JP2007168057A - 磁気ディスク基板の製造方法 - Google Patents

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【課題】実用的な研磨速度を実現し、かつ、酸化アルミニウム粒子の基板への突き刺さりを低減し得る磁気ディスク基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】平均二次粒子径(DAl)が0.1〜0.7μmの酸化アルミニウム粒子及び酸を含有する研磨液組成物Aを用いて基板を研磨する粗研磨工程、並びにコロイダル粒子を含有する研磨液組成物Bを用いて粗研磨工程で得られた基板を研磨する仕上げ研磨工程を有してなる磁気ディスク基板の製造方法であって、粗研磨工程の研磨荷重Pが下記(1)式を満足し、かつ仕上げ研磨工程の研磨量Rが下記(2)式を満足する、磁気ディスク基板の製造方法。
74−(40×DAl)≦ P ≦138−(80×DAl) (1)
{P×(DAl)+10}×0.01 ≦ R ≦0.5 (2)
[ここで、DAl、P、及びRはそれぞれ、μm、g/cm、及びμm単位で表される。]
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年のメモリーハードディスクドライブには、高容量・小径化が求められ、記録密度を上げるために磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることが求められている。それに伴い、磁気ディスク基板の製造工程においても研磨後に要求される表面品質は年々厳しくなってきており、ヘッドの低浮上化に対応して、表面粗さ、微小うねりの低減等が求められてきている。
そして、最近では、より平滑で、傷が少ないといった表面品質向上と生産性向上の両立の観点から、2段階以上の研磨工程を有する多段研磨方式が採用されるようになってきた(特許文献1)。
多段研磨方式では、最終研磨工程、即ち、仕上げ研磨工程で、コロイダル粒子等を使用した仕上げ用研磨液組成物で研磨することにより、基板の表面粗さ及び傷を低減し得る。一方、仕上げ研磨工程前の研磨工程、即ち、粗研磨工程においては、酸化アルミニウム粒子等の比較的粒子径の大きな研磨粒子を用いることにより、実用的な研磨速度を実現し得る。
特開2005−63530号公報
しかしながら、酸化アルミニウム粒子を研磨粒子として使用した場合、基板へ研磨粒子が突き刺さりやすく、この突き刺さりが基板の表面品質向上の妨げとなり得ることが明らかとなった。具体的には、この研磨粒子の突き刺さりは、仕上げ研磨工程でも除去されずに残留した場合、テキスチャースクラッチとしてメディアでの欠陥を引き起こし得ること、さらに、この突き刺さりが強い場合、仕上げ研磨工程で除去されたとしても磁気特性の低下、即ち、シグナルノイズ比(SNR)の低下を引き起こし得ることが明らかとなった。また、テキスチャー処理を施さない垂直記録用の基板においても、前記砥粒の突き刺さりは、記録エラー、磁気特性の低下、SNRの低下等の原因となることがわかった。
従って、本発明の目的は、実用的な研磨速度を実現し、かつ、酸化アルミニウム粒子の基板への突き刺さりを低減し得る磁気ディスク基板の製造方法を提供することである。
即ち、本発明の要旨は、
[1] 平均二次粒子径(DAl)が0.1〜0.7μmの酸化アルミニウム粒子及び酸を含有する研磨液組成物Aを用いて基板を研磨する粗研磨工程、並びにコロイダル粒子を含有する研磨液組成物Bを用いて粗研磨工程で得られた基板を研磨する仕上げ研磨工程を有してなる磁気ディスク基板の製造方法であって、粗研磨工程の研磨荷重Pが下記(1)式を満足し、かつ仕上げ研磨工程の研磨量Rが下記(2)式を満足する、磁気ディスク基板の製造方法
74−(40×DAl)≦ P ≦138−(80×DAl) (1)
{P×(DAl)+10}×0.01 ≦ R ≦0.5 (2)
[ここで、DAl、P、及びRはそれぞれ、μm、g/cm、及びμm単位で表される。]
に関する。
本発明より、テキスチャー不良又はヘッドクラッシュの原因となり得る酸化アルミニウム粒子の突き刺さりが低減された基板を実用的な研磨速度で得ることができることから、メディア製造工程における生産性及び収率の向上、並びに磁気ヘッドの浮上量の低減という効果を奏し得る。
本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、平均二次粒子径(DAl)が0.1〜0.7μmの酸化アルミニウム粒子及び酸を含有する研磨液組成物Aを用いて基板を研磨する粗研磨工程、並びにコロイダル粒子を含有する研磨液組成物Bを用いて粗研磨工程で得られた基板を研磨する仕上げ研磨工程を有してなる磁気ディスク基板の製造方法であって、粗研磨工程の研磨荷重Pが下記(1)式を満足し、かつ仕上げ研磨工程の研磨量Rが下記(2)式を満足することを1つの特徴とする。
74−(40×DAl)≦ P ≦138−(80×DAl) (1)
{P×(DAl)+10}×0.01 ≦ R ≦0.5 (2)
[ここで、DAl、P、及びRはそれぞれ、μm、g/cm、及びμm単位で表される。]
本発明の磁気ディスク基板の製造方法が、かかる特徴を有することにより、テキスチャー不良又はヘッドクラッシュの原因となり得る酸化アルミニウム粒子の突き刺さりが低減された基板を実用的な研磨速度で得ることができるという効果が奏される。
1.研磨液組成物A
<酸化アルミニウム粒子>
本発明の粗研磨工程に用いられる研磨液組成物Aは、研磨材として酸化アルミニウム(以下、「アルミナ」と称することがある)粒子を含有する。本発明に用いられる酸化アルミニウム粒子としては、突き刺さり低減の観点、うねり低減、表面粗さ低減、研磨速度向上及び表面欠陥防止の観点から、アルミナとしての純度が95%以上のアルミナが好ましく、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上のアルミナである。また、研磨速度向上の観点からは、α−アルミナ粒子が好ましく、表面性状及びうねり低減の観点からは、中間アルミナ、アモルファスアルミナが好ましい。中間アルミナとは、α−アルミナ粒子以外の結晶性アルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、η−アルミナ、κ−アルミナ、これらの混合物等が挙げられる。その中間アルミナの中でも、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ及びこれらの混合物が好ましく、より好ましくはγ−アルミナ及びθ−アルミナである。研磨速度向上及びうねり低減の観点から、α−アルミナと中間アルミナ及び/又はアモルファスアルミナと混合して使用することが好ましく、α−アルミナとθ−アルミナを混合することが中でも好ましい。また、酸化アルミニウム粒子中のα−アルミナ粒子の含有量は、研磨速度向上、うねり低減の観点から、20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。本発明における酸化アルミナ粒子中のα−アルミナ粒子の割合は、WA−1000(昭和電工(株)製)の104面ピーク面積を100%として、X線回折におけるα−アルミナピーク面積を算出することにより求める。
酸化アルミニウム粒子の平均二次粒子径は、突き刺さり低減の観点、並びにうねり低減及び粗さ低減の観点から、0.7μm以下であり、好ましくは0.6μm以下、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.45μm以下、さらにより好ましくは0.4μm以下である。また、該平均二次粒子径は、研磨速度向上の観点から、0.1μm以上であり、好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上である。即ち、研磨液組成物Aに使用される酸化アルミニウム粒子の平均二次粒子径は、0.1〜0.7μmであり、好ましくは0.1〜0.6μmであり、より好ましくは0.1〜0.5μmであり、さらに好ましくは0.15〜0.45μmであり、さらにより好ましくは0.2〜0.4μmである。中でも、α−アルミナ粒子の平均二次粒子径としては、突き刺さり低減の観点、うねり低減及び表面粗さ低減の観点、並びに研磨速度向上の観点から、0.1〜0.7μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましく、0.1〜0.4μmがさらに好ましく、0.1〜0.3μmがさらにより好ましく、0.15〜0.3μmがさらにより好ましく、0.15〜0.25μmがさらにより好ましい。
酸化アルミニウム粒子の平均二次粒子径はレーザー光回折法を用いて体積平均粒径として測定することができる。具体的には、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置 LA920(堀場製作所製)、レーザー回折・散乱式の粒度分析計 マイクロトラックHRA(日機装社製)、レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2100(島津製作所製)等の測定装置を用いて測定することができる。
酸化アルミニウム粒子の一次粒子の平均粒子径は、突き刺さり低減の観点、及びうねり低減の観点から、0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.4μmがより好ましく、0.03〜0.3μmがさらに好ましく、0.05〜0.2μmがさらにより好ましい。中でも、α−アルミナ粒子の一次粒子の平均粒子径としては、研磨速度向上、うねり低減及び研磨粒子突き刺さり低減の観点から、0.05〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.4μmがより好ましく、0.05〜0.3μmがさらに好ましく、0.07〜0.2μmがさらにより好ましい。
酸化アルミニウム粒子の一次粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡で観察(好適には3000〜30000倍)又は透過型電子顕微鏡で観察(好適には10000〜300000倍)して画像解析を行い、粒径を測定することにより求めることができる。
α−アルミナ粒子のBET法にて測定された比表面積は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、0.1〜50m/gが好ましく、より好ましくは1〜40m/g、さらに好ましくは2〜20m/gである。また、中間アルミナ又はアモルファスアルミナのBET法にて測定された比表面積は、好ましくは30〜300m/g、より好ましくは50〜200m/gである。
本発明において、研磨液組成物A中の酸化アルミニウム粒子全体に占める粒径が1μm以上の粒子の含有量は、アルミナの突き刺さり低減の観点から、0.5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下、さらにより好ましくは0.15重量%以下、さらにより好ましくは0.1重量%以下、さらにより好ましくは0.05重量%以下である。なお、前記「粒径が1μm以上の粒子」は、一次粒子のみならず、一次粒子が凝集した二次粒子をも含むものとする。
研磨液組成物中の前記「粒径が1μm以上の粒子」の含有量の測定には、個数カウント方式(Sizing Particle Optical Sensing法)が使用できる。例えば、米国パーティクルサイジングシステムズ(Particle Sizing Systems)社製「アキュサイザー(Accusizer)780」又はコールター(Coulter)社製「コールターカウンター」によって粒子径を測定することにより、該含有量を求めることができる。
粒径が1μm以上の粒子の含有量を制御する方法に限定はないが、研磨液組成物の製造の際あるいは製造後に、一般的な分散あるいは粒子除去方法を用いることができる。例えば、特定の二次粒子の平均粒子径にするために、湿式の循環式ビーズミルにより均一に解砕した酸化アルミニウム粒子スラリーを、静置沈殿や遠心分離装置等による沈降法、又は濾過材による精密濾過等により粗大粒子を除去する方法によって制御することができる。粗大粒子の除去方法については、それぞれ単独の方法でも2種以上の方法を組み合わせも良く、組み合わせの処理順序についても何ら制限はない。また、その処理条件や処理回数についても、適宜選択して使用することができる。
研磨液組成物A中における酸化アルミニウム粒子の含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、さらにより好ましくは1重量%以上である。また、該含有量は、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下である。即ち、研磨液組成物A中の酸化アルミニウム粒子の含有量は、好ましくは0.05〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.5〜15重量%、さらにより好ましくは1〜10重量%である。
<酸>
研磨液組成物Aは、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、さらに酸を含有する。
研磨液組成物Aに用いられる酸は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、そのpK1が好ましくは7以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらにより好ましくは2以下である。ここでpK1とは酸解離定数(25℃)の逆数の対数値をpKaと表したとき、その内の第1酸解離定数の逆数の対数値である。各化合物のpK1は例えば化学便覧改訂4版(基礎編)II、pp316 〜325 (日本化学会編)等に記載されている。
研磨液組成物Aに用いられる酸の具体例を以下に示す。無機酸としては硝酸、塩酸、過塩素酸、アミド硫酸等の一価の鉱酸類と、硫酸、亜硫酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等の多価鉱酸類が挙げられる。また、有機酸としてはギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、プロパン酸、ヒドロキシプロパン酸、酪酸、安息香酸、グリシン等のモノカルボン酸類、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の多価カルボン酸類、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類、エチルリン酸、ブチルリン酸等のアルキルリン酸類、ホスホノヒドロキシ酢酸、ヒドロキリエチリデンジホスホン酸、ホスホノブタントリカルボン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のホスホン酸類等が挙げられる。これらの内、研磨速度向上、及びうねり低減の観点から、多価酸が好ましく、より好ましくは多価鉱酸、多価有機カルボン酸及び多価有機ホスホン酸、さらに好ましくは多価鉱酸及び多価有機カルボン酸である。ここで多価酸とは分子内に2つ以上の、水素イオンを発生させ得る水素を持つ酸をあらわす。また、被研磨物の表面汚れ防止の観点からは、硝酸、硫酸、スルホン酸及びカルボン酸が好ましい。
前記酸は単独で用いても良いが、2種以上を混合することが好ましい。特にNi-Pメッキ基板のような金属表面を研磨する場合で、研磨中に被研磨物の金属イオンが溶出して研磨液組成物のpHが上昇し、高い研磨速度が得られないとき、pH変化を小さくするためにpK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸の組み合わせが好ましく、pK1が1.5以下の酸とpK1が2.5以上の酸の組み合わせがさらに好ましい。このような2種以上の酸を含有する場合、研磨速度向上及びうねり低減、かつ入手性を考慮すると、pK1が2.5未満の酸としては硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸や有機ホスホンを用いることが好ましい。一方、pK1が2.5以上の酸としては、同様な観点から、酢酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イタコン酸等の有機カルボン酸が好ましく、中でも、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イタコン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。また、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、pK1が2.5以上の有機カルボン酸を使用する場合は、オキシカルボン酸と2価以上の多価カルボン酸とを組み合わせて使用することがより好ましい。例えば、オキシカルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられ、多価カルボン酸としては、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。従って、これらをそれぞれ1種以上組み合わせて使用することが好ましく、中でも、クエン酸と多価カルボン酸を組み合わせることが好ましい。
研磨液組成物A中における前記酸の含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、好ましくは0.002重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.007重量%以上、さらにより好ましくは0.01重量%以上である。また、該含有量は、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下である。即ち、研磨液組成物A中の酸の含有量は、好ましくは0.002〜20重量%、より好ましくは0.005〜15重量%、さらに好ましくは0.007〜10重量%、さらにより好ましくは0.01〜5重量%である。研磨速度向上の観点から、pK1が2.5未満の酸とpK1が2.5以上の酸の重量比〔(pK1が2.5未満の酸)/(pK1が2.5以上の酸)〕は、9/1〜1/9が好ましく、7/1〜1/7がより好ましく、5/1〜1/5がさらに好ましい。
<酸化剤>
研磨液組成物Aは、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、酸化剤を含有することが好ましい。研磨の機構については不明であるが、酸化剤が被研磨物に作用することにより、アルミナの研磨効力が十分に発揮される状態に変化していると推測される。研磨液組成物Aで使用され得る酸化剤としては過酸化物、金属のペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、硝酸塩、硫酸塩、酸の金属塩等が挙げられる。酸化剤にはその構造から無機酸化剤と有機酸化剤に大別される。それら酸化剤の具体例を以下に示す。無機酸化剤としては、過酸化水素、更には過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムの様なアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の過酸化物類、ペルオキソ炭酸ナトリウム、ペルオキソ炭酸カリウム等のペルオキソ炭酸塩類、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ一硫酸等のペルオキソ硫酸又はその塩類、ペルオキソ硝酸、ペルオキソ硝酸ナトリウム、ペルオキソ硝酸カリウム等のペルオキソ硝酸又はその塩類、ペルオキソリン酸ナトリウム、ペルオキソリン酸カリウム、ペルオキソリン酸アンモニウム等のペルオキソリン酸又はその塩類、ペルオキソホウ酸ナトリウム、ペルオキソホウ酸カリウム等のペルオキソホウ酸塩類、ペルオキソクロム酸カリウム、ペルオキソクロム酸ナトリウム等のペルオキソクロム酸塩類、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩類、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、過沃素酸ナトリウム、過沃素酸カリウム、沃素酸、沃素酸ナトリウム等のハロゲン酸又はその誘導体類、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)等の無機酸金属塩が用いることができる。有機酸化剤としては、過酢酸、過ギ酸、過安息香酸等の過カルボン酸類、t−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイド等のパーオキサイド類、クエン酸鉄(III)を用いることができる。これらの内、研磨速度向上性や入手性、水溶性等の取り扱い性を比較した場合、無機酸化剤の方が好ましい。さらに、環境問題の点を考慮すると重金属を含まない無機過酸化物が好ましい。また、被研磨基板の表面汚れ防止の観点からは、より好ましくは、過酸化水素、ペルオキソ硫酸塩類、ハロゲン酸又はその誘導体であり、さらに好ましくは過酸化水素である。また、これらの過酸化物は1種でもよいが、2種以上を混合して用いても良い。
研磨液組成物A中における酸化剤の含有量は、研磨速度向上及びうねり低減の観点から、好ましくは0.002重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.007重量%以上、さらにより好ましくは0.01重量%以上である。また、該含有量は、表面品質及び経済性の観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、さらにより好ましくは5重量%以下である。即ち、研磨液組成物A中の酸化剤の含有量は、好ましくは0.002〜20重量%、より好ましくは0.005〜15重量%、さらに好ましくは0.007〜10重量%、さらにより好ましくは0.01〜5重量%である。
<水>
研磨液組成物A中の水は、媒体として使用されるものであり、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。その含有量は、被研磨物を効率良く研磨する観点から、好ましくは55〜99重量%、より好ましくは60〜97重量%、さらに好ましくは70〜95重量%である。
<他の成分>
また、研磨液組成物Aには、研磨速度向上又はうねり低減、その他の目的に応じて、さらに他の成分を配合することができる。かかる他の成分としては、例えば、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、コロイダル酸化チタン等金属酸化物砥粒、無機塩、増粘剤、防錆剤、塩基性物質等が挙げられる。無機塩の例としては硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。無機塩は、研磨速度の向上、ロールオフの改良、研磨液組成物のケーキング防止等の目的で使用され得る。前記他の成分は単独で用いても良いし、2種類以上混合して用いても良い。また、その含有量は、経済性の観点から、研磨液組成物A中、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
さらに、他の成分として必要に応じて殺菌剤や抗菌剤等を配合することができる。これらの殺菌剤、抗菌剤の含有量は、機能を発揮する観点、並びに研磨性能への影響及び経済面の観点から、研磨液組成物A中、0.0001〜0.1重量%、より好ましくは0.001〜0.05重量%、さらに好ましくは0.002〜0.02重量%である。
尚、研磨液組成物A中の各成分濃度は、研磨する際の好ましい濃度であるが、該組成物の製造時の濃度であって良い。通常、研磨液組成物は濃縮液として製造され、これを使用前あるいは使用時に希釈して用いる場合が多い。
また、研磨液組成物Aは、目的成分を任意の方法で添加、混合して製造することができる。
研磨液組成物AのpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物AのpHは、研磨速度向上及びうねり低減の観点、並びに加工機械の腐食防止性及び作業者の安全性の観点から、7未満が好ましく、0.1〜6がより好ましく、0.5〜5がさらに好ましく、1〜4がさらにより好ましく、1〜3がさらにより好ましい。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸やアミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びその金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミン等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
2.粗研磨工程
<研磨方法>
粗研磨工程においては、多孔質の有機高分子系の研磨布等を貼り付けた研磨盤で被研磨基板を挟み込み、研磨液組成物Aを研磨面に供給し、圧力を加えながら研磨盤や被研磨基板を動かす研磨方法を用いることにより、基板を研磨することができる。
<研磨荷重P>
本発明において、磁気ディスク基板は粗研磨工程及び該粗研磨工程で得られた基板をさらに研磨する仕上げ研磨工程を経て製造される。研磨荷重Pは、該粗研磨工程における研磨荷重のことであり、下限は生産性の観点から、上限はアルミナ突き刺さり低減の観点から、酸化アルミニウム粒子の平均二次粒子径(DAl)が0.1〜0.7μmの範囲において、以下の式(1):
74-(40×DAl)≦ P ≦138-(80×DAl) (1)
を満たし、以下の式(3):
74-(40×DAl)≦ P ≦128-(80×DAl) (3)
を満たすことが好ましく、以下の式(4):
74-(40×DAl)≦ P ≦125-(80×DAl) (4)
を満たすことがより好ましい。
[ここで、DAl及びPはそれぞれ、μm及びg/cm単位で表される。]
研磨荷重Pと酸化アルミニウム粒子の平均二次粒子径との関係が前記式を満たすことにより、高い研磨速度と研磨粒子の突き刺さり低減を両立し得る。研磨速度と研磨粒子の突き刺さりには、個々の酸化アルミニウム粒子にかかる荷重が関係すると考えられる。また、研磨粒子の突き刺さりは、前記荷重だけではなく、酸化アルミニウム粒子の粒径にも依存すると予測されることから、定性的には、DAlが大きい程、突き刺さり抑制の観点から許される研磨荷重は小さいと考えられる。以上のような考察及び得られた実験結果に基づき、研磨荷重が前記式を満たすとき、経済的な研磨速度を保ったまま、研磨粒子の突き刺さりが抑制できることが導き出された。
<その他の研磨条件>
粗研磨により除かれる基板の厚さ、即ち、粗研磨工程における研磨量としては、生産性を維持しつつ、うねりを低減し、めっき欠陥等を除去する観点から、基板片面について1〜3μmが好ましく、1〜2μmがより好ましい。その他の研磨条件(研磨機の種類、研磨温度、研磨速度、研磨液組成物Aの供給量等)については特に限定はない。
<基板>
本発明において研磨される基板は、磁気記録用媒体の基板として使用される磁気ディスク基板である。磁気ディスク基板の具体例としては、アルミニウム合金にNi−P合金をメッキした基板が代表的であるが、アルミニウム合金の代わりにガラスやガラス状カーボンを使用し、これにNi−Pメッキを施した基板、あるいはNi−Pメッキの代わりに、各種金属化合物をメッキや蒸着により被覆した基板を挙げることができる。
3.研磨液組成物B
<コロイダル粒子>
研磨液組成物Bに含有されるコロイダル粒子としては、金属酸化物のコロイド状粒子が挙げられ、例えば、コロイダルシリカ粒子、コロイダルセリア粒子、コロイダルアルミナ粒子等が挙げられ、コロイダルシリカ粒子がより適している。コロイダルシリカ粒子は、例えば珪酸水溶液から生成させる製法によって得ることができる。また、これらコロイダル粒子を官能基で表面修飾あるいは表面改質したもの、界面活性剤や他の研磨材で複合粒子化したもの等も用いることができる。
コロイダル粒子の一次粒子の平均粒子径は、スクラッチを低減する観点及び表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra、Peak to Valley値:Rmax)を低減する観点から、1〜50nmが好ましい。同時に研磨速度を向上させる観点から、より好ましくは3〜50nm、さらに好ましくは5〜40nm、さらに好ましくは5〜30nmである。
コロイダル粒子の一次粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)での観察画像から求めることができる。
使用時における研磨液組成物中のコロイダル粒子の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、また、経済的に表面品質を向上させる観点から、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは13重量%以下、さらにより好ましくは10重量%以下である。従って、研磨速度を向上させ、且つ経済的に表面品質を向上させる観点から該含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜13重量%、さらにより好ましくは5〜10重量%である。コロイダル粒子の該含有量は、研磨液組成物製造時における含有量あるいは使用時における含有量のいずれであってもよく、通常、濃縮液として製造され、これを使用時に希釈して用いる場合が多い。
コロイダル粒子中における粒子径5〜100nmのコロイダル粒子の含有量は、マイクロピット、表面粗さ、及びスクラッチ低減の観点から、50体積%以上が好ましく、55体積%以上がより好ましい。また、粒子径5〜100nmのコロイダル粒子中、粒子径が5nm以上40nm未満の小粒径コロイダル粒子は、下限はアルミナ突き刺さり除去性及びマイクロピット低減の観点から、上限は研磨時の研磨機の振動及びキャリア鳴き抑制の観点から、10〜70体積%であることが好ましく、15〜65体積%がより好ましく、20〜60体積%がさらに好ましい。なお、前記「粒子径5〜100nmのコロイダル粒子」は、一次粒子のみならず、一次粒子が凝集した二次粒子をも含むものとする。
前記コロイダル粒子の粒子径及び粒径分布は、以下の方法により求めることができる。即ち、コロイダル粒子を日本電子製透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(80kV、1〜5万倍)で観察した写真をパソコンにスキャナで取込み、解析ソフト「WinROOF」(販売元、三谷商事)を用いて1個1個のコロイダル粒子の円相当径を求め、直径とし、1000個以上のコロイダル粒子データを解析した後、それをもとに表計算ソフト「EXCEL」(マイクロソフト社製)にて粒子直径から粒子体積に換算した。次に、全粒子中に占める5nm以上100nm以下の粒子の割合(体積基準%)を計算し、さらに5nm以上100nm以下の粒子の集合全体に占める5nm以上40nm未満の領域の割合(体積基準%)を求めた。
<水>
研磨液組成物Bに使用される水としては、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。水の含有量は、100重量%からコロイダル粒子及び他の成分を除いた残部に相当し、60〜99重量%が好ましく、80〜97重量%がより好ましい。
研磨液組成物BのpHは、好ましくは0.1〜7である。酸性においては、アルカリ性に比べて、スクラッチの発生が顕著に抑制される。スクラッチの発生機構は明らかではないが、研磨粒子同士が表面電荷によって強く反発し合うアルカリ性雰囲気下では、研磨液組成物中に含有される研磨一次粒子の凝集物あるいは粗大研磨一次粒子が研磨部において密な充填ができずに、研磨圧力下で局部荷重を受けやすくなるためと推定している。pHは、被研磨物の種類や要求特性に応じて決定することが好ましく、被研磨物の材質が金属材料では、研磨速度を向上させる観点から、pHは、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。また、人体への影響や研磨装置の腐食防止の観点から、pHは、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、さらに好ましくは1.4以上である。特に、ニッケル−リン(Ni−P)メッキされたアルミニウム合金基板のように被研磨物の材質が金属材料の精密部品用基板においては、前記観点を考慮してpHは、0.5〜6が好ましく、より好ましくは1.0〜5、さらに好ましくは1.4〜4である。
pHは、以下の酸や塩によって調整することができる。具体的には、硝酸、硫酸、亜硝酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸又はそれらの塩、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸又はそれらの塩、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸又はそれらの塩、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸又はそれらの塩、などが挙げられる。中でもスクラッチを低減する観点から、無機酸又は有機ホスホン酸及びそれらの塩が好ましい。
また、無機酸又はそれらの塩の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸又はそれらの塩がより好ましく、有機ホスホン酸又はそれらの塩の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はそれらの塩がより好ましい。これらの酸又はそれらの塩は、単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの塩の対イオン(陽イオン)としては、特に限定はなく、具体的には、金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンとの塩が挙げられる。金属の具体的な例としては、周期律表(長周期型)の1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。スクラッチを低減する観点から、アンモニウムイオン又は1A族に属する金属イオンが好ましい。
<他の成分>
また、研磨液組成物Bには、必要に応じて他の成分を配合することができる。例えば、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。また、被研磨物の材質により一概に限定は出来ないが、一般に金属材料では研磨速度を向上させる観点から、酸化剤を添加することができる。酸化剤としては、過酸化水素、過マンガン酸、クロム酸、硝酸、ペルオキソ酸、酸素酸又はこれらの塩及び酸化性金属塩などが挙げられる。前記の他の成分の含有量としては、研磨液組成物B中、0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。
前記のような構成を有する研磨液組成物Bは、前記各成分を公知の方法で混合することにより、調製することができる。
4.仕上げ研磨工程
<研磨方法>
前記の研磨液組成物Bを用いる仕上げ研磨工程においては、粗研磨工程と同様の研磨方法により、粗研磨工程で得られた基板を研磨することができる。
<研磨量R>
仕上げ研磨工程での研磨量R(μm)は、下限はアルミナ突き刺さり除去の観点から、上限は生産性及び経済性の観点から、以下の式(2):
{P×(DAl)2+10}×0.01 ≦ R ≦ 0.5 (2)
を満足し、さらに、加工応力層除去の観点から、以下の式(5):
{P×(DAl)2+10}×0.013 ≦ R ≦ 0.5 (5)
を満足することが好ましく、以下の式(6):
{P×(DAl)2+10}×0.015 ≦ R ≦ 0.5 (6)
を満足することがより好ましい。
なお、加工応力層とは、研磨によって基板表面から深さ方向に生成する圧縮加工応力を有する層のことをいう。研磨後の基板に該加工応力層が残存すると、磁気ディスク基板の製造工程において、テキスチャーが不均一になったり、スパッタリング等の熱的処理によって該応力が開放されることにより、基板の表面平滑性が悪化する場合があるため、磁気ディスクの性能及び生産性が低下する恐れがある。
仕上げ研磨量の下限は粗研磨工程の圧力とアルミナ粒子径の二乗の積の関数で規定されるが、その理由は詳しくは判っていない。アルミナ粒子を球状と仮定し、最密充填モデルを考えた場合、粗研磨工程において粒子1個にかかる力は、荷重と粒子径の二乗の積の関数で表される。一方、アルミナ粒子の突き刺さりは、粒子1個にかかる力に比例すると考えられる。従って、仕上げ研磨工程の除去量は、このアルミナ粒子の突き刺さりを仕上げ研磨によって除く必要があるため、上述の式のような関数で規定されると考えられる。仕上げ研磨量の上限は、生産効率の観点から、0.5μm以下である。
<研磨条件>
仕上げ研磨工程における研磨荷重としては、コロイダル粒子による加工応力層の除去、及び生産性(研磨速度)の観点から、20〜150g/cmが好ましく、40〜130g/cmがより好ましく、50〜120g/cmがさらに好ましい。研磨を行なう際の他の条件(研磨機の種類、研磨温度、定盤回転速度、研磨液組成物の供給量、研磨時間等)については、特に限定はない。
本発明の磁気ディスク基板の製造方法により、テキスチャー不良又はヘッドクラッシュの原因となり得る酸化アルミニウム粒子の突き刺さりが低減された基板が提供される。これにより、メディア製造工程における収率の向上及び磁気ヘッドの浮上量の低減という効果を奏し得る。
実施例1〜8、比較例1〜5
1.研磨液組成物Aの調製
以下の通りにして、研磨液組成物Aを調製した。
(1)表1に示す純度99.9%の酸化アルミニウム粒子を10重量%含有する酸化アルミニウムスラリー 50kgに硝酸を添加し、pH3に調整した。
(2)(1)で得られた酸化アルミニウムスラリーを直径40cm、高さ50cmの円柱容器に移した。
(3)容器内の酸化アルミニウムスラリーを均一になるよう攪拌した。
(4)撹拌後の酸化アルミニウムスラリーを3〜10時間静置した。
(5)静置後の酸化アルミニウムスラリーの下層部約5cmを残し、上層部をもう1つの同形状の容器に移した。
(6)上記操作(3)〜(5)をさらに2〜4回繰り返し、種々の粗大粒子を除去した酸化アルミニウムスラリーを得た。
(7)(6)で得られた酸化アルミニウムスラリーに表2記載の組成となるように種々の添加剤を加え、残分をイオン交換水として配合、攪拌した。
(8)(7)で得られたスラリーをヘイワードジャパン株式会社製、バックフィルター(型番:PE1−P03H−403)で濾過し、研磨液組成物を得た。
2.研磨液組成物Bの調製
コロイダル粒子としてコロイダルシリカスラリー(デュポン社製、1次粒子の平均粒子径0.02μm)をシリカ粒子濃度として7重量%、ソルーシアジャパン製HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸)を2重量%(有効分)、旭電化製過酸化水素0.6重量%(有効分)、残分はイオン交換水を添加、混合することにより、研磨液組成物Bを得た。
3.研磨方法
厚さ1.27 mm 、直径3.5 インチのNi-Pメッキされたアルミニウム合金からなる基板(「Zygo NewView5032」で短波長うねり3.8nm 、長波長うねり1.6nm )の表面を両面加工機により、以下の両面加工機の設定条件で粗研磨、仕上げ研磨の順に研磨し、磁気記録媒体用基板として用いられるNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨物を得た。なお、粗研磨及び仕上げ研磨の研磨量は研磨時間で調整した。
両面加工機の設定条件を下記に示す。
<研磨条件(粗研磨工程)>
・研磨試験機:スピードファム(株)製、9B型両面加工機
・研磨荷重:表中に記載
・研磨パッド:フジボウ(株)製 粗研磨用研磨パッド 平均気孔径45μm
・定盤回転数:50r/min
・研磨液組成物供給流量:100ml/min
・研磨時間:表2に記載 (研磨量1.6μmの所要時間)
・投入した基板の枚数:10枚
<研磨条件(仕上げ研磨工程)>
・研磨試験機:スピードファム(株)製、9B型両面加工機
・研磨パッド:フジボウ(株)製、ウレタン製仕上げ研磨用パッド 平均気孔径
20μm
・定盤回転数:32.5r/min
・研磨液組成物供給量:100mL/min
・研磨時間:表2に記載
・研磨荷重:80g/cm2
・投入した基板の枚数:10枚
4.評価方法
(i)研磨速度(粗研磨工程)
粗研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius 社製「BP-210S 」)を用いて測定し、各基板の重量変化を求め、10枚の平均値を減少量とし、それを研磨時間で割った値を研磨速度とした。比較例1の研磨速度を基準値100として各実験例の研磨速度の相対値(相対速度)を求めた。
研磨速度(mg/min) ={研磨前の重量(mg) −研磨後の重量(mg) }/研磨時間(min)
(ii)酸化アルミニウム粒子の平均二次粒子径の測定
以下の測定条件で平均二次粒子径を測定した。結果を表1及び2に示す。
・測定機器:堀場製作所製 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920
・循環強度:4
・超音波強度:4
(iii)粗大粒子量の測定
以下の測定条件で研磨液組成物A中の粗大粒子の含有量を測定した。結果を表2に示す。
・測定機器:PSS社製 「アキュサイザー780APS」
・Injection Loop Volume:1ml
・Flow Rate:60mL/min
・Data Collection Time:60sec
・Number Channels:128
(iv)研磨粒子突き刺さりの評価
下記の方法で仕上げ研磨後の基板表面を観察した。
<研磨量(仕上げ研磨工程)>
仕上げ研磨前後の各基板の重さを計り(Sartorius社製、「BP-210S」)を用いて測定し、下記式に代入することにより、研磨量を求めた。
重量減少量(g)={研磨前の重量(g)−研磨後の重量(g)}
研磨量(μm)=重量減少量(g)/基板片面面積(mm2)/2
/Ni-Pメッキ密度(g/cm3)×1000000
(基板片面面積は、6597mm、Ni-Pメッキ密度7.9g/cmとして算出)
<突き刺さり観察>
オリンパス光学製顕微鏡(本体BX60M、デジタルカメラDP70、対物レンズ20倍、中間レンズ2.5倍)を使用し、暗視野観察(視野550×420μm)にて、突き刺さった酸化アルミニウム粒子を輝点として検出し、その数を測定した。
上記観察は、基板裏表面を中心から30mm位置を90°ごとの各4点、計8点観察し、観察された輝点数の平均値を1mm当りの個数に換算し、研磨粒子の突き刺さり評価とした。結果を表2に示す。
Figure 2007168057
Figure 2007168057
表2から分かるとおり、本発明の製造方法は、基板への研磨粒子の突き刺さり低減と高い研磨速度との両立が可能である。
本発明の基板の製造方法より、高記録密度化に適した磁気ディスク基板が高い生産性で提供され得る。

Claims (3)

  1. 平均二次粒子径(DAl)が0.1〜0.7μmの酸化アルミニウム粒子及び酸を含有する研磨液組成物Aを用いて基板を研磨する粗研磨工程、並びにコロイダル粒子を含有する研磨液組成物Bを用いて粗研磨工程で得られた基板を研磨する仕上げ研磨工程を有してなる磁気ディスク基板の製造方法であって、粗研磨工程の研磨荷重Pが下記(1)式を満足し、かつ仕上げ研磨工程の研磨量Rが下記(2)式を満足する、磁気ディスク基板の製造方法。
    74−(40×DAl)≦ P ≦138−(80×DAl) (1)
    {P×(DAl)+10}×0.01 ≦ R ≦0.5 (2)
    [ここで、DAl、P、及びRはそれぞれ、μm、g/cm、及びμm単位で表される。]
  2. 研磨液組成物A中の酸化アルミニウム粒子全体に占める粒径が1μm以上の粒子の割合が0.5重量%以下である請求項1記載の磁気ディスク基板の製造方法。
  3. 研磨液組成物B中のコロイダル粒子が、コロイダルシリカである請求項1又は2記載の磁気ディスク基板の製造方法。
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