JP2007172754A - 誘電体記録媒体および誘電体記録装置 - Google Patents

誘電体記録媒体および誘電体記録装置 Download PDF

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秀哉 堀内
Michio Kadota
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Abstract

【課題】誘電体板を厚くすることによる記録時の印加電圧の上昇の問題およびアニーリングに関する問題を解消し、情報記録保持特性の良好な誘電体記録媒体およびそれを備えた誘電体記録装置を構成する。
【解決手段】強誘電体の分極反転ドメインによる情報の保持が可能な誘電体板26に、発熱体23とそれを挟む電極22,27からなる加熱手段を設け、これらをベース基板21の上に構成する。加熱手段は、この誘電体記録媒体が情報保持可能な状態に置かれている所定期間に亘って、誘電体板26を、分極反転ドメインによる記録ビットの拡がりを抑制する所定温度に保つ。
【選択図】図5

Description

この発明は、強誘電体の分極反転ドメインによる情報の記録保持が可能な誘電体記録媒体およびそれを備えた誘電体記録装置に関するものである。
従来、誘電体材料に情報を記録し再生する誘電体記録媒体として特許文献1が示されている。また、強誘電体を用いた半導体記憶装置が特許文献2に示されている。
特許文献1は、強誘電体単結晶を用い、その1つの面を記録再生面として記録再生用の探針を作用させるようにした誘電体記録媒体に関するものである。ここで図1を用いてその構成について説明する。
図1の(A)は平面図、(B)はその断面図である。誘電体材料11は強誘電体単結晶からなり、その表面が探針による記録再生面となる。導電薄膜12は、誘電体材料11の記録再生面の周囲と裏面と側面に例えばアルミニウムの蒸着により設けられ、記録再生装置の共通電極に接続される。基板13には所定厚さのシリコン等が用いられる。誘電体材料11は、例えばインジウムペーストや銀ペーストからなる導電性ペースト14によって基板13に固着される。
特許文献2はトランジスタと強誘電体キャパシタを組み合わせた半導体記録装置に関するものである。ここでその構成を、図2を基に説明する。
図2の(A)は平面図、(B)はその断面図である。メモリ部分1は、シリコン基板に半導体プロセスにより形成される。このメモリ部分1はシリコン基板にアイランド状に形成され、それを囲むように発熱部分2が形成されている。この発熱部分2に対して、その表面の電極3から通電することにより、発熱部分2が発熱し、メモリ部分1が加熱される。
特開2003−228895号公報 特開平10−150157号公報
ところが特許文献1に示されている誘電体記録媒体によれば、誘電体基板を基体に貼り付けた後、誘電体基板を所定の厚さに研磨するというプロセスを経て作成されるが、誘電体基板を機械研磨によって薄板化すると、その研磨による応力が誘電体基板に残留する。本願発明者らは、この残留応力が誘電体基板の記録ビットの拡がりの原因になっていることを見いだした。このように記録ビットが拡がると、隣接するビット同士がつながる等の現象が発生して、記録内容の読出時に読み誤りが生じるといった問題があった。
一方、特許文献2に示されている半導体記憶装置は、トランジスタと強誘電体キャパシタとを組み合わせた半導体記憶装置であり、メモリセルを有し、各メモリセルは隣接するメモリセルとは物理的に隔離されているため、前記記録ビットの拡がりの問題がない。この特許文献2には、メモリ基板の下に発熱体を備えた構造が示されている。但し、この発熱体はメモリを積極的にインプリント状態またはインプリント状態のキャンセルを加速するために一時的に発熱させるものである。
特許文献1に開示されている構成の誘電体記録媒体を実用化するためには、形成した記録ビット(=分極反転ドメイン)が長期間安定に保持されるようにする必要がある。そこで、特許文献1に開示されたZカットのLiTaO3単結晶試料を、従来知られている機械研磨で薄板化した誘電体記録媒体を作製し、厚み約100nmのLiTaO3単結晶試料へ形成した記録ビットの保持特性を調べた。その結果、形成直後には図3(A)に示すように円形であった記録ビットが、常温で2000時間経過後には図3(B)に示すように三角形に変形するとともに拡大してしまうことを見いだした。
一方、厚み約200nmのLiTaO3単結晶試料へ記録ビットを形成した場合、その記録ビットは、図4(A)に示した形成直後の状態から、常温で2000時間経過後も図4(B)に示すように顕著な変化がなく、安定に保持できることを見いだした。さらに厚い部分に形成した記録ビットについて調べたところ、図4の場合と同様に安定に保持できることを見いだした。
なお、図3・図4の記録ビットの計測結果は、特許文献1に開示されている非線形誘電率顕微鏡法を用いて、誘電体材料の微小部分の分極分布の計測によって得たものである。図3・図4ともに計測範囲は1.2μm角であり、周辺部は記録媒体の面方位であるマイナス面、中央部が分極反転によってプラス面となった記録ビットをそれぞれ示している。
このことから、図3(B)のように記録ビットが拡大する原因は、研磨による残留応力の影響によるものと推測される。誘電体試料が薄いほど残留応力の影響が大きいからである。
ところが、LiTaO3単結晶を厚くすると、記録ビットを形成するための印加電圧が高くなるという別の課題が生じる。
他方、アニール(アニーリング)により強誘電体薄膜の残留応力が解消できることは従来知られている。研磨を行なわない場合でも、強誘電体特性を向上させるために、必要に応じてアニールを施すことは強誘電体薄膜の結晶性を向上させるうえで有効である。
この場合のアニールの下限温度は好ましくは300℃、より好ましくは500℃、さらに好ましくは650℃であり、上限温度は好ましくは850℃、より好ましくは800℃である。(特開9−198729号公報参照)このように強誘電体薄膜用のアニール条件は300℃以上であるため、特許文献1に開示された強誘電体単結晶記録媒体には適用できない。すなわち、特許文献1に開示されているように、誘電体材料を基板に対して導電ペーストや樹脂系接着剤で固着する場合には、300℃以上の加熱によって樹脂部分が変質するため、接合信頼性が大幅に低下してしまうという問題があった。更に、LiTaO3のキュリー点を超える600℃以上では、デポール(分極の消失)の問題も発生する。
そこで、この発明の目的は、上述の印加電圧の上昇の問題およびアニーリングに関する問題を解消した、情報記録保持特性の良好な誘電体記録媒体およびそれを備えた誘電体記録装置を提供することにある。
上述の課題を解決するために、この発明は次のように構成する。
・この発明の誘電体記録媒体は、強誘電体の微小分極反転ドメインからなる記録ビットによって情報の記録保持が可能な誘電体板と、該誘電体板を固着するベース基板と、誘電体板を加熱する加熱手段とを備え、前記加熱手段は、誘電体記録媒体が情報の保持が可能な状態におかれている所定期間に亘って前記誘電体板を前記記録ビットの拡がりを抑制する所定温度に保つものとする。
・前記のベース基板と誘電体板は互いの線膨張係数がほぼ等しいものとする。
・前記ベース基板および前記誘電体板はLiTaO3単結晶またはLiNbO3単結晶からなる薄板とする。
・前記誘電体板は、その厚みを該誘電体板の形成可能な厚みで且つ100nm以下とする。
・前記加熱手段は、前記ベース基板と前記誘電体板との間に積層された発熱層で構成する
・また、この発明の誘電体記録装置は、強誘電体の微小分極反転ドメインからなる記録ビットによって情報の記録保持が可能な誘電体板と、該誘電体板を固着するベース基板と、前記誘電体板を加熱する加熱手段とを有する誘電体記録媒体を備え、この記録媒体が情報の保持可能な状態に置かれている所定期間に亘って誘電体板を前記記録ビットの拡がりを抑制するように前記加熱手段を駆動する加熱制御手段を備える。
・前記加熱手段は、前記情報の記録保持開始時から500時間以内の任意の時点から前記加熱手段を駆動するものとする。
・前記所定期間は、前記情報の保持終了時に終了するものとする。
・前記所定期間は、加熱手段の動作開始時から情報の保持終了時までの期間と、加熱手段の動作開始時から240時間が経過した期間とのいずれか短い方の期間とする。
前記所定温度は85±10℃とする。
・前記ベース基板は導電性を有し、前記誘電体板を挟んでベース基板との間に電界を印加して前記誘電体板表面に記録ビットを形成する導電性の探針を設ける。
この発明によれば、次のような効果を奏する。
加熱手段が誘電体記録媒体の情報保持可能な状態に置かれている所定期間に亘って、誘電体板を分極反転ドメインである記録ビットの拡がりを抑制する所定温度に保つので、誘電体板に蓄積されている潜在的な応力が完全には解放されないものの、誘電体板表面に加わっているテンションが常温と比較して著しく緩和され、更に徐々に応力が解放されて、ある一定時間以上経過すれば、その後に常温に戻しても記録ビットの拡がりが進行しないものと考えられる。そのため、分極反転ドメインよる記録ビットの拡がりが抑制され、隣接するビット同士がつながる等の現象により記録内容を読み誤るといった問題が回避できる。
また、アニールによる残留応力の解放を行わなくても、従来知られているアニール条件に比較して、低温でアニールと同様の効果が得られる。そのため、例えば85℃前後の低い温度で加熱することにより、誘電体板とベース板との間の接合に悪影響が及ぶことなく、例えばベース基板に対して誘電体板を樹脂系接着剤で固着することも可能となる。そのため、強誘電体単結晶記録媒体に適用可能となる。更に、誘電体板のキュリー点を超えることがないので、デポールの問題も生じない。
また、ベース基板と誘電体板の互いの線膨張係数をほぼ等しくすることにより、ベース基板と誘電体板の接合時および加熱時において、誘電体板に対して応力が発生しないため、記録ビットの拡がりが抑制される。
また、ベース基板と誘電体板をLiTaO3またはLiNbO3の単結晶薄板とすることにより、ベース基板と誘電体板の線膨張をほぼ等しくでき、接合時の加熱に起因する残留応力が誘電体板に残りにくく、記録ビットの拡がりが更に抑制される。
また、前記誘電体板の厚みを100nm以下とすることにより、低い印加電圧で記録ビット(分極反転ドメイン)を形成することができる。
また、ベース基板と誘電体板との間に発熱体を積層して、その発熱体の発熱により誘電体板の全面を加熱するように構成することにより、誘電体板の微小分極反転ドメインによる記録ビットの記録保持面の全体が均一な温度に保たれ、部分的に過熱されることもない。そのため、記録保持面の面積を広くしても記録ビットの拡がりが有効に抑制される。また、発熱部から誘電体板へ熱を低損失で伝達できるので、無駄な電力消費を抑えることができる。
また、誘電体記録媒体の情報保持開始時から500時間以内の任意の時点から加熱手段を駆動することにより(情報の保持開始時直後から加熱しなくても)、後述するように記録ビットの拡がりが抑制でき、且つ電力消費が削減できる。
前記所定期間を、誘電体記録媒体の情報保持終了時に終了することにより、加熱手段による電力消費が削減できる。
また、前記所定期間を、加熱手段の動作開始時から情報保持終了時までの期間と240時間経過した期間との何れか短い方の期間とすることにより、情報の保持時間が長くなっても加熱手段の動作を停止させることができ、電力消費が削減できる。
また、前記所定温度を85±10℃とすることにより、ベース基板と誘電体板との接合面に悪影響を及ぼすことなく且つ記録ビットの拡がりも効果的に抑制できる。
また、ベース基板を導電性とし,誘電体板を挟んでベース基板との間に電界を印加する探針を設けることにより、例えばマイクロスケールからナノスケールの微細構造の分極反転ドメインによる情報の記録保持が可能となる。
この発明の第1の実施形態に係る誘電体記録媒体および誘電体記録装置について図5〜図9を参照して説明する。
図5はその誘電体記録媒体の断面図である。図5(B)は誘電体記録媒体の全体の断面図、図5(A)はその製造段階での2つの部材に分離されている状態での断面図である。
図5(B)に示すように、この誘電体記録媒体は、下から順にベース基板21、電極22、発熱体23、対向電極27、誘電体板26の積層構造をなしている。
ベース基板21はZカットLiTaO3単結晶板からなり、図5(A)に示すように、ベース基板21の上面にはAu膜からなる電極22を真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成法により形成し、その上面に多結晶シリコンからなる発熱体23をCVD法などにより形成する。更にその上面にAu膜からなる発熱体側上部電極24を真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成法により形成する。
誘電体板26はZカットLiTaO3単結晶板からなり、その一方の面にSn膜からなる誘電体板側下部電極25を形成する。(後述するように、この誘電体板26は、積層一体化前の単体では板状を成すが、積層一体化の後、この誘電体板26の厚みは機械研磨により100nm以下になる。)
図5(A)に示した2つの部材を、それらのベース基板側の電極(発熱体側上部電極24)と誘電体板側の電極(誘電体板側下部電極25)とを合わせて加熱するとともに荷重をかける。これにより、発熱体側上部電極24と誘電体板側下部電極25とを合金化し、AuSn共晶を生成することによって、ベース基板21と発熱体23を含む積層体に対して誘電体板26を一体的に固着する。
上記接合条件は、発熱体側上部電極24と誘電体板側下部電極25の材料によって異なるが、上記の例では、加熱温度約300℃、荷重2×105 Paとした。
誘電体板26は上記の接合の後、機械研磨によって必要な厚さにまで薄板化する。誘電体板の厚みが薄いほど記録ビットを形成するための印加電圧が低くてよいので、LiTaO3単結晶を用いた場合は100nm以下の厚みに仕上げることが好ましい。したがって誘電体板26の厚さは、形成可能な厚さで且つ100nm以下とする。この研磨には機械研磨に各種ドライエッチング等のエッチング法を併用してもよい。
このように発熱体側上部電極24と誘電体板側下部電極25との接合を、2つ以上の金属材料の合金化による金属接合としたことにより、短時間での接合が可能となり、高い接合信頼性が得られる。
上記合金は主体となるSnと、Au,Ag,Cu,Zn,Si,Ge,Pd,In,Bi,Sbのうちいずれか1つ以上の金属を含んでいればよい。
また、合金化による接合に限らず、一般に固相拡散接合で発熱体側上部電極24と誘電体板側下部電極25とを接合してもよい。この場合、発熱体側上部電極24と誘電体板側下部電極25の金属膜材料としてAuを用いれば、高い接合信頼性が得られる。さらに、Au単体以外に、Au,Al,Cu,Agのいずれかを主成分とする金属材料を用いることもでき、このことにより比較的低い温度で固相接合が可能となる。
このように金属膜同士の固相拡散接合であれば、接着層を備えないため接合部の厚みのばらつきが金属膜の膜厚のばらつき程度となり、誘電体板の厚み精度が非常に高まる。そのため、高精度な記録・読取りが可能となる。
また、ベース基板21と誘電体板26の両方をLiTaO3単結晶板とすることにより、両者の線膨張係数は等しく、上記の加熱をともなう金属接合においても、クラックが生じることはない。このベース基板21と誘電体板26の両方をLiNbO3単結晶板としてもよい。
また、ベース基板21をLiTaO3単結晶板、誘電体板26をLiNbO3単結晶板としてもよく、逆にベース基板21をLiNbO3単結晶板、誘電体板26をLiTaO3単結晶板としてもよい。このように、ベース基板と誘電体板が異なる単結晶板であっても、LiTaO3単結晶板とLiNbO3単結晶板とでは、線膨張係数がほぼ等しいので、上記の加熱をともなう金属接合においても、やはりクラックが生じることはない。
図6は上記誘電体記録媒体に対する情報の記録時の状態を示す図である。情報の記録は、誘電体記録媒体20の誘電体板26の表面に導電性の探針(プローブ/カンチレバー)41を接触または近接させ、この探針41と対向電極27との間にパルス電圧発生源Ewのパルス電圧を印加することにより、誘電体板26の探針41の接触・近接位置に分極反転ドメインによる記録ビットを形成する。この記録した情報の再生には、例えば非線形誘電率顕微鏡法により行う。記録ビットの形成後は、電極22と対向電極27との間に電源Ehの電圧を印加して発熱体23を発熱させ、これにより誘電体板26を加熱して、常温より高い約85±10℃の温度に保持する。
図7は上記発熱体23による誘電体板26の加熱制御に関する回路図である。ここで加熱手段43は、図6に示した発熱体23、電極22、対向電極27、および電源Ehからなる。加熱制御回路42は上記電源Ehの印加制御を行うものであり、記録保持開始信号Ssに基づいて加熱手段43による加熱を開始させる。この記録保持開始信号Ssは探針41を用いて誘電体板26に対し情報を最初に記録する際に発生される信号である。保持終了信号は後述するように、この誘電体記録媒体に対する情報の保持を終了する際に発生される信号である。
図8は図5に示した誘電体記録媒体に対する情報の保持特性を調べた結果を示すものである。図8の(A)は記録ビットP形成直後の計測結果、(B)は誘電体板26を85±10℃で240時間保持した後の計測結果、(C)はその後、さらに常温(25℃±5℃)で2000時間経過した後の計測結果をそれぞれ示している。
このように記録ビットの形成後、発熱体の発熱により誘電体板を85℃に保持することにより、図3(B)に示したものに比較して明らかなように、記録ビットの拡がりが抑制できることが判る。しかも、図8(A)と図8(B)を比較しても、加熱による記録ビットの形状には顕著な変化が見られない。
また、85℃で240時間保持した時点とその後更に2000時間保持した時点での記録ビットを比較すれば明らかなように、240時間加熱した後に常温で放置しても、記録ビットの形状には顕著な変化が見られず、記録ビットは安定に保持されることが判る。これは、記録媒体を約85℃に保持することよって、機械研磨により誘電体板26に生じた研磨歪みや、誘電体記録媒体の製造工程における加熱(例えば誘電体板とベース基板との固着時の加熱)による応力を緩和できるためと推察される。
なお、記録ビットの形成後、85℃±10℃で2000時間加熱し続けた場合でも図8(C)に示したものと同様に、記録ビットの形状には顕著な変化が見られず、記録ビットが安定に保持されることを確認している。
図9は上記加熱を行わない場合の記録ビット形成後の時間経過に伴う記録ビットの保持特性を調べたものである。(A)は記録保持直後(数分後)、(B)は約120時間後、(C)は約240時間後、(D)は約500時間後、(E)は約750時間後、(F)は約1300時間後の記録ビットの形状および大きさをそれぞれ示している。
この結果から明らかなように、常温(25℃±5℃)のまま約500時間が経過するまでは記録ビットの拡がりは殆どない。したがって情報の書き込み保持後、500時間が経過するまでに加熱を開始すれば記録ビットの拡がりが抑制できることが判る。
したがって図7に示した加熱制御回路42は、記録保持開始信号Ssが発生してから500時間が経過するまでに加熱手段43の駆動を開始し、240時間その状態を保持した後に、または情報の保持終了時点(それ以上情報の保持が不要となった時点)で加熱手段43の駆動を停止すればよい。
次に、第2の実施形態に係る誘電体記録媒体について図10を基に説明する。
図10はその誘電体記録媒体30の断面図である。この例では、低抵抗シリコン基板からなるベース基板31とZカットLiTaO3単結晶からなる誘電体板36を、電極を介さずに表面活性化接合法によって直接接合している。この誘電体板36の上面の周辺部または周囲には、電極32、発熱体33および電極34を形成している。
上記電極32,34は共にAu膜からなり、真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成法により形成する。また発熱体33は多結晶シリコンからなり、CVD法などにより形成する。
この図10に示した誘電体記録媒体30に情報の記録を行う場合、誘電体板36の発熱体33を形成していない領域の表面に記録ビット(=分極反転ドメイン)を形成する。すなわち、誘電体板36の表面に導電性の探針を接触させ、この探針と低抵抗シリコン基板よりなるベース基板31との間にパルス電圧を印加することにより記録ビットを形成する。このように誘電体板36を加熱する手段を設けたことにより、第1の実施形態の場合と同様に、機械研磨によって誘電体板36に生じた研磨歪みを低減でき、保持特性に優れた誘電体記録媒体が構成できる。
誘電体板36はLiTaO3基板、ベース基板31はシリコン基板であるため、互いの線膨張係数が異なるが、上記表面活性化接合法はイオンビーム等で表面を活性化した基板同士を常温で接合する技術であるため、LiTaO3基板である誘電体板36と低抵抗シリコン基板であるベース基板31との接合が可能である。
このように表面活性化接合法によりベース基板31と誘電体板36とを直接接合した構造であれば、常温での接合であるため、誘電体板36に接合時の応力が残留することがない。そのため記録ビットの拡がりの抑制効果が高まる。
また、ベース基板31は導電性を有していて電極としても用いるので、金属膜が不要となり、電極への接続も容易となる。さらに、ベース基板31として低抵抗シリコン基板を用いることにより、安価で表面平滑性の良好なベース基板とすることができる。
また、表面活性化接合法によりベース基板31と誘電体板36とを直接接合するので、線膨張係数の異なる材料を選択できる。
また、誘電体板36とベース基板31との間の金属膜が不要であるので、表面平滑性が良好な基板同士の接合となり、金属膜を挿入した場合に比べて接合強度も向上する。
図10に示した例では、ベース基板31と誘電体板36とを直接接合したが、ベース基板31と誘電体板36のいずれか一方の表面に金属膜を形成し、表面活性化接合法によりその両者を接合してもよい。この場合、上記金属膜を探針との間に電圧を印加するための一方の電極として用いることがきるので、ベース板には絶縁性材料が使用可能である。そのため、材料選択の自由度が高まる。また、金属膜の形成面を、その金属膜と誘電体板およびベース基板との接合性を考慮して決定できるため、(誘電体板と金属膜との接合性が良好な場合はベース基板側、ベース基板と金属膜との接合性が良好な場合は誘電体板側に金属膜を形成することによって)接合信頼性を高めることができる。
なお、図10では、発熱体33および電極32,34を誘電体板36の周辺部に形成したが、発熱体およびそれを挟む電極をベース基板31の裏面に設け、ベース基板31を介して誘電体板36を所定温度に加熱するように構成してもよい。
また、以上に示した第1・第2の実施形態では、電極を介して誘電体板(26,36)に接するように発熱体(23,33)を設けたが、誘電体を所定温度に保持できれば、誘電体記録媒体全体を加熱する加熱手段を誘電体板とは分離した位置に設けてもよい。
特許文献1に示されている誘電体記録媒体の構成を示す図である。 特許文献2に示されている半導体記憶装置の構成を示す図である。 従来の誘電体記録媒体による記録ビットの拡がりの様子を示す図である。 従来の他の誘電体記録媒体による記録ビットの拡がりの様子を示す図である。 第1の実施形態に係る誘電体記録媒体の構成を示す断面図である。 同誘電体記録媒体に対する情報の記録および加熱時の構成を示す図である。 誘電体記録装置の加熱制御に関する部分の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る誘電体記録媒体の記録ビットの保持特性を示す図である。 同誘電体記録媒体の常温保持特性の例を示す図である。 第2の実施形態に係る誘電体記録媒体の構成を示す断面図である。
符号の説明
20,30−誘電体記録媒体
21,31−ベース基板
22,32−電極
23,33−発熱体
24−発熱体側上部電極
25−誘電体板側下部電極
26,36−誘電体板
27−対向電極
34−電極
41−探針

Claims (11)

  1. 強誘電体の微小分極反転ドメインからなる記録ビットによって情報の記録保持が可能な誘電体板と、該誘電体板を固着するベース基板と、前記誘電体板を加熱する加熱手段とを備え、
    該加熱手段は、当該誘電体記録媒体が前記情報の保持が可能な状態におかれている所定期間に亘って前記誘電体板を前記記録ビットの拡がりを抑制する所定温度に保つものである誘電体記録媒体。
  2. 前記ベース基板と前記誘電体板は互いの線膨張係数がほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の誘電体記録媒体。
  3. 前記ベース基板および前記誘電体板はLiTaO3単結晶またはLiNbO3単結晶からなる薄板である請求項1または2に記載の誘電体記録媒体。
  4. 前記誘電体板は、その厚みが該誘電体板の形成可能な厚みで且つ100nm以下である請求項1〜3のうち何れか1項に記載の誘電体記録媒体。
  5. 前記加熱手段は、前記ベース基板と前記誘電体板との間に積層された発熱層である請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の誘電体記録媒体。
  6. 強誘電体の微小分極反転ドメインからなる記録ビットによって情報の記録保持が可能な誘電体板と、該誘電体板を固着するベース基板と、前記誘電体板を加熱する加熱手段とを有する誘電体記録媒体を備えた誘電体記録装置であって、
    前記誘電体記録媒体が前記情報の保持が可能な状態におかれている所定期間に亘って、前記誘電体板を前記記録ビットの拡がりを抑制する所定温度に保つように前記加熱手段を駆動する加熱制御手段を備えた誘電体記録装置。
  7. 前記加熱手段は、前記情報の記録保持開始時から500時間以内の任意の時点から前記加熱手段を駆動するものである請求項6に記載の誘電体記録装置。
  8. 前記所定期間は、その終了時が前記情報の保持終了時である請求項6または7に記載の誘電体記録装置。
  9. 前記所定の期間は、前記加熱手段の動作開始時から前記情報の保持終了時までの期間と、前記加熱手段の動作開始時から240時間が経過した期間との何れか短い方の期間である請求項6〜8のうち何れか1項に記載の誘電体記録装置。
  10. 前記所定温度は85±10℃である請求項6〜9のうち何れか1項に記載の誘電体記録装置。
  11. 前記ベース基板は導電性を有し、前記誘電体板を挟んで前記ベース基板との間に電界を印加して前記誘電体板表面に前記記録ビットを形成する導電性の探針を設けた請求項6〜10のうちいずれか1項に記載の誘電体記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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