JP2007186610A - 生分解性ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性を有するカーボネート化合物を可塑剤に用いて、優れた溶融成形加工性と柔軟性を有し、かつ透明で生分解性を有するポリ乳酸樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系樹脂(A)に対して、可塑剤として一般式(1)で表される生分解性を有するカーボネート化合物(B)を、両者の配合重量比(A)/(B)が95/5〜50/50の割合で配合することで、フィルム、シート、包装材として有用な柔軟性、透明性、耐水性に優れ,かつ可塑剤の滲出のない生分解性を有するポリ乳酸樹脂組成物を得る。
(式中、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基あるいはヒドロキシル基を示し、アルキル基は直鎖または分岐の何れでもよい。)
【選択図】 なし
【解決手段】ポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系樹脂(A)に対して、可塑剤として一般式(1)で表される生分解性を有するカーボネート化合物(B)を、両者の配合重量比(A)/(B)が95/5〜50/50の割合で配合することで、フィルム、シート、包装材として有用な柔軟性、透明性、耐水性に優れ,かつ可塑剤の滲出のない生分解性を有するポリ乳酸樹脂組成物を得る。
(式中、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基あるいはヒドロキシル基を示し、アルキル基は直鎖または分岐の何れでもよい。)
【選択図】 なし
Description
この発明は、ポリ乳酸とカーボネート化合物とよりなる、すぐれた溶融成形加工性と生分解性を有するポリ乳酸樹脂組成物に関するものであり、この樹脂組成物は、医療用材料、衛生材料、包装材料、産業資材、工業用品、容器などの各種用途に用いることができる。特に、透明性、柔軟性、機械的強度等にすぐれた性質を有し、フィルム、テープ、シート、包装材料、ラミネート、ラベル、梱包材、緩衝材等の柔軟性を必要とする成形物、即ち、袋類、農業用袋、農業用マルチフィルム、結束テープ、ラベル、食品包装用フィルム、シート、工業用品包装材、繊維包装材、雑貨用包装材、養生シート、日用雑貨、苗木ポット、食品用容器、トレー、産業資材、工業用品、特に食品および農業用包装材等の材料として好適である。また、上記ポリ乳酸とカーボネート化合物との配合比率により、所望の強度あるいは柔軟性を制御でき、さらに透明性があり、包装材料や各種成形品などの軟質材料として使用することができる。
石油を原料とするポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等に代表される合成樹脂は、生活必需品から工業製品に至る広い分野で使用されている。その使用量は増加の一途であるが、それに伴って廃棄される量も莫大であり、焼却や埋め立てによる処理は最早限界に達しているといっても過言ではない。
近年、資源の回収、リサイクルなどの動きが活発化し、容器包装リサイクル法案に新たに合成樹脂が加えられたこともあって、合成樹脂製品の回収と再利用が叫ばれている。しかしながら、合成樹脂製品が多分野に亘っているため、回収、再利用を充分に実施し得るか甚だ疑問である。また自然環境中に放置される合成樹脂製品も年々増加し、生活環境の破壊を招くことも憂慮されている。
このような問題は、年々クローズアップされ、合成樹脂製品は野外に投棄されても経時的には分解資源化されず、また焼却時においても有毒ガス発生の恐れがあるため、上記のような合成樹脂に代って、生分解性樹脂の要望が高まり、そのような樹脂の開発が近年積極的に進められている。
生分解性樹脂は、土壌中や海水あるいは河川の微生物によって分解可能な樹脂であり、自然環境に直接接触する需要以外にも、合成樹脂廃棄物をリサイクルするにはコストもかかる用途などへの展開が急速に行われており、ますますその価値が認識され、今後その利用が一段と拡大することと期待されている。
このような観点から、自然環境中で分解する生分解性樹脂および該樹脂からなる成形品が求められ、生分解性樹脂の研究が大いに進み、各種生分解性樹脂が提案され、商業生産が行われるに至っている。この生分解性樹脂は、上記に述べたポリ塩化ビニル、ポリエステルなどの一般的な合成樹脂と異なり、容易に完全分解し、最終的には水と二酸化炭素になるものである。
現在、実用化されている生分解性材料、低環境負荷型材料としては、変性デンプン、脂肪族ポリエステル、あるいはこれらの樹脂をマトリックスとした各種複合材料、ポリマーアロイなどがある。
上記のうち脂肪族ポリエステルは、加水分解や微生物が関与する酵素分解により、汎用樹脂として使用する場合には、廃棄後に環境を汚染することなく分解するため、環境にやさしい。医療用材料として生体内に留置する場合には、目的達成後に生体に与える影響が少なく、生体内で分解・吸収されるために、生体にやさしいというすぐれた生分解性樹脂であることから、医療用材料や汎用樹脂の代替物として既に注目されている。
最近、生分解性樹脂の一つとして、ポリエステルの一種であるポリ乳酸が、透明性が比較的良好であり、得られた樹脂がポリスチレンやポリエチレンテレフタレートに近い物性を示し、硬質であるという特徴を持つことから注目を集めている。
しかしながら、ポリ乳酸は、その剛直な分子構造のために耐衝撃性に劣り、硬くて脆いという欠点があり、柔軟性がないためにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が使用されるフィルム等の用途には適していなかった。また、水分との接触時に白化する、所謂耐水性が悪いという欠点を有しているため、水分を含むような食品包装、農業用用途には適していなかった。さらに、ポリ乳酸樹脂からなるフィルムを折り曲げた際に、応力によりクレージングが発生し易いという欠点も有しているため、その用途が限定されることから、ポリ乳酸樹脂の改良が望まれている。
一般的に柔軟性と透明性を有する樹脂成形物を製造するには、可塑剤やエラストマー等を樹脂に添加する方法が用いられている。
従来、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリアセタール、ビニル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂あるいはセルロース系樹脂等の各種樹脂に柔軟性、耐久性、耐寒性、電気特性等を付与するために、可塑剤の添加、樹脂の共重合体化、軟質高分子のブレンド、などの改質手法が行われている。可塑剤は、主に塩化ビニル樹脂に対して用いられ、フタル酸系、脂肪酸系、リン酸系、ポリエステル系などの可塑剤が古くから知られており、このほかにクエン酸誘導体、フタル酸誘導体、グリセリン誘導体なども用いられている。
一方、ポリ乳酸の柔軟性については、後述するように、各種公知の可塑剤を添加してその改善が図られているものの、可塑化効果が不十分であったり、可塑剤の添加により樹脂の透明性が損なわれるなどの問題があった。また、一部の可塑剤においては、人体、環境への影響が懸念されたりして満足できるものではなく、環境負荷を低減できる可塑剤の開発が切望されている。
即ち、生分解性ポリ乳酸樹脂組成物を得るに際して、
(1)フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤などの可塑剤を添加したもの(特許文献1および2)、
(2)ポリアルキレンエーテルを主成分とする可塑剤や脂肪族ジカルボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル系可塑剤を添加したもの(特許文献3〜5)、などが提案されている。
特開平4−335060号公報
特開平10−36651号公報
特開平8−199052号公報
特開平8−199053号公報
特開平8−283557号公報
(1)フタル酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、ヒドロキシ多価カルボン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤などの可塑剤を添加したもの(特許文献1および2)、
(2)ポリアルキレンエーテルを主成分とする可塑剤や脂肪族ジカルボン酸及び鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル系可塑剤を添加したもの(特許文献3〜5)、などが提案されている。
上記特許文献1には、ポリ乳酸に添加する可塑剤の具体例として、ポリプロピレングリコールアジピン酸エステル、ポリプロピレングリコールセバシン酸エステルなどのポリエステル系可塑剤や、フタル酸系可塑剤などが記載されている。しかしながら、これらの可塑剤の添加では可塑化効果が小さくブリードアウトが発生しやすいこと、揮発しやすいこと、などの問題がある。
また、上記した可塑剤のうち、ポリプロピレングリコールアジピン酸エステルに代表されるポリエステル系可塑剤は、可塑化効果はよいものの、15℃以下の低温雰囲気下では応力によるクレージングが発生する。かつ、その添加により、さらに耐水性が悪くなるなどの問題を有している。
特許文献2に記載されているエチレングリコールジベンゾエート、グリセリントリアセテートなどのポリエステル系可塑剤を用いた場合には、可塑化効果は見られるが、得られる組成物の透明性に問題があり、満足できるものではない。
さらに、特許文献3、4、5に記載されているポリエチレングリコールステアレートやジオクチルアジペートなどの脂肪族エステルを可塑剤として用いた場合には、該樹脂組成物よりなる成形直後の製品の透明性は比較的良好であるが、ポリ乳酸のような乳酸系樹脂は結晶性が高く、経時的に物性が低下するため、フィルム等を成形する場合、溶融特性に問題を有している。
以上のように、生分解性樹脂としてのポリ乳酸に安定して添加することのできる可塑剤は未だ見出されていないというのが現状である。
以上のように、生分解性樹脂としてのポリ乳酸に安定して添加することのできる可塑剤は未だ見出されていないというのが現状である。
上記のほかに、ポリ乳酸樹脂用可塑剤としてトリアセチンやアセチルトリクエン酸ブチルなど、他の樹脂用の可塑剤も検討されているが、性能が未だ不充分である。
この発明は、上記の種々の問題に着目し、ポリ乳酸に特定の可塑剤、即ち人体および環境に対する負荷の低減が期待できる可塑剤を溶融混練することによって、フィルム、シート、包装材用に有用な、柔軟性、透明性、耐水性にすぐれ、かつ可塑剤のブリードアウト等の物性の経時変化のない生分解性ポリ乳酸樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
請求項1に記載の発明は、ポリ乳酸(A)に、可塑剤として下記一般式(1)で表される生分解性を有するカーボネート化合物(B)を加えてなる生分解性ポリ乳酸樹脂組成物を特徴とする。
(式中、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基あるいはヒドロキシル基を示し、これらの基におけるアルキル部分は直鎖または分岐の何れでもよい。)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記ポリ乳酸(A)と上記生分解性を有するカーボネート化合物(B)との配合重量比(A)/(B)が、95/5〜50/50であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の生分解性ポリ乳酸樹脂組成物を用いて成形された生分解性成形品を特徴とするものである。
上記請求項1〜3に記載した発明によれば、溶融加工性にすぐれ、可塑剤として使用したカーボネート化合物のブリード現象もなく、生分解性にすぐれたポリ乳酸樹脂組成物を得ることができ、また、このポリ乳酸樹脂組成物を用いて射出成形、押出成形、ブロー成形あるいはキャスティングなどの成形法によって、容器、袋状製品、フィルムやシート等の生分解性製品を得ることができるのである。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明においては、樹脂成分としてポリ乳酸(A)が用いられる。このポリ乳酸(A)は、乳酸を原料として製造される脂肪族の熱可塑性樹脂である。そして、乳酸は、(1)トウモロコシ、サトウキビなどの毎年再生可能な植物資源を原料とする発酵合成によって、あるいは石油化学誘導品を原料とする化学合成によって、または二酸化炭素とアセトアルデヒドとを用いてピルビン酸を経由する酵素反応によって得ることができる。具体的には、L−乳酸、D−乳酸あるいはそれらの混合物を脱水縮合するか、L−ラクタイド、D−ラクタイド、D,Lラクタイドまたはそれらの混合物を開環重合させることで得る方法が公知の手段として知られている。
また、(2)上記(1)で得られたポリ乳酸を主原料として、ナノコンポジット技術を応用して、そのポリ乳酸に分散相(フィラー)としての超微粒子状粘土鉱物(クレイ)などをナノオーダー(通常1〜100nm)でマトリックスとしてのポリ乳酸中に微分散した複合材料,具体的には、ポリ乳酸と層状ケイ酸塩を溶融混練法によってナノコンポジット化したポリ乳酸が知られている。
上記(1)および(2)の方法で得られるポリ乳酸は、その樹脂組成物の成形加工特性や機械的特性を発揮させるために、その重量平均分子量は、50,000以上が好ましい。
この発明では、ポリ乳酸(A)として、上記(1)と(2)で述べた両方のポリ乳酸を用いるものであり、以下では、(1)の方法で得たポリ乳酸をポリ乳酸(A−1)、(2)の方法で得たポリ乳酸をポリ乳酸(A−2)として記載する。
この発明は、上記ポリ乳酸(A)に、可塑剤として下記一般式(1)で表されるカーボネート化合物(B)を用いるものである。
(式中、R1およびR2は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基あるいはヒドロキシル基を示し、これらの基におけるアルキル部分は直鎖または分岐の何れでもよい。)
上記の一般式(1)で表されるカーボネート化合物(B)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート、ブチレンカーボネートなどが挙げられる。
これらカーボネート化合物(B)のポリ乳酸(A)に対する添加量としては、5〜50重量%が好ましい。これは、5重量%以下では可塑化能力に劣り、また融点や溶融粘度の低下が不充分で溶融成形加工が難しくなるためであり、一方50重量%以上を添加すると、両者の相溶性が低下して可塑剤がブリードしたり、得られる組成物の熱安定性が低下するためである。
この発明のポリ乳酸とカーボネート化合物とよりなる生分解性ポリ乳酸樹脂組成物の製造に当たっては、この発明の効果を阻害しない範囲で、成形加工性や、得られる成形品の物性を向上させることを目的として、安定剤、充填剤、生分解促進剤、光分解促進剤、紫外線吸収剤、顔料などを添加することができる。
この発明で得られた生分解性ポリ乳酸樹脂組成物は、これを溶融押出しするなどしてシート、フィルムを得るほか、射出成形、ブロー成形等によってその他の成形品(例えば、容器、袋状製品、ネット状製品、繊維成形品)を得ることができる。
この発明でポリ乳酸樹脂と可塑剤のカーボネート化合物を混合するには、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサーなど従来公知の混練機を用いればよい。なお、混練を容易にするために、ポリ乳酸樹脂を予め50メッシュ程度に粉砕しておくことも好ましい。
上述のようにして得られるこの発明のポリ乳酸樹脂組成物は、生分解性も良好で、使用後や製造工程上からの廃棄物減量に役立つのである。特に、コンポスト中での分解性に優れている。また、この発明のポリ乳酸樹脂組成物は、一般の樹脂と同様の押出し成形、射出成形、真空成形、圧縮成形等の成形方法が応用できるため、フィルム、シート、繊維、編物、織物、不織布、紙、フェルト、板、棒、チューブ、多孔質成形品、各種容器、各種部品、およびその他の成形品などを容易に得ることができる。
この発明の生分解性ポリ乳酸樹脂組成物の用途としては、シート、フィルム等に成形してゴミ袋などの包装材料、また軟質チューブ等の軟質塩ビ材料利用分野の代替品、制振材、農業用・園芸用資材、食品包装用材料、衛生用材料、日用雑貨品、産業用資材、自動車用内装材などとして用いることができる。
以下、この発明を実施例により詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
ポリ乳酸(A-1)として、三井化学社製、ポリ乳酸 LACEA H-400を用い、可塑剤であるカーボネート化合物(B)として、ブチレンカーボネートを用いた。
表1に示すように、ポリ乳酸(A-1)に、ブチレンカーボネート10重量%、および20重量%を加えた2種の混合物を用意し、これらの混合物をそれぞれラボプラストミルニーダー(東洋精機製作所、ラボプラストミル5HP)を用い、該ニーダーの特殊な2本のロールを定速度回転(20rpm)させながら180℃まで昇温させたなかに投入して20分間混練した。
表1に示すように、ポリ乳酸(A-1)に、ブチレンカーボネート10重量%、および20重量%を加えた2種の混合物を用意し、これらの混合物をそれぞれラボプラストミルニーダー(東洋精機製作所、ラボプラストミル5HP)を用い、該ニーダーの特殊な2本のロールを定速度回転(20rpm)させながら180℃まで昇温させたなかに投入して20分間混練した。
次に、上記混練物を用いたフィルム作成の手順について説明すると、まず深さ約1mmの正方形の溝をつけた鉄板と平面の鉄板とで2枚のテフロン(登録商標)シート(ポリテトラフルオロエチレン製シート、デュポン社の商品名)を挟み、これをヒートプレス機によって2MPaで加圧し、180℃で予熱処理を行った。予熱後、2枚のテフロン(登録商標)シートの間に上記混練物を約5g測り取り、加圧なしで5分間、10MPaで15分間加熱した。その後、室温のプレス機に移し、10分間自然冷却を行った。さらに、室温で1日以上乾燥させてそれぞれ厚さ0.10mmのフィルムを得た。
上記で得たそれぞれのフィルムについて、外観透明性の良否およびブリードの有無を目視観察した。その結果は表1に示した。透明性の目視評価は、◎:優れている、○:良好、×:不良、の3段階で行った。なお、比較例1として、同じポリ乳酸(A−1)に従来可塑剤として用いられているアセチルトリクエン酸ブチル(以下、ATBCと表す)を同量添加して、同じようにして作成したフィルムについても同じテストを行い、結果を表1に示した。なお、この実施例1から後述する実施例6までを通じて、可塑剤を添加しないポリ乳酸樹脂組成物のみのフィルムについてもテストを行い、その結果をそれぞれの表に示した。
上記表1から、本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなるフィルムは、何れも無色透明で、ブリードも全く認められず、ポリ乳酸A−1に対するブチレンカーボネート可塑剤の相溶性が良好であることが認められた。
実施例1で得た本発明のポリ乳酸樹脂組成物のフィルムおよび比較例1のフィルムについて、レオロジ社製、DVE−V4レオスペクトラーを用い、動的粘弾性として、貯蔵弾性率E′を測定し、その25℃における弾性率とガラス転移温度でフィルムの柔軟性を調べた。その結果を表2に示した。
上記表2から、本発明のポリ乳酸樹脂組成物からなるフィルムは、比較例1の従来の可塑剤を用いたフィルムに比べて弾性率の値とガラス転移温度が低く、柔軟性が良好であることが認められた。
実施例1で得た、厚さ0.10mmの本発明のポリ乳酸樹脂組成物のフィルムおよび比較例1のフィルムについて、可塑剤の可塑効果を確認するべく、引張り強さと切断時の伸びを測定した。測定は、前記フィルムからそれぞれダンベル状2号形(平行部分幅:10mm)の試験片を得、室温にてオートグラフAG−1000D(島津製作所製)を用いて、JIS K 6251に準拠して行った。その結果は表3に示した。
上記表3から、ブチレンカーボネートを可塑剤として用いた本発明の生分解性ポリ乳酸樹脂組成物からなるフィルムは、引張り強さの値から比較例のフィルムより柔軟性がよいことが確認でき、また切断時の伸びについても優れていることが認められた。
実施例1と同じポリ乳酸(A−1)に対して、可塑剤として、ブチレンカーボネートまたはグリセリンカーボネートをそれぞれ10重量%加えてビーカ中で予備混合した後、これらの混合物をラボプラストミルニーダーに投入し、2本のロールを回転させながら180℃まで昇温し、ロール速度を20rpmに固定して混練した。完全に軟化しているのを確認したのち、温度調整して自然冷却させた時の温度とトルク変化の関係を測定した。その結果は、表4に示す通りである。なお、従来の可塑剤であるATBCを同じ量用いたものについてもテストを行った。同一温度におけるトルクの値は、可塑剤としてグリセリンカーボネートを用いたものが最も低い結果を示し、従来の可塑剤に比べてポリ乳酸の軟化温度を下げる効果が最も高く、加工性の向上に適した可塑剤であることが認められた。
ポリ乳酸(A−2)として、ユニチカ社製、ポリ乳酸 テラマック TE−6100を用い、可塑剤としてブチレンカーボネートを用いて、ポリ乳酸(A−2)に対してブチレンカーボネートを10重量%加えて実施例1と同様の手順にて厚さ0.10mmのフィルムを作成した。また、比較例としてポリ乳酸(A−2)に従来の可塑剤ATBCを10重量%加えたフィルムも同じようにして作成した。そして、それぞれのフィルムについて、外観透明性の良否およびブリードの有無を目視観察したところ、表5の結果を得、本実施例のものは何れも無色透明で、ブリードも全く見られず、ポリ乳酸(A−2)に対する相溶性が良好であることが認められた。
上記実施例5で作成したフィルムについて、実施例2におけると同様にして動的粘弾性の測定を行い、用いたポリ乳酸樹脂組成物の柔軟性をガラス転移温度で判定した。また、用いた可塑剤のポリ乳酸(A−2)に対する可塑効果を確認するために、実施例3におけると同様にして引張り強さを測定した。比較例としてポリ乳酸(A−2)に従来の可塑剤ATBCを10重量%加えて作成したフィルムについても同じように測定した。その結果は表6の通りである。
表6から、用いたポリ乳酸樹脂組成物は、ガラス転移温度が比較例のものより低く、引張り強さにおいて柔軟性をも有していることが認められた。
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