JP2007184432A - 半導体積層構造及びその上に形成された半導体素子の製造方法 - Google Patents

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常正 田口
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Abstract

【課題】 横方向成長の会合部分から発生する結晶欠陥から半導体表面に伝播する貫通転位密度が低減された半導体積層構造及び得られた高品質の半導体積層構造上に形成された半導体素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】 半導体積層構造の製造方法において、基板10上に直線部を含む周期的な第1マスク層21を形成し、前記基板10上の前記第1マスク層21が形成されていない領域に島状に第1半導体層12を形成し、前記第1半導体層12から第2半導体層13を結晶成長させ、前記第2半導体層13上に前記直線部に沿って点対称の形状で周期的な第2マスク層22を形成し、前記第2半導体層13から第3半導体層14、16を結晶成長させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体積層構造及びその上に形成された半導体素子の製造方法に関する。
現在、III族窒化物半導体デバイスの多くはサファイア基板、あるいは炭化珪素基板上へのヘテロエピタキシャル成長により実現されている。しかし窒化ガリウム結晶とこれらの基板との間の大きな格子定数差、熱膨張係数差により、基板界面に非常に高密度の転位が発生し、この転位は貫通転位となって半導体表面にまで達する。それ故LEDのような発光素子を作製した場合、発光素子の重要部分である活性層中に高密度の貫通転位が残存することになる。従来の発光素子の材料であるAlGaAsやAlGaInPのLEDに比べ、青色InGaN−LEDは高密度の転位が存在しているにもかかわらず、高効率で発光し、転位の影響を受け難いと言われてきた。しかしInGaN−LEDの発光効率は青色波長域をピークに短波長化しても長波長化しても減少し、380nm以下の近紫外域では急速に発光効率が減少していた。特に短波長域では転位が非発光再結合中心として働き、高密度の転位を持ったInGaN−LEDは発光波長が短くなるに従って発光効率が低下する。近紫外域の高効率LEDを実現するためには、転位密度の低減が必須である。
転位密度の低減の手段として、基板面に沿った横方向成長を利用して、結晶欠陥の少ない窒化物半導体を作製出来ることが報告されている。初期の横方向成長方法は、基板又は基板上の半導体層の一部を誘電体マスクで覆うことにより、下からの貫通転位を止め、マスク上に低密度欠陥の半導体層を形成する。しかしマスクで覆われていない部分の上の半導体層には貫通転位が残り、高密度欠陥部となっていた。
最近、上記の簡便な横方向成長を改良し、優れたIII族窒化物半導体の結晶成長法が報告されている。例えば、PENDEO法では、基板上に成長した窒化物半導体層をフォトリソグラフィーとドライエッチング技術を用いて、窒化物半導体を残して、あるいは基板が露出するまで溝加工を施して、基板上にパターン化された窒化物半導体層を形成し、窒化物半導体層の側壁から横方向成長を行っている(特許文献1及び非特許文献1を参照)。さらには凹凸平坦部からの縦方向成長を抑制するため、平坦部にマスク層を形成する方法も提案されている。半導体側壁から主に横方向成長した窒化物半導体表面には転位は伝播しないので、極めて結晶欠陥密度の低い半導体表面が得られる。
一方、FACELO法では、基板に直接、あるいは基板上に成長した窒化物半導体層上に窓部が形成されたストライプ状のマスク層を形成し、成長条件を調整することでファセット構造を形成し転位の伝播方向を横方向に曲げている(特許文献2、特許文献3及び特許文献4を参照)。次に成長条件を変更して、隣接する半導体層と会合するまで横方向成長を継続する。会合部分の下には空隙が形成され、横方向に伝播した転位はここで終端し、窒化物半導体表面には転位は伝播せず、低欠陥密度の表面が得られる。Y.Honda et al., Jpn. J.Appl. Phys. 40 (2001) L309の文献では、もはや横方向成長同士の会合部分上以外では、結晶欠陥に由来するエッチピットが存在しないことが示されている。
上記2例の他にも、横方向成長を利用した低転位密度の半導体表面を持つ結晶成長方法が数多く考案されている。しかしながら、これらの複数個所より横方向成長させて半導体層を形成する成長方法においては、成長する半導体層同士の会合部分の存在は避けることができない。会合部分は原子レベルできれいに接合せず結晶欠陥を生ずる。この結晶欠陥は貫通転位となり、引き続きその上に成長を続けても欠陥は半導体表面まで達する。従って、このような会合を有する半導体層上に発光素子や電子デバイスを作製しても、良好な素子特性は得られない。
横方向成長の会合部分から発生する結晶欠陥低減方法については、これまで数例の報告があるのみである。特許文献5では、会合部分の欠陥に着目し会合部分から表面に伝播する転位をストライプパターンのマスクで覆い、さらに選択成長させることで表面欠陥を低減することができるとしている。しかしながら、このマスク上で再度会合部分が発生するので、このようなプロセスを何度繰り返しても会合部分の欠陥が生じる。特許文献6では、隣接する横方向成長が会合する前に成長を止め、結晶欠陥の少ない横方向成長した結晶端側にデバイスを作製するということが開示されている。しかし、この方法では平坦な半導体表面を得ることが不可能であり、この上にデバイスを作製することは困難である。また横方向成長により形成された会合部分の間隔は大きくても数十ミクロンであり、その部分を避けて、例えばLEDの重要部位である活性層を作製することは困難である。
また、特許文献7は、マスク層を一方の側面に有する凸部状結晶層から横方向成長させた場合、露出した側面からのみ成長するために、横方向成長が非対称に形成されることを開示している。そのため、会合部分は凸部中央ではなく、凸部とマスク層の境界付近に存在するため、低欠陥密度領域の幅を大きくとれる。しかしながら、この方法では、凸部中央の会合部分が凸部端にずれただけであり、半導体積層構造表面の欠陥密度は低減されない。
また、特許文献8では、傾斜した断面を持つマスクを提案している。会合部分の下の空隙が抑制され横方向成長を薄くすることができ、また、斜めファセットによって、転位が伸びる方向が転換されて転位数が低減されることを開示している。しかしながら、この断面形状を持つマスクを作製するには複雑なプロセス工程を経ることになり、歩留まりが低下する。また、会合部分での結晶欠陥の発生を避けることは不可能であり、仮に発生する欠陥数を抑制する効果があったとしても、一旦発生した貫通転位を低減することはできず、根本的な解決法には至っていない。
特表2003−511871号公報 特開2002−170778号公報 特開2003−77847号公報 特開2003−124124号公報 特開2002−33282号公報 特開2002−334842号公報 特開2002−289539号公報 特開2004−297010号公報 K.Linthicum etal., Appl. Phys. Lett. 75 (1999) 196
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、横方向に成長した半導体層同士が会合する部分から発生する転位を抑えることができる半導体積層構造及びその上に形成された半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は、半導体積層構造の製造方法に係り、基板上に直線部を含む周期的な第1マスク層を形成する工程と、前記基板上の前記第1マスク層が形成されていない領域に島状に第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層から第2半導体層を結晶成長させる工程と、前記第2半導体層上に前記直線部に沿って点対称の形状で周期的な第2マスク層を形成する工程と、前記第2半導体層から第3半導体層を結晶成長させる工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第2の側面は、半導体積層構造の製造方法に係り、基板上に直線部を含む周期的な第1マスク層を形成する工程と、前記基板上の前記第1マスク層が形成されていない領域に島状に形成された第1半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層から第2半導体層を結晶成長させる工程と、前記第2半導体層上に前記直線部に沿って点対称の形状で周期的な溝を形成する工程と、前記溝を埋め込むように前記第2半導体層から第5半導体層を結晶成長させる工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の第3の側面は、半導体素子を作製する方法に係り、上記の製造方法により半導体積層構造上に半導体素子を製造することを特徴とする。
本発明によれば、横方向に成長した半導体層同士が会合する部分から発生する転位を抑えることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、本明細書において「A層の上に形成されたB層」又は「Aの上に形成されたB層」という表現は、A層又はAの上面にB層の底面が接するようにB層が形成されている場合と、A層又はAの上面に1以上の層が形成され、さらにその層の上にB層が形成されている場合の両方を含む。また、A層又はAの上面とB層の底面が部分的に接していて、その他の部分ではA層又はAとB層の間に1以上の層が存在している場合も、上記表現に含まれる。また「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る第1の半導体積層構造の製造方法を示す断面図である。C面サファイア基板10をMOCVD装置に入れ、水素と窒素混合ガス雰囲気中で温度を1100〜1200℃に上げる。その後、前記温度以下に温度を下げ、トリメチルガリウムとアンモニアを導入し、窒化ガリウムバッファー層(図示せず)を成長する。再度成長温度を1100〜1200℃に上げ、窒化ガリウム層11を好ましくは1.0〜5.0μm成長し、図1(1)に示すような窒化ガリウムテンプレート基板を作製する。
窒化ガリウム層11は別の窒化物半導体層、窒化物半導体多層膜層、あるいは窒化物半導体超格子層とすることも可能であり、不純物を添加してもよい。
上記のテンプレート基板をMOCVD装置から取り出し、スパッタや電子ビーム蒸着又はプラズマCVD等の化学気相成長法により、このテンプレート基板表面に酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜の膜厚は特に限定されないが、0.1〜1.0μmであることが好ましい。次いでフォトリソグラフィー技術とドライエッチング又はウェットエッチングにより、酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜に開口部を形成し、テンプレート基板上に周期的に形成された、直線部を含む第1マスク層21を形成する。第1マスク層21の形状は特に限定されないが、例えば、平行なストライプパターン状や格子状に形成することができる。第1マスク層21間に形成された開口部は、第1半導体層を結晶成長するために用いられる。
第1マスク層21のマスク幅は、例えば0.2〜40μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。また、第1マスク層21の開口幅は、例えば0.2〜40μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。第1マスク層21は、基板10上に成長する窒化ガリウム層11の<11−20>方向と平行な方向、もしくは<1−100>方向と平行な方向に形成することが好ましい。
次いで、上記のテンプレート基板をMOCVD装置内に戻し、第1半導体層としての窒化ガリウム層12を第1マスク層21間の開口部からファセット成長させて島状に形成する。成長温度は900〜1000℃が好ましい。引き続き成長条件を変更して第2半導体層としての窒化ガリウム層13を横方向成長させる。これによって、隣接する窒化ガリウム13同士が会合して、図1(2)に示すような会合部分31を有する平坦な半導体積層構造が得られる。
また、基板10上に窒化ガリウム層11を設けずに、基板10上に直接、第1マスク層21を形成することも可能である。この場合は第1マスク層21を形成した後にMOCVD装置に投入し、バッファー層を介して窒化ガリウム層12を成長させる。しかしながら、窒化ガリウム層11を設ける方が直接基板10から窒化ガリウム層12を成長させるよりも結晶品質の点からは好ましい。
次いて、MOCVD装置から前記半導体積層構造を取り出し、窒化ガリウム層13上にスパッタや電子ビーム蒸着、もしくはプラズマCVD等の化学気相成長法により酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜の膜厚は特に限定されないが、0.1〜1.0μmであることが好ましい。
MOCVD装置内でも窒化ガリウム層13の成長が終了した後に、引き続いて、シランガス、酸素又は窒素を用いて酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成することは可能であるが、コンタミネーションや装置内の汚れを考慮すると、別の装置で堆積させることが好ましい。
次いで、フォトリソグラフィー法により所定のパターンのレジストを形成する。簡便なドライエッチングやRIE(反応性イオンエッチング)等により酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜をエッチングし、図1(3)に示すように、窒化ガリウム層13の会合部分31上に点対称の形状を有する第2マスク層22を形成する。具体的には、第2マスク層22の形状は、孤立した形状において点対称である形状、すなわち円形、楕円形又は多角形であることが好ましく、前記点を中心点とした時、中心点から外周まで距離のうち、最も長いものをa、最も短いものをbとした時に、a≦10bを満たすような方向性の弱い形状であることがより好ましい。これらのうち円形が最も好ましいが、横方向成長条件によっては結晶方位により成長速度が異なる場合があり、このような時は楕円形を用いるのが好ましい。例えば基板10面に沿った方向のうち、最も大きな横方向成長速度cを有する第1の方向と、基板10面に沿った第1の方向と直角である第2の方向の横方向成長速度dである成長条件下で横方向成長させる場合は、楕円率c/dを有する楕円形を第1の方向と長径が平行となるよう配置する。また多角形の場合には円形又は楕円形に近いほうがより好ましく、六以上の角を有する形状が好ましい。
第2マスク層22は、会合部分31に沿った方向に一直線状に数珠繋ぎとなって、会合部分31を覆っている。このとき、第2マスク層22が会合部分31を最大限に覆うように、孤立した点対称の第2マスク22の中心点が会合部分31の直上にあることが好ましい。ここで、一直線状や数珠繋ぎとは、複数の前記孤立した形状の配置に関するものであって、一次元的にある方向へ規則正しい周期で配置することをいう。また個々の孤立した形状同士は接触はしていないが、会合部分31の転位を低減するためにできるだけ距離は近いほうが好ましく、前記形状同士の間隔は0.1〜1μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。
ここで、円形、楕円形又は多角形にパターニングされたマスク層又は溝を用いることによって、結晶欠陥を低減した半導体積層構造については、数多くの提案が成されている。例えば、特開平11−238687号公報及び特表2001−520169号公報では、六角形や円形のマスク開口部から再成長させることにより、結晶欠陥や歪が低減されることが開示されている。しかしながら、個々の開口部から再成長した結晶層同士がマスク開口部以外で会合し、新たな結晶欠陥が発生するという問題がある。
また、特開2001−94216号公報及び特開2005−229134号公報では、六角形や円形の凸部から再成長させ、前記凸部表面では再成長結晶層が凸部中心で成長を終端するため結晶欠陥や歪が低減されることが開示されている。しかしながら、これらも上記と同様、凸部上部の結晶欠陥は低減されるが、個々の凸部から再成長した結晶層同士が凸部以外で会合し、新たな結晶欠陥が発生するという問題がある。
さらに、特開2002−208757号公報及び特開2003−282447号公報では、六角形や円形の溝から再成長させ、前記溝上部では再成長結晶層が溝中心で成長を終端するため結晶欠陥や歪が低減されることが開示されている。しかしながら、これらも上記と同様、溝上部の結晶欠陥は低減されるが、個々の溝から再成長した結晶層同士が溝以外で会合し、新たな結晶欠陥が発生するという問題がある。
上記に挙げた提案は全て、基板又は基板上の半導体層表面に、六角形や円形のマスク開口部や凸部又は溝を半導体表面に対して一様に配置したものであり、本実施形態のように、一直線上に数珠繋ぎとなったパターンとは明らかに異なる。
また、上記提案ではマスク開口部や凸部又は溝を半導体表面に対して一様に配置することによって、ストライプパターンを用いた横方向成長技術では得られない、均一な結晶欠陥密度の半導体表面を得ること及びウェハー全面への歪の分散を目的としている。
しかしながら、上述のように、再成長半導体層同士の会合部分は避けることができないため、均一な結晶欠陥密度が得られても結晶欠陥密度自体は決して満足できるものではない。
これに対して、本実施形態では、第1マスクに含まれる直線部に沿って点対称の形状で周期的に形成された第2マスクを用いることで、基板表面に一次元的に限定された箇所に集中した、横方向成長の会合部分から発生する結晶欠陥を低減することができ、結晶欠陥密度が極めて少ない半導体積層構造を得ることができる。
第1マスク層21及び第2マスク層22はドライエッチングを用いなくても、所定のパターンのレジスト形成後、フッ酸系溶液によりウェットエッチングにより形成可能である。もしくはリフトオフを利用しても良い。
第2マスク層22の直径は、第1マスク層21のストライプパターンの周期以下であればよいが、第1マスク層21のストライプパターンの周期の半分以下であることが好ましい。すなわち第1マスク層21の幅がe、第1マスク層21の開口部の幅がf、第2マスク層22の直径をgとすると、g<(e+f)を満たさなければならない。第2マスク層22の直径gは、1〜80μmであることが好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましい。
次いで、上記のテンプレート基板を再度MOCVD装置に投入し、図1(4)に示すように、窒化ガリウム層13の表面開口部から第3半導体層としての窒化ガリウム層14を主に横方向成長させ、第2マスク層22の中心付近で成長を終端させる。この時、できるだけ窒化ガリウムの横方向成長速度が面方位に因らないような成長条件で実施する。成長温度は1000〜1100℃が好ましい。これにより、窒化ガリウム層13の会合部分31に沿って形成されていた結晶欠陥を、第2マスク層22及び窒化ガリウム層14が覆い、新たな結晶欠陥の発生は第2マスク層22上の中心部だけとなり、半導体積層構造表面に向かう貫通転位を大幅に低減することができる。
[第2の実施形態]
本発明の好適な第2の実施形態について説明する。図2は本実施形態に係る第2の製造方法を示す断面図である。第2マスク層22が窒化ガリウム層13の会合部分31に沿って形成されるところまでは、図2(1)〜(3)に示すように第1の実施形態と同様なので、それ以降について説明する。
MOCVD装置にて、窒化ガリウム層13の表面開口部から第3半導体層としての窒化ガリウム層16を縦方向成長させる。窒化ガリウム層16の膜厚は特に限定されないが、0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましい。また、成長温度は900〜1000℃であることが好ましい。第2マスク層22上には窒化ガリウム層16が成長しないので、図2(4)に示すように第2マスク層22と同様の形状を有する溝17が形成される。
次いで、成長条件を変更し、図2(5)に示すように、窒化ガリウム層16の溝17の壁から第4半導体層としての窒化ガリウム層18を横方向成長させ、第2マスク層22を覆い、溝17の中心付近で成長を終端させる。この時、できるだけ窒化ガリウムの横方向成長速度が面方位に因らないような成長条件で実施する。成長温度は1000〜1100℃が好ましい。これにより、窒化ガリウム層13の会合部分31に沿って形成されていた結晶欠陥を、第2マスク層22及び窒化ガリウム層18が覆い、新たな結晶欠陥の発生は第2マスク層22上の中心部だけとなり、半導体積層構造表面に向かう貫通転位を大幅に低減することができる。
但し、この場合は、窒化ガリウム層18を溝17の中心で成長を終端した後も成長を続けると、窒化ガリウム層18は窒化ガリウム層16表面を覆い始め、ついには隣接する窒化ガリウム層18と会合する。この場合、新たな会合部分で結晶欠陥を発生するため、図2(6)に示すように、会合する前に成長を終了させる必要がある。
[第3の実施形態]
本発明の好適な第3の実施形態について説明する。図3は本実施形態に係る第3の製造方法を示す断面図である。窒化ガリウム層13が横方向成長し、会合することで平坦な半導体積層構造が得られるところまでは、図3(1)、(2)に示すように、第1、2の実施形態と同様なので、それ以降について説明する。
図3に示すように、該半導体積層構造上に、スパッタや電子ビーム蒸着、あるいはプラズマCVD等の化学気相成長法により酸化シリコン又は窒化シリコン膜を形成する。次いで、フォトリソグラフィー技術とドライ又はウェットエッチングにより、所定のパターンのマスク層(不図示)を形成する。次に、例えばRIEやICP−RIE等のドライエッチングにより、窒化ガリウム層13の会合部分31上に点対称の形状を有する第1溝23を周期的に形成する。具体的には、第1溝23の形状は、孤立した形状において点対称である形状、すなわち円形、楕円形又は多角形であることが好ましく、前記点を中心点とした時、中心点から外周まで距離のうち、最も長いものをa、最も短いものをbとした時に、a≦10bを満たすような方向性の弱い形状であることがより好ましい。これらの形状のうち、円形が最も好ましいが、横方向成長条件によっては結晶方位により成長速度が異なる場合があり、このような時は楕円形を用いるのが好ましい。例えば、基板10面に沿った方向のうち、最も大きな横方向成長速度cを有する第1の方向と、基板10面に沿った第1の方向と直角である第2の方向の横方向成長速度dである成長条件下で横方向成長させる場合は、楕円率c/dを有する楕円形を第1の方向と長径が平行となるよう配置することが好ましい。また、多角形の場合には円形又は楕円形に近いほうがより好ましく、六以上の角を有する形状が好ましい。第1溝23を形成した後はフッ酸系の溶液でマスク層を取り除き、図3(3)の構造が得られる。
第1溝23の深さは特に限定されず、好ましくは0.5μm以上であり、基板を露出させても構わないが、1.0〜5.0μmの深さがより好ましい。第1溝23の加工は一直線状に数珠繋ぎとなっていて、窒化ガリウム層13の会合部分31に沿って、会合部分31を覆うように形成される。ここで、一直線状や数珠繋ぎとは、複数の前記孤立した形状の配置に関するものであって、一次元的にある方向へ規則正しい周期で配置することをいう。また、個々の孤立した形状同士は接触はしていないが、会合部分の転位を低減するためにできるだけ距離は近いほうが好ましく、前記形状同士の間隔は0.1〜1μmであることが好ましく、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。
第1溝23の直径は第1マスク層21のストライプパターンの周期以下であればよいが、第1マスク層21のストライプパターンの周期の半分以下であることが好ましい。すなわち、第1マスク層21の幅がe、第1マスク層21の開口部の幅がf、第1溝23の直径をhとすると、h<(e+f)を満たさなければならない。第1溝23の直径hは、1〜80μmであることが好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましい。
次いで、上記の半導体積層構造をMOCVD装置に投入し、図3(4)に示すように、窒化ガリウム層13の第1溝23の壁を核として第5半導体層としての窒化ガリウム層15を横方向成長させ、第1溝23の中心付近で成長を終端させる。この時、できるだけ窒化ガリウムの横方向成長速度が面方位に因らないような成長条件で実施する。成長温度は1000〜1100℃が好ましい。これにより、窒化ガリウム層13の会合部分31に沿って形成されていた結晶欠陥を窒化ガリウム層15が覆い、新たな結晶欠陥の発生は第1溝23上の中心部だけとなり、半導体積層構造表面に向かう貫通転位を大幅に低減することができる。
この場合も第2の実施形態と同様、窒化ガリウム層15を第1溝23の中心で成長を終端した後も成長を続けると、窒化ガリウム層15は窒化ガリウム層13表面を覆い始め、ついには隣接する窒化ガリウム層15と会合する。すると新たな会合部分に結晶欠陥が発生するため、図3(5)に示すように、会合する前に成長を終了させる必要がある。
図4に、該会合部分上に形成されたマスク層又は溝上に、結晶方位に因らず一様な成長速度で半導体層を横方向成長させ、マスク又は溝上の中心付近で終端し、会合部分に直線状に分布した結晶欠陥が覆われる様子を示す。六角以上の多角形のマスク層又は溝においても、同様に該結晶欠陥が覆われる。
しかしながら、会合部分に平行な方向の横方向成長速度が、会合部分に垂直な方向の横方向成長速度よりも速い場合には、該会合部分に平行な方向に長径を持つ楕円形パターンを使用するのが好ましい。
逆に、会合部分に平行な方向の横方向成長速度が、会合部分に垂直な方向の横方向成長速度よりも遅い場合には、該会合部分に垂直な方向に長径を持つ楕円形パターンを使用するのが好ましい。
多角形パターンを使用する場合は、角の部分が会合部分に沿った方向に配しても良く、また直線部分が会合部分に沿った方向に垂直であっても良い。あるいは基板面に沿った方向において、ランダムな方向とすることも出来、上述の円形パターンと同様に、会合部分に沿った方向とそれに垂直な方向の横方向成長速度に合わせて、縦長あるいは横長の多角形とすることも出来る。
これまで第1〜3の実施形態について説明した。従来の技術と異なる点は、横方向成長の会合部分上に周期的に形成された、点対称形状のマスク層や溝を用いて、横方向成長をマスク層上や溝の中心付近で終端させ、半導体表面に伝播する貫通転位を低減することにある。これにより極めて高品質の半導体積層構造が得られる。しかしながら、図5(1)に示すように、数珠繋ぎ状のマスク層や溝同士は接触しないので、僅かではあるが会合部分は完全には覆えない。従って、マスク層や溝の中心、及びマスク層や溝同士の会合部分に沿った方向の距離の分だけ、転位が残留する。
そこで、上記プロセスを複数回繰り返せば、会合部分の結晶欠陥をさらに低減することが可能である。この場合、会合部分に沿って実施したマスク層又は溝のパターニングの位置を、その都度会合部分に沿った方向にずらすことで達成される。2回目のパターニングと結晶欠陥が低減される様子を図5(2)に示す。上述した半導体表面に一様に配した円形又は六角形のパターニングでも、特開2001−94216号公報、特開2003−282447号公報又は特開2005−229134号公報では、複数回のプロセスを繰り返すことで、より結晶欠陥を低減することができることを開示している。
しかしながら、これらの技術においては、円形又は六角形のマスク開口部、凸部あるいは溝の内側では、半導体層の再成長が中心付近の一点で終端するため、パターン内側の結晶欠陥は低減することができるが、パターン外側ではパターンの開口部、凸部あるいは溝を核として再成長した半導体層同士が会合するので、何度プロセスを繰り返しても会合部分から結晶欠陥が発生するため、結晶欠陥を大幅に低減することができない。
一方、本実施形態では、残留する貫通転位はパターン中心部とパターン同士の間に限られるため、同プロセスを繰り返すことにより、パターン間の貫通転位は確実に低減することができる。なお、これらのプロセスを繰り返すことはコスト面で不利となるため、繰り返し回数は目的に応じて適宜選択すればよい。
以上、横方向成長した半導体層同士が会合する部分から発生する結晶欠陥が基となり、半導体表面に達する貫通転位の数を低減する方法について述べた。本発明の好適な第1〜第3の実施の形態において、図1〜3の島状に形成された窒化ガリウム層12を、第1マスク層21で横方向成長を制限されたファセット成長としたが、平坦な表面を有する矩形とすることもできる。また、第1マスク層21を形成することなく、基板上に成長した平坦な窒化ガリウム層を窒化ガリウム層の途中、あるいは基板表面が露出するまでエッチングすることにより島状の窒化ガリウム層を形成することもできる。
さらにサファイア基板10の表面を凹凸加工することで、凹凸部から凹凸段差によって横方向成長を制限された島状の窒化ガリウム層を形成することができる。もちろん凹底部にマスク層を形成することも有効である。これらのストライプパターンを用いた島状の窒化ガリウム層の形成方法に関わらず、これを核として横方向成長し、直線状の会合部分を有する全ての半導体成長方法に、本実施形態に係る一直線状の数珠繋ぎとなったマスク層又は溝を適用することが可能である。
また、本発明の第1〜3半導体構造では、サファイア、シリコン、砒化ガリウム、炭化珪素、酸化亜鉛又は窒化ガリウム基板上、あるいはこれらの基板上にAlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)単層膜又は多層膜を成長したテンプレート基板上に、バッファー層を介して、あるいは直接AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)の第1〜5半導体層を成長させることができる。基板の面方位は特に限定されなく、さらにジャスト基板でも良いし、オフ角を付与した基板であっても良い。前記バッファー層は気相成長において、低温又は高温の成長温度で基板上に成長した微結晶あるいはアモルファス窒化物半導体であって、燐や砒素を含んでいても構わない。またレーザーリフトオフを利用して基板と基板上に形成した半導体積層構造を剥離し、自立基板を作製することも可能である。あるいは酸を含む液体中に浸すことでエッチングにより半導体積層構造と基板が分離可能であるような金属窒化物とすることもできる。
前記第1〜5半導体層各層は、単層であっても良いし、組成又はキャリア濃度が異なる多層構造あるいは超格子構造と置き換えることもできる。また厚さ方向にグラジュアルもしくは階段状に組成又はキャリア濃度を変化することも可能である。
また、前記第1〜5半導体層は不純物を添加することによりn型あるいはp型とすることができる。p型の不純物としては、例えばマグネシウムや亜鉛又はカルシウム等が挙げられ、またn型不純物としては、例えばシリコン、硫黄、セレン、テルル又はゲルマニウム等を挙げることができる。
前記半導体積層構造上に発光素子等の半導体素子を作製する場合には、該半導体積層構造の表面に引き続き、発光素子の積層構造を成長しても良いし、前記第1〜5半導体層の全て、もしくは一部を発光素子のn型コンタクト層、n型クラッド層、p型コンタクト層又はp型クラッド層に置き換え、又は兼ねることも可能である。
また、マスク層は酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は高融点金属膜を用いることができる。また、前記マスク層および溝は、フォトリソグラフィーとウェット又はドライエッチング技術、あるいはリフトオフを用いて形成されうる。
以上のように、本発明によれば、会合部分から発生する結晶欠陥を横方向成長する半導体層で覆うことで、半導体積層構造表面に向かう貫通転位を抑えることが出来る。また、円形、楕円形又は多角形の孤立した形状のマスク層又は溝の中心付近で成長が終端するために、新たな会合部分による結晶欠陥の発生は、マスク層又は溝上の中心付近の一点に限定される。そのため、結晶欠陥の少ない半導体積層構造、半導体基板、半導体テンプレート基板が得られる。又これらの上に発光素子等のデバイスを作製すれば、良好な素子特性を得ることが可能になる。さらに、従来の横方向成長技術では極端に低転位密度領域と高転位密度領域が分かれているため、その上に形成するデバイス設計に制約があったが、本発明ではそれを気にすることなく自由に設計することが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体積層構造を製造する方法を説明する断面図の一例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る半導体積層構造を製造する方法を説明する断面図の一例を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る半導体積層構造を製造する方法を説明する断面図の一例を示す図である。 横方向成長が円形パターン上を直線状に分布した結晶欠陥を覆う様子を示す一例を示す図である。 円形のパターンにより結晶欠陥が低減されていく様子を示す一例を示す図である。
符号の説明
10…基板、11〜16…半導体層、17、23…溝、21、22…マスク層、31…会合部分

Claims (15)

  1. 基板上に直線部を含む周期的な第1マスク層を形成する工程と、
    前記基板上の前記第1マスク層が形成されていない領域に島状に第1半導体層を形成する工程と、
    前記第1半導体層から第2半導体層を結晶成長させる工程と、
    前記第2半導体層上に前記直線部に沿って点対称の形状で周期的な第2マスク層を形成する工程と、
    前記第2半導体層から第3半導体層を結晶成長させる工程と、
    を含むことを特徴とする半導体積層構造の製造方法。
  2. 前記第3半導体層を結晶成長させる工程では、該第3半導体層を前記第2半導体層から縦方向に結晶成長させ、
    前記縦方向に結晶成長された第3半導体層から更に横方向に第4半導体層を結晶成長させる工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造の製造方法。
  3. 基板上に直線部を含む周期的な第1マスク層を形成する工程と、
    前記基板上の前記第1マスク層が形成されていない領域に島状に第1半導体層を形成する工程と、
    前記第1半導体層から第2半導体層を結晶成長させる工程と、
    前記第2半導体層上に前記直線部に沿って点対称の形状で周期的な第1溝を形成する工程と、
    前記第1溝を埋め込むように前記第2半導体層から第5半導体層を結晶成長させる工程と、
    を含むことを特徴とする半導体積層構造の製造方法。
  4. 前記点対称の形状は、円形、楕円形及び多角形を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  5. 前記直線部に沿って前記第2マスク層とは異なる位置に第3マスク層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  6. 前記直線部に沿って前記第1溝とは異なる位置に第2溝を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  7. 前記第1マスク層はストライプ状に形成され、
    前記第1半導体層は、前記ストライプ状に形成された第1マスク層の開口部から気相成長法により島状に成長されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  8. 前記第1半導体層は、気相成長法により成長した平坦な表面を又はエッチングにより加工し、島状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  9. 前記第1半導体層は、凹凸加工された基板表面上に気相成長法によって成長され、凹凸の段差によって横方向成長が制限されて島状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  10. 前記第1乃至第3半導体層は、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)であることを特徴とする請求項1に記載の半導体積層構造の製造方法。
  11. 前記第4半導体層は、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)であることを特徴とする請求項2に記載の半導体積層構造の製造方法。
  12. 前記第5半導体層は、AlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)であることを特徴とする請求項3に記載の半導体積層構造の製造方法。
  13. 前記基板は、サファイア、シリコン、砒化ガリウム、炭化珪素、酸化亜鉛及び窒化ガリウムのいずれかを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  14. 前記基板は、サファイア、シリコン、砒化ガリウム、炭化珪素、酸化亜鉛及び窒化ガリウムのいずれかを含む基板上に、単層又は多層のAlxInyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)を成長させたテンプレート基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の半導体積層構造の製造方法。
  15. 請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の製造方法により製造された半導体積層構造上に半導体素子を作製する方法。
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