JP2007173581A - 窒化物半導体レーザ素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーティング膜を形成する前に、汚染物などを除去するために共振器端面をプラズマ雰囲気に暴露しても、初期CODレベルを高いものとすることができる窒化物半導体レーザ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】窒化物半導体層20を形成したn型GaN基板21を劈開して共振器端面17a、17bを形成し、その上にコーティング膜18、19をそれぞれ形成して窒化物半導体レーザバー10とし、これを分割して窒化物半導体レーザ素子を作製する。コーティング膜18、19を形成する前に、共振器端面17a、17bをヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する。
【選択図】図3

Description

本発明は、窒化物半導体層を備えた半導体レーザ素子の製造方法に関する。
近年、半導体レーザやLED(発光ダイオード)等の短波長の発光素子材料として窒化物系(GaN系)半導体材料の研究、開発が行われている。このうち、窒化物半導体レーザはInGaNを活性層とする構造で、すでに実用化されているが、光ディスク装置の書き込み、書き換え用途としては未だ出力が不足している。さらに、光ディスクの書き込み、書き換えの高速化に伴って窒化物半導体レーザの高出力化に関する要望は強く、今後窒化物半導体レーザの高出力化技術はいっそう重要となる。
窒化物半導体レーザの高出力化のためには、共振器端面の強度の向上による信頼性の向上が不可欠である。窒化物半導体レーザに、例えば100mWを超えるような高出力でエージングを実施した場合、共振器端面が急速に劣化し、その信頼性は著しく低いものとなるからである。
100mW以下の低出力の窒化物半導体レーザにおいて、共振器端面の強度の向上により信頼性を向上させるための共振器端面の形成方法の検討および端面コーティング方法の検討はこれまでに数多く行われている。
例えば、特許文献1には、誘電体からなるコーティング膜を形成する前に、半導体レーザに対して加熱処理および劈開によって形成された共振器端面のアルゴン(Ar)プラズマ雰囲気への曝露を行うことにより、共振器端面の平坦性を向上させ、共振器端面とその上に形成されるコーティング膜の密着性を向上させ、共振器端面の劣化を抑制する半導体レーザの製造方法が提案されている。
特開2002‐335053号公報(第13頁‐第15頁、図6、図9)
しかし、これまでに100mWを超えるような高出力においても共振器端面の劣化の抑制により信頼性を飛躍的に向上させる方法は明らかとなっていない。また、特許文献1で提案された方法を用いても、出力が100mWを超えるような高出力動作を行った場合には共振器端面の劣化を抑制できず、信頼性は十分とはいえない。
発明者は、共振器端面のArプラズマ雰囲気への曝露の効果を検証するため、Arプラズマ雰囲気に曝露した共振器端面および曝露していない共振器端面について元素分析を行った。Arプラズマ雰囲気への曝露は、室温において、5分間、RF出力500Wで行った。
その結果、Arプラズマ雰囲気に曝露した場合、共振器端面から検出された炭素(C)および酸素(O)原子の量が、曝露していない場合と比べて大幅に少ないことが分かった。C、Oは劈開によって共振器端面を形成した後、コーティング膜を形成するまでの間に付着した自然酸化膜、水分、汚染物などであると考えられる。また、Arプラズマ雰囲気への曝露に代えて、共振器端面に加熱処理を行った場合にも同様の結果が得られた。
これらのことから、特許文献1で提案された方法のように共振器端面をArプラズマ雰囲気に曝露することにより、共振器端面の不純物であるC、Oを除去することができ、共振器端面とコーティング膜との密着性が向上し、共振器端面の劣化が抑制され、半導体レーザの信頼性が向上することが期待される。
しかし、Arプラズマ雰囲気への曝露を行うと、このような共振器端面からのC、Oの除去が行えるものの、同時に共振器端面に、以下に説明するような損傷を与えていると考えられることも分かった。
上述のArプラズマ雰囲気への曝露を行いコーティング膜を形成した窒化物半導体レーザ素子と、プラズマ雰囲気への曝露を行わずにコーティング膜を形成した窒化物半導体レーザ素子とを作製し、これらの素子のエージング前後のCODレベルを測定した結果を図6に示す。エージング条件は、雰囲気温度70℃、出力60mWのAPC(Automatic Power Control;定出力制御)駆動である。図6は、横軸をエージング時間、縦軸をCODレベルとし、これらの素子のCODレベルをプロットしたものである。ここで、CODレベルとは、COD(Catastrophe Optical Damage;瞬時光学損傷)が発生する臨界出力である。また、CODレベルの測定条件は幅50nsec、デューティ50%、室温におけるパルス測定である。
図6から、エージング前のCODレベル、すなわち初期CODレベルは、Arプラズマ雰囲気への曝露を行っていない窒化物半導体レーザ素子の方が高いことが分かる。これは、Arプラズマ雰囲気への曝露が共振器端面に損傷を与えたためと考えられる。
エージング後のCODレベルは、Arプラズマ雰囲気への曝露を行わなかった半導体レーザ素子においてエージング前に比べて著しく低下している。一方、Arプラズマ雰囲気への曝露を行った半導体レーザ素子では、エージング前に比べて低下していたものの、Arプラズマ雰囲気への曝露を行わなかった半導体レーザ素子よりも高いことが分かる。この結果は、Arプラズマ雰囲気への曝露を行うことで、エージングによるCODレベルの劣化を抑制できることを示している。
このように、共振器端面をArプラズマ雰囲気に曝露することにより、CODレベルの経時劣化は抑制できるという利点はあるものの、初期CODレベルが低下してしまうという問題点も有している。初期CODレベルの低下は窒化物半導体レーザ素子の高出力化を実現するためには深刻な問題となる。例えば、図6に示す特性を有する半導体レーザ素子の場合、Arプラズマ雰囲気への曝露を行ったものは、初期CODレベルが200mWであるため、それ以上の高出力化は望めない。
以上から、高出力での駆動が可能であり、かつ共振器端面の劣化を抑制することにより長期間の安定した駆動が可能である、信頼性の高い窒化物半導体レーザ素子を作製するためには、初期CODレベルを高くし、かつエージングによるCODレベルの経時劣化を抑制する必要がある。
そこで、本発明は、共振器端面に形成された自然酸化膜などの不純物を除去し、共振器端面の劣化を抑制して信頼性を向上させるとともに、共振器端面の損傷を低減することで初期CODレベルも向上させることのできる窒化物半導体レーザ素子の製造方法を提供することを目的とする。
なお、Arプラズマ雰囲気への曝露が共振器端面に損傷を与えていると考えられることは上述の通りであるが、具体的にどのような損傷かはこれまでほとんど知られていなかった。発明者が鋭意研究を行ったところ、この損傷が、Arプラズマ雰囲気への曝露により窒化物半導体からなる共振器端面において窒素(N)の量が減少することであることが分かった。以下にこの詳細を述べる。
上述のArプラズマ雰囲気への曝露を行った窒化物半導体レーザ素子およびプラズマ雰囲気への曝露を行っていない窒化物半導体レーザ素子について、共振器端面の表面から内部に向かってスパッタエッチングしながらAES(Auger Electron Spectroscopy;オージェ電子分光分析)測定によってGaとNの原子数の割合(原子数比)の測定を行った。測定はGaNが表面に現れている領域において行った。図7はこの測定の結果を示すグラフであり、縦軸がガリウム(Ga)に対するNの割合(原子数比)、横軸がスパッタエッチング時間である。図7ではスパッタエッチング時間が長くなるほど深い部分を示し、1分間のスパッタエッチングは約3nmの深さに相当する。図7から、最表面(図中横軸0の位置)において、Arプラズマ雰囲気への曝露によってGaに対するNの割合つまりNの量が減少していることが分かる。
これは、窒化物半導体からなる共振器端面をArプラズマ雰囲気に曝露したことによって、ArプラズマのエネルギーによりNが表面から離脱したものと考えられる。Nが離脱すると、欠陥準位を形成する空孔が生じ、非発光センターが増加して非発光再結合の確率が増加し、それに伴って発熱が増加するので、Arプラズマ雰囲気への曝露によって初期CODレベルが低下したものと考えられる。
また、特許文献1では、コーティング膜の形成前に共振器端面に付着している水分や汚染物を除去するために、加熱処理を併せて行うのが好ましいとされている。このように、端面コーティング前の表面クリーニングを目的とした加熱処理は一般的に行われているが、加熱処理によっても、Arプラズマ雰囲気への曝露と同様に、Nの離脱および初期CODレベルの低下が生じることが同様の測定により判明している。
上記目的を達成するために本発明は、基板上に窒化物半導体層を形成する窒化物半導体層形成工程と、前記窒化物半導体層を形成した前記基板を劈開して互いに平行な2個の共振器端面を形成する劈開工程と、前記共振器端面にコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程とを備える窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記劈開工程と前記コーティング膜形成工程との間に、ヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露する曝露工程を有することを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程から前記コーティング膜形成工程が完了するまでの間、前記共振器端面を大気曝露しないことを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程において、前記窒化物半導体層を形成した基板が100℃以上800℃以下に加熱された状態であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程において、前記プラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露する時間が30秒以上20分以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程が、前記共振器端面をヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する第1の曝露工程と、前記第1の曝露工程の後で前記共振器端面を窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する第2の曝露工程とからなることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記第1の曝露工程および前記第2の曝露工程において、前記プラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露する時間がそれぞれ30秒以上20分以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記第2の曝露工程における窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気が、窒素プラズマのみからなることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記第2の曝露工程における窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気が、窒素プラズマおよび希ガスプラズマからなることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程におけるヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気が、ヘリウムプラズマのみからなることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程におけるヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気が、ヘリウムプラズマと、窒素プラズマおよびヘリウムプラズマ以外の希ガスプラズマの少なくとも1つからなることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記曝露工程におけるプラズマ雰囲気が、電子サイクロトロン共鳴によって生成されることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、電子サイクロトロン共鳴によって前記プラズマ雰囲気を生成するマイクロ波の出力が200W以上800W以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記コーティング膜の少なくとも一方が、アルミニウム、チタン、珪素、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウムもしくは亜鉛の酸化物、硼素、アルミニウムもしくは珪素の窒化物またはアルミニウムもしくは珪素の酸窒化物の少なくとも1つからなることを特徴とする。
本発明によると、曝露工程においてヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露することにより、共振器端面からの窒素の離脱を抑制しつつ、自然酸化膜、水分、汚染物などを除去することができる。したがって、本発明に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法によると、初期CODレベルが高く、使用によるCODレベルの経時劣化の小さい窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
また本発明によると、曝露工程からコーティング膜形成工程が完了するまでの間、共振器端面を大気曝露しないため、ヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露して自然酸化膜、水分、汚染物などを除去した共振器端面を大気中の酸素で酸化させたり、汚染物を付着させたりすることなく、コーティング膜を形成することができ、その後共振器端面に自然酸化膜等が付着することもないため、共振器端面が劣化しにくい、信頼性の高い窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
また本発明によると、前記窒化物半導体層を形成した基板が100℃以上800℃以下に加熱された状態でプラズマ雰囲気に曝露することにより、電極等を破壊することなく自然酸化膜、水分、汚染物などを容易に除去することができる。
また本発明によると、曝露工程において共振器端面をプラズマ雰囲気に暴露する時間を30秒以上20分以下とすることにより、共振器端面からの窒素の離脱を顕著なものとすることなく、自然酸化膜、水分、汚染物などを十分に除去することができる。
また本発明によると、曝露工程を、共振器端面をヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する第1の曝露工程と、共振器端面を窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する第2の曝露工程とからなるものとすることにより、第1の曝露工程では共振器端面でのNの離脱を抑制しつつ、自然酸化膜、水分、汚染物などを除去し、第2の曝露工程では共振器端面にNを補うことができるため、さらにNの離脱を抑制でき、初期CODレベルをより高いものとすることができる。
また本発明によると、ヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気を、ヘリウムプラズマと窒素プラズマを含むものとすることにより、Heプラズマにより、共振器端面でのNの離脱を抑制しつつ、自然酸化膜、水分、汚染物などを除去することができるため、窒化物半導体レーザ素子の初期CODレベルを高いものとし、かつCODレベルの経時劣化を抑制できる。それと同時に窒素プラズマに曝露することによってNを補うことができるため、さらにNの離脱を抑制でき、初期CODレベルをより高いものとすることができる。
また本発明によると、電子サイクロトロン共鳴によって前記プラズマ雰囲気を生成するマイクロ波の出力が200W以上800Wとすることにより、CODレベルの劣化を引き起こすことなく共振器端面の自然酸化膜、水分、汚染物などを除去することができる。
また本発明によると、コーティング膜の少なくとも一方を、窒化物半導体レーザの発振波長域において吸収係数が十分小さく、熱的に安定な、アルミニウム、チタン、珪素、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウムもしくは亜鉛の酸化物、硼素、アルミニウムもしくは珪素の窒化物またはアルミニウムもしくは珪素の酸窒化物の少なくとも1つからなるものとすることにより、窒化物半導体素子の耐久性を向上させることができる。
また本発明によると、
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態について図を用いて説明する。図1は第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザバーの部分斜視図、図2は窒化物半導体レーザバー中における窒化物半導体レーザ素子の部分斜視図、図3は窒化物半導体レーザバーの共振器長手方向に垂直な方向から見た側面図、図4はECRスパッタリング装置の概略構成図、図5は窒化物半導体レーザ装置の概略構成図である。
窒化物半導体レーザバー10は、図1および図2に示すように、窒化物半導体基板11側から順に、n型窒化ガリウム(GaN)層21、n型クラッド層22、n型光ガイド層23、活性層24、蒸発防止層25、p型光ガイド層26、p型クラッド層27、p型コンタクト層28からなる窒化物半導体成長層20が積層されている。窒化物半導体成長層20を構成する各層の混晶比、厚さなどは、それぞれ適当な値に調整されている。
半導体レーザバー10は、図1および図2に示すように、共振器の長手方向に延伸したリッジストライプ構造13が設けられる。リッジストライプ構造の深さは、p型コンタクト層28、p型クラッド層27の一部、あるいは、全部に渡って形成されるが、p型光ガイド層26、蒸発防止層25、活性層24にまでその深さが及ぶこともある。また、リッジストライプ構造の幅は、p型コンタクト層28の最上部において、1.2〜2.4μm程度、代表的には1.5μm程度であり、リッジストライプ構造の最底部において、1.4〜3.0μm程度、代表的には1.7μm程度である。
p型コンタクト層28に接してp型電極14が設けられ、p型電極14下部には、リッジストライプ構造13部分を除いて絶縁層として酸化シリコン(SiO2)からなる埋め込み層12が設けられている。このように、窒化物半導体レーザバー10は、いわゆるリッジストライプ構造を有している。さらに、窒化物半導体基板11の窒化物半導体成長層20が形成された面と反対側の面には、窒化物半導体基板11側から順にn型電極15およびn型メタライズ電極16が形成されている。
窒化物半導体レーザバー10は、窒化物半導体基板11にこれらの各層および電極が形成された窒化物半導体ウエハをダイヤモンドポイントによるスクライブおよびブレークの手法により劈開したものである。この劈開してできた面が、図3に示す互いに平行な共振器端面17a、17bである。図1および図2では、共振器端面17a、17bを区別せずに一方だけを共振器端面17として示しており、以下共振器端面17a、17bを区別しない場合は共振器端面17と記載している。
光出射側の共振器端面17aには、図3に示すように反射率が5%程度の低反射コーティング膜18が形成され、光反射側の共振器端面17bには、反射率が95%程度の高反射コーティング膜19が形成されている。
<ECRスパッタリング装置>
次に、コーティング膜18、19の形成に用いる装置について説明する。コーティング膜18、19の形成には、窒化物半導体レーザバー10のプラズマ雰囲気への曝露とコーティング膜の形成を連続して行うことができ、かつ真空機構を備えた装置、例えば図4に示すECR(Electron Cyclotron Resonance;電子サイクロトロン共鳴)スパッタリング装置40を用いる。
図4を用いてECRスパッタリング装置40の構成について説明する。ECRスパッタリング装置40は、大きく分けてプラズマ生成室41と成膜炉42とからなる。プラズマ生成室41は、ガス導入口41a、マイクロ波導入口41b、マイクロ波導入窓43、磁気コイル44を備え、マイクロ波が、マイクロ波導入口41bからマイクロ波導入窓43を経て導入されることにより、ガス導入口41aから導入されたガスからプラズマが生成される。また、成膜炉42は、ガス導入口42a、排気口42b、ターゲット45、加熱用ヒータ46、試料台47およびシャッタ48を備える。ガス導入口42aは、ガス導入口41aと同時に開閉し、ここから成膜炉42内にガスが導入される。試料台47は、試料としてホルダー(不図示)に取り付けられた窒化物半導体レーザバー10を、共振器端面17aにコーティング膜18が、または共振器端面17bにコーティング膜19が形成されるような向き、すなわちシャッタ48に対向するように載置する。排気口42bには真空ポンプ(不図示)が取り付けられており、ここから成膜炉42内部を排気することができる。ターゲット45にはRF(Radio‐Frequency;高周波)電源49が接続されている。
<炉内酸化>
ECRスパッタリング装置40での成膜はAlやSiなどのメタルからなるターゲット45をスパッタリングして、試料表面でプラズマ状態の酸素および窒素と反応させることで酸化物および窒化物を成膜するのが一般であるが、このとき、試料表面近傍以外の成膜炉42の内壁にはターゲット材のメタルが十分酸化しない状態で付着する。また、ターゲット45の表面も酸化せずメタルの状態で露出している。このような状態で、プラズマ雰囲気への暴露を行うとターゲット45や成膜炉42の内壁に付着したターゲット材のメタルがスパッタリングされ、試料表面に付着してしまうことがある。
試料に成膜する際にはターゲット45をスパッタリングするために、RF電源49によってターゲット45にRFを印加するが、プラズマ雰囲気への暴露時にはRFは印加しない。それにもかかわらずスパッタリングが起こるのは、RFを印加しなくともプラズマを発生させると、数V程度ではあるが必ず電位が自己生成されるからである。数V程度の自己形成電位であってもターゲット45に電位が生じると、微量ではあるが、ターゲット45はスパッタリングされる。また、場合によっては成膜炉42の内壁に付着したターゲット材のメタルもスパッタリングされる可能性がある。
Arガスあるいは、Heガス等の希ガスのみのプラズマを発生させた場合に、ターゲット材のAlやSiがスパッタリングされると、共振器端面17に、わずかではあるが、メタル層が形成されてしまう。メタルのAlやSiなどは窒化物半導体レーザの発振波長域の光を吸収するので、共振器端面17にこれらの層が存在すると顕著なCODレベルの低下を引き起こす。また、ArガスあるいはHeガス等の希ガスに窒素ガスを混合し、プラズマを発生させた場合には、メタル層ではなく窒化物層が形成されるが、このような窒化膜は応力が強いため、共振器端面17に成膜されると窒化物半導体レーザの特性に悪影響を与える。特に、このようにRFを印加せずに自然発生的に付着する膜は膜質が良くなく、窒化物といえども光吸収を生じる可能性もあり、共振器端面17にこのような意図しない膜が形成されることは防止しなければいけない。
以上のようなプラズマ雰囲気への暴露時の、ターゲット45のスパッタリングを防ぐためには、成膜炉42の内壁およびターゲット45の表面を事前に酸化しておくことが効果的である。ターゲット45の表面が酸化されていると自己生成電位は小さくなるのでスパッタリングされる量が少なくなる、さらにAlに比べて酸化したAl23はスパッタリングレートが著しく低下する上に、万一スパッタリングされたとしても試料に付着するのは酸化物であり、メタルと違って光吸収を引き起こさないので、CODレベルの低下を引き起こすことはない。
酸化の方法としては2つの手法がある。1つは、酸素のみからなるプラズマを成膜炉42の内部で発生させる手法である。これにより、成膜炉42の内壁およびターゲット45の表面のメタルは酸化される。もう1つは、ターゲット45からターゲット材が酸化物の状態でスパッタリングされるような流量の酸素ガスを流した上で、RFを印加する手法である。ターゲット45からターゲット材が酸化物の状態でスパッタリングされると、試料表面付近のみならず、成膜炉42の内壁全体を、メタルではなく酸化物で覆うことができる。このような酸素流量は、パワー一定のRFを印加しつつ、酸素ガスの流量を増加していった際に、ターゲット45の表面の電位をモニターすればよい。流量を増加させていくと、ある流量で電位が急激に小さくなる。これはターゲット45が十分酸化していることを意味するので、この流量以上の酸素ガスを流してRFを印加すると、ターゲット45からターゲット材が酸化物の状態でスパッタリングされ、ターゲット45の表面および成膜炉42の内壁は酸化物で覆われることになる。
これらの作業は、窒化物半導体レーザバー10を成膜炉42の内部に導入する前に行うか、導入した後であれば、シャッタ48を閉めた状態で行わないといけない。なお、ECRスパッタリング装置40が成膜炉42とは独立にプラズマ雰囲気への暴露を行う専用の処理室を有する場合は上記の炉内酸化は必ずしも必要ではない。
<プラズマ雰囲気への曝露>
次に、コーティング膜18の形成について説明する。コーティング膜18の形成に先だって、まず、成膜炉42の内部の試料台47に窒化物半導体レーザバー10を、共振器端面17aがシャッタ48に対向するように載置する。続いてプラズマ生成室41にガス導入口41aからガスを導入し、マイクロ波導入口41bからマイクロ波導入窓43を経てマイクロ波を導入して、プラズマ生成室41においてプラズマを発生させる。表1にガス導入口41aから導入するプラズマを生成するガスの流量、マイクロ波の出力、加熱用ヒータ46による窒化物半導体レーザバー10加熱温度の条件を示す。
プラズマ生成室41においてプラズマが発生した状態で窒化物半導体レーザバー10の直下のシャッタ48を所定の時間開くと、共振器端面17aはヘリウム(He)ガスのみから生成されたプラズマ雰囲気すなわちHeプラズマ雰囲気に曝露され、不純物であるC、Oが除去される。
<コーティング膜の形成>
プラズマ雰囲気への曝露の完了後、引き続いて共振器端面17aにコーティング膜18を形成する。プラズマ雰囲気への曝露とコーティング膜18の形成は、共振器端面17aの汚染を防ぐため、窒化物半導体レーザバー10を大気に曝露することなく連続して行うのが好ましい。第1の実施形態では、ECRスパッタリング装置40を用いてプラズマ雰囲気への曝露とコーティング膜18の形成を連続して行っている。
第1の実施形態では、光出射側の共振器端面17aにはコーティング膜18として、酸化アルミニウム(Al23)からなる膜を形成する。まず、Arガスを流量40sccm、酸素ガスを流量6〜7sccmでガス導入口41aからプラズマ生成室41に導入し、プラズマを発生させる。そして、ターゲット45にRF電圧を印加した後、シャッタ48を開くと、窒化物半導体レーザバー10の共振器端面17aにAl23からなるコーティング膜18が形成される。
シャッタ48を開いている時間は、コーティング膜18が所望の反射率が得られる厚さとなるように設定する。光出射側のコーティング膜は、低反射率となるように厚さを設定するのが普通であり、第1の実施形態では反射率が5%となるようにAl23の厚さを80nmとした。コーティング膜18の形成中に、膜の厚さをモニターするシステムが備えられている場合は、それに従ってシャッタ48の開閉を制御すればよい。
続いて、光反射側の共振器端面17bにコーティング膜19を形成する。光反射側の共振器端面17bのコーティング膜19は、95%程度の高反射率のものである。コーティング膜19を高反射率にするため、屈折率が異なる材料を交互に積層するのが一般的である。第1の実施形態では、コーティング膜19は、共振器端面17b上にまず、Al23を積層し、その上にSiO2および酸化チタン(TiO2)を交互に複数回積層してなるものとする。
まず、試料台47に載置した窒化物半導体レーザバー10を反転させ、光反射側の共振器端面17bがシャッタ48に対向するように載置する。なお、窒化物半導体レーザバー10を反転させる際、成膜炉42から一旦取り出しても問題ない。光反射側の共振器端面17bにおいても、光出射側の共振器端面17aで行ったのと同様のHeプラズマ雰囲気に曝露する。
プラズマ雰囲気に曝露した共振器端面17bに、Al23を積層し、その上にSiO2およびTiO2を交互に複数回積層して、コーティング膜19を形成する。コーティング膜19を構成する各層の厚さは、全体として所望の反射率となるように設定されている。
以上のようにして、低反射率のコーティング膜18および高反射率のコーティング膜19の形成を完了した窒化物半導体レーザバー10は、窒化物半導体レーザ素子に分割される。図5に示すように、分割された窒化物半導体レーザ素子39は、窒化アルミニウム(AlN)や炭化シリコン(SiC)などからなるサブマウント32上にマウントされ、サブマウント32ごとステム31にマウントされる。最後にステム31のサブマウント32がマウントされた面に配置されたピン33と配線34により接続され、キャップ36により大気封止され、窒化物半導体レーザ装置30が完成する。ステム31のサブマウント32がマウントされた面と反対側の面には2本のリード線35が設けられている。また、キャップ36には窒化物半導体レーザ素子39から出射されたレーザ光を外部に取り出せるように、ガラスからなる窓37が設けられている。
以上のようにして作製された窒化物半導体レーザ装置30で、曝露したプラズマ雰囲気が、実施例1として第1の実施形態に係るHeプラズマ雰囲気、比較例1として従来のArガスのみから生成されたものつまりArプラズマ雰囲気、および比較例2としてプラズマ雰囲気に曝露しなかったものについて、それぞれ初期状態と200時間のエージング後のCODレベルを測定した。その結果を表2に示す。エージング条件は、雰囲気温度70℃、出力60mWのAPC駆動であり、CODレベルの測定条件は幅50nsec、デューティ50%、室温のパルス測定である。
この結果、実施例1が比較例1および比較例2に比べて初期CODレベルがはるかに高いことが分かる。また、エージング後においても高いCODレベルを維持しており、経時劣化も抑制できていることが分かる。
次に、実施例1のHeプラズマ雰囲気に曝露した共振器端面と、比較例1のArプラズマ雰囲気に曝露した共振器端面について単位面積あたりの窒素(N)原子の量を、それぞれ劈開直後の共振器端面の単位面積あたりのN原子の量と比較した。N原子の量の測定はAESによって行った。
その結果、実施例1の共振器端面ではN原子の量は、劈開直後の共振器端面のN原子の量の95%であった。一方、比較例1の共振器端面ではN原子の量は、劈開直後の共振器端面のN原子の量の72%であった。したがって、共振器端面を曝露するプラズマ雰囲気は、Arプラズマ雰囲気よりもHeプラズマ雰囲気の方が共振器端面からのNの離脱を抑制する効果が高いことが分かる。
以上の結果から、共振器端面のNの量が多い、すなわち共振器端面からのNの離脱が少ない方が、初期CODレベルが高いことを示していると考えられる。
一方、劈開直後の共振器端面では、Nの離脱は生じていないものの付着したC、Oが除去できていないため、比較例2の共振器端面をプラズマ雰囲気に曝露していない場合、通電と同時に急速なCODレベルの低下を生じ、Heプラズマ雰囲気に共振器端面を曝露した場合と比べて初期CODレベルが低い値であるものと考えられる。
《第2の実施形態》
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、共振器端面を曝露するプラズマ雰囲気がHeプラズマと窒素プラズマの混合プラズマ雰囲気であることが異なる以外は、窒化物半導体レーザバー10、窒化物半導体レーザ装置30等の構成も含めて第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態は、劈開によって形成された共振器端面を曝露するプラズマ雰囲気を、Heプラズマと窒素プラズマの混合プラズマ雰囲気とした。Heプラズマに曝露することにより、共振器端面でのNの離脱を抑制しつつ、自然酸化膜、水分、汚染物などを除去することができるため、窒化物半導体レーザ素子の初期CODレベルを高いものとし、かつCODレベルの経時劣化を抑制できる。同時に、窒素プラズマに曝露することによってNを補うことができるため、さらにNの離脱を抑制でき、初期CODレベルをより高いものとすることができる。
第2の実施形態における、プラズマ雰囲気への窒化物半導体レーザバー10の共振器端面17の曝露の条件の例を実施例2として表3に示す。
表3の条件で共振器端面17aをプラズマ雰囲気に曝露した後、第1の実施形態と同様にコーティング膜18を形成し、続いて共振器端面17bを共振器端面17aと同様にプラズマ雰囲気に曝露した後、第1の実施形態と同様にコーティング膜19を形成した。その後、窒化物半導体レーザバー10を分割し、図5に示す窒化物半導体レーザ装置30を作製した。この窒化物半導体レーザ装置30について、初期状態と200時間のエージング後のCODレベルを測定した。その結果を表4に示す。エージング条件は、雰囲気温度70℃、出力60mWのAPC駆動であり、CODレベルの測定条件は幅50nsec、デューティ50%、室温のパルス測定である。
この結果から、プラズマ雰囲気をHeプラズマと窒素プラズマの混合プラズマ雰囲気とすることにより、表1で比較例1として示した共振器端面17の曝露したプラズマ雰囲気がArプラズマ雰囲気であった場合および比較例2として示した曝露していない場合と比べて、初期CODレベルがはるかに高いことが分かる。また、エージング後においても高いCODレベルを維持しており、経時劣化も抑制できていることが分かる。
《第3の実施形態》
次に本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、共振器端面のプラズマ雰囲気への曝露をまずHeプラズマを含むプラズマ雰囲気で行い、次に窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気で行う点が異なる以外は、窒化物半導体レーザバー10、窒化物半導体レーザ装置30等の構成も含めて第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態は、劈開によって形成された共振器端面のプラズマ雰囲気への曝露を、第1段階としてHeプラズマからなるプラズマ雰囲気、第2段階として窒素プラズマからなるプラズマ雰囲気で行う。Heプラズマに曝露することにより、共振器端面でのNの離脱を抑制しつつ、自然酸化膜、水分、汚染物などを除去することができるため、窒化物半導体レーザ素子の初期CODレベルを高いものとし、かつCODレベルの経時劣化を抑制できる。続いて、窒素プラズマに曝露することによってNを補うことができるため、さらにNの離脱を抑制でき、初期CODレベルをより高いものとすることができる。
第3の実施形態における、プラズマ雰囲気への窒化物半導体レーザバー10の共振器端面17の曝露の条件の例を実施例3として表5に示す。
なお、プラズマ雰囲気を生成するガスとして、プラズマ雰囲気への曝露の第1段階において窒素ガスを10sccm程度、同第2段階においてHeを流量40sccm程度まで混合させてもよい。また、同第2段階は、事前に炉内酸化を行うことによって、共振器端面17に窒化物が堆積されることなく行うことができる。
表5の条件で共振器端面17aをプラズマ雰囲気に曝露した後、第1の実施形態と同様にコーティング膜18を形成し、続いて共振器端面17bを共振器端面17aと同様にプラズマ雰囲気に曝露した後、第1の実施形態と同様にコーティング膜19を形成した。その後、窒化物半導体レーザバー10を分割し、図5に示す窒化物半導体レーザ装置30を作製した。この窒化物半導体レーザ装置30について、初期状態と200時間のエージング後のCODレベルを測定した。その結果を表6に示す。エージング条件は、雰囲気温度70℃、出力60mWのAPC駆動であり、CODレベルの測定条件は幅50nsec、デューティ50%、室温のパルス測定である。
この結果から、プラズマ雰囲気をHeプラズマと窒素プラズマの混合プラズマ雰囲気とすることにより、表1で比較例1として示した共振器端面17の曝露したプラズマ雰囲気がArプラズマ雰囲気であった場合および比較例2として示した曝露していない場合と比べて、初期CODレベルがはるかに高いことが分かる。また、エージング後においても高いCODレベルを維持しており、経時劣化も抑制できていることが分かる。
なお、第1実施形態、第2の実施形態ならびに第3の実施形態の第1段階および第2段階における共振器端面を曝露するプラズマ雰囲気は、上述した条件に限られず、上述した条件の流量のガスに流量20sccm程度のArを混合させたガスから生成させてもよい。ただし、ガス中のArの割合が増加するにつれて共振器端面17に生じる損傷すなわち共振器端面17から離脱するNの量が増加するため、混合するArの割合には十分考慮する必要がある。また、He、Ar以外のネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの希ガスを適量混合させてもよい。ただし、混合させるこれらの希ガスは発生したプラズマの安定性を確保するためのものであり、共振器端面17に生じる損傷を増加させないように、これらの希ガスの割合には十分考慮する必要がある。
また、第1実施形態、第2の実施形態ならびに第3の実施形態の第1段階および第2段階におけるプラズマの雰囲気に曝露する際の窒化物半導体レーザバー10の加熱温度はいずれも300℃としたが、この加熱温度は100℃以上であれば自然酸化膜、水分、汚染物などの除去が容易となる。しかし、加熱温度が高過ぎると電極等が破壊され、電圧上昇を引き起こすことがあるため、800℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましい。
また、第1実施形態、第2の実施形態ならびに第3の実施形態の第1段階および第2段階におけるプラズマ生成マイクロ波の出力は、実施例1〜実施例3ではいずれも500Wとしたが、200W以上であれば共振器端面の自然酸化膜、水分、汚染物などを除去することが可能であり、かつ、Nの離脱を抑制できる。ただし、800W以上では、Nの離脱が生じ、CODレベルの劣化を引き起こすので好ましくない。
また、第1実施形態、第2の実施形態ならびに第3の実施形態の第1段階および第2段階におけるプラズマの雰囲気への曝露時間は、実施例1〜実施例3ではそれぞれ5分としたが、30秒以上であれば共振器端面の自然酸化膜、水分、汚染物などが除去でき、かつ、Nの離脱を抑制できる。ただし、20分以上であれば、200W以上800W以下の出力であっても、共振器端面においてNの離脱が生じるので好ましくない。
また、第1の実施形態〜第3の実施形態では、窒化物半導体レーザ素子の共振器端面については劈開によって形成したものに関して詳細に記述したが、RIE(Reactive Ion Etching)、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチングなどの気相エッチング、水酸化カリウム(KOH)などの溶液によるウエットエッチングによって形成された共振器端面においても、エッチングの際にNの離脱が確認されており、本発明を適用することができる。
また、コーティング膜18、19の材料としては、所望の反射率が得られるものであれば、上述したもの以外に、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、珪素(Si)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)もしくは亜鉛(Zn)の酸化物、Al、Siもしくは硼素(B)の窒化物、AlもしくはSiの酸窒化物またはマグネシウム(Mg)もしくはカルシウム(Ca)の弗化物などを用いることができる。コーティング膜19はこれらの材料を適宜組み合わせて積層したものとしてよい。
本発明の窒化物半導体レーザは、単体の半導体レーザ装置、ホログラム素子を備えたホログラムレーザ装置、駆動もしくは信号検出などの処理のためのICチップと一体化してパッケージされたオプとエレクトロニクスIC装置、導波路あるいは微小光学素子と一体化してパッケージされた複合光学装置などに応用可能である。また、本発明は、これらの装置を備えた光記録システム、光ディスクシステムや、紫外から緑色領域の光源システムなどに応用可能である。
第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザバーの部分斜視図 第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザバー中における窒化物半導体レーザ素子の部分斜視図 第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザバーの共振器長手方向に垂直な方向から見た側面図 ECRスパッタリング装置の概略構成図 第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の概略構成図 Arプラズマ雰囲気への曝露を行った窒化物半導体レーザ素子と行っていない窒化物半導体レーザ素子のエージング前後のCODレベルを示すグラフ Arプラズマ雰囲気への曝露を行った窒化物半導体レーザ素子と行っていない窒化物半導体レーザ素子について、共振器端面の表面のGaとNの原子数の割合とスパッタ時間との関係を示すグラフ
符号の説明
10 窒化物半導体レーザバー
11 窒化物半導体基板
12 埋め込み層
13 リッジストライプ構造
14 p型電極
15 n型電極
16 n型メタライズ電極
17 共振器端面
17a 共振器端面
17b 共振器端面
18 低反射コーティング膜
19 高反射コーティング膜
20 窒化物半導体成長層
21 n型GaN層
22 n型クラッド層
23 n型光ガイド層
24 活性層
25 蒸発防止層
26 p型光ガイド層
27 p型クラッド層
28 p型コンタクト層
30 窒化物半導体レーザ装置
31 ステム
32 サブマウント
33 ピン
34 配線
35 リード線
36 キャップ
37 窓
39 窒化物半導体レーザ素子
40 ECRスパッタリング装置
41 プラズマ生成室
41a ガス導入口
41b マイクロ波導入口
42 成膜炉
42a ガス導入口
42b 排気口
43 マイクロ波導入窓
44 磁気コイル
45 ターゲット
46 加熱用ヒータ
47 試料台
48 シャッタ
49 RF電源

Claims (13)

  1. 基板上に窒化物半導体層を形成する窒化物半導体層形成工程と、前記窒化物半導体層を形成した前記基板を劈開して互いに平行な2個の共振器端面を形成する劈開工程と、前記共振器端面にコーティング膜を形成するコーティング膜形成工程とを備える窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、
    前記劈開工程と前記コーティング膜形成工程との間に、ヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露する曝露工程を有することを特徴とする、窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  2. 前記曝露工程から前記コーティング膜形成工程が完了するまでの間、前記共振器端面を大気曝露しないことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  3. 前記曝露工程において、前記窒化物半導体層を形成した基板が100℃以上800℃以下に加熱された状態であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  4. 前記曝露工程において、前記プラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露する時間が30秒以上20分以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  5. 前記曝露工程が、前記共振器端面をヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する第1の曝露工程と、前記第1の曝露工程の後で前記共振器端面を窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気に曝露する第2の曝露工程とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  6. 前記第1の曝露工程および前記第2の曝露工程において、前記プラズマ雰囲気に前記共振器端面を曝露する時間がそれぞれ30秒以上20分以下であることを特徴とする請求項5に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  7. 前記第2の曝露工程における窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気が、窒素プラズマのみからなることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  8. 前記第2の曝露工程における窒素プラズマを含むプラズマ雰囲気が、窒素プラズマおよび希ガスプラズマからなることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  9. 前記曝露工程におけるヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気が、ヘリウムプラズマのみからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  10. 前記曝露工程におけるヘリウムプラズマを含むプラズマ雰囲気が、ヘリウムプラズマと、窒素プラズマおよびヘリウムプラズマ以外の希ガスプラズマの少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  11. 前記曝露工程におけるプラズマ雰囲気が、電子サイクロトロン共鳴によって生成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  12. 電子サイクロトロン共鳴によって前記プラズマ雰囲気を生成するマイクロ波の出力が200W以上800W以下であることを特徴とする請求項11に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  13. 前記コーティング膜の少なくとも一方が、アルミニウム、チタン、珪素、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、ハフニウムもしくは亜鉛の酸化物、硼素、アルミニウムもしくは珪素の窒化物またはアルミニウムもしくは珪素の酸窒化物の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009272375A (ja) * 2008-05-01 2009-11-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 半導体レーザの製造方法及び半導体レーザ

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