JP2007168252A - インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】顔料を凝集させる反応液と顔料インクを用いて2次色の画像を記録する際に、ブリーディングを改善しつつ、発色性を向上させ、また、記録媒体におけるインクの裏抜けの問題を解決する。
【解決手段】反応液の、記録媒体に対する濡れ時間Tw1と、上記反応液を付与してから第一の顔料インクを付与するまでの時間差Td1が、Td1< Tw1で示される関係にある記録を行う。また、上記第一のインクと上記反応液の混合物の記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、上記第一の顔料インクを付与してから第二の顔料インクを付与するまでの時間差Td2が、Td2< Tw2で示される関係にある記録を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関する。詳しくは、染料や顔料などインクの色剤を不溶化または凝集させる反応液と、上記色剤が異なる2種類のインクとを用いて2次色の画像を記録するためのインクジェット記録方法およびその方法を実行するインクジェット記録装置に関するものである。
インクジェット記録方法は、記録液(インク)の小滴を吐出し、紙等の記録媒体に付着させて記録を行うものである。インクの吐出方式としては、例えば、電気熱変換体が発生する熱エネルギーをインクに与えて気泡を生じさせることにより液滴を吐出させる方式が良く知られている。この方式は、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解像度及び高品質の画像を高速で記録できる利点を有している(特許文献1〜3参照)。
しかし、インクジェット記録方法では、カラー画像を記録しようとする場合、複数の色のインクがそれぞれ定着する前に次のインクが重ねられることから、付与されるインク量が多くなることに起因した問題を生じ得ることが知られている。すなわち、付与インク量が多いことに起因して、記録画像の異なる色の境界部分で色が滲んだり、不均一に混じり合ったりして(以下、ブリーディングともいう)画像品位が低下するという問題がある。
特に、2つの異なる色のインクを用いて2次色の画像を記録する場合は、以下に述べる理由により、ブリーディングや発色低下がより顕著に発生する。異なる2色のインクを用いて2次色の画像を記録する場合、インク中の色剤が記録媒体に沈み込むのを抑えるために、インクの記録媒体に対する浸透性を低下させることがある。しかし、この場合、記録媒体に最初に付与されたインクが定着する前に、次に吐出されたインクが(最初に付与されたインクに)重ねて付与されることになる。その結果、浸透しないで記録媒体上に存在する単位面積当たりのインク量が1次色の画像を記録する場合に比べて多くなる。この場合、2次色の画像形成領域に隣接する他の画像領域との境界部でブリーディングの発生がより顕著となることがある。
このブリーディングを抑えるために、インク中に界面活性剤等の浸透性を高める化合物を添加したインクを用いることが知られている(特許文献4参照)。しかし、最初に付与されたインクの界面活性剤等によって記録媒体のインクに対する浸透性が高くなる。その結果、次のインクが重ねて付与されると、浸透性の高い記録媒体に浸透性の高いインクが付与されることになる。そして、インクの色剤が記録紙の奥深くまで浸透し、画像濃度が低下したり、画像の鮮明性が低下したり、記録媒体の裏面に画像が裏抜けて見える等の不都合を生じる。
これに対し、インクの付与に先立って記録紙上に画像を良好にせしめる液体を付着させる方法が知られている。例えば、記録媒体上に予めカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のポリマーの溶液を噴射してから記録する方法が提案されている(特許文献5参照)。この方法によれば、ブリーディングは改善されるものの、溶液自体の乾燥性が悪く、定着性が低下するという問題が懸念される。
これを改善するために、1分子当り2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有する液体を付与した後、アニオン染料を含有したインクを付与する方法(特許文献6参照)が知られている。同様に、コハク酸等を含有した酸性液体を付与した後、インクを付与する方法(特許文献7参照)や、染料を不溶化する液体を記録前に付与する方法(特許文献8参照)も知られている。
しかし、何れの方法も、記録媒体内に反応液が浸透して、記録媒体中に存在し且つ記録媒体表面からなくなった後にインクを付与するものである。このため、ブリーディングはある程度抑えられるものの、その後、さらに別の色の着色インクを付与して2次色の画像を記録する場合は、反応液と十分に反応することができないことに起因した問題を生じることがある。すなわち、ほとんどの反応は記録媒体中で起こるために発色性が向上しないという問題や、記録媒体の裏面で色剤が視認される裏抜けの問題があった。
これに対し、記録媒体に反応液を付与した後、その反応液が付与された領域上に少なくとも1回以上インクを付与し、さらにそのインクが付与された領域に反応液を付与する提案がなされている(特許文献9参照)。
特公昭61−59911号公報 特公昭61−59912号公報 特公昭61−59914号公報 特開昭55−65269号公報 特開昭56−89595号公報 特開昭63−29971号公報 特開昭64−9279号公報 特開昭64−63185号公報 特開2002−337332号公報
以上のとおり、反応液を用いてブリーディングを改善する従来技術は、2次色の画像を記録する場合にインクと反応液とが十分に反応して記録画像の濃度ないし発色性などの記録品位を高める点で難点がある。これは、上述した従来技術では、反応液とインクの付与間隔が、反応液およびインクさらにはそれらの混合物の記録媒体に対する浸透性に応じて適切に設定されていないため、記録媒体上での反応液とインクの反応が不十分となることがあるからである。そして、その結果として、十分な発色が得られなかったり、さらにはブリーディングを完全に防止できなかったりすることもある。
上記従来技術のうち、反応液を付与した後、インクを付与し、さらにその上に反応液を付与する方法は、インクを付与する前にかならず反応液が付与されることとなるため、記録媒体上での反応液とインクとの反応は比較的良好になされる。しかし、この方法によって、1回の走査で2次色の画像を記録することを可能とするには、各色インクの吐出ノズルごとに反応液吐出用ノズルを設ける必要がある。その結果、このように各インクのノズルごとに反応液と主張ノズルを設けて記録の高速化を図る場合、記録ヘッドのコストが上昇し上で好ましくない。
本発明の目的は、2次色の画像を記録する際のブリーディングを改善しつつ、発色性を向上させ、また、記録媒体におけるインクの裏抜けの問題も解決したインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置を提供することにある。
そのために本発明では、複数種類のインクと該複数種類のインクそれぞれの色剤を凝集または不溶化する反応液を記録媒体に付与して記録を行うインクジェット記録方法であって、前記記録媒体に前記反応液を付与する第一の付与行程と、前記第一の付与行程において前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に、第一のインクを付与する第二の付与行程と、前記第二の付与行程において前記第一のインクが付与された領域の少なくとも一部に、前記第一のインクとは異なる種類の第二の顔料インクを付与する第三の付与行程とを有し、前記反応液の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw1と、前記反応液を付与してから前記第一のインクを付与するまでの時間Td1が、Td1<Tw1関係を満たし、且つ、前記第一のインクと前記反応液の混合物の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、前記第一のインクを付与してから前記第二のインクを付与するまでの時間Td2が、Td2<Tw2の関係を満たすことを特徴とする。
また、複数種類のインクと該複数種類のインクそれぞれの色剤を凝集または不溶化する反応液を記録媒体に付与して記録を行うインクジェット記録装置であって、前記記録媒体に前記反応液を付与する第一の付与行程と、前記第一の付与行程において前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に、第一のインクを付与する第二の付与行程と、前記第二の付与行程において前記第一のインクが付与された領域の少なくとも一部に、前記第一のインクとは異なる種類の第二の顔料インクを付与する第三の付与行程と、を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記反応液の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw1と、前記反応液を付与してから前記第一のインクを付与するまでの時間Td1が、Td1<Tw1の関係を満たし、且つ、前記第一のインクと前記反応液の混合物の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、前記第一のインクを付与してから前記第二のインクを付与するまでの時間Td2が、Td2<Tw2の関係を満たすようにそれぞれの前記工程を制御することを特徴とする。
以上の構成によれば、反応液が着付与されてから記録媒体中に浸透を始めるまでの時間Tw1および反応液と第一のインクとの混合物生成されて記録媒体中に浸透を始めるまでの時間Tw2が、それぞれ次にインクが付与されるまでの時間より長くなる。これにより、反応液とインクあるいはこれらの混合物とインクとの反応が記録媒体上で充分に行われる。
その結果、2次色の画像を記録する際のブリーディングが改善されるともに、発色性が向上し、また、記録媒体におけるインクの裏抜けの問題も解消した記録を行うことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体上に、多価金属イオンを含む反応液を付与した後、その反応液の表面張力よりも低い表面張力を有する複数の顔料インクを付与して記録を行うインクジェット記録方法である。具体的には、インク色剤としての顔料を凝集させる反応液を上記記録媒体上に付与する第一の付与行程を有する。また、この第一の付与行程によって記録媒体上の上記反応液が付与された領域の少なくとも一部の領域に、第一の顔料インクを付与する第二の付与行程を有する。さらに、上記第二の付与行程によって記録媒体上に上記第一の顔料インクが付与された領域の少なくとも一部の領域に、前記第一の顔料インクとは異なる第二の顔料インクを付与する第三の付与行程とを有するものである。
そして、上記反応液の、記録媒体に対する濡れ時間Tw1と、上記反応液を付与してから上記第一の顔料インクを付与するまでの時間Td1が、
Td1<Tw1 式1
で示される関係にある。さらに、上記第一のインクと上記反応液の混合物の記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、上記第一の顔料インクを付与してから上記第二の顔料インクを付与するまでの時間Td2が、
Td2<Tw2 式2
で示される関係にある。
以上の記録方法において、第一の付与行程で反応液を記録媒体に付与するための方法(以下、付与方法)は、特に限定されないが、周知技術であるインクジェット法による付与が好適に使用できる。また、インクジェット法による付与方法としては、例えば、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方法や、印可された電圧に応じて変形する圧電素子を備え、その電圧素子の変形を利用してインクを吐出する方法があげられる。また、第二および第三の付与工程で、顔料インクを記録媒体に付与する方法についても特に限定されず、反応液の付与方法と同様の方法を用いることができる。
第二の付与行程で付与される第一の顔料インクは、第一の付与行程で付与される反応液と少なくとも一部の領域、好ましくは、反応液の付与領域と顔料インクの付与領域ができるだけ多くの領域で一致するように付与される。ただし、それぞれの領域が完全に一致しなければ、反応液と顔料インクの反応による画質向上効果が得られないというわけではない。また、本実施形態においては、反応液と第一の顔料インクを液状で接触させるという観点および、第一の顔料インクと反応液との反応により生成される凝集物を速やかに定着させるという観点から、反応液の浸透性よりも顔料インクの浸透性を高くしている。詳しくは、反応液の表面張力よりも第一の顔料インクの表面張力を低くしている。この表面表力の関係は、例えば、反応液と第一の顔料インク中の界面活性剤の含有比率を変えることにより調整することができる。
また、反応液は、その記録媒体に対する濡れ時間Twが経過したときから記録媒体に浸透を開始し始める。従って、本実施形態では、この濡れ時間Twと、反応液を付与してから第一の顔料インクを付与するまでの時間Td1が、上記式1(Td1<Tw1)で規定される関係を満たす記録を行う。すなわち、反応液の浸透が始まる前に顔料インクを付与して反応液と接触させる。これにより、記録媒体上で液状で存在している反応液の界面に顔料インクを接触させることができる。
上記のとおり、濡れ時間Twとは、反応液が記録媒体の表面に接触してから吸収が始まるまでの遅れ時間のことである。この濡れ時間Twはブリストー法によって求めることができる。ブリストー法はJAPANTAPPI紙パルプ試験方法No.51の『紙及び板紙の液体吸収性試験方法』に記載されている。これによれば、濡れ時間Twは、吸収係数Ka(mL/m2・ms1/2)と粗さ指数Vr(mL/m2)によって定められる吸収曲線によって求めることができる。この吸収曲線の一例を図1に示す。
本実施形態における濡れ時間Twは、図1に示すように、吸収係数Kaを算出するための最小二乗法による近似直線Aと、液体の転移量V、粗さ指数Vrで表されるV=Vrの直線Bとの交点ABまでの時間としている。また、一般的に普通紙などの記録媒体の液体吸収性は、液体の表面張力を主因子として制御することができる。そして一般的なインクジェット記録方法では、付与時間差(着弾時間差)Tdは数ミリ秒以上であることから、反応液の表面張力は35mN/mから60mN/mであることが望ましい。
ここで、本実施形態における、反応液と第1の顔料インクの着弾時間差Td1は、厳密には、反応液が吐出されて記録媒体に着弾してから、第一の顔料インクが吐出されて記録媒体に着弾するまでの時間である。しかし、一般的に、記録ヘッドから反応液またはインクが吐出されてから記録媒体に着弾するまでの時間は、必ずしも毎回同じ時間となるものではなく、反応液やインクの種類によっても変化するものであるから、正確に把握することは難しい。また、あるインクが吐出してから着弾するまでの時間に多少のばらつきがあっても、その差は、着弾時間差に比べて無視できる程度に小さいものである。これらの点から、本実施形態における着弾時間差Tdは、反応液が吐出されてから、第一の顔料インクが吐出されるまでの時間で定義するものとする。
反応液が吐出されてから第一の顔料インクが吐出されるまでの時間Td1は、反応液とインクを吐出するためのそれぞれのノズル間の距離および、それぞれのノズルの駆動周波数、および記録解像度を介して制御することができる。具体的には、反応液を吐出するためのノズルと第二の顔料インクを吐出するためのノズルの主走査方向における距離がAmmで、それぞれのノズルの駆動周波数がBHz、記録解像度がCdpiであるとすると、着弾時間差Td1は次の式で求められる。
Td1=C×A/25.4×(1/B)
例えば、吐出口間の距離が2mmで、駆動周波数が20kHz、解像度が1200dpiであれば、着弾時間差Tdは約5msecとなる。
さらに、第二の付与行程で付与された第一の顔料インクに、この第一の顔料インクとは異なる色の第二の顔料インクを付与する第三の付与行程は以下のとおりである。なお、第二の顔料インクが、第一の顔料インク異なるのは、本実施形態では、特に二次色の画質を向上させることを目的としているためである。具体的には、第一の顔料と第二の顔料にそれぞれ、シアン顔料とマゼンタ顔料でブルーの画像を作成する場合、シアン顔料とイエロー顔料でグリーンの画像を作成する場合、マゼンタ顔料とイエロー顔料でレッドの画像を作成する場合が挙げられる。ただし、二次色を作成する場合の付与順序は問わない。
第三の付与工程では、上述のとおり、第一のインクと反応液の凝集物(以下、混合物とも言う)の、記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、第一の顔料インクを付与してから第二の顔料インクを付与するまでの時間差Td2が、上記式2の関係を満たす。これは、第三の付与行程で第二の顔料インクを付与するタイミングを規定したものである。具体的には、第二の付与行程で第一の顔料インクが付与されてから、記録媒体上に存在する、反応液と第一の顔料インクの混合物の濡れ時間Twが経過する前に、第二の顔料インクを付与する。
上記式1の関係を満たすようにして、記録媒体に液状で存在する反応液に第一の顔料インクが付与されると、反応液と第一の顔料インクの混合物が生成される。ここで、この混合物は、第一の顔料インクが付与された直後は液状で存在し、濡れ時間Tw2が経過したときから記録媒体に浸透を開始し始める。従って、浸透が完全に終了する前に第二の顔料インクを付与することにより、記録媒体上に存在している混合物の界面に顔料インクを接触させることができる。
本実施形態の上述した記録方法によれば、反応液と第一の顔料インク、第二の顔料インクを記録媒体上で十分に反応させることができる。これに対し、上記式1および式2に示す条件のいずれか1つでも満たされない場合は、反応液と顔料インクが十分に反応することができない。
また、上記式1と式2の関係を同時に満たすためには、反応液と第一の顔料インクおよび第二の顔料インクを同一の走査で付与することが望ましい。これに対し、一般的な記録ヘッドにおいて、複数回の走査で2次色の画像を記録しようとする場合、例えば、1回目の走査で反応液を付与し、2回目の走査で第一の顔料インクと第二の顔料インクを付与することが考えられる。この場合、1回目の走査で反応液が付与されてから2回目の走査で顔料インクが付与されるまでの間に、反応液の塗れ時間Tw1が経過する可能性が高く、反応液が記録媒体中に沈み込むことによって、両インクとも反応液との反応が充分にならない場合がある。また、1回目の走査時に、反応液と第一の顔料インクを付与し、2回目の走査で第二の顔料インクを付与する場合も同様に、第二の顔料インクが付与されるまでに、反応液と第一の顔料インクの混合物の濡れ時間Tw2が経過してしまう可能性が高くなる。
次に、本実施形態で用いる反応液について説明する。本実施形態の反応液に含有される、顔料インクと反応する反応剤として最も好適なものは多価金属塩が挙げられる。多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成される。そして反応液中では、この多価金属塩の少なくとも一部が解離している。
多価金属イオンの具体例として、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+及びZn2+等の二価金属イオン、そしてFe3+及びAl3+等の三価金属イオンが挙げられる。又、陰イオンとしては、Cl-、NO3-、SO42-等が挙げられる。瞬時に反応させて凝集膜を形成するために、反応液中の多価金属イオンの総電荷濃度は、顔料インク中の逆極性イオンの総電荷濃度の2倍以上であることが望ましい。
本実施形態の反応液に使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類がある。また、水溶性有機溶剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオールがある。さらに、水溶性有機溶剤としては、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルがある。さらに、水溶性有機溶剤としては、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の1価アルコール類がある。これらの他、水溶性有機溶剤としては、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルホキサイド等が挙げられる。本実施形態の反応液中における上記水溶性有機溶剤の含有量については特に制限はないが、反応液全質量の5〜60質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲である。
また、本実施形態の反応液には、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜配合してもよい。しかし、浸透促進剤として機能する界面活性剤の選択と添加量は、記録媒体に対する反応液の浸透性を抑制する上で考慮することが必要である。また、本実施形態の反応液は、無色であることがより好ましいが、記録媒体上でインクと混合された際に、各色インクの色調を変えない範囲の淡色のものでもよい。さらに、以上のような反応液の各種物性の好適な範囲としては、25℃付近での粘度が1〜30cps.の範囲となるように調整されたものが好ましい。また、前述したように、着弾時間差Tdは数ミリ秒以上であること、顔料インクと反応液とを紙面上で十分に反応させるという観点から、反応液の表面張力は35mN/mから60mN/mであることが望ましい。
次に、本実施形態で用いる顔料インクについて説明する。本実施形態の顔料インクに用いられる顔料は、顔料インクの全質量に対して、質量比で1〜20質量%、好ましくは2〜12質量%の範囲で用いられる。本実施形態の顔料としては次のようなものが挙げられる。イエローの顔料としては、例えば、C.I.PigmentYellow1、C.I.PigmentYellow2である。さらには、C.I.PigmentYellow3、C.I.PigmentYellow13、C.I.PigmentYellow16、C.I.PigmentYellow83等である。マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.PigmentRed5、C.I.PigmentRed7、C.I.PigmentRed12、C.I.PigmentRed48(Ca)、C.I.PigmentRed48(Mn)である。さらには、C.I.PigmentRed57(Ca)、C.I.PigmentRed112、C.I.PigmentRed122等が挙げられる。シアンの顔料としては、例えば、C.I.PigmentBlue1、C.I.PigmentBlue2、C.I.PigmentBlue3、C.I.PigmentBlue15:3、C.I.PigmentBlue16である。さらには、C.I.PigmentBlue22、C.I.VatBlue4、C.I.VatBlue6等が挙げられる。もちろん、これらに限られるものではない。また、以上の他、自己分散型顔料等、新たに製造された顔料も使用することができる。
また、顔料の分散剤としては、水溶性樹脂ならどのようなものでもよいが、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましい。更に好ましくは、3,000〜15,000の範囲のものを使用する。このような分散剤として、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体がある。また、分散剤として、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミドがある。さらには、分散剤として、上記の誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性の重合性単量体)からなるブロック共重合体、或いは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。さらには、分散剤として、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。なお、これらの顔料分散剤として用いられる水溶性樹脂は、顔料インクの全質量に対して0.1〜5質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
特に、上記したような顔料が含有されている顔料インクの場合には、顔料インクの全体が中性又はアルカリ性に調整されていることが好ましい。このようなものとすることにより、顔料分散剤として使用される水溶性樹脂の溶解性を向上させ、長期保存性に一層優れた顔料インクとすることができるので好ましい。但し、この場合、インクジェット記録装置に使われている種々の部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくは、7〜10のpH範囲とするのが望ましい。
この際に使用されるpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等が挙げられる。上記したような顔料及び分散剤である水溶性樹脂は、水性液媒体中に分散または溶解される。
本実施形態で使用される顔料が含有された顔料インクにおいて好適な水性液媒体は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である。水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
水と混合して使用される水溶性有機溶剤は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコールである。また、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類を用いることができる。さらには、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類を用いることができる。さらには、アルキレングリコール類を用いることもできる。このアルキレングリコール類には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコールがある。また、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むものもある。水溶性有機溶剤は、さらにはグリセリンがある。さらに、水溶性有機溶剤には、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類がある。さらには、水溶性有機溶剤には、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
上記したような水溶性有機溶剤の顔料インク中の含有量は、一般的には、顔料インクの全質量の3〜50質量%の範囲である。好ましくは3〜40質量%の範囲で使用する。また、使用される水の含有量としては、顔料インクの全質量の10〜90質量%、好ましくは30〜80質量%の範囲とする。
また、本実施形態の顔料インクとして、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つ顔料インクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を適宜に添加することができる。特に、浸透促進剤として機能する界面活性剤は、記録媒体に反応液と顔料インクの液体成分を速やかに浸透させる役割を担うための適量を添加する必要がある。添加量の例としては、0.05〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%が好適である。
アニオン性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型等、一般に使用されているものを何れも好ましく使用することができる。
上記したような顔料が含有された顔料インクの作製方法は、始めに、分散剤としての水溶性樹脂と水とが少なくとも含有された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散を行う。また、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の分散液を得る。次に、この分散液にサイズ剤及び上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌して本発明で使用する顔料インクとする。
なお、分散剤として前述したようなアルカリ可溶型樹脂を使用する場合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することが必要である。この際の塩基類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が好ましく使用される。
また、顔料インクの作製方法においては、顔料を含む水性媒体を攪拌して分散処理する前に、プレミキシングを30分間以上行うのが効果的である。すなわち、このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機であれば如何なるものでもよい。例えば、ボールミル、ロールミル及びサンドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
また、顔料インクを用いるインクジェット記録方法では、耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いる。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすることがある。その他、処理時間を長くすること、吐出速度を遅くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組合せ等の手法が挙げられる。
(実施例)
以下、本発明の具体的実施例と比較例について説明する。なお、以下の記載において、「部」または「%」とあるものは、特に断わらない限り質量基準である。先ず、下記に述べるようにして、それぞれ顔料とアニオン性化合物とを含むシアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の顔料インクC1、M1、Y1を得た。
(顔料インク)
<顔料分散液の作製>
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価240、重量平均分子量=5,000)1.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・イオン交換水 81.5部
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作されたピグメントブルー15 10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積比)
・粉砕時間:3時間
さらに、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液とした。
<顔料インクC1の作製>
上記の分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、顔料を含有するインクを作製して顔料インクとした。このときの表面張力は34mN/mであった。
・上記顔料分散液 30.0部
・グリセリン 10.0部
・エチレングリコール 5.0部
・N−メチルピロリドン 5.0部
・エチルアルコール 2.0部
・アセチレノールEH
(川研ファインケミカル製) 1.0部
・イオン交換水 47.0部
(顔料インクM1、Y1)
顔料インクC1の調製の際に使用したピグメントブルー15 10部を、下記表1の顔料に代えた以外は、顔料インクC1の調製と同様にして顔料を含有した顔料インクM1及びY1を調製した。このときの表面張力はそれぞれ、31mN/m、及び33mN/mであった。
Figure 2007168252
(反応液S1〜S3)
次に、下記の成分を混合溶解した後、更にポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルター(商品名:フロロポアフィルター、住友電工製)にて加圧濾過し、pHが3.8に調整されている反応液S1を得た。同様に、下記表2に示す組成の反応液S2〜S3を調製した。
Figure 2007168252
次に、所定の記録媒体に対する反応液S1〜S3の濡れ時間Tw1(msec)をブリストー法により測定した。測定には、動的浸透性試験装置(東洋精機製作所製)を用いて吸収係数Kaを粗さ指数とともに測定した。測定した塗れ時間Tw1(msec)の結果を表3に示す。ここで濡れ時間Twの算出方法は、図1に示すように、吸収係数Kaを算出するための最小二乗法による近似直線Aと、液体の転移量V、粗さ指数Vrで表されるV=Vrの直線Bとの交点ABまでの時間とした。
Figure 2007168252
次に、顔料インクC1と、反応液S1を1対1の割合で混合、攪拌したのち、顔料インクの凝集物を除く上澄み液を取り出し、濡れ時間Tw2(msec)をブリストー法により測定した。反応液S2からS3についても同様の方法で塗れ時間Tw2(msec)を測定した。測定方法は上述の方法と同様の方法を用いた。結果を表4に示す。
Figure 2007168252
実施例1〜7
普通紙であるPB用紙(キヤノン製)に反応液S1を付与した後、顔料インクC1を付与し、さらに顔料インクM1を付与して、1辺が1cmのブルーの正方形画像を100%デューティーのいわゆるベタ画像として記録した。この際、反応液を付与してから顔料インクC1を付与するまでの時間差Td1と、顔料インクC1を付与してから顔料インクM1を付与するまでの時間差Td2を、表5に示す時間差となるように記録ヘッドの駆動を制御した。
上記インクおよび反応液の付与は、記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置による記録動作によって行った。用いた記録ヘッドは1200dpiの密度でノズルを配列したものであり、この記録ヘッドを駆動周波数20kHzで駆動した。また、吐出されるインク滴および反応液滴の1滴当たりの体積は、それぞれ4plである。また、上記の記録の際の環境条件は、25℃、55%RHである。なお、上記のベタ画像を作成する際の顔料インクと反応液の付与量は同一となるようにした。
図2は、本実施例で用いた記録装置の概略構成を説明するための斜視図である。本例の記録装置50はシリアルスキャン方式の記録装置であり、ガイド軸51,52によって、キャリッジ53が矢印Aの主走査方向に移動自在にガイドされている。キャリッジ53は、キャリッジモータおよびその駆動力を伝達するベルト等の駆動力伝達機構により、主走査方向に往復動される。
キャリッジ53には、記録ヘッド10(図2においては不図示)と、その記録ヘッド10にインクを供給するインクタンク54が搭載される。記録ヘッド10とインクタンク54は、インクジェットカートリッジを構成するものであってもよい。記録ヘッド10は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよび反応液それぞれについて上述したように1200dpiの密度で複数のノズルを配列いたものである。また、インクタンク54は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックおよび反応液を貯留するそれぞれのインクタンクからなるものである。
記録媒体としての上述の用紙Pは、装置の前端部に設けられた挿入口55から挿入された後、その搬送方向が反転されてから、送りローラ56によって矢印Bの副走査方向に搬送される。記録装置50は、記録ヘッド10を主走査方向に移動させつつ、プラテン57上の用紙Pのプリント領域に向かってインクを吐出させる記録動作を行う。また、この走査の間に記録ヘッドの記録幅に対応する距離だけ用紙Pを副走査方向に搬送する搬送動作を行う。これらを繰り返すことによって、用紙P上に順次画像を記録する。
キャリッジ53の移動領域における図2中の左端には、キャリッジ53に搭載された記録ヘッド10の吐出口15の形成面と対向する回復系ユニット(回復処理手段)58が設けられている。回復系ユニット58には、記録ヘッド10の吐出口15のキャッピングが可能なキャップと、そのキャップ内に負圧を導入可能な吸引ポンプなどが備えられている。これにより、吐出口15を覆ったキャップ内に負圧を導入することにより、吐出口15からインクを吸引排出させて、記録ヘッド10の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吸引回復処理」ともいう)をする。また、キャップ内に向かって、吐出口15から画像の寄与しないインクを吐出させることによって、記録ヘッド10の良好なインク吐出状態を維持すべく回復処理(「吐出回復処理」ともいう)をすることもできる。
図3は、本発明を適用可能な記録装置の制御系の概略ブロック構成図である。図3において、CPU100は、本記録装置の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM101は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM102は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。記録ヘッド10からのインクの吐出は、CPU100が発熱素子19の駆動データ(画像データ)および駆動制御信号(ヒートパルス信号)をヘッドドライバ10Aに供給することにより行われる。CPU100は、キャリッジ53を主走査方向に駆動するためのキャリッジモータ103をモータドライバ103Aを介して制御し、また用紙Pを副走査方向に搬送するためのP.Fモータ104をモータドライバ104Aを介して制御する。
CPU100によって実行される処理には、上述した1cm角の正方形画像の記録を始めとして入力する記録データに基づいて、記録ヘッドにおける対応するノズルについて吐出間隔Td1、Td2で駆動するための処理が含まれることはもちろんである。
比較例1〜4
実施例1〜7と同様な手法で記録物を作成した。ここで、反応液を付与してから顔料インクC1を付与するまでの時間差Td1と、顔料インクC1を付与してから顔料インクM1を付与するまでの時間差Td2を、それぞれ表5に示す時間差となるように記録ヘッドの駆動を制御した。
次に、実施例1〜7および比較例1〜4で作成した記録物を下記の評価方法および評価基準で評価した。
1.画像濃度
実施例1〜8、比較例1〜11で作成したベタ画像について、反射濃度計を用いて反射濃度を測定した。その結果を表5に示す。
評価基準は以下の通りである。
◎:反射濃度が1.0以上。
○:反射濃度が0.85以上1.0未満。
×:反射濃度が0.85未満。
2.裏抜け
画像濃度と同様にして裏抜けの評価を行った。すなわち、記録媒体の記録部の裏面側の反射濃度を測定した。その結果を表5に示す。
評価基準は以下の通りである。
◎:反射濃度が、0.2未満。
○:反射濃度が、0.2以上0.4未満。
△:反射濃度が、0.4以上0.6未満。
×:反射濃度が、0.6以上。
Figure 2007168252
実施例8
普通紙であるPB用紙(キヤノン製)に反応液S1を付与した後、反応液を付与してから顔料インクを付与するまでの時間差Td1が5mmsecとなるように顔料インクC1を付与した。そして、顔料インクC1を付与してからそれぞれ顔料インクM1、Y1を付与するまでの時間差Td2が、それぞれ5mmsecおよび10mmsecとなるように顔料インクM1、Y1を付与して1辺が1cmの正方形画像をいわゆるベタ画像として記録した。
用いた記録ヘッドは、1200dpiのノズル配列密度を有し、その駆動条件は駆動周波数15kHzとした。また、インクおよび反応液それぞれの吐出液滴1滴の体積はそれぞれ4plである。また、記録の際の環境条件は、25℃、55%RHである。
記録された記録物は、ブリーディングがなく色間の滲みは観察されなかった。そして、記録してから約5秒経過後に別の紙のエッジ部で記録部を擦ったところ、記録画像に摺りあとが残ることはなかった。
以上説明したように、反応液が付与されてから第一の顔料インクが付与されるまでの時間をTd1、反応液の塗れ時間をTw1、反応液に対して第一の顔料インクが付与されてから、第二の顔料インクが付与されるまでの時間をTd2、反応液と第一の顔料インクの混合物の濡れ時間をTw2としたとき、
Td1<Tw1
Td2<Tw2
である記録条件によって、特に、二次色の画像を作成する際の、ブリーディングを防止し、定着性、発色性が向上させることができる。
(他の実施形態)
上述した実施形態および実施例では、顔料インクと顔料を凝集させる反応液を用いた場合の濡れ時間と吐出時間差の関係について説明したが、本発明の適用はこの例に限られない。例えば、染料を色剤として用いたインクと染料を不溶化する反応液を用いた場合についても、同様に濡れ時間と吐出時間差とのm上述した関係を満たすことにより、ブリーディングを防止できるとともに、発色性が向上し、裏抜けのない記録を行うことができる。
ブリストー法における吸収曲線を説明する図である。 本発明の一実施例に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。 図2に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
符号の説明
10 記録ヘッド
100 CPU

Claims (2)

  1. 複数種類のインクと該複数種類のインクそれぞれの色剤を凝集または不溶化する反応液を記録媒体に付与して記録を行うインクジェット記録方法であって、
    前記記録媒体に前記反応液を付与する第一の付与行程と、
    前記第一の付与行程において前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に、第一のインクを付与する第二の付与行程と、
    前記第二の付与行程において前記第一のインクが付与された領域の少なくとも一部に、前記第一のインクとは異なる種類の第二の顔料インクを付与する第三の付与行程とを有し、
    前記反応液の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw1と、前記反応液を付与してから前記第一のインクを付与するまでの時間Td1が、
    Td1<Tw1
    の関係を満たし、且つ、
    前記第一のインクと前記反応液の混合物の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、前記第一のインクを付与してから前記第二のインクを付与するまでの時間Td2が、
    Td2<Tw2
    の関係を満たすことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 複数種類のインクと該複数種類のインクそれぞれの色剤を凝集または不溶化する反応液を記録媒体に付与して記録を行うインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体に前記反応液を付与する第一の付与行程と、
    前記第一の付与行程において前記反応液が付与された領域の少なくとも一部に、第一のインクを付与する第二の付与行程と、
    前記第二の付与行程において前記第一のインクが付与された領域の少なくとも一部に、前記第一のインクとは異なる種類の第二の顔料インクを付与する第三の付与行程と、
    を制御する制御手段を有し、
    前記制御手段は、前記反応液の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw1と、前記反応液を付与してから前記第一のインクを付与するまでの時間Td1が、
    Td1<Tw1
    の関係を満たし、且つ、
    前記第一のインクと前記反応液の混合物の前記記録媒体に対する濡れ時間Tw2と、前記第一のインクを付与してから前記第二のインクを付与するまでの時間Td2が、
    Td2<Tw2
    の関係を満たすようにそれぞれの前記工程を制御することを特徴とするインクジェット記録方法。
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