JP2007169075A - 窒化物含有成型体及び単結晶窒化物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周期表第13族元素の窒化物と鉱化剤とを含有する窒化物含有組成物をプレス成型等により窒化物含有成型体Bを成型する。つづいて、該窒化物含有成型体Bと種結晶Aとを、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体(溶媒C)中に配置することにより、窒化物含有成型体Bを構成する窒化物含有組成物を超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体に溶解し、溶解した窒化物含有成型体Bを種結晶Aに供給して結晶育成する。
【選択図】図1
Description
GaN単結晶の製造方法としては、例えば、基板上にMOCVD法によりGaN結晶をエピタキシャル成長させる方法が知られている。しかし、この方法ではGaN格子欠陥の形成が避けられず、他の製造方法の開発が強く求められている。
また、焼結多結晶GaNを原料GaNとして用いる方法(特許文献3参照)や、冷間プレスして小さくしたGaN粉末を用いる方法が提案されている(非特許文献2参照)。
また、特許文献3のような焼結多結晶GaNを製造することは非常に困難であり、量産性が低く、工業的ではなかった。例えば、特許文献3では、GaNの粉末又は冷間圧縮ピルを容器に封入し、温度1150〜1300℃、圧力1〜10kbarという高温高圧条件下で加圧して焼結多結晶GaNを製造している。
また、非特許文献2に記載の方法で得られたGaNは見かけ密度が低く、多孔質であるため水分を吸着しやすく、保存性に欠けている上に、崩壊して元の粉末に戻りやすいため、工業的には使用困難であった。
そこで、本発明は、アモノサーマル法による単結晶の生産性が高く、工業的に利用可能な窒化物含有成型体を提供することを目的とする。また、アモノサーマル法において単結晶窒化物を高い生産性で製造でき、工業的である単結晶窒化物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の窒化物含有成型体においては、周期表第13族元素の窒化物が、窒化ガリウムであることが好ましい。
本発明の窒化物含有成型体においては、窒化物含有組成物中の鉱化剤含有量が2質量%以上であることが好ましい。
また、本発明の窒化物含有成型体においては、鉱化剤がハロゲン化塩であることが好ましい。
本発明の単結晶窒化物の製造方法は、上述した窒化物含有成型体と種結晶とを、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体中に配置し、
前記窒化物含有成型体を構成する窒化物含有組成物を超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体に溶解し、溶解した窒化物含有成型体を前記種結晶に供給して結晶育成することを特徴とする。
本発明の単結晶窒化物の製造方法によれば、アモノサーマル法において単結晶窒化物を高い生産性で製造できる。
本発明の窒化物含有成型体は、窒化物含有組成物が成型されたものであり、窒化物含有組成物は周期表第13族元素の窒化物(以下、13族窒化物と略す。)と鉱化剤とを含有するものである。
13族窒化物としては、窒化アルミニウム、GaN、窒化インジウム、窒化タリウムが挙げられる。これらの中でも、発光ダイオード及びレーザーダイオード等の電子素子として特に有用であることから、GaNが好ましい。また、本発明は、13族窒化物がGaNである場合にとりわけ効果が発揮される。
13族窒化物は、平均粒径は500μm以下の粉体であることが好ましく、50μm以下の粉体であることがより好ましく、10μm以下の粉体であることが特に好ましい。平均粒径が小さい程、13族窒化物の比表面積が大きくなり、単結晶窒化物製造時に超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体との相溶性が向上し、溶解速度がより速くなる。ただし、13族窒化物の平均粒径は1μm以上であることが好ましい。13族窒化物の平均粒径が1μm未満であると、溶解しなかった1μm未満の13族窒化物が熱対流により種結晶上に供給され、種結晶上に付着して単結晶の育成を阻害するおそれがある。
また、13族窒化物の形態としては特に限定されず、例えば、凝集体でもよいし、凝集体を粉砕したものでもよい。
本例の多結晶GaNの製造方法では、まず、横型管状炉に原料である金属Gaを充填し、この横型管状炉中にアンモニアガスを連続的に流通させながら、900〜1100℃まで昇温する。そして、その温度を保ったまま1〜5時間反応させた後、常温まで降温して、多結晶GaNを得る。この製造方法は、多結晶GaN中の酸素含有量を容易に0.1質量%以下にできるという利点を有するため好ましいが、この製造方法以外の方法で多結晶GaNを製造しても構わない。
鉱化剤は、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体中において、13族窒化物と錯体を形成して溶解を促進させるものである。また、本発明では、鉱化剤は13族窒化物のバインダとしての役割を果たす。
鉱化剤の具体例としては、フッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド、ヒドラジン塩酸塩などのハロゲン化塩などが挙げられる。
また、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等のアルカリ金属アミドや、Li3N、Mg3N2、Ca3N2、Na3N等の窒化アルカリ金属又は窒化アルカリ土類金属、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、窒化クロム、窒化ニオブ、窒化ケイ素、窒化亜鉛、炭酸アンモニウム等が挙げられる。
これらの中でも、13族窒化物との錯体形成能が高く、溶媒溶解性が高いことから、ハロゲン化塩が好ましく、特に、フッ化アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウムなどのハロゲン化アンモニウムがより好ましい。
上記プレス成型法における温度は鉱化剤の沸点もしくは昇華点以下であることが好ましい。
上記プレス成型法を行う雰囲気の相対湿度は70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることが特に好ましい。相対湿度が70%を超えると鉱化剤が吸湿するため、水分が混入した状態でアモノサーマルにより結晶成長させることになり、単結晶の純度が低下する傾向にある。
上記プレス成型法における雰囲気は、単結晶の純度を高くするため酸素が少ないことが好ましい。そのため、例えば、不活性ガスで置換したボックス内でプレス成型を行うことが好ましい。不活性ガスで置換したボックス内でプレス成型すれば、13族窒化物中の酸素含有量を容易に0.2質量%以下にできる。
プレス成型時の圧力は、得られる窒化物含有成型体の圧縮強度が高くなることから、30MPa以上であることが好ましく、40MPa以上であることがより好ましい。しかし、本発明では、バインダとしての役割を果たす鉱化剤を含有するため、プレス成型時の圧力は100MPa以下であればよく、特に60MPa以下であっても構わない。プレス成型時の圧力が低いほど、量産性が高くなる。
加圧時間は1分〜10時間であることが好ましく、3〜30分であることがより好ましい。
また、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体中に窒化物含有成型体を配置した際には、鉱化剤が先に溶解するため、窒化物含有成型体が多孔質になる。その結果、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体に対する13族窒化物の接触面積が大きくなる。このことによっても、溶解が促進されるものと考えられる。
さらに、13族窒化物にバインダの役割を果たす鉱化剤を混ぜることにより、窒化物含有成型体の成型時の成型条件を穏和な条件にでき、量産性が高くなる上に、大きさや仕様の変更にも容易に対応でき、スケールアップ時の再現性も高くなるため、工業的である。
本発明の単結晶窒化物の製造方法の一例について説明する。
この例の単結晶窒化物の製造方法は、アモノサーマル法による単結晶窒化物の製造方法であり、まず、図1に示すように、円筒状のオートクレーブ10内に種結晶Aと窒化物含有成型体Bと窒化物の溶媒Cである超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体を充填する。このとき、オートクレーブ10内の上部を結晶育成部11として種結晶Aを配置し、下部を原料溶解部12として窒化物含有成型体Bを配置する。
次いで、そのオートクレーブ10を、上下に温度勾配がつけられる電気炉20に設置し、上部の結晶育成部11の温度が常に下部の原料溶解部12の温度より低くなるように加熱する。原料溶解部12では、窒化物含有成型体中の13族窒化物と鉱化剤とが溶媒Cに溶解しつつ錯体を形成する。そして、その錯体は、熱対流により結晶育成部11の種結晶に供給され、供給された13族窒化物を原料とし、結晶育成部11の種結晶Aを核として結晶が育成する。
なお、鉱化剤は、13族窒化物と共に種結晶に到達した後には、13族窒化物から脱離して元の鉱化剤に戻るため、一定の濃度で循環利用される。
アンモニア及び/又はアンモニア誘導体のうち、アンモニア誘導体としては、ヒドラジン、尿素、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチレンジアミン、メラミンなどが挙げられる。
アンモニア及び/又はアンモニア誘導体からなる溶媒中には、あらかじめ鉱化剤が含まれていてもよい。
原料溶解部12の温度は、結晶育成部11の温度より、10〜150℃高いことが好ましく、10〜100℃高いことがより好ましい。
また、オートクレーブ10内の圧力は70〜200MPaであることが好ましく、80〜170MPaであることがより好ましく、90〜150MPaであることが特に好ましい。
温度及び圧力を前記範囲にすることにより、容易に超臨界状態にすることができる。
上記単結晶窒化物の製造方法では、上記窒化物含有成型体を原料として用いるため、原料溶解部にて13族窒化物と鉱化剤とが錯体を容易に形成する上に、鉱化剤の溶解により窒化物含有成型体が多孔質になるため、13族窒化物と溶媒との接触面積が大きくなり、溶解速度を速くすることができる。したがって、単結晶窒化物の結晶成長速度を速くすることができ、生産性を向上させることができる。
また、窒化物含有成型体中の13族窒化物の溶解性が高いため、溶媒に溶解しなかった粉末状13族窒化物が熱対流により種結晶に供給される現象を抑えることができ、結晶育成の阻害を防止できるものと考えられる。さらに、窒化物含有成型体自体の表面積が小さいため、吸湿性が低く、水などの結晶育成阻害物質の持ち込み量を少なくできる。したがって、この製造方法で得られる単結晶窒化物は、結晶サイズが大きくなり、また、高純度になるものと考えられる。
また、この単結晶窒化物の製造方法では、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体に含ませておく鉱化剤量を減らせるため、種結晶の溶解を防ぐことができるものと考えられる。
多結晶GaN粉末0.4447gと鉱化剤である塩化アンモニウム0.2737gを瑪瑙鉢で粉砕混合し、これにより得られた混合物を円柱状の金型に充填した。この金型を錠剤成型器に装着し、金型内を真空ポンプにより減圧後、温度25℃、湿度60%の条件下、50MPaで加圧し、3分間放置した。金型内を常圧に戻した後、得られた成型体を金型から取り出した。得られた成型体は、直径10mm、厚さ3.5mm、見かけ密度2.6g/cm3の灰白色ペレットであった。また、この灰白色ペレットは100N/mm2の圧縮応力をかけても、さらに圧縮されるものの、破壊されることはなかった。
本実施例におけるGaN多結晶と塩化アンモニウムを粉末で使用した場合の体積は0.533cm3であるが、ペレットにした場合の体積は0.275cm3と小さくなるため、原料溶解部に仕込めるGaN多結晶と塩化アンモニウムの量を増やすことができ、生産性を高くすることができる。
多結晶GaN粉末0.4856gと鉱化剤である塩化アンモニウム0.1015gを瑪瑙鉢で粉砕混合し、これにより得られた混合物を円柱状の金型に充填した。この金型を錠剤成型器に装着し、金型内を真空ポンプにより減圧後、温度25℃、湿度60%の条件下、50MPaで加圧し、3分間放置した。金型内を常圧に戻した後、得られた成型体を金型から取り出した。得られた成型体は、直径10mm、厚さ3.3mm、見かけ密度3.7g/cm3の灰白色ペレットであった。また、この灰白色ペレットは100N/mm2の圧縮応力をかけても、さらに圧縮されるものの、破壊されることはなかった。
本実施例におけるGaN多結晶と塩化アンモニウムを粉末で使用した場合の体積は0.548cm3であるが、ペレットにした場合の体積は0.259cm3と小さくなるため、原料溶解部に仕込めるGaN多結晶と塩化アンモニウムの量を増やすことができ、生産性を高くすることができる。
多結晶GaN粉末0.1244gと鉱化剤である臭化アンモニウム0.2944gを瑪瑙鉢で粉砕混合し、これにより得られた混合物を円柱状の金型に充填した。この金型を錠剤成型器に装着し、金型内を真空ポンプにより減圧後、29MPaで加圧し、5分間放置した。金型内を常圧に戻した後、得られた成型体を金型から取り出した。得られた成型体は、直径10mm、厚さ1.9mm、見かけ密度2.8g/cm3の灰白色ペレットであった。また、この灰白色ペレットは100N/mm2の圧縮応力をかけても、さらに圧縮されるものの、破壊されることはなかった。
多結晶GaN粉末0.2155gと鉱化剤であるヨウ化アンモニウム0.2185gを瑪瑙鉢で粉砕混合し、これにより得られた混合物を円柱状の金型に充填した。この金型を錠剤成型器に装着し、金型内を真空ポンプにより減圧後、42MPaで加圧し、6分間放置した。金型内を常圧に戻した後、得られた成型体を金型から取り出した。得られた成型体は、直径10mm、厚さ1.7mm、見かけ密度3.3g/cm3の灰白色ペレットであった。また、この灰白色ペレットは100N/mm2の圧縮応力をかけても、さらに圧縮されるものの、破壊されることはなかった。
多結晶GaN粉末1.2531gを瑪瑙鉢で粉砕し、これを円柱状の金型に充填した。この金型を錠剤成型器に装着し、金型内を真空ポンプにより減圧後、温度25℃、湿度60%の条件下、50MPaで加圧し、3分間放置した。金型内を常圧に戻した後、得られた成型体を金型から取り出そうとしたところ、崩壊してしまい、完全な成型体として得られなかった。
11 結晶育成部
12 原料溶解部
A 種結晶
B 窒化物含有成型体
C 溶媒
Claims (5)
- 周期表第13族元素の窒化物と鉱化剤とを含有する窒化物含有組成物が成型されたことを特徴とする窒化物含有成型体。
- 周期表第13族元素の窒化物が、窒化ガリウムであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物含有成型体。
- 窒化物含有組成物中の鉱化剤含有量が2質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物含有成型体。
- 鉱化剤が、ハロゲン化塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物含有成型体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物含有成型体と種結晶とを、超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体中に配置し、
前記窒化物含有成型体を構成する窒化物含有組成物を超臨界状態のアンモニア及び/又はアンモニア誘導体に溶解し、溶解した窒化物含有成型体を前記種結晶に供給して結晶育成することを特徴とする単結晶窒化物の製造方法。
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