JP2007176101A - 電子機器のキャビネットをインサート成形する方法 - Google Patents

電子機器のキャビネットをインサート成形する方法 Download PDF

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Junichi Morimoto
淳一 森本
Mitsumasa Yokofujita
光正 横藤田
Yasuhiro Fukuda
康宏 福田
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Abstract

【課題】電子機器のキャビネットに、合成皮革を柔らかい触感を保つように接着する。
【解決手段】合成皮革本体30と、成形面32aに革しぼ模様の凹凸が施された成形型31とを用意する。合成皮革本体30を凹凸が施された成形面32aに当接するように成形型31に取り付ける。合成皮革本体30の裏側に圧力をかけながら溶融樹脂を流し込んでインサート射出成形し、合成皮革本体30の表面に革しぼ模様を施す。
【選択図】図8

Description

本発明は、携帯通信機器等の電子機器のキャビネットをインサート成形する方法に関する。
従来より、携帯通信機器、特に携帯電話機は、低年齢層のみならず、高年齢層へも幅広く普及が進んでいる。そして、各メーカは、色々な新しい機能を搭載することは勿論、製品の外観へも新しい工夫を凝らしている。外観の色調もグレイ、白、シルバーに始まり、鮮やかな赤、オレンジ、青、黄等と、各社独特の色調が誕生している。そして、今や合成皮革を貼り付けた製品も誕生しつつある。合成皮革を貼り付けた製品は、一般にキャビネットの成形時にインサート成形によって形作られる。これは、キャビネット成形時に合成皮革を予め金型に取り付けて溶融樹脂を流し、同時に成形されている。
特許文献1は、では、加飾シートと合成樹脂とのインサート成形方法において、金型の加飾シートのコーナー部分であって絞られる部分と対応する部分に凹部、凸部又は凸条を形成するものが開示されている。このことで、曲面を持つキャビネットに合成皮革をインサート成形する場合におけるコーナー部の皺の発生を防止している。
特開平9−131755号公報
しかしながら、特許文献1のインサート成形方法によっても、加飾シートとして皮革の触感を持たせるために凹凸のある革しぼ模様のあるものを用いると、インサート射出成形の際に革しぼが成形圧力で潰れてしまい、触感が硬いものとなるという問題がある。
上述した問題点に鑑み、本発明は、電子機器のキャビネットに、合成皮革を柔らかい触感を保つように接着することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、射出成形時に合成皮革の表面に革しぼ模様を施すようにした。
具体的には、第1の発明では、電子機器のキャビネットをインサート成形する方法を前提とする。
そして、合成皮革と、成形面に革しぼ模様の凹凸が施された成形型とを用意し、
上記合成皮革を上記凹凸が施された成形面に当接するように上記成形型に取り付け、
上記合成皮革の裏側に圧力をかけながら溶融樹脂を流し込んでインサート射出成形し、
上記合成皮革の表面に革しぼ模様を施す構成とする。
上記の構成によると、合成皮革を凹凸が施された成形面に当接するように成形型に取り付け、圧力をかけながらインサート射出成形して表面に革しぼ模様を施しているので、予め合成皮革に革しぼ模様が施されたものをインサート射出成形する場合に比べて、成形時に合成皮革の表面が成形圧力によって潰れにくく、皮革製カバーの柔らかい触感が維持される。
第2の発明では、上記合成皮革は、表面側の革しぼが施されたウレタン層と、裏面側の不織布層とで構成されている。
上記の構成によると、不織布層により、ソフトな触感が実現され、ウレタン層を加工することにより、皮革の表面に似せた革しぼが成形可能となる。また、ウレタンは、皮革に比べ、水、湿気や汚れに強いため手入れが容易で、かつ様々な色彩を実現できる。
第3の発明では、上記電子機器は、携帯通信機器とする。
上記の構成によると、皮革製カバーにより、携帯通信機器は、見映えよく触感もよくなるので、携帯性、商品性等が優れている。
第4の発明では、上記携帯通信機器は、携帯電話機とする。
上記の構成によると、携帯電話機の外観及び触感が向上する。
上記説明したように、本発明によれば、合成皮革を革しぼ模様の凹凸が施された成形面に当接するように成形型に取り付け、合成皮革の裏側に圧力をかけながら溶融樹脂を流し込んでインサート射出成形し、合成皮革の表面に革しぼ模様を施している。このため、電子機器のキャビネットに柔らかい触感を保ちながら合成皮革を接着することができる。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機の閉じた状態を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る携帯電話機の開いた状態を示す斜視図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、第1の筐体2と第2の筐体3とを有し、これら第1の筐体2と第2の筐体3とが、ヒンジ部4によって回転可能に結合されている。第1の筐体2の内側(表面側)には、受話部5及び表示部6が設けられている。第1の筐体2の外側(裏側)には、時計表示や通信時の相手の名前を表示するためのサブ表示部7やスピーカ放音部8等が設けられている。第1の筐体2を覆うキャビネットは、表裏分割式となっていて、裏側を覆う裏側キャビネット2aは、図7に示すように、樹脂製の基材20と、この基材20の外表面に貼り付けられた合成皮革製カバー9とを備えている。
上記第2の筐体3の内側には、各種機能の切替や決定をするための機能ボタン11、情報を入力する入力ボタン12、送話部13等が設けられている。機能ボタン11及び入力ボタン12が操作部50を構成している。第2の筐体3の外側には、カメラ部(図示しない)が設けられ、側面側には、充電端子部(図示せず)、音量ボタン15、イヤホンマイク端子カバー16、カード挿入部(図示しない)等が設置されている。
上記基材20は、例えば、ABS、AS、PC(ポリカーボネート)等で構成されている。
図3に示すように、上記合成皮革製カバー9を構成する合成皮革本体30は、例えば、表面側の平面状ウレタン層41と、裏面側の平面状不織布層42とをローラーで押さえつけながら成形したものとなっている。ウレタン層41には、皮革に似た触感を与える革しぼの凹凸が施されている。
上記合成皮革本体30の不織布層42側には、例えば、ABS、AS、PC等で構成された薄いプラスチックシート21が糊印刷22で接着されている。プラスチックシート21と基材20とは、インサート射出成形時に糊印刷22で接着されている。
なお、上記スピーカ放音部8は、成形時に裏側キャビネット2aと一体に形成してもよいが、確実に放音孔を設けるには、樹脂製又は金属製の別部材で構成し、裏側キャビネット2aの裏面側から嵌め込むのが望ましい。
図1に示すように、上記合成皮革製カバー9の外形の境界は、装飾用リング10によって覆われ、この装飾用リング10によって合成皮革製カバー9と基材20との境界線が隠されている。
図7に示すように、サブ表示部7の表面は、透明カバー26で覆われている。
−キャビネットのインサート成形方法−
次に、携帯電話機1の裏側キャビネット2aのインサート成形方法について説明する。
図3乃至図6は、第1の筐体2の外観を覆う合成皮革製カバー9の製作の順序を示す図である。
まず、図3に示すように、平面状の合成皮革本体30に糊印刷22を行い、平面状のプラスチックシート21を接着する。プラスチックシート21の合成皮革本体30と反対側にも糊印刷22を接着する。この裏面の糊印刷22は、インサート射出成形時に基材20との接着に利用される。裏面の糊印刷22の表面をセパレーター(図示せず)で覆う。このようにして平面状の合成皮革製カバー9を予め成形しておく。
次いで、図4及び図5に示すように、図3の平面状の合成皮革製カバー9をプレス成形機(図示せず)で温度をかけながら、第1の筐体2の曲面形状となるように凹凸を設ける。なお、裏面の糊印刷22の表面をセパレーターで覆っているので、プレス成形型に合成皮革製カバー9が貼り付くことはない。このとき、サブ表示部7に対応する位置にサブ表示部用凹部18を凹陥し、スピーカ放音部8に対応する位置にスピーカ部用凹部19を凹陥する(X−X線断面図参照)。また、コーナー部23も同時に成形する。このコーナー部23の成形においては、合成皮革本体30のみをプレス成形した場合には、プレス成形機から取り外した後は、殆ど平面近くまで復元してしまい、プレス成形した効果が小さくなってしまうが、プラスチックシート21を一緒にプレス成形することにより、プレス成形型の形のまま保持される。さらに温度を加えてプラスチックシート21を軟化させながら成形しているので、皺が伸び、外観から目立たなくなる。
次に、図6に示すように、図5の曲面状の合成皮革製カバー9を、第1の筐体2の形状の外形にカットし、かつ必要な孔抜きをする。ここで、スピーカ放音部8及びサブ表示部7の孔抜きにおいては、サブ表示部用凹部18及びスピーカ部用凹部19の凹部側面よりも内側で凹部に沿って孔抜きをする。このため、その切断面が下側に曲がるように孔抜きされるようにして、サブ表示部孔24及びスピーカ部孔25が形成される(Y−Y線断面図参照)。このことで、孔周辺の切断面は、合成皮革本体30で覆われているため、見映えがよい。
次いで、図8に示すように、射出成形型31を用意する。この成形型31の下型32の成形面32aには、革しぼ模様の凹凸が施されている。図5の合成皮革製カバー9のセパレーターをはがし、射出成形型31の下型32に合成皮革本体30側が当接するように取り付ける。この下型32への合成皮革製カバー9の取付は、サブ表示部孔24及びスピーカ部孔25で位置決めされる。
そして、上型33を型閉じし、キャビティ34を形成する。このキャビティ34に溶融樹脂に所定の圧力を加えながら流し込み、インサート射出成形する。このとき、射出成形の圧力により、ウレタン層41の表面に革しぼ模様を施す。
これにより、図7に示す第1の筐体2の裏側キャビネット2aが完成する(Z−Z線断面図参照)。
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態に係る電子機器のキャビネットをインサート成形する方法によると、合成皮革本体30を革しぼ模様の凹凸が施された成形面32aに当接するように成形型31に取り付け、合成皮革本体30の裏側に圧力をかけながら溶融樹脂を流し込んでインサート射出成形し、合成皮革本体30の表面に革しぼ模様を施している。このため、携帯電話機1の裏側キャビネット2aに柔らかい触感を保ちながら合成皮革製カバー9を接着することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
すなわち、上記実施形態では、折畳み式携帯電話について、PHS、PDAなどの携帯通信機器でもよい。また、折畳み式に限らず、ストレートタイプの携帯通信機器であってもよい。
上記実施形態では、射出成形により裏側キャビネット2aを成形したが、コンプレッション成形によって裏側キャビネット2aを成形してもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、携帯電話機などの電子機器の合成皮革製カバーによって覆われたキャビネットの成形方法について有用である。
本発明の実施形態に係る携帯電話機の閉じた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る携帯電話機の開いた状態を示す斜視図である。 (b)が合成皮革製カバーの製作順序における合成皮革本体とプラスチックシートを糊印刷にて接着した状態を示す平面図で、(a)がそのX−X線断面図である。 (b)が合成皮革製カバーの製作順序におけるプレス成形機にて成形した状態を示す平面図で、(a)がその断面図を示す図である。 プレス成形機にて成形した合成皮革製カバーを示す斜視図である。 (b)が合成皮革製カバーの製作順序における外形カット及び孔抜きをした状態を示す平面図で、(a)がそのY−Y線断面図である。 (b)が合成皮革製カバーの製作順序における合成皮革製カバーをインサート成形した状態を示す平面図で、(a)がそのZ−Z線断面図である。 射出成形型で溶融樹脂を流し込んで裏側キャビネットを成形する様子を示す断面図である。
符号の説明
1 携帯電話機(電子機器、携帯通信機器)
2a 裏側キャビネット(キャビネット)
9 合成皮革製カバー(皮革製カバー)
10 装飾用リング
20 基材(樹脂基材)
21 プラスチックシート
30 合成皮革本体(合成皮革)
31 成形型
32a 成形面
41 ウレタン層
42 不織布層

Claims (4)

  1. 電子機器のキャビネットをインサート成形する方法において、
    合成皮革と、成形面に革しぼ模様の凹凸が施された成形型とを用意し、
    上記合成皮革を上記凹凸が施された成形面に当接するように上記成形型に取り付け、
    上記合成皮革の裏側に圧力をかけながら溶融樹脂を流し込んでインサート射出成形し、
    上記合成皮革の表面に革しぼ模様を施すことを特徴とする電子機器のキャビネットのインサート成形方法。
  2. 請求項1に記載の電子機器のキャビネットのインサート成形方法において、
    上記合成皮革は、表面側のウレタン層と、裏面側の不織布層とで構成されていることを特徴とする電子機器のキャビネットのインサート成形方法。
  3. 上記電子機器は、携帯通信機器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器のキャビネットのインサート成形方法。
  4. 上記携帯通信機器は、携帯電話機であることを特徴とする請求項3に記載の電子機器のキャビネットのインサート成形方法。
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