以下、添付した図面を参照して、本発明に係る混色判定方法並びに画像記録方法及び装置について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の概略を示す一部ブロック図を含む概略構成図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、主に、インクの色(イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K))毎に設けられた複数の印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kと、給紙部14から記録媒体である記録紙16を印字ヘッド12Y等へ搬送する搬送部18と、記録紙16上に吐出されたインクを定着させる定着・硬化手段20(定着手段)等を有して構成される。
記録紙16は、図1に示したものでは、給紙部14のマガジン22に装填されたロール紙(連続用紙)をカッター24で所定長に切断して用いるようにしているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター24が設けられており、該カッター24によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター24は不要である。
また、本実施形態においては、紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体がマガジン22の媒体種検出ノッチ22aに取り付けられており、その情報記録体の情報を読み取るための媒体種検出手段25が設置されている。後述するように、媒体種検出手段25によって読み取られた情報を用いて、その記録媒体に対する画像記録に最適な制御パラメータが設定されて画像記録が行われる。なお、本明細書で画像記録というときには、画像データのみに限らずテキストデータ等の記録も含むものとする。
マガジン22から送り出される記録紙16は、マガジン22に装填されていたことによる巻き癖が残り、カールする。図示は省略したが、このカールを除去するために、デカール処理部を設けてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム等で記録紙16に熱を与え、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
搬送部18は、ローラ26、27間に無端状のベルト29が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字ヘッド12K等のノズル面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト29は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸
引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したように、2つのローラ26、27の間に掛け渡されたベルト29の内側において、印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kのノズル面に対向する位置には吸着チャンバ30が設けられており、この吸着チャンバ30をファン32で吸引して負圧にすることによって、ベルト29上の記録紙16が吸着保持される。
ベルト29が巻かれているローラ26、27の少なくとも一方(例えば図1に示すように、左のローラ26)にモータ34の動力が伝達されることにより、ベルト29は、図1において反時計回りに駆動され、ベルト29上に保持された記録紙16は図1の右から左へと相対的搬送速度Vで搬送されるようになっている。
図2に、印字ヘッド12Y、12C、12M、12K付近を拡大した平面図を示す。図2に示すように、印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kは、各色(YCMK)に対応し、それぞれが複数のノズルを配列したノズル列13Y、13C、13M、13K等を有し、記録紙16の全幅を担うように、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kの長手方向を記録紙16の搬送方向(図に矢印Vで示す方向)と直交する紙幅方向に並べた構成で、最大紙幅に対応する長さを有するフルライン型ヘッドとなっている。また、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kの間にはやはり記録紙16の全幅に対応する長さを有する定着・硬化手段20がそれぞれ配置されている。
なお、ここでフルライン型ヘッドには、短尺の記録ヘッドを用紙幅に複数並べた形式のものも含むものとする。
各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kには、それぞれノズル列13Y、13C、13M、13Kが複数配列されノズルが2次元マトリクス状に配列されている。また、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kのそれぞれ記録紙16の搬送方向上流側のノズル列間の距離を各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kのノズル間距離Sと言う。具体的には、図2に示すように印字ヘッド12Yの搬送方向上流側のノズル列13Yと印字ヘッド12Cの搬送方向上流側のノズル列13Cとの間の距離をこれら2色Y、C間のノズル列間距離SCYといい、以下同様に印字ヘッド12Cのノズル列13Cと印字ヘッド12Mのノズル列13Mとの間のノズル列間距離SMC、及び印字ヘッド12Mのノズル列13Mと印字ヘッド12Kのノズル列13Kとの間のノズル列間距離SKMを同様に定義する。これらのノズル列間距離SCY、SMC、SKMは可変であり自由に制御することができるようになっている。
図1あるいは図2に示すように、記録紙16の搬送方向(図の右から左方向)に沿って上流側からY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kが配置されている。記録紙16を搬送部18によって搬送しつつ各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成することができる。
このように記録紙16を搬送しながら画像記録を行うため、記録紙16の搬送速度によって記録データ(印字データ)を記録紙16に記録する際の記録速度に対応する異なる2色のドットの吐出時間差が略決まる。したがって、記録紙16の搬送速度を高くしてそれに合わせて印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kからインクを吐出して記録すればこの吐出時間差を短く(記録速度を速く)することができる。
本実施形態では、このドットの吐出時間差は、このような記録媒体の搬送速度を制御することによって、あるいは2色のドットを形成するヘッド間の距離を変えることによって変えることができる。
上述したように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなる印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kによれば、紙搬送方向について、記録紙16と印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kを相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の走査で)記録紙16の全面に画像を高速で記録することができる。
また、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kに各色のインクを供給するインクタンク(図示せず)近傍には、インクの種類を検出するインク種検出手段28(図1参照)が設けられている。インク種検出手段28は、特に限定されるものではなく、例えば、カートリッジ式のインクタンクの場合、カートリッジに取り付けられた情報媒体等からインク種を示すIDを読み取るような構成でもよい。
なお、本例では、YCMKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
再び図1に戻り、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kは、ヘッドドライバ36によってインク吐出が制御される。また、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12K間に設けられる定着・硬化手段20は、印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kから記録紙16上に吐出されたインクを定着させるものであり、使用されるインクに応じて好適な手段が用いられる。
ここで定着というのは、記録紙16上に着弾したインクの紙の繊維内への浸透と、表面からのインクの乾燥の両方を合わせた内容を指すものとし、記録紙16表面に着弾したインク液滴が存在しなくなることを言う。例えば、水系のインクの場合には、定着・硬化手段20としては、例えばヒータ等の熱エネルギーを付与する装置、あるいは赤外線照射装置、または風(熱風)を吹き付けるファン(熱風ファン)などが例示され、これらのインクを定着させる装置は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いてもよい。
定着・硬化手段20は、図1あるいは図2に示すように4つの印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kのそれぞれの間に設置され、各印字ヘッドから吐出されたインクを定着させ、引き続いて次の印字ヘッドからその上あるいは近傍にインクが吐出されても各インクが混色しないようにするものである。
本実施形態においては、各色用の印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kの各ノズル列間距離(印字ヘッド12Yと12Cのノズル列13Yと13C間の距離SCY、印字ヘッド12Cと12Mのノズル列13Cと13M間の距離SMC、印字ヘッド12Mと12Kのノズル列13Mと13K間の距離SKM)の制御、記録紙16の相対的搬送速度(吐出時間差)の制御、定着・硬化手段20におけるインクの定着エネルギーを制御することによる定着時間の制御という3種類の制御量の制御のうち、少なくともいずれか1つ以上の制御を行うことによって、インクの混色を防止しつつ高速で記録を行うようにするものである。
なお、本実施形態では、実際にノズル列間距離を可変にする場合には、印字ヘッド毎の距離を可変にすることで各ノズル列間距離を可変にしているため、ノズル列間距離の制御を印字ヘッド間距離の制御と言っても同じである。
さらに本実施形態では、ノズル列間距離(印字ヘッド間距離)、相対的搬送速度(吐出
時間差)及び定着時間(定着エネルギー)を制御して混色を回避する際、特に最も速く記録できるような各制御量の最適値をパラメータとして設定することにより、混色を防止するとともに、同時に高速で記録することが可能となる。
このため、本実施形態のインクジェット記録装置10は、上に述べたものの他に、混色回避制御に係る手段として、まず混色を判定する混色判定部(混色判定装置)35をはじめとして、ノズル列間距離(印字ヘッド間距離)を制御するヘッド間距離制御手段38、記録紙16の相対的搬送速度Vを制御することにより吐出時間差を制御する相対的搬送速度制御手段40(以下、単に搬送制御手段40と言う)、定着・硬化手段20の定着エネルギーを制御してインクの定着時間を制御する定着制御手段42、相対的搬送速度が可変にされた場合に記録画像のドットピッチを揃えるための周波数制御手段44、各制御手段が最適な制御をなすように制御パラメータを設定するためのパラメータ設定手段46を有している。また、搬送制御手段40が相対的搬送速度Vを制御するために、相対的搬送速度Vを検出するためのエンコーダ41が、ローラ26に設置されている。
混色判定部35は、詳しくは後述するが混色を判定するための混色判定パターン(混色判定用パッチ)が形成された混色判定プリントを出力するための混色判定プリント出力手段48、出力された混色判定プリントの混色判定用パッチの濃度測定を行う濃度計45及び濃度計45の測定結果を用いて混色判定を行う混色判定手段49等から構成されている。この混色判定方法については詳しくは後述する。
ヘッド間距離制御手段38は、各色の印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kを紙搬送方向に移動して隣接した印字ヘッド間の距離(一つの印字ヘッド上に形成されたノズル列と隣接した印字ヘッド上に形成されたノズル列とのノズル間距離SCY、SMC、SKM等)を変えることにより、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12K(のノズル列)から記録紙16へのインク吐出タイミングを制御するものである。
例えば、より混色防止効果を高めようとする場合には、このノズル列間距離を大きくして、一つのノズル列から吐出されたインクが次の印字ヘッドのノズル列からインクが吐出されるまでの間に、より乾燥(定着)するようにする。各ノズル列間距離を変更する具体的手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、ボールねじ等によりフルライン型ヘッドの両端に設けたレール上を各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kが移動可能としたものでもよい。
搬送制御手段40は、ロータリエンコーダ41の検出信号に基づいて、モータ34の回転数を制御するものである。このとき、後述するようにパラメータで最適な相対的搬送速度Vが設定されている場合には、記録紙16の相対的搬送速度がその速度となるようにモータ34の回転を制御する。
定着制御手段42は、例えば、定着・硬化手段20が熱を付与する装置であればその設定温度を変更することにより付与する熱エネルギーを制御したり、また例えば熱風を送るファンの回転数を変更したりして、記録紙16上のインクの定着エネルギーを制御することによって定着時間t1を制御するものである。
周波数制御手段44は、記録紙16の相対的搬送速度Vが変更された場合に、それに合わせて各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kからのインク吐出タイミングを制御して記録画像が所定のドットピッチの画像となるようにして画像の品質を一定に保持するものである。
パラメータ設定手段46は、混色判定プリントの濃度測定結果により判定された混色判
定結果に基づいてヘッド間距離制御手段38、搬送制御手段(吐出時間差制御手段)40及び定着制御手段42の少なくとも一つを制御するために各制御手段に最適なパラメータを設定するためのものである。
なお、以上説明した実施形態に係るインクジェット記録装置10においては、定着制御手段42により定着・硬化手段20を制御して記録紙16上に吐出されたインクを定着させて混色を防ぐようにしているが、例えば、UV光の照射を受けることによって重合反応を起こし硬化するUV硬化インクあるいは一般に電磁輻射線硬化インクを用いて、これに電磁輻射線を照射する照射装置等の硬化手段21を前記定着・硬化手段20の代わりに設置して、これを硬化制御手段43により制御することによりインクを硬化させてインクの混色を防止するようにしてもよい。
ここで、硬化とは、電磁輻射線等の光照射あるいは熱の付与等による化学変化によってインクの成分が固くなってインクが記録紙16の表面上に固定されることを言う。硬化手段21としては、例えばUV硬化インクの場合には、UV光照射装置、ハロゲンランプ、LEDレーザ等の照射装置等が例示される。また、この他ソリッドインクの場合には、ペルチェ等あるいは水冷等の冷却装置を用いてもよい。
以下、定着制御手段42及び定着・硬化手段20を用いた場合について説明するが、図1に示すように、これの代わりに硬化制御手段43及び硬化手段21を用いてもよく、その場合にも制御は全く同様である。すなわち、硬化制御手段43は、例えば硬化手段21の照射光量や照射領域を変更して記録紙16上のインクの硬化エネルギーを制御することにより硬化時間t2を制御するようにしてもよい(記録媒体表面のインク液滴を硬化させることで表面インク液滴の存在をなくし、混色を防止できる。)。
図3は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース50、システムコントローラ52、画像メモリ54、モータドライバ56、ヒータドライバ58、プリント制御部60、画像バッファメモリ62、ヘッドドライバ36等を備えている。
通信インターフェース50は、ホストコンピュータ64から送られてくる画像データ(記録データ)を受信するインターフェース部である。通信インターフェース50にはUSB、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ64から送出された画像データは通信インターフェース50を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ54に記憶される。画像メモリ54は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ52は、通信インターフェース50、画像メモリ54、モータドライバ56、ヒータドライバ58等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ52は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ64との間の通信制御、画像メモリ54の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ34やヒータ66を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ56は、システムコントローラ52からの指示にしたがってモータ34を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ58は、システムコントローラ52からの指示にしたがって印字後の記録紙16を乾燥させる後乾燥部(図示省略)等のヒータ66を駆動するドライバである。
プリント制御部60は、システムコントローラ52の制御に従い、画像メモリ54内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ36に供給する制御部である。プリント制御部60において所要の信号処理が施され、該画像データに基いてヘッドドライバ36を介して印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部60には画像バッファメモリ62が備えられており、プリント制御部60における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ62に一時的に格納される。なお、図3において、画像バッファメモリ62はプリント制御部60に付随する態様で示されているが、画像メモリ54と兼用することも可能である。また、プリント制御部60とシステムコントローラ52とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ36はプリント制御部60から与えられる印字データに基いて各色の印字ヘッド12K、12C、12M、12Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ36にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでもよい。
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置10は、この他に、隣り合った印字ヘッド(本例では図1あるいは図2に示すように、印字ヘッド12Yと12C、印字ヘッド12Cと12M、印字ヘッド12Mと12Kが該当する。)のヘッド間距離SCY、SMC、SKMを制御するヘッド間距離制御手段38、記録紙16の相対的搬送速度Vを制御する搬送制御手段40、定着・硬化手段20の定着エネルギーを制御して記録紙16に吐出されたインクの定着時間t1を制御する定着制御手段42、相対的搬送速度Vが変更された場合にそれに応じてインク吐出周波数を制御する周波数制御手段44、各制御手段を制御するためのパラメータを設定するパラメータ設定手段46及び詳しくは後述する混色判定プリントを出力するための混色判定用パターンを形成してヘッドドライバ36を通じて印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kから混色判定プリントを出力する混色判定プリント出力手段48及び混色判定プリントの濃度測定結果により混色判定を行う混色判定手段49等を有している。
ここで、周波数制御手段44及び混色判定プリント出力手段48は、プリント制御部60内に設けられ、システムコントローラ52によって制御されるようになっている。また、詳しくは後述するが、混色判定手段49の中には濃度測定の結果得られた濃度プロフィールを用いて混色判定に用いる所定の数値を算出するための平均値/標準偏差算出手段51が設けられている。さらに、システムコントローラ52には、画像データ(記録データ)からその記録モードを検出する記録モード検出手段53が設けられている。ここで、記録モードとは、その記録データがテキストのみから構成されているか、画像データのみから構成されてか、あるいはテキスト及び画像データの両方を含んでいるかということを示すものである。
次に、混色を判定して混色防止かつ高速記録のための最適なパラメータを各制御手段に対して設定する方法について説明する。そのために、まず混色を判定するための混色判定用パターンの作成について説明する。
この混色判定用パターンは、図1あるいは図2に示すようにインクジェット記録装置10における隣り合った2つの印字ヘッド(12Yと12C、12Cと12M、12Mと12K)から吐出される2色のインク(Y(イエロー)とC(シアン)、CとM(マゼンタ)、MとK(黒))がどのように混ざり合うかを調べるために、搬送速度V(吐出時間差
あるいは記録速度に対応する)及び定着エネルギーEを複数段階変化させて記録することによって作成される。
図4に混色判定パターンの例を示す。図4に示すように、混色判定パターン70は、相対搬送速度V及び定着エネルギーEをそれぞれ高(max)、中(mid)、低(low)の3段階に変化させて記録したものであり、各隣り合った2色のインクの組み合わせ毎に9通りの混色判定パターンから成るパッチ72(混色判定用パッチ)から形成されている。ここで、搬送速度V及び定着(硬化)エネルギーEの3段階のmaxは最高速度(あるいは最高エネルギー)、midは最高値の2/3程度の中位の値、lowは最高値の1/3程度の低位の値を示している。
なお、本実施例は搬送速度Vを変化させて(ヘッド間距離は一定)、異なる2色のドットの吐出時間差を変えたものであるが、ヘッド間距離を変化させて(搬送速度Vは一定)吐出時間差を変えてパッチを形成しても良い。
混色判定パターン70のパッチ72は、図5(a)に示すように2色(例えば、CとM)を左右に並べて、それを矩形状に印字(記録)したものである。特に、2色の境界部分72aは、図5(b)に拡大して示すように、混色を調べるために数百ドットを重ね打ちしている。
この2色のインクが混色する様子を図6に示す。図6(a)に示すように、記録紙16上にYインク74を吐出し、少しずらしてCインク76を一部が重なるように吐出する。Yインク74は、記録紙16中に符号74aで示すように浸透して行くとともに、記録紙16表面上では乾燥が進行する。
このとき、Yインク74がまだ定着しない間にCインク76を吐出すると、重なった部分75において混色(滲み)が発生する。そして、図6(b)に示すように、重なった部分75で両色が混ざった(滲みが発生した)ままの状態で定着する。
混色判定プリント出力手段48は、図4及び図5に示したような混色判定パターン70のデータを生成し、あるいは所定のメモリから呼び出してヘッドドライバ36を通じて混色判定パターン70のデータを印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kへ送り、混色判定プリントとして出力するものである。
出力された混色判定プリントの各パッチ72(混色判定用パッチ)は濃度計45によって濃度測定される。この濃度測定の原理を図7に示す。
図7に示すように、RGB発光素子90から射出された微小スポット光91を媒体92上の測定ポイントに当てて、その反射光をCCD素子等の受光素子93で受光することによって微小部分における濃度測定を行うことができる。このときRGB発光素子としては、例えばハロゲンランプにフィルタを組み合わせたもの等が考えられる。
または、例えば図7(b)に示すようにRGB発光素子94から射出されたエリア光95を媒体92の測定ポイントに当てて、その反射光をレンズ96でエリアCCD97上に集光して測定するようにしてもよい。
この測定は、図5(a)に示すように2色の境界部分72aを、図の縦方向にN等分(例えば10等分以上)に分割して、矢印Fで示すように左右にスキャンすることによって行われる。さらに詳しく言うと、この濃度測定は、図5(a)に矢印Dで示す、ドット重ね打ち部分(図5(b)参照)の3倍程度の領域を、左右に毎秒50〜100μm程度の
微小走査することによって行われる。
濃度計45による測定結果は混色判定手段49に送られるようになっている。混色判定パターン70を出力した混色判定プリントの各パッチ72(混色判定用パッチ)の濃度測定結果の1例を図8にグラフで示す。図5(a)の各矢印Fに沿った走査に対してこのような濃度プロフィールを示すグラフが1つずつ得られることになる。実線で示したのがそれぞれCインク及びMインクの混色(滲み)が発生したときの濃度であり、一点鎖線で示したのが混色のない理想状態における濃度である。
混色判定手段49の平均値/標準偏差算出手段51は、Mの最高濃度Mmax に対して所定の閾値、例えば60%の濃度点PM と、Cの最高濃度Cmax に対して所定の閾値、例えば60%の濃度点PC との距離dを算出し、1つのパッチ72に対して、縦方向にN等分(10等分以上)した複数箇所で行われた各走査に対して得られる各距離dの標準偏差σd及び平均値av( d)を計算する。この距離dの標準偏差σdあるいは平均値av( d)が小さい程混色が少ないことになる。
そして、混色判定手段49は、図9に示すように、この計算した標準偏差σd及び平均値av( d)の少なくとも一方が最小となるような搬送速度Vと定着エネルギーEの組み合わせを、パラメータ設定手段46に送る。
パラメータ設定手段46は、この標準偏差σd及び平均値av( d)の少なくとも一方が最小となるような搬送速度Vと定着エネルギーEの組み合わせを、記録紙16におけるこの2色のインクに対する混色を回避するための最適なパラメータとして設定する。またパラメータ設定手段46は、このパラメータを媒体種検出手段25及びインク種検出手段28から送られた記録紙16の種類及びインクの種類と対応付けて記憶しておく。
ここで、標準偏差σdが最小となるような搬送速度Vと定着エネルギーEの組み合わせを選ぶのは、視覚上の混色とのリンクを考慮したためであり、平均値av( d)が最小となるものを選ぶのは、混色による解像度低下がこの平均値av( d)に反映されると考えられるからである。このようにして混色を最も少なくすることができる。
このように、混色の最も少ないエネルギーE(定着エネルギーあるいは硬化エネルギー)と搬送速度Vを設定することにより、印字ヘッド間距離Sが一定であるとすれば、定着エネルギーEによる定着時間t1あるいは硬化エネルギーEによる硬化時間t2に対し、S/V>t1あるいはS/V>t2を満たすようにすることができる。
以下、本実施形態の作用を図10のフローチャートに沿って説明する。
まず、図15のステップS100において、インクジェット記録装置10に記録紙16を供給するためのマガジン22を装填する。前述したように、マガジン22には、装填されている記録紙16の種類等の情報が記録された情報記録体が媒体種検出ノッチ22aに取り付けられており、この情報を媒体種検出手段25で読み取る。媒体種検出手段25によって読み取られた情報は、パラメータ設定手段46に送られる。一方で、インク種検出手段28によりインクの種類が検出され、検出されたインク種の情報は同様にパラメータ設定手段46に送られる。
次のステップS110において、パラメータ設定手段46は、送られた媒体種情報等に対応する最適パラメータがすでに設定され、記憶されているか否か判断する。その媒体種等に対応する最適なパラメータが存在する場合には、ステップS120へ進み、パラメータ設定手段46内に記憶されている、その最適パラメータ(搬送速度V、定着(硬化)エ
ネルギーE)を呼び出して、それぞれ搬送制御手段40、定着制御手段42及び必要に応じてヘッド間距離制御手段38等に設定する。
一方、検出された媒体種等に対応する最適なパラメータが存在しない場合には、最適なパラメータを設定するための混色判定パターンを作成するためにステップS130に進む。なお、マガジン22に情報記録体が取り付けられていない場合や、取り付けられていても媒体種検出手段25で読み取れなかった場合には、例えば、ダミーの媒体種をパラメータ設定手段46に送り、対応する最適パラメータが存在しないとして、同様にステップS130へ進むようにする。
ステップS130においては、前述したような方法で、隣り合った各印字ヘッド(12Yと12C、12Cと12M、12Mと12K)に対して、搬送速度V(吐出時間差)及び定着エネルギーEを複数段階変えて各パッチを出力し、図4に示すような混色判定パターンを作成する。
次に、ステップS140において、濃度計45で混色判定パターンの各パッチの、特に境界部分の濃度を測定し、図8に示すような濃度プロフィールを採集する。測定した濃度プロフィールは、混色判定手段49へ送られる。
次にステップS150では、混色判定手段49の平均値/標準偏差算出手段51において、前述したように各濃度プロフィールを用いて各色の最高濃度値の60%の濃度点間の距離の平均値av( d)及び標準偏差σdを算出し、これらの少なくとも一方を最小とするような搬送速度V及び定着エネルギーEの組合わせを選び、パラメータ設定手段46において、これを最適パラメータとして設定するとともに記憶しておく。
次にステップS160において、これらの最適パラメータを用いて画像記録(プリント)が行われる。また、ステップS110において、最適パラメータが存在するとしてステップS120でこの最適パラメータを設定した場合も、ステップS160でプリントが行われる。
このように本実施形態によれば、予め記録媒体及びインクの種類に応じて、混色を回避するための最適なパラメータを設定しておくことにより、後は記録媒体の種類等を検出するのみで、容易に混色を回避することができる。また、記録媒体の種類を検出できない場合でも、混色判定用パターンを作成して混色判定プリントを出力して、これを濃度測定して濃度プロフィールを得て、これに基づいて混色回避に最適なパラメータを設定することにより、混色を回避して高画質な画像記録を行うことができる。
また、本実施形態において、濃度計45で混色判定パターン70を濃度測定した後の処理として次のような方法も考えられる。
すなわち、濃度計45で上と同様にして測定した濃度プロフィールを混色判定手段49へ送り、混色判定手段49において、2色の濃度プロフィールにおいて所定閾値(例えば、最高濃度に対し60%の濃度点等)となる点間の距離dを算出し、複数の測定で得られた複数の濃度プロフィールにおけるこの距離dの標準偏差σd及び平均値av( d)を算出する。
そして、算出した各距離dの標準偏差σd及び平均値av( d)に対して、図11に示すような対応関係にある目標値(例えば、距離の平均値としては図5(a)あるいは図8に示す重ね打ち長さDの2倍等)、補正係数a1、a2、及び重み係数b1、b2を決定する。この補正係数及び重み係数は以下説明する混色を判定するための評価値を算出するた
めの要素(ファクター)に対して掛けられるものである。
ここで、重み係数b1、b2は、画像データ(記録データ)を基に記録モード検出手段53によって検出された記録モードにより、例えば図12に示すように、文字データと画像の組み合わせを記録するモードと、画像のみを記録するモードに対応して決定される。例えば、テキストと画像を両方記録するモードの場合には、重み係数b1、b2はb1=b2=1と平等とし、画像モードの場合には、b1=2、b2=1と重み係数b1の方を大きく設定する。
そしてこれらの値を用いて次の式(1)で与えられる混色判定関数によって混色を判定する。
混色判定関数f = σd×a1×b1 + |av( d)−D|×a2×b2
・・・(1)
すなわち、この混色判定関数fの値を、混色を判定するための評価値とし、この値が小さいほど混色が少ないと判定される。そこで、パラメータ設定手段46は、この混色判定関数fの値が最小となるようなパッチ72に対応する相対的搬送速度V及び定着エネルギーEの組み合わせを混色回避に最適なパラメータとして設定する。
また、以上説明したように混色判定パターンを作成し、これを用いて、前述した不等式S/V>t1あるいはS/V>t2を満たし、混色を回避する最適なパラメータを記録媒体種に対応づけて設定する方法の他に、直接に、ヘッド間距離S(SCY、SMC、SKM)、搬送速度V、定着時間t1あるいは硬化時間t2(定着エネルギーあるいは硬化エネルギー)を上記不等式を満たすように制御することによって、混色を回避するようにしてもよい。この場合、各記録媒体種に対する、定着エネルギーと定着時間t1との関係、あるいは硬化エネルギーと硬化時間t2との関係は予め取得しておくものとする。
ヘッド間距離S(印字ヘッド12Yと12C間の距離SCY、印字ヘッド12Cと12M間の距離SMC、印字ヘッド12Mと12K間の距離SKM)は、ヘッド間距離制御手段38によって制御される。例えば、定着時間t1が決まっている場合に、吐出時間差を短くしようとして、搬送速度Vを速くする場合に、ヘッド間距離Sを大きくする必要が生ずる。
また、印字ヘッド12Y等が記録紙16の全幅方向に対応する長尺ラインヘッドで構成されている場合に、搬送方向下流側のヘッド配置を記録紙16の浸透圧減少に合わせて、ヘッド間距離Sを長くするように配置するようにしてもよい。さらに、記録紙16のインク浸透量に合わせて定着制御手段42により定着・硬化手段20を制御して、乾燥を強化するようにしてもよい。
また、本実施形態において、印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kの配置は、浸透・乾燥が遅く、定着時間の長いインクを使用しているヘッド、あるいは硬化エネルギー量の大きいインクを使用しているヘッド程、搬送方向上流側に配置するようにすることが好ましい。さらにヘッド間距離Sを変えたり、搬送速度Vを変えて印字を行う場合に、記録画像が所定のドットピッチとなるように、各印字ヘッド12Y、12C、12M、12Kの吐出周波数を制御することが好ましい。吐出周波数の制御は、搬送制御手段40から搬送速度情報を受けて、周波数制御手段44によって行われる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置110の印字ヘッドの付近を拡大して示す平面図を含む混色回避制御に係る制御手段を示すブロック図である。
図13に示すように、第2実施形態の印字ヘッド112は、記録紙116の幅方向に往復運動しながら画像記録を行うシャトル型ヘッドである。このとき、印字ヘッド112は、記録紙116の幅方向の一方の端から他方の端まで一方向に移動するときにのみ画像記録を行い、他方の端まで移動した後、再びこちら側の一方の端までもどってくるときには画像記録は行わない。
印字ヘッド112には、YMCKの各色のインクを吐出する各色毎のノズル列112Y、112C、112M、112Kが印字ヘッド112の移動方向(記録紙116の幅方向)に対して略垂直な方向に平行に並んで配置されている。各色毎のノズル列112Y、112C、112M、112Kは、印字ヘッド112の記録時の移動方向の上流側からこの順で各隣接したノズル列間距離S(ノズル列112Yとノズル列112C間のノズル列間距離SCY、ノズル列112Cとノズル列112M間のノズル列間距離SMC、ノズル列112Mとノズル列112K間のノズル列間距離SKM)を変更可能な状態で配列されている。
各ノズル列112Y、112C、112M、112Kのそれぞれの下流側には、定着・硬化手段120がこれらと平行に配置されている。
また、記録紙116は、印字ヘッド112が記録を行いながら記録紙116の幅方向の一方の端から他方の端へ向かって移動しているときには静止している。そして、印字ヘッド112が記録紙116の幅方向の一方の端から他方の端まで記録を終了し、再びこちら側の一方の端までもどってくるときには、記録紙116は印字ヘッド112がいま記録した記録紙116の幅方向の帯状の領域の幅(ノズル列112Y等の幅)に相当する分だけ記録紙116幅方向と垂直な方向に搬送されるようになっている。
このように、本実施形態においては、印字ヘッド112がシャトル型ヘッドであるため、前述した第1実施形態とは異なり、画像記録時には記録紙116は静止して印字ヘッド112のみが移動する。この印字ヘッド112の移動方向が上記第1実施形態における(記録紙16と印字ヘッド12との)相対的搬送方向に相当する。
また、図13に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置110も、前述した第1実施形態と同様に、混色回避制御に係る手段として、ノズル列間距離制御手段138(第1実施形態のヘッド間距離制御手段38に対応)、ノズルドライバ136(第1実施形態のヘッドドライバ36に対応)、搬送制御手段140、定着制御手段142、周波数制御手段144、パラメータ設定手段146、混色判定プリント出力手段148及び濃度計145と混色判定手段149等を有している。なお、ノズルドライバ136は、各ノズル列におけるインク吐出を制御するもので、第1実施形態のヘッドドライバ36に対応する。
ノズル列間距離制御手段138は、本実施形態においては、各ノズル列112Y、112C、112M、112K間の距離(具体的には、ノズル列112Yと112C間の距離SCY、ノズル列112Cと112M間の距離SMC、ノズル列112Mと112K間の距離SKM)そのものを可変とする。
また、搬送制御手段140は、相対的搬送速度として印字ヘッド112の記録時の移動速度(吐出時間差)Vを制御する。
なお、定着制御手段142、周波数制御手段144、パラメータ設定手段146及び混色判定プリント出力手段148及び混色判定手段149の働きについては前述した第1実施形態と同様であり、詳しい説明は省略する。
結局、本実施形態は第1実施形態のフルライン型ヘッドがシャトル型ヘッドに変わり、第1実施形態において各色毎のノズル列が別々のラインヘッド上に配置されていたのが、4色すべてのノズル列が1つのシャトル型ヘッド上に配置されるようになった点が異なっている。各ノズル列間の距離が可変であることや、印字ヘッド(ノズル列)と記録媒体との相対的搬送方向との関係は同じである。
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様の混色回避制御が可能であり、本実施形態の作用も基本的に第1実施形態と同様である。簡単に本実施形態の作用を説明すると以下のようになる。
混色判定プリント出力手段148において、図4、図5に示したような混色判定パターンを作成し、このデータをノズルドライバ136を介して印字ヘッド112へ送り、混色判定プリントを出力する。この出力された混色判定プリントの混色判定用パッチを濃度計145で濃度測定する。測定で得られた濃度プロフィールは混色判定手段149に送られる。混色判定手段149においては、2色の濃度プロフィールにおいて所定閾値(例えば、最高濃度に対し60%の濃度点等)となる点間の距離dを算出し、複数の測定で得られた複数の濃度プロフィールにおけるこの距離dの標準偏差σd及び平均値av( d)を算出し、例えばこれらの値av( d)、σdの少なくとも一方が最小となるような搬送速度及び定着エネルギーが抽出され、パラメータ設定手段146に送られる。
パラメータ設定手段146は、これらの値を各制御手段の制御パラメータとして各制御手段に対して設定するとともに記憶しておく。これにより印字ヘッド112の相対的搬送速度(記録紙116幅方向への移動速度)V、各ノズル列間距離SCY、SMC、SKM、定着・硬化手段120の定着エネルギーEの少なくとも1つ以上がプリセットされる。こうして混色回避制御に最適なパラメータが設定されると、シャトル型ヘッドである印字ヘッド112を駆動してプリントが行われる。
次に本発明の第3実施形態について説明する。
図14は、本発明の第3実施形態としてのインクジェット記録装置の概略を示す、一部ブロック図を含む概略構成図である。
図14に示すように、インクジェット記録装置210は、主に、インクの色(イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K))毎に設けられた複数の印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kと、給紙部214から記録媒体である記録紙216を印字ヘッド212Y等へ搬送する搬送部218と、記録紙216上に吐出されたインクを定着させる定着・硬化手段220等を有して構成される。
記録紙216は、図14に示したものでは、給紙部214のマガジン222に装填されたロール紙(連続用紙)をカッター224で所定長に切断して用いるようにしているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図14のように、裁断用のカッター224が設けられており、該カッター224によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター224は不要である。
マガジン22から送り出される記録紙216は、マガジン222に装填されていたこと
による巻き癖が残り、カールする。図示は省略したが、このカールを除去するために、デカール処理部を設けてマガジンの巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム等で記録紙216に熱を与え、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
搬送部218は、ローラ226、227間に無端状のベルト229が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字ヘッド212K等のノズル面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト229は、記録紙216の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図14に示したように、2つのローラ226、227の間に掛け渡されたベルト229の内側において、印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kのノズル面に対向する位置には吸着チャンバ230が設けられており、この吸着チャンバ230をファン232で吸引して負圧にすることによって、ベルト229上の記録紙216が吸着保持される。
ベルト229が巻かれているローラ226、227の少なくとも一方(例えば図14に示すように、左のローラ226)にモータ234の動力が伝達されることにより、ベルト229は、図14において反時計回りに駆動され、ベルト229上に保持された記録紙216は図14の右から左へと(相対的)搬送速度Vで搬送されるようになっている。
印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kは、各色(YCMK)に対応し、前述した第1実施形態と同様に、それぞれが複数のノズルを配列したノズル列を有し、記録紙216の全幅を担うように、各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kの長手方向を記録紙216の幅方向に並べた構成で、最大紙幅に対応する長さを有するフルライン型ヘッドとなっている。また、各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kの間にはやはり記録紙216の全幅に対応する長さを有する定着・硬化手段220がそれぞれ配置されている。
各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kには、それぞれノズル列(図示省略)が複数配列されノズルが2次元マトリクス状に配列されている。また、印字ヘッド212Yの搬送方向上流側のノズル列と印字ヘッド212Cの搬送方向上流側のノズル列との間の距離をこれら2色Y、C間のノズル列間距離SCYといい、同様に印字ヘッド12Cのノズル列と印字ヘッド12Mのノズル列との間のノズル列間距離SMC、印字ヘッド12Mのノズル列と印字ヘッド12Kのノズル列との間のノズル列間距離SKMを同様に定義する。これらのノズル列間距離SCY、SMC、SKMは可変であり自由に制御することができるようになっている。
図14に示すように、記録紙216の搬送方向(図の右から左方向)に沿っ上流側からY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の順に各色インクに対応した印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kが配置されている。記録紙216を搬送部218によって搬送しつつ各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙216上にカラー画像を形成することができる。
各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kは、ヘッドドライバ236によってインク吐出が制御される。また、各印字ヘッド212Y、212C、212M、212K間に設けられる定着・硬化手段220は、印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kから記録紙216上に吐出されたインクを定着させるものであり、使用されるインクに応じて好適な手段が用いられる。
定着・硬化手段220は、図14に示すように4つの印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kのそれぞれの間に設置され、各印字ヘッドから吐出されたインクを定着させ、引き続いて次の印字ヘッドからその上あるいは近傍にインクが吐出されても各インクが混色しないようにするものである。
本実施形態は、各色用の印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kの各ノズル列間距離(SCY、SMC、SKM)の制御、記録紙216の(相対的)搬送速度の制御、定着・硬化手段220におけるインクの定着エネルギーを制御することによる定着時間の制御という3種類の制御量の制御のうち、少なくともいずれか1つ以上の制御を行うことによって、インクの混色を防止しつつ高速で記録を行うようにするものである。
なお、本実施形態では、実際にノズル列間距離を可変にする場合には、印字ヘッド毎の距離を可変にすることで各ノズル列間距離を可変にしているため、ノズル列間距離の制御を印字ヘッド間距離の制御と言っても同じである。
さらに本実施形態では、ノズル列間距離(印字ヘッド間距離)、相対的搬送速度及び定着時間(定着エネルギー)を制御して混色を回避する際、特に最も速く記録できるような各制御量の最適値をパラメータとして設定することにより、混色を防止するとともに、同時に高速で記録することが可能となる。
このため、本実施形態のインクジェット記録装置210は、上に述べたものの他に、混色回避制御に係る手段として、ノズル列間距離(印字ヘッド間距離)を制御するノズル列間距離制御手段238、記録紙216の相対的搬送速度Vを制御する相対的搬送速度制御手段240(以下、単に搬送制御手段240と言う)、定着・硬化手段220の定着エネルギーを制御してインクの定着時間を制御する定着制御手段242、相対的搬送速度が可変された場合に記録画像のドットピッチを揃えるための周波数制御手段244、各制御手段が最適な制御をなすように制御パラメータを設定するためのパラメータ設定手段246を有している。また、搬送制御手段240が相対的搬送速度Vを制御するために、相対的搬送速度Vを検出するためのエンコーダ241が、ローラ226に設置されている。
ノズル列間距離制御手段238は、各色の印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kを紙搬送方向に移動して隣接した印字ヘッド間の距離(一つの印字ヘッド上に形成されたノズル列と隣接した印字ヘッド上に形成されたノズル列とのノズル間距離SCY、SMC、SKM等)を変えることにより、各印字ヘッド212Y、212C、212M、212K(のノズル列)から記録紙216へのインク吐出タイミングを制御するものである。
搬送制御手段240は、ロータリエンコーダ241の検出信号に基づいて、モータ234の回転数を制御するものである。このとき、後述するようにパラメータで最適な相対的搬送速度Vが設定されている場合には、記録紙216の相対的搬送速度がその速度となるようにモータ234の回転を制御する。
定着制御手段242は、例えば、定着・硬化手段220が熱を付与する装置であればその設定温度を変更することにより付与する熱エネルギーを制御したり、また例えば熱風を送るファンの回転数を変更したりして、記録紙216上のインクの定着エネルギーを制御することによって定着時間t1を制御するものである。
周波数制御手段244は、記録紙216の相対的搬送速度Vが変更された場合に、それに合わせて各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kからのインク吐出タイミングを制御して記録画像が所定のドットピッチの画像となるようにするものである。
本インクジェット記録装置210によって出力された後述する混色判定プリントによりオペレータは目視によってインクの混色を判定し、その判定結果をインクジェット記録装置210に設置された操作盤のキーボード等の混色判定結果入力手段から入力する。パラメータ設定手段246は、入力された混色判定結果に基づいてノズル間距離制御手段238、搬送制御手段240及び定着制御手段242の少なくとも一つを制御するために各制御手段に最適なパラメータを設定するためのものである。
なお、以上説明した実施形態に係るインクジェット記録装置210においては、定着制御手段242により定着・硬化手段220を制御して記録紙216上に吐出されたインクを定着させて混色を防ぐようにしているが、例えば、UV光の照射を受けることによって重合反応を起こし硬化するUV硬化インクあるいは一般に電磁輻射線硬化インクを用いて、これに電磁輻射線を照射する照射装置等の硬化手段221を前記定着・硬化手段220の代わりに設置して、これを硬化制御手段243により制御することによりインクを硬化させてインクの混色を防止するようにしてもよい。
以下、定着制御手段242及び定着・硬化手段220を用いた場合について説明するが、図14に示すように、これの代わりに硬化制御手段243及び硬化手段221を用いてもよく、その場合にも制御は全く同様である。すなわち、硬化制御手段243は、例えば硬化手段221の照射光量や照射領域を変更して記録紙216上のインクの硬化エネルギーを制御することにより硬化時間t2を制御するようにしてもよい。
図15は、インクジェット記録装置210のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置210は、通信インターフェース250、システムコントローラ252、画像メモリ254、モータドライバ256、ヒータドライバ258、プリント制御部260、画像バッファメモリ262、ヘッドドライバ236等を備えている。
通信インターフェース250は、ホストコンピュータ264から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース250にはUSB、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ264から送出された画像データは通信インターフェース250を介してインクジェット記録装置210に取り込まれ、一旦画像メモリ254に記憶される。画像メモリ254は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ252は、通信インターフェース250、画像メモリ254、モータドライバ256、ヒータドライバ258等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ252は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ264との間の通信制御、画像メモリ254の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ234やヒータ266を制御する制御信号を生成する。
モータドライバ256は、システムコントローラ252からの指示にしたがってモータ234を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ258は、システムコントローラ252からの指示にしたがって印字後の記録紙216を乾燥させる後乾燥部(図示省略)等のヒータ266を駆動するドライバである。
プリント制御部260は、システムコントローラ252の制御に従い、画像メモリ254内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字制御信号(印字データ)をヘッドドライバ236に
供給する制御部である。プリント制御部260において所要の信号処理が施され、該画像データに基いてヘッドドライバ236を介して印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部260には画像バッファメモリ262が備えられており、プリント制御部260における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ262に一時的に格納される。なお、図15において、画像バッファメモリ262はプリント制御部260に付随する態様で示されているが、画像メモリ254と兼用することも可能である。また、プリント制御部260とシステムコントローラ252とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ236はプリント制御部260から与えられる印字データに基いて各色の印字ヘッド212K、212C、212M、212Yのアクチュエータを駆動する。ヘッドドライバ236にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでもよい。
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置210は、この他に、隣り合った印字ヘッド(本例では図14に示すように、印字ヘッド212Yと212C、印字ヘッド212Cと212M、印字ヘッド212Mと212Kが該当する。)のノズル列間距離SCY、SMC、SKMを制御するノズル列間距離制御手段238、記録紙216の相対的搬送速度Vを制御する搬送制御手段240、定着・硬化手段220の定着エネルギーを制御して記録紙216に吐出されたインクの定着時間t1を制御する定着制御手段242、相対的搬送速度Vが変更された場合にそれに応じてインク吐出周波数を制御する周波数制御手段244、各制御手段を制御するためのパラメータを設定するパラメータ設定手段246及び詳しくは後述する混色判定プリントを出力するための混色判定用パターンを形成してヘッドドライバ236を通じて印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kから混色判定プリントを出力する混色判定プリント出力手段248等を有している。
ここで、周波数制御手段244及び混色判定プリント出力手段248は、プリント制御部260内に設けられ、システムコントローラ252によって制御されるようになっている。
次に、混色防止かつ高速記録のための最適なパラメータを各制御手段に対して設定する方法について説明する。そのために、まず混色を判定するための混色判定用パターンの作成について説明する。
この混色判定用パターンは、オペレータが目視によって混色を判定するためのものであり、図14に示すように本インクジェット記録装置210における隣り合った2つの印字ヘッド212Yと212C、212Cと212M、212Mと212Kのノズル列から吐出される各2色のインク(Y(イエロー)とC(シアン)、CとM(マゼンタ)、MとK(黒))がどのように混ざり合うかを判定するために、相対的搬送速度V及び定着エネルギーEを変えてこれら2色のインクを並べて記録することによって作成される。
図16に、目視による混色判定用のパターンの例を示す。図16に示すように、混色判定パターン80は、相対搬送速度V及び定着エネルギーEをそれぞれ高(max)、中(mid)、低(low)の3段階に変化させて記録したものであり、各隣り合ったインク2色の組み合わせ毎に9通りの混色判定パターンから成るパッチ82から形成されている。ここで、搬送速度V及び定着(硬化)エネルギーEの3段階のmaxは最高速度(あるいは最高エネルギー)、midは最高値の2/3程度の中位の値、lowは最高値の1/
3程度の低位の値を示している。
また、図16に示すように、各2色の組み合わせ毎に9通りあるそれぞれのパッチ82に対してそれぞれYC01〜YC09、CM01〜CM09、MK01〜MK09のように番号(符号)を付しておき、パラメータ設定時に用いるようにする。
混色判定パターン80の各パッチ82は、図17に示すように2色(例えば、YとC)を左右に並べて、しだいに幅が狭くなる帯状(矩形状)に印字した解像度チャートである。特に、2色の境界部分は、混色を調べるために数ドット(1ドット乃至2ドット)重ね打ちしている。また、図17に示すように、例えば帯状の各領域の幅が最初はY及びCそれぞれ1[mm]ずつ打って、しだいに幅を狭くしていき最後はY及びCそれぞれ0.1[mm]となるようにしている。
混色判定プリント出力手段248は、図16及び図17に示したような混色判定パターン80のデータを生成し、あるいは所定のメモリから呼び出してヘッドドライバ236を通じて混色判定パターン80のデータを印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kへ送り、混色判定プリントとして出力するものである。
このように混色判定プリントとして出力された混色判定パターンを用いてオペレータが目視で混色判定を行い、各2色の組み合わせ毎に最も混色が少なく解像度が高いパッチを抽出して、そのパッチの番号をパラメータ設定手段246から入力する。これにより、記録紙216とインクの組み合わせに対し、搬送速度(吐出時間差)V及び定着エネルギーEの最良のパラメータを設定することができる。
このように、混色が最も少なく解像度の最も高い定着エネルギーEと搬送速度Vの組み合わせを選ぶことにより各2色の組み合わせに対応したノズル列間距離S(SCY、SMCまたはSKM)及び前記定着エネルギーEに対応する定着時間t1に対し、S/V>t1を満たすようにすることができ、このように設定したパラメータによって制御を行って画像記録を行うことにより混色を回避した画像記録が実現される。
以下、本実施形態の作用を図18のフローチャートに沿って説明する。
まず、図18のステップS200において、インクジェット記録装置210に記録紙216を供給するためのマガジン222を装填する。次のステップS210において、混色判定プリントを出力する。混色判定プリントは、混色判定プリント出力手段248において図16に示すような混色判定パターン80のデータを作成してヘッドドライバ236を介して印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kから出力する。
次にステップS220において、オペレータは出力された混色判定プリントにより目視で各インクの混色を判定する。そして各2色の組み合わせ毎に最も混色が少なく解像度の高い搬送速度Vと定着エネルギーEの組み合わせによるパッチを抽出する。
次のステップS230において、オペレータは上で抽出したパッチについて図16に示すようなパッチの番号を選び、その番号をキーボード等(図示省略)の混色判定結果入力手段から入力する。パラメータ設定手段246は、各パッチの番号に対応した各ノズル列間距離S、相対的搬送速度V、定着時間t1(定着エネルギー)の制御パラメータを保持しており、オペレータによって混色判定結果入力手段から入力された番号に対応する各制御パラメータを各制御手段に設定する。そしてステップS240において、設定されたパラメータによりプリントが実行される。
このように、本実施形態においては、図17に示すような解像度チャートによる混色判定パターンを用いてオペレータが目視で混色判定するようにしているため、確実に混色を回避することのできる制御パラメータを設定することができ、一度混色判定を行ってパラメータを設定すれば、後はそのパラメータによって混色の発生を回避した画像記録を高速で実行することが可能となる。
また、本実施形態では、各印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kは、図14に示すような配置となっているが、この配置は、浸透・乾燥が遅く、定着時間の長いインクを使用しているヘッド、あるいは硬化エネルギー量の大きいインクを使用しているヘッド程、搬送方向上流側に配置するようにすることが好ましい。このように印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kを配置することによって、ある印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kから記録紙216上に吐出されたインクが次の(下流側の)印字ヘッド212Y、212C、212M、212Kに達した時の乾燥あるいは硬化状態を均一にすることができ、効率的に混色を回避することができる。
なお、前述したように、硬化制御手段243により硬化手段221の硬化エネルギーを制御して硬化時間t2を制御するようにした場合には、硬化エネルギーE、搬送速度V、ノズル列間距離Sの少なくとも一つを制御して、S/V>t2を満たすようにして混色を回避するように制御してもよい。
以上述べた各実施形態においては、ノズル群をインク色で分けた各印字ヘッドあるいは各ノズル列で構成し、各印字ヘッドあるいは各ノズル列のインク吐出時間差が各印字ヘッド間あるいは各ノズル列間におけるインク吸収時間より長くなるように制御することによって、記録媒体表面でのインクの混色を防止することが可能となった。
また、この吐出時間差をインク吸収時間よりも長くするための具体的な制御方法として、各印字ヘッド間(ノズル列間)の距離が、記録媒体のその間の搬送時間がインク吸収時間以上となるように各印字ヘッド(各ノズル列)を配置する方法、各印字ヘッド間(各ノズル列間)の記録媒体の搬送時間以内にインクが定着するような定着エネルギーを付与し、またはUVインク、ソリッドインク等の硬化型インクを硬化させる硬化エネルギーを付与する方法、及び各印字ヘッド間(ノズル列間)における記録媒体のインク吸収時間、インク硬化時間に合わせて記録媒体の相対的搬送速度を設定するようにする方法等が考えられ、これらの方法によって、記録媒体表面上でのインクの混色を回避するとともに、高速での記録を可能とすることができる。
以上、本発明の混色判定方法並びに画像記録方法及び装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
10…インクジェット記録装置(画像記録装置)、12Y、12C、12M、12K…印字ヘッド、14…給紙部、16…記録紙、18…搬送部、20…定着・硬化手段、22…マガジン、22a…媒体種検出ノッチ、24…カッター、25…媒体種検出手段、26、27…ローラ、28…インク種検出手段、29…ベルト、30…吸着チャンバ、32…ファン、34…モータ、35…混色判定装置、36…ヘッドドライバ、38…ヘッド間距離制御手段、40…搬送制御手段、41…エンコーダ、42…定着制御手段、43…硬化制御手段、44…周波数制御手段、45…濃度計、46…パラメータ設定手段、48…混色判定プリント出力手段、49…混色判定手段、51…平均値/標準偏差算出手段、53…記録モード検出手段、138、238…ノズル列間距離制御手段