JP2007177984A - 駆動装置 - Google Patents

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Takahiro Oshiumi
恭弘 鴛海
Mitsutaka Tsuchida
充孝 土田
Kazuya Okumura
和也 奥村
Yoshinori Maeda
義紀 前田
Kansuke Yoshisue
監介 吉末
Akihiro Hosokawa
明洋 細川
Takeshi Ito
健 伊藤
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Abstract

【課題】複数の駆動輪に駆動力差を与えるにあたり、動力発生手段の出力を効率的に車輪へ伝達できること。
【解決手段】第1駆動装置10は、第1、第2遊星歯車装置11L、11Rと、電動機4の出力を第1出力と第2出力とに分割する動力分割機構16とを備える。動力分割機構16によって分割された第1出力は、第1、第2遊星歯車装置11L、11Rのリングギヤ11Lr、11Rrに伝達され、第1、第2遊星歯車装置11L、11Rのサンギヤ11Ls、11Rsに第2出力が伝達される。また、第1、第2遊星歯車装置11L、11Rのキャリア11Lc、11Rcに、第1駆動軸12L、第2駆動軸12Rが取り付けられる。
【選択図】 図2

Description

この発明は、複数の駆動輪に対して駆動力の配分が可能な駆動装置に関する。
近年においては、車両の走行性能、ドライバビリティ、安全性の向上等を図るため、複数の駆動輪、例えば左右輪で駆動力差を発生させることが行われる。例えば、特許文献1には、2台の遊星歯車機構及び2台のモータを備え、駆動力を車両の左右輪に伝達する駆動軸の出力側とモータとをそれぞれの遊星歯車機構のサンギヤ、キャリア、リングギヤのうち2要素に接続し、残りの1要素を車両の左右の駆動輪それぞれに接続して、モータの出力を調整することにより左右輪の駆動力を調整する駆動装置が開示されている。
特開平5−50867号公報
しかし、特許文献1には、左右輪の駆動力を変化させるために用いるモータの動力源が不明であり、モータの出力をどのように発生させるかについては開示されていない。また、動力発生手段である内燃機関や電動機の出力を、駆動装置全体や車両全体でどのように配分するかについては考慮されておらず、動力発生手段の出力を効率的に車輪へ伝達することについては、改善の余地がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の車輪に駆動力差を与えるにあたって、動力発生手段の出力を車輪へ伝達する際の伝達効率を向上させることができる駆動装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、この発明に係る駆動装置は、動力発生手段の出力を第1出力と第2出力とに分割する動力分割機構と、前記第1出力の一部と、前記第2出力の一部とを合成し、駆動力として出力する第1動力合成手段と、前記第1動力合成手段で合成された前記第1出力の残りの出力と、前記第1動力合成手段で合成された前記第2出力の残りの出力とを合成し、駆動力として出力する第2動力合成手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
この駆動装置は、動力分割機構によって内燃機関や電動機等の動力発生手段の出力を分割し、分割した第1及び第2出力を第1、第2動力合成手段で合成する。このような構成により、第2出力の大きさを調整することによって、第1、第2動力合成手段から出力される駆動力を制御できる。これによって、複数の車輪に駆動力差を与えるにあたり、動力発生手段の出力を車輪へ伝達する際の伝達効率を向上させることができる。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記第2出力の一部によって駆動される第1駆動力調整手段と、第1駆動力調整手段を駆動した残りの前記第2出力によって駆動される第2駆動力調整手段と、を備え、前記第1動力合成手段は、前記第1出力の一部と、第1駆動力調整手段を介して出力される前記第2出力の一部とを合成し、また、前記第2動力合成手段は、前記第1動力合成手段で合成された前記第1出力の残りの出力と、前記第2駆動力調整手段を介して出力される、前記第1動力合成手段で合成された前記第2出力の残りの出力とを合成することを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記第1動力合成手段は、サンギヤと、キャリアと、リングギヤとを構成要素として備える第1遊星歯車装置であり、また、前記第2動力合成手段は、サンギヤと、キャリアと、リングギヤとを構成要素として備える第2遊星歯車装置であって、前記動力分割機構は、前記第1出力を前記キャリア又は前記サンギヤ又は前記リングギヤのうちいずれか一つに伝達し、残りの構成要素のうち一つに前記第2出力を伝達し、また、前記第1遊星歯車装置が備える前記サンギヤ又は前記キャリア又は前記リングギヤのうち、前記第1出力及び前記第2出力が伝達されるもの以外に取り付けられる第1駆動軸と、前記第2遊星歯車装置が備える前記サンギヤ又は前記キャリア又は前記リングギヤのうち、前記第1出力及び前記第2出力が伝達されるもの以外に取り付けられる第2駆動軸と、を含んで構成されることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記第2出力によって駆動されることにより、動力伝達流体を吸入して吐出する動力伝達流体供給手段と、前記動力伝達流体供給手段から吐出される動力伝達流体によって駆動され、前記第1遊星歯車装置において前記第2出力が伝達される構成要素に出力を伝達して、前記第1駆動軸の駆動力を調整する第1駆動力調整手段と、前記動力伝達流体供給手段から吐出される作動油によって駆動され、前記第2遊星歯車装置において前記第2出力が伝達される構成要素に出力を伝達して、前記第2駆動軸の駆動力を調整する第2駆動力調整手段と、を備えることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記動力伝達流体供給手段の吐出側と前記第1駆動力調整手段及び第1駆動力調整手段との間に設けられて、前記動力伝達流体の圧力を調整する第1の圧力調整手段と、前記動力伝達流体供給手段の吸入側と前記第1駆動力調整手段及び第1駆動力調整手段との間に設けられて、前記動力伝達流体の圧力を調整する第2の圧力調整手段と、を備えることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記動力伝達流体の温度が上昇するにしたがって、前記第1の圧力調整手段及び前記第2の圧力調整手段の設定圧力を低くすることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記駆動装置が搭載される車両の車速が低くなるにしたがって、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段が発生する出力が小さくなる方向に、前記第1駆動力調整手段が備える第1出力変更手段と前記第2駆動力調整手段が備える第2出力変更手段とを制御することを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記駆動装置が搭載される車両の車速が低くなるにしたがって、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側と出口側との差圧を大きくすることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記駆動装置が搭載される車両の目標ヨーレートと実ヨーレートとに基づいて、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段が発生する出力を決定し、決定された前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段が発生する出力に基づいて、前記動力伝達流体供給手段と、前記第1の圧力調整手段と、前記第2の圧力調整手段と、前記第1出力変更手段と、前記第2出力変更手段とを制御することを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記動力伝達流体供給手段の吐出側における前記動力伝達流体の流量と、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段を流れる前記動力伝達流体の流量との流量収支が成立する場合には、前記第1出力変更手段及び前記第2出力変更手段を動作させてから前記動力伝達流体供給手段の吐出量を変更し、前記流量収支が成立しない場合には、前記動力伝達流体供給手段の吐出量を変更してから、前記第1出力変更手段及び前記第2出力変更手段を動作させることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記駆動装置が搭載される車両の要求総駆動力及び前記車両の舵角に基づいて、前記第1駆動力調整手段又は前記第2駆動力調整手段のうち少なくとも一方の出力を調整することを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記第1駆動力調整手段の出力軸の回転数と前記第2駆動力調整手段の出力軸の回転数との回転数差を求め、前記回転数差の絶対値が所定値以下である場合に、前記動力伝達流体供給手段から動力伝達流体を吐出することを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記駆動装置が搭載される車両において、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段の出力が伝達されない車輪がスリップした場合には、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側と出口側との差圧を、前記車輪がスリップする前よりも大きくすることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記駆動装置が搭載される車両において、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段の出力が伝達されない車輪がスリップした場合には、前記第1の圧力調整手段及び前記第2の圧力調整手段の設定圧力を変更することによって、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側と出口側との差圧を、前記車輪がスリップする前よりも大きくすることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記第1駆動軸に取り付けられる車輪又は前記第2駆動軸に取り付けられる車輪のうち少なくとも一方がスリップした場合には、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側の圧力と出口側の圧力との大小関係を反転させることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記動力伝達流体の温度が所定の温度よりも低い場合に、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側の圧力と出口側の圧力との大小関係を反転させることを特徴とする。
次の本発明に係る駆動装置は、前記駆動装置において、前記第1遊星歯車装置及び前記第2遊星歯車装置のサンギヤに前記第2出力が伝達され、前記第1遊星歯車装置及び前記第2遊星歯車装置のリングギヤに前記第1出力が伝達されることを特徴とする。
本発明に係る駆動装置は、複数の車輪に駆動力差を与えるにあたり、動力発生手段の出力を車輪へ伝達する際の伝達効率を向上させることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
なお、本発明は、電動機と熱機関とを組み合わせたいわゆるハイブリッド駆動装置や、電動機を動力発生手段とするいわゆる電気車両、あるいは内燃機関を動力発生手段とする駆動装置に対して適用できる。また、以下においては、左右の駆動輪に対して駆動力を変化させる場合を説明するが、本発明は、前後の駆動輪に対して駆動力の配分を行う場合や、前後左右の駆動輪に対して駆動力の配分を行う場合等にも適用できる。すなわち、本発明は、複数の駆動輪に対する駆動力を変化させる場合に適用できる。また、次の説明においては、乗用車、トラック、バスその他の車両に対して本発明を適用した場合を例とするが、本発明の適用対象はこのような車両に限定されるものではない。
(実施形態1)
実施形態1は、次の点に特徴がある。すなわち、第1、第2動力合成手段(第1、第2遊星歯車装置)と、内燃機関や電動機等の動力発生手段の出力を第1出力と第2出力とに分割する動力分割機構とを備える。動力分割機構によって分割した第1出力は、第1、第2遊星歯車装置のキャリア又はサンギヤ又はリングギヤのうちいずれか一つに伝達され、残りの構成要素のうち一つに第2出力が伝達される。そして、第1、第2遊星歯車装置のキャリア又はサンギヤ又はリングギヤのうち、第1及び第2出力が伝達されるもの以外に車輪に動力を伝達する駆動軸が取り付けられる。これによって、第1、第2動力合成手段である第1、第2遊星歯車装置によって第1出力と第2出力とが合成されて前記駆動軸から取り出される。次に、この実施形態に係る駆動装置について詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る駆動装置を搭載した車両の構成を示す説明図である。図2、図3は、図1の車両が備える駆動装置の構成を示す説明図である。図1に示す車両1は、第1出力発生手段である電動機4と、第2出力発生手段である内燃機関5と、図2に示す第1駆動装置10と、図3に示す第2駆動装置30とを備える。車両1は、内燃機関5の駆動反力を、図3に示す第2駆動装置が備える第1、第2発電機6L、6Rが受けることによって発電される電力を用いて電動機4が駆動される、いわゆるハイブリッドの車両である。ここで、左右の概念は、車両1の進行方向(図1中の矢印A方向)を基準として判断する。すなわち、「左」又は「左側」とは、車両1の進行方向(図1中の矢印A方向)に対して左側をいい、「右」又は「右側」とは、車両1の進行方向に対して右側をいう(以下同様)。
第1駆動装置10、及び第2駆動装置30は、ECU(Electronic Control Unit)50によって制御される。この実施形態において、アクセル40pにより第1駆動装置10及び第2駆動装置30の出力が制御される。アクセル40pの開度は、アクセル開度センサ40により検出されて、ECU50へ取り込まれる。そして、アクセル開度センサ40からの信号によって電動機4や内燃機関5の出力が制御される。
第1駆動装置10の動力発生源となる電動機4は、インバータ7に接続されている。電動機4は、ECU50からの指令によってインバータ7を制御することで制御される。インバータ7には、例えばニッケル−水素電池や鉛蓄電池等の車載電源8が接続されており、必要に応じてインバータ7を介して電動機4へ供給される。また、インバータ7には第1、第2発電機6L、6Rが接続されている。
電動機4は、主として第1駆動装置10の動力発生源として用いられる。このときには、車載電源8や、第1、第2発電機6L、6Rによって生み出された電力等がインバータ7を介して電動機4へ供給される。また、例えば車両1の減速時には、電動機4が発電機として機能して回生発電を行い、これによって回収したエネルギーを車載電源8に蓄える。これは、ブレーキ信号やアクセルオフ等の信号に基づいて、ECU50がインバータ7を制御することにより実現される。
第1、第2発電機6L、6Rは、主として発電機として機能するが、内燃機関5の始動時には、スタータモータとして機能する。第1、第2発電機6L、6Rが発電機として機能するときには、第1、第2発電機6L、6Rが内燃機関5によって駆動される。第1、第2発電機6L、6Rで生み出される電力は電動機4の駆動に用いられる他、車載電源8の充電にも用いられる。
この実施形態において、電動機4の出力は、第1駆動装置10を介して車両1の第1後輪(車輪)2L、第2後輪(車輪)2Rに伝達され、内燃機関5の出力は、第2駆動装置30を介して車両1の第1前輪(車輪)3L及び第2前輪(車輪)3Rに伝達される。このように、車両1の第1、第2後輪2L、2Rは第1駆動装置10を介して駆動され、車両1の第1、第2前輪3L、3Rは第2駆動装置30を介して駆動される。なお、第1駆動装置10を介して車両1の第1、第2前輪3L、3Rを駆動し、また、第2駆動装置30を介して車両1の第1、第2後輪2L、2Rを駆動してもよい。
第1駆動装置10及び第2駆動装置30は、車両(例えば、乗用車やバス等)1に搭載される。この車両1は、通常第2駆動装置30が前輪3L、3Rを駆動して走行し、例えば、第1、第2前輪3L、3Rに空転や横滑り等が発生した場合には、第1駆動装置10が第1、第2後輪2L、2Rを駆動する。このように、車両1は前輪駆動を基本として、必要に応じて第1、第2後輪2L、2Rを駆動されることによって、車両1が備える4輪全輪が駆動される。なお、第1駆動装置10のみを用いて、車両1の後輪2L、2Rのみを駆動したり、車両1の前輪3L、3Rのみを駆動したりしてもよい。次に、第1駆動装置10の構成を説明する。
第1駆動装置10は、電動機4の出力を第1出力Fm1と第2出力Fm2とに分割する動力分割機構16、遊星歯車列で構成される第1遊星歯車装置(第1動力合成手段)11L及び第2遊星歯車装置(第1動力合成手段)11Rを備えている。そして、第1駆動装置10は、動力分割機構16で分割された電動機4の第1出力Fm1を第1、第2後輪2L、2Rに伝達して第1、第2後輪2L、2Rを駆動するとともに、第2出力Fm2の大きさを調整することで、第1、第2後輪2L、2Rに伝達される駆動力を変更する。
電動機4の出力Fmは、電動機4の第1電動機出力軸4SLに取り付けられる動力分割機構16によって第1出力Fm1及び第2出力Fm2に分割される。この実施形態に係る第1駆動装置が備える動力分割機構16は、第1出力分割ギヤ16GOと、これと噛み合う第2出力分割ギヤ16GIとを含んで構成される。第1出力分割ギヤ16GOは、電動機4の第1電動機出力軸4SL(第2電動機出力軸SRでもよい)に取り付けられ、第2出力分割ギヤ16GIは、動力伝達流体供給手段であるメインポンプ15の入力軸に取り付けられる。
なお、動力分割機構16は、チェーン及びスプロケット、あるいはベルト及びプーリーで構成してもよい。また、動力分割機構16は、例えば、変速比を可変とすることによって、動力の分割比を変更できるようにしてもよい。このようにすれば、電動機4の回転数が低い場合にはこれを増速してメインポンプ15に伝達できるので、電動機4の回転数が低い場合でもメインポンプ15の流量を確保することができる。
このような構成によって、動力分割機構16は、電動機4の出力Fmを第1出力Fm1と第2出力Fm2とに分割する。そして、分割された第1出力Fm1が第1及び第2遊星歯車装置11L、11Rに出力され、また、第2出力Fm2がメインポンプ15に出力されて、これを駆動する。メインポンプ15からは作動油が吐出され、第1駆動力調整手段である第1油圧モータ14L及び第2駆動力調整手段である第2油圧モータ14Rに供給される。これによって、第2出力Fm2は、第1油圧モータ14L及び第2油圧モータ14Rの出力に変換される。
第1及び第2油圧モータ14L、14Rは、メインポンプ15から動力伝達流体である作動油が供給されてトルクを発生する。第1油圧モータ14Lと第2油圧モータ14Rとは作動油flの流れに対して並列に配列されており、メインポンプ15から吐出された作動油flは、第1及び第2油圧モータ14L、14Rに供給される。第1油圧モータ14Lを通過した作動油fl、及び第2油圧モータ14Rを通過した作動油flは、合流した後、メインポンプ15に戻る。このように、この実施形態に係る第1駆動装置10においては、メインポンプ15と第1及び第2油圧モータ14L、14Rとが閉じた油圧回路を構成する。そして、作動油flは、メインポンプ15と第1、第2油圧モータ14L、14Rとで構成される、閉じた油圧回路を循環する。
なお、第1油圧モータ14L及び第2油圧モータ14Rそれぞれに対応したメインポンプによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rに作動油flを供給してもよい。この場合、第1油圧モータ14Lと一方のメインポンプとで閉じた油圧回路を構成し、また、第2油圧モータ14Rともう一方のメインポンプとで閉じた油圧回路を構成する。
動力分割機構16によって分割された電動機4の第1出力Fm1は、第1電動機出力軸4SLと第2電動機出力軸4SRとから取り出される。第1電動機出力軸4SLは、第1遊星歯車装置11Lのリングギヤ11Lrに接続され、また、第2電動機出力軸4SRは、第2遊星歯車装置11Rのリングギヤ11Rrに接続される。これによって、電動機4の第1出力Fm1は、第1、第2電動機出力軸4SL、4SRを介して第1遊星歯車装置11Lのリングギヤ11Lr、第2遊星歯車装置11Rのリングギヤ11Rrに伝達される。
第1遊星歯車装置11Lのキャリア11Lcには、第1駆動装置10の第1駆動軸12Lが取り付けられている。また、第1駆動軸12Lには、左側後輪2Lが取り付けられている。第2遊星歯車装置11Rのキャリア11Rcには、第1駆動装置10の第2駆動軸12Rが取り付けられている。また、第2駆動軸12Rには、右側後輪2Rが取り付けられている。
第1遊星歯車装置11Lのサンギヤ11Lsには第1ギヤ13Lが取り付けられる。第1ギヤ13Lには、第1駆動力調整手段である第1油圧モータ14Lの出力軸(第1モータ出力軸)14SLに取り付けられる第1モータギヤ14GLが噛み合う。これによって、電動機4の第2出力Fm2は、第1油圧モータ14Lの出力に変換された後、第1ギヤ13L、第1モータギヤ14GLを介して第1遊星歯車装置11Lのサンギヤ11Lsに伝達される。
また、第2遊星歯車装置11Rのサンギヤ11Rsには第2ギヤ13Rが取り付けられる。第2ギヤ13Rには、第2駆動力調整手段である第2油圧モータ14Rの出力軸(第2モータ出力軸)14SRに取り付けられる第2モータギヤ14GRが噛み合う。これによって、電動機4の第2出力Fm2は、第2油圧モータ14Rの出力に変換された後、第2ギヤ13R、第2モータギヤ14GRを介して第2遊星歯車装置11Rのサンギヤ11Rsに伝達される。
上記構成により、この実施形態に係る第1駆動装置10では、動力分割機構16で分割された電動機4の第2出力Fm2の一部で第1駆動力調整手段である第1油圧モータ14Lを駆動し、第1油圧モータ14Lを駆動した残りの第2出力によって第2駆動力調整手段である第2油圧モータ14Rを駆動する。そして、第1油圧モータ14Lの出力と、動力分割機構16で分割された電動機4の第1出力Fm1の一部とを第1動力合成手段である第1遊星歯車装置11Lで合成し、また、第2油圧モータ14Rの出力と、第1遊星歯車装置11Lで合成された第1出力の残りの出力とを第2遊星歯車装置11Rで合成する。
すなわち、この実施形態に係る第1駆動装置10は、第1出力Fm1の一部と、第2出力Fm2の一部とを第1遊星歯車装置11Lで合成して駆動力として出力する。また、この実施形態に係る第1駆動装置10は、第1遊星歯車装置11Lで合成された第1出力Fm1の残りの出力と、第1遊星歯車装置11Lで合成された第2出力Fm2の残りの出力とを、第2遊星歯車装置11Rで合成して駆動力として出力する。これによって、第1、第2油圧モータ14L、14Rを介して、分割された第2出力Fm1の大きさを調整することによって、第1、第2遊星歯車装置11L、11Rに取り付けられる第1、第2駆動軸12L、12Rの駆動力を制御できる。
ここで、上記例においては、電動機4の第1出力Fm1を遊星歯車装置のリングギヤに伝達し、第2出力Fm2を遊星歯車装置のサンギヤに伝達し、また、第1、第2駆動軸12L、12Rは遊星歯車装置のキャリアに取り付けられる。しかし、第1出力Fm1、第2出力Fm2の伝達対象や、第1、第2駆動軸12L、12Rの取り付け対象は、上記例に限られるものではない。すなわち、第1出力Fm1を遊星歯車装置のキャリア又はサンギヤ又はリングギヤのうちいずれか一つに伝達し、残りのうち一つに第2出力Fm2を伝達するとともに、車輪に駆動力を伝達する駆動軸は、キャリア又はサンギヤ又はリングギヤのうち、第1出力Fm1及び第2出力Fm2が伝達されるもの以外に取り付けられていればよい。
図4は、実施形態1に係る第1駆動装置が備える遊星歯車の各構成要素の共線図である。この実施形態に係る第1駆動装置10は、電動機4の駆動中において、分割された第2出力Fm2を用いて第1油圧モータ14L、第2油圧モータ14Rに出力(トルクTp_L、Tp_R)を発生させる。このような構成により、電動機4の第1出力Fm1によって発生する駆動力(トルクTm_L、Tm_R)の反力を、第1油圧モータ14L、第2油圧モータ14Rで受けることができる。これによって、第1駆動装置10は、第1駆動軸12L、第2駆動軸12Rへ駆動力(トルクTt_L、Tt_R)を発生させ、左側後輪2L、右側後輪2Rを駆動する。ここで、Tt_L=TpL+TmL、Tt_R=TpR+TmRとなる。
また、第1油圧モータ14L、第2油圧モータ14Rの出力(トルクTp_L、Tp_R)を変化させることによって、第1駆動軸12L、第2駆動軸12Rの駆動力(トルクTt_L、Tt_R)を変化させ、左側後輪2L、右側後輪2Rの駆動力を変化させることができる。なお、第1油圧モータ14L、第2油圧モータ14Rが発生する出力(トルクTp_L、Tp_R)が0である場合には、左側後輪2L、右側後輪2Rには駆動力が発生しない。このように、第1油圧モータ14L、第2油圧モータ14Rは、第1駆動装置10の第1駆動軸12L、第2駆動軸12Rに発生する駆動力を調整する、駆動力調整手段としての機能を有する。
この実施形態に係る第1駆動装置10が備える第1及び第2油圧モータ14L、14Rは、ピストン式の油圧モータであって、斜板の角度を変更することによってトルクを制御する、いわゆる斜板式油圧モータである。図2に示すように、第1油圧モータ14L及び第2油圧モータ14Rは、それぞれ第1斜板14PL、第2斜板14PRを備える。第1斜板14PLが、第1駆動力調整手段である第1油圧モータ14Lの出力変更手段(第1出力変更手段)となり、第2斜板14PRが、第2駆動力調整手段である第2油圧モータ14Rの出力変更手段(第2出力変更手段)となる。なお、第1斜板14PL、第2斜板14PRは、それぞれ第1油圧モータ14L、第2油圧モータ14Rのトルクを変更する。
なお、第1及び14L第2油圧モータ14Rは、斜板式に限定されるものではなく、いわゆる斜軸式の油圧モータを用いてもよい。また、第1及び14L第2油圧モータ14Rは、これらの形式に限定されるものではなく、油圧モータの軸トルクを変更できるものであればよい。例えば、ラジアルピストン式の油圧モータを第1及び14L第2油圧モータ14Rとして用いてもよい。
メインポンプ15は、可変容量式のポンプであり、この実施形態においては、斜板式のアキシャルピストンポンプを用いている。メインポンプ15は、メインポンプ斜板15Pを備えており、メインポンプ斜板15Pの角度を調整することにより、メインポンプ15から吐出される作動油の流量を変更することができる。このように、メインポンプ斜板15Pは、メインポンプ15の流量変更手段として機能する。なお、メインポンプ15は、可変容量式のものであればよく、斜板式のアキシャルピストンポンプに限定されるものではない。例えば、ラジアルピストン式のポンプをメインポンプ15に用いることもできる。
第1、第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL、第2斜板14PR、及びメインポンプ15のメインポンプ斜板15Pは、それぞれ第1斜板駆動用アクチュエータ14AL、第2斜板駆動用アクチュエータ14AR、及びメインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aによって駆動される。第1斜板駆動用アクチュエータ14AL、第2斜板駆動用アクチュエータ14AR及びメインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aは、ECU50が備える、この実施形態に係る駆動力配分制御装置60によって制御される。
この実施形態に係る第1駆動装置10は、油圧回路加圧手段であるブーストポンプ17を備える。ブーストポンプ17には、電動機4の第2電動機出力軸4SR(第1電動機出力軸4SLでもよい)に取り付けられるブーストポンプ駆動ギヤ17GOと噛み合うブーストポンプ入力ギヤ17GIが取り付けられている。このような構成によって、ブーストポンプ17は、電動機4の出力の一部によって駆動される。ブーストポンプ17は、メインポンプ15と同様に可変容量式のポンプであって、例えば、斜板式のアキシャルピストンポンプを用いることができる。
ここで、メインポンプ15と第1、第2油圧モータ14L、14Rとで構成される閉じた油圧回路で作動油flの漏れがない場合、理論的にはブーストポンプ17を用いる必要はない。しかし、実際にはメインポンプ15や第1、第2油圧モータ14L、14Rのシール部分から作動油flの漏れが発生する。このため、ブーストポンプ17は、リザーバタンク17RTから作動油flを吸引し、メインポンプ15と第1、第2油圧モータ14L、14Rとで構成される油圧回路へ吸引した作動油flを吐出する。これによって、前記油圧回路内の作動油flの量を一定に保ち、前記油圧回路内の作動油flに気泡が混入することを回避する。
この実施形態において、メインポンプ15と第1及び第2油圧モータ14L、14Rとは、第1動力伝達流体通路である第1作動油通路18Aと、第2動力伝達流体通路である第2作動油通路18Bとで接続されている。そして、第1作動油通路18Aには、第1作動油通路18A内における作動油の圧力を調整するために用いる第1の圧力調整手段として、第1リリーフ弁19Aが設けられる。また、第2作動油通路18Bには、第2作動油通路18B内における作動油の圧力を調整するために用いる第2の圧力調整手段として、第2リリーフ弁19Bが設けられる。第1及び第2リリーフ弁19A、19Bから噴出した作動油は、リザーバタンク17RTへ戻された後、ブーストポンプ17によって再び前記油圧回路内へ戻される。
第1及び第2リリーフ弁19A、19Bは、設定圧力、すなわち作動油の放出圧力(リリーフ圧力)の設定値(リリーフ圧力設定値)を任意に変更することができる。第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力を変更することで、第1、第2油圧モータ14L、14Rにおける作動油の入口側と出口側との圧力差(差圧)を変更することができる。第1、第2油圧モータ14L、14Rのトルクは、前記差圧及び第1斜板14PL、第2斜板14PRの角度によって決定される。したがって、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力を変更して前記差圧を変更すれば、第1、第2油圧モータ14L、14Rのトルクを調整することができる。
なお、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bを設けなくてもよく、この場合には、第1、第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL、第2斜板14PRの角度を変更することにより、第1、第2油圧モータ14L、14Rのトルクを調整する。ここで、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力は、この実施形態に係る駆動力配分制御装置60によって設定される。
第1作動油通路18Aには、第1作動油通路18A内における作動油の圧力を検出するために用いる第1の圧力検出手段として、第1圧力センサ43Aが設けられる。また、第2作動油通路18Bには、第2作動油通路18B内における作動油の圧力を検出するために用いる第2の圧力検出手段として、第2圧力センサ43Bが設けられる。第1及び第2圧力センサ43A、43Bの検出信号は、この実施形態に係る駆動力配分制御装置60によって取得されて、この実施形態に係る駆動力配分制御に用いられる。また、第1作動油通路18Aには、作動油の温度(油温)を検出するために用いる油温センサ47が取り付けられる。
このように、この実施形態に係る第1駆動装置10は、動力発生手段の出力を分割する動力分割機構16によって動力発生手段である電動機4の出力を第1出力Fm1と第2出力Fm2とに分割する。そして、第1出力Fm1を第1、第2遊星歯車装置11L、11Rを介して第1、第2駆動軸12L、12Rに出力するとともに、第2出力Fm2によって第1出力Fm1による駆動反力を受ける。これによって、第1及び第2駆動軸12L、12Rの駆動力を制御することができ、また、第1駆動軸12Lの駆動力と第2駆動軸12Rの駆動力との配分比を変化させることができる。さらに、電動機4の第2出力Fm2でメインポンプ15を駆動して第1及び第2油圧モータ14L、14Rにトルクを発生させて第1駆動軸12Lの駆動力と第2駆動軸12Rの駆動力とを変化させるため、第1駆動軸12Lの駆動力と第2駆動軸12Rの駆動力との配分比を広い範囲で変更できる。
また、動力分割機構16によって分割された電動機4の第1出力Fm1による駆動反力は、動力分割機構16によって分割された電動機の第2出力Fm2によってメインポンプ15を駆動し、第1及び第2油圧モータ14L、14Rにトルクを発生させることで受ける。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rで直接第1及び第2駆動軸12L、12Rを駆動する場合と比較して、動力の伝達効率が向上する。
また、この実施形態に係る第1駆動装置10は、第1及び第2油圧モータ14L、14Rにトルクを発生させない限り、第1及び第2駆動軸12L、12Rに駆動力は発生しない。そして、この第1駆動装置10は、第1及び第2油圧モータ14L、14Rにトルクを発生させない状態でも、電動機4でメインポンプ15とブーストポンプ17とを駆動することにより、常にメインポンプ15とブーストポンプ17とを駆動することができる。
これによって、車両1が停止、又は極低速走行している場合においても、第1駆動軸12Lの駆動力と第2駆動軸12Rの駆動力との配分比を変化させることができる。また、車両1の発進時から第1及び第2駆動軸12L、12Rに駆動力を発生させる必要がある場合においては、すみやかに第1及び第2駆動軸12L、12Rの駆動力が立ち上がるため、応答性が向上する。
次に、車両1が備える第2駆動装置30について説明する。図3に示すように、車両1が備える第2駆動装置30は、内燃機関5と、内燃機関5によって電力を発生する第1及び第2発電機6L、6Rとを備えるハイブリッドの駆動装置である。車両1が備える第1の前輪(以下左側前輪という)3L及び第2の前輪(以下右側前輪という)3Rを駆動する。第2駆動装置30は、遊星歯車列からなる第1遊星歯車装置31Lと、同じく遊星歯車列からなる第2遊星歯車装置31Rとを含んでいる。
第1の遊星歯車装置31Lのキャリア31Lcと第2遊星歯車装置31Rのキャリア31Rcとは、連結軸32で連結されている。また、第2遊星歯車装置31Rのキャリア31Rcには、内燃機関5の出力軸5Sが連結されている。第1遊星歯車装置31Lのサンギヤ31Lsには第1発電機6Lが連結されており、また、第2遊星歯車装置31Rのサンギヤ31Rsには第2発電機6Rが連結されている。
第1遊星歯車装置31Lのリングギヤ31Lrには、第1の車軸33Lに取り付けられる第1カウンターギヤ34Lが噛み合っており、第2遊星歯車装置31Rのリングギヤ31Rrには、第2の車軸33Rに取り付けられる第2カウンターギヤ34Rが噛み合っている。そして、第1の車軸33Lには左側前輪3Lが取り付けられ、第2の車軸33Rには右側前輪3Rが取り付けられる。
図5は、実施形態1に係る第2駆動装置が備える遊星歯車の各構成要素の共線図である。内燃機関5の出力は、第1及び第2遊星歯車装置31L、31Rを介して第1及び第2の車軸33L、33Rに伝達される。ここで、内燃機関5の出力(トルクTe_L、Te_R)の反力を、第1及び第2発電機6L、6Rが発生する出力(トルクTg_L、Tg_R)によって受けることによって、第1及び第2の車軸33L、33Rに駆動力(トルクTt_L、Tt_R)を発生させ、左側前輪3L、右側前輪3Rを駆動する。ここで、Tt_L=Te_L+Tg_L、Tt_R=Te_R+Tg_Rとなる。
また、第1及び第2発電機6L、6Rが発生する出力(トルクTg_L、Tg_R)を変更することにより、第1及び第2の車軸33L、33Rの駆動力(トルクTt_L、Tt_R)を変化させることができる。また、第1発電機6Lの出力(トルクTg_L)と第2発電機6Rの出力(トルクTg_R)とを変更することによって、第1の車軸33Lの駆動力(トルクTt_L)と第2の車軸33Rの駆動力(トルクTt_R)との配分比を変更することができる。
第2駆動装置30の内燃機関5、第1及び第2発電機6L、6Rは、ECU50及びECU50が備える駆動力配分制御装置60によって制御される。これによって、第2駆動装置30の第1及び第2の車軸33L、33Rの駆動力を変化させたり、両車軸間で駆動力配分比を変更させたりする。
なお、この実施形態に係る第2駆動装置30には、動力発生手段としてさらに電動機を設けてもよい。この場合、第1遊星歯車装置31L及び第2遊星歯車装置31Rの出力軸となるリングギヤ31Lr、31Rrに、それぞれ異なる電動機の出力を伝達する。次に、この実施形態に係る第1駆動装置の変形例を説明する。
図6は、実施形態1の変形例に係る駆動装置を搭載した車両の構成を示す説明図である。図7は、実施形態1の変形例に係る第1駆動装置の構成を示す説明図である。この変形例に係る車両1aは、動力発生手段である内燃機関5と、図7に示す第1駆動装置10aと、図6に示す第2駆動装置30aとを備える。そして、内燃機関5の出力は、第2駆動装置30a又は第1駆動装置10aのうち少なくとも一方を介して、左右側前輪3L、3R又は左右側後輪2L、2Rの少なくとも一方に伝えられる。なお、この変形例に係る車両1aの動力発生手段としては内燃機関5に限られるものではない。例えば、上記実施形態に係る車両1(図1参照)のように、内燃機関と発電機と電動機とを組み合わせて動力発生手段とする、いわゆるハイブリッドの動力発生手段を用いてもよい。
この変形例において、内燃機関5の出力は、第2駆動装置30aを介して左側前輪3L及び右側前輪3Rに伝達され、これらを駆動する。また、第2駆動装置30aには、内燃機関5の出力の少なくとも一部を取り出す出力軸35が設けられている。出力軸35には、プロペラシャフト20が取り付けられており、必要に応じて、内燃機関5の出力の少なくとも一部を第1駆動装置10aへ伝達する。次に、この変形例に係る第1駆動装置10aの構成を説明する。
図7に示すように、この変形例に係る第1駆動装置10aは、上記実施形態に係る第1駆動装置10(図2参照)とほぼ同様の構成であるが、動力発生手段を備えず、第1駆動装置10aの外部に設けられる動力発生手段の出力の一部を、入力軸21を介して第1及び第2遊星歯車装置11L、11Rに伝達する点が異なる。
この変形例に係る第1駆動装置10aは、入力軸21から動力発生手段の出力が入力されて、左側後輪2L、右側後輪2Rを駆動する。入力軸21にはプロペラシャフト20が取り付けられており、第2駆動装置30aの出力軸35と第1駆動装置10aの入力軸21とが連結される。これによって、内燃機関5の出力の少なくとも一部は、第2駆動装置30a、プロペラシャフト20を介して第1駆動装置10aに入力される。
第1駆動装置10aの入力軸21を介して入力される、動力発生手段である内燃機関5の出力Feは、まず動力分割機構16に入力されて、第1出力Fe1と第2出力Fe2とに分割される。動力分割機構16は、入力軸21に取り付けられる第1出力分割ギヤ16GOと、メインポンプ15に取り付けられ、これを駆動する第2出力分割ギヤ16GIとを含んで構成される。このような構成によって、動力分割機構16は、内燃機関5の出力Feを第1出力Fe1と第2出力Fe2とに分割し、分割した第1出力Fe1を入力軸21に取り付けられるかさ歯車装置22へ出力する。また、分割された第2出力Fe2は、メインポンプ15へ入力されて、これを駆動する。
かさ歯車装置22は、入力軸21に取り付けられる第1かさ歯車22Oと、第1かさ歯車22Oと噛み合って入力軸21に対して直交する方向に第1出力Fe1を伝達する第2かさ歯車22Iとを含んで構成される。第2かさ歯車22Iは、車軸23に取り付けられる。ここで、車軸23は、第1遊星歯車装置11Lのリングギヤ11Lrと、第2遊星歯車装置11Rのリングギヤ11Rrとを連結する。このような構成によって、動力分割機構16で分割された動力発生手段の第1出力Fe1は、左右後輪2L、2Rに伝達されて、左右後輪2L、2Rを駆動する。
この変形例に係る第1駆動装置10aは、上記実施形態に係る第1駆動装置10(図1)と同様に、油圧回路加圧手段であるブーストポンプ17を備える。この変形例に係る第1駆動装置10aでは、ブーストポンプ17は、ブーストポンプ駆動手段であるブーストポンプ用電動機25で駆動される。これによって、車両1aが停止しているときにも、メインポンプ15と第1、第2油圧モータ14L、14Rとで構成される、閉じた油圧回路を加圧することができる。
なお、上記実施形態に係る第1駆動装置10(図2)のように、動力発生手段(この変形例では内燃機関5)の出力の一部を機械的に分割して、ブーストポンプを駆動してもよい。ブーストポンプ17やメインポンプ15等は、ECU50が備える、この実施形態に係る駆動力配分制御装置60によって制御される。この変形例に係る第1駆動装置10aの他の構成は、上記実施形態に係る第1駆動装置10と同様なので、説明を省略する。次に、この実施形態及びその変形例に係る駆動力配分制御を実現するための駆動力配分制御装置について説明する。
図8は、実施形態1に係る駆動力配分制御装置の構成を示す概念図である。図8に示すように、この実施形態に係る駆動力配分制御装置60は、ECU50に組み込まれて構成されている。ECU50は、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)50pと、記憶部50mと、入力及び出力ポート55、56と、入力及び出力インターフェイス57、58とから構成される。
なお、ECU50とは別個に、この実施形態に係る駆動力配分制御装置60を用意し、これをECU50に接続してもよい。そして、この実施形態に係る駆動力配分制御を実現するにあたっては、ECU50が備える第1駆動装置10や第2駆動装置30等に対する制御機能を、前記駆動力配分制御装置60が利用できるように構成してもよい。
駆動力配分制御装置60は、運転条件判定部61と、温度制御部62と、駆動力配分部63と、制御パラメータ設定部64と、油圧制御部65とを含んで構成される。これらが、この実施形態に係る駆動力配分制御を実行する部分となる。この実施形態において、駆動力配分制御装置60は、ECU50を構成するCPU50pの一部として構成される。この他に、CPU50pには、車両1が搭載する電動機4や内燃機関5(図1)、あるいは車両1aが搭載する内燃機関5(図6)やブーストポンプ用電動機25(図7)の制御を司る制御部53が含まれている。
CPU50pと、記憶部50mとは、バス541〜543を介して、入力ポート55及び出力ポート56を介して接続される。これにより、駆動力配分制御装置60を構成する運転条件判定部61と温度制御部62と駆動力配分部63と制御パラメータ設定部64と油圧制御部65とは、相互に制御データをやり取りしたり、一方に命令を出したりできるように構成される。また、駆動力配分制御装置60は、ECU50が有する第1駆動装置10や第2駆動装置30等の運転制御データを取得し、これを利用することができる。また、駆動力配分制御装置60は、この実施形態に係る駆動力配分制御をECU50が予め備えている運転制御ルーチンに割り込ませたりすることができる。
入力ポート55には、入力インターフェイス57が接続されている。入力インターフェイス57には、アクセル開度センサ40、舵角センサ41、ヨーセンサ42、第1圧力センサ43A、第2圧力センサ43B、車速センサ44、左側後輪速度センサ45L、右側後輪速度センサ45R、左側前輪速度センサ46L、右側前輪速度センサ46R、油温センサ47その他の、第1駆動装置10の運転制御に必要な情報を取得するセンサ類が接続されている。これらのセンサ類から出力される信号は、入力インターフェイス57内のA/Dコンバータ57aやディジタル入力バッファ57dにより、CPU50pが利用できる信号に変換されて入力ポート55へ送られる。これにより、CPU50pは、第1駆動装置10の運転制御や、この実施形態に係る駆動力配分制御に必要な情報を取得することができる。
出力ポート56には、出力インターフェイス58が接続されている。出力インターフェイス58には、第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14AR、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15A、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bその他の、駆動力配分制御に必要な制御対象が接続されている。出力インターフェイス58は、制御回路581、582等を備えており、CPU50pで演算された制御信号に基づき、前記制御対象を動作させる。このような構成により、前記センサ類からの出力信号に基づき、ECU50のCPU50pは、内燃機関4を制御することができる。
記憶部50mには、この実施形態に係る駆動力配分制御の処理手順を含むコンピュータプログラムや制御マップ、あるいはこの実施形態に係る駆動力配分制御に用いる、制御データマップ等が格納されている。ここで、記憶部50mは、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、CPU50pへすでに記録されているコンピュータプログラムと組み合わせによって、この実施形態に係る駆動力配分制御の処理手順を実現できるものであってもよい。また、この駆動力配分制御装置60は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアを用いて、運転条件判定部61、温度制御部62、駆動力配分部63、制御パラメータ設定部64及び油圧制御部65の機能を実現するものであってもよい。次に、この実施形態に係る駆動力配分制御を説明する。次の説明では、適宜図1〜図8を参照されたい。
この実施形態に係る駆動力配分制御は、上記駆動力配分制御装置によって実現できる。ここで、駆動力配分制御とは、左右の駆動輪、前後の駆動輪又は前後左右の駆動輪において、車両の走行条件等に応じてそれぞれの駆動輪の駆動力を変化させる制御をいう。次においては、第1駆動装置10又は第1駆動装置10aの左側後輪2Lと右側後輪2Rとの間で駆動力配分制御を実行する例、及び第1駆動装置10又は第1駆動装置10aと第2駆動装置30との間で駆動力配分制御を実行する例を説明する。
(作動油の油温に関する制御)
図9は、実施形態1に係る駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。この実施形態に係る第1駆動装置10等は、メインポンプ15と第1及び第2油圧モータ14L、14Rと、両者を接続する第1及び第2作動油通路18A、18Bとで構成される油圧回路を備える。第1駆動装置10等によって駆動力配分制御を実行する場合、前記油圧回路内を作動油が流れる。ここで、第1駆動装置10や第1駆動装置10aを搭載する車両1や車両1aの運転条件によって第1駆動装置10等の運転条件も変化するため、前記油圧回路を流れる作動油の温度(以下油温ともいう)は変化する。
油温が高すぎる場合、油圧回路に用いられるシールやホース等の耐久性に影響を与えるおそれがある。また、油温が低すぎる場合、油圧回路を作動油が流れにくくなって、第1駆動装置10等が動作する際におけるエネルギー損失が増加する。したがって、第1駆動装置10等を動作させる際には、前記油圧回路を流れる作動油の温度を適正な温度範囲に維持する必要がある。
このため、この実施形態に係る駆動力配分制御では、第1駆動装置10等が備える油圧回路内を流れる作動油の温度を、予め定めた所定の温度範囲になるように制御する。まず、駆動力配分制御装置60が備える駆動力配分部63は、車両1等に対する運転操作や車両1等の状態から、左側及び右側後輪2L、2Rに配分する駆動力を算出する(ステップS101)。
左側後輪2Lと右側後輪2Rとの駆動力は、左側後輪2L及び右側後輪2Rの総駆動力、及び左側後輪2Lと右側後輪2Rとの駆動力差から求めることができる。左側後輪2L及び右側後輪2Rの総駆動力は、アクセル開度と車速とに基づいて求めることができる。この実施形態に係る車両1等では、前輪と後輪とを駆動するため、アクセル開度と車速とから求まる車両1等の総駆動力と、前輪と後輪との駆動力配分比とを用いて、左側後輪2L及び右側後輪2Rの総駆動力を求める。
左側後輪2Lと右側後輪2Rとの駆動力差は、車両1等の実ヨーレートと、前輪の舵角と車速とから求まる目標ヨーレートとの偏差から決定される。アクセル開度はアクセル開度センサ40で検出され、車速は車速センサ44で検出され、前輪の舵角は舵角センサ41で検出され、実ヨーレートはヨーセンサ42で検出される。
図10は、実施形態1に係る第1駆動装置が備える油圧回路の設定圧力と油圧モータの斜板角との関係例を示す説明図である。左側及び右側後輪2L、2Rに配分する駆動力を算出したら、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、車両1等の状態及び第1駆動装置10等の油温等から、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_S、油圧回路の必要差圧ΔP_S、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θbを決定する(ステップS102)。
ここで、第1リリーフ弁19Aが油圧回路の高圧側となり、第2リリーフ弁19Bが油圧回路の低圧側となる。また、図10に示す基準斜板角θbは、左側後輪2Lの駆動力と右側後輪2Rの駆動力とが等しいとき(例えば車両1等の直進時)における斜板角である。左側後輪2Lの駆動力と右側後輪2Rの駆動力とを異ならせる場合には、左側後輪2Lと右側後輪2Rとの間における駆動差を発生できるように、図10に示す基準斜板角θbを基本として、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの斜板角を変更する。油圧回路の必要差圧ΔP_Sは、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側(メインポンプ15の吐出側)と低圧側(メインポンプ15の吸入側)との差圧である。この実施形態において、必要差圧ΔP_Sは、第1駆動装置10等の油圧回路に設けられた第1圧力センサ43Aで検出される作動油の実圧力Phと第2圧力センサ43Bで検出される作動油の実圧力Plとの差で求める。
この実施形態では、第1駆動装置10等の油温に応じて、油圧回路の設定圧力、すなわち、油圧回路の高圧側の設定圧力と低圧側の設定圧力とを変更する。油圧回路内の作動油の圧力がリリーフ圧力設定値を超えると、リリーフ弁からは作動油が大気中に放出され、放出された作動油の圧力はリリーフ圧力設定値から大気圧になる。このとき、圧力のエネルギーが熱に変換されるので、リリーフ弁から放出された作動油の温度は上昇する。この昇温した作動油を、ブーストポンプ17を介して再び油圧回路に戻すことで、油圧回路内の作動油の温度を昇温させることができる。
このため、この実施形態に係る駆動力配分制御においては、油温が適正値よりも低い場合、油圧回路の高圧側に配置される第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力設定値Ph_S、又は油圧回路の低圧側に配置される第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力設定値Pl_Sを、油温が適正値である場合よりも高く設定する。ここで、図10においては、油温が「中」の場合が油温の適正値であり、油温が「低」の場合には適正値よりも低く、油温が「高」の場合には適正値よりも高いことを示す。図10に示す例では、Ph_S1<Ph_S2<Ph_S3<Ph_S4、Pl_S1<Pl_S2<Pl_S3<Pl_S4となる。なお、第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力設定値Pl_Sは、必要差圧ΔP_Sを発生できるように、第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力設定値Ph_Sに応じて変化する。
リリーフ圧力設定値を上記のように設定することにより、油温が適正値よりも低い場合には、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bから放出される作動油の圧力と大気圧との差を大きくできるので、作動油の昇温を促進できる。その結果、油温が適正値よりも低い状態で運転される時間を短縮できるので、その分第1駆動装置10等が動作する際におけるエネルギー損失を低減できる。
一方、この実施形態においては、油温が適正値よりも高い場合、第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力設定値Ph_S又は第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力設定値Pl_Sを、油温が適正値である場合(図10の油温が「中」の場合)よりも低く設定する。これによって、油温が適正値よりも高い場合には、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bから放出される作動油の圧力と大気圧との差を小さくできるので、作動油の昇温を抑制できる。その結果、油圧回路に用いられるシールやホース等の耐久性に影響を与えるおそれを低減できる。
また、この実施形態に係る駆動力配分制御では、車両1等の速度(車速)に応じて第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θbを変更する。具体的には、車両1等の車速が低くなるとともに、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θbを小さくする。図10に示す例では、θb1>θb2>θb3となる。車速が低い場合には、車速が高い場合と比較してメインポンプ15の回転数が低くなるので、メインポンプから吐出される作動油の流量も小さくなる。この場合、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角が大きいと、第1及び第2油圧モータ14L、14Rに供給する作動油の流量が不足し、作動油の流量不足に起因して油圧回路の圧力が低下するおそれがある。したがって、車速が低い場合には、車速が高い場合よりも第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角を小さく設定して作動油の流量不足を抑えるとともに、作動油の流量不足に起因する油圧回路の圧力低下を抑制する。
一方、車速が高い場合には、車速が低い場合と比較してメインポンプ15の回転数が高くなるので、メインポンプから吐出される作動油の流量は大きくなる。この場合、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角が小さいと、第1及び第2油圧モータ14L、14Rに供給する作動油の流量が過大となる。そして、これに起因して、第1、第2リリーフ弁19A、19Bから閉じた油圧回路外へ放出される作動油の量が増加し、作動油の昇温や第1駆動装置10等の駆動損失の増加を招くおそれがある。したがって、車速が高い場合には、車速が低い場合よりも第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角を大きく設定して作動油の流量過多を抑えるとともに、閉じた油圧回路外へ放出される作動油の量を抑制して、作動油の昇温や第1駆動装置10等の駆動損失の増加を抑制する。
この実施形態に係る駆動力配分制御では、車速に応じて必要差圧ΔP_Sを変更する。具体的には、車両1等の車速が低くなるとともに、油圧回路の必要差圧ΔP_Sを大きくする(ΔP_S1<ΔP_S2<ΔP_S3)。上述したように、この実施形態に係る駆動力配分制御では、車速が低くなるとともに、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θbを小さくする。ここで、第1及び第2油圧モータ14L、14Rのトルクは、油圧回路の必要差圧と第1及び第2油圧モータ14L、14Rの斜板角とで決まる。車速の低下とともに第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θbを小さくすると、車両1等の走行や駆動力配分制御に必要なトルクを発生させることができないおそれがあるため、車両1等の車速が低くなるとともに、油圧回路の必要差圧ΔP_Sを大きくする。
このように、この実施形態に係る駆動力配分制御では、車速に応じて第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θbを変更することによって、メインポンプ15が吐出する作動油の流量と、第1及び第2油圧モータ14L、14Rでの使用する作動油の流量とを最適に設定できる。その結果、作動油の流量過多によって発生する油圧回路外へ放出される作動油の量を抑制し、また、作動油の流量不足に起因する油圧回路の圧力低下を抑制できる。
油圧回路の必要差圧ΔP_Sや第1及び第2油圧モータ14L、14Rの基準斜板角θb等を決定したら(ステップS102)、駆動力配分制御装置が備える運転条件判定部61は、油温センサ47から第1駆動装置10等が備える油圧回路内の油温tを検出し、予め定めた油温上限値taと比較する(ステップS103)。この実施形態に係る駆動力配分制御では、油圧回路の必要差圧ΔP_Sを発生させつつ、油圧回路内における油温の過度の上昇を抑制し、また、油圧回路内における油温を早期に適正温度まで上昇させる。このため、この実施形態に係る駆動力配分制御では、必要差圧ΔP_Sとなるように制御する際には、油圧回路内における油温に基づいてメインポンプ15の斜板角をフィードバック制御する。
図11は、メインポンプの斜板角をフィードバック制御する際におけるフィードバックゲインの設定例を示す説明図である。この実施形態において、メインポンプ15の斜板角をフィードバック(F/B)制御する際の状態量は、油圧回路の必要差圧ΔP_Sと実差圧ΔPとの偏差である状態量X(=ΔP_S−ΔP)、油圧回路の低圧側における設定圧力と実圧力との偏差である状態量Y、及び油圧回路の高圧側における設定圧力と実圧力との偏差である状態量Zを用いる。
ここで、油圧回路の低圧側における設定圧力は、第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力設定値Pl_Sを用い、油圧回路の高圧側における設定圧力は、第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力設定値Ph_Sを用いる。また、油圧回路の低圧側における実圧力は、第2圧力センサ43Bで検出される作動油の実圧力Plを用い、油圧回路の高圧側における実圧力は、第1圧力センサ43Aで検出される作動油の実圧力Phを用いる。したがって、前記状態量Yは(Pl_S−Pl)となり、前記状態量ZはPh_S−Phとなる。そして、各状態量X、Y、ZのフィードバックゲインをG1、G2、G3とする(図11参照)。
t>taである場合(ステップS103:Yes)、油圧回路内の油温が適正値よりも高い状態であると判断される(図11の高油温時)。この場合、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側に設けられた第1リリーフ弁19Aよりも、第1駆動装置10等が備える油圧回路の低圧側に設けられた第2リリーフ弁19Bから作動油が放出されやすくなるように、メインポンプ15の斜板角をフィードバック制御する(ステップS105)。このため、温度制御部62は、各状態量X、Y、ZのフィードバックゲインG1、G2、G3を、図11の高油温時に示すように設定する。これによって、低圧側に設けられた第2リリーフ弁19Bから作動油が放出されやすくなるので、高圧側に設けられた第1リリーフ弁19Aから作動油を放出する場合と比較して、作動油の昇温を抑制できる。
t≦taである場合(ステップS103:No)、運転条件判定部61は、第1駆動装置10等が備える油圧回路内の油温tと、予め定めた油温下限値tbと比較する(ステップS104)。t≧tbである場合(ステップS104:No)、油圧回路内の油温は適正値であると判断される(図11の通常時)。この場合、温度制御部62は、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側に設けられた第1リリーフ弁19Aと低圧側に設けられた第2リリーフ弁19Bとの両方から、同等に作動油が放出されるように、メインポンプ15の斜板角をフィードバック制御する(ステップS106)。このため、各状態量X、Y、ZのフィードバックゲインG1、G2、G3を、図11の通常時に示すように設定する。これによって、適正な温度範囲に油温を維持する。
t<tbである場合(ステップS104:Yes)、油圧回路内の油温は適正値よりも低いと判断される(図11の低油温時)。この場合、温度制御部62は、低圧側に設けられた第2リリーフ弁19Bよりも、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側に設けられた第1リリーフ弁19Aの方から作動油が放出されやすくなるように、メインポンプ15の斜板角をフィードバック制御する(ステップS107)。このため、各状態量X、Y、ZのフィードバックゲインG1、G2、G3を、図11の低温時に示すように設定する。これによって、高圧側に設けられた第1リリーフ弁19Aから作動油が放出されやすくなるので、低圧側に設けられた第2リリーフ弁19Bから作動油を放出する場合と比較して、作動油は昇温しやすくなる。
このように、この実施形態に係る駆動力配分制御では、必要差圧ΔP_Sとなるように制御する際には、油圧回路内における油温に基づいてメインポンプ15の斜板角をフィードバック制御する。これによって、必要差圧ΔP_Sを発生させつつ、油圧回路内における油温の過度の上昇を抑制し、また、油圧回路内における油温を早期に適正温度まで上昇させることができる。次に、この実施形態に係る駆動力配分制御において、左側後輪2Lと右側後輪2Rとの間で駆動力配分比を変更する際の制御を説明する。
(駆動力配分比を変更する際の制御)
図12は、駆動力配分比を変更する際の手順を示すフローチャートである。次に説明する駆動力配分制御は、車両1等の旋回中においてアンダーステアやオーバーステアが発生したとき、これを解消するために旋回方向内側の車輪と外側の車輪とで、駆動力を変更するものである。
左側後輪2Lと右側後輪2Rとの間で駆動力配分比を変更するにあたり、駆動力配分制御装置60が備える駆動力配分部63は、目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとに差があるか否かを判定する(ステップS201)。なお、目標ヨーレートは、車両1等の前輪の舵角と車速とから求められ、実ヨーレートはヨーセンサ42で検出される。
目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとに差がない場合(ステップS201:No)、STARTに戻り、駆動力配分部63は目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとの差を監視する。ここで、目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとに差がない場合とは、両者の差が0の場合の他、両者の差が車両1等の走行において許容範囲内である場合も含む(以下同様)。
目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとに差がある場合(ステップS201:Yes)、駆動力配分部63は、第1駆動装置10等が備えるメインポンプ15及び第1、第2油圧モータ14L、14Rがすでに作動を開始して仕事をしているか否かを判定する。この実施形態に係る車両1等は、通常は前輪のみを用いて走行し、必要に応じて第1駆動装置10等を用いて左側及び右側後輪2L、2Rを駆動して4WD状態となる。このため、車両1等が4WD(4 Wheel Drive:4輪駆動)の状態であるか否かによって、メインポンプ15及び第1、第2油圧モータ14L、14Rが仕事をしているか否かを判定する(ステップS202)。具体的には、車両1等が4WDの状態である場合には、メインポンプ15及び第1、第2油圧モータ14L、14Rが仕事をしている。また、車両1等が4WDの状態でない場合には、メインポンプ15及び第1、第2油圧モータ14L、14Rはいずれも仕事をしていない。このように、メインポンプ15及び第1、第2油圧モータ14L、14Rがすでに作動を開始して仕事をしているか否かを基準として、それぞれ適切な駆動力配分制御に移行するので、駆動力配分制御時における駆動力の損失を低減できる。
車両1等が4WDの状態である場合(ステップS202:Yes)、対応制御1(以下第1の制御態様)へ移行する(ステップS203)。車両1等が4WDの状態でない場合(ステップS202:No)、駆動力配分部63は、アンダーステア制御が必要か否かを判定する(ステップS204)。アンダーステア制御が必要でない場合(ステップS204:No)、すなわちオーバーステア制御が必要である場合には、対応制御2(以下第2の制御態様)へ移行する(ステップS205)。アンダーステア制御が必要である場合(ステップS204:Yes)、対応制御3(以下第3の制御態様)へ移行する(ステップS206)。このように、アンダーステアか否かを基準として、それぞれ適切な駆動力配分制御に移行するので、駆動力配分制御時における駆動力の損失を低減できる。
ここでアンダーステア制御とは、旋回方向内側の車輪の駆動力を大きくして、車両1等がスピンに陥ることを抑えるアンチスピンモードの制御である。また、オーバーステア制御とは、旋回方向外側の車輪の駆動力を大きくして、車両1等がより旋回しやすくなるようにするスピンモードの制御である。次に、第1の制御態様について説明する。
図13は、実施形態1に係る駆動力配分制御における第1の制御態様の手順を示すフローチャートである。図14−1、図14−2は、実施形態1に係る駆動力配分制御における第1の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。図14−1、図14−2は、図面上方が車両の進行方向であり、車両が左旋回している場合を表している。メインポンプ斜板15P、第1、第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL、第2斜板14PRは、実線が作動前を、点線が作動後を示している。そして、時計回りの方向に斜板が動くと斜板が開くことを意味する。斜板が開くことによって、メインポンプ15からは作動油が吐出し、また第1、第2油圧モータ14L、14Rが出力、すなわちトルクを発生する。
また、図14−1はアンダーステア制御を示し、図14−2はオーバーステア制御を示す。左旋回時のアンダーステア制御においては、左側後輪の駆動力を制御する第1モータ出力軸14SLの出力、すなわちトルクTp_Lを、右側後輪の駆動力を制御する第2モータ出力軸14SRの出力、すなわちトルク出力Tp_Rよりも大きくする。また、左旋回時のオーバーステア制御においては、右側後輪の駆動力を制御する第2モータ出力軸14SRのトルクTp_Rを、左側後輪の駆動力を制御する第1モータ出力軸14SLのトルクTp_Lよりも大きくする。これらは、以下の説明における図14−1、図14−2と類似の図面においても同様である。
第1の制御態様において、まず、駆動力配分部63は、目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとの差から必要ヨーレートを算出し(ステップS301)、第1及び第2油圧モータ14L、14Rに必要な駆動トルクを算出する。次に、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、車両1等の状態及び必要ヨーレートから、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを算出する(ステップS302)。そして、制御パラメータ設定部64は、必要ヨーレート及び車両1等の状態から、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_S、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sを算出する(ステップS303)。
ここで、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sは、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの回転数、斜板角、及びメインポンプ15の回転数等から効率を考慮して決定してもよい。また、上述した作動油の油温に関する制御におけるメインポンプ15の斜板角のフィードバック制御を適用し、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sは、前記フィードバック制御の指令値を用いてもよい。
次に、運転条件判定部61は、第1及び第2油圧モータ14L、14R側の入口側における流量と、メインポンプ15の吐出側における流量との流量収支が成立するか否かを判定する(ステップS304)。ここで、第1及び第2油圧モータ14L、14R側の入口側、及びメインポンプ15の吐出側は、高圧に設定されるリリーフ弁側であり、この実施形態では第1リリーフ弁19A側となる。
例えば、運転条件によっては、第1油圧モータ14L又は第2油圧モータ14Rのうちいずれか一方の回転方向が他方に対して逆回転するときがある。このような場合に第1又は第2斜板14PL、14PRを開くと、一方はモータとして機能し、一方はポンプとして機能する。ポンプとして機能する方は、低圧側から高圧側へ作動油をくみ上げる。このような場合に、第1及び第2油圧モータ14L、14R全体としてポンプとしての機能がモータとしての機能を上回ると、メインポンプ15の吐出側と、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの入口側とで流量収支が成立しなくなる。
第1及び第2油圧モータ14L、14R側の流量と、メインポンプ15の吐出側の流量との流量収支が成立する場合(ステップS304:Yes)、駆動力配分制御装置60の油圧制御部65は、ステップS302で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS305)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。このように、第1及び第2油圧モータ14L、14R等の斜板角を変更する前に必要差圧を確保することで、駆動力変化の応答性を向上させることができる(以下の例でも同様)。
そして、油圧制御部65は、ステップS303で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sを、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令する(ステップS306)。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL、第2斜板14PRの斜板角を、ステップS303で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sとする。
油圧制御部65が必要斜板角θL_S、θR_Sを指令した後、所定時間が経過したら、油圧制御部65は、ステップS303で設定したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS307)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS303で設定した必要斜板角θp_Sとする。
なお、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aを動作させる際には、必ずしも所定時間を設ける必要はないが、前記所定時間を設けることにより、第1斜板14PL、第2斜板14PR及びメインポンプ斜板15Pを動作させるときにおける油圧回路内の圧力変動を抑制できるので、左側及び右側後輪2L、2Rの駆動力変動を抑制できる。
ここで、前記所定時間は、油圧制御部65が必要斜板角θL_S、θR_Sを第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令してから、第1斜板14PL、第2斜板14PRが設定された必要斜板角θL_S、θR_Sになるまでの時間以上とすることが好ましい。これによって、より効果的に油圧回路内の圧力変動を抑制できる。
第1及び第2油圧モータ14L、14R側の流量と、メインポンプ15の吐出側の流量との流量収支が成立しない場合(ステップS304:No)、油圧制御部65は、ステップS302で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS308)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。
そして、油圧制御部65は、ステップS303で設定したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS309)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS303で設定した必要斜板角θp_Sとする。
油圧制御部65がメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを指令した後、所定時間が経過したら、油圧制御部65は、ステップS303で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sを、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令する(ステップS310)。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL及び第2斜板14PRの斜板角を、ステップS303で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sとする。
メインポンプ斜板15Pと、第1、第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL、第2斜板14PRとを同時に開くと、リリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sによっては、油圧回路の高圧側と低圧側とが一時的に逆転したり、過剰な圧力低下が発生したりする場合がある。このため、メインポンプ斜板15Pを開いて高圧側の圧力が上昇してから、第1、第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL、第2斜板14PRを開く。これによって、油圧回路の高圧側と低圧側とが逆転することを防止するとともに、過剰な圧力低下を抑制する。
上述したように、この第1の制御態様では、メインポンプ15の吐出側と、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの入口側における流量収支に応じて、メインポンプ斜板15Pと第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1斜板14PL及び第2斜板14PRとを動作させる順序を変更する。これによって、オーバーステア制御時における応答性低下を抑制できる。また、上記制御によって、第1、第2リリーフ19A、19Bから過剰に作動油が噴出したり、リリーフ圧力設定値よりも過剰に作動油の圧力が低下することを抑制できるので、第1駆動装置10等の駆動効率も向上する。次に、第2の制御態様の手順を説明する。
図15は、実施形態1に係る駆動力配分制御における第2の制御態様の手順を示すフローチャートである。図16−1、図16−2は、実施形態1に係る駆動力配分制御における第2の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。第2の制御態様は、オーバーステア制御である(図12のステップS204、S205参照)。したがって、図16−1、図16−2に示すように、左旋回時のオーバーステア制御においては、右側後輪の駆動力を制御する第2モータ出力軸14SRのトルクTp_Rを、左側後輪の駆動力を制御する第1モータ出力軸14SLのトルクTp_Lよりも大きくする。
第2の制御態様において、まず、駆動力配分部63は、目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとの差から必要ヨーレートを算出する(ステップS401)。次に、運転条件判定部61は、第1駆動装置10等の旋回方向外側、この実施形態では左旋回なので、右側後輪の駆動力を制御する第2モータ出力軸14SR側のみで必要ヨーレートが発生可能か否かを判定する(ステップS402)。例えば、車両1等の前輪の舵角が大きく、かつアクセル開度(車両の要求総駆動力を代表するパラメータ)が小さい場合には、車両1等の前輪に横方向(前輪の回転軸方向)の力がすでに大きく発生している。このような場合には、第1駆動装置10等の外側のみで必要ヨーレートを発生させることができる(図16−1)。
一方、車両1等の前輪の舵角が小さく、かつアクセル開度が大きい場合には、車両1等の前輪に前後力がすでに大きく発生している。このような場合には、第1駆動装置10等の内側と外側とで必要ヨーレートを発生させる(図16−2)。これによって、車両1等の前輪の前後力が減少して、前輪の横方向の力に余裕が生まれるので、旋回性能が向上する。
第1駆動装置10等の外側のみで必要ヨーレートが発生可能である場合(ステップS402:Yes)、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、車両1等の状態及び必要ヨーレートから、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを算出する(ステップS403)。そして、制御パラメータ設定部64は、必要ヨーレート及び車両1等の状態から、メインポンプ15の必要斜板角θp_S、及び旋回方向外側の油圧モータ(この実施形態では第2油圧モータ14R)の必要斜板角θR_Sを算出する(ステップS404)。
ここで、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sは、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの回転数、斜板角、及びメインポンプ15の回転数等から効率を考慮して決定してもよい。また、上述した作動油の油温に関する制御におけるメインポンプ15の斜板角のフィードバック制御を適用し、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sは、前記フィードバック制御の指令値を用いてもよい。
駆動力配分制御装置60の油圧制御部65は、ステップS403で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS405)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。そして、油圧制御部65は、ステップS404で設定した第2油圧モータ14R(旋回方向外側の油圧モータ)の必要斜板角θR_Sを、第2油圧モータ14Rの第2斜板駆動用アクチュエータ14ARに対して指令する(ステップS406)。これによって、第2油圧モータ14Rの第2斜板14PRの斜板角を、ステップS404で設定した必要斜板角θR_Sとする。
その後、油圧制御部65は、ステップS404で設定したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS407)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS404で設定した必要斜板角θp_Sとする。
第1駆動装置10等の外側のみで必要ヨーレートが発生できない場合(ステップS402:No)、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、車両1等の状態及び必要ヨーレートから、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを算出する(ステップS408)。そして、制御パラメータ設定部64は、必要ヨーレート及び車両1等の状態から、メインポンプ15の必要斜板角θp_S、及び第1駆動装置10の両側に配置される油圧モータ、すなわち第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを算出する(ステップS409)。
駆動力配分制御装置60の油圧制御部65は、ステップS408で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS410)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。そして、油圧制御部65は、ステップS409で設定した第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令する(ステップS411)。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板14PL、14PRの斜板角を、ステップS409で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sとする。
その後、油圧制御部65は、ステップS409で設定したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS412)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS409で設定した必要斜板角θp_Sとする。このような手順によって、第2の制御態様では、外輪側のみで必要なヨーレートを発生できる際には、オーバーステア制御において、前輪の発生する力を有効に活用することができる。次に、第3の制御態様について説明する。
図17は、実施形態1に係る駆動力配分制御における第3の制御態様の手順を示すフローチャートである。図18−1、図18−2は、実施形態1に係る駆動力配分制御における第3の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。第3の制御態様は、アンダーステア制御である(図12のステップS204、S206参照)。したがって、図18−1、図18−2に示すように、左旋回時のアンダーステア制御においては、左側後輪の駆動力を制御する第1モータ出力軸14SLのトルクTp_Lを、右側後輪の駆動力を制御する第2モータ出力軸14SRのトルクTp_Rよりも大きくする。
第3の制御態様において、まず、駆動力配分部63は、目標ヨーレートと車両1等の実ヨーレートとの差から必要ヨーレートを算出する(ステップS501)。次に、運転条件判定部61は、必要ヨーレートと車両1等の状態等から、メインポンプ15を駆動せずに、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板14PL、14PRの調整のみで必要ヨーレートを発生できるか否かを判定する(ステップS502)。
例えば、旋回方向内側における油圧モータの回転方向と旋回方向外側における油圧モータの回転方向とがそれぞれ逆方向、かつ旋回方向内側における油圧モータの回転数の絶対値が旋回方向外側の油圧モータに比べて大きい場合等は、旋回方向内側における油圧モータでくみ上げた作動油を旋回方向外側における油圧モータで消費できる(図18−1)。したがって、このような場合は、メインポンプ15を必要としない。
一方、旋回方向内側における油圧モータの回転方向と旋回方向外側における油圧モータの回転方向がそれぞれ逆回転、かつ旋回方向内側における油圧モータの回転数の絶対値と旋回方向外側における油圧モータの回転数の絶対値との差が小さい場合は、油圧モータのみでは必要ヨーレートを発生できない(図18−2)。したがって、このような場合にはメインポンプ15を必要とする。
メインポンプ15を駆動せずに、第1及び第2油圧モータ14L、14Rのみで必要ヨーレートを発生できる場合(ステップS502:Yes)、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、車両1等の状態及び必要ヨーレートから、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを算出する(ステップS503)。次に、制御パラメータ設定部64は、必要ヨーレート及びステップS503で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sから、第1駆動装置10の両側に配置される油圧モータ、すなわち第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを算出する(ステップS504)。
そして、駆動力配分制御装置60の油圧制御部65は、ステップS503で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS505)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。次に、油圧制御部65は、ステップS504で設定した第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを、第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令する(ステップS506)。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板14PL、14PRの斜板角を、ステップS504で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sとする。これによって、メインポンプ15を駆動しないでアンダーステア制御を実行できるため、第1駆動装置10等の駆動効率が向上する。
メインポンプ15を駆動せずに、第1及び第2油圧モータ14L、14Rのみで必要ヨーレートを発生できない場合(ステップS502:No)、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、車両1等の状態及び必要ヨーレートから、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを算出する(ステップS507)。次に、制御パラメータ設定部64は、必要ヨーレート及びステップS507で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sから、メインポンプ15の必要斜板角θp_S、及び第1駆動装置10の両側に配置される油圧モータ、すなわち第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを算出する(ステップS508)。
ここで、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sは、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの回転数、斜板角、及びメインポンプ15の回転数等から効率を考慮して決定してもよい。また、上述した作動油の油温に関する制御におけるメインポンプ15の斜板角のフィードバック制御を適用し、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sは、前記フィードバック制御の指令値を用いてもよい。
そして、駆動力配分制御装置60の油圧制御部65は、ステップS507で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS509)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。次に、油圧制御部65は、ステップS508で設定したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS510)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS508で設定した必要斜板角θp_Sとする。
必要斜板角θp_Sが指令された後所定時間経過後に、油圧制御部65は、ステップS508で設定した第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令する(ステップS511)。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板14PL、14PRの斜板角を、ステップS508で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sとする。
ここで、前記所定時間を設けることにより、第1斜板14PL、第2斜板14PR及びメインポンプ斜板15Pを動作させるときにおける油圧回路内の圧力変動を抑制できるので、左側及び右側後輪2L、2Rの駆動力変動を抑制できる。前記所定時間は、油圧制御部65がメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを指令してから、メインポンプ斜板15Pが前記必要斜板角θp_Sとなるまでの時間以上とすることが好ましい。このような手順によって、第1駆動装置10等を用いてアンダーステア制御を実現できる。次に、車両1等の前輪がスリップした場合における駆動力配分制御を説明する。
(前輪がスリップした場合の駆動力配分制御)
図19は、前輪がスリップした場合における駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。図20は、前輪がスリップした場合の駆動力配分制御における駆動装置の動作を示す概念図である。この駆動力配分制御においては、まず、駆動力配分制御装置60が備える運転条件判定部61が、車両1等の前輪がスリップしているか否かを検出する(ステップS601)。車両1等が備える左側前輪3L又は右側前輪3Rのうち少なくとも一方がスリップした場合に、車両1等の前輪にスリップが発生していると判定する。
例えば、車両1等の左側、右側前輪3L、3R及び左側、右側後輪2L、2Rの回転速度の平均値を求め、左側前輪3L又は右側前輪3Rのうち少なくとも一方で、前記平均値と実回転速度との偏差が所定の許容値を超えた場合には、前輪にスリップが発生していると判定する。なお、左側、右側前輪3L、3R及び左側、右側後輪2L、2Rの回転速度は、左側前輪速度センサ46L、右側前輪速度センサ46R、左側後輪速度センサ45L、右側後輪速度センサ45Rによって検出することができる(以下同様)。
車両1等の前輪がスリップしていない場合(ステップS601:No)、STARTに戻り、運転条件判定部61は車両1等が備える前輪のスリップの監視を継続する。車両1等の前輪がスリップしている場合(ステップS601:Yes)、駆動力配分制御装置60が備える駆動力配分部63は、前輪にスリップが発生しているときの推定前輪トルクと車速等の情報から、前輪のスリップを止めるために必要な、後輪へのトルク移動量を算出する(ステップS602)。
車両1の後輪は、この実施形態に係る第1駆動装置10等によって駆動される。算出された後輪へのトルク移動量は、駆動装置10等によって駆動される左側及び右側後輪2L、2Rの必要トルクとなる。後輪へのトルク移動量が算出されたら、駆動力配分制御装置60が備える制御パラメータ設定部64は、算出された後輪へのトルク移動量から、第1駆動装置10等の油圧回路に取り付けられる第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを算出する(ステップS603)。
ここで、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sは、第1駆動装置10等の油圧回路の高圧側と低圧側との差圧が、前輪のスリップが発生したときとは異なる値になるように設定される。例えば、前記リリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sは、第1駆動装置10等の油圧回路の高圧側と低圧側との差圧が、前輪のスリップが発生したときよりも大きくなるように設定される。これによって、第1駆動装置10等によって駆動される後輪のトルクが迅速に立ち上がる。その結果、車両1等の前輪がスリップした場合には、当該スリップから回復する際の応答性を確保できる。
次に、駆動力配分制御装置60が備える駆動力配分部63は、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力を、設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sに変更することのみで、算出した前記トルク移動量を後輪へ移動できるか否かを判定する(ステップS604)。例えば、第1駆動装置10等で設定可能な高圧側と低圧側との差圧が上限値であっても、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板14PL、14PRが開いていなければ、後輪はトルクを発生することができず、その結果、前輪から後輪へトルクを移動させることはできない。
リリーフ圧力の変更のみで前輪から後輪へトルクの移動が可能である場合(ステップS604:Yes)、駆動力配分制御装置60の油圧制御部65は、ステップS603で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS609)。これによって、第1駆動装置10等の油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させて、前輪から後輪へトルクを移動させる。すなわち、後輪のトルクを増加させる。
このように、後輪のトルクを増加させるにあたり、第1駆動装置10等の油圧回路の高圧側と低圧側との差圧、すなわち、第1及び第2油圧モータ14L、14Rにおける作動油の入口側と出口側との差圧を変更(増加)する。前記差圧は、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bを動作させることにより変更できるが、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bの動作速度は、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの斜板角を変更する際の動作速度よりも速い。このため、前記差圧を変更することにより、迅速に前輪から後輪へトルクを移動させることができる。
リリーフ圧力の変更のみでは、前輪から後輪へトルクの移動ができない場合(ステップS604:No)、制御パラメータ設定部64は、ステップS602で算出したトルク移動量、及びステップS603で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sから、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_S、及びメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを算出する(ステップS605)。そして、油圧制御部65は、ステップS603で設定したリリーフ圧力設定値Ph_S、Pl_Sを、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS606)。これによって、油圧回路に必要差圧ΔP_Sを発生させる。
次に、油圧制御部65は、ステップS605で設定したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS607)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS605で設定した必要斜板角θp_Sとする。メインポンプ15の必要斜板角θp_Sを指令した後所定時間が経過したら、油圧制御部65は、ステップS605で設定した第1及び第2油圧モータ14L、14Rの必要斜板角θL_S、θR_Sを、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板駆動用アクチュエータ14AL、14ARに対して指令する(ステップS608)。これによって、第1及び第2油圧モータ14L、14Rの第1及び第2斜板14PL、14PRの斜板角を、ステップS409で設定した必要斜板角θL_S、θR_Sとする。
ここで、前記所定時間を設けることにより、第1斜板14PL、第2斜板14PR及びメインポンプ斜板15Pを動作させるときにおける油圧回路内の圧力変動を抑制できるので、左側及び右側後輪2L、2Rの駆動力変動を抑制できる。前記所定時間は、油圧制御部65がメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを指令してから、メインポンプ斜板15Pが前記必要斜板角θp_Sとなるまでの時間以上とすることが好ましい。このような手順によって、車両1等の前輪にスリップが発生した場合には、前輪の駆動トルクの一部を迅速に後輪へ移動させて、前輪のスリップを止めることができる。次に、車両1等の後輪がスリップした場合における駆動力配分制御を説明する。
(後輪がスリップした場合の駆動力配分制御)
図21は、後輪がスリップした場合における駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。図22は、後輪がスリップした場合の駆動力配分制御における駆動装置の動作を示す概念図である。
この駆動力配分制御においては、まず、駆動力配分制御装置60が備える運転条件判定部61が、車両1等の後輪がスリップしているか否かを検出する(ステップS701)。車両1等が備える左側後輪2L又は右側後輪2Rのうち少なくとも一方がスリップした場合に、車両1等の後輪にスリップが発生していると判定する。例えば、車両1等の左側、右側前輪3L、3R及び左側、右側後輪2L、2Rの回転速度の平均値を求め、左側後輪2L又は右側後輪2Rのうち少なくとも一方で、前記平均値と実回転速度との偏差が所定の許容値を超えた場合には、後輪にスリップが発生していると判定する。
車両1等の後輪がスリップしていない場合(ステップS701:No)、STARTに戻り、運転条件判定部61は、車両1等が備える後輪のスリップの監視を継続する。車両1等の後輪がスリップしている場合(ステップS701:Yes)、駆動力配分制御装置60の制御パラメータ設定部64は、メインポンプ15の吸入側の圧力と吐出側の圧力とが入れ替わるように、リリーフ圧力設定値を算出する(ステップS702)。
図22に示す例では、後輪にスリップが発生する前は、第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力(メインポンプ15の吐出側の圧力)の方が第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力(メインポンプ15の吸入側の圧力)よりも高く設定されている。この実施形態に係る駆動力配分制御では、後輪にスリップが発生した場合、第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力(メインポンプ15の吸入側の圧力)を、第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力(メインポンプ15の吐出側の圧力)の方よりも高く設定する。すなわち、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側と低圧側とを反転させる。
これによって、第1、第2油圧モータ14L、14Rはスリップしている後輪によって駆動されて、ポンプとして機能する。そして、油圧回路の圧力を反転した後、リリーフ弁(特に高圧に設定した第2リリーフ弁19B)から作動油が噴出することにより、スリップしている後輪の回転エネルギーを熱エネルギーに変換する。これらの作用によって、後輪の駆動トルクを迅速に低下させることができるので、迅速に後輪のスリップを止めることができる。また、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bのリリーフ圧力を変更するだけなので、駆動力配分制御装置60の指令から後輪のスリップが抑制されるまでの時間は極めて短い。
後輪のスリップ時に、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側と低圧側とを反転させるにあたり、この実施形態では、例えば、第1リリーフ弁19Aのリリーフ圧力設定値を最低圧力(ほぼ0)とし、第2リリーフ弁19Bのリリーフ圧力設定値を設定可能な最高圧力とする。このようにすれば、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側と低圧側とを反転させた後における高圧側(第2リリーフ弁19B側)と低圧側(第1リリーフ弁19A側)との差圧を大きくすることができるので、より迅速に後輪のスリップを止めることができる。
メインポンプ15の吸入側の圧力と吐出側の圧力とが入れ替わるように、リリーフ圧力設定値を算出したら(ステップS702)、運転条件判定部61は、第1駆動装置10等が備える油圧回路内の油温が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS703)。前記油温が所定値よりも低い場合(ステップS703:No)、油圧制御部65は、ステップS702で設定したリリーフ圧力設定値を、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS704)。これによって、油圧回路に必要差圧を発生させ、後輪にスリップが発生する前に対して、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側と低圧側とを反転させる。
次に、油圧制御部65は、メインポンプ15のメインポンプ斜板15Pの角度が0近傍となるように、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS705)。これによって、ポンプとして機能している第1及び第2油圧モータ14L、14Rからくみ上げられる作動油によってメインポンプ15が駆動力を発生することを抑えることができる。その結果、後輪の駆動力変化を抑えることができるので、前記駆動力変化に起因するショックを抑制できる。
メインポンプ15の吸入側の圧力と吐出側の圧力とを入れ替えると、リリーフ弁(特に第2リリーフ弁19B)から作動油が噴出することによっても後輪のスリップが抑制される。ここで、作動油の油温が高い場合、リリーフ弁から作動油が噴出しやすくなると、作動油の昇温が促進されて、第1駆動装置10等が備える油圧回路の構成部品の耐久性に影響を与えるおそれがある。このため、この実施形態においては、前記油温が所定値以上である場合、リリーフ弁から噴出する作動油の量を抑制する。
前記油温が所定値以上である場合(ステップS703:Yes)、制御パラメータ設定部64は、メインポンプ15と第1及び第2油圧モータ14L、14Rとの流量収支が成立するように、メインポンプ15の必要斜板角θp_Sを算出する(ステップS706)。この場合、メインポンプ15はモータとして機能しており、メインポンプ15とポンプとして機能する第1及び第2油圧モータ14L、14Rとの流量収支は、リリーフ弁(特に第2リリーフ弁19B)から過度の作動油が噴出しないように設定する。これによって、後輪のスリップを止めつつ、リリーフ弁(特に第2リリーフ弁19B)から噴出する作動油の量を抑制できるので、作動油の昇温を抑制できる。
次に、油圧制御部65は、ステップS702で設定したリリーフ圧力設定値を、第1及び第2リリーフ弁19A、19Bに対して指令する(ステップS707)。そして、後輪にスリップが発生する前に対して、第1駆動装置10等が備える油圧回路の高圧側と低圧側とを反転させる。
次に、油圧制御部65は、ステップS706で算出したメインポンプ15の必要斜板角θp_Sを、メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ15Aに対して指令する(ステップS708)。これによって、メインポンプ斜板15Pの斜板角をステップS702で設定した必要斜板角θp_Sとする。このような手順によって、後輪のスリップを止めるとともに、第1、第2リリーフ弁19A、19Bから噴出する作動油の量を抑制して、作動油の昇温を抑制する。
以上、実施形態1及びその変形例では、動力分割機構によって内燃機関や電動機等の動力発生手段の出力を分割し、分割した第1及び第2出力を遊星歯車装置に伝達して合成する。そして、第2出力の大きさを調整することによって、遊星歯車装置に取り付けられる駆動軸の駆動力を制御する。これによって、複数の駆動輪に駆動力差を与えるにあたり、動力発生手段の出力を車輪へ伝達する際の伝達効率を向上させることができる。
また、動力発生手段の出力を分割するとともに、第1出力を車輪に伝達し、第2出力で複数の車輪間において駆動力を変更する。これによって、車載電源の充電量等に依存しないで駆動力の配分比を変更できるので、駆動力配分制御においては駆動力配分比を大きく設定でき、また制御の自由度が向上する。また、車載電源の充電量等に依存しないで駆動力配分制御を実行できるので、駆動力配分制御自体が制限されることを回避できる。なお、この実施形態及びその変形例の構成を備えるものは、この実施形態と同様の作用、効果を奏する。また、この実施形態及びその変形例の構成は、以下の実施形態でも適宜適用できる。
(実施形態2)
図23−1、図23−2は、実施形態2に係る第1駆動装置を示す説明図である。図23−1、図23−2に係る第1駆動装置10c、10dは、上記実施形態の変形例に係る第1駆動装置10a(図7参照)とほぼ同様の構成であるが、第1駆動力調整手段である第1油圧モータ14Lと、第2駆動力調整手段である第2油圧モータ14Rとで、直接左側後輪2Lと右側後輪2Rとを駆動する点が異なる。他の構成は、上記実施形態の変形例に係る第1駆動装置10aと同様である。
図23−1に示す第1駆動装置10cは、第1駆動軸12Lを介して、第1油圧モータ14Lの出力を左側後輪2Lに伝達し、また、第2駆動軸12Rを介して、第2油圧モータ14Rの出力を右側後輪2Rに伝達する。一方図23−2に示す第1駆動装置10dは、車輪の内部に油圧モータを備える。そして、第1インホイール油圧モータ14I_Lの出力は直接左側後輪2Lに伝達され、また、第2インホイール油圧モータ14I_Rの出力は、直接右側後輪2Rに伝達される。
入力軸21には、内燃機関や電動機等の動力発生手段が接続されており、動力発生手段の出力は、入力軸21及び動力伝達機構16c、16dを介してメインポンプ15に入力されて、これを駆動する。メインポンプ15は、作動油を吐出して第1、第2油圧モータ14L、14R、あるいは第1、第2インホイール油圧モータ14I_L、14I_Rを駆動する。また、ブーストポンプ17によって、第1駆動装置10c、10dが備える油圧回路内へ作動油が送られ、作動油への気泡混入を回避する。この実施形態に係る第1駆動装置10c、10dの動作を制御する際には、上記実施形態に係る駆動力配分制御を適用することができる。
以上、実施形態2及びその変形例では、第1駆動力調整手段である第1油圧モータ14Lと、第2駆動力調整手段である第2油圧モータ14Rとで、直接左側後輪2Lと右側後輪2Rとを駆動する。これによって、第1駆動装置の構成を簡略化することができる。なお、この実施形態及びその変形例の構成を備えるものは、この実施形態と同様の作用、効果を奏する。
(実施形態3)
図24は、実施形態3に係る第1駆動装置を示す説明図である。図24に示す第1駆動装置10eは、実施形態1に係る第1駆動装置10(図2)とほぼ同様であるが、駆動力調整手段として油圧モータの代わりに電動機を用いる点が異なる。動力発生手段である電動機4の出力は、第1及び第2遊星歯車装置11L、11Rを介して左側及び右側後輪2L、2Rに伝達される。
第1遊星歯車装置11Lのサンギヤ11Lsには第1ギヤ13Lが取り付けられる。また、第2遊星歯車装置11Rのサンギヤ11Rsには第2ギヤ13Rが取り付けられる。第1ギヤ13Lには、第1駆動力調整手段である第1電動モータ14MLの出力軸(第1モータ出力軸)14SLに取り付けられる第1モータギヤ14GMLが噛み合う。また、第2ギヤ13Rには、第2駆動力調整手段である第2電動モータ14MRの出力軸(第2モータ出力軸)14SRに取り付けられる第2モータギヤ14GMRが噛み合う。
この実施形態に係る第1駆動装置10eは、電動機4の駆動中において、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRにトルクを発生させることによって、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRで電動機4の出力による駆動反力を受けることができる。これによって、第1駆動装置10eは、左側後輪2L、右側後輪2Rに駆動力を発生させる。また、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRの発生するトルクを変化させることによって、左側後輪2L、右側後輪2Rが発生する駆動力を変化させることができる。
図25は、実施形態3に係る第1駆動装置を示す説明図である。図25に示す第1駆動装置10fは、図24に示す第1駆動装置10eとほぼ同様であるが、動力発生手段である電動機4の出力を、動力分割機構16によって第1出力Fm1と第2出力Fm2とに分割する点が異なる。
この第1駆動装置10fが備える動力分割機構16は、電動機4の出力軸に取り付けられる第1出力分割ギヤ16GOと、発電機24に取り付けられて、これを駆動する第2出力分割ギヤ16GIとを含んで構成される。電動機4の出力は、動力分割機構16で第1出力Fm1と第2出力Fm2とに分割される。そして、電動機4の第1出力Fm1は、第1及び第2遊星歯車装置11L、11Rを介して左側及び右側後輪2L、2Rに伝達される。
一方、電動機4の第2出力Fm2は、発電機24に伝達されて電気エネルギーに変換される。そして、ECU50が備える駆動力配分制御装置60によって制御されるインバータ7を介して、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRにトルクを発生させる。
この第1駆動装置10fは、電動機4の駆動中において、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRにトルクを発生させることによって、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRで電動機4の出力による駆動反力を受けることができる。これによって、第1駆動装置10eは、左側後輪2L、右側後輪2Rに駆動力を発生させる。また、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRの発生するトルクを変化させることによって、左側後輪2L、右側後輪2Rが発生する駆動力を変化させることができる。
(変形例)
図26は、実施形態3の変形例に係る第1駆動装置を示す説明図である。図26に示す第1駆動装置10gは、実施形態3に係る第1駆動装置10e(図24)とほぼ同様であるが、電動機や内燃機関等の動力発生手段の出力が、入力軸21を介して第1駆動装置10gの外部から入力される点が異なる。入力軸21には電動機や内燃機関等の動力発生手段が接続されており、動力発生手段の出力は、入力軸21、かさ歯車装置22、第1及び第2遊星歯車装置11L、11Rを介して左側及び右側後輪2L、2Rに伝達される。
図27は、実施形態3の変形例に係る第1駆動装置を示す説明図である。図27に示す第1駆動装置10hは、図26に示す第1駆動装置10gとほぼ同様であるが、動力発生手段の出力を、入力軸21に設けられる動力分割機構16によって第1出力Fm1と第2出力Fm2とに分割する点が異なる。
この第1駆動装置10hが備える動力分割機構16は、入力軸21に取り付けられる第1出力分割ギヤ16GOと、発電機24に取り付けられて、これを駆動する第2出力分割ギヤ16GIとを含んで構成される。動力発生手段の出力は、動力分割機構16で第1出力と第2出力とに分割される。そして、動力発生手段の第1出力は、第1及び第2遊星歯車装置11L、11Rを介して左側及び右側後輪2L、2Rに伝達される。
一方、動力発生手段の第2出力は、発電機24に伝達されて電気エネルギーに変換される。そして、ECU50が備える駆動力配分制御装置60によって制御されるインバータ7を介して、第1電動モータ14ML、第2電動モータ14MRにトルクを発生させる。
この第1駆動装置10hは、電動機4の駆動中において、第1、第2電動モータ14ML、14MRにトルクを発生させることによって、第1、第2電動モータ14ML、14MRで電動機4の出力による駆動反力を受ける。これによって、第1駆動装置10hは、左側後輪2L、右側後輪2Rに駆動力を発生させ、また、第1、第2電動モータ14ML、14MRの発生するトルクを変化させて、左側後輪2L、右側後輪2Rが発生する駆動力を変化させる。
以上、実施形態3及びその変形例では、駆動力調整手段として油圧モータの代わりに電動モータを用いるので、作動油の状態を考慮する必要がなく、複数の車輪間で駆動力を配分する際の制御が容易になる。また、油圧回路が不要になるので、第1駆動装置の構成を簡略化できる。さらに、いわゆるハイブリッド車両や電動車両では、車載の電源を駆動力調整手段ある電動モータに供給することによっても、第1駆動装置の駆動力を制御できる。これによって、例えば、電動モータに電力を供給する発電機が故障した場合でも、車載電源を用いて第1駆動装置の駆動力を制御できる。なお、この実施形態及びその変形例の構成を備えるものは、この実施形態と同様の作用、効果を奏する。
以上のように、本発明に係る駆動装置は、複数の駆動輪に駆動力差を与える際に有用であり、特に、動力発生手段の出力を車輪へ伝達する際の効率を改善することに適している。
実施形態1に係る駆動装置を搭載した車両の構成を示す説明図である。 図1の車両が備える駆動装置の構成を示す説明図である。 図1の車両が備える駆動装置の構成を示す説明図である。 実施形態1に係る第1駆動装置が備える遊星歯車の各構成要素の共線図である。 実施形態1に係る第2駆動装置が備える遊星歯車の各構成要素の共線図である。 実施形態1の変形例に係る駆動装置を搭載した車両の構成を示す説明図である。 実施形態1の変形例に係る第1駆動装置の構成を示す説明図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御装置の構成を示す概念図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る第1駆動装置が備える油圧回路の設定圧力と油圧モータの斜板角との関係例を示す説明図である。 メインポンプの斜板角をフィードバック制御する際におけるフィードバックゲインの設定例を示す説明図である。 駆動力配分比を変更する際の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第1の制御態様の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第1の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第1の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第2の制御態様の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第2の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第2の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第3の制御態様の手順を示すフローチャートである。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第3の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。 実施形態1に係る駆動力配分制御における第3の制御態様における駆動装置の動作を示す概念図である。 前輪がスリップした場合における駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。 前輪がスリップした場合の駆動力配分制御における駆動装置の動作を示す概念図である。 後輪がスリップした場合における駆動力配分制御の手順を示すフローチャートである。 後輪がスリップした場合の駆動力配分制御における駆動装置の動作を示す概念図である。 実施形態2に係る第1駆動装置を示す説明図である。 実施形態2に係る第1駆動装置を示す説明図である。 実施形態3に係る第1駆動装置を示す説明図である。 実施形態3に係る第1駆動装置を示す説明図である。 実施形態3の変形例に係る第1駆動装置を示す説明図である。 実施形態3の変形例に係る第1駆動装置を示す説明図である。
符号の説明
1、1a 車両
2L 左側後輪(第1後輪)
2R 右側後輪(第2後輪)
3L 左側前輪(第1前輪)
3R 右側前輪(第2前輪)
4 電動機
4SL 第1電動機出力軸
4SR 第2電動機出力軸
5 内燃機関
5S 出力軸
6L 第1発電機
6R 第2発電機
10、10a、10c、10d、10e、10f、10g、10h 第1駆動装置
11L 第1遊星歯車装置
11R 第2遊星歯車装置
11Lc、11Rc キャリア
11Ls、11Rs サンギヤ
11Lr、11Rr リングギヤ
12L 第1駆動軸
12R 第2駆動軸
14PL 第1斜板
14PR 第2斜板
14AL 第1斜板駆動用アクチュエータ
14AR 第2斜板駆動用アクチュエータ
14ML 第1電動モータ
14MR 第2電動モータ
14L 第1油圧モータ
14R 第2油圧モータ
15 メインポンプ
15P メインポンプ斜板
15A メインポンプ斜板駆動用アクチュエータ
16 動力分割機構
16c、16d 動力伝達機構
17 ブーストポンプ
18A 第1作動油通路
18B 第2作動油通路
19A 第1リリーフ弁
19B 第2リリーフ弁
20 プロペラシャフト
21 入力軸
22 かさ歯車装置
23 車軸
30、30a 第2駆動装置
31L 第1の遊星歯車装置
31R 第2の遊星歯車装置
31Lc、31Rc キャリア
31Ls、31Ls サンギヤ
31Lr、31Lr リングギヤ
32 連結軸
33L 第1の車軸
33R 第2の車軸
35 出力軸
40 アクセル開度センサ
41 舵角センサ
42 ヨーセンサ
43A 第1圧力センサ
43B 第2圧力センサ
44 車速センサ
45R 右側後輪速度センサ
45L 左側後輪速度センサ
46R 右側前輪速度センサ
46L 左側前輪速度センサ
47 油温センサ
60 駆動力配分制御装置
61 運転条件判定部
62 温度制御部
63 駆動力配分部
64 制御パラメータ設定部
65 油圧制御部

Claims (17)

  1. 動力発生手段の出力を第1出力と第2出力とに分割する動力分割機構と、
    前記第1出力の一部と、前記第2出力の一部とを合成し、駆動力として出力する第1動力合成手段と、
    前記第1動力合成手段で合成された前記第1出力の残りの出力と、前記第1動力合成手段で合成された前記第2出力の残りの出力とを合成し、駆動力として出力する第2動力合成手段と、
    を含んで構成されることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記第2出力の一部によって駆動される第1駆動力調整手段と、
    第1駆動力調整手段を駆動した残りの前記第2出力によって駆動される第2駆動力調整手段と、を備え、
    前記第1動力合成手段は、前記第1出力の一部と、第1駆動力調整手段を介して出力される前記第2出力の一部とを合成し、また、
    前記第2動力合成手段は、前記第1動力合成手段で合成された前記第1出力の残りの出力と、前記第2駆動力調整手段を介して出力される、前記第1動力合成手段で合成された前記第2出力の残りの出力とを合成することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記第1動力合成手段は、サンギヤと、キャリアと、リングギヤとを構成要素として備える第1遊星歯車装置であり、また、前記第2動力合成手段は、サンギヤと、キャリアと、リングギヤとを構成要素として備える第2遊星歯車装置であって、
    前記動力分割機構は、前記第1出力を前記キャリア又は前記サンギヤ又は前記リングギヤのうちいずれか一つに伝達し、残りの構成要素のうち一つに前記第2出力を伝達し、また、
    前記第1遊星歯車装置が備える前記サンギヤ又は前記キャリア又は前記リングギヤのうち、前記第1出力及び前記第2出力が伝達されるもの以外に取り付けられる第1駆動軸と、
    前記第2遊星歯車装置が備える前記サンギヤ又は前記キャリア又は前記リングギヤのうち、前記第1出力及び前記第2出力が伝達されるもの以外に取り付けられる第2駆動軸と、
    を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  4. 前記第2出力によって駆動されることにより、動力伝達流体を吸入して吐出する動力伝達流体供給手段と、
    前記動力伝達流体供給手段から吐出される動力伝達流体によって駆動され、前記第1遊星歯車装置において前記第2出力が伝達される構成要素に出力を伝達して、前記第1駆動軸の駆動力を調整する第1駆動力調整手段と、
    前記動力伝達流体供給手段から吐出される作動油によって駆動され、前記第2遊星歯車装置において前記第2出力が伝達される構成要素に出力を伝達して、前記第2駆動軸の駆動力を調整する第2駆動力調整手段と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
  5. 前記動力伝達流体供給手段の吐出側と前記第1駆動力調整手段及び第1駆動力調整手段との間に設けられて、前記動力伝達流体の圧力を調整する第1の圧力調整手段と、
    前記動力伝達流体供給手段の吸入側と前記第1駆動力調整手段及び第1駆動力調整手段との間に設けられて、前記動力伝達流体の圧力を調整する第2の圧力調整手段と、
    を備えることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
  6. 前記動力伝達流体の温度が上昇するにしたがって、前記第1の圧力調整手段及び前記第2の圧力調整手段の設定圧力を低くすることを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
  7. 前記駆動装置が搭載される車両の車速が低くなるにしたがって、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段が発生する出力が小さくなる方向に、前記第1駆動力調整手段が備える第1出力変更手段と前記第2駆動力調整手段が備える第2出力変更手段とを制御することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の駆動装置。
  8. 前記駆動装置が搭載される車両の車速が低くなるにしたがって、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側と出口側との差圧を大きくすることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
  9. 前記駆動装置が搭載される車両の目標ヨーレートと実ヨーレートとに基づいて、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段が発生する出力を決定し、
    決定された前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段が発生する出力に基づいて、前記動力伝達流体供給手段と、前記第1の圧力調整手段と、前記第2の圧力調整手段と、前記第1出力変更手段と、前記第2出力変更手段とを制御することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の駆動装置。
  10. 前記動力伝達流体供給手段の吐出側における前記動力伝達流体の流量と、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段を流れる前記動力伝達流体の流量との流量収支が成立する場合には、前記第1出力変更手段及び前記第2出力変更手段を動作させてから前記動力伝達流体供給手段の吐出量を変更し、
    前記流量収支が成立しない場合には、前記動力伝達流体供給手段の吐出量を変更してから、前記第1出力変更手段及び前記第2出力変更手段を動作させることを特徴とする請求項9に記載の駆動装置。
  11. 前記駆動装置が搭載される車両の要求総駆動力及び前記車両の舵角に基づいて、前記第1駆動力調整手段又は前記第2駆動力調整手段のうち少なくとも一方の出力を調整することを特徴とする請求項9又は10に記載の駆動装置。
  12. 前記第1駆動力調整手段の出力軸の回転数と前記第2駆動力調整手段の出力軸の回転数との回転数差を求め、前記回転数差の絶対値が所定値以下である場合に、前記動力伝達流体供給手段から動力伝達流体を吐出することを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の駆動装置。
  13. 前記駆動装置が搭載される車両において、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段の出力が伝達されない車輪がスリップした場合には、
    前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側と出口側との差圧を、前記車輪がスリップする前よりも大きくすることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項に記載の駆動装置。
  14. 前記駆動装置が搭載される車両において、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段の出力が伝達されない車輪がスリップした場合には、
    前記第1の圧力調整手段及び前記第2の圧力調整手段の設定圧力を変更することによって、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側と出口側との差圧を、前記車輪がスリップする前よりも大きくすることを特徴とする請求項5〜12のいずれか1項に記載の駆動装置。
  15. 前記第1駆動軸に取り付けられる車輪又は前記第2駆動軸に取り付けられる車輪のうち少なくとも一方がスリップした場合には、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側の圧力と出口側の圧力との大小関係を反転させることを特徴とする請求項4〜12のいずれか1項に記載の駆動装置。
  16. 前記動力伝達流体の温度が所定の温度よりも低い場合に、前記第1駆動力調整手段及び前記第2駆動力調整手段における動力伝達流体の入口側の圧力と出口側の圧力との大小関係を反転させることを特徴とする請求項15に記載の駆動装置。
  17. 前記第1遊星歯車装置及び前記第2遊星歯車装置のサンギヤに前記第2出力が伝達され、前記第1遊星歯車装置及び前記第2遊星歯車装置のリングギヤに前記第1出力が伝達されることを特徴とする請求項3〜16のいずれか1項に記載の駆動装置。
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