JP2007178070A - フィンチューブ - Google Patents

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正佳 臼井
Keimei Kondo
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Abstract

【課題】 製造が容易かつ製造コストが低廉で、放熱性を高めるのに十分な表面積を有するとともに、エッヂが多く、放熱を安定して効率良く行うことができるフィン部材を配設するとともに、フィン部材に形成される板状片を、管部材に無理なく安定して配置することができるフィンチューブを得る。
【解決手段】 帯状の板材2に、この板材2の幅方向と交差する傾斜方向に、複数のスリット3を平行に形成配置するとともに、スリット3を形成しない非形成部4を板材2の両側に設け、板材2をスリット3中央部が突出するよう板材2の長さ方向に折曲してフィン部材1を形成し、このフィン部材1のスリット3の形成方向が管部材5の軸方向と平行になるよう、フィン部材1を管部材5に配置して螺旋状に巻き回す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車用又は建設機械用の油や燃料等の冷却管、居住用空間の温湿度を調整する空調機、食品の鮮度を保って保存する冷凍冷蔵庫、化学設備の反応塔等に広く使用されるフィンチューブに係るものである。
従来より、上記の如く自動車の油冷却管や燃料配管等に用いられるフィンチューブとして、特許文献1に示す如く管部材の外周面に長尺な一定幅の板材を螺旋状に巻き付けて、フィン部材を形成しているものが知られていが、このようなフィン部材は表面が平滑であるため、更に放熱性を高めるためには、より広い表面積が必要となっていた。また、このように形成したフィン部材の表面に流れる流体が整流されるため、このフィン部材の表面に境界層が形成され、放熱による熱交換機能が必ずしも十分なものではなかった。
そこで、特許文献2に示す如く、管材の表面に固定帯を螺旋状に巻き付け、この固定帯と管材の表面との間隔に複数個のピン状のフィン部材を一定間隔で配設することにより、管材にピン部材を突設したものが公知となっている。そして、このように管材の表面にピン状のフィン部材を設けて表面積を広げるとともに、フィン部材の表面に流れる流体に乱流を生じさせて境界層を剥離することにより、放熱による熱交換機能を高めることを目的としている。この従来例は、境界層を剥離して熱交換機能を高める点においては、優れた効果を発揮するものである。
特開平09−42573号公報 特開2003−214792号公報
しかしながら、この特許文献2に示す如きフィン部材は、管部材に巻き付ける固定帯や複数個のピン状のフィン部材を個別に形成しなければならず、また、このようなピン状のフィン部材を一本ずつ管材に配設しなければならないため、製造に手間がかかるとともに、製造コストが高くつくものであった。また、このようなピン状のフィン部材は、各々のピン毎に管部材表面への接着の度合いにバラつきが生じやすいものとなっていたため、各ピン毎の放熱性に差が生じ、効率が安定しないものとなっていた。
本発明は上記の如き課題を解決しようとするものであって、製造が容易かつ製造コストが低廉で、放熱性を高めるのに十分な表面積を有するとともに、放熱を安定して効率良く行うことができるフィン部材を配設したフィンチューブを得ようとするものである。
本発明は上述の如き課題を解決するため、帯状の板材に、この板材の幅方向と交差する傾斜方向に、複数のスリットを平行に形成配置するとともに、スリットを形成しない非形成部を板材の両側に設け、板材をスリット中央部が突出するよう板材の長さ方向に折曲してフィン部材を形成し、このフィン部材のスリットの形成方向が管部材の軸方向と平行になるよう、フィン部材を管部材に配置して螺旋状に巻き回されているものである。
また、スリットは、板材の全幅にわたり傾斜角度を同一としたものであっても良い。
また、スリットは、板材の幅方向と平行に形成した非傾斜部を設けるとともに、この非傾斜部の両端に、板材の幅方向と交差した傾斜部を設けたものであっても良い。
また、非形成部は、板材の全長にわたり連続的に形成したものであっても良い。
また、フィン部材は、非形成部を管部材に溶接、ろう付け、接着などにより接続固定することにより、管部材に固定配置したものであっても良い。
本発明は上述の如く構成したものであって、板材の幅方向に両側を非形成部としてスリットを形成し、このスリット中央部が突出するよう板材を折曲してフィン部材を形成することにより、フィン部材の裏面が伝熱面となり伝熱面積を容易に広げることができる。また、フィン部材に長いエッヂが多数密集して形成され、このエッヂ効果によって、管外側の流体の流れに大きな乱れや渦を発生させることにより境界層を剥離させて、放熱性を高めることが可能となる。
また、このようなフィン部材の非形成部側を管部材の外周面に巻き回すことにより、管部材にフィン部材を容易に配設することができるため、放熱性を高めるのに十分な表面積及びエッヂを有するフィン部材を設けたフィンチューブの製造を容易なものとするとともに、製造コストを低廉なものとすることが可能となる。また、フィン部材は、非形成部を介して連続していることから、管部材からの熱が、フィン部材全体に広く伝達されるため、放熱を安定して効率良く行うことが可能となる。
また、フィン部材のスリットを、板材の幅方向と交差する傾斜方向に多数平行に連続して形成するとともに、このフィン部材を、スリットの形成方向が管部材の軸方向と平行になるよう、管部材に配置して螺旋状に巻き回すことにより、フィン部材に形成された板状片は、捩れを生じることなく、管部材の管軸方向と平行に一定の形状を保って放射状且つ螺旋状に配置されるものとなる。そのため、フィン部材を管部材に螺旋状に巻き回した際の、フィン部材の安定性、及び外観を良好なものとすることができる。
本発明の実施例1を図1〜図4に於いて説明すると、(1)はフィン部材であって、図2に示す如く長尺な帯状の板材(2)にて形成したものである。このフィン部材(1)は、板材(2)の幅方向と交差する傾斜方向に複数のスリット(3)を、一定間隔を介して平行に配置している。また、板材(2)の両側には、スリット(3)を形成していない一定幅の非形成部(4)を、板材(2)の全長にわたり連続的に設けている。また、スリット(3)は板材(2)の全幅にわたり傾斜角度を変化させることなく直線状に形成している。
そして、上記の如くスリット(3)を設けた板材(2)を、図2の一点鎖線に示すスリット(3)の幅方向中央部分において、板材(2)の長さ方向に連続して山折りする。そして更に、図2の二点差線に示す如く、スリット(3)の形成部と非形成部(4)との境界において、非形成部(4)が外方に突出するよう連続して谷折りする。このように板材(2)を折曲することにより、図3に示す如く、断面略V字型のフィン部材(1)が形成される。
また、このフィン部材(1)は板材(2)の両側にそれぞれスリット(3)を形成しない非形成部(4)を、板材(2)の全長にわたって連続的に設けているため、スリット(3)部分においては非連続の状態となっているが、非形成部(4)において連続した状態となっている。そして、上記の如く形成したフィン部材(1)を、以下に示す如く円筒形の管部材(5)に螺旋状に巻き回す。即ち、図4に示す如く、まずフィン部材(1)のスリット(3)の形成方向が管部材(5)の軸方向と平行になるよう、フィン部材(1)を管部材(5)に巻き付け配置する。
そして、フィン部材(1)の非形成部(4)を管部材(5)の外周面に面接触させた状態で、フィン部材(1)を管部材(5)に巻き回すことにより、図1に示す如く、フィン部材(1)は管部材(5)に螺旋状に配置するものとなる。そして、このフィン部材(1)の管部材(5)への巻き回しにより、フィン部材(1)に形成した各スリット(3)の間隔が拡開し、図1に示す如く、各スリット(3)間に多数の板状片(6)がそれぞれ放射状且つ螺旋状に形成される。また、上記の如くフィン部材(1)を管部材(5)に巻き回すとともに、フィン部材(1)の非形成部(4)を管部材(5)の表面に溶接、ろう付け、接着等により接続固定することにより、フィン部材(1)が管部材(5)に固定配置され、本実施例1のフィンチューブ(13)が形成される。
上記の如く、多数の板状片(6)が形成されることによって、フィン部材(1)の裏面も伝熱面となって伝熱面積を広くすることができるとともに、多数の長いエッヂを連続して多数形成することが可能となる。そして、このエッヂ効果によって、管外側の流体の流れに大きな乱れや渦を発生させることにより、フィン部材(1)の表面に流れる流体に乱流を生じさせて境界層を剥離し、放熱性を高めることが可能となる。従って、放熱性を高めるのに十分な表面積及びエッヂを有するフィン部材(1)を固定配置したフィンチューブ(13)を、容易に製造することができるとともに、製造コストを低廉なものとすることができる。
また、上記の如くスリット(3)の形成方向と管部材(5)の軸方向が平行になるよう、フィン部材(1)を管部材(5)に配置しているため、板状片(6)が平面的には全て管部材(5)の軸方向と平行に配置されるものとなる。そのため、フィン部材(1)の板状片(6)を管部材(5)の外周に、捩れを生じさせることなく安定した状態で配置することが可能となり、フィン部材(1)を管部材(5)に螺旋状に巻き回した際の、フィン部材(1)の安定性、及び外観を良好なものとすることができる。
またフィン部材(1)は、非形成部(4)と管部材(5)の外周面との接触部を全長にわたって溶接、ろう付け、又は接着等により固定しているため、この管部材(5)からの熱が非形成部(4)を介して全ての板状片(6)に速やかに伝達されるものとなり、フィン部材(1)全体からの放熱を効率良く行うことが可能となる。
また、上記実施例1では、フィン部材(1)のスリット(3)を、板材(2)の幅方向と交差する傾斜方向に、板材(2)の全幅にわたり傾斜角度を同一にして直線状に形成しているが、本発明の実施例2では、スリット(3)を、板材(2)の幅方向と平行に形成した非傾斜部(7)と、板材(2)の幅方向と交差した傾斜部(8)(9)とで形成している。
本実施例2を図5〜図7において以下に詳細に説明すると、図5に示す如く、本実施例のスリット(3)は、板材(2)の幅方向と平行な非傾斜部(7)を設けるとともに、この非傾斜部(7)の両端に、板材(2)の幅方向と交差するとともに非傾斜部(7)よりも短尺な傾斜部(8)(9)を設けている。また、スリット(3)の一端側の傾斜部(8)と他端側の傾斜部(9)とは、傾斜方向及び傾斜角度をそれぞれ同一としている。また、このようなスリット(3)を、板材(2)に一定間隔を介して複数個平行に連続して形成配置している。
そして、上記の如くスリット(3)を形成した板材(2)を、前記実施例1と同様に、スリット(3)の中央部において山折りするとともに、両端部において谷折りすることにより、断面V字型のフィン部材(1)を形成する。そして、図6に示す如く、フィン部材(1)のスリット(3)の傾斜部(8)(9)の傾斜方向と管部材(5)の軸方向とが平行になるよう、フィン部材(1)を管部材(5)に巻き付け配置し、フィン部材(1)を管部材(5)に巻き回す。これにより、図7に示す如く、フィン部材(1)は管部材(5)に螺旋状に配置される。
そして、フィン部材(1)を管部材(5)に螺旋状に巻き回した際に、図7に示す如く、スリット(3)が拡開して複数の板状片(6)が管部材(5)の外周面に形成される。この板状片(6)は、スリット(3)の傾斜部(8)(9)によって、基端側に板材(2)の長さ方向に対して傾斜した傾斜片(10)(11)が形成されるとともに、スリット(3)の非傾斜部(7)によって、先端側に板材(2)の長さ方向とは垂直な非傾斜片(12)が形成される。また、上記の如くフィン部材(1)を管部材(5)に巻き回すとともに、フィン部材(1)の非形成部(4)を管部材(5)の表面に溶接、ろう付け、接着等により接続固定することにより、フィン部材(1)が管部材(5)に固定配置され、本実施例2のフィンチューブ(14)が形成される。
また上記の如く、フィン部材(1)を管部材(5)に、スリット(3)の傾斜部(8)(9)の形成方向と管部材(5)の軸方向が平行になるよう配置しているため、板状片(6)の傾斜片(10)(11)が管部材(5)の軸方向と平面的には平行に配置されるものとなる。そのため、フィン部材(1)の板状片(6)を、捩れの生じにくい状態で管部材(5)の外周に安定して配置することが可能となり、フィン部材(1)を管部材(5)に螺旋状に巻き回した際の、フィン部材(1)の安定性、及び外観を良好なものとすることができる。
また、板状片(6)は上記の如く非傾斜片(12)及び傾斜片(10)(11)とから成り、前記実施例1の板状片(6)と比較してより複雑な形状であるため、管外流体の流れにより大きな乱れや渦を発生させることが可能となる。そのため、このエッジ効果により放熱性を更に高めることが可能となる。尚、上記実施例1及び本実施例2では放熱の場合について説明したが、吸熱の場合は熱の流れが逆になる。
本発明の実施例1を示すフィンチューブの斜視図。 実施例1の板材の正面図。 実施例1のフィン部材の折曲状態を示す斜視図。 実施例1において、管部材にフィン部材を巻き付け配置する過程の斜視図。 本発明の実施例2を示す板材の正面図。 実施例2において、管部材にフィン部材を巻き付け配置する過程の斜視図。 実施例2を示すフィンチューブの斜視図。
符号の説明
1 フィン部材
2 板材
3 スリット
4 非形成部
5 管部材
7 非傾斜部
8、9 傾斜部
13、14 フィンチューブ

Claims (5)

  1. 帯状の板材に、この板材の幅方向と交差する傾斜方向に、複数のスリットを平行に形成配置するとともに、スリットを形成しない非形成部を板材の両側に設け、板材をスリット中央部が突出するよう板材の長さ方向に折曲してフィン部材を形成し、このフィン部材のスリットの形成方向が管部材の軸方向と平行になるよう、フィン部材を管部材に配置して螺旋状に巻き回されていることを特徴とするフィンチューブ。
  2. スリットは、板材の全幅にわたり傾斜角度を同一としたことを特徴とする請求項1のフィンチューブ。
  3. スリットは、板材の幅方向と平行に形成した非傾斜部を設けるとともに、この非傾斜部の両端に、板材の幅方向と交差した傾斜部を設けたことを特徴とする請求項1のフィンチューブ。
  4. 非形成部は、板材の全長にわたり連続的に形成したことを特徴とする請求項1のフィンチューブ。
  5. フィン部材は、非形成部を管部材に溶接、ろう付け、接着などにより接続固定することにより、管部材に固定配置したことを特徴とする請求項1のフィンチューブ。
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