい。
なおECU200は、真空引きを完了したことを判定して真空引き完了フラグを立てた後、第2の所定時間(Y秒)を経過するまでに、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RL、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、それぞれの初期値に第3の所定値Cを加算した値よりも上がらない場合に、ブレーキフルードの充填が十分でないことを示す警告を出力することが好ましい。警告の出力は、たとえば車両のモニタ(図示せず)に画面表示する形態であっても、またスピーカ(図示せず)から音声出力する形態であっても、またランプ(図示せず)を点灯する形態であってもよい。
本実施例の真空充填処理においては、外部設備が、予め決められたスケジュールにしたがって真空引き工程とブレーキフルード圧送工程とを実施するため、スケジュール完了後は、ブレーキフルードがブレーキ装置10に充填されることになる。そのため、作業員には、適切な状態でブレーキフルードが充填されたか否かの判断が困難となる。そこで、真空引き完了の判定後、第2の所定時間経過後に、圧力センサの出力値が初期値に第3の所定値Cを加算した値以下であれば、ECU200は、ブレーキフルード圧送工程に何らかのエラーが発生したことを判定する。
作動流体圧送装置120は、ブレーキフルード圧送開始から所定時間経過後にブレーキフルードの圧送を停止する。ブレーキフルードの圧送が停止されると、各圧力センサの出力値は初期値に戻る。
ECU200は、ブレーキフルードを充填中であることを判定した後、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RL、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、それぞれの初期値にそれぞれの第4の所定値Dを加算した値よりも下がった場合に、ブレーキフルードの充填が完了したことを判定する。たとえば、所定値Dは微小な値をとってもよく、実質的に各圧力センサの出力値が初期値に戻ったことを判定できる値であればよい。
ECU200は、開弁していた増圧弁40への電力供給を停止して閉弁し、真空充填未実施フラグをオフにする。このように、ECU200は、外部設備との間で通信しなくとも、ブレーキフルードの圧送工程が完了したことを判定して、電磁弁の駆動を終了することができる。既述したようにECU200は、真空充填未実施フラグがオンであることを条件に真空充填制御を行うため、真空充填未実施フラグをオフとすることで、ブレーキ制御の禁止が解除されるとともに、次回のイグニッションのオン時に真空充填制御が実行されない。
なおECU200は、真空引きを完了したことを判定して真空引き完了フラグを立てた後、第3の所定時間(Z秒)を経過するまでに、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RL、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、それぞれの初期値に第4の所定値Dを加算した値よりも下がらない場合に、ブレーキフルードの充填が十分でないことを示す警告を出力することが好ましい。警告の出力は、たとえば車両のモニタ(図示せず)に画面表示する形態であっても、またスピーカ(図示せず)から音声出力する形態であっても、またランプ(図示せず)を点灯する形態であってもよい。
本実施例の真空充填処理においては、外部設備が、予め決められたスケジュールにしたがって真空引き工程とブレーキフルード圧送工程とを実施するため、スケジュール完了後は、ブレーキフルードがブレーキ装置10に充填されることになる。そのため作業員には、適切な状態でブレーキフルードが充填されたか否かの判断が困難となる。そこで、真空引き完了の判定後、第3の所定時間経過後に、圧力センサの出力値が初期値から第4の所定値Dを加算した値以上であれば、ECU200は、ブレーキフルード圧送工程に何らかのエラーが発生したことを判定する。
以上のように、本実施例の真空充填処理では、ECU200が、一連の予定された真空引き工程およびブレーキフルード圧送工程の進行状況を、ブレーキ装置10に設けた圧力センサで確認する。これにより、ECU200による自律的な状況判断機能が実現され、ブレーキフルードの真空充填処理が適切に実行されたか否かを判定できるようになる。
図2は、実施例にかかる真空充填処理フローを示すシーケンス図である。本フローの実行前に、ECU200や油圧アクチュエータ80などの各種コネクタの接続を完了させておき、またリザーバタンク26に外部設備の真空引き用ポンプ110および作動流体圧送装置120を取り付けておく。
作業員が車両のイグニッションスイッチをオンすると(S10)、ECU200が起動する。ECU200は真空充填未実施フラグを参照し(S12)、真空充填未実施フラグがオフの場合には(S12のN)、本フローを終了する。真空充填未実施フラグは、真空充填処理の前にオンに設定されており、本フローにおける一連の処理が順調に実行されると、本フローの最後にオフに設定される。したがって、真空充填処理の完了後は常にオフにセットされたフラグとなる。
真空充填未実施フラグがオンの場合には(S12のY)、ECU200が各圧力センサから、センサ初期値を取得する(S14)。その後、作業員により外部設備が操作され、真空引き用ポンプ110による真空引き工程が開始される(S16)。ECU200は各圧力センサの出力値を常時監視する。ここでは、リザーバタンク26を通じてマスタシリンダ14に連通する流路に設けられた圧力ポンプ、すなわち右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜RLの全てのセンサ出力値が、(センサ初期値−所定値A)よりも小さくなるか否かを監視する(S18のN)。センサ出力値が(センサ初期値−所定値A)よりも小さくなると(S18のY)、ECU200は、真空引き工程が実施中であることを示す真空引き実施中フラグをオンに設定し(S20)、増圧弁40FR〜40RLの少なくとも1つを開弁して(S22)、高圧管30とマスタシリンダ14とを連通させる。
ECU200は、増圧弁40を開弁した後、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、(センサ初期値−所定値B)よりも小さくなるか否かを監視する(S24)。この監視は、真空引き実施中フラグをオンにセット後、X秒が経過するまで(S26のN)行われ、X秒が経過すると(S26のY)、高圧管30を適切に真空引きできなかったことを示す警告を出力する(S48)。一方、X秒経過前にアキュムレータ圧センサ51の出力値が、(センサ初期値−所定値B)よりも小さくなると(S24のY)、ECU200は、真空引きが完了したことを示す真空引き完了フラグをオンに設定する(S28)。
真空引き用ポンプ110は、真空引き開始から所定時間経過後に真空引きを停止し(S30)、続いて、作動流体圧送装置120がブレーキ装置10内にブレーキフルードを圧送する(S32)。ECU200は、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RL、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、(センサ初期値+所定値C)よりも大きくなるか否かを監視する(S34)。この監視は、真空引き完了フラグをオンにセット後、Y秒が経過するまで(S36のN)行われ、Y秒が経過すると(S36のY)、ブレーキフルードを適切に圧送できなかったことを示す警告を出力する(S48)。一方、Y秒経過前に各センサの出力値が(センサ初期値+所定値C)よりも大きくなると(S34のY)、ECU200は、ブレーキフルードを注入中であることを示す「フルード注入中フラグ」をオンに設定する(S38)。なお、このとき同時に、真空引き実施中フラグおよび真空引き完了フラグをオフに設定してもよい。
作動流体圧送装置120は、ブレーキフルード圧送開始から所定時間経過後にブレーキフルードの圧送を停止する(S40)。ECU200は、右マスタ圧センサ48FR、左マスタ圧センサ48FL、シリンダ圧センサ44FR〜44RL、アキュムレータ圧センサ51の出力値が、(センサ初期値+所定値D)よりも小さくなるか否かを監視する(S42)。この監視は、真空引き完了フラグをオンにセット後、Z秒が経過するまで(S44のN)行われ、Z秒が経過すると(S44のY)、ブレーキフルードの注入が適切に終了されていないことを示す警告を出力する(S48)。一方、Z秒経過前に各センサの出力値が(センサ初期値+所定値D)よりも小さくなると(S42のY)、ECU200は、真空充填未実施フラグをオフに設定し(S46)、開弁していた増圧弁40を閉弁する(S50)。なお、真空充填未実施フラグをオフに設定するタイミングで、フルード注入フラグもオフに設定してよい。これにより、本フローが終了する。
図3は、ブレーキ装置10における各構成の動作およびフラグの状態を示すタイミングチャートである。まず時間t0で、イグニッションがオンされると、真空充填未実施フラグが立てられ、また各圧力センサの初期値が取得される。時間t1で、真空引き用ポンプ110が駆動され、真空引きが開始される。真空引きが開始されると、時間t2で、左マスタ圧センサ48、シリンダ圧センサ44の出力値が初期値よりも下がり、真空引き実施中フラグが立てられる。
真空引き実施中フラグが立ったことを受けて、時間t3で増圧弁40が駆動されて開弁される。これにより、時間t4でアキュムレータ圧センサ51の出力値が初期値よりも下がり、真空引き完了フラグが立てられる。時間t5で真空引き用ポンプ110の駆動が停止され、時間t6で作動流体圧送装置120の駆動が開始される。
続いて、時間t7でマスタ圧センサ48、シリンダ圧センサ44、アキュムレータ圧センサ51の出力値が初期値よりも上がると、フルード注入フラグが立てられ、真空引き実施中フラグおよび真空引き完了フラグが降ろされる。時間t8で作動流体圧送装置120の駆動が停止されると、マスタ圧センサ48、シリンダ圧センサ44、アキュムレータ圧センサ51の出力値は初期値に戻り、真空充填未実施フラグおよびフルード注入フラグがオフに設定される。時間t9で増圧弁40が閉弁される。
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
実施例では、各圧力センサの出力値を、イグニッションオン時の初期値との差分をとって真空充填工程の状況判定に使用しているが、基準値を所定値に設定して、出力値と所定値との差分値により圧力判定を行うことも可能である。
10・・・ブレーキ装置、14・・・マスタシリンダ、20・・・ホイールシリンダ、26・・・リザーバタンク、28・・・油圧給排管、30・・・高圧管、32・・・モータ、34・・・オイルポンプ、40・・・増圧弁、44・・・シリンダ圧センサ、48FL・・・左マスタ圧センサ、48FR・・・右マスタ圧センサ、50・・・アキュムレータ、51・・・アキュムレータ圧センサ、80・・・油圧アクチュエータ、110・・・真空引き用ポンプ、120・・・作動流体圧送装置、200・・・ECU。
Claims (8)
- マスタシリンダと、ホイールシリンダと、前記マスタシリンダと前記ホイールシリンダとを連通する流路と、作動流体圧を蓄圧可能なアキュムレータ部と、前記アキュムレータ部と前記マスタシリンダの間の連通を制御する電磁弁と、前記マスタシリンダの圧力を検出するマスタ圧センサと、前記ホイールシリンダの圧力を検出するシリンダ圧センサと、前記アキュムレータ部の圧力を検出するアキュムレータ圧センサとを備えたブレーキ装置に作動流体を充填する方法であって、
前記マスタシリンダに連通する位置に取り付けた真空引き用ポンプを駆動して真空引きを行う工程と、
前記マスタ圧センサおよび前記シリンダ圧センサの出力値を監視する工程と、
前記マスタ圧センサおよび前記シリンダ圧センサの出力値が、それぞれの基準値からそれぞれの第1の所定値を減算した値よりも下がった場合に、真空引きを実施中であることを判定する工程と、
真空引き実施中であることを判定した後、前記電磁弁を開弁する工程と、
前記マスタシリンダに連通する位置に取り付けた作動流体圧送装置から前記ブレーキ装置内に作動流体を圧送する工程と、
を有することを特徴とするブレーキ装置への作動流体充填方法。 - 前記電磁弁を開弁した後、前記アキュムレータ圧センサの出力値が、その基準値から第2の所定値を減算した値よりも下がった場合に、真空引きを完了したことを判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
- 前記マスタ圧センサ、前記シリンダ圧センサおよび前記アキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第3の所定値を加算した値よりも上がった場合に、作動流体を充填中であることを判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
- 作動流体を充填中であることを判定した後、前記マスタ圧センサ、前記シリンダ圧センサおよび前記アキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第4の所定値を加算した値よりも下がった場合に、作動流体の充填が完了したことを判定する工程をさらに有することを特徴とする請求項3に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
- 作動流体を充填中であることを判定した後、前記マスタ圧センサ、前記シリンダ圧センサおよび前記アキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第4の所定値を加算した値よりも下がった場合に、前記電磁弁を閉弁する工程をさらに有することを特徴とする請求項3または4に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
- 真空引きを実施中であることを判定した後、または前記電磁弁を開弁した後、第1の所定時間を経過するまでに、前記アキュムレータ圧センサの出力値が、その基準値から第2の所定値を減算した値よりも下がらない場合に、真空引きが十分でないことを示す警告を出力する工程をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
- 真空引きを完了したことを判定した後、第2の所定時間を経過するまでに、前記マスタ圧センサ、前記シリンダ圧センサおよび前記アキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第3の所定値を加算した値よりも上がらない場合に、作動流体の充填が十分でないことを示す警告を出力する工程をさらに有することを特徴とする請求項4に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
- 真空引きを完了したことを判定した後、第3の所定時間を経過するまでに、前記マスタ圧センサ、前記シリンダ圧センサおよび前記アキュムレータ圧センサの出力値が、それぞれの基準値にそれぞれの第4の所定値を加算した値よりも下がらない場合に、作動流体の充填が十分でないことを示す警告を出力する工程をさらに有することを特徴とする請求項5または6に記載のブレーキ装置への作動流体充填方法。
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JP2006013148A JP2007191113A (ja) | 2006-01-20 | 2006-01-20 | ブレーキ装置への作動流体充填方法 |
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JP2015110360A (ja) * | 2013-12-06 | 2015-06-18 | 本田技研工業株式会社 | 車両の制動システム |
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2006
- 2006-01-20 JP JP2006013148A patent/JP2007191113A/ja active Pending
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