JP2007169516A - インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱性に優れ、且つ機械的強度及び生産性に優れた放熱シートをコーティング法により効率的に製造し得るインキ組成物を提供すること。
【解決手段】水酸化アルミニウム粒子、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂及び溶剤からなるインキ組成物であって、溶剤中に、相対蒸発速度190以上、沸点60〜130℃、且つ溶解度パラメータが8〜12である成分を80質量%以上含有することを特徴とするインキ組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、パソコン、携帯電話などの電子機器における、大規模集積回路(LSI)などの電子部品、プラズマディスプレーパネル(PDP)、有機EL又は無機EL、発光ダイオード(LED)、蛍光表示管(VFD)、陰極線管(CRT)等のディスプレーなどの表示装置、あるいは白熱電球、蛍光灯、EL(有機又は無機)、LEDなどを用いた照明器具等から発生する熱を効率よく外方に放熱するために使用される放熱シートを製造するためのインキ組成物に関する。
近年、電子機器は高性能化、多機能化がめざましく、使用されるマイクロプロセッサー(MPU)、画像処理チップ、メモリーなどLSIの高性能化が進む一方で、それに伴いMPUから発生される熱によって、LSIの発熱量も増える一方であったため、熱対策が問題となっていた。
従来は、LSIの機器内適正配置で済む場合、そうでないときは小型ファンモーター等の放熱器の利用が一般的であった。しかしながら、ノート型パソコン、携帯電話機など、薄型軽量化(小型化)が特に追求されるような電子機器では、熱設計は難しくなる一方である。そして、以前は放熱器が不要であったMPUについても、発熱量の増加によって、放熱器を用いなければ放熱し切れなくなってきている。
MPUなどの電子部品に放熱器を設けるにあたって、通常は電子部品と放熱器との間に、高熱伝導率の材料から成る放熱シートを配置する。電子部品と放熱器とを直接接合すると、放熱器の接合面の微小な反り等から、電子部品と放熱器の間に空隙が生じ、この空隙が熱伝導の大きな抵抗となるからである。また、ファンモーターの音が気になるというユーザーの声もあり、放熱シートのみの使用でファンレス化したノート型パソコンも市販されるようになった。
また、PDPなどの表示装置においては、その表示輝度を高めるほど、熱が多く発生し、表示パネル部分の温度が高温となり表示パネルの表示品質特性が劣化する等の問題があり、表示パネルと放熱板との間にそれらに略密着するように熱伝導性シートを設けることが提案され(特許文献1参照)、実用化もされている。
このように、放熱シートは、電子機器、電子部品、表示装置等の熱対策にきわめて重要なものとなってきている。
放熱シートとしては柔軟性が必要なため、ゴム性状のものが用いられていたが、熱伝導率を上げた放熱シートとして、近年、窒化ホウ素をポリオレフィン系ゴムに分散させた放熱シート(特許文献2参照)、平均アスペクト比が3未満の黒鉛質炭素繊維をマトリックス樹脂に分散させた放熱シート(特許文献3参照)などが提案されている。
なお、分散させる高熱伝導性粒子(無機質フィラー)として窒化ホウ素、アルミナ等の電気絶縁性物質を選択すれば、電気絶縁性放熱シートが得られ、また、黒鉛等の電気伝導性物質を選択すれば、電気伝導性放熱シートが得られ、各々用途に応じて使用されている。
これら無機質フィラー、特に後者の黒鉛質炭素繊維は熱伝導率がかなり高いものであるが、放熱シートの柔軟性、機械的強度等の物性を重視するために、放熱シート中の無機質フィラーの含量はそれほど高くなく、シートの膜厚も数百μmオーダーと比較的厚みのあるものであった。すなわち、これら放熱シートは何れも、必然的に、専らシートの熱伝導率を5〜10W/mK程度と高くすることによって、熱抵抗を低くし(熱貫流率を高くし)、以って放熱性能を高める設計思想を採用していた。
特許第3503625号公報 特開平7−246628号公報 特開平9−283955号公報
本発明は、かかる状況下、放熱性に優れ、且つ機械的強度及び生産性に優れた放熱シートを、コーティング法により効率的に製造し得るインキ組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記目的達成のため鋭意検討を行った結果、一定範囲のガラス転移温度(Tg)をもつ熱可塑性樹脂と特定の溶剤を用いることにより、水酸化アルミニウム粒子を熱可塑性樹脂中に分散させることができ、熱伝導性の高い放熱シートを簡便に製造し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、
(1)水酸化アルミニウム粒子、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂及び溶剤からなるインキ組成物であって、溶剤中に、相対蒸発速度190以上、沸点60〜130℃、且つ溶解度パラメータが8〜12である成分を80質量%以上含有することを特徴とするインキ組成物、
(2)水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂の体積比が50/50〜70/30であり、インキ組成物中の溶剤量が20〜80質量%である上記(1)に記載のインキ組成物、
(3)前記水酸化アルミニウム粒子の平均粒径が0.1〜10μmである上記(1)又は(2)に記載のインキ組成物、及び
(4)前記バインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、及び酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂から選ばれる1種以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインキ組成物、
を提供するものである。
本発明のインキ組成物は、熱伝導性、熱輻射性及び電気絶縁性に優れ、且つ機械的強度、柔軟性等においても優れた放熱シートをコーティング法により、簡便に、且つ高い生産性で製造することを可能とした。
本発明で使用される水酸化アルミニウム粒子は、プラスチック、ゴム用の一般グレードを使用することができ、特に制限されない。水酸化アルミニウムは、硬度が比較的低いので、本発明のインキ組成物を用いて塗布する方法において、塗工時に塗工ロールを傷めず、また安価であるという利点がある。
また、本発明のインキ組成物中で水酸化アルミニウム粒子の均一な分散状態を得るため、及び十分な薄膜形成性を得るために、その平均粒径(レーザー回折法により測定)は0.1〜10μm、さらに好ましくは0.2〜3μm程度のものを使用するのがよい。即ち、平均粒径0.1μm以上とすることで樹脂溶液中への均一分散が容易になる上、樹脂溶液の粘性増加を防止して流動性を向上させ、このため塗工適性が向上して均一な成膜が容易となる。一方、平均粒径を10μm以下とすることで150μm以下の放熱シートの薄膜化が容易になり、また、水酸化アルミニウム粒子同士の接触面積が高くなり、高熱伝導率を得ることが容易となる。更に放熱シートの機械的強度の低下も防止し得る。
なお、水酸化アルミニウム粒子は、例えば、昭和電工(株)製「ハイジライトH−42」、「ハイジライトH−32」などの一般のプラスチック、ゴム用グレードを好ましく使用できる。
本発明のインキ組成物で使用されるバインダー樹脂は、ガラス転移温度(以下、Tgという、DSC法により測定。)が−50〜50℃であることを要し、特に、Tgが−30〜10℃であることが好ましい。Tgがこの範囲であることで、水酸化アルミニウム粒子の含有量が高くても、すなわちバインダー樹脂量が低くても、放熱シートの薄膜での成膜性、柔軟性、及び実用的な機械強度等が確保できる。
本発明で使用されるバインダー樹脂としては、上記のTg範囲を充足するものであれば特に限定されない。特に、電気絶縁性にすぐれた放熱シートとする場合には、樹脂となったときの物性として、体積固有抵抗値が1×108Ω・m以上(電気伝導度でいうと1×10-8Ω-1・m-1以下に相当)、特に1×1012Ω・m以上であることが好ましく、1×1014Ω・m以上であることがさらに好ましい。
そのようなバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、アクリル樹脂、各種合成ゴムなどが挙げられるが、溶剤への易溶解性、溶剤に溶解した組成物の塗工適性(粘度等)の他、シートの機械的強度、耐候性、耐熱性などの点から、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が特に好適である。
ポリエステル系樹脂としては、上記のTg範囲を充足するほか、シートの柔軟性、及び、本発明のインキ組成物の溶剤への易溶解性の観点から、非晶質のポリエステル系樹脂が好ましく、また、耐侯性の点から飽和ポリエステルが好ましい。
かかる飽和ポリエステルとしては、コハク酸、アジピン酸などの飽和二塩基酸とエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどの飽和二価アルコールのポリエステルなどが挙げられる。該飽和ポリエステルの数平均分子量(GPC法により測定)は、5000〜50000の範囲であることが好ましい。
なお、ダイオキシン発生防止、低分子シロキサンによる接点不良防止の観点から、ハロゲンフリー、シロキサンフリーであるポリエステル系樹脂であることが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、上記のTg範囲を充足するものを用いる。ただし、放熱シートの柔軟性及び耐熱性の観点から、酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるEVM(ISO1692(1995))とよばれるエラストマーの範囲のものが特に好ましい。該エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の数平均分子量(GPC法により測定)は、50000〜500000の範囲であることが好ましい。このEVMエラストマーは耐熱性が高いため、これを使用すると放熱シートの熱安定性が特に優れるという利点がある。
なお、ポリエステル系樹脂同様、ダイオキシン発生防止、低分子シロキサンによる接点不良防止の観点から、ハロゲンフリー、シロキサンフリーであることが好ましい。
本発明のインキ組成物は、水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂の体積比(以下、PV比ということがある。)が50/50〜70/30の範囲であることが好ましい。PV比が50/50以上であると水酸化アルミニウム粒子(フィラー)の十分な添加効果、すなわち放熱シートの熱伝導性及び熱輻射性が得られ、一方、70/30以下であると、放熱シートを製造したときに十分な機械的強度が得られ、製品としての取り扱い時の利便性が確保される。特に、熱伝導率を重視した設計、具体的には熱伝導率を1W/mK以上としたい場合には、PV比を60/40〜70/30の範囲で制御し、一方、放熱シートの柔軟性を重視した設計とするのであれば、PV比を50/50〜60/40の範囲で制御することが好ましい。
本発明のインキ組成物に用いられる溶剤は、その溶剤中に、相対蒸発速度190以上、沸点60〜130℃、且つ、溶解度パラメータ(SP値)が8〜12である成分を80質量%以上含有することを必須とする。これらの条件を満足する溶剤を用いることにより、放熱シートを効率的に生産することができる。特に、SP値がこの範囲であるとバインダー樹脂を高い濃度で溶解し、且つ水酸化アルミニウム粒子の分散性もよい。
ここで、相対蒸発速度とは、酢酸−n−ブチルの蒸発速度を100としたときの相対的な蒸発速度をいい、好ましくは190〜600の範囲である。また、沸点は常圧での沸点であり、SP値としては、さらに8.5〜11の範囲であることが好ましい。
かかる溶剤としては、上記条件を満足するものであれば特に制限されず、芳香族炭化水素、ケトン、エステルなどの溶剤を用いることができる。より具体的には、トルエン(相対蒸発速度:196、沸点:110.8℃、SP値:8.9)、メチルエチルケトン(相対蒸発速度:465、沸点:79.6℃、SP値:9.3)、酢酸エチル(相対蒸発速度:525、沸点:76.8℃、SP値:9.1)などが、塗工後の乾燥性、流動性などの点から好ましく用いられる。これら溶剤は1種単独であるいは2種以上を混合して用いてもよい。
さらに、本発明のインキ組成物中には、インキ組成物の状態を損なわない範囲において、インキ組成物の流動性や乾燥速度の調節等の目的で、必要に応じ、20質量%を限度として、上記物性の範囲外である遅乾性溶剤等を適宜の量、添加することができる。
遅乾性溶剤としては、相対蒸発速度120以下の溶剤を好適に用いることができ、0〜10質量%の範囲で添加することが好ましい。具体的には、キシレン(相対蒸発速度68)などの芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン(相対蒸発速度118)などのケトン類、酢酸−n−ブチル(相対蒸発速度100)などのエステル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(相対蒸発速度1未満)などのグリコール誘導体、n−ブチルアルコール(相対蒸発速度45)などのアルコール類などが挙げられる。
また、本発明のインキ組成物には、該インキ組成物から製造される放熱シートの放熱特性、電気絶縁特性に悪影響を与えない範囲で、非導電性カーボンブラック等の黒色系顔料を添加することができる。また、放熱特性(熱伝導性、熱輻射性)に大きな悪影響を与えない程度であれば、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、赤燐などの難燃剤、黒色系以外の着色剤、シランカップリング剤、イソシアネートなどの硬化剤、熱安定剤、分散剤、マイクロシリカ、酸化防止剤などを適宜、適量選択して配合しても差し支えない。
本発明のインキ組成物は、例えば、ガラス転移温度−50〜50℃であるバインダー樹脂100質量部を、溶剤75〜2300質量部に溶解した溶液に、水酸化アルミニウム粒子200〜480質量部を、ディゾルバーなどを用いて、また必要に応じて、ビーズミル等の粉砕メディア(例えばガラスビーズ、ジルコニアビーズなど)を使用できる分散機を用いて、均一且つ微細に分散混合させることにより、容易に製造することができる。
該インキ組成物の塗工適性は、組成物の各成分の種類、量に左右されるが、なかでも、溶剤の種類、量、水酸化アルミニウム粒子の形状・粒径、量等により大きく影響を受ける。
本発明のインキ組成物を塗工することにより、好適な厚さである10〜150μmという薄いシート厚みの放熱シートを容易に得るためには、最適な溶剤配合量(組成物の流動性、乾燥時の厚み収縮との関係を評価するために、インキ組成物全体に対する溶剤の比率で表示する)としては該インキ組成物中の溶剤量で20〜80質量%であることが好ましい。また、水酸化アルミニウム粒子の粒径としては前述のように0.1〜10μm程度、そして、インキ組成物の粘度としては、25℃において50〜10000mPa・s(B型粘度計(60回転))程度が好適である。
本発明のインキ組成物は、コンマコーター、ダイヘッドコーター、グラビア印刷機などの通常の塗工機(コーティング機)等で、樹脂フィルムや離型層付き樹脂フィルム、金属箔等の上に塗工され、遠赤外線輻射ヒーター、温風吹付けなどによって乾燥されることにより、溶剤乾燥の分だけその膜厚が低減した状態でシート化される。
該樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が用いられる。また、上記離型層としては、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等が用いられる。また、金属箔としては、例えばアルミニウム箔や銅箔が用いられる。
本発明のインキ組成物を用いて製造される放熱シートの厚みは、10〜150μmの範囲であることが好ましい。シート厚みが150μmより厚いと、乾燥条件の問題から塗工による作成が困難となる。また、シート厚み方向の熱抵抗が大きく、シート上部に存在する熱伝導性を有する粒子までの熱伝導が遅くなり、結果として放熱性が不十分になる場合がある。一方、放熱シートの厚みが10μmより薄いと製膜が難しくなると同時に、実用的な機械強度のシートとならない。
以上の点から、放熱シートの厚みは、30〜120μmの範囲がより好ましい。
成膜された放熱シートの熱伝導率は、勿論、より高い方が放熱性能上好ましい。ただし、本発明においては、放熱シートの厚みを150μm以下と薄くすることで熱抵抗を下げる設計のため、放熱シートの熱伝導率は0.8W/mK程度以上、より好ましくは1.0W/mK以上あれば実用上求められる放熱性能は得られる。この厚み及び熱伝導率の組合せ及び水酸化アルミニウムの熱輻射性により、従来の、厚み500μmで熱伝導率5W/mK程度の放熱シートと同等の放熱性能を得ることができる。前記のような配合の組成物を用いて薄膜とすれば、この程度の熱伝導率は容易に得られる。
なお、熱伝導率の測定は、ASTM C518、JIS A 1412、JIS R1611に規定の方法、レーザーフラッシュ法等公知の方法に準拠して行う。
このようにして得られた放熱シートは、離型性フィルムから剥がし、あるいは、離型性フィルムを保護フィルムとして積層したままの状態で、放熱シートとしての使用に供するための製品の形、すなわち保護フィルム付き放熱シートとすることができる。
また、上記放熱シートは、粘着性層を放熱シートの上面又は下面にさらに設けた構成、すなわち粘着層付き放熱シートとしてもよく、これにより、製品使用時の利便性が高まる。
上記放熱シートは、トランジスタ、LSI、MPUなどの電子部品、PDPなどの表示装置等の発熱体の表面、裏面、側面等に、組立て、発光、画像表示等の支障にならない位置に貼付する。これにより、本発明にかかる放熱シートは、使用形態に応じた放熱機構を発現する。例えば、ヒートシンク、水冷もしくは空冷の冷却器など熱排出システムと積層ないし連結して用いる場合には、本発明にかかる放熱シートは、発熱体から該熱排出システムへ熱を伝達する通路となる。熱は専ら熱排出システムから熱伝導及び/又は熱輻射により外部へ放出される。この場合は、該放熱シートは、その低熱抵抗性により高効率で発熱体から熱排出システムへ熱を輸送することで良好な放熱機構に寄与する。一方、本発明にかかる放熱シート単体で発熱体表面に貼着して使用する場合は、発熱体から該放熱シートの厚み方向及び面内方向に熱伝導にて伝達した熱を、専ら該放熱シート表面からの熱輻射によって(及びこれに加えて一部は周囲雰囲気への熱伝導によって)外部へ放出される。この場合は、該放熱シートは、その低熱抵抗性により高効率で発熱体からの熱を該放熱シート表面の熱輻射面に輸送せしめ、且つ該熱輻射面に到達した熱をその表面の高熱輻射性によって高効率で輻射することによって、良好な放熱機構に寄与する。
本発明のインキ組成物は、上記放熱シートの製造以外にも、放熱用塗料、熱伝導性粘着シート、熱伝導性接着剤としての用途などに適用できる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、各実施例及び比較例で得られた放熱シートの評価は以下の方法により行った。
(1)シート密度(g/cm3
5.0×10.0cmのサイズに切り取った放熱シートの膜厚及び重さ(質量)(g)を測定して算出した。
(2)放熱性
放熱性の評価は以下の測定により行った。各実施例及び比較例で得られた放熱シートを直径83mm、高さ100mmの金属缶(表面が鏡面であるステンレス鋼)の側面全面に貼り付け、缶中に加温した水を入れて、缶の温度が89℃になるように調整した。この缶を、25℃に調整した縦290mm、横380mm、高さ360mmの密閉した段ボール紙でできた箱内に置き、30分、60分及び90分経過後の水温の変化を測定した。また、放熱シートを貼り付けずに同様の実験を行って、30分、60分及び90分経過後の水温の変化を測定し(参考例1として第1表に表示)、これを基準値として温度の低下率を併せて表示した。
(3)熱伝導率
ASTM C518、JIS A 1412、JIS R1611に準拠して、レーザーフラッシュ法により熱拡散率を求め、該熱拡散率と熱容量(密度×比熱)との積として熱伝導率を算出する方法で行った。
(4)機械的強度
放熱シートの引張破壊伸び及び引張強さをJIS K 7113に準拠して求め、以下の基準で評価した。
○;引張破壊伸びが5%以上且つ引張強さ0.5N/10mm以上
×;引張破壊伸びが5%未満又は引張強さ0.5N/10mm未満
実施例1
300mL容の攪拌混合機を備えた容器中で、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂A(非晶質飽和共重合ポリエステル;東洋紡績(株)製、商品名:「バイロン300」、Tg:6℃、数平均分子量23000、比重1.20、体積固有抵抗値1.3×1015Ω)をメチルエチルケトン/トルエン混合溶剤(混合比20:80)中に30質量%溶解した溶液100質量部に、水酸化アルミニウム粒子(昭和電工(株)製「ハイジライトH−42」、平均粒径:1.0μm)60質量部を加え、攪拌・混合して、水酸化アルミニウム粒子が均一に分散したインキ組成物を得た。得られたインキ組成物を、コンマコーター(井上金属工業(株)製)により、離型剤塗布PETフィルムの離型層上に塗工し、熱風乾燥して、含有する溶剤を乾燥除去することで放熱シートを得た。塗工速度を3m/minとし、乾燥温度を50〜120℃とした乾燥ゾーン4ユニット(ユニット長さ:2m×4、乾燥温度 第1ユニット:50℃、第2ユニット:80℃、第3ユニット:100℃、第4ユニット:120℃)を通過させて、シート厚60μmの放熱シートを得た。水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂体積比(PV比)=50/50である。得られた放熱シートの物性及び放熱性を第1表に示す。
実施例2
ポリエステル樹脂Aに代えて、EVMエラストマー(ISO1692(1995)、酢酸ビニル単位の比率が80モル%、Tg:5℃、数平均分子量91000)を用いたこと以外は実施例1と同様にして放熱シートを得、実施例1と同様に評価した。結果を第1表に示す。
実施例3
ポリエステル樹脂Aの含有量を20質量部、水酸化アルミニウム粒子の含有量を80質量部としたこと以外は実施例1と同様にして放熱シートを得た。水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂体積比(PV比)=66/34である。得られた放熱シートについて、上記方法で評価した結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1で得た放熱シートの代わりに、厚さ60μmのアルミニウムを貼り、上記方法にて放熱性を評価した。結果を第1表に記す。
比較例2
ポリエステル樹脂Aの含有量を40質量部、水酸化アルミニウム粒子の含有量を60質量部としたこと以外は実施例1と同様にして放熱シートを得た。水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂体積比(PV比)=43/57である。得られた放熱シートについて、上記方法で評価した結果を第1表に示す。
比較例3
ポリエステル樹脂Aの含有量を14質量部、水酸化アルミニウム粒子の含有量を86質量部としたこと以外は実施例1と同様にして放熱シートを得た。水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂体積比(PV比)=75/25である。得られた放熱シートについて、上記方法で評価した結果を第1表に示す。
比較例4
ポリエステル樹脂としてポリエステル樹脂B(非晶質飽和共重合ポリエステル;東洋紡績(株)製、商品名:「バイロン200」(Tg:67℃、数平均分子量17000、比重1.26、SP値11.73、体積固有抵抗値7.2×1016Ω)を用い、含有量を33質量部とし、水酸化アルミニウム粒子の含有量を67質量部としたこと以外は実施例1と同様にして放熱シートの作製を試みた。しかしながら、実用的な機械的強度をもつシートを得ることはできなかった。なお、水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂体積比(PV比)=50/50である。
比較例5
ポリエステル樹脂としてポリエステル樹脂C(ウレタン変性ポリエステル;東洋紡績(株)製、Tg:−54℃)を用いたこと以外は比較例4と同様にして放熱シートの作製を試みた。しかしながら、実用的な機械的強度をもつシートを得ることはできなかった。なお、水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂体積比(PV比)=50/50である。
Figure 2007169516
*1 ポリエステル樹脂A;非晶質飽和共重合ポリエステル、東洋紡績(株)製、商品名:「バイロン300」、Tg:6℃、数平均分子量23000、比重1.20、体積固有抵抗値1.3×1015Ω
*2 ポリエステル樹脂B;非晶質飽和共重合ポリエステル、東洋紡績(株)製、商品名:「バイロン200」、Tg:67℃、数平均分子量17000、比重1.26、体積固有抵抗値7.2×1016Ω
*3 ポリエステル樹脂C;ウレタン変性ポリエステル、東洋紡績(株)製、Tg:−54℃
*4 EVM;ISO1692(1995)、酢酸ビニル単位の比率が80モル%、Tg:5℃、数平均分子量91000
第1表に示すとおり、本発明のインキ組成物を使用して製造した放熱シートは、表面に高効率で伝導してきた熱を表面の高輻射性によって外界に輻射する機構による放熱性が高く、放熱シートを貼付しない場合(ステンレス鋼缶表面は低熱伝導性、且つ低熱輻射性)や、アルミニウム箔(高熱伝導率、且つ低熱輻射率)を貼付した場合に比較して、30分後で7.7〜8.7%の温度低下、60分後で11.8〜12.2%の温度低下、さらに90分後では14.1〜15.5%もの温度低下が見られ、無風の環境下において優れた放熱性を有することがわかる。なお、アルミニウム箔を貼付した比較例1は、高熱伝導率(約240W/mK)にて熱を表面にまで伝導しても、表面の熱輻射性が低い為(全輻射率0.04)、結果的には放熱性は殆ど発現されていないことがわかる。また、本発明のインキ組成物により得られる放熱シートは、熱伝導率についても0.80〜1.12と高く、熱伝導による放熱性も高いことがわかる。さらに、本発明のインキ組成物を使用して製造した放熱シートは機械的強度も高いことがわかる。
また、図1に示す通り、本発明のインキ組成物により製造した放熱シートの熱伝導率はPV比に比例する。すなわち、PV比を制御することにより任意の熱伝導率を得られることがわかる。
本発明のインキ組成物によれば、熱伝導性及び熱輻射性に優れ、また機械的強度、柔軟性等においても優れた放熱シートを高い生産性で製造することができる。
本発明のインキ組成物を使用して製造した放熱シートにおけるフィラー量と熱伝導率の関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 水酸化アルミニウム粒子、ガラス転移温度が−50〜50℃であるバインダー樹脂及び溶剤からなるインキ組成物であって、溶剤中に、相対蒸発速度190以上、沸点60〜130℃、且つ溶解度パラメータが8〜12である成分を80質量%以上含有することを特徴とするインキ組成物。
  2. 水酸化アルミニウム粒子/バインダー樹脂の体積比が50/50〜70/30であり、インキ組成物中の溶剤量が20〜80質量%である請求項1に記載のインキ組成物。
  3. 水酸化アルミニウム粒子の平均粒径が0.1〜10μmである請求項1又は2に記載のインキ組成物。
  4. 前記バインダー樹脂が、ポリエステル系樹脂、及び酢酸ビニル単位の比率が40〜80モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂から選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物。
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