JP2007166722A - 機電一体型回転電機装置及び車両駆動装置 - Google Patents

機電一体型回転電機装置及び車両駆動装置 Download PDF

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Keisuke Nishidate
圭介 西舘
Kenichi Yoshida
健一 吉田
Hisaya Shimizu
尚也 清水
Yosuke Umezaki
洋介 梅▲崎▼
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Abstract

【課題】制御装置から発生して電気的絶縁作用或いは機械的研磨作用を及ぼす物質を生成する生成源が、回転電機の導通機構に与える影響を抑制できる機電一体型回転電機装置の提供を課題とする。
【解決手段】上記課題は、導電性部材同士の機械的な接触によって電気的に導通する導通機構、例えばスリップリング130及びブラシ131を備えたモータ100が収納された第1モータ室160及び第2モータ室170と、モータ100を制御するインバータ装置200が収納されたインバータ室240とを備えた回転電機装置の筐体に、インバータ室240の内気を外部に放出するためのブリザーパイプ230を設け、インバータ室240の内気を回転電機装置の筐体の外部に排出することにより解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転電機とその制御装置とを一体化した機電一体型回転電機装置及び車両駆動装置に関する。
機電一体型回転電機装置としては従来、例えば特許文献1,2に開示されたものが知られている。特許文献1には、電動機の負荷側とは反対側に設けられ、かつブラケットによって電動機内部から遮蔽された空間に、電動機を制御するインバータ装置を内蔵したものが開示されている。特許文献2には、電動機とインバータ装置とを一体に合体し、電動機とインバータ装置を接続する電源ライン貫通部に、電動機とインバータ装置とを仕切る遮熱材を設けたものが開示されている。
特開平8−289505号公報 特開2000−166176号公報
回転電機とその制御装置とを一体化する要因は様々であり、回転電機システムを搭載する側からの要求による場合もある。例えば自動車では、既存の車両の構造を変えずに回転電機システムを車両に搭載する場合などにおいて、車両における回転電機システムの搭載スペースや搭載レイアウトなど、車両側からのスペック的な要求によって回転電機とその制御装置とを一体化する場合がある。
回転電機とその制御装置とを一体化するにあたっては、背景技術のように、回転電機から制御装置に与える影響を考慮しておくことが好ましい一方、制御装置から回転電機に与える影響を考慮しておくことが好ましい場合もある。すなわち制御装置には、半導体部品によって構成された半導体装置が用いられている。半導体装置は、半導体部品を保護するために、シリコン系の樹脂を保護部材として使用している。シリコンゲルは半導体部品の温度上昇によって気化し、シロキサンガスを発生する。シロキサンガスは、電気的絶縁作用や機械的研磨作用を及ぼす二酸化珪素化合物を生成する。一方、機電一体型回転電機装置では、制御装置と回転電機との電気的な接続を、筐体の内部に配置された内部ハーネスによって行う場合がある。この場合、制御装置を収納した部屋と回転電機を収納した部屋は、内部ハーネスの貫通部により形成された通気空間を介して連通する。また、回転電機には、導電性部材同士の機械的な接触によって電気的に導通する導通機構、例えばスリップリングとブラシからなる導通機構を回転電機内部に備えたものもある。このため、内部ハーネスによる接続構造を有し、かつ回転電機内部に導通機構を備えた機電一体型回転電機装置では、制御装置において発生するシロキサンガスが回転電機内部の導通部に与える影響を考慮しておくことが好ましい。特に密閉タイプの機電一体型回転電機装置ではその必要性が高い。
本発明は、制御装置から発生して電気的絶縁作用或いは機械的研磨作用を及ぼす物質を生成する生成源が、回転電機の導通機構に与える影響を抑制できる機電一体型回転電機装置を提供する。
ここに、本発明は、回転電機及び回転電機に電気的に接続され、導電性部材同士の機械的な接触によって電気的に導通する導通機構が収納された第1収納室と、回転電機を制御する制御装置が収納された第2収納室とを備えた筐体に、第2収納室の内気を筐体の外部に放出するための内気放出機構を設け、第2収納室の内気を筐体の外部に放出するようにしたことを特徴とする。
このように、第2収納室の内気を放出する機構を筐体に設けた本発明によれば、第2収納室の内気を積極的に筐体の外部に放出でき、電気的絶縁作用或いは機械的研磨作用を及ぼす物質を生成する生成源が制御装置から発生しても、第2収納室と第1収納室との間の空間部を介して第2収納室から第1収納室にその生成源が流れ込むことを抑制できる。これにより、本発明によれば、回転電機の導通機構の導電機能が電気的絶縁作用によって低下したり、導電性部材の磨耗が機械的研磨作用によって促進して導電性部材の寿命が低下したりすることを抑制できる。従って、本発明によれば、制御装置から発生して電気的絶縁作用或いは機械的研磨作用を及ぼす物質を生成する生成源が、回転電機の導通機構に与える影響を抑制できる。
また、本発明は、電動力を発生する回転電機とその制御装置が上記機電一体型回転電機装置から構成された車両駆動装置を提供する。
本発明によれば、制御装置から発生して電気的絶縁作用或いは機械的研磨作用を及ぼす物質を生成する生成源が、回転電機の導通機構に与える影響を抑制できるので、高信頼性及び高寿命の機電一体型回転電機装置を提供できる。
また、本発明によれば、電動力を発生する回転電機とその制御装置が上記機電一体型回転電機装置から構成された車両駆動装置を提供できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
以下の実施例の説明では、車両用駆動回転電機のうち、前後輪の一方を内燃機関であるエンジンにより駆動し、その他方を電動力により駆動する4輪駆動車に搭載され、前後輪の他方を駆動するための電動力を発生する車両駆動用回転電機に本発明の構成を適用した場合を例に挙げて説明する。
以下において説明する構成は、導電性部材同士を機械的に接触させて電気的に接続する導通機構を備え、スイッチング半導体素子によって構成された制御装置を回転電機と一体にする車両用回転電機にも適用可能である。その車両用回転電機としては例えば、エンジンによって駆動されて交流電力を発生し、発生した交流電力をスイッチング半導体素子によって直流電力に整流してそれを車載バッテリに供給する車両用発電機がある。また、その車両用回転電機としては、エンジンの再始動時(信号待ちなどの車両の一時停止時にエンジンを停止し、車両の発進時にエンジンを再始動する時)、スイッチング半導体素子によって構成されたインバータ装置によって回転電機を電動機として作動させ、発生した電動力をエンジンに伝達してエンジンを始動し、エンジンの自立運転時、回転電機を発電機として作動させ、上記車両用発電機と同様にインバータ装置によって充電制御する車両用電動発電機がある。尚、車両用電動発電機では、車両の加速時に回転電機を電動機として作動させ、エンジンに電動力を伝達してエンジンの駆動をアシストする場合もある。さらに、その車両用回転電機としては、車載補機(操舵装置,冷却水循環ポンプ,エアコン用圧縮機,ブレーキ装置,サスペンション装置など)のアクチュエータとして回転電機をインバータ装置によって駆動する車載補機用電動機がある。
また、以下において説明する構成は、車両以外、例えば家電用或いは産業用として適用されるものであって、導電性部材同士を機械的に接触させて電気的に接続する導通機構を備え、スイッチング半導体素子によって構成された制御装置を一体化する回転電機にも適用可能である。
先ず、図3を用いて、本実施例の車両駆動用回転電機が搭載される4輪駆動車の構成を説明する。図3は、本実施例の車両駆動用回転電機が搭載される4輪駆動車の全体構成を示す。
尚、本実施例では、制御信号を流れを点線の矢印で、電力の流れを実線の矢印でそれぞれ示している。
4輪駆動車1は、図3に示すように、内燃機関であるエンジン(ENG)4により前輪2を駆動し、回転電機であるモータ(M)100により後輪3を駆動するものである。エンジン4は、前輪2の主駆動系を構成する動力源であり、車両の走行範囲全域において回転動力を発生する。モータ100は、後輪3の従駆動系を構成する動力源であり、車両の発進時からエンジン4のみによる走行速度域に達するまでの間、及び前輪2と後輪3との間に速度差、すなわちスリップが生じる状態になった時に回転駆動力を発生する。尚、本実施例では、エンジン4によって前輪2を駆動し、モータ100によって後輪3を駆動する場合を例に挙げて説明するが、エンジン4によって後輪3を駆動し、モータ100によって前輪2を駆動するように構成してもよい。
エンジン4の回転動力は、変速機(T/M)5によって変速された後、前輪2の駆動軸に伝達される。これにより、前輪2は車両の走行範囲全域において駆動される。エンジン4には車載補機用発電機(ALT1)6及び駆動専用発電機(ALT2)400が機械的に連結されている。両発電機は、エンジン4の回転動力を受けて作動し、それぞれ用途の異なる電力を発生する。車載補機用発電機6は車載14ボルト系電源を構成するものであり、公称電圧12ボルトの車載バッテリ(BAT)7を充電するための直流電力及び車載補機用を駆動するための直流電力を発生する。駆動専用発電機400は、モータ100の駆動用電力を専用に発生するモータ電源を構成するものであると共に、車載補機用発電機6よりも高い電力を出力できる車載42ボルト系電源を構成するものであり、車両の運転状態に応じて出力電圧を0ボルトから50ボルトまで可変にできる。
尚、本実施例では、モータ100の電源として駆動専用発電機400を備えた場合を例に挙げて説明する。この場合、モータ駆動専用の大容量バッテリを搭載することがないので、その分、車載スペースを有効活用でき(換言すれば、モータ駆動専用のバッテリの車載スペースを不要にでき)、しかも、従来の機械式4輪駆動車(エンジンにより前後輪を駆動する方式の車両)と比べて、従駆動輪(本実施例では後輪)の駆動系の価格を低く抑えることができる。モータ100の電源としては、車載バッテリ7よりも公称電圧が大きい、例えば100ボルト以上の公称電圧を持つモータ駆動専用のバッテリを搭載しても構わない。
車載補機用発電機6と駆動専用発電機400はエンジン4と共にエンジンルーム内に配置されている。駆動専用発電機400は水冷密閉型回転電機であるので、空冷開放型回転電機である車載補機用発電機6のエンジン4に対する取付位置よりも低い位置になるように、エンジン4に対して取り付けられている。
駆動専用発電機400から出力された直流電力はインバータ装置(INV)200の直流側に直接入力される。インバータ装置200は、入力された直流電力を、モータ100の駆動に必要な三相交流電力に変換し、この変換された三相交流電力をモータ100に供給する。モータ100は三相交流電力を受けて作動し、後輪3の駆動に必要な回転動力を発生する。
モータ100の回転動力は、モータ出力側に接続されたクラッチ(CL)500、及びクラッチ出力側に接続されたデファレンシャギヤ(DEF)600を介して後輪3の駆動軸に伝達される。これにより、後輪3は、車両の発進時からエンジン4のみによる走行速度域に達するまでの間、及び前輪2と後輪3との間に速度差、すなわちスリップが生じる状態になった時に駆動される。ここで、デファレンシャギヤ600には減速機が一体に設けられている。減速機は、モータ100の回転動力を減速してデファレンシャギヤ600に伝達する。
モータ100及びインバータ装置200は、車両の後部座席からトランクルームに至る床下の狭いスペースに設置され、かつデファレンシャルギヤ600近傍に設置される。このため、モータ100及びインバータ装置200は、上記配置スペースに収納可能なように、一体化されて小型化されている。
4輪駆動車1の内部には、エンジン制御装置(ECU)8,アンチロックブレーキシステム制御装置(ABSCU)10,4WD制御装置(4WDCU)300及び変速機制御装置(TCU)9を含む複数の車載制御装置が設けられている。複数の車載制御装置は車内通信網13によって電気的に接続されている。これにより、複数の車載制御装置の間において信号の伝送が可能になり、各車載制御装置が所有する情報を複数の車載制御装置の間において共有できる。
エンジン制御装置8は、エンジン4を構成するコンポーネント機器の駆動装置の作動を制御し、エンジン4の作動を制御する。エンジン4のコンポーネント機器としては、エンジン4のシリンダ内に供給される空気供給量を制御する絞り弁、エンジン4のシリンダ内に供給される燃料噴射量を制御する燃料噴射弁及びエンジン4のシリンダの給排気を制御する給排気弁などがある。また、エンジン制御装置8は、車載補機用発電機6の界磁巻線に供給される界磁電流を制御する電圧調整器の作動を制御し、車載補機用発電機6の作動を制御する。
変速機制御装置9は、変速機5を構成する変速機構の駆動機構の作動を制御し、変速機5の作動を制御する。
アンチロックブレーキシステム制御装置10は、アンチロックブレーキシステムを構成するキャリパーシリンダ11の駆動機構の作動を制御し、アンチロックブレーキシステムの作動を制御する。アンチロックブレーキシステム制御装置10には、キャリパーシリンダ11の駆動機構の作動を制御するために、各車輪に設けられた速度センサ12から検知信号が入力されている。アンチロックブレーキシステム制御装置10は、入力された検知信号から各車輪の速度を検出する。
4WD制御装置300は、後輪3の従駆動系を構成する各機器の作動を制御するものであり、モータ100,インバータ装置200,駆動専用発電機400及びクラッチ500の各作動を制御する。
次に、図2を用いて、4WD制御装置300の構成及び4WD制御装置による制御方法について説明する。
4WD制御装置300は、構成部品として小型演算処理装置(MPU)310,モータ電圧調整器(MVR)320及びクラッチ電圧調整器(CVR)330を備えたものであり、後輪3の従駆動系を構成する各機器の制御装置が1つに纏まって構成された1つの電子回路ユニットである。
小型演算処理装置310は、プログラムに基づいて各機器の制御に必要な演算を実行するマイクロコンピュータにより構成された中央処理装置(CPU)、及び中央処理装置の演算処理に必要なプログラムやマップ及びパラメータなどのデータが予め格納された記憶装置などを構成部品として備えたものであり、発電機制御部(GCU)311,モータ制御部(MCU)312及びクラッチ制御部(CCU)313の各制御部をソフトウエアにより構成している。
モータ電圧調整器320及びクラッチ電圧調整器330は、スイッチング半導体素子及びこれを駆動するための駆動回路などを構成部品として備えたものであり、車載バッテリ7に電気的に接続され、スイッチング半導体素子のスイッチング動作により車載バッテリ7から供給された電流を制御する。このうち、モータ電圧調整器320は、車載バッテリ7からモータ100のロータ120の界磁巻線125,126に供給される界磁電流を制御する。一方、クラッチ電圧調整器330は、車載バッテリ7からクラッチ500の励磁巻線510に供給される励磁電流を制御する。
発電機制御部311は、駆動専用発電機400のロータ420の界磁巻線421に供給される界磁電流を制御し、駆動専用発電機400からインバータ装置200に出力される直流電力を制御するための演算処理部である。発電機制御部311にはコンデンサ電圧指令値及びコンデンサ電圧値に対応する信号が入力されている。発電機制御部311は、それらの入力信号に基づいて、駆動専用発電機400の電圧調整器430を制御するための界磁指令値を演算し、この演算された指令値に対応する界磁指令信号を電圧調整器430に出力する。
ここで、コンデンサ電圧とは、インバータ装置200のパワーモジュール210の入力側(直流側)に電気的に並列接続された平滑コンデンサ214の両端に印加される電圧を指す。コンデンサ電圧指令値は、後述するモータ制御部312によって演算されて出力された指令値を指す。
電圧調整器430は、発電機制御部311から出力された界磁指令信号を入力し、この入力された信号に基づいて、ロータ420の界磁巻線421に供給される界磁電流を制御する。界磁巻線421に供給される界磁電流は、駆動専用発電機400の立上り時(発電が所定値に達していない時)には車載バッテリ7から供給され、駆動専用発電機400の立上り後には自己発電により賄う。
モータ制御部312は、インバータ装置200からモータ100のステータ110の電機子巻線112に供給される三相交流電力を制御し、モータ100の駆動を制御するための演算処理部である。また、モータ制御部312は、モータ100のロータ120の界磁巻線125,126に供給される界磁電流を制御し、モータ100の駆動を制御するための演算処理部である。モータ制御部312には、エンジン回転数,トルク指令,モータ磁極位置及びモータ回転速度に対応する信号が入力されている。モータ制御部312は、それらの入力信号に基づいて、インバータ装置200のパワーモジュール210の複数のスイッチング半導体素子212をスイッチング(オン・オフ)動作させるための駆動指令値を演算し、この演算された指令値に対応する駆動指令信号を、インバータ装置10の複数のスイッチング半導体素子212を駆動する駆動回路220に出力する。また、モータ制御部312は、それらの入力信号に基づいて、モータ電圧調整器320を制御するための界磁指令値を演算し、この演算された指令値に対応する界磁指令信号をモータ電圧調整器320の駆動回路に出力する。さらに、モータ制御部312は、それらの入力信号に基づいて、インバータ装置200の平滑コンデンサ214の両端の印加電圧を制御するためのコンデンサ電圧指令を演算し、この演算された指令値に対応するコンデンサ電圧指令信号を発電機制御部311に出力する。
ここで、エンジン回転数及びトルク指令に対応する信号はエンジン制御装置8から出力されたものである。モータ磁極位置及びモータ回転速度に対応する信号はモータ100に取り付けられたセンサ140、例えば磁気感応素子であるホール素子やレゾルバなどからなる磁極位置センサ及び回転数センサから出力された検知信号である。
駆動回路220は、モータ制御部312から出力された駆動指令信号を入力し、この入力された信号に基づいて、複数のスイッチング半導体素子212のゲート電極に入力される駆動信号を生成し、この生成された信号を複数のスイッチング半導体素子212のゲート電極に出力する。これにより、複数のスイッチング半導体素子212のスイッチング動作が制御され、パワーモジュール210からモータ100のステータ110の電機子巻線112に供給される三相交流電力が制御される。
モータ電圧調整器320の駆動回路は、モータ制御部312から出力された界磁指令信号を入力し、この入力された信号に基づいて、スイッチング半導体素子のゲート電極に入力される駆動信号を生成し、この生成された信号をスイッチング半導体素子のゲート電極に出力する。これにより、モータ電圧調整器320のスイッチング半導体素子のスイッチング動作が制御され、モータ100のロータ120の界磁巻線125,126に供給される界磁電流が制御される。
クラッチ制御部313は、クラッチ500の電磁コイル510に印加される電圧を制御してクラッチ500の締結機構520の締結を制御し、モータ100からデファレンシャルギヤ600への動力の伝達を制御するための演算処理部である。クラッチ制御部313は、車両の4輪駆動モードスイッチがオンの状態であり、かつ4輪駆動が必要な状態(車両の発進時からエンジン4のみによる走行速度域に達するまでの間、及び前輪2と後輪3との間に速度差、すなわちスリップが生じる状態)にある時、クラッチ電圧調整器330を制御するための励磁指令値を演算し、この演算された指令値に対応する励磁指令信号をクラッチ電圧調整器330の駆動回路に出力する。
クラッチ電圧調整器330の駆動回路は、クラッチ制御部313から出力された励磁指令信号を入力し、この入力された信号に基づいて、スイッチング半導体素子のゲート電極に入力される駆動信号を生成し、この生成された信号をスイッチング半導体素子のゲート電極に出力する。これにより、クラッチ電圧調整器330のスイッチング半導体素子のスイッチング動作が制御され、クラッチ500の電磁コイル510に供給される励磁電流が制御される。
ここで、クラッチ500は、車両の発進時からエンジン4のみによる走行速度域に達するまでの間、及び前輪2と後輪3との間に速度差、すなわちスリップが生じる状態にある時には締結されて、モータ100の動力がデファレンシャルギヤ600に伝達され、エンジン4のみによる走行速度域にある時には解放されて、モータ100からデファレンシャルギヤ600への動力伝達が遮断される。
尚、本実施例では、トルク指令をエンジン制御装置8から4WD制御装置300に入力する場合を例に挙げて説明した。トルク指令は4WD制御装置300において生成してもよい。この場合、各車輪速,後輪平均速及びアクセル開度を入力し、これらの入力信号に基づいてモータ100のトルク指令を演算する演算処理部を小型演算処理装置310に設け、その演算処理部からモータ制御部312に対してトルク指令を出力する。各車輪速はアンチロックブレーキシステム制御装置10から車内通信網13を介して入力する。後輪平均速は、アンチロックブレーキシステム制御装置10から車内通信網13を介して出力された各後輪速から演算する、或いはアンチロックブレーキシステム制御装置10から車内通信網13を介して入力する。アクセル開度はエンジン制御装置8から車内通信網13を介して入力する。
前述したように、本実施例の4輪駆動車1は、モータ駆動用のバッテリを搭載していないので、駆動専用発電機400とインバータ装置200との間の電力を吸収できない。このため、本実施例では、駆動専用発電機400から出力される発電エネルギーPgと、インバータ装置200・モータ100に入力される駆動エネルギーPmとが等しくなるように協調制御している。ここで、発電エネルギーPgと駆動エネルギーPmのバランスが崩れた場合、例えば発電エネルギーPgが駆動エネルギーPmよりも大きい場合には余剰電力がインバータ装置200の平滑コンデンサ214に流れ込み、パワーモジュール210の直流側の電圧が上昇する。インバータ装置200のパワーモジュール210の直流側の電圧が許容電圧値を超えた場合には、平滑コンデンサ214及びパワーモジュール210のスイッチング半導体素子212の破壊に至る恐れがある。また、発電エネルギーPgが駆動エネルギーPmよりも小さい場合には、微小ではあるが平滑コンデンサ214に蓄積された電力がインバータ装置200・モータ100に用いられて電圧が低下し、所定のトルクを出力できなくなる。
また、インバータ装置200・モータ100では、d−q座標による電流制御を用いてモータ100に供給される電力を制御しているので、高応答で高精度なトルク制御が可能である。これに対して駆動専用発電機400では、応答が遅い界磁電流制御を用いて発電を制御している。このため、インバータ装置200・モータ100の挙動に合わせて駆動専用発電機400の発電を高精度に協調制御する必要がある。
そこで、本実施例では、モータ100の駆動に必要なエネルギーPmが駆動専用発電機400から出力されるように、界磁電流制御により駆動専用発電機400の発電を制御している。具体的には、駆動専用発電機400の出力電圧(コンデンサ電圧)を発電機制御部311にフィードバックし、フィードバックされた電圧値がモータ制御部312から発電機制御部311に出力されたコンデンサ電圧指令値に一致するように、フィードバックされた電圧値とコンデンサ電圧指令値との偏差から界磁電圧値を比例積分演算し、その界磁電圧値に対応する信号を界磁指令として発電機制御部311から駆動専用発電機400の電圧調整器430に出力する。これにより、駆動専用発電機400の界磁電流が制御され、モータ100の駆動エネルギーPmを発生させるために必要な電圧が駆動専用発電機400から出力される。
尚、本実施例では、駆動専用発電機400の出力電圧(コンデンサ電圧)をフィードバックし、駆動専用発電機400の界磁電流を制御する場合を例に挙げて説明する。駆動専用発電機400の界磁電流制御としては、インバータ装置200の入力側(直流側)の電流が、モータ100の駆動エネルギーPmを発生するための電流となるように、駆動専用発電機400の出力電流(インバータ装置200の入力電流)をフィードバックし、駆動専用発電機400の界磁電流を制御してもよい。また、駆動専用発電機400の界磁電流制御としては、上記電圧フィードバック制御と上記電流フィードバック制御とを、駆動専用発電機400の動作範囲に応じて切り替え、駆動専用発電機400の界磁電流を制御してもよい。
また、本実施例では、駆動専用発電機400の発電出力に基づいてモータ100の駆動に必要な駆動エネルギーPmがインバータ装置200から出力されるように、インバータ装置200のパワーモジュール210からモータ100の電機子巻線112に供給される三相交流電力を制御している。さらに、本実施例では、モータ100の駆動に必要な界磁電流がモータ100の界磁巻線125,126に供給されるようにモータ100の界磁電流を制御している。
具体的には、モータ制御部312において次のように制御される。すなわちモータ制御部312は、トルク指令及びモータ回転速度に基づいてモータ100に対するd軸電流指令値,q軸電流指令値及び界磁電流指令値のそれぞれを、対応する3次元テーブル(マップ)から演算し、この演算されたd軸電流指令値及びq軸電流指令値のそれぞれからd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値のそれぞれを演算し、この演算されたd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値のそれぞれからモータ磁極位置を用いて、モータ100に対する3相(u相,v相,w相)の交流電圧指令値を演算する。モータ制御部312からは、交流電圧指令値に対応する信号が駆動指令としてインバータ装置200の駆動回路220に、界磁電流指令値に対応する信号が界磁指令としてモータ電圧調整器320の駆動回路にそれぞれ出力される。
ここで、本実施例では、インバータ装置200の制御方式として矩形波制御及びPWM制御を備え、モータ100の動作点(回転数)に応じて矩形波制御とPWM制御とを切り替えている。例えば車両の停止時,発進時及び低速走行時(モータ回転数5000rpm 未満)ではPWM制御を、車両の中・高速走行時(モータ回転数5000rpm 以上)では矩形波制御をそれぞれ使用する。
そこで、本実施例では、PWM/矩形波信号処理部をモータ制御部312に備え、インバータ装置200が矩形波制御である場合には矩形波制御に対応するように、PWM制御である場合にはPWM制御にそれぞれ対応するように、3相の交流電圧指令値に対応する駆動指令信号を生成している。
モータ電圧調整器320の駆動回路に出力される界磁電流指令値はモータ100の回転数に応じて設定されている。これは、モータ100の回転数が上昇すると、モータ100の誘起電圧が上昇するためである。このため、本実施例では、モータ100の回転数が上昇するにしたがって界磁電流指令値を減少させている。また、本実施例では、トルク指令に応じて、モータ100の界磁巻線125,126に供給される界磁電流が変化するように、界磁電流指令値を設定できるようにしている。トルク指令の大きさに応じてモータ
100の界磁電流を変えると、界磁電流一定に対してモータ100の効率を向上させることができる。モータ電圧調整器320は、モータ制御部312から出力された界磁電流指令値と、フィードバックされたモータ100の界磁電流値との偏差に基づいて駆動信号を生成し、モータ電圧調整器320のスイッチング半導体素子を動作させている。これにより、モータ100の界磁巻線125,126には、界磁電流指令値に対応する界磁電流が供給される。
また、モータ制御部312は、演算されたd軸電圧指令及びq軸電圧指令のそれぞれに基づいてモータ100の相電圧を演算し、この演算された相電圧に基づいてコンデンサ電圧(駆動専用発電機400の出力電圧)を演算し、この演算されたコンデンサ電圧(駆動専用発電機400の出力電圧)に基づいて、駆動専用発電機400の回転数に応じた駆動専用発電機400の発電特性(発電電圧と発電電流との関係特性)とエンジン回転数とを用いて、駆動専用発電機400の動作点、すなわち駆動専用発電機400の出力電流を演算する。尚、相電圧に基づく出力電圧の演算は、PWM制御の場合と矩形波制御との場合において演算式が異なる。
そして、モータ制御部312は、演算された出力電圧(コンデンサ電圧)と出力電流が駆動専用発電機400から出力され場合、モータ100の駆動力が要求駆動力(モータ回転数×トルク指令)を満たすか否かを判定する。
満たすと判定した場合、モータ制御部312は、演算された出力電圧に対して、モータ100及び駆動専用発電機400が最も効率良く動作できる第2の出力電圧、すなわち演算された出力電圧以上かつモータ100の要求駆動力を出力できる範囲の電圧のうち、最大効率となる第2の出力電圧を再演算する。そして、モータ制御部312は、演算された第2の出力電圧をコンデンサ電圧指令値とし、この指令値を発電機制御部311に出力する。
満たさないと判定した場合、モータ制御部312は、モータ100の駆動に必要な駆動エネルギーを取れる範囲で出力できるように、現在のエンジン回転数における駆動専用発電機400の最大出力を用いてモータ100から出力可能なトルクと、このトルクの出力に必要な駆動専用発電機400の出力電圧とを再演算する。そして、モータ制御部312は、演算されたトルクを第2のトルク指令とし、再度、モータ100に対する3相の交流電圧指令値を第2のトルク指令に基づいて演算する。さらに、モータ制御部312は、演算された第3の出力電圧をコンデンサ電圧指令値とし、この指令値を発電機制御部311に出力する。尚、演算によって得られた出力電圧がモータ100の誘起電圧により低い場合には、トルク指令値を下げ、実際に出力できる出力電圧及びモータ100のトルクを最終決定する。
本実施例では、4輪駆動走行時、すなわち車両の発進時からエンジン4のみによる走行速度域に達するまでの間、及び前輪2と後輪3との間に速度差、すなわちスリップが生じる状態になった時には、以上説明した制御によりモータ100を駆動し、後輪3を駆動する。この際、モータ100の駆動力は、車両の発進時が最も大きく、車両の発進時よりも車速が速くなってモータ100の回転数が上昇した場合には、モータ100の回転数の上昇にしたがって徐々に小さくなる。
次に、図1を用いて、機電一体型回転電機装置の構成について説明する。
本実施例は、4輪駆動車1に搭載される後輪駆動用のモータ100として界磁巻線型同期機を用いている。これは、動作点が広いという性能がモータ100に要求されるからであり、車両の駆動用として実績のある誘導機や永久磁石型同期機ではその要求を満足するとは必ずしも言えないからである。
例えば深雪の中から4輪駆動車1を発進させる場合には、後輪のみで発進できることが重要となる。このため、4輪駆動車1の低速域においては大きなトルクが必要になる。しかし、誘導機では、車両の発進時(低速・高トルク時)の特性が充分であるとは必ずしも言えない。また、4輪駆動車1の中速走行域まで4輪駆動を継続させる場合には、モータを非常に高回転させる必要がある。しかし、永久磁石式同期機では、高速回転側において誘起電圧の発生を抑えるために、永久磁石の界磁を弱める、いわゆる弱め界磁制御を行う必要がある。このため、回転数範囲が大きい場合、永久磁石式同期機では、高速回転側のモータ効率が低下し、かつ温度上昇が大きくなり、必要な高回転域まで駆動できるとは必ずしも言えない。
これに対して界磁巻線型同期機は低速回転側においては大きなトルクを出力できる。また、界磁巻線型同期機は高速回転側においては、界磁電流を抑えることにより界磁磁束を小さくして誘起電圧を小さく抑え、必要な高回転域まで駆動できる。そこで、本実施例では、4輪駆動車1の後輪駆動用のモータ100として界磁巻線型同期機を用いている。そして、本実施例では、モータ100の回転数(モータ100の動作点)に対して界磁電流を変化させて、発生する磁束を積極的に可変しているので、4輪駆動車1の電動駆動システムの最大電圧内においてモータ100の動作点をモータ100の許容電流範囲内で駆動できる。
また、本実施例のモータ100は、図1に示すように、ステータ110の内周側に空隙を介して回転可能に支持されたロータ120がタンデム型ロータから構成されている。タンデム型ロータとは、同一のシャフト(回転出力軸)127上に複数の磁極鉄心が軸方向に並置されたものをいう。本実施例では、第1爪形磁極鉄心及び第2爪形磁極鉄心が軸方向に並置されている。
前述したように、本実施例では、モータ100とインバータ装置200とを一体化して機電一体型回転電機装置を構成している。これ以後、機電一体型回転電機装置のことを単に回転電機装置という。
尚、本実施例では、モータ100とインバータ装置200とを軸方向(水平方向)に並置して一体化した場合を例に挙げて説明する。モータ100とインバータ装置200との配置方向としては上下方向であってもよい。
回転電機装置は、湿気の浸入を防止しながら内部の空気を外部に導出できる機能を備えた密閉防水型のものである。回転電機装置の筐体は、軸方向一方側端部から第1モータブラケット101,モータハウジング108,第2モータブラケット102,第3モータブラケット103,インバータハウジング201,インバータブラケット202の順にそれらが軸方向に並置され、ボルト105などの締結手段によって固定されることにより構成されている。第1モータブラケット101とモータハウジング108は一体に形成されている。インバータハウジング201とインバータブラケット202も一体に形成されている。
第1モータブラケット101とモータハウジング108と第3モータブラケット103によって囲まれた部分にはモータ室が形成されている。インバータハウジング201とインバータブラケット202と第3モータブラケット103によって囲まれた部分にはインバータ室240が形成されている。モータ室はさらに第2モータブラケットによって第1モータ室160及び第2モータ室170に分けられている。各室は、軸方向一方側端部から第1モータ室160,第2モータ室170,インバータ室240の順に軸方向に並置されている。
モータハウジング108と第2モータブラケット102との間の結合部、第2モータブラケット102と第3モータブラケット103との間の結合部及び第3モータブラケット103とインバータハウジング201との間の結合部にはシール部材(図示省略)が設けられている。このように、本実施例では、筐体部材の結合部にシール部材を設け、筐体部材同士をシール部材を介して結合することにより、筐体部材の結合部における気密性を高め、第1モータ室160,第2モータ室170及びインバータ室240の密閉性を高めている。
第1モータブラケット101の中心部には第1ベアリング106が設けられている。第2モータブラケット102の中心部には第2ベアリング107が設けられている。第1ベアリング106及び第2ベアリング107はロータ120のシャフト127を回転可能に支持する。
第1モータ室160内において、モータハウジング108の内周側にはステータ110が設けられている。ステータ110の内周側には空隙を介してロータ120が対向配置されている。
ステータ110は、回転磁界を発生する静止部位であり、磁気回路を構成するステータコア111と、このステータコア111に装着されて回転磁界を作り出すステータコイル112とを備えている。
ステータコア111は珪素鋼板を軸方向に積み重ねて形成したものであり、モータハウジング108の内周面に嵌合されている。ステータコア111の内周部には複数のスロット(図示省略)が形成されている。各スロットは、ステータコア111の内周側に開口するように、ステータコア111の内周表面からステータコア111の径方向外側に向かって切削され、かつステータコア111の軸方向一方側からステータコア111の軸方向他方側に向かってステータコア111の内周部を貫通した細長い窪みであり、ステータコア111の周方向に所定の間隔(等間隔)をもって配置されている。本実施例では、36個のスロットを備えている。
ステータコイル112は、3相(u相,v相,w相)の相コイルがスター結線されることにより構成されている。スター結線は、中性点が形成されるように、各相コイルの一端同士を接続する結線方式である。各相コイルは、ステータコア111のスロットに収納された各相の複数のコイル導体が電気的に接続されることにより構成されている。各コイル導体は、ロータ120の磁極に対応して離間する2つのスロットに跨って収納されたセグメント導体であり、コイル導体のスロット深さ方向(ステータコア111の径方向)の厚み相当の段差がコイル導体のスロット深さ方向(ステータコア111の径方向)に形成されるように、断面形状角型の1本のエナメル絶縁電線を途中から折り曲げて形成したU字状導体である。
本実施例では、後述するように、ロータ120の磁極が12極であることから、ロータ120の磁極ピッチは3スロットになる。従って、各コイル導体は、2つのスロットを挟んで離間する2つのスロットに跨って収納される。
コイル導体をステータコア111のスロットに収納するにあたっては、U字状に予め成形したコイル導体をスロットの軸方向一方側から軸方向他方側に向かって挿入する。これにより、ロータ120の磁極に対応して離間する2つのスロットには、コイル導体の軸方向一端側の折り曲げ部分及び他端側及び開放端部分(コイルエンド部に相当する部分)がステータコア111の軸方向両端部から突出するように、コイル導体のコイル辺部が収納される。各スロットには、スロット深さ方向(ステータコア111の径方向)に2列、スロット幅方向(ステータコア111の周方向)に2列となるように、同相の4本のコイル導体が収納されている。
本実施例では、ステータコイル112を構成する相コイルをスター結線する場合を例に挙げて説明する。相コイルの結線としては、デルタ結線、すなわち各相コイルの一端に他の1つの相コイルの一端を、他端に他のもう1つの相コイルの一端をそれぞれ接続する結線方式を用いてもよい。また、本実施例では、コイル導体をセグメント導体とし、セグメント導体を断面形状角型のエナメル絶縁電線から形成する場合を例に挙げて説明する。コイル導体としては、断面形状丸型のエナメル絶縁電線から形成した長尺導体を用いてもよい。この場合、長尺導体は、ロータ120の磁極に対応して離間する2つのスロットに所定回数、連続して巻回される。
1つのu相のスロットを基準として36個のスロットに1から36までのスロット番号を、その基準スロットから周方向一方向に順番に付した場合、u相のコイル導体は第1番目,第4番目,……,第31番目,第34番目のスロットに、v相のコイル導体は第3番目,第6番目,……,第33番目,第36番目のスロットに、w相のコイル導体は第2番目,第5番目,……,第32番目,第35番目のスロットにそれぞれ収納されている。このように、本実施例では、u相,w相,v相の順に繰り返して各相のスロットが配置されている。
各相の複数のスロットに配置された各相の複数のコイル導体は各相コイルが形成されるように接続されている。例えばu相の場合、u相の複数のコイル導体は、第1番目のスロットの上層側(スロット底部側)と第4番目のスロットの下層側(スロット開口部側)とに跨って収納された2本のコイル導体と、第7番目のスロットの上層側と第10番目のスロットの下層側とに跨って収納された2本のコイル導体と、……、第25番目のスロットの上層側と第28番目のスロットの下層側とに跨って収納された2本のコイル導体と、第31番目のスロットの上層側と第34番目のスロットの下層側とに跨って収納された2本のコイル導体とが波巻によって直列に接続されて第1巻線が、第1番目のスロットの下層側と第4番目のスロットの上層側とに跨って収納された2本のコイル導体と、第7番目のスロットの下層側と第10番目のスロットの上層側とに跨って収納された2本のコイル導体と、……、第25番目のスロットの下層側と第28番目のスロットの上層側とに跨って収納された2本のコイル導体と、第31番目のスロットの下層側と第34番目のスロットの上層側とに跨って収納された2本のコイル導体とが波巻によって直列に接続されて第2巻線がそれぞれ構成されるように、かつ第1巻線と第2巻線が並列に接続されて相コイルが構成されるように接続されている。
ロータ120はステータ110との磁気的作用により回転する。ロータ120は、前述したように、タンデム式ロータであり、S極側第1爪形磁極鉄心121,N極側第1爪形磁極鉄心122,第1界磁コイル125及び第1永久磁石129aから構成された第1爪形磁極鉄心と、N極側第2爪形磁極鉄心123,S極側第2爪形磁極鉄心124,第2界磁コイル126及び第2永久磁石129bから構成された第2爪形磁極鉄心とが軸方向に並置されて、シャフト127の外周上に嵌合されている。本実施例のタンデム式ロータでは、同極性の磁極鉄心が接するように、例えばN極側第1爪形磁極鉄心122とN極側第2爪形磁極鉄心123とが接するように、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心とを並置している。
S極側第1爪形磁極鉄心121及びN極側第1爪形磁極鉄心122は軸方向に対向しており、それぞれ、磁極鉄心の円筒部から径方向外側に向かって延びて磁極鉄心の対向方向に折れ曲がり、かつ磁極鉄心の対向方向に向かって延びた複数の爪部を備えている。S極側第1爪形磁極鉄心121の爪部及びN極側第1爪形磁極鉄心122の爪部は周方向に交互に配置されて周方向に対向している。第2爪形磁極鉄心を構成するN極側第2爪形磁極鉄心123及びS極側第2爪形磁極鉄心124も第1爪形磁極鉄心と同様に軸方向に対向しており、それぞれ、第1爪形磁極鉄心と同様に構成されかつ配置された複数の爪部を備えている。各爪部の外周表面形状は、根元から先端に向かうにしたがって周方向の幅が徐々に小さくなる台形状或いは三角形状である。各爪部の周方向(側)面形状は、根元から先端に向かうにしたがって径方向の厚みが(根元から先端に向かうにしたがって爪部の外周側に対する爪部の内周側の相対的な径方向の距離が)徐々に小さくなる直角三角形状である。
第1爪形磁極鉄心及び第2爪形磁極鉄心のそれぞれは12個の爪部(6個のN極側の爪部、6個のS極側の爪部)を備えている。すなわち本実施例では、磁極が12極のロータ120を備えている。
S極側第1爪形磁極鉄心121の円筒部及びN極側第1爪形磁極鉄心122の円筒部の外周側であり、S極側第1爪形磁極鉄心121の爪部及びN極側第1爪形磁極鉄心122の爪部の内周側には、電気的な絶縁性を有するボビン125aが組み込まれている。ボビン125aには界磁コイル125が巻装されている。N極側第2爪形磁極鉄心123の円筒部及びS極側第2爪形磁極鉄心124の円筒部の外周側であり、N極側第2爪形磁極鉄心123の爪部及びS極側第2爪形磁極鉄心124の爪部の内周側には、電気的な絶縁性を有するボビン126aが組み込まれている。ボビン126aには界磁コイル126が巻装されている。
界磁コイル125が界磁電流によって励磁されることにより、S極側第1爪形磁極鉄心121の爪部はS極に、N極側第1爪形磁極鉄心122の爪部はN極にそれぞれ磁化される。界磁コイル126が界磁電流によって励磁されることにより、N極側第2爪形磁極鉄心123の爪部はN極に、S極側第2爪形磁極鉄心124の爪部はS極にそれぞれ磁化される。
S極側第1爪形磁極鉄心121の爪部とN極側第1爪形磁極鉄心122の爪部との間のそれぞれには第1永久磁石129aが挟持されている。N極側第2爪形磁極鉄心123の爪部とS極側第2爪形磁極鉄心124の爪部との間のそれぞれには第2永久磁石129bが挟持されている。第1永久磁石129a及び第2永久磁石129bは、磁極鉄心の爪部の周方向(側)面と対向する方向(周方向)に磁束を発生するように、かつ磁極鉄心の爪部の周方向(側)面と対向する面の極性が、周方向に対向する磁極鉄心の爪部と同じ極性になるように着磁されている。
第1爪形磁極鉄心及び第2爪形磁極鉄心は、互いの磁極中心の位相差が電気角で30度になるように、相対的に周方向に機械角で5度(360度/(極数×相数×Ns))ずれている。ここで、Nsは、ステータコア111のスロットの幅方向(ステータコア111の周方向)に配列されるコイル導体数であり、ロータ120の磁極鉄心の並置数(タンデム数)でもある。すなわちステータコア111のスロットの幅方向に配列されるコイル導体数とロータ120の磁極鉄心の並置数は等しい関係にある。本実施例では、ステータコア111のスロットの幅方向に配列されるコイル導体数が2であるので、ロータ120の磁極鉄心の並置数も2である。また、ステータコア111のスロットの幅方向に配列されるコイル導体数が3の場合、ロータ120の磁極鉄心の並置数は3となる。この場合、3つの磁極鉄心の磁極中心が位相差を持つように、3つの磁極鉄心を周方向にずらす。例えば真ん中の磁極鉄心に対して軸方向一方側に並置された磁極鉄心は、互いの磁極中心の位相差が電気角で30度になるように、真ん中の磁極鉄心に対して周方向に機械角で5度進むようにずらし、真ん中の磁極鉄心に対して軸方向他方側に並置された磁極鉄心は、互いの磁極中心の位相差が電気角で30度になるように、真ん中の磁極鉄心に対して周方向に機械角で5度遅れるようにずらす。
本実施例では、ロータ120の磁極が12極、ステータコア111のスロット数が36個、ステータコイル112の相数が3相、ステータコア111のスロットの幅方向に配列されるコイル導体数が2個(ロータ120の磁極鉄心のタンデム数が2個)であることから、2つの磁極鉄心を相対的に周方向に機械角で5度ずらし、2つの磁極鉄心の磁極中心の位相差を電気角で30度とした。これ以外の仕様において、2つの磁極鉄心の磁極中心の位相差を電気角で30度とする場合、2つの磁極鉄心の相対的な周方向の機械的なずれは異なってくる。例えばロータ120の磁極が16極、ステータコア111のスロット数が48個、ステータコイル112の相数が3相、ステータコア111のスロットの幅方向に配列されるコイル導体数が2個(ロータ120の磁極鉄心のタンデム数が2個)の場合には機械角で3.75度になる。
このように、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心とを相対的に周方向に機械角で5度ずらし、互いの磁極中心の位相差を電気角で30度とすることにより、第1爪形磁極鉄心の磁束によってステータコイル112に誘起される電圧と、第2爪形磁極鉄心の磁束によってステータコイル112に誘起される電圧との間には、電気角で30度の位相差が生じる。
また、上記のように、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心とを周方向にずらすことにより、第1爪形磁極鉄心によるトルクリプル及び第2爪形磁極鉄心によるトルクリプルが電気角で30度の位相差をもっても発生する。この時、トルクリップルの最大値をτとすると、第1爪形磁極鉄心によるトルクリプル及び第2爪形磁極鉄心によるトルクリプルのそれぞれの最大値はτとなる。これに対して、第1爪形磁極鉄心の磁極中心と第2爪形磁極鉄心の磁極中心とを同位相にすると1つのトルクリップルが発生する。この時、トルクリップルの最大値は2τとなる。このように、本実施例では、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心とを周方向にずらすことにより、ロータ120の軸方向の磁極の長さが、2つの磁極鉄心をずらさない場合と比べて半分になるので、発生するトルクリプルの最大値を減少、すなわち2つの磁極鉄心をずらさない場合と比べて半分(2τ→τ)にできる。これにより、本実施例では、衝撃力を半減でき、衝撃力の大きさで決まる振動及び騒音を低減できる。
さらに、上記のように、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心とを周方向にずらして両者の磁極中心の位相差を電気角で30度にすことにより、第1爪形磁極鉄心及び第2爪形磁極鉄心それぞれの各相のトルク脈動を合成した合成トルク脈動の脈動分を最も小さくできる。これにより、本実施例では、合成トルク脈動の脈動分の大きさで決まる振動及び騒音を低減できる。
以上のように、本実施例では、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心とを周方向にずらしたタンデム式のロータ120を備えているので、モータ100の空間高調波やトルクの脈動次数を高次にできる。従って、本実施例では、トルク脈動の低減や低振動及び低騒音を実現できる。
S極側第1爪形磁極鉄心121の側端面(N極側第1爪形磁極鉄心122側とは反対側の側端面)にはファン128が取り付けられている。ファン128は磁極鉄心と共に回転して第1モータ室160の内気を循環させ、ステータ110及びロータ120から発生した熱を筐体に伝達する冷却手段である。これにより、ステータ110及びロータ120は冷却される。
界磁コイル125,126は、第2モータ室170に配置された1対のスリップリング130に電気的に接続されている。スリップリング130は導電性環状部材であり、第2ベアリング107よりも第2モータ室170側に延びたシャフト延出部127aの外周面上に設けられている。1対のスリップリング130の外周表面上には1対のブラシ131が摺動接触している。ブラシ131の一方はモータ電圧調整器320に電気的に接続されており、モータ電圧調整器320によって制御された界磁電流の供給を受けている。ブラシ131の一方に供給された界磁電流はスリップリング130の一方を介して界磁コイル125,126に供給される。これにより、界磁コイル125,126が励磁され、S極側第1爪形磁極鉄心121及びS極側第2爪形磁極鉄心124の爪部はS極に、N極側第1爪形磁極鉄心122及びN極側第2爪形磁極鉄心123の爪部はN極にそれぞれ磁化される。スリップリング130の他方に摺動接触するブラシ131の他方はシャーシアースに電気的に接続されている。
1対のブラシ131はブラシホルダ132によって保持され、対応するスリップリング130に摺動接触するように、対応するスリップリング130の外周表面上に弾性力によって押圧されている。
第2モータ室170内には、スリップリング130,ブラシホルダ132によって保持されたブラシ131の他に、ロータ120の磁極位置を検出するためのレゾルバ140が収納されている。レゾルバ140は、レゾルバステータ141と、及びこの内周側に機械的空隙を介して対向配置されたレゾルバロータ142とを備え構成されている。本実施例では、レゾルバ140を磁極位置検出装置として用いる場合を例に挙げて説明する。磁極位置検出装置としては、永久磁石と、この磁束を検知するためのホール素子などの磁気感応素子から構成されたものを用いてもよい。この場合、モータのロータと共に永久磁石を回転させ、その永久磁石の周囲に3相分のホール素子を電気的で120度の間隔をもつように配置する。
レゾルバステータ141は第3モータブラケット103の円筒部103aの内周面に固定されている。第3モータブラケット103の円筒部103aは、第3モータブラケット103の側面からインバータ室240側に突出し、かつ第2モータブラケット102側からインバータ室240側に貫通するように、第3モータブラケット103の側面に設けられている。第3モータブラケット103の円筒部103aのインバータ室240側開口部はカバー103bによって塞がれている。カバー103bは第3モータブラケット103の円筒部103aに対して着脱可能になっている。このような構成によれば、第3モータブラケット103の円筒部103aからカバー103bを取り外すことにより、レゾルバステータ141の位置調整が容易に行える。
レゾルバロータ142は、レゾルバステータ141の内周側と対向するように、シャフト延出部127bの外周面上に嵌合されている。シャフト延出部127bは、シャフト延出部127aよりも軸方向インバータ室240側に延びた部位であり、クラッチ500を介してデファレンシャルギヤ600に機械的に接続されるシャフト127の出力端側とは反対側の端部にあたる。これにより、レゾルバロータ142はロータ120と共に回転する。レゾルバ140は、レゾルバステータ141において、レゾルバロータ142の回転による磁気的変化を検知し、それに応じた信号をレゾルバステータ141からモータ制御部312に出力している。
レゾルバ140の基準は、第1爪形磁極鉄心と第2爪形磁極鉄心との磁気的中心に合うように設定してもよいし、第1爪形磁極鉄心によって発生する誘起電圧の波形と第2爪形磁極鉄心によって発生する誘起電圧の波形とを合成した合成誘起電圧波形に合わせて設定してもよい。
インバータ室240には、インバータブラケット202の第2モータ室170側の側面に固定されたパワーモジュール210と、パワーモジュール210の第2モータ室170側に配置された駆動回路220とが収納されている。
パワーモジュール210は、駆動専用発電機400の出力端とモータ100のステータコイル212との間に電気的に接続されたスイッチング半導体素子212を備え、駆動専用発電機400からモータ100のステータコイル212に供給される直流電力をスイッチング半導体素子212のスイッチング(オン・オフ)動作によって三相交流電力に変換する電力変換回路を構成している。スイッチング半導体素子212を構成する半導体チップは、モジュールケース210aによって周囲が囲まれた放熱ベース218上に絶縁基板219を介して実装されている。
本実施例では、MOS(Metal-Oxide-semiconductor) FET(MOS型電界効果トランジスタ)をスイッチング半導体素子212として用いている。MOSFETは寄生のダイオード213を備えている。寄生のダイオード213は、ソース電極からドレイン電極に向かって順方向となるように、ドレイン電極とソース電極との間に電気的に接続されている。MOSFETはドレイン電極及びソース電極の他に、駆動回路220からの駆動信号を受けるゲート電極を備えている。
尚、本実施例では、スイッチング半導体素子212としてMOSFETを用いた場合を例に挙げて説明するが、MOSFETを代えてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を用いてもよい。IGBTの場合、エミッタ電極,コレクタ電極及びゲート電極を備えており、エミッタ電極とコレクタ電極との間には、別途、ダイオードを設ける必要がある。
放熱ベース218はインバータブラケット202の第2モータ室170側の側面に接触している。これにより、スイッチング半導体素子212のスイッチング動作によって生じる発熱をインバータブラケット202に放熱でき、スイッチング半導体素子212を冷却できる。絶縁基板219の表面上には、配線パターン(導電性部材)がメタライズされている。
パワーモジュール210によって構成される電力変換回路は、図2に示すように、3相分のアームを備えたブリッジ回路から構成されている。各アームは、上アーム側のスイッチング半導体素子212のソース電極と下アーム側のスイッチング半導体素子212のドレイン電極とを電気的に直列に接続した直列回路から構成されている。上アーム側のスイッチング半導体素子212のドレイン電極は入力(直流)端子217の正極側及びコンデンサ端子215の正極側に、下アーム側のスイッチング半導体素子212のソース電極は入力端子217の負極側及びコンデンサ端子215の負極側に、上アーム側のスイッチング半導体素子212のソース電極と下アーム側のスイッチング半導体素子212のドレイン電機は、対応する相の出力(交流)端子216にそれぞれ電気的に接続されている。実際は、図1に示すように、6つのスイッチング半導体素子212が絶縁基板219を介して放熱ベース218上に実装され、上記電力変換回路が構成されるように、上下アームのスイッチング半導体素子212と出力端子216との間、上上アームのスイッチング半導体素子212と入力端子217及びコンデンサ端子215との間のそれぞれがアルミワイヤなどの導電性部材によって電気的に接続される。
尚、図1は、1相分の下アーム側の実装状態を示す。ここでは、下アーム側のスイッチング半導体素子212のチップが実装された絶縁基板219が出力端子216側に、2つの入力端子217が絶縁基板219と対向するように、コンデンサ端子215側にそれぞれ配置されている。ここで、2つの入力端子217は正極側と負極側とが絶縁部材(図示省略)を介して積層されており、放熱ベース218上に絶縁部材(図示省略)を介して配置されている。本実施例では、負極側の入力端子217が放熱ベース218側となるように、2つの入力端子217を積層している。一方、上アーム側は、下アーム側とは逆になり、チップが実装された絶縁基板219がコンデンサ端子215側に、出力端子216が絶縁基板219と対向するように、出力端子216側(コンデンサ端子215側とは反対側)にそれぞれ配置され、下アーム側の配列に対して隣接して配置される。このような構成によれば、上アーム側の絶縁基板219と下アーム側の絶縁基板219が、2つの入力端子217と出力端子216がそれぞれ対角状に対向する。残りの2相も同様の配置構成になっている。そして、各相の配列体は、コンデンサ端子215から出力端子216に向かう方向に対して直交する方向に配列される。
コンデンサ端子215は、モジュールケース210aの側壁のうち、絶縁基板219と出力端子216或いは入力端子217との配列方向にある側壁の一方から、インバータブラケット202の側面に対して平行になるように突出している。コンデンサ端子215には平滑コンデンサ214が起立するように設けられ、電気的に接続されている。各相の出力端子216は、絶縁基板219と出力端子216或いは入力端子217との配列方向にある側壁の他方から、インバータブラケット202の側面に対して平行になるように突出し、第2モータ室170側に直角に折れ曲がって第2モータ室170側に延びている。そして、各相の出力端子216は、対応する相のハーネス113の端子とボルト及びナットなどの締結部材により締結されている。これにより、出力端子216とハーネス113の同相のもの同士、電気的に接続される。入力端子217は、モジュールケース210aの残りの側壁の一つから突出し、入力側のハーネス(図示省略)の一端側とボルト及びナット(図示省略)などの締結部材により締結されている。入力側のハーネスの他端側はインバータハウジング201の外周表面から延出し、外部の電源ハーネス(図示省略)と電気的に接続されている。
各相のハーネス113は、ステータコイル112の対応する相コイルに電気的に接続されており、インバータ室240から第3モータブラケット103及び第2モータブラケット102を貫通して第1モータ室に延びている。このため、第2モータブラケット102及び第3モータブラケット103とハーネス113との間には通気可能な隙間が形成される。これにより、第1モータ室160及び第2モータ室170とインバータ室240は上記隙間を介して連通し、インバータ室240の内気が第1モータ室160及び第2モータ室170に通気できる。
ところで、モジュールケース210a及び放熱ベース218によって囲まれて形成された容器空間(スイッチング素子212の実装空間)にはシリコンゲル211が封入されている。シリコンゲル211は電気絶縁性及び弾性を有するものであり、スイッチング半導体素子212,出力端子216,入力端子217及びアルミワイヤなどから構成された電力変換回路を侵入物や錆などから電気的及び機械的に保護するための保護部材である。しかし、シリコンゲル211は、スイッチング半導体素子212のスイッチング動作による温度上昇によって気化し、シロキサンガスを発生する。このシロキサンガスは、電気的絶縁作用や機械的研磨作用を及ぼす二酸化珪素化合物を生成する。従って、機械的接触により電気的に導通する機構、例えばスリップリング130及びブラシ131の機械的接触面に二酸化珪素化合物が付着し、スリップリング130及びブラシ131が磨耗して、機械的寿命の低下及びそれによる電気的性能の低下が生じないように、また、電気的絶縁作用による電気的性能の低下が生じないようにする必要がある。
そこで、本実施例では、ブリーザパイプ230をインバータブラケット202の側面に取り付け、インバータ室240にシロキサンガスが発生した場合には、シロキサンガスをインバータ室240内からブリーザパイプ230を介して外部に積極的に排出するようにしている。ブリーザパイプ230は、室内の圧力を抜くために用いられるものであり、シロキサンガスが発生によってインバータ室240内の圧力が外部よりも高くなった場合には、外部からインバータ室240への湿気の浸入を防止しながら、インバータ室240の内気を外部に排出できるものである。ブリーザパイプ230の先端にはホースが装着されており、ブリーザパイプ230を介して排出された排気を車外へ導出することができるようになっている。
このように構成された本実施例によれば、インバータ室240内においてシロキサンガスが発生しても、シロキサンガスをブリザーパイプ230によってインバータ室240から外部に積極的に排出することができ、インバータ室240から第1モータ室160及び第2モータ室170にシロキサンガスが流れ込むことを防止できる。これにより、本実施例では、機械的接触により電気的に導通する機構、例えばスリップリング130及びブラシ131の摺動接触部に二酸化珪素化合物が付着し、電気的絶縁作用や機械的研磨作用が生じることを抑えることができる。従って、本実施例では、スリップリング130及びブラシ131の磨耗による機械的寿命の低下及びそれによる電気的性能の低下、また、電気的絶縁作用による電気的性能の低下を抑えることができ、回転電機装置の信頼性を向上させることができる。
また、本実施例では、第3モータブラケット103とハーネス113との間に形成された隙間を遮断部材(シール部材)104によって塞ぎ、インバータ室240と第2モータ室170との間を遮断している。遮断部材104は弾性体、例えば気密性,耐熱性,耐寒性及び電気絶縁性を有するゴムの成形体によって構成されている。遮断部材104には複数の貫通孔が設けられている。遮断部材104の複数の貫通孔はインバータ室240から第2モータ室170に貫通している。遮断部材104の複数の貫通孔には各相のハーネス113が気密に貫装されている。
このように構成された本実施例によれば、インバータ室240内において発生したシロキサンガスを、インバータ室240から第1モータ室160及び第2モータ室170に流れ込むことを確実に防止でき、上記二酸化珪素化合物による作用を確実に抑えることができる。従って、本実施例によれば、スリップリング130及びブラシ131の機械的寿命の低下及び電気的性能の低下を確実に抑えることができ、回転電機装置の信頼性をさらに向上させることができる。
また、遮断部材104は、インバータ室240と第1モータ室160及び第2モータ室170との間を熱的に遮断できるので、インバータ装置200がモータ100の熱影響を受けることがない。
さらに、本実施例では、モータハウジング108の外周面にブリーザパイプ150を設けている。ブリーザパイプ150は、室内の圧力を抜くために用いられるものであり、温度上昇などによって第1モータ室160及び第2モータ室170の圧力が外部よりも高くなった場合には、外部から第1モータ室160及び第2モータ室170への湿気の浸入を防止しながら、第1モータ室160及び第2モータ室170の内気を外部に排出できるものである。これにより、本実施例では、第1モータ室160及び第2モータ室170の内気がモータ100の発熱によって温度上昇することを抑制し、密閉構造のモータ100の冷却効果を高めるようにしている。ブリーザパイプ150の先端にはホースが装着されており、ブリーザパイプ150を介して排出された排気を車外へ導出することができるようになっている。
本発明の実施例である電動4輪駆動車の後輪駆動系を構成する回転電機装置の構成を示す断面図であり、モータとインバータ装置との一体構成を示す。 本発明の実施例である電動4輪駆動車の後輪駆動系の制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の実施例である電動4輪駆動車の前後輪駆動系のシステムの構成を示すブロック図である。
符号の説明
100…モータ、101…第1モータブラケット、102…第2モータブラケット、
103…第3モータブラケット、104…遮断部材、108…モータハウジング、110…ステータ、113…ハーネス、120…ロータ、130…スリップリング、131…ブラシ、150,230…ブリーザパイプ、160…第1モータ室、170…第2モータ室、200…インバータ装置、201…インバータハウジング、202…インバータブラケット、210…パワーモジュール、211…シリコンゲル、240…インバータ室。

Claims (5)

  1. 少なくとも第1収納室及び第2収納室を備えた筐体と、
    前記第1収納室に収納された回転電機と、
    前記第1収納室に収納されて前記回転電機に電気的に接続され、導電性部材同士の機械的な接触によって電気的に導通する導通機構と、
    前記第2収納室に収納され、前記回転電機を制御する制御装置とを有し、
    前記回転電機と前記制御装置は、前記筐体の内部に配置された接続導体によって電気的に接続されており、
    前記接続導体は、前記第1収納室と前記第2収納室とを連通する空間部を介して前記回転電機から前記制御装置に至るように設けられており、
    前記筐体には、前記第2収納室の内気を前記筐体の外部に放出するための内気放出機構が設けられている
    ことを特徴とする機電一体型回転電機装置。
  2. 請求項1に記載の機電一体型回転電機装置において、
    前記空間部には、前記第1収納室と前記第2収納室との間の通気を遮断するための遮断部材が設けられている
    ことを特徴とする機電一体型回転電機装置。
  3. 請求項1又は2に記載の機電一体型回転電機装置において、
    前記第1収納室は、前記回転電機が収納された部分と前記導通機構が収納された部分とに仕切られており、
    前記筐体には、前記第1収納室の前記回転電機が収納された部分の内気を前記筐体の外部に放出するための内気放出機構が設けられている
    ことを特徴とする機電一体型回転電機装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の機電一体型回転電機装置において、
    前記筐体は密閉構造のものであり、
    前記内気放出機構は、外部からの水の侵入を阻止するための機能を備えたものである
    ことを特徴とする機電一体型回転電機装置。
  5. 車両に設けられた複数の車輪対のうち、少なくとも1つの車輪対を内燃機関によって駆動し、少なくとも他の1つの車輪対を電動力によって駆動する車両に設けられた車両駆動装置であって、
    前記電動力を発生する回転電機と、
    車載電源から前記回転電機に供給される電力を制御して前記回転電機の駆動を制御する制御装置とを有し、
    前記回転電機と前記制御装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の機電一体型回転電機装置によって構成されている
    ことを特徴とする車両駆動装置。
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