JP2007170975A - 物体検知装置 - Google Patents

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祐治 佐久間
Yorinobu Murayama
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Abstract

【課題】物体検知装置において、受波素子が送波器から直接に受波した超音波を受波信号として出力するのを、確実に効率よく防止し、SN比を上げて誤検出を減少させる。
【解決手段】検知領域に超音波SWを送波する送波器1と、検知領域にある被測定物体2で反射された超音波RW(超音波SWの反射波)を受波してその超音波RWを電気信号である受波信号に変換する複数個の受波素子3と、受波素子3が送波器1から直接に受波した超音波DWを受波信号として出力することを防止する消音手段4と、受波素子3の受波信号に基づいて超音波SWが送波されてから受波されるまでの時間に対応する被測定物体2までの距離を求めると共に各受波素子3における各受波信号の時間差に対応する被測定物体2の方位を求めて被測定物体2を検知する検知部5と、を備える。消音手段4は、送波器1から送波される超音波SWとは逆位相の電気信号を検知部5に出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波を送波して反射超音波により物体を検知する物体検知装置に関する。
従来から、対象とする検知領域に超音波のパルスを送波し、反射超音波パルスの時間情報から検知領域における超音波反射物体の検知を行なう物体検知装置が利用されている。このような物体検地装置は、例えば、車両や移動ロボットの移動方向前方における障害物検知や、防犯用の侵入者検知等に用いられる。多くの場合、装置の取り扱いの利便性などから、超音波の送波器と反射超音波の受波器とは近接した構成とされる。ところで、超音波による物体検知装置において、ノイズによるゴースト信号、つまり実際の検知信号ではない信号が発生したときに「これはゴーストである」と認識されれば問題ないが、認識されない場合に、検知領域に存在しない物体を誤検知してしまうことになる。
上述のゴーストは、例えば、送波器から受波器に直接向かう超音波(直接波、回り込み波)が受波器によって受波されてしまった場合に、その信号が反射超音波(反射波)による検知信号に対するノイズになることにより発生する。直接波と反射波とが時間的に近接していると、ゴーストと実際の検知信号との干渉が発生して誤検知を引き起こす。この干渉は、近距離の物体検知の場合に発生する他、遠距離の物体検知でも、物体をリアルタイムで検知するために短い時間間隔で送波を繰り返す場合に発生する。
そこで、直接波が受波器に受波されないように、送波器と受波器の間に吸音材や遮音壁を設けた装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、直接波に対応する疑似信号を生成し、受波器の信号から疑似信号を減算して直接波の影響をなくすようにしたり(例えば、特許文献2参照)、回り込みキャンセル回路を備えてこの回路にパルス幅の充分大きなキャンセル用のパルスを入力して回り込み波をキャンセルするようにした装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開昭63−25578号公報 特開昭58−63876号公報 特許平11−160430号公報
しかしながら、特許文献1に示される技術や上述のように吸音材や遮音壁を用いたとしても、これだけで回り込み波などの受波を確実に防止するには送波器受波器の大型化を招くなどの問題がある。また、特許文献2,3に示されるような技術においては、疑似信号やキャンセル用のパルスが、ゴーストを発生するノイズを良く再現しているとは言い難く、ノイズ信号だけを精度良く効率的に除去することができないという問題がある。
本発明は、上記課題を解消するものであって、受波素子が送波器から直接に受波した超音波を受波信号として出力するのを、確実に効率よく防止でき、SN比を上げて誤検出を減少できる物体検知装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、検知領域に超音波を送波する送波器と、検知領域にある被測定物体で反射された前記超音波の反射波を受波してその超音波を電気信号である受波信号に変換する複数個の受波素子と、前記受波素子の受波信号に基づいて超音波が送波されてから受波されるまでの時間に対応する被測定物体までの距離を求めると共に各受波素子における各受波信号の時間差に対応する被測定物体の方位を求めて被測定物体を検知する検知部と、を備えた物体検知装置であって、前記送波器から送波される超音波とは逆位相の電気信号を検知部に出力することにより前記受波素子が前記送波器から直接に受波した超音波を受波信号として前記検知部に出力することを防止する消音手段を備えたものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の物体検知装置において、前記消音手段は、前記送波器からの超音波を受波する消音用受波素子を有し、前記消音用受波素子が前記送波器から受波した超音波を受波信号に変換すると共にその位相を反転させた受波信号を検知部に出力するものである。
請求項1の発明によれば、送波器から送波される超音波とは逆位相の電気信号を検知部に出力するので、疑似信号やキャンセル用のパルスによって減算する従来の方法とは異なり、除去すべき直接波のノイズを各周期の波形毎に相殺することができ、従って、受波素子が直接波の信号を検知部に出力するのを確実に効率よく防止でき、SN比を上げて誤検出を減少できる。また,必要な信号をノイズとして消去することがなく、検出ミスの発生がない。簡易な回路によって測定精度向上を達成でき、装置の小型化が可能である。また、このような物体検知装置においては、近距離の物体検知や、短い時間間隔で送波を繰り返すリアルタイムの物体検知が可能である。
請求項2の発明によれば、消音用受波素子を用いて直接波を受波し、得られた受波信号の位相を反転させて検知部に出力するので、受波素子を介さない場合の電気信号よりもより実際に近い、直接波の信号に対応する逆位相の電気信号を、検知部に出力できる。すなわち、送波器から各受波素子に至る直接波の伝播環境条件をも考慮した逆位相の電気信号によって、直接波のノイズを相殺できる。
以下、本発明の物体検知装置について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る物体検知装置の概念的構成を示す。この物体検知装置は、検知領域に超音波SWを送波する送波器1と、検知領域にある被測定物体2で反射された超音波RW(超音波SWの反射波)を受波してその超音波RWを電気信号である受波信号に変換する複数個の受波素子3と、受波素子3が送波器1から直接に受波した超音波DWを受波信号として出力することを防止する消音手段4と、受波素子3の受波信号に基づいて超音波SWが送波されてから受波されるまでの時間に対応する被測定物体2までの距離を求めると共に各受波素子3における各受波信号の時間差に対応する被測定物体2の方位を求めて被測定物体2を検知する検知部5と、を備えている。そして、この物体検知装置の消音手段4は、送波器1から送波される超音波SWとは逆位相の電気信号を検知部5に出力する。以下、各構成要素とその動作を詳述する。
上述の送波器1は、駆動回路10と送波素子11とを備えている。駆動回路10は、送波のための電気エネルギと送波信号となる電気信号を送波素子11に出力して送波素子11を駆動する。送波素子11は、電気エネルギを受け取り、送波信号を空気の粗密波に変換して超音波SWとして空中に送波する。
複数の受波素子3は、互いに近接して、同一平面内に、例えば、互いに直交する方向にそれぞれ一列に配列して十字状に配列したり、2次元のアレイ状に配列したりして用いられる。このように配列した受波素子3の成す平面に、十分遠方からの超音波RWが入射するとき、超音波RWは平面波となって入射する。そこで、周知のように、受波素子3の成す平面に対する超音波RWの位相面の成す角度から、超音波RWの伝播方向を求めることができる。位相面の成す角度は、各受波素子3の配置間隔と各受波時間の遅れから求められる。
また、超音波の音速と、例えば、各受波素子3の受波までに要した時間の平均値とから、周知のように、超音波反射物体、すなわち被測定物体2までの距離を求めることができる。このようにして、物体検知装置は、超音波反射物体を検知することができる。
検知部5は、上述の超音波RWの伝播方向、従って、被測定物体2の方向、及び、被測定物体2までの距離を求める演算を行う。これを行うため、検知部5は、各受波素子3が超音波RWを受波することにより発生する電気信号a1〜a5を受け取り、電気信号a1〜a5の時間情報と各受波素子3の幾何学的配置情報とに基づいて上述の演算を行うことができる。しかしながら、受波素子3は、一般に送波器1と近接して設けられているので、超音波RWの他に、送波器1からの直接波である超音波DWを受波することになり、ノイズである超音波DWに対する電気信号b1〜b5をも、検知部5に対して出力する。
そこで、消音手段4は、上述のノイズ信号である電気信号b1〜b5を打ち消す電気信号c1〜c5を検知部5に対して出力する。このため、消音手段4は、送波器1による送波に際して、駆動回路10から、送波のための送波信号となる電気信号c0を受け取る。そして、電気信号c0の位相を反転すると共に、各受波素子3に対する電気信号c1〜c5を生成し、各受波素子3に対する遅延時間を考慮しつつ検知部5に対して出力(受波素子3からの電気信号にそれぞれ重畳)する。ここで考慮する遅延時間とは、主として、送波素子11と各受波素子3の距離に基づく遅延時間であり、これは予め測定して求めることができるので、個別に具体的な遅延時間を求めて用いることができる。また、電気信号c1〜c5の強度も、予め測定して決定することができる。
上述の消音手段4の出力する遅延時間と強度を設定された電気信号c1〜c5によって、直接波である超音波DWによる受波素子3からの電気信号b1〜b5は、それぞれ相殺されて、検知部5には、本来の電気信号a1〜a5のみが入力するようになる。これにより、消音手段4は、受波素子3が送波器1から直接に受波した超音波DWを受波信号として検知部5に出力することを防止している。
上述のように、物体検知装置の構成が一旦決まると、直接波の超音波Wは、常にほぼ一定の時間毎に各受波素子3に入るので、各受波素子3についてそれぞれ決められた時間の後に直接波とは逆位相の信号を重畳することで直接波の影響を除くことができる。この第1の実施形態の物体検知装置によれば、送波器1から送波される超音波SW,DWとは逆位相の電気信号を各受波素子3に出力するので、疑似信号やキャンセル用のパルスによって減算する従来の方法とは異なり、除去すべき直接波のノイズを各周期の波形毎に相殺することができ、従って、受波素子3が出力した直接波の電気信号b1〜b5が、検知部5に入力されるのを確実に効率よく防止でき、SN比を上げて誤検出を減少できる。
また、本物体検知装置では、必要な信号をノイズとして消去してしまうことがなく、検出ミスが発生しない。さらに、簡易な回路によって測定精度向上を達成でき、装置の小型化が可能という利点がある。また、このような物体検知装置においては、特に重要な点として、近距離の物体検知や、短い時間間隔で送波を繰り返すリアルタイムの物体検知が可能となる。
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る物体検知装置の概念的構成を示す。この物体検知装置は、上述の第1の実施形態の物体検知装置において、消音手段4が、送波器1からの超音波を受波する消音用受波素子6、及び消音用受波素子6からの信号を処理する信号処理回路61を備えて構成されたものである。そして、消音手段4は、消音用受波素子6が送波器1から直接に受波した超音波DWの受波信号を電気信号c0に変換して出力する信号を、信号処理回路61によって処理して位相を反転させて、検知部5に出力する。
この第2の実施形態の物体検知装置は、消音手段4が、送波器1による送波に際して、駆動回路10からではなく、消音用受波素子6から、電気信号b1〜b5を相殺するためのもとになる電気信号c0を受け取っている点が、上述の第1の実施形態の物体検知装置とは異なっており、他の点は同様である。
第2の実施形態の物体検知装置によれば、消音用受波素子6を用いて直接波を受波し、得られた受波信号c0の位相を反転させて検知部5に出力するので、実際に受波素子3で生成される直接波の電気信号b1〜b5に対応する逆位相の電気信号c1〜c5を各検知部5に出力できる。すなわち、送波器1から各受波素子3に至る直接波の伝播環境条件をも考慮した逆位相の電気信号c1〜c5によって、直接波のノイズである電気信号b1〜b5をより確実に相殺できる。
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、受波素子3の個数は、上記において、5つであるとして説明したが、5つに限られず、2つ以上であればよい。また、通常、受波素子3の個数が多いほど、位置と方向の精度を上げることができる。
本発明の第1の実施形態に係る物体検知装置の概念的構成図。 本発明の第2の実施形態に係る物体検知装置の概念的構成図。
符号の説明
1 送波器
2 被測定物体
3 受波素子
4 消音手段
5 検知部
6 消音用受波素子

Claims (2)

  1. 検知領域に超音波を送波する送波器と、
    検知領域にある被測定物体で反射された前記超音波の反射波を受波してその超音波を電気信号である受波信号に変換する複数個の受波素子と、
    前記受波素子の受波信号に基づいて超音波が送波されてから受波されるまでの時間に対応する被測定物体までの距離を求めると共に各受波素子における各受波信号の時間差に対応する被測定物体の方位を求めて被測定物体を検知する検知部と、を備えた物体検知装置であって、
    前記送波器から送波される超音波とは逆位相の電気信号を前記検知部に出力することにより前記受波素子が前記送波器から直接に受波した超音波を受波信号として前記検知部に出力することを防止する消音手段を備えたことを特徴とする物体検知装置。
  2. 前記消音手段は、前記送波器からの超音波を受波する消音用受波素子を有し、前記消音用受波素子が前記送波器から受波した超音波を受波信号に変換すると共にその位相を反転させた受波信号を前記検知部に出力することを特徴とする請求項1に記載の物体検知装置。
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