JP2007190490A - 水素分離膜及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水素に対する吸着特性を有する金属微細粒子を圧着成形して製造される水素分離膜において、金属微細粒子は、第1金属粉末0.5〜50重量%及び第1金属粉末より平均粒径が相対的に大きい第2金属粉末50〜99.5重量%で構成される水素分離膜を提供する。
更に本発明は、第1金属粉末0.5〜50重量%及び第1金属粉末より平均粒径が相対的に大きい第2金属粉末50〜99.5重量%を混合する段階と、混合粉末を所定の圧力により圧着成形する段階、及び成形体を水素雰囲気下で焼成する段階とを含む水素分離膜の製造方法を提供する。
【選択図】図1
Description
現在、非特許文献2、3に示されるように、パラジウム系緻密分離膜、ゼオライト又はガンマアルミナを利用する多孔性分離膜の開発を目指して様々な研究が進行されつつある。
しかし、現在まで研究又は開発された多孔性分離膜の場合、大部分がセラミック系(ガンマアルミナ、ゼオライト)支持体を利用している。例えば、非特許文献5を参照。
本発明は、前記従来技術が有する問題を鑑みて成された発明であって、本発明の第1の目的は、既存のパラジウム系緻密分離膜が有する少ない水素透過量及びステンレス金属支持体の水素もろさ(水素脆性)の問題を同時に解決する水素分離膜を提供する。
本発明の第2の目的は、前記第1の目的で提供される水素分離膜に熱的安定性を一層改善した水素分離膜を提供する。
本発明の第3の目的は、工程が簡単で低コストの大量生産に適した水素分離膜の製造方法を提供する。
前記第1金属粉末は、好ましくは粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmの微細粒子から選択されることを特徴とする。
前記第2金属粉末は、好ましくは粒子の平均粒径が0.8〜10μmの微細粒子から選択されることを特徴とする。
前記第1金属粉末は、好ましくはその表面がAl,Si,Pt,Pd,Ru,Rh,Au,Agの群から選択される少なくとも1種の金属で被覆されることを特徴とする。
前記第2金属粉末は、好ましくはその前処理として200〜500℃の水素雰囲気下で還元されることを特徴とする。
前記第1金属粉末又は/及び前記第2金属粉末は、好ましくはニッケル粉末であることを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは前記圧着成形が1〜20tons/cm2の圧力下で実施されることを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは前記第1金属粉末の表面がAl,Si,Pt,Pd,Ru,Rh,Au,Agの群から選択される少なくとも1種の金属で被覆されることを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは前記第1金属粉末と前記第2金属粉末とを混合する段階において、焼結抑制剤として、Al酸化物粉末又は/及びSi酸化物粉末を同時に混合する段階を含むことが望ましい。
本発明の製造方法において、好ましくは前記第2金属粉末はその前処理として200〜500℃の水素雰囲気下で還元されることを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは前記第1金属粉末又は/及び前記む第2金属粉末がニッケル粉末であることを特徴とする。
また、本発明による水素分離膜は、焼結を抑制する効果を有する金属成分を金属粉末に被覆することによって熱的安定性を一層改善することができ、分離膜の製造工程が簡単でコストの低い大量生産に適する長所をも有する。
本発明において、水素に対する吸着特性を有する金属微細粒子は、平均粒径が異なる金属粉末群から選択される。
微細粉末を圧着して多孔性媒体を製造するときに使用される粉末の粒径が小さいほど媒体内の微細気孔の存在確率を高めることができるため、水素に対する分離効率もより高く保持するであろうと予想することは一般的に考えられる。このようなことは、後述する比較例1及び2を通じて確認することができる。
即ち、平均粒径が0.15μmの微細粉末を利用して製造した比較例2の水素分離膜の場合、最低圧力差における水素/窒素の選択度が23.3(表6参照)に至る高い結果を示す反面、平均粒径が5μmの粉末が使用された比較例1の水素分離膜の場合、最低圧力差における水素/窒素の選択度が14(表5参照)を示していることによっても確認することができる。
なお、緻密度及び選択度の改善のためには、前記第1金属粉末と第2金属粉末の混合比を、第1金属粉末0.5〜50重量%と第2金属粉末50〜99.5重量%とで構成するのが好ましい。
また、前記第1金属粉末は、金属粉末をそのまま使用しても構わないが、高温における安定性を確保するためには、その外表面に特別な処理を施すことが好ましい。このような処理は、特定の金属成分を第1金属粉末の外表面に被覆することによってなされる。前記の第1金属粉末の外表面を被覆することのできる金属成分の例は、焼結の抑制効果を有する金属で、Al,Si,Pt,Pd,Ru,Rh,Au,Agの群から選択される少なくとも1種の金属を挙げることができる。
なおかつ、このような焼結抑制剤の被覆は、水素に対する吸着力を更に強化させる働きもなす。
より簡単な方法としては、還元剤(例えば、NaBH4)を利用して焼結抑制物質を前記第1金属粉末の外表面に直接塗布することも可能である。しかしこの場合、還元剤として利用された残存物(前記例の場合、NaBO2)の除去のために注意深い洗浄を実施する必要がある。
前記加圧成形をより円滑に進行させるために、平均粒径が相対的に大きい第2金属粉末は200〜500℃の水素雰囲気下で還元されることができる。
前記の過程を経て得られた成形体は、特に限定されないが、好ましくは500〜900℃の水素雰囲気下で焼成されることが好ましい。なお、より詳しくは好適な実施例の説明で補完する。
製造された多孔性分離膜の水素と窒素に対するそれぞれの透過度は、図6のように製作されたガス透過量測定装置を利用して測定した。
水素と窒素とをそれぞれ供給し、分離膜の前・後端に圧力差を2.2psiに維持した状態で多孔性分離膜を透過したガスの流量を測定した。前記の測定装置は、各ガスを供給するガス流量コントロール部1(質量流コントロールバルブ、圧力コントロールバルブ)と、分離膜を透過したガスの流量を測定するための分析部9(ガスクロマトグラフィー)とによって構成された。符号2はガス混合器、3は電気加熱炉、4は単位分離膜、5は温度感知器、6は温度調節器、7は圧力感知器及び調節器セット、8は石鹸バブル流量計を表している。単位分離膜4が装着された部分は、温度を調節することができる電気加熱炉3内に設置して透過膜の温度を200℃で一定に維持した。また、供給された未透過ガスの排出ラインに圧力コントロールバルブを設けて分離膜両端の圧力差を求めることによって各圧力変数による透過量を測定した。
ガス透過量の測定結果は表2に示すように、水素の透過量は181〜84ML/cm2.min.atm、窒素の透過量は15〜26ML/cm2.min.atmで、水素/窒素の選択度は、11.5〜3.2のレベルである。
実施例1と比較するとき、各ガスの透過量は6倍以上増加された反面、選択度は1/2〜1/3程度に減少しており、分離膜内の細孔直径の増加現象が発生したことが分かる。
硝酸アルミニウムを蒸留水に溶解し、ニッケル粉末を添加して10分間撹拌した後、0.1mol%のNaBH4水溶液を徐々に滴下し溶液のpHを8に増加させアルミニウム成分をニッケル粉末の外表面にコーティングした。コーティングされたニッケル粉末は蒸留水によって3回に亘り洗浄した後、乾燥して使用した。
ガス透過量の測定結果は表3に示すように、水素の透過量は45.1〜15.8ML/cm2.min.atm,窒素の透過量は2.1〜3.4ML/cm2.min.atmで、水素/窒素の選択度は、21.5〜4.6のレベルである。
各ガスの透過量を測定して水素に対する選択度を計算した結果を表4に示すように、二酸化炭素の選択度が最も高い43〜6.7を表す反面、最も少ない分子量を有するメタンの選択度が最も低い8.6〜3.4を示している。
ここで、注目すべきことは、分離膜両側の圧力差が14.7psiの高い状態においても、測定された全てのガスに対するクヌーセン拡散(Knudsen diffusion)の範囲を大きく上回る性能を得ることができた結果である。
前記実施例1のようにして多孔性分離膜を製造し、水素、窒素に対する透過量を測定した。ただ、ニッケル粉末を5μmの単一粒径粉末にして多孔性分離膜を製造した(図4参照)。
ガス透過量の測定結果は表5に示すように、水素の透過量は58.8〜24.8ML/cm2.min.atm,窒素の透過量は4.2〜6.7ML/cm2.min.atmで、水素/窒素の選択度は、14.0〜3.6の低いレベルにある。特に、窒素の透過量は実施例1と比較するとき低圧状態(2.2psi)においても非常に大きい透過量を見せることから、平均気孔の分布が非常に大きいことを確認することができる。従って、マイクロン−サイズ単一粒径のニッケル粉末の圧着による多孔性分離膜の製造においてその限界を確かめることにもなる。
前記比較例1のようにして多孔性分離膜を製造し、水素、窒素に対する透過量を測定した。ただ、ニッケル粉末を平均粒径0.15μmの単一成分を使用して多孔性分離膜を製造した(図5参照)。
ガス透過量の測定結果は表6に示すように、水素の透過量は73.5〜17.9ML/cm2.min.atm,窒素の透過量は3.1〜3.7ML/cm2.min.atmで、水素/窒素の選択度は、23.3〜4.7の低いレベルにある。
比較例1で使用されたニッケル粉末と比較して平均粒径が1/33レベルの超微細粉末を使用したにも拘わらず、実施例1の混合粉末を使用して製造された分離膜に比べて低い選択度を表している。従って、本発明のように、圧着による水素分離膜の製造工程において、多粒径の分布を有する粉末を使用することは、要求される選択度を得るためには絶対的な条件であることを示す結果として評価される。
Claims (12)
- 水素に対する吸着特性を有する金属微細粒子を圧着成形して製造される水素分離膜において、
前記金属微細粒子は、第1金属粉末0.5〜50重量%及び前記第1金属粉末より平均粒径が相対的に大きい第2金属粉末50〜99.5重量%で構成されることを特徴とする水素分離膜。 - 前記第1金属粉末は、粒子の平均粒径が0.01〜0.5μmの微細粒子から選択されることを特徴とする請求項1に記載の水素分離膜。
- 前記第2金属粉末は、粒子の平均粒径が0.8〜10μmの微細粒子から選択されることを特徴とする請求項1に記載の水素分離膜。
- 前記第1金属粉末は、その表面がAl,Si,Pt,Pd,Ru,Rh,Au,Agの群から選択される少なくとも1種の金属で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の水素分離膜。
- 前記第2金属粉末は、前処理として200〜500℃の水素雰囲気下で還元されることを特徴とする請求項1に記載の水素分離膜。
- 前記第1金属粉末又は/及び前記第2金属粉末は、ニッケル粉末であることを特徴とする請求項1に記載の水素分離膜。
- 水素に対する吸着特性を有する金属微細粒子を包含する水素分離膜の製造方法において、第1金属粉末0.5〜50重量%及び前記第1金属粉末より平均粒径が相対的に大きい第2金属粉末50〜99.5重量%を混合して混合粉末を得る段階と、前記混合粉末を所定の圧力により圧着成形して成形体を得る段階と、及び前記成形体を水素雰囲気下で焼成する段階とを含めてなることを特徴とする水素分離膜の製造方法。
- 前記圧着成形は、1〜20tons/cm2の圧力下において実施されることを特徴とする請求項7に記載の水素分離膜の製造方法。
- 前記第1金属粉末は、その表面がAl,Si,Pt,Pd,Ru,Rh,Au,Agの群から選択される少なくとも1種の金属で被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の水素分離膜の製造方法。
- 前記第1金属粉末と前記第2金属粉末を混合する段階において、焼結抑制剤として、Al酸化物粉末又は/及びSi酸化物粉末を同時に混合する段階を含めてなることを特徴とする請求項7に記載の水素分離膜の製造方法。
- 前記第2金属粉末は、前処理として200〜500℃の水素雰囲気下で還元されることを特徴とする請求項7に記載の水素分離膜の製造方法。
- 前記第1金属粉末又は/及び前記第2金属粉末は、ニッケル粉末であることを特徴とする請求項7に記載の水素分離膜の製造方法。
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