JP2007177357A - 導電性複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】性能の劣化の少ないポリエステルを使用した導電性繊維であって、紡糸延伸がスムーズに行え、長さ方向の導電性能が均一となり、優れた導電性能を有するとともに、長期間使用しても強度の低下や繊維表面のクラックの発生等がなく、耐久性にも優れている導電性複合繊維を提供する。
【解決手段】導電性成分と非導電性成分とからなる複合繊維であって、非導電性成分は、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一方が5〜20モル%共重合されたポリエステル系樹脂であり、導電性成分は、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸のうち少なくとも一種が5〜40モル%共重合され、かつ導電性粒子を含有してなるポリエステル系樹脂であることを特徴とする導電性複合繊維。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性成分と非導電性成分とからなる導電性を有する複合繊維に関するものであり、具体的には、制電作業服、ユニホームなどの衣料、カーペット、カーテンなどのインテリア用途及び資材用途として用いられる導電性複合繊維に関するものである。
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の疎水性ポリマーからなる繊維は機械特性、耐薬品性、耐候性等の多くの長所を有しており、衣料用のみならず、産業資材用途等にも広く用いられている。しかし、これらの繊維は摩擦等による静電気の発生が著しいため、空気中の塵埃を吸引して美観を低下させたり、人体に電撃を与えて不快感を与えたり、さらには、スパークによる電子機器への障害や、引火性物質への引火爆発等の問題を引き起こす場合があり、そのため、導電性を付与するための多くの研究がなされてきた。
まず、導電性カーボンブラックや金属粉等の導電性粒子を熱可塑性ポリマー全体に分散させた繊維が提案されているが、このような繊維は、導電性を満足する程度に導電性粒子を分散させると、曳糸性や強伸度の低下が著しく、実用性に乏しいものであった。
この問題を解決するものとして、特許文献1や特許文献2では、導電性成分を非導電性成分で完全に包みこんだ芯鞘型複合繊維あるいは導電性成分が繊維表面に露出したタイプの複合繊維が開示されている。
しかしながら、これらの繊維においても導電性成分を含有することから紡糸延伸工程がスムーズに行えず、繊度や物性に斑が生じ、長さ方向の導電性能を均一とすることが困難な場合があった。
そこで、本発明者等は、紡糸延伸がスムーズに行え、長さ方向に導電性能が均一となり、優れた導電性能を有する導電性複合繊維を提案した(特許文献3参照)。この導電性複合繊維においては、導電性性能を優れたものとするために、導電性微粒子を含有する導電性成分について考慮したものであっため、繊維の柔軟性や耐久性の面において十分に満足できるものではなく、長期間の使用においては、強度が低下したり、繊維にクラックが生じることがあった。
特開平09−143821号公報 特開平09−279416号公報 特開2004−44071号公報
本発明は上述の問題点を解決し、紡糸延伸がスムーズに行え、長さ方向の導電性能が均一となり、優れた導電性能を有するとともに、長期間使用しても強度の低下や繊維表面のクラックの発生等がなく、耐久性にも優れている導電性複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者等は上記課題を解決するために検討した結果、特定の共重合成分を共重合させたポリエステル成分を導電性成分と非導電性成分に用いることにより、優れた導電性能と長さ方向に均一な導電性能を有する繊維とすることができ、さらには、長期間使用しても強度の低下やクラックの発生等がなく、耐久性にも優れるものとなることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、導電性成分と非導電性成分とからなる複合繊維であって、非導電性成分は、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一方が5〜20モル%共重合されたポリエステル系樹脂であり、導電性成分は、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸のうち少なくとも一種が5〜40モル%共重合され、かつ導電性粒子を含有してなるポリエステル系樹脂であることを特徴とする導電性複合繊維を要旨とするものである。
本発明の導電性複合繊維は、特定の共重合成分を共重合させたポリエステル成分を導電性成分と非導電性成分に用いているので、導電性粒子の混入量を増加させることができ、紡糸延伸もスムーズに行えるので、導電性粒子の配列状態を向上させることができ、優れた導電性能と長さ方向に均一な導電性能を有する繊維とすることができる。さらには、耐湿熱性にも優れるため、長期間使用しても強度の低下やクラックの発生等がなく、耐久性にも優れるものである。
このため、本発明の導電性複合繊維を少なくとも一部に使用した織編物や不織布等の布帛は、導電性と除電性ともに優れたものとなり、制電作業服、ユニホームなどの衣料、カーペット、カーテンなどのインテリア用途及び産業資材用途等に広く用いることが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の導電性複合繊維を構成する導電性成分としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンオキシベンゾエート等を主成分として用いることが好ましい。そして、これらのポリエステルは、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)及びイソフタル酸(IPA)のうち少なくとも1種が共重合されており、その共重合量が5〜40モル%である。
導電性成分として、CHDM、CHDA、IPAの少なくとも一種を共重合成分として共重合させたポリエステル系樹脂を用いることにより、導電性成分と導電性粒子との相溶性(表面濡れ性)が向上し、導電性粒子の混入量を増加させることができ、優れた導電性能を有するもの(具体的には後述するような電気抵抗値の低いもの)となる。そして、ポリマーの柔軟性が向上し、紡糸延伸工程をスムーズに行うことができ、導電性粒子の配列状態が向上するので、長さ方向に均一な導電性能を有するもの(具体的には後述するようなバラツキの小さいもの)となる。
中でも、本発明においては導電性成分の主成分にPBTを用いることが好ましい。PBTは、非常に結晶性の高い樹脂であることから、導電性粒子の配列状態が良好となり、導電性粒子の性能を効率よく得ることができ、導電性粒子の含有量が少量であっても、電気抵抗値の低い繊維を得ることができる。
共重合成分として、CHDM、CHDA、IPAのいずれか一種を用いる場合、もしくはこれらを複数種併用する場合ともに、共重合量は5〜40モル%であり、中でも10〜30モル%とすることが好ましい。共重合量が5モル%未満では、上記したような導電性粒子との相溶性(表面濡れ性)の向上効果、ポリマーの柔軟性の向上効果、耐久性の向上効果が不十分となる。一方、40モル%を超えると、ポリマー自体が完全に非晶性になるため、導電性粒子のポリマー中への分散が困難となる。
また、導電性成分には、CHDM、CHDA、IPA以外の他の共重合成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。このような共重合成分としては、1,3−プロパンジオール、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカン二酸、キシリレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
さらに、導電性成分には、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて、ワックス類、ポリアルキレンオキシド類、各種界面活性剤、有機電解質等の分散剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、着色剤、顔料、流動性改善剤、その他の添加剤を加えることもできる。
また、導電性成分の固有粘度(IV)は、0.5〜0.8とすることが好ましく、中でも0.6〜0.75が好ましい。IVが0.5未満であるとポリマーの流動性は上がり、ポリマー中への導電性粒子の分散性は向上するが、その後の造粒性が悪化し、ペレット化することが困難となりやすい。IVが0.8を超えるとポリマーの流動性・結晶性が悪化して、導電性能が劣るものとなりやすい。
そして、導電性成分中には導電性粒子が含有されている。導電性成分における導電性粒子の含有量は、導電性成分中の5〜50質量%とすることが好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。含有量が5質量%未満では、導電性能が不十分になる場合があり、また、50質量%を超えると、導電性粒子のポリマー中への分散性が悪化するので好ましくない。
導電性粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、平均粒径が1μm以下のものが好ましく、0.5μm以下のものがより好ましい。平均粒径が1μmを超えると、導電性粒子のポリマー中への分散性が悪化しやすく、導電性能や強伸度特性の低下した繊維となりやすい。
また、導電性粒子としては、導電性カーボンブラックや金属粉末(銀、ニッケル、銅、鉄、錫あるいはこれらの合金等)、硫化銅、沃化銅、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属化合物が挙げられる。また、酸化錫に酸化アンチモンを少量添加したり、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを少量添加して導電性粒子としたものも挙げられる。さらには、酸化チタンの表面に酸化錫をコーティングし、酸化アンチモンを混合焼成し、導電性粒子としたものも用いることができる。特に好ましくは、導電性繊維の性能向上として汎用的に使用され、他の金属粒子と比較し、ポリマーの流動性を阻害しにくい導電性カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック等)である。
一方、非導電性成分の主成分となるポリエステル系樹脂としては、PET、PBT、ポリエチレンオキシベンゾエート等を用いることが好ましい。非導電性成分と導電性成分との剥離を防止するという点から、導電性成分との相溶性を考慮することが好ましい。
中でも、導電性成分の主成分にPBTを用いる場合は、非導電性成分との相溶性や繊維を得る際の曳糸性、得られる繊維の強伸度等の特性値を考慮すると、非導電性成分の主成分にPETを用いることが好ましい。
そして、非導電性成分には、共重合成分としてCHDM、CHDAのいずれか一方、もしくは両方を用いるものであり、その共重合量は、単独で用いる場合及び併用する場合ともに5〜20モル%であり、中でも8〜15モル%とすることが好ましい。
非導電性成分がこれらの成分を共重合していることによって、導電性成分との相溶性がよくなるばかりでなく、融点が低くなることにより、紡糸温度を低くすることができ、耐湿熱性が向上する。つまり、長期間使用しても強度の低下や繊維表面のクラックの発生等がなく、耐久性に優れる繊維となる。そして、後述するように、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強度保持率を60%以上とすることができる。
共重合量が5%未満であると、上記のような耐湿熱性の向上効果が不十分となる。一方、20モル%を超えると、融点が下がりすぎてしまうため、操業性が悪くなるばかりでなく、耐湿熱性、耐久性に劣るものとなる。
非導電性成分中にはその効果を損なわない範囲であれば、他の共重合成分として、イソフタル酸、1.3−プロパンジオール、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカン二酸、キシリレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等を含有してもよい。また、艶消剤、顔料、着色料、安定剤、制電剤等の添加剤を加えることもできる。
そして、本発明の導電性複合繊維は、導電性能として、電気抵抗値が1×10 Ω/cm 〜1×10 Ω/cmであることが好ましく、中でも、電気抵抗値は1×10Ω/cm〜1×10 Ω/cmであることが好ましい。電気抵抗値が10 Ω/cmを超えると、導電性能が不十分となりやすい。一方、1×10Ω/cm未満にしようとすると、導電性粒子をポリマーに多量に含有させることが必要となり、繊維物性に悪影響を及ぼすばかりか、更には曳糸性に問題を生じる可能性がある。
なお、本発明における電気抵抗値は、AATCC76法に準じて以下のようにして測定するものである。
1本の導電性複合繊維を長さ方向にカットして、10サンプルを採取する。このサンプルの両端の表面にケラチンクリームを塗布し、この表面部分を金属端子に接続し、50Vの直流電流を印加して電流値を測定し、下記式で電気抵抗値を算出する。算出した10個のサンプルの電気抵抗値の相加平均値とする。
電気抵抗値=E/(I×L)
E:電圧(V) I:測定電流(A) L:測定長(cm)
そして、上記のようにして算出する10個のサンプルの電気抵抗値の最大値と最小値と相加平均値から以下のようにして算出するバラツキにおいても、本発明の導電性複合繊維はバラツキが20%以下、さらには15%以下であることが好ましい。バラツキが20%以下であることにより、長さ方向に導電性能のバラツキがなく均一であることが示される。
バラツキ:〔(最大値−最小値)/相加平均値〕×100(%)
また、上記した導電性粒子としては、比抵抗値が1×10 Ω・cm以下のものが好ましく、さらには、1×10 Ω・cm以下のものが好ましい。比抵抗値が10Ω・cmを超えるものを用いると、目標とする導電性能を得るために、多量の導電性粒子をポリマー中に分散させることが必要になり、繊維物性に悪影響を及ぼすばかりか、さらには曳糸性に問題を生じる可能性がある。
さらに、本発明の導電性複合繊維は、湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強度保持率が60%以上であることが好ましい。
本発明の導電性複合繊維における湿熱処理後の強度保持率は、繊維の引張強度をJIS−L1013 引張強さ及び伸び率の標準時試験に従い、定速伸張形の試験機を用い、つかみ間隔20cmで測定する。次に、湿熱処理を121℃、25時間行った後、再度同様の方法で繊維の強度を求める。そして、以下のようにして算出するものである。
強度保持率(%)=(S/M)×100
S:導電性複合繊維の湿熱処理後の引張強度(cN/dtex)
M:導電性複合繊維の湿熱処理前の引張強度(cN/dtex)
本発明の導電性複合繊維においては、強度保持率は60%以上、中でも65%以上であることが好ましい。強度保持率が60%以上であることで、製品にした後に高温下で繰り返し使用したり、高温での処理を繰り返し施しても強度の低下が小さく、また繊維にクラックもほとんど生じておらず、使用に際する負荷でダメージを受けて、繊維が切断したり、品位が悪化することがない。強度保持率が60%未満であると、上記のような効果が得られない。
そして、本発明の複合繊維において、非導電性成分と導電性成分の複合比率は、非導電性成分が60〜90質量%、導電性成分が40〜10質量%とすることが好ましく、より好ましくは、非導電性成分が70〜85質量%、導電性成分が30〜15質量%である。導電性成分の複合比率が10質量%未満では、導電性能が十分でない場合があり、一方、導電性成分の複合比率が40質量%を超えると、耐湿熱性や強伸度特性等の糸質性能が劣ったり、曳糸性に悪影響を及ぼす場合がある。
次に、本発明の複合繊維における複合形態について図面を用いて説明する。複合形態については特に限定するものではないが、図1〜4に示すような断面形状のものとすることが好ましい。まず、図1は、非導電性成分を導電性成分で分割した形状となるタイプのもので、導電性成分の列数は1つであっても複数であってもよく、複数の導電性成分は並列又は交差していてもよい。(a)は列数が1つのもの、(b)は列数が2つでかつ十字型に交差しているもの、(c)は列数が3つでかつ交差しているものを示す。図2は、導電性成分を非導電性成分で完全に包み込んだ芯鞘型タイプであり、芯部となる導電性成分は1つであっても複数であってもよく、(a)は芯部が1つのもの、(b)は芯部が3つのものを示す。図3は、非導電性成分を導電性成分で完全に包み込んだ導電性粒子が繊維表面に完全に露出した芯鞘型タイプのものである。図4は、導電性成分の一部が繊維表面に露出したタイプのものであり、露出する導電性成分は1つであっても複数であってもよく、(a)は導電性成分が1つのもの、(b)は導電性成分が2つのもの、(c)は導電性成分が3つのもの、(d)は導電性成分が4つのものである。
本発明の導電性複合繊維の製法例について説明する。まず、導電性成分を得る方法としては、ベースとなるポリマーの重合段階で導電性粒子を添加する方法や、導電性粒子を後工程でポリマーに添加して溶融混練する方法等があるが、用いるポリマーによっては重合段階での添加が困難なものもあるので、後工程で溶融混練する方法が好ましい。このようにして得られた導電性成分と非導電性成分とを用い、必要に応じて乾燥等の処理を行ってチップ化し、通常の二成分系の複合溶融紡糸装置を用いて複合紡糸する。そして、得られた糸条を延伸、熱処理することによって、本発明の複合繊維を得ることができる。
そして、本発明の導電性複合繊維を用いて織編物等の製品にする場合、織編物中に占める本発明の導電性複合繊維の割合は0.1〜2.0質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、織編物に十分な導電性能を付与できない場合があり、一方、2.0質量%を超えても布帛としての風合い等に問題がなければ構わないが、帯電を低くする効果は飽和しやすく、コスト的に不利となる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、例中の導電性能の評価方法は次のとおりである。
〔導電性複合繊維の電気抵抗値、電気抵抗値のバラツキ〕
前記と同様に測定した。
〔固有粘度〕
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒とし、20℃で測定した。
〔湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強度保持率〕
前記と同様に測定した。
〔繊維のクラック発生状態〕
湿熱処理(121℃で25時間処理)後の繊維断面を光学顕微鏡にて観察し、クラックの発生状態により以下の3段階で評価した。
○ クラックの発生ほとんどなし
△ クラックの発生が少しある
× クラックの発生が多くある
実施例1
CHDMが10モル%共重合された共重合PBT(固有粘度0.75)が70質量% 、導電性カーボンブラック(平均粒径0.2μm、比抵抗値が0.5Ω・cm)が30質量%となるように溶融混練し、常法によりチップ化して導電性成分を得た。
また、CHDMが8モル%共重合された共重合PET(固有粘度0.61)を用いて溶融混練し、常法によりチップ化して非導電性成分を得た。
次に、単糸の横断面形状が図4(c)となるように設計された紡糸口金を用いて、通常の複合紡糸装置より紡糸温度260℃、導電性成分の複合比率が20質量%となるように溶融紡糸し、冷却、オイリングしながら3000m/分の速度で捲取り、45dtex/2fの未延伸糸を得た。
そして、この未延伸糸を90℃の熱ローラを介して1.6倍に延伸し、さらに、190℃のヒートプレート上で熱処理を行って巻取り、図4(c)の断面形状を有する28dtex/2fの複合繊維を得た。
実施例2〜21、比較例1〜10
導電性成分、非導電性成分の共重合成分の種類、共重合量、導電性粒子の含有量、複合比率、断面形状(用いる紡糸口金の形状を変更した)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
比較例11
非導電性成分にCHDM、CHDAを共重合せず、IPAを共重合し、共重合量を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様に行った。
比較例12
導電性成分にアジピン酸とIPAを共重合し、共重合量を表1に示す値とし、非導電性成分にCHDM、CHDAを共重合せず、IPAを共重合し、共重合量を表1に示す値とした以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1〜21、比較例1〜12で得られた複合繊維の電気抵抗値と電気抵抗値のバラツキ、湿熱処理後の強度保持率の測定結果及び繊維のクラックの発生状態の評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜21の複合繊維は、曳糸性よく得ることができ、電気抵抗値も良好な値を示し、繊維の長さ方向の電気抵抗値のバラツキも少ないものであった。さらに、湿熱処理前及び処理後ともに強度が高く、強度保持率も高いものであった。そして、繊維表面にクラックの発生も少なく、耐湿熱性に優れるものであった。
一方、比較例1の複合繊維は、導電性成分のポリマーに共重合成分が含まれていないため、比較例5、6の複合繊維は、導電性成分のポリマー中の共重合量が少ないため、いずれもポリマーの柔軟性が向上することによる導電性粒子の配列の向上効果がなく、電気抵抗値のバラツキが大きいものとなった。比較例2、3、4では、導電性成分のポリマーの共重合量が多いため、得られたポリマーが完全に非晶性になり、導電性粒子の混入が不可能となり、複合繊維を得ることができなかった。比較例7の複合繊維は、導電性成分中の共重合成分(CHDA)の共重合量が少なかったため、導電性粒子の分散性が悪く、電気抵抗値のバラツキが非常に大きくなった。さらに、非導電性成分にCHDM、CHDAが共重合されていなかったため、湿熱処理後の強度保持率が低いものとなった。比較例11〜12の複合繊維は、非導電性成分にCHDM、CHDAが共重合されていなかったため、湿熱処理後の強度保持率が低いものとなった。比較例8の複合繊維は、導電性成分中の共重合成分(CHDA)の共重合量が少なかったため、導電性粒子の分散性が悪く、電気抵抗値のバラツキが非常に大きくなった。さらに、非導電性成分中のCHDMの共重合量が多すぎたため、操業性が悪くなるばかりでなく、耐湿熱性、耐久性に劣るものとなった。比較例9〜10の複合繊維は、非導電性成分中の共重合成分の共重合量が多すぎたため、操業性が悪くなるばかりでなく、耐湿熱性、耐久性に劣るものとなった。
本発明の導電性複合繊維の一実施態様を示す断面図である。 本発明の導電性複合繊維の他の実施態様を示す断面図である。 本発明の導電性複合繊維の他の実施態様を示す断面図である。 本発明の導電性複合繊維の他の実施態様を示す断面図である。
符号の説明
1 導電性成分
2 非導電性成分

Claims (5)

  1. 導電性成分と非導電性成分とからなる複合繊維であって、非導電性成分は、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一方が5〜20モル%共重合されたポリエステル系樹脂であり、導電性成分は、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸のうち少なくとも一種が5〜40モル%共重合され、かつ導電性粒子を含有してなるポリエステル系樹脂であることを特徴とする導電性複合繊維。
  2. 非導電性成分は、ポリエチレンテレフタレートにシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸のうち少なくとも一方が5〜20モル%共重合されている請求項1記載の導電性複合繊維。
  3. 導電性成分は、ポリブチレンテレフタレートにシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジカルボン酸及びイソフタル酸のうち少なくとも一種が5〜40モル%共重合されている請求項1又は2記載の導電性複合繊維。
  4. 電気抵抗値が1×10 〜1×10 Ω/cmであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の導電性複合繊維。
  5. 湿熱処理(121℃で25時間処理)後の強度保持率が60%以上である請求項1〜4いずれかに記載の導電性複合繊維。
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