JP2007189207A - 窒化物半導体発光素子および窒化物半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体発光素子および窒化物半導体レーザ素子の製造方法 Download PDF

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【課題】信頼性を向上することができる、窒化物半導体発光素子と、窒化物半導体レーザ素子の製造方法と、を提供する。
【解決手段】光出射部にコート膜が形成されている窒化物半導体発光素子であって、光出射部は窒化物半導体からなり、光出射部に接するコート膜が光出射部側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなる窒化物半導体発光素子である。また、共振器端面にコート膜が形成されている窒化物半導体レーザ素子を製造する方法であって、劈開により共振器端面を形成する工程と、共振器端面に共振器端面側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなるコート膜を形成する工程と、を含む、窒化物半導体レーザ素子の製造方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子および窒化物半導体レーザ素子の製造方法に関する。
一般に、半導体レーザ素子においては、共振器端面の劣化を原因とする信頼性不良が知られている。共振器端面の劣化は、非発光再結合準位の存在により共振器端面が過度に発熱することによって起こるとされている。非発光再結合準位が発生する主要因として、共振器端面の酸化が挙げられる。
そこで、特許文献1においては、酸素を含まない窒化物からなるコート膜を共振器端面に形成することで、共振器端面の酸化を防ぐ方法が開示されている。また、特許文献2においては、窒化物半導体レーザ素子の共振器端面に、コート膜として共振器端面と同じ窒化物の誘電体膜を共振器端面に形成することにより、非発光再結合準位を低減する方法が開示されている。
このように窒化物からなるコート膜を共振器端面に形成する手法は従来から知られている。窒化物の中でも特に窒化アルミニウム(AlN)は、化学的および熱的に安定であり、良質の絶縁体であり、また熱伝導率が高く放熱効果も大きいため、半導体レーザの共振器端面に形成するコート膜として優れた特徴を有している(たとえば、特許文献3参照)。しかしながら、酸素を含有しないコート膜は一般に応力が高く、たとえばダークラインの発生のような劣化に結びつくとされている。
特開平9−162496号公報 特開2002−237648号公報 特開平3−209895号公報
我々は、高出力駆動時でも共振器端面の劣化を原因とした信頼性不良を起こさないような窒化物半導体レーザ素子の実現を目指して、AlN膜を共振器端面に形成する技術開発に取り組んできた。
まず、窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に、ECRスパッタ法を用いて、成膜温度を100℃とした条件で、アルミニウム(Al)と窒素ガスを用いて、厚さ6nmのAlN膜を形成した。そして、AlN膜上に反射率を5%とするために厚さ76nmの酸化アルミニウム膜を形成した。また、窒化物半導体レーザ素子の光反射側の共振器端面には酸化シリコン膜と酸化チタン膜のペアからなる高反射膜を形成して、95%以上の高反射率が得られるように設定した。
このようにして作製した窒化物半導体レーザ素子を70℃の温度環境下で光出力が100mWのレーザ光を連続発振させてエージング試験を行なったところ、図9に示すように、15個の窒化物半導体レーザ素子中8個の窒化物半導体レーザ素子について、突然、レーザ光の発振停止が起こった。そして、レーザ光の発振停止を引き起こした窒化物半導体レーザ素子を調査したところ、光出射側の共振器端面が劣化していることが判明した。そこで、光出射側の共振器端面の厚さ6nmのAlN膜でも応力が大きいと考えて、そのAlN膜の厚さを2nmに低減したが、ほぼ同様の結果であった。したがって、高い信頼性を得るためには、窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面にAlN膜を形成する従来の手法では不十分であることが判明した。
また、窒化物半導体発光ダイオード素子の光出射部である発光面にAlN膜を形成した場合であっても、窒化物半導体からなる発光面とAlN膜との密着性が低下すると、これらの界面に形成された非発光センターなどにより、光が吸収されて光取り出し効率が低下するため、高い信頼性が得られないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、信頼性を向上することができる、窒化物半導体発光素子と、窒化物半導体レーザ素子の製造方法と、を提供することにある。
本発明は、光出射部にコート膜が形成されている窒化物半導体発光素子であって、光出射部は窒化物半導体からなり、光出射部に接するコート膜が光出射部側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなる窒化物半導体発光素子である。
ここで、本発明の窒化物半導体発光素子は窒化物半導体レーザ素子であってもよく、光出射部は共振器端面であってもよい。
また、本発明の窒化物半導体発光素子において、酸窒化物膜としては、アルミニウムの酸窒化物膜またはシリコンの酸窒化物膜を用いることができる。
また、本発明の窒化物半導体発光素子において、酸化物膜としては、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜または酸化イットリウム膜を用いることができる。
さらに、本発明は、共振器端面にコート膜が形成されている窒化物半導体レーザ素子を製造する方法であって、劈開により共振器端面を形成する工程と、共振器端面に共振器端面側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなるコート膜を形成する工程と、を含む、窒化物半導体レーザ素子の製造方法である。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、酸窒化物膜は、ターゲットに酸化アルミニウムを用いて作製することができる。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、コート膜は、成膜炉内の少なくとも一部が酸化された状態で形成することができる。
本発明によれば、信頼性を向上することができる、窒化物半導体発光素子と、窒化物半導体レーザ素子の製造方法と、を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
本発明は、光出射部にコート膜が形成されている窒化物半導体発光素子であって、光出射部は窒化物半導体からなり、光出射部に接するコート膜が光出射部側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなる窒化物半導体発光素子であることを特徴としている。このように、本発明においては、光出射部に光出射部側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなるコート膜を形成することによって、窒化物半導体発光素子の信頼性を向上することができる。
ここで、本発明の窒化物半導体発光素子としては、たとえば、窒化物半導体レーザ素子または窒化物半導体発光ダイオード素子などがある。また、本発明の窒化物半導体発光素子が窒化物半導体レーザ素子である場合には光出射部は共振器端面に相当し、本発明の窒
化物半導体発光素子が窒化物半導体発光ダイオード素子である場合には光出射部は発光面に相当する。なお、本発明における窒化物半導体レーザ素子は、少なくとも活性層とクラッド層がAlxInyGazN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z≠0)(アルミニウム、インジウムおよびガリウムからなる群から選択された少なくとも1種の3族元素と5族元素である窒素との化合物)を主成分とする材料からなる半導体レーザ素子を意味する。また、本発明において共振器端面とは、半導体基板上に少なくとも活性層とクラッド層が積層された積層体について少なくとも劈開することによって形成された鏡面のことを意味する。
また、本発明に用いられる酸窒化物膜としては、たとえば、アルミニウムの酸窒化物膜またはシリコンの酸窒化物膜を用いることができる。また、この他にも、本発明に用いられる酸窒化物膜としては、たとえば、出射光の波長域で大きな吸収を持たない各種の酸窒化物膜を用いることができる。また、本発明に用いられる酸窒化物膜としては、たとえば、アルミニウムとシリコンとを含む酸窒化物などの複数元素の酸窒化物を用いることもできる。
また、本発明に用いられる酸化物膜としては、たとえば、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜または酸化イットリウム膜を用いることができる。また、この他にも、本発明に用いられる酸化物膜としては、たとえば、出射光の波長域で大きな吸収を持たない各種の酸化物膜を用いることができる。また、本発明に用いられる酸化物膜としては、たとえば、アルミニウムとシリコンとを含む酸化物、またはジルコニウムとシリコンとを含む酸化物などの複数元素の酸化物などを用いることもできる。
なお、本発明においては、酸窒化物膜と酸化物膜とからなるコート膜上に他の膜が形成されていてもよい。
また、本発明の窒化物半導体発光素子が窒化物半導体レーザ素子である場合には、劈開により共振器端面を形成する工程と、共振器端面に共振器端面側の酸窒化物膜と酸窒化物膜上の酸化物膜とからなるコート膜を形成する工程と、を含む方法により、本発明の窒化物半導体レーザ素子を作製することができる。
ここで、酸窒化物膜がアルミニウムの酸窒化物膜からなる場合には、アルミニウムの酸窒化物膜は、たとえば、成膜炉内に酸化アルミニウムからなるターゲットを設置し、この成膜炉内に窒素ガスのみを導入して、反応性スパッタ法により形成することができる。このように酸化アルミニウムからなるターゲットを用いた場合には、成膜炉内に意図的に酸素ガスを導入しなくても、アルミニウムの酸窒化物膜の形成が可能である。
さらに、反応性スパッタリング装置を用いる場合、酸化アルミニウムからなるターゲットを用いなくても、アルミニウムからなるターゲットを成膜炉内に設置した後に成膜炉内に酸素ガスを導入し、アルミニウムからなるターゲットの表面を酸化させることにより、その表面に酸化アルミニウムからなるターゲットを作製することができる。
たとえば、以下のような酸素プラズマを用いたステップにより、アルミニウムからなるターゲットを用いてアルミニウムの酸窒化物膜を形成することが可能である。
ステップ1
アルミニウムからなるターゲットが設置してある反応性スパッタリング装置の成膜炉内に酸素ガスを導入し、マイクロ波を印加するなどして酸素プラズマを発生させ、アルミニウムからなるターゲットを酸素プラズマに曝すことにより、アルミニウムからなるターゲットの表面から数nm程度酸化させ、酸化アルミニウムからなるターゲットを形成する。
ステップ2
その後、成膜炉内に窒素ガスとアルゴンガスとを導入し、マイクロ波を印加するなどしてプラズマ状態にして、上記の酸化アルミニウムからなるターゲットをスパッタリングすることにより、アルミニウムの酸窒化物膜を形成することが可能となる。
また、ステップ1とステップ2の間に、窒化物半導体の表面をクリーニングするために、アルゴンプラズマ、窒素プラズマ、若しくはアルゴンと窒素の混合ガスプラズマに窒化物半導体の表面を曝す工程を入れてもよい。
また、酸窒化物膜としてアルミニウムの酸窒化物膜を形成する場合には、アルミニウムの酸化性が高いため、成膜炉内に酸素ガスを導入した場合において酸素の含有量の少ない酸窒化物の組成の制御および再現性は困難となる傾向にあるが、Alxy(ただし、0<x<1、0<y<0.6、x+y=1)の組成式で表わされる酸化状態の比較的低い酸化アルミニウムをターゲットとして用い、成膜炉内に酸素ガスを導入せず窒素ガスのみを導入することによって、酸素の含有量の少ないアルミニウムの酸窒化物膜を比較的容易に形成することができる。さらに、上記のAlxy(ただし、0<x<1、0<y<0.6、x+y=1)の組成式で表わされる酸化状態の比較的低い酸化アルミニウムからなるターゲットを用いる代わりに酸素の含有量の少ないアルミニウムの酸窒化物膜からなるターゲットを用いた場合にも同様の効果が得られる。
また、成膜炉内の真空度および/または成膜温度などの成膜条件を変化させることによっても、酸窒化物膜における酸素の含有量を変化させることができるために酸窒化物膜の組成を変化させることができる。
また、成膜炉の内壁を酸化させる、または、成膜炉の内壁に酸化アルミニウムを形成した後、成膜炉内にアルゴンガスと窒素ガスとを導入し、Alからなるターゲット(Alターゲット)を用いてスパッタ法などにより成膜すると、成膜炉の内壁の酸素がプラズマにより離脱するため、アルミニウムの酸窒化物膜を形成することが可能である。
上記の成膜炉の内壁を酸化させる、または、成膜炉の内壁に酸化アルミニウムを形成する工程は、一連の成膜工程を終えた直後で試料が成膜炉内にある状態であっても、シャッタを閉じるなどして試料に膜などが付着しないようにしておけば、試料を取り出すことなく、連続して行なうことができる。この場合、次の試料を成膜する直前には、既に成膜炉の内壁が酸化、または、成膜炉の内壁に酸化アルミニウムが形成されているので、上記の工程を行なう必要はない。酸化または酸化アルミニウムを形成する内壁は、成膜炉内で膜などが付着する範囲を覆っていれば十分であり、必ずしも成膜炉内全域の内壁に対して行なう必要はない。
また、上記においては、リッジストライプ型の窒化物半導体レーザ素子を例にして説明したが、本発明の本旨は窒化物半導体の内部で発生した光を、窒化物半導体から外部に取り出す際の光取り出し面に施すコート膜に関する。したがって、本発明は、リッジストライプ型の窒化物半導体レーザ素子に限定されず、たとえば、面発光レーザの光取り出し面のコート膜および窒化物半導体発光ダイオード素子の光取り出し面(窒化物半導体表面またはチップへの分割の際の劈開面若しくは分割された側面)のコート膜等にも有効に適用することができる。
さらに、本発明は、窒化物半導体レーザ素子において、端面に窓構造(たとえば、GaAs系の半導体レーザ素子で用いられているような活性層の端面付近の組成を平均化することによってその付近のバンドギャップを大きくしてCODレベルを向上させる構造)を形成した場合でも、その端面に本発明におけるコート膜を形成することは有効であると考えられる。
(実施の形態1)
図1に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の好ましい一例の模式的な断面図を示す。ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子10は、n型GaN基板11上に、n型AlGaInNバッファ層21、n型AlGaInNクラッド層22、n型AlGa
InNガイド層23、AlGaInN多重量子井戸活性層24、p型AlGaInNガイド層25、p型AlGaInNクラッド層26およびp型AlGaInNコンタクト層27がn型GaN基板11側からこの順序で積層された構成を有している。なお、上記の各層の混晶比は適宜調節されるものであり、本発明の本質とは関係がない。また、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子から発振されるレーザ光の波長はAlGaInN多重量子井戸活性層24の混晶比によって、たとえば370nm〜470nmの範囲で適宜調節することができる。本実施の形態においては、405nmの波長のレーザ光が発振するように調節された。また、AlGaInN多重量子井戸活性層24には、AsまたはPなどの5族元素の少なくとも1種が0.01原子%以上10原子%程度含まれていてもよい。
なお、本実施の形態においては、基板の材料にGaNを用いているが、本発明においては、基板の材料にたとえばAlGaNまたはAlNを用いてもよい。
また、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子10は、p型AlGaInNクラッド層26およびp型AlGaInNコンタクト層27の一部が除去されて、ストライプ状のリッジストライプ部13が共振器長方向に延伸するように形成されている。ここで、リッジストライプ部13のストライプの幅は、たとえば1.2〜2.4μm程度であり、代表的には1.5μm程度である。また、p型AlGaInNコンタクト層27の表面にはp電極14が設けられ、p電極14の下部にはリッジストライプ部13を除いて絶縁膜12が設けられている。また、n型GaN基板11の上記の層の積層側と反対側の表面にはn電極15が形成されている。
図2に、図1に示す本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の共振器長方向の模式的な側面図を示す。ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子10の光反射側の共振器端面17および光出射部である光出射側の共振器端面16はそれぞれ、上記のn型GaN基板上にn型AlGaInNバッファ層などの上記の半導体層を順次積層し、リッジストライプ部を形成した後に、絶縁膜、p電極およびn電極をそれぞれ形成したウエハをダイヤモンドポイントによるスクライブおよびブレークの手法により劈開することによって形成される。この劈開による劈開面が図2に示す互いに平行な共振器端面16および共振器端面17となる。
そして、光出射側の共振器端面16には厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜31が形成され、アルミニウムの酸窒化物膜31上に厚さ76nmの酸化アルミニウム膜32が形成されて、反射率が5%とされている。また、光反射側の共振器端面17には厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜33が形成され、アルミニウムの酸窒化物膜33上には厚さ80nmの酸化アルミニウム膜34が形成され、酸化アルミニウム膜34上には厚さ71nmの酸化シリコン膜と厚さ46nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ142nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜35が形成されている。
上記のアルミニウムの酸窒化物膜31、酸化アルミニウム膜32、アルミニウムの酸窒化物膜33、酸化アルミニウム膜34および高反射膜35はそれぞれ、たとえば以下に説明するECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法により形成することができるが、他の各種スパッタリング法、またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法
などにより形成することもできる。
図3に、ECRスパッタリング装置の模式的な構成図を示す。ここで、ECRスパッタリング装置40は、大きく分けて、成膜炉50とプラズマ生成室60とから構成されている。成膜炉50にはガス導入口51およびガス排気口56が設置されており、成膜炉50内にはターゲット52、加熱用ヒータ53、試料台54およびシャッタ55が設置されている。また、試料台54上には上記劈開後の試料66が設置されており、試料66は共振器端面16または共振器端面17に成膜を行なうことができる向きでホルダ(図示せず)に取り付けられている。また、ガス排気口56には真空ポンプ(図示せず)が取り付けら
れており、ここから成膜炉50内のガスを排気することができる。また、ターゲット52にはRF電源57が接続されている。
また、プラズマ生成室60にはガス導入口61およびマイクロ波導入口62が設置されており、プラズマ生成室60内にはマイクロ波導入窓63および磁気コイル64が設置されている。そして、マイクロ波導入口62から導入されたマイクロ波65がマイクロ波導入窓63を経て導入されることにより、ガス導入口61から導入されたガスからプラズマが生成される。
このような構成のECRスパッタリング装置40を用いて、まず、図2に示す光出射側の共振器端面16に厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜31を形成し、引き続き、アルミニウムの酸窒化物膜31上に厚さ76nmの酸化アルミニウム膜32を形成する。
具体的には、まず、成膜炉50内に窒素ガスを5.5sccmの流量で導入し、酸素ガスを1.0sccmの流量で導入し、さらに、プラズマを効率よく発生させて成膜速度を大きくするためにアルゴンガスを20.0sccmの流量で導入する。次に、Alのターゲット52をスパッタリングするためにターゲット52にRFパワーを500W印加し、、プラズマの生成に必要なマイクロ波パワーを500W印加したところ、成膜レートが1.7Å/秒で、波長633nmの光の屈折率が2.0であるアルミニウムの酸窒化物膜31を形成する。アルミニウムの酸窒化物膜31を構成するアルミニウム、窒素および酸素の含有量(原子%)はたとえばAES(Auger Electron Spectroscopy)によって測定することができる。また、アルミニウムの酸窒化物膜31を構成する酸素の含有量は、TEM−EDX(Transmission Electron Microscopy-Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)によっても測定することができる。
図4に、上記と同一の条件で別途作製したアルミニウムの酸窒化物膜をAESにより厚さ方向に組成の分析をした結果を示す。ここで、AESによるアルミニウムの含有量、酸素の含有量および窒素の含有量はそれぞれ、AES信号強度をもとに、各元素のピークの感度を考慮して求めた。ここでは、アルミニウムの原子%と酸素の原子%と窒素の原子%との合計が100原子%となるようにし、アルミニウム、酸素および窒素以外のアルゴンなどの他の微量に含まれる元素は除いている。
図4に示すように、このアルミニウムの酸窒化物膜を構成するアルミニウムの含有量は35原子%、酸素の含有量は3原子%および窒素の含有量は62原子%で厚さ方向にほぼ均一な組成であることがわかる。なお、図4には示していないが、極微量のアルゴンが検出された。
なお、アルミニウムの酸窒化物膜31を形成する前に成膜装置内において共振器端面16をたとえば100℃以上500℃以下の温度で加熱することによって、共振器端面16に付着している酸化膜や不純物などを除去してクリーニングすることが好ましいが、本発明においては特に行なわなくてもよい。また、アルミニウムの酸窒化物膜31を形成する前の共振器端面16にたとえばアルゴンまたは窒素のプラズマを照射することで共振器端面16のクリーニングを行なってもよいが、本発明においては特に行なわなくてもよい。また、アルミニウムの酸窒化物膜31を形成する前の共振器端面16を加熱しながらプラズマ照射することも可能である。また、上記のプラズマの照射に関しては、たとえば、アルゴンのプラズマを照射した後に続けて窒素のプラズマを照射することも可能であり、その逆の順番でプラズマを照射してもよい。アルゴンと窒素以外にも、たとえば、ヘリウム、ネオン、キセノンまたはクリプトンなどの希ガスを用いることもできる。また、共振器端面16に形成されるアルミニウムの酸窒化物膜31の形成についてもたとえば100℃以上500℃以下の温度で加熱した状態で行なうことが好ましいが、本発明においては特に加熱をしない状態でアルミニウムの酸窒化物膜31を形成してもよい。
上記のようにしてアルミニウムの酸窒化物膜31を6nmの厚さで形成した後には、成膜炉50内に導入するアルゴンガスの流量を40.0sccmに、酸素ガスの流量を6.8sccmにそれぞれ変更し、窒素ガスの導入を停止することにより、アルミニウムの酸窒化物膜31上に76nmの厚さで酸化アルミニウム膜32を形成する。ここで、上記のRFパワーおよびマイクロ波パワーはいずれも500Wのまま変更していない。
なお、アルミニウムの酸窒化物膜31上に形成される酸化物膜としては、酸化アルミニウム膜32以外にも酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜または酸化イットリウム膜などの酸化物膜を形成してもよい。また、本発明において、アルミニウムの酸窒化物膜31などの酸窒化物膜上に形成される酸化物膜は酸窒化物膜の形成方法とは異なる方法で形成してもよく、たとえば、本実施の形態のようにアルミニウムの酸窒化物膜31をECRスパッタリング法で形成し、酸化アルミニウム膜32をEB(Electron Beam)蒸着法などにより形成してもよい
図5に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に形成されたアルミニウムの酸窒化物膜と酸化アルミニウム膜との積層体からなるコート膜をAESにより厚さ方向に組成の分析をした結果を示す。ここで、アルミニウムの酸窒化物膜の厚さが6nmと非常に薄いために、酸化アルミニウム膜の酸素に隠れてアルミニウムの酸窒化物膜の酸素の含有量はAESだけではわからないが、TEM−EDXによりアルミニウムの酸窒化物膜の酸素の含有量を求めることができる。
そして、上記のアルミニウムの酸窒化物膜31および酸化アルミニウム膜32の形成後は、上記のECRスパッタリング法などにより光反射側の共振器端面17にアルミニウムの酸窒化物膜33、酸化アルミニウム膜34および高反射膜35をこの順序で形成する。また、これらの膜の形成前にも加熱によるクリーニングおよび/またはプラズマ照射によるクリーニングを行なうことが好ましい。
ただし、共振器端面の劣化が問題となるのは光密度の大きい光出射側であり、光反射側の共振器端面は光出射側に比べて光密度が小さいため、劣化が問題とならない場合が多い。したがって、本発明においては光出射側の共振器端面に酸窒化物膜と酸化物膜とからなるコート膜が形成されていればよく、光反射側の共振器端面にはアルミニウムの酸窒化物膜などの膜は設けなくてもよい。
また、本実施の形態においては、光反射側の共振器端面16には厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜31が形成されているが、アルミニウムの酸窒化物膜31の厚さはたとえば50nmと厚くしても問題はない。
また、共振器端面に上記の膜を形成した後には加熱処理を行なってもよい。これにより、上記の膜に含まれる水分の除去や加熱処理による膜質の向上を期待することができる。
以上のようにして、上記の試料の光出射側の共振器端面16にアルミニウムの酸窒化物膜31および酸化アルミニウム膜32を順次形成し、光反射側の共振器端面17にアルミニウムの酸窒化物膜33、酸化アルミニウム膜34および高反射膜35を順次形成した後にチップ状に分割することによって、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子が得られる。
このようにして得られた本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子について70℃の温度
環境下で光出力が100mWのレーザ光を連続発振してエージング試験を行なった。その結果を図6に示す。図6に示すように、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、130時間が経過しても、エージング試験を行なった20個の窒化物半導体レーザ素子すべてがレーザ光の発振を停止することなく駆動している。同様のエージング試験を行なった従来の窒化物半導体レーザ素子の結果(図9参照)と比較すれば明らかなように、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、従来の窒化物半導体レーザ素子と比べて信頼性が向上していることがわかる。
AlN膜に期待される非発光再結合準位の低減効果は酸素が存在しないことによるものであるから、本来であれば、酸素を含むアルミニウムの酸窒化物膜を用いた方がAlN膜を用いた場合と比べて、窒化物半導体レーザ素子の信頼性が低いように考えられる。しかしながら、予想に反して、酸窒化物膜を用いた方が窒化物半導体レーザ素子の信頼性が向上するのは、AlN膜と酸化アルミニウム膜との組み合わせに比べて、アルミニウムの酸窒化物膜と酸化アルミニウム膜との組み合わせの方が界面の状態が良好であるためではないかと考えられる。つまり、アルミニウムの酸窒化物膜と酸化アルミニウム膜の双方に酸素が含まれていることで、たとえば密着性が良好になった、といったようなことが窒化物半導体レーザ素子の信頼性の向上につながったのではないかと考えられる。また、酸窒化物膜の中でもアルミニウムの酸窒化物膜は熱伝導率が高いので、このことが信頼性の向上をもたらしたとも考えられる。
(実施の形態2)
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の共振器端面に形成されるコート膜の構成を変更したこと以外は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の共振器端面に厚さ20nmのアルミニウムの酸窒化物膜を形成し、反射率を5%に設定するために、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ69nmの酸化アルミニウム膜を形成した。なお、アルミニウムの酸窒化物膜および酸化アルミニウム膜の形成方法および形成条件は実施の形態1と同様にしており、アルミニウムの酸窒化物膜中のアルミニウムの含有量は35原子%、酸素の含有量は3原子%、窒素の含有量は62原子%である。
図7に、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に形成されたアルミニウムの酸窒化物膜と酸化アルミニウム膜の積層体からなるコート膜について厚さ方向にAES分析をした結果を示す。ここでも酸化アルミニウム膜の酸素に隠れてアルミニウムの酸窒化物膜の酸素の含有量はAESだけではわからないが、TEM−EDXによりアルミニウムの酸窒化物膜の酸素の含有量を求めている。
また、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子について、実施の形態1と同様にしてエージング試験を行なったところ、実施の形態1と同様に130時間が経過しても、エージング試験を行なった20個の窒化物半導体レーザ素子すべてがレーザ光の発振を停止することなく駆動していることが確認された。したがって、光出射側の共振器端面のコート膜中のアルミニウムの酸窒化物膜の厚さが6nm以上20nm以下である場合に少なくとも本発明の効果が確認できた。
なお、光出射側の共振器端面のコート膜中のアルミニウムの酸窒化物膜の厚さが1nm以下である場合にはアルミニウムの酸窒化物膜の厚さの制御が困難であり、部分的に膜が形成されないこともあるので望ましくない。一方、光出射側の共振器端面のコート膜中のアルミニウムの酸窒化物膜の厚さが厚くなった場合には応力が問題となる可能性はあるが、厚いことで本発明の効果が損なわれることは無いと考えられる。
たとえば、アルミニウムの酸窒化物膜とその上の酸化アルミニウム膜の厚さとをそれぞれ20nm、150nmとすることで反射率を5%にすることができる。アルミニウムの酸窒化物膜の厚さと酸化アルミニウム膜の厚さとを調節することによって反射率を変えることができ、たとえば、アルミニウムの酸窒化物膜とその上の酸化アルミニウム膜の厚さをそれぞれ20nm、270nm、あるいは50nm、210nmとすることで反射率を6%にすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の共振器端面に形成されるコート膜の構成を変更したこと以外は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、成膜炉に導入される酸素ガスの流量を1.5sccmとしたこと以外は実施の形態1と同様にして、実施の形態1は酸素の含有量を変化させた厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜を形成し、その後、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に実施の形態1と同様にして厚さ76nmの酸化アルミニウム膜を形成した。
図8に、上記と同一の条件で別途作製したアルミニウムの酸窒化物膜について厚さ方向にAES分析をした結果を示す。図8に示すように、このアルミニウムの酸窒化物膜中のアルミニウムの含有量は33原子%、酸素の含有量は11原子%、窒素の含有量は56原子%で、厚さ方向にほぼ均一となっている。
また、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子についても、実施の形態1と同様にしてエージング試験を行なったところ、実施の形態1と同様に130時間が経過しても、エージング試験を行なった20個の窒化物半導体レーザ素子すべてがレーザ光の発振を停止することなく駆動していることが確認された。したがって、光出射側の共振器端面のコート膜中のアルミニウムの酸窒化物膜中の酸素の含有量が3原子%以上11原子%以下である場合に本発明の効果が確認できた。
なお、光出射側の共振器端面に形成されたコート膜を構成するアルミニウムの酸窒化物膜中の酸素の含有量は1原子%以上であることが好ましい。酸素の含有量が1原子%未満である場合には酸素の含有効果が得られないおそれがあるためである。また、光出射側の共振器端面に形成されたコート膜を構成するアルミニウムの酸窒化物膜中の酸素の含有量は50原子%以下であることが好ましい。酸素の含有量が50原子%よりも多い場合には非発光再結合準位が発生するおそれがあるためである。
以上から、本発明において、光出射側の共振器端面に形成されたコート膜を構成するアルミニウムの酸窒化物膜中の酸素の含有量は1原子%以上50原子%以下であることが好ましい。また、光出射側の共振器端面に形成されたコート膜を構成するアルミニウムの酸窒化物膜中の酸素の含有量は酸素の含有効果を発揮させるためには2原子%以上であることがより好ましい。また、光出射側の共振器端面に形成されたコート膜を構成するアルミニウムの酸窒化物膜中の酸素の含有量は、非発光再結合準位の発生を抑制する観点から、35原子%以下であることがより好ましく、15原子%以下であることがさらに好ましい。
(実施の形態4)
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、460nmの波長のレーザ光が発振するように調節されたこと、リッジストライプ幅が20μmであること、ならびに光出射側の共振器端面に形成されるコート膜の構成および光反射側の共振器端面に形成される膜の構成を変更したこと以外は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。なお、発振されるレーザ光の波長は、AlGaInN多重量子井戸活性層のAlGaInNの混晶比を変更することで調節している。
ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の共振器端面に厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜を形成し、そのアルミニウムの酸窒化物膜上に厚さ83nmの酸化アルミニウム膜を形成して反射率を5%程度に調節している。また、光反射側の共振器端面には光出射側の共振器端面のコート膜と同一の条件で厚さ6nmのアルミニウムの酸窒化物膜が形成され、そのアルミニウムの酸窒化物膜上には、厚さ80nmの酸化アルミニウム膜、さらに、厚さ81nmの酸化シリコン膜と厚さ54nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ162nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜がこの順序で形成されている。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子についても、実施の形態1と同様にしてエージング試験を行なったところ、実施の形態1と同様に130時間が経過しても、エージング
試験を行なった20個の窒化物半導体レーザ素子すべてがレーザ光の発振を停止することなく駆動していることが確認された。
460nmの波長のレーザ光が発振する本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、照明デバイスの励起光源として用いることができる。また、本発明は、リッジストライプ部のストライプの幅に関しては2μm以上100μm以下、発振するレーザ光の波長に関しては370μm以上470μm以下である窒化物半導体レーザ素子に対して好適に適用することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の共振器端面に形成されるコート膜の構成および光反射側の共振器端面に形成される膜の構成を変更したこと以外は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の共振器端面に厚さ6nmのシリコンの酸窒化物膜を形成し、そのシリコンの酸窒化物膜上に厚さ77nmの酸化アルミニウム膜を形成した。また、光反射側の共振器端面には光出射側の共振器端面のコート膜と同一の条件で厚さ6nmのシリコンの酸窒化物膜が形成され、そのシリコンの酸窒化物膜上には、厚さ81nmの酸化シリコン膜と厚さ54nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ162nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
なお、光出射側および光反射側の共振器端面のシリコンの酸窒化物膜中のそれぞれのシリコンの含有量は34原子%、酸素の含有量は3原子%、窒素の含有量は63原子%である。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子についても、実施の形態1と同様にしてエージング試験を行なったところ、130時間の経過時点において、エージング試験を行なった窒化物半導体レーザ素子のうち95%の窒化物半導体レーザ素子がレーザ光の発振を停止することなく駆動していることが確認された。
(実施の形態6)
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子は、光出射側の共振器端面に形成されるコート膜の構成および光反射側の共振器端面に形成される膜の構成を変更したこと以外は、実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子と同様の構成を有している。
ここで、本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子においては、光出射側の共振器端面に厚さ3nmのシリコンの酸窒化物膜を形成し、そのシリコンの酸窒化物膜上に厚さ67nmの酸化シリコン膜を形成した。また、光反射側の共振器端面には光出射側の共振器端面のコート膜と同一の条件で厚さ6nmのシリコンの酸窒化物膜が形成され、そのシリコンの酸窒化物膜上には、厚さ81nmの酸化シリコン膜と厚さ54nmの酸化チタン膜とを1ペアとして4ペア積層(酸化シリコン膜から積層開始)した後に最表面に厚さ162nmの酸化シリコン膜が積層された高反射膜が形成されている。
なお、光出射側および光反射側の共振器端面のシリコンの酸窒化物膜中のそれぞれのシリコンの含有量は34原子%、酸素の含有量は3原子%、窒素の含有量は63原子%である。
本実施の形態の窒化物半導体レーザ素子についても、実施の形態1と同様にしてエージング試験を行なったところ、130時間の経過時点において、エージング試験を行なった
窒化物半導体レーザ素子のうち93%の窒化物半導体レーザ素子がレーザ光の発振を停止することなく駆動していることが確認された。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、たとえば、紫外から緑色領域の波長の光を発振する窒化物半導体レーザ素子、高出力用途に用いられるストライプ幅が数十μmのブロードエリア型の窒化物半導体レーザ素子、または紫外から赤色領域の波長の光を発振する窒化物半導体発光ダイオード素子などに利用することができる。
本発明の実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子の好ましい一例の模式的な断面図である。 図1に示す本発明の実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子の共振器長方向の模式的な側面図である。 ECRスパッタリング装置の模式的な構成図である。 本発明の実施の形態1と同一の条件で別途作製したアルミニウムの酸窒化物膜をAESにより厚さ方向に組成の分析をした結果を示す図である。 本発明の実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に形成されたアルミニウムの酸窒化物膜と酸化アルミニウム膜との積層体からなるコート膜をAESにより厚さ方向に組成の分析をした結果を示す図である。 本発明の実施の形態1の窒化物半導体レーザ素子についてエージング試験を行なった結果を示す図である。 本発明の実施の形態2の窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に形成されたアルミニウムの酸窒化物膜と酸化アルミニウム膜の積層体からなるコート膜について厚さ方向にAES分析をした結果を示す図である。 本発明の実施の形態3の窒化物半導体レーザ素子の光出射側の共振器端面に形成されたアルミニウムの酸窒化物膜と同一の条件で別途作製したアルミニウムの酸窒化物膜について厚さ方向にAES分析をした結果を示す図である。 従来の窒化物半導体レーザ素子についてエージング試験を行なった結果を示す図である。
符号の説明
10 窒化物半導体レーザ素子、11 n型GaN基板、12 絶縁膜、13 リッジストライプ部、14 p電極、15 n電極、16,17 共振器端面、21 n型AlGaInNバッファ層、22 n型AlGaInNクラッド層、23 n型AlGaInNガイド層、24 AlGaInN多重量子井戸活性層、25 p型AlGaInNガイド層、26 p型AlGaInNクラッド層、27 p型AlGaInNコンタクト層、31,33 アルミニウムの酸窒化物膜、32,34 酸化アルミニウム膜、35 高反射膜、40 ECRスパッタリング装置、50 成膜炉、51,61 ガス導入口、52
ターゲット、53 加熱用ヒータ、54 試料台、55 シャッタ、56 ガス排気口、57 RF電源、60 プラズマ生成室、62 マイクロ波導入口、63 マイクロ波導入窓、64 磁気コイル、65 マイクロ波、66 試料。

Claims (7)

  1. 光出射部にコート膜が形成されている窒化物半導体発光素子であって、前記光出射部は窒化物半導体からなり、前記光出射部に接するコート膜が前記光出射部側の酸窒化物膜と前記酸窒化物膜上の酸化物膜とからなることを特徴とする、窒化物半導体発光素子。
  2. 前記窒化物半導体発光素子は窒化物半導体レーザ素子であって、前記光出射部は共振器端面であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記酸窒化物膜は、アルミニウムの酸窒化物膜またはシリコンの酸窒化物膜であることを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記酸化物膜は、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化チタン膜、酸化ハフニウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ニオブ膜、酸化タンタル膜または酸化イットリウム膜であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 共振器端面にコート膜が形成されている窒化物半導体レーザ素子を製造する方法であって、劈開により前記共振器端面を形成する工程と、前記共振器端面に前記共振器端面側の酸窒化物膜と前記酸窒化物膜上の酸化物膜とからなるコート膜を形成する工程と、を含む、窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  6. 前記酸窒化物膜は、ターゲットに酸化アルミニウムを用いて作製されたことを特徴とする請求項5に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  7. 前記コート膜は、成膜炉内の少なくとも一部が酸化された状態で形成されることを特徴とする請求項5または6に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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