JP2007165278A - 直接酸化型燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料タンクから燃料電池のアノードへタンク内の液体有機燃料又はその水溶液を供給する直接酸化型燃料電池システムにおいて、効率的に液成分を回収し、再び電極に供給することにより、燃料電池システムのエネルギー効率を向上させる。
【解決手段】燃料電池のアノードから生成物及び残余燃料を含む流体を排出する排出路は、その管状部分においてその内部の流体の気液を判別する気液検知部、及びその下流に設けられた切替弁を備える。さらに、このシステムは、前記切替弁から分岐して燃料タンクに連なるアノード側回収路、及び気液検知部の出力信号に基づいて切替弁を切り換えて、排出路の液体を回収路へ回収させるように制御する制御装置を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体燃料を直接アノードに供給し、酸化する直接酸化型燃料電池システムに関するものである。
燃料電池は、使用する電解質の種類によって、燐酸型、アルカリ型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型等に分類される。これらの中で、低温での動作が可能で、出力密度が高いという特徴を有する固体高分子型燃料電池は、車載用電源や家庭用コージェネレーションシステム等において実用化されつつある。
一方、近年ではノート型パソコンや携帯電話、PDAといった携帯機器の高機能化に伴い、消費電力は増加する傾向にある。現在使用されている携帯機器用の電源であるリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池は、この消費電力の増加に追従してエネルギー密度を向上させることができず、近々電源の容量不足という問題が生じることが懸念されている。
この問題を解決するための新たな電源として、固体高分子型燃料電池(以下PEFCと記す)が注目されている。中でも常温で液体の燃料を、水素に改質することなく、電極において直接酸化して電気エネルギーを取り出すことができる直接酸化型燃料電池は、改質器が不要で、電源の小型化が容易である点から、最も期待されている。
直接酸化型燃料電池の燃料としては、低分子量のアルコールやエーテル類が検討されている。中でも高エネルギー効率及び高出力が得られるメタノールを用いたダイレクトメタノール型燃料電池(以下DMFCと記す)が最も有望視されている。
DMFCのアノードおよびカソードでの反応は、それぞれ式(1)および式(2)で表される。カソードでの酸化剤である酸素は、空気から取り入れるのが一般的である。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e-・・・(1)
3/2O2+6H++6e-→3H2O ・・・(2)
ところで、燃料の供給方法に関していえば、大きく分類して2つのタイプがある。その1つは、燃料を貯蔵する燃料タンクと燃料電池のアノード側とを液の連絡路により接続し、燃料は濃度拡散現象または液体の対流によってアノードへ到達させるか、あるいは燃料タンクとアノード側との間に、親水性の不織布のような親水性の材料を配置し、毛管浸透現象によって燃料をアノードへ供給するものである。このタイプの燃料電池は、一般的にパッシブタイプに分類される。
他の1つは、燃料タンクと燃料電池との間に燃料供給用のポンプを配置し、このポンプの駆動力によって燃料電池へ燃料を供給するものである。このタイプの燃料電池では、電極の面方向への燃料供給の均一性を向上させるために、カーボン板の片面に、電極に接する面を網羅するように、流路を設けた、いわゆるカーボンセパレータ板を使用するのが一般的である。このようなタイプの燃料供給方法を採用する場合には、アノードでの濃度分極現象によってセルの発電電圧が低下しないように、発電によって消費される燃料量と化学量論的に等しい燃料量よりも多くの燃料を供給し、余剰の燃料を回収するのが一般的である。このタイプの燃料電池は、一般的にアクティブタイプに分類される。
同様に、酸化剤である酸素を含む空気の供給に関しても、ポンプなどの補助機器を使用して強制的にカソードに空気を供給するアクティブタイプと、補助機器を使用せずに気体の対流による空気の循環のみによるブリージングタイプとに分類される。
いずれのタイプも、式(1)で示されるように、アノードで発生する二酸化炭素を燃料電池システム外部へ排出し、かつ燃料を外部へ放出しないための機構が必要である。そこで、気液分離膜によって液体を燃料電池内部に残し、気体である二酸化炭素を排出することが、例えば特許文献1に提案されている。
気液分離膜は、重力と比重差によって液体がある方向に偏ることを利用しようとしているので、燃料電池が上下に反転すると、気液分離膜が液体によって覆われる。そのため、ガス透過性が不可能になり、二酸化炭素の放出が阻害される。携帯用電子機器の電源として燃料電池システムが機能するためには、燃料電池の姿勢を変えても気液分離の機能が働くようにする必要がある。
そのような改良をしたものとして、気液分離のためのタンクに、位置の異なる複数のガス排出孔を設け、タンクが傾斜してもいずれかのガス排出孔から二酸化炭素を排出できるようにするという提案がなされている(特許文献2参照)。
一方、DMFCの電解質膜としては、一般的に、水素を燃料としたPEFCと同様にNafion(デュポン社の登録商標)を代表とするパーフルオロスルホン酸膜が使用される。しかし、これらの電解質膜を使用した場合には、燃料が電解質膜を透過してカソードに到達するクロスオーバー現象により、発電性能を低下させるという問題がある。燃料がメタノールである場合を例にとれば、メタノールはカソードにおいて、式(3)のように酸化される。カソードの電位は、式(2)の電位と式(3)の電位との合計であるので、カソードの電位が低下して、燃料電池の発電電圧が低下する。
CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O・・・(3)
このようなクロスオーバー現象のドライビングフォースは、主に濃度勾配による分子拡散によるものと、プロトンの移動に伴う電気浸透現象によるものとが考えられる。従って、クロスオーバーする燃料の量は、アノード内部の燃料濃度や温度に大きく依存する。従って、現状では、燃料のクロスオーバーによる性能低下を低減させるため、電極に到達する燃料の濃度を低くするように設計せねばならないという問題がある。例えば、前記のアクティブタイプの燃料電池では、燃料の濃度を1〜2mol/l程度に薄めた希薄水溶液を使用するのが一般的である。
しかし、低濃度の燃料を燃料タンクに貯蔵することは、燃料電池システムとしてのエネルギー密度を低下させ、燃料補給の頻度が高くなって、利便性が低下するという問題がある。
そこで、カソードから排出される水を積極的に回収し、燃料タンクに貯蔵される比較的高濃度の燃料と回収した水とを混合してアノードに供給するようなシステム構成を採用するのが一般的である。
このような燃料電池システムにおいて、必要な量の水のみをカソードからの排出流体から回収する方法について、特許文献3に記載されている。そこには、カソードの排出口とコールドトラップとの間に送気ポンプを配置し、カソードで発生する水の1/3を回収し、それ以上は周辺大気に蒸発させることが提案されている。
以上のように、アクティブタイプの直接酸化型燃料電池においては、アノードおよびカソードから排出される流体は、気体と、再利用されうる燃料や水を大量に含んだ液体とからなる。したがって、燃料電池システムのエネルギー効率を向上させ、燃料電池を電源に用いる利便性を向上させるためには、効率的に液成分を回収し、再び電極に供給することが重要である。
ところが、特許文献1に記載の内容では、前記のように燃料電池システムの上下が反転した場合に、気液分離膜が閉塞する問題がある。特許文献2に記載の内容に関しては、気液分離を行うタンク中の液の充填量に制限があり、空間的なロスが大きいために、燃料電池システムの小型化に対して障害となる。つまり、気液分離を行うタンクの大きさは、タンクが傾斜しても、少なくとも1つのガス排出口が液に浸らないように、液の占める体積に比べて大きくしなければならない。
一方、カソードから排出される水の回収に関していえば、特許文献3に記載のように、水の蒸発量は温度とエアの流量に大きく依存するため、正確に必要な量だけの水分を回収するには、精密な温度制御と風量制御を必要とするという問題がある。
発電によって生成される水のみに注目すれば、特許文献3に記載のような量の水がカソードから排出されることになる。しかし、実際には、前記のように燃料のクロスオーバー現象が存在し、カソードに達した燃料が式(3)のように燃焼反応を起こすことによっても水が生成する。
さらには、現在使用されている電解質膜のように、電解質膜自身が水分を含むことでプロトンの移動が起こるような電解質膜を使用する場合には、水分子自体も分子拡散および電気浸透現象によって、アノードからカソードへ移動することが知られている。その移動する水の量は、電極の設計にもよるが、式(2)によって生成される量の数倍に上ることが多い。
従って、特許文献3に記載の蒸発部において、空気中に蒸発させるべき水の量は相当に大きくなることが推定される。そのために、温度制御に要する熱的なエネルギーロスと十分な空気を供給するためのポンプ駆動によるエネルギーロスとが見込まれ、システムとして高いエネルギー効率を得ることは困難となる。
したがって、小型で、エネルギー密度が高く、利便性の高い燃料電池システムが求められている。
特開昭58−35875号公報 特開昭60−62064号公報 特開2004−152561号公報
本発明は、燃料タンクから燃料電池のアノードへタンク内の液体有機燃料またはその水溶液を供給する直接酸化型燃料電池システムにおいて、効率的に液成分を回収し、再び電極に供給することにより、燃料電池システムのエネルギー効率を向上させることを目的とする。
本発明の直接酸化型燃料電池システムは、アノード、カソードおよび両電極間に挿入された高分子電解質膜を含む少なくとも1つのセルを備えた直接酸化型燃料電池、
液体有機燃料またはその水溶液を貯蔵する燃料タンク、
前記燃料タンクから前記燃料電池のアノードへ前記液体有機燃料またはその水溶液を供給する燃料供給路、
前記燃料電池のアノードから生成物および残余液体有機燃料を含む気体と液体からなる流体を排出するアノード側排出路、
前記アノード側排出路の管状部分においてその管状部分を通過する流体の気液を判別するアノード側気液検知部、
前記アノード側排出路の前記アノード側気液検知部より下流に設けられたアノード側切替弁、
前記アノード側切替弁から分岐して前記燃料タンクに連なり、アノードから排出された流体に含まれる液体を回収するためのアノード側回収路、
前記燃料電池のカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給路、
前記燃料電池のカソードから生成物および残余酸化剤を含む気体と液体からなる流体を排出するカソード側排出路、および、
前記アノード側気液検知部の出力信号に基づいて前記アノード側切替弁を切り換えて、前記アノード側排出路の流体に含まれる液体を前記アノード側回収路へ回収させるように制御する制御装置、
を具備する。
本発明によれば、液体の有機燃料またはその水溶液を直接燃料電池のアノードに供給する燃料電池システムにおいて、アノードから排出される燃料または燃料を含んだ水溶液を効率的に、しかも省スペースで回収することが可能となる。
これによって、小型で、エネルギー密度が高く、利便性の高い燃料電池システムを得ることができる。
本発明の直接酸化型燃料電池システムは、さらに、前記カソード側排出路の管状部分においてその内部の流体の気液を判別するカソード側気液検知部、
前記カソード側排出路の前記カソード側気液検知部より下流に設けられたカソード側切替弁、
前記カソード側切替弁から分岐して前記燃料タンクに連なり、カソードから排出された流体に含まれる液体を回収するためのカソード側回収路、および
前記カソード側気液検知部の出力信号に基づいて前記カソード側切替弁を切り換えて、前記カソード側排出路の流体に含まれる液体を前記カソード側回収路へ回収させるように制御する制御装置、
を具備することが好ましい。
この好ましい形態によれば、カソードから排出される水を効率的に、しかも省スペースで回収することが可能となる。
本発明によれば、アノードから排出される燃料または燃料を含んだ水溶液を効率的に、しかも省スペースで回収することが可能となる。したがって、小型で、エネルギー密度が高く、利便性の高い燃料電池システムを得ることができる。
本発明は、アノード、カソードおよび両者間に挿入された高分子電解質膜を含む少なくとも1つのセルを備えた直接酸化型燃料電池、
液体有機燃料またはその水溶液を貯蔵する燃料タンク、
前記燃料タンクから前記燃料電池のアノードへ前記液体有機燃料またはその水溶液を供給する燃料供給路、
前記燃料電池のアノードから生成物および残余液体有機燃料を含む気体と液体からなる流体を排出するアノード側排出路、
前記燃料電池のカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給路、および
前記燃料電池のカソードから生成物および残余酸化剤を含む気体と液体からなる流体を排出するカソード側排出路、
を具備する直接酸化型燃料電池システムに関する。
本発明は、前記の直接酸化型燃料電池システムにおいて、前記アノード側排出路の管状部分においてその管状部分を通過する流体の気液を判別するアノード側気液検知部、
前記アノード側排出路の前記アノード側気液検知部より下流に設けられたアノード側切替弁、
前記アノード側切替弁から分岐して前記燃料タンクに連なり、アノードから排出された流体に含まれる液体を回収するアノード側回収路、および、
前記アノード側気液検知部の出力信号に基づいて前記アノード側切替弁を切り換えて、前記アノード側排出路の流体に含まれる液体を前記アノード側回収路へ回収させるように制御する制御装置、
を具備することを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態おいては、さらに、前記カソード側排出路の管状部分においてその管状部分を通過する流体に含まれる気液を判別するカソード側気液検知部、
前記カソード側排出路の前記カソード側気液検知部より下流に設けられたカソード側切替弁、
前記カソード側切替弁から分岐して前記燃料タンクに連なり、カソードから排出された流体に含まれる液体を回収するためのカソード側回収路、および
前記カソード側気液検知部の出力信号に基づいて前記カソード側切替弁を切り換えて、前記カソード側排出路の流体に含まれる液体を前記カソード側回収路へ回収させるように制御する制御装置、
を具備する。
前記のように燃料電池のアノード側およびカソード側排出路には、気−液2相流体が排出される。そのような流体を、管状の流路に通した場合、気相部分と液相部分の割合によって次の3種の流れとなる。
すなわち、大量の液体の中に少量の気体が気泡として点在する気泡流、気泡同士が結合して気相と液相がほぼ交互に存在するスラグ流、および液相が少量で、管の壁付近のみに液が存在する環状流である。
燃料電池のアノードに関して言えば、電極で生成した二酸化炭素は、ガス拡散層を通過し、セパレータ板の燃料の流路を通過する際に気泡同士が結合して大きな泡の気相を形成し、スラグ流となりやすい。また、カソードについても、空気の供給量を著しく高くしたり、水の沸点に近いような高温で作動させたりしない限りは、水の液滴が、ガス拡散層からセパレータ板の流路を経由する間に凝集して、大きな液滴を形成する場合が多い。さらには、排出される空気が、外気よりも高い温度で運転されているセルから排出路に至り、常温にさらされる際に、空気中の水分が凝縮して液滴を生成する。このような液滴は、前記の液滴とさらに結合するため、結果としてスラグ状になることが多い。
さらには、次の点にも注目する必要がある。すなわち、燃料電池から排出される流体には、前記のように水が多く含まれ、水は高い表面エネルギーを有している。一方、燃料電池のセパレータ板に使用されるカーボン材料、および本発明において使用される光透過性を有する管状部分を形成する透明な樹脂材料は、比較的低い表面エネルギーを有している。このことから、セパレータ板の流路中および排出路の管中において、流路および管の壁に付着した液滴は、容易に凝集して管内径に等しくなるまで成長し、さらには液相の管方向の長さも成長してゆく。
以上のことから、燃料電池から排出される流体の多くは、通常言われるスラグ流よりもさらに気相と液相が明確に分離したものになり、それは時間的に気相と液相が交互に通過するような、いわば間欠的流体になることが観察される。
本発明は、上記のように燃料電池から排出される気−液2相流体が間欠的なスラグ流であることを利用するものである。前記気液検知部は、管状部分を通過する流体の気液を判別することにより、気液の界面が気液検知部を通過するタイミングとその液相の排出路方向の長さに関する情報を信号として発信して制御部に送る。制御部は、受けた信号に応じたタイミングで切替弁をON・OFFすることにより、排出路を流れる流体中の気液を分離することが可能となる。
これによって、従来のように非効率的な容積の大きな気液分離タンクを用いる必要も無いし、水を蒸気化するための送気ポンプや温度調節器を付加することで、本来不要な電力を消費することもない。したがって、小型で、エネルギー効率の高い燃料電池システムを得ることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記アノード側およびカソード側の排出路の管状部分は、光透過性の高い透明な材料から構成され、前記アノード側およびカソード側の気液検知部は光の透過または反射度合いによって前記管状部分の内部を通過する流体の相の気液を判別する光センサーからなる。
一般的に光センサーは、応答速度が速く、温度などの影響を受けにくいことから、高い精度で気液の分離を行うのに適したセンサーである。しかも、一般的に広く使用されており、コストや入手し易さという面でも優れている。
このように、好ましい実施の形態においては、光の反射および透過性を利用して液体の有無を検知する。これによって、気液分離の精度を高くし、かつシステムの実現性を高めることが可能となる。
本発明の他の好ましい実施の形態においては、アノード側排出路から回収される燃料またはその水溶液およびカソード側排出路から回収される水が燃料タンクに貯蔵される。そして、前記燃料タンク内の液量を検知するための液量センサー、および前記カソード側回収路に配置された切替弁を具備し、前記液量センサーから送られる信号に応じて、前記カソード側回収路に配置された前記切替弁を切り換えて、液体の回収率を調整し、前記燃料タンクの液量を規定の範囲内に保つように制御する。
これによって、燃料電池から回収される水の量が過剰である場合にも連続運転が可能になる。したがって、厳密に水の収支を管理する必要がなくなるため、燃料電池システムの運転条件等の許容幅が広がり、自由度の高い燃料電池システムを得ることが可能となる。
本発明のさらに他の好ましい実施の形態においては、液体有機燃料にメタノールを用いる。
前記のように、直接酸化型燃料電池の燃料としては、理論的なエネルギー変換効率が高く、他の有機燃料に比べてアノードでの反応過電圧が小さく、高出力が得られるメタノールが有望である。メタノール燃料を用いることによって、エネルギー密度の高い、携帯用電子機器の電源として好ましい燃料電池を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の一実施の形態の燃料電池システムの概略構成を示す図である。ここに示す燃料電池10は、プロトン伝導性電解質膜11、および電解質膜11をサンドイッチするアノード12およびカソード13を含む。電解質膜11には、Nafion(登録商標)に代表されるプロトン伝導性を有する高分子電解質の膜が使用される。昨今では、Nafion(登録商標)に比べて、燃料のクロスオーバーが起こりにくい電解質膜が開発されつつあり、そのような電解質膜を使用することもできる。
アノード12およびカソード13は、電解質膜11に接する触媒層と、その触媒層の外側に配置されるガス拡散層とからなる。触媒層は、電極反応を活性化させるための触媒とプロトン伝導性を有する高分子電解質からなる。ガス拡散層は、ガス拡散が良好で、電子導電性を有する、カーボン材料の織布、不織布、ペーパーなどからなる。電解質膜11、アノード12およびカソード13は、通常一体に組み立てられ、これは膜電極接合体(MEA)と呼ばれる。燃料電池は、一般に上記のようなMEAが複数個積層されて構成される。図1では、簡単のため、単一のMEAを示しているが、本発明は、そのような積層体をも意図している。
MEAは、一対の導電性のセパレータ板の間に挟まれている。セパレータ板のアノードと接する面には、アノードに燃料を供給し、残余の燃料および生成物を排出するための流路が形成されている。セパレータ板のカソードと接する面には、カソードに酸化剤を供給し、残余の酸化剤および生成物を排出するための流路が形成されている。セパレータ板は、黒鉛または黒鉛−含浸樹脂などのカーボン板から構成される。流路の形状としては、様々なものが提案されている。一本の流路が電極面内を蛇行するようなタイプのサーペンタイン型、または複数の並行する流路が蛇行するタイプのサーペンタイン型、直線状の流路を互いに平行に複数配列した平行複流路型、セル中央部から外側に向けて放射状に伸びるタイプなどがある。
MEAが複数積層された燃料電池においては、外部から供給される燃料および酸化剤(空気)が、マニホールドと呼ばれる分配部を通して各セルへ供給され、セルの出口において再びマニホールドにおいて集合されるのが一般的であるが、これに限定するものではない。
電極の触媒としては、一般的に白金に代表される貴金属触媒粉末が用いられる。ブラックと称される金属の微粉末を用いる場合と、カーボン粉末に高分散されて担持された状態のものを用いる場合とがある。とくにアノード側の触媒としては、例えばメタノールのように、燃料酸化過程において一酸化炭素を中間生成物として生成する反応系においては、活性点の被毒を低減するために、白金−ルテニウム合金などが用いられることが多い。これらの触媒粉末とNafion(登録商標)に代表されるような高分子電解質を含む溶液とを混合してペースト状にし、電解質膜表面に塗布した後、ホットプレス法などにより定着させて触媒層が形成される。
ガス拡散層としては、一般的には電気伝導度が高く、70%以上の高い多孔度を有し、高いガス拡散性が得られるカーボンペーパー、カーボンクロスまたはカーボン不織布が用いられる。また、カソードのガス拡散層は、特に、アノードから移動してくる水およびカソードの電極反応によって生成される水がガス拡散層に滞留して、触媒層への空気の供給を妨げないために、ポリテトラフルオロエチレンなどの撥水性材料によって撥水性処理を施すことが多い。
燃料カートリッジ20に収容されている燃料は、適宜燃料タンク21に補給され、燃料タンク21内において燃料電池に供給される燃料濃度の水溶液となる。タンク21内の燃料水溶液は、ポンプ23を備えた燃料供給管22から燃料電池10の燃料の入口側マニホールドに供給され、そこからアノード12に供給される。残余の燃料および反応生成物は、出口側マニホールドから排出管24に排出される。
一方、酸化剤の空気は、ポンプ31を備えた空気供給管30から燃料電池10の酸化剤の入口側マニホールドに供給され、そこからカソード13に供給される。残余の空気および生成物は出口側マニホールドから排出管32に排出される。
燃料の排出管24には、そこを流れる流体の気液を判別する気液検知部41が設けられている。管24の気液検知部41より下流には、切替弁43が設けられ、管24を流れてくる液体は、切替弁43の作動により、分岐した管25から燃料タンク21へ送られる。
同様に、空気の排出管32には、管32内を流れる流体の気液を判別する気液検知部42が設けられている。管32の気液検知部42より下流には、切替弁44が設けられ、管32を流れてくる液体は、切替弁44の作動により、分岐した管26からタンク21へ送られる。
前記の気液検知部41および42、切替弁43および44、並びに制御部45は、気液分離装置を構成する。制御部45は、燃料電池システム全体を制御する制御部と共有でもよいし、気液分離装置に固有の制御部としてもよい。
ここに用いられる燃料ポンプ23は、タンク21から燃料電池のアノードに燃料の水溶液を供給するためのもので、燃料供給路の圧力損失や二酸化炭素の発生によるセル内の内部圧力上昇などに関わらず、安定して定められた量の燃料を送るためには、ある程度の吐出圧力が必要であり、容積式のものを用いるのが一般的である。
空気ポンプ31は、燃料電池の空気側流路の設計やエア供給量の設計値などによって、流路の圧力損失が高い場合には容積式ポンプが必要となる場合もあり、そうでない場合には、シロッコファンなどを用いることも可能である。
タンク21は、燃料を補給するための燃料カートリッジ20から供給された燃料の水溶液と、気液分離装置40を経由して回収された余剰の燃料水溶液および水を混合し、燃料カートリッジ20に貯蔵されるよりも低い濃度の燃料水溶液を生成することによって、前記のようなクロスオーバー現象を低減させることを可能にする。燃料電池システムの小型化を追求するためには、それ自身が個別に容積を占有するようなタンクにする必要はなく、アノードへ燃料を供給する管の一部であっても良く、アノードの内部またはそれに接する位置に形成されたものであってもよい。ただし、その容積に関していえば、前記のようにアノードおよびカソードから排出される流体から、液体が回収されるのは間欠的であるため、タンク21は多少の時間的な液量の増減を吸収することが可能な体積的余裕を有することが望ましい。
燃料カートリッジ20は、それ自身が燃料電池システムから脱着可能で、ユーザーがカートリッジ自体を交換するタイプのものでも、燃料またはその水溶液をユーザーが補充するタイプのものでもよい。
気液分離装置の作動により、水を必要量以上に回収してしまうような場合には、余剰の水を燃料電池システムの外部に放出することは、ユーザーの利便性を考えると困難である。したがって、燃料カートリッジの内部を可動式の壁で仕切り、燃料を消費することで空いたスペースに、余剰の液体の水を充填しておくようにすることもできる。
気液分離装置40の気液検知部41および42は、管の中の気相と液相とを判別することができるものであればいかなる検知器でもよい。例えば、管の内壁に電極を配置し、その電気容量を測定する容量式のものなどがある。しかし、前記のように応答性や汎用性といった観点から、本実施の形態では、管にビーム状の光を照射し、その反射光を検知することにより、気液を判別することができる光センサーを使用する例について記載する。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
図2Aおよび図2Bに気液検知部の構成例を示す。
管24および32の気液検知部41および42に対応する部分は、図2Aおよび図2Bに50で示すように、光透過性の材料よりなる管50で構成する。そして、管50の外側には、光センサー51を設ける。光センサー51の発光部53から管50に向かってビーム状の光54を照射すると、図2Aのように、管50内が気体55である場合には、光の屈折率が大きいために、管の内壁において光が反射され、その一部を受光部52によって検知する。しかし、図2Bのように、管50内に液体56が満たされていると、屈折率がさほど大きくならないため、光のほとんどは液体と管を通過するので、受光部52では検知されない。このような原理のセンサーを使用すれば、光センサーを設置した管50内を通過する流体が気相、液相のどちらであるかを検知し、それを信号として発信することができる。ただし、ここに記載のセンサーはその一例にすぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
気液検知部における管50は、当然のことながら、光透過性であることが要求される。しかし、排出管24および32におけるセルの出口から切替弁まですべて光透過性である必要はなく、光センサーを配置する部分のみ光透過性を有すればよい。光透過性の材料としては、テフロン、ポリカーボネートなどの合成樹脂や、ガラスを使用することができる。
上記のような光センサーを有する気液検知部41および42で検知された気相、液相を判別する情報は、制御部45に送られる。制御部45は、液相と気相の界面が切替弁43および44を通過するタイミングを計算して、切替弁43および44にそれぞれ信号を発信する。液相と気相の界面が光センサーを通過するタイミングと、切替弁を通過するタイミングとの時間的な”ずれ”は、光センサーから切替弁までの距離と流体の速度、すなわち流速から計算することができる。
ただし、燃料電池の排出流体の流速を計算によって正確に求めるのは、困難である。なぜなら、燃料電池の排出流体は気−液2相流体であり、それは気体の供給量または排出量のみならず、液体の含有量や温度によって大きく変化するからである。従って、最も好ましくは、気液検知部における管50の上流と下流の2箇所に光センサーを配置し、それらが液相と気相の界面を検知する時間差から流速を求めるのがよい。
実際には、光センサーを数多く搭載することは、製造コストの増加を招くことから難しい場合もある。そのような場合には、あらかじめパラメータの変化による流速の影響を加味しながら、条件変更に応じてそれに見合う流速が求められるような準備をしておくとよい。例えば、アノード側からの排出流体の流速に関しては、最も流速を大きく変化させる要素は、二酸化炭素の排出量である。したがって、発電電流密度を何点か変更して、二酸化炭素の発生量が異なる状態で、排出流体の流速を計測しておき、その情報を制御部45にインプットしておけばよい。
実施の形態2
本実施の形態の燃料電池システムの構成を図3に示す。図3において、図1と同じ要素には同じ番号を付し、説明を省略する。
47は燃料タンク21に取り付けられた液面センサーなどの液量センサを示す。カソード側の排出管32から分岐した管26には、途中に切替弁46が設けられている。この切替弁46から分岐した管34は、余剰液体用タンク33に連絡されている。
実施の形態1において既に説明したように、燃料タンク21はできるかぎり小さく、燃料電池システム全体の体積に比較すると無視できる程度であることが好ましい。ただし、燃料タンク21をそのように小さくするためには、タンク21に出入りする液量の収支が0になることが必要となる。つまり、タンク21からアノードへ供給される液量が、アノードおよびカソードから回収される液量と等しくならなければならない。
この釣りあいをとるためには、例えば、特許文献3に記載のように、送気ポンプの流量を調節して過剰の液体の水を蒸発させたり、凝縮装置を使って水の回収量を増加させたりという制御を行わなければならない。
本実施の形態は、そのような煩雑な制御を行うことなく、タンク21の容積を多少余裕のあるものにして、そこに液面センサー47を付加する。そして、気液分離装置40からの液回収量が過剰なとき、すなわちタンク21内の液面が高くなったことを検知したときは、制御部45を通じて切替弁46を制御し、切替弁44によってタンク21側に導かれる液体の一部をタンク21に回さないようにすればよい。切替弁46によって、タンク21に回されなかった液体は、余剰液体用タンク33に貯蔵しておけばよい。
この余剰液体用のタンク33は、余剰の液体量にもよるが、非常に小さい容積で済むと考えられる。タンク33は燃料カートリッジ20と同様に、燃料電池システム自体から取り外しが可能なカートリッジ式にして、定期的に交換して空の新しいタンクを装着するようにしてもよい。また、タンク33は燃料カートリッジ20と一体化しており、燃料カートリッジ20を交換するときに同時に交換できるようにしてもよい。
または、タンク21にもうひとつの液面センサーを付加し、タンク21内の液量が低下したとき、すなわち液面があるレベルよりも低くなったときに、この余剰液体用タンク33からタンク21に液体を供給できるようにしてもよい。
なお、本実施の形態においては、余剰の液体を余剰液体用タンクに回すための切替弁46は、カソード側からの液回収管26にのみ設置している。これは、余剰液体を廃棄する場合を考慮している。すなわち、アノード側からの回収液体は、未使用の燃料や反応の副生成物を含んでおり、必ずしも一般廃棄物として適切でない物質が含まれている。これに対して、カソード側からの回収液体は、ほとんどの燃料電池において水のみであり、廃棄上問題はない。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。
以下に本発明の実施例を説明する。
《実施例1》
図1に基づいた本発明の実施例として、燃料にメタノールを使用するDMFC型燃料電池の例を示す。
まず、電極触媒としては、アノード、カソードともに平均一次粒子径が30nmの導電性カーボン粒子に、貴金属を50重量%担持した粉末を用いた。カソード側に担持する貴金属は白金、アノード側には原子比1:1の白金−ルテニウム合金を用いた。これらの触媒粒子をそれぞれ水に分散させた後、固体高分子電解質のエタノール溶液(旭硝子(株)製フレミオン(登録商標))と混合し、これを超音波分散機を使用して分散し、さらに、脱泡装置を用いて脱泡してペーストとした。これらのペースト中の固体高分子電解質の含有量は30重量%となるように調整した。
これらのペーストを厚み50μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に、バーコーターを用いて塗布し、常温で1日放置して乾燥した。高分子電解質膜(Dupont社製Nafion(登録商標)117)の両面に、それぞれアノード触媒層付のPTFEシートおよびカソード触媒層付のPTFEシートを配置し、ホットプレス機で各触媒層を電解質膜に熱転写させた後、PTFEシートを除去し、触媒層付き電解質膜を作製した。触媒層の面積は、25cmであり、形状は一辺が5cmの正方形とした。
次に、ガス拡散層を作製した。基材として、カーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−090)を使用した。これを、撥水剤テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のディスパージョン(ダイキン工業(株)製ND−1)を所望の濃度に希釈した液に1分間浸漬して引き上げた後、100℃の熱風乾燥機中で乾燥し、270℃の電気炉中で2時間焼成処理を行った。このとき、撥水剤の含有量は5wt%となった。このようにして作製したアノード側およびカソード側ガス拡散層を前記の触媒層付き電解質膜の両側に配置し、ホットプレス機を用いて接合して、膜電極接合体(MEA)を得た。
セパレータ板は、厚み4mmの黒鉛板の両側に切削加工によって、いわゆるサーペンタイン型と呼ばれる蛇行状の燃料供給用流路および空気供給用流路を形成した。流路は1つまたは複数の溝からなり、溝の大きさは、燃料側、空気側とも幅1mm、深さ1mmとし、隣り合う溝同士の間隔は1mmとした。
前記MEAの両側をセパレータ板で挟持したものを8セル積層して、燃料電池スタックを組み立てた。スタックの外側には、金メッキを施した銅板からなる集電板を配置して、これを外部回路と接続し、さたにその外側にはPTFEからなる絶縁板を介して、ステンレス鋼板の端板で挟みこみ、複数のボルト、ナットを用いてそれらを締結した。
なお、セパレータ板には、燃料流路の入口および出口に、それぞれ連なる入口側マニホールド孔および出口側マニホールド孔を設けた。同様に、酸化剤の空気流路の入口および出口に、それぞれ連なる入口側マニホールド孔および出口側マニホールド孔を設けた。
燃料ポンプは、日本精密科学(株)製NP−KX−120、空気ポンプは、榎本マイクロポンプ(株)製CM−50を用いた。燃料タンクは、ポリカーボネート樹脂からなり、直径4cm、高さ4cm、肉厚2mmの円筒形の容器であり、内容積は約40cmであった。燃料カートリッジには、濃度4mol/Lのメタノール水溶液を貯蔵し、燃料タンクの上部に配置し、それらの間にスウェージロック社製メータリングバルブSS−SS1を使用して、バルブの開度に応じて一定量が燃料タンクへ滴下されるようにした。
気液検知部の光センサーとしては、キーエンス製FU−95を用いた。光透過性の管状部には、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)とテトラフルオロエチレンの共重合体製の直径6mm、肉厚1mmの管を使用した。
燃料電池スタックからの排出路の管を回収用パイプと排出用パイプの2つに分岐し、その液体回収パイプ側の分岐路に切替弁を設けた。すなわち、切替弁は、圧電素子を使って電気的に回収側パイプの開閉ができるものを用意し、気相が分岐点に達する前に弁を閉じるようにした。
制御にはパーソナルコンピュータを用い、あらかじめ排出流体の流速を測定しておき、その値をもとに、気液検知部の光センサーが、液体の存在を確認してから何秒後に切替弁を開けるかという計算式をインプットしておいた。例えば、燃料電池スタックに送られる燃料流量が4cc/min、空気流量が4L/minで、発電量が10Wあるとき、アノードから排出される流体の気−液界面の流速は、2.1cm/sであり、カソードから排出される流体の気−液界面の流速は、15cm/sであった。
このように構成された燃料電池システムを燃料電池システムAとする。
この燃料電池システムAを連続的に5時間運転させたときの燃料タンク内の燃料を注射針で抽出してガスクロマトグラフ法によって、その濃度の推移を測定した。その結果を図4に記号Aで示す。運転開始時は、1mol/Lのメタノール水溶液を30cc燃料タンクに充填しておいた。図4からわかるように、燃料補給用のカートリッジからは、初期濃度よりも高い濃度の4mol/Lの燃料が燃料タンクに供給されているにも関わらず、燃料タンク内のメタノール濃度は1mol/Lに調整されていることがわかる。このことから、アノードから排出される未使用の燃料を含んだ低濃度の燃料水溶液と、カソードから排出される水を気液分離装置の働きで回収し、燃料タンクへ適正量送られていることが確認された。
また、本発明による気液分離装置が気相と液相の判別を確実に行うとともに、切替弁を制御することにより、正確に気液の分離を行っていることを確認するために、燃料タンクに微小な孔を空けて、そこにガス収集用のバッグを接続した。5時間の運転で、ほぼガス収集用のバッグの体積増加は無く、燃料タンク側に回収された液体に気体が混入していないことが確認された。
一方、本実施例による燃料電池システムのアノードおよびカソードのガス排出管の出口にそれぞれ受け皿を配置し、液体の排出を確認した。同様に5時間の運転で、排出管の出口に置かれた受け皿からは、いずれも液体が検出されなかった。このことからも、本発明の気液分離装置により、確実な気液分離を行うことが可能であることが確認された。
《実施例2》
ここでは、実施の形態2に基づく実施例について説明する。
実施例1と同様に燃料電池スタック、気液分離装置およびタンク類を作製し、燃料タンクの側面に、液面センサーとしてキーエンス製FU−93を設置した。図3に示すように、余剰液体用のタンクをセットした。そして、燃料タンク内の液面が所定値より高くなると、燃料電池のカソード側からの排出液体である水の一部をこの余剰液体用タンクに送るようにした。液面センサーが発する信号は、制御部であるパーソナルコンピュータに送られ、余剰液体用の切替弁を動作するようにした。
燃料電池の運転条件は、実施例1よりも空気供給量を少なくし、3L/minとした。これによって、燃料電池の出力は9Wに低下した。カソードから排出される空気とともに、燃料電池システム外部に排出される水の量が減少するため、燃料電池システム内部での水の収支はプラスになり、結果として燃料タンク中の液量は増加する結果となる。
このとき、アノードから排出される気液混合流体の界面の流速は、1.9cm/sであり、カソードから排出される気液混合流体の界面の流速は、11cm/sであった。
このように構成された燃料電池システムを燃料電池システムBとする。
この燃料電池システムBを連続的に5時間運転させたときの燃料タンク内のメタノール水溶液の濃度の推移を図4にBで示す。燃料電池システムAと同様に、安定した濃度の推移が観察された。後に記載のように、燃料タンク内のメタノールの濃度が、運転開始初期にやや低下した。これは、運転開始時に燃料タンクに充填する液量を、液面センサーの設定値よりかなり少なくしたためであり、したがって、運転開始初期には回収される水の量が、比較的多かった。これを是正すれば燃料電池システムAと同様の濃度推移をすることが確認された。
また、そのときの燃料タンクの底からの液面の高さの推移を測定した結果を図4にCで示す。液面センサーは、水位が3.0cmのときに信号を発するように設置したが、液面センサーの動作の確認を容易にするために、運転開始時に燃料タンクの水位を2.5cmとした。図4から、設定水位である3.0cmで安定に推移し、液面センサーと切替弁による動作が確認された。
本発明の燃料電池システムは、携帯電話や携帯情報端末(PDA)、ノートPC、ビデオカメラ用等の携帯用小型電子機器用の電源として有用である。また、電動スクータ用電源等の用途にも応用できる。
本発明の一実施の形態における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態における燃料電池システムに使用される気液検知部の、管状部分に気体が満たされている状態を示す断面図である。 本発明一実施の形態における燃料電池システムに使用される気液検知部の、管状部分に液体が満たされている状態を示す断面図である。 本発明の他の実施の形態における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。 実施例の燃料電池システムAおよびBを連続運転したときの燃料タンク内の燃料濃度の推移並びに燃料電池システムBの燃料タンクの液面の推移を示すグラフである。
符号の説明
10 燃料電池
11 電解質膜
12 アノード
13 カソード
20 燃料タンク
21 燃料カートリッジ
22 燃料供給管
24 排出管
25、26 分岐管
30 空気供給管
32 排出管
41、42 気液検出部
43、44 切換弁
45 制御部

Claims (6)

  1. アノード、カソードおよび両電極間に挿入された高分子電解質膜を含む少なくとも1つのセルを備えた直接酸化型燃料電池、
    液体有機燃料またはその水溶液を貯蔵する燃料タンク、
    前記燃料タンクから前記燃料電池のアノードへ前記液体有機燃料またはその水溶液を供給する燃料供給路、
    前記燃料電池のアノードから生成物および残余液体有機燃料を含む気体と液体からなる流体を排出するアノード側排出路、
    前記アノード側排出路の管状部分においてその管状部分を通過する流体の気液を判別するアノード側気液検知部、
    前記アノード側排出路の前記アノード側気液検知部より下流に設けられたアノード側切替弁、
    前記アノード側切替弁から分岐して前記燃料タンクに連なり、アノードから排出された流体に含まれる液体を回収するためのアノード側回収路、
    前記燃料電池のカソードに酸化剤を供給する酸化剤供給路、
    前記燃料電池のカソードから生成物および残余酸化剤を含む気体と液体からなる流体を排出するカソード側排出路、および、
    前記アノード側気液検知部の出力信号に基づいて前記アノード側切替弁を切り換えて、前記アノード側排出路の流体に含まれる液体を前記アノード側回収路へ回収させるように制御する制御装置、
    を具備する直接酸化型燃料電池システム。
  2. さらに、前記カソード側排出路の管状部分においてその管状部分を通過する流体の気液を判別するカソード側気液検知部、
    前記カソード側排出路の前記カソード側気液検知部より下流に設けられたカソード側切替弁、
    前記カソード側切替弁から分岐して前記燃料タンクに連なり、カソードから排出された流体に含まれる液体を回収するためのカソード側回収路、および
    前記カソード側気液検知部の出力信号に基づいて前記カソード側切替弁を切り換えて、前記カソード側排出路の流体に含まれる液体を前記カソード側回収路へ回収させるように制御する制御装置、
    を具備する請求項1記載の直接酸化型燃料電池システム。
  3. さらに、前記燃料タンクに前記液体有機燃料を補給する燃料補給タンクを具備する請求項1記載の直接酸化型燃料電池システム。
  4. 前記アノード側およびカソード側の排出路の管状部分は、光透過性の高い透明な材料から構成され、前記アノード側およびカソード側の気液検知部は光の透過または反射度合いによって前記管状部分の内部を通過する流体の相の気液を判別する光センサーからなる請求項2記載の直接酸化型燃料電池システム。
  5. さらに、前記燃料タンク内の液量を検知するための液量センサー、前記カソード側回収路に配置された切替弁、および前記液量センサーから送られる信号に応じて、前記カソード側回収路に配置された前記切替弁を切り換えて、液体の回収率を調整し、前記燃料タンクの液量を規定の範囲内に保つように制御する制御部を具備する請求項2記載の直接酸化型燃料電池システム。
  6. 前記液体有機燃料がメタノールである請求項1記載の直接酸化型燃料電池システム。
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