JP2007180037A - 発光素子、平面発光板、平面発光板の製造方法、平面蛍光ランプ、プラズマディスプレイ - Google Patents

発光素子、平面発光板、平面発光板の製造方法、平面蛍光ランプ、プラズマディスプレイ Download PDF

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弘 横川
Masaru Yokoyama
勝 横山
Kenji Kono
謙司 河野
Kenji Tsubaki
健治 椿
Tetsuo Tsutsui
哲夫 筒井
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Tsutsui Tetsuo
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Abstract

【課題】光を外部に取り出す取り出し率が高く、表面の輝度が高い発光素子を提供する
【解決手段】本発明に係る発光素子は、低屈折率体1の表面に接してPL発光層5を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種ディスプレイ、表示装置、液晶用バックライト等に用いられる発光素子、PL発光を利用した平面発光板及びその製造方法、平面発光板を用いた平面蛍光ランプ及びプラズマディスプレイに関するものである。
近年、情報化社会の進展に伴って、各種のディスプレイが開発されている。その中で、自発光型の電子ディスプレイとして特に期待されているものの一つに、EL素子(エレクトロルミネッセンス素子、電界発光素子)がある。EL素子は物質に電界を印加したときに発光を生じる現象を利用したものであり、無機EL層あるいは有機EL層を電極で挟んだ構造に形成されている。
図7はその一例の有機EL素子の基本構造を示すものであり、ガラス板11の上に酸化インジウム錫(ITO)からなる陽極の透明電極12、有機EL層13、陰極の背面金属電極14を積層した構造に形成されている。このものでは、透明電極12から注入されたホールと背面金属電極14から注入された電子が有機EL層13で再結合し、発光中心である蛍光色素などを励起することにより発光するものである。そして有機EL層13から発光した光は、直接、あるいはアルミニウムなどで形成される背面金属電極14で反射して、ガラス板11から出射する。
ここで、発光素子の内部で発生した光が発光素子の外部へ取り出される取り出し率ηは、古典光学の法則により、屈折率nの媒体中から屈折率1.0の空気中に出射される際の全反射の臨界角θcで決まる。屈折の法則からこの臨界角θcは次の式(1)で与えられる。
sinθc=1/n (1)
そして取り出し率ηは、屈折率nの媒体から空気中へ通過する光量と発生した全光量(媒体と空気の界面で全反射される光量と空気中へ通過する光量の和)の比から次の式(2)で求められる。
η=1−(n−1)1/2/n (2)
尚、媒体の屈折率nが1.5より大きい場合には次の近似式(3)を用いることができるが、媒体の屈折率nが1.00に極めて近い場合は上記の式(2)を用いる必要がある。
η=1/(2n) (3)
ここで、EL素子において有機EL層13や透明電極12の厚みは光の波長より短いので、ガラス板11の屈折率が主として取り出し率ηに寄与することになる。そしてガラスの屈折率nは一般に1.5〜1.6程度であるので、(3)式から、取り出し率ηは約0.2(約20%)になる。残りの約80%はガラス板11と空気の界面の全反射によって導波光として失われているものである。
上記では発光体として無機あるいは有機EL層を用いた例で説明したが、発光体としてPL(フォトルミネッセンス)発光層15を用いたPL発光素子の場合も同様である。すなわち、図8はPL発光素子の基本構造を示すものであり、ガラス板11の上にPL発光層15を積層した構造に形成されている。このものでは、PL発光層15に紫外線などの光が照射されると、PL発光層15が発光し、ガラス板11から出射する。そしてこのものにあっても、上記と同様に取り出し率ηが低く、多くの光は導波光として失われている。
このように、EL素子やPL発光素子内部で発生した発光を大気中に取り出す場合の取り出し率は低く、このことはEL素子やPL発光素子に限らず、内部で発生した面状発光を大気中に取り出す発光素子全般において問題になるものであった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光を外部に取り出す取り出し率が高く、表面の輝度が高い発光素子、並びに平面発光板及びその製造方法を提供することを目的とするものであり、この平面発光板を用いた明るい平面蛍光ランプ及びプラズマディスプレイを提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る発光素子は、低屈折率体1の表面に接してPL発光層5を有することを特徴とするものである。
この発明によれば、PL発光層5で発光した光を大気に取り出すにあたって、低屈折率体1を通過する光は大気への取り出し率が高くなり、光を外部に取り出す取り出し率を高めることができるものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、低屈折率体1がシリカエアロゲル1aであり、シリカエアロゲル1aは疎水化処理されたものであることを特徴とするものである。
この発明によれば、低屈折率体1を1に近い低屈折率に形成することができ、またシリカエアロゲル1aの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
本発明の請求項3に係る平面発光板は、ガラス板11上にPL発光層5を設けて形成され、ガラス板11とPL発光層5との間にシリカエアロゲルの薄膜16が設けられていることを特徴とするものである。
この発明によれば、PL発光層5で発光した光は屈折率が小さいシリカエアロゲル薄膜16を通過してガラス板11に入射するものであり、導波光として失われる率が小さくなって、ガラス板11の表面からの取り出し率が高くなり、表面の輝度が高い平面発光板を得ることができるものである。
本発明の請求項4に係る平面発光板は、ガラス板11上にPL発光層5を設けて形成され、PL発光層5がPL発光材料の粒子を分散又は担持したシリカエアロゲルの薄膜16で形成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、PL発光材料から発光した光はシリカエアロゲル薄膜16からガラス板11に入射するものであり、導波光として失われる率が小さくなって、ガラス板11の表面からの取り出し率が高くなり、表面の輝度が高い平面発光板を得ることができるものである。
本発明の請求項5に係る平面発光板の製造方法は、請求項3に記載の平面発光板を製造するにあたって、ガラス板11上にアルコキシシラン溶液を塗布及び乾燥することによってシリカエアロゲルの薄膜16を形成した後、その上に製膜してPL発光層5を形成することを特徴とするものである。
この発明によれば、アルコキシシラン溶液の塗布・乾燥によってシリカエアロゲル薄膜16の形成を容易に行なうことができ、平面発光板の製造が容易になるものである。
本発明の請求項6に係る平面発光板の製造方法は、請求項4に記載の平面発光板を製造するにあたって、PL発光材料の粒子を分散したアルコキシシラン溶液をガラス板11上に塗布及び乾燥することによって、PL発光層5をシリカエアロゲルの薄膜16で形成することを特徴とするものである。
この発明によれば、PL発光層5を兼用するシリカエアロゲル薄膜16の形成を容易に行なうことができ、平面発光板の製造が容易になるものである。
本発明の請求項7に係る平面蛍光ランプは、請求項3又は4に記載の平面発光板で発光面を形成して成ることを特徴とするものである。
この発明によれば、表面の輝度が高い平面発光板によって、明るい平面発光ランプを得ることができるものである。
本発明の請求項8に係るプラズマディスプレイは、請求項3又は4に記載の平面発光板で発光面を形成して成ることを特徴とするものである。
この発明によれば、表面の輝度が高い平面発光板によって、明るいプラズマディスプレイを得ることができるものである。
本発明によれば、光を外部に取り出す取り出し率が高く、表面の輝度が高い発光素子及び平面発光板を提供することができ、また明るい平面蛍光ランプ及びプラズマディスプレイを提供することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の発光素子の実施の形態の他の一例を示すものであり、シリカエアロゲル1aで形成される低屈折率体1の表面にPL発光層5を設けた構造のPL発光素子を示すものである。
低屈折率体1は、屈折率が1.003〜1.300の範囲の値を持つ透明材料を面状に形成したものである。低屈折率体1の屈折率が1.300を超えるものであると、光の取り出し率ηの高い発光素子を得ることが困難になる。低屈折率体1は屈折率が低いほど望ましいが、後述のシリカエアロゲルを含めて屈折率を小さくするには限界があり、1.003が実用上の下限である。また低屈折率体1の厚みは1.0μm以上であるが、厚みの上限は2mmに設定するのが好ましい。低屈折率体1を2mmを超える厚みで形成しても、後述の光の取り出し率に大差はなく、効率的でないからである。
このような低屈折率体1としては、シリカエアロゲルが最も好ましいものとして用いることができる。シリカエアロゲルは透明で且つ空気並みの屈折率を有するので、前述の式(2)から得られる光の外部への取り出し率ηを1(100%)近くまで向上させることが可能になるものである。
シリカエアロゲルは、米国特許第4402827号公報、同第4432956号公報、同第4610863号公報で提供されているように、アルコキシシラン(シリコンアルコキシド、アルキルシリケートとも称される)の加水分解、重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、アルコールあるいは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによって製造することができる。超臨界乾燥は、例えばゲル状化合物を液化二酸化炭素中に浸漬し、ゲル状化合物が含む溶媒の全部又は一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液化二酸化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、あるいは二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で乾燥することによって、行なうことができる。
またシリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、同第5124364号公報で提供されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造することができる。
ここで、特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報に開示されているように、上記のようにしてアルコキシシランの加水分解、重合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。このように疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
この疎水化処理の工程は、ゲル状化合物を超臨界乾燥する前、あるいは超臨界乾燥中に行なうことができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって疎水化するために行なうものである。疎水化処理を行なう手法としては、例えば、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどしてゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱して、疎水化反応を行なわせる方法がある。
ここで、疎水化処理に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであればよく、これらに限定されるものではない。また後の工程で超臨界乾燥が行なわれる場合、超臨界乾燥の容易な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、液体二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと置換可能なものが好ましい。また疎水化処理剤としては例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
上記のようにして得られるシリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができるが、シリカエアロゲルの透明性等の性能を確保するためには、1.008〜1.18の範囲に屈折率を調整するのが好ましい。
PL発光層5は、光をエネルギーとしてPL(フォトルミネッセンス)発光するPL発光材料で形成されるものであり、無機材料、有機材料、希土類金属錯体などPL発光するものであれば特に制限されることなく使用することができる。図1(a)は低屈折率体1の外側に透明体3を設けていないPL発光素子を、図1(b)は低屈折率体1の外側に透明体3を設けているPL発光素子を、それぞれ示す。
透明体3は発光素子の強度を担持する基板としての作用をなすものであり、その厚みは強度を保持できるものであればよく特に制限されない。このように低屈折率体1に透明体3を付加するようにしても、低屈折率体1は屈折率が1に近いために、光の取り出し率ηを低下させるようなことはない。すなわち、発光した光が一旦、屈折率が1に近く、1.0μm以上の厚みを有する低屈折率体1中に出射されると、この光が屈折率が1よりもはるかに大きい透明体3を通過しても光の全量を空気中に取り出すことができるのは、古典光学の屈折の法則が教えるところである。ここで、透明体3としては、ガラスの他、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の透明樹脂を用いることができる。透明体3とシリカエアロゲル1aによる低屈折率体1を積層する方法は、シリカエアロゲル作製時のゾル−ゲル反応段階で、ディップコーティング法やスピンコーティング法で透明体3の表面にアルコキシシラン溶液をコーティングする方法などを採用することができる。シリカエアロゲル1aによる低屈折率体1の厚みは特に限定されない。
上記のように形成されるPL発光素子にあって、PL発光層5によるPL発光は光をエネルギーとして発光するので、電極を設けて電界を印加する必要はないが、PL発光層5の担持基板として低屈折率体1を用いてPL発光素子を形成するようにしたものである。そしてPL発光層5から発光した光は図1に矢印で示すように、低屈折率体1さらに透明体3から出射するが、シリカエアロゲル1aなどで形成される低屈折率体1は、屈折率が非常に小さくて1に近いので、上記の(2)式から導かれるように、光の取り出し率ηが高くなり、取り出し率ηの優れたPL発光素子を得ることができるものである。
図2は、図1(b)の構成のPL発光素子によって形成した平面発光板の一例を示すものであり、透明体3としてガラス板11を用い、ガラス板11の片側の表面に低屈折率体1としてシリカエアロゲルの薄膜16を積層して設けると共に、シリカエアロゲル薄膜16の表面にPL発光層5を設けて形成してある。ガラス板11の表面へのシリカエアロゲル薄膜16の形成は、既述のシリカエアロゲル作製時のゾル−ゲル反応段階で、アルコキシシラン溶液をディップコーティング法やスピンコーティング法でコーティングし、そして乾燥することによって行なうことができる。
またPL発光層5は上記のようなPL発光材料で形成することができるが、主としてY:Eu(赤)、LaPO:Ce,Tb(緑)、BaMgAl1017:Eu(青)などの無機蛍光体を用いるものであり、必要とする色や、照射される紫外線の波長に応じて適宜選択して使用されるものである。シリカエアロゲル薄膜16の表面にPL発光層5を形成するにあたっては、印刷法やスパッタリング法などで行なうことができる。
印刷法は、蛍光体を必要に応じてポリマーや水と混合してスラリーを調製し、このスラリーをシリカエアロゲル薄膜16の表面に塗布して乾燥した後に、500℃以上の高温で焼成することによって行なうものであり、有機系のスラリーを用いる場合と水系のスラリーを用いる場合がある。有機系の場合は、Y:Euなどの蛍光体と結着剤を有機溶媒に分散させて調製したスラリーを用い、このスラリーをガラス板11の表面に塗布し、500〜600℃で焼成することによって、溶媒をとばしてPL発光層5を形成するものである。また水系の場合は、Y:Euなどの蛍光体と結着剤を増粘剤と純水と界面活性剤の溶液に分散させて調製したスラリーを用い、このスラリーをガラス板11の表面に塗布し、500〜600℃で焼成することによって、水と増粘剤をとばしてPL発光層5を形成するものである。増粘剤は蛍光体の結着力を上げるためのものであり、例えばアルミナゾルを用いることができる。
またスパッタ法は、出力100〜300W、温度200〜400℃、真空度0.7〜1Pa程度の条件に設定して行なうことができる。
PL発光層5の厚みは特に制限されるものではないが、印刷法でPL発光層5を形成する場合は0.1μm〜500μm程度がこのましい。またスパッタ法でPL発光層5を形成する場合は0.05μm〜1μm程度で、薄いほど好ましいが、必要発光量との兼ね合いで適宜設定するのがよい。このようにシリカエアロゲル薄膜16の表面にPL発光層5を形成するにあたって、PL発光層5の蛍光体がシリカエアロゲル薄膜16に浸透し、アンカー効果でPL発光層5を密着強度高くシリカエアロゲル薄膜16に積層することができ、シリカエアロゲル薄膜16を介して強固にPL発光層5をガラス板11に固着することができるものである。
上記のように形成される平面発光板にあって、PL発光層5に紫外線を照射すると、PL発光層5は紫外線によって励起されて発光し、このようにPL発光層5で発光した光はシリカエアロゲル薄膜16を通してガラス板11に入射され、ガラス板11の表面から出射する。ここで、PL発光層5とガラス板11の間に屈折率が1に近いシリカエアロゲル薄膜16が設けられているために、PL発光層5から発光した光は小さい入射角でガラス板11に入射して、ガラス板11の表面から出射するものであり、導波光として失われる率が小さくなって、ガラス板11の表面からの取り出し率が高くなり、平面発光板の表面は輝度が高くなるものである。
図2の実施の形態では、PL発光層5とシリカエアロゲル薄膜16とを別の独立した層として形成したが、図3の実施の形態では、PL発光層5を蛍光体粒子を分散又は担持させたシリカエアロゲル薄膜16で形成し、PL発光層5とシリカエアロゲル薄膜16を一つの層に形成するようにしてある。このようなPL発光層5を蛍光体粒子を分散又は担持させたエアロゲル薄膜16で形成するにあたっては、上記の蛍光体の微粒子を混合したアルコキシシラン溶液を調製し、この蛍光体粒子を混合したアルコキシシラン溶液をガラス板11の表面に既述のようにコーティングして乾燥することによって、行なうことができる。アルコキシシラン溶液への蛍光体粒子の混合比は、アルコキシシラン溶液に対して10〜60容積%程度に設定するのが好ましく、また蛍光体粒子の粒子径としては、特に制限されないが0.1〜100μm程度で、微細なほど好ましい。またこのものでは、蛍光体粒子はシリカエアロゲル中に密に均一に分散した状態で、シリカエアロゲルがバインダーの役割を担ってガラス板11に密着するものである。必要に応じて焼成すると密着性はさらに向上する。
このように形成される平面発光板にあって、PL発光層5でもあるシリカエアロゲル薄膜16に紫外線を照射すると、シリカエアロゲル薄膜16中の蛍光体粒子が紫外線で励起されて発光する。このようにシリカエアロゲル薄膜16で発光した光はガラス板11に入射され、ガラス板11の表面から出射する。このものにあって、光は屈折率が1に近いシリカエアロゲル薄膜16から小さい入射角でガラス板11に入射して、ガラス板11の表面から出射するものであり、導波光として失われる率が小さくなって、ガラス板11の表面からの取り出し率が高くなり、平面発光板の表面は輝度が高くなるものである。
上記のように形成される平面発光板Bは、平面蛍光ランプの発光面として用いることができる。図4(a)(b)はそれぞれ図2や図3の平面発光板Bを用いた平面蛍光ランプの一例を示すものであり、2枚の平面発光板BをPL発光層5やシリカエアロゲル薄膜16を設けた側を対向させて平行に配置し、その四周の側端部間にシール材20を設けることによって、2枚の平面発光板Bとシール材20で囲まれる密閉空間21を形成し、この密閉空間21内に一対の放電電極22が設けてある。密閉空間21内には水銀やあるいはXe、Ne、Kr又はこれらの混合ガスなどの希ガスが封入してある。
このように形成される平面蛍光ランプにあって、放電電極22に電圧を印加してグロー放電させると、放電電極22から放出された熱電子により放電プラズマが生成し、プラズマ中の水銀や希ガスから紫外線が発せられる。この紫外線の波長は励起物質によって異なるが、185nmや254nmであり、この紫外線が平面発光板BのPL発光層5やシリカエアロゲル薄膜16中の蛍光体に照射されると、蛍光体が励起されて可視光が発せられ、平面発光板Bを発光させてランプとしての機能を発現させることができるものである。小型の平面蛍光ランプの場合には、水銀を用いず、希ガスの放電により発生する真空紫外線(波長147nm)で蛍光体を発光させるようにするのがよい。従ってこの場合には蛍光体として真空紫外線に対して励起感度が高いものを用いるのが好ましい。
また上記のように形成される平面発光板Bは、プラズマディスプレイの発光面として用いることができる。図5(a)(b)はそれぞれ図2や図3の平面発光板Bを用いたプラズマディスプレイの一例を示すものであり、誘電体23を挟んだ一対の電極24を表面に設けた基板25の表面に、平面発光板BをPL発光層5やシリカエアロゲル薄膜16を設けた側を対向させて平行に配置し、その四周の側端部間に隔壁26を設けることによって、平面発光板Bと基板25と隔壁26で囲まれる密閉空間27を形成し、この密閉空間27内にNe−Xeガスなどの希ガスが封入してある。
このように形成されるプラズマディスプレイにあって、電極24に電圧を印加してグロー放電させると、電極24から放出された熱電子により放電プラズマが生成し、プラズマ中の希ガスから紫外線が発せられ、この紫外線が平面発光板BのPL発光層5やシリカエアロゲル薄膜16中の蛍光体に照射されると、蛍光体が励起されて可視光が発せられ、平面発光板Bを発光させてディスプレイ表示を行なわせることができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」)とメタノールを質量比47:81で混合してA液を調製し、また水、28質量%アンモニア水、メタノールを質量比50:1:81で混合してB液を調製した。そしてA液とB液を16:17の質量比で混合して得たアルコキシシラン溶液を、厚み1.1mm、屈折率1.55のスライドガラスで形成される透明体3の片側表面上に滴下し、700min−1の回転数で10秒間スピンコーティングした。次いで、アルコキシシランをゲル化させた後、水:28質量%アンモニア水:メタノール=162:4:640の質量比の組成の養生溶液中に浸漬し、室温にて1昼夜養生した。次に、このようにして養生を行なった薄膜状のゲル状化合物を、ヘキサメチルジシラザンの10質量%イソプロパノール溶液中に浸漬し、疎水化処理をした。このようにして透明体3の表面に形成した薄膜状のゲル状化合物をイソプロパノール中へ浸漬して洗浄した後、高圧容器中に入れ、高圧容器内を液化炭酸ガスで満たし、80℃、16MPaの条件で超臨界乾燥をすることによって、透明体3の表面に屈折率1.03、膜厚30μmのシリカエアロゲル1aによる低屈折率体1を形成した。
そして、この低屈折率体1の透明体3と反対側の表面に、アルミキノリノール錯体(トリス(8−ヒドロキノリン)アルミニウム:(株)同仁化学研究所製)を50nmの厚みで真空蒸着してPL発光層5を設け、図1(b)の構造のPL発光素子を作製した。
(比較例1)
シリカエアロゲル1aによる低屈折率体1を形成せずに、スライドガラスで形成される透明体3の片側の表面に、実施例1と同様にしてPL発光層5を設け、PL発光素子を作製した。
実施例1及び比較例1で得たPL発光素子にブラックライト(紫外線)を照射し、透明体3側から蛍光発光を観察した。結果を図6に示す。図6(a)は実施例1のPL発光素子の写真、図6(b)は比較例1のPL発光素子の写真を示すものであり、実施例1のものではPL発光層5で発生した蛍光は、図6(a)にみられるように表面から直接面状に光るのみで、導波光として側端から失われる成分はほとんどないのに対して、比較例1のものでは図6(b)にみられるように側端面が強く発光しており、PL発光層5で発生した蛍光は多くが導波光として側端から失われているものであった。
(実施例2)
屈折率1.55のガラス板11の表面に、シリカ(デグサ社製)1.5gを増粘剤としてニトロセルロースを2.0質量%含む酢酸ブチル17.5gと酢酸ブチル43.3gに分散させたスラリーを塗布し、乾燥させることによって、ガラス板11の表面に保護膜を形成した。
一方、テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」)とメタノールを質量比47:81で混合してA液を調製し、また水、28質量%アンモニア水、メタノールを質量比50:1:81で混合してB液を調製した。そしてA液とB液を16:17の質量比で混合して得たアルコキシシラン溶液を、ガラス板11の保護膜を形成した表面上に滴下し、スピンコーターの回転室にこのガラス板11を入れ、ガラス板11を回転させてガラス板11の表面にアルコキシシラン溶液をスピンコーティングした。ここで、スピンコーターの回転室には予めメタノールを入れてメタノール雰囲気になるようにしてあり、またガラス板11の回転は700rpmで10秒間行なった。このようにアルコキシシラン溶液をスピンコーティングした後、3分間放置してアルコキシシランをゲル化させ、次いでこの薄膜状のゲル状化合物を形成したガラス板を、水:28質量%アンモニア水:メタノール=162:4:640の質量比の組成の養生溶液中に浸漬し、室温にて1昼夜養生した。次に、ガラス板11の表面に形成した薄膜状のゲル状化合物をイソプロパノール中へ浸漬することで洗浄した後、高圧容器中に入れ、高圧容器内を液化炭酸ガスで満たし、80℃、16MPa、2時間の条件で超臨界乾燥をすることによって、ガラス板11の表面に膜厚20μmのシリカエアロゲル薄膜16を積層して形成した。
次に、Y:Eu(蛍光体粒子)24gとアルミナゾル(日産化学社製結着剤)12mgを、3.0質量%濃度のポリエチレンオキサイド水溶液(増粘剤)25gと純水5gと0.5質量%濃度の界面活性剤水溶液の混合液に分散させたスラリーを調製し、このスラリーをガラス基板11のシリカエアロゲル薄膜16を形成した表面に塗布し、600℃で10分間焼成を行なって、溶媒や増粘剤を除去することによって、Y:Euからなる厚み30μmのPL発光層5を形成し、図2の構造の平面発光板Bを作製した。
(実施例3)
実施例1と同様にしてガラス板11の表面に保護膜及びシリカエアロゲル薄膜16を形成した。次にシリカエアロゲル薄膜16の表面に、400℃、0.7Pa、200Wの条件でスパッタリングすることによって、厚み100nmのY:Euを製膜してPL発光層5を形成し、図2の構造の平面発光板Bを作製した。
(実施例4)
テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製「メチルシリケート51」)とメタノールを質量比47:81で混合してA液を調製し、また水、28質量%アンモニア水、メタノールを質量比50:1:81で混合してB液を調製した。そして蛍光体粒子としてY:Euを用い、蛍光体粒子とA液とB液を40:29:31の容積比で混合することによって、蛍光体粒子を分散したアルコキシシラン溶液を調製し、混合開始後1分30秒、混合終了後50秒経過した時点で、実施例1と同様にして保護膜を形成したガラス板11の表面に滴下し、実施例1と同様にしてスピンコーティングした。さらに実施例1と同様にしてゲル化、養生、超臨界乾燥して膜厚20μmの蛍光体含有シリカエアロゲル薄膜16を形成することによって、図3の構造の平面発光板Bを作製した。
(比較例2)
実施例2と同様にしてガラス板11の表面に保護膜を形成した後、シリカエアロゲル薄膜16を形成することなく、この上に実施例2と同様にして印刷法でY:EuのPL発光層5を形成し、平面発光板を作製した。
(比較例3)
実施例3と同様にしてガラス板11の表面に保護膜を形成した後、シリカエアロゲル薄膜16を形成することなく、この上に実施例3と同様にしてスパッタ法でY:EuのPL発光層5を形成し、平面発光板を作製した。
上記の実施例2〜4及び比較例2,3で得た平面発光板を用いて図4のような平面蛍光ランプを作製した。そして密閉空間にHeとXeの希ガスを封入してグロー放電させることによって発生した147nmの紫外線により、平面発光板を発光させ、平面発光板の表面の輝度を法線に対して45°の角度から測定した。結果を表1に示す。
Figure 2007180037
表1に示すように、各実施例のものは表面の輝度が高く、明るい平面蛍光ランプを得ることができるものであった。
本発明に係る発光素子の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。 本発明に係る平面発光板の実施の形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る平面発光板の実施の形態の他の一例を示す断面図である。 本発明に係る平面蛍光ランプの実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。 本発明に係るプラズマディスプレイの実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)は断面図である。 発光素子の発光状態を写した写真の複写物であり、(a)は実施例1を、(b)は比較例1を示す。 従来のEL発光素子の一例を示す断面図である。 従来のPL発光素子の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 低屈折率体
1a シリカエアロゲル
3 透明体
5 PL発光層
11 ガラス板
16 シリカエアロゲル薄膜

Claims (8)

  1. 低屈折率体の表面に接してPL発光層を有することを特徴とする発光素子。
  2. 低屈折率体がシリカエアロゲルであり、シリカエアロゲルは疎水化処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. ガラス板上にPL発光層を設けて形成され、ガラス板とPL発光層との間にシリカエアロゲルの薄膜が設けられていることを特徴とする平面発光板。
  4. ガラス板上にPL発光層を設けて形成され、PL発光層がPL発光材料の粒子を分散又は担持したシリカエアロゲルの薄膜で形成されていることを特徴とする平面発光板。
  5. 請求項3に記載の平面発光板を製造するにあたって、ガラス板上にアルコキシシラン溶液を塗布及び乾燥することによってシリカエアロゲルの薄膜を形成した後、その上に製膜してPL発光層を形成することを特徴とする平面発光板の製造方法。
  6. 請求項4に記載の平面発光板を製造するにあたって、PL発光材料の粒子を分散したアルコキシシラン溶液をガラス板上に塗布及び乾燥することによって、PL発光層をシリカエアロゲルの薄膜で形成することを特徴とする平面発光板の製造方法。
  7. 請求項3又は4に記載の平面発光板で発光面を形成して成ることを特徴とする平面蛍光ランプ。
  8. 請求項3又は4に記載の平面発光板で発光面を形成して成ることを特徴とするプラズマディスプレイ。
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