JP2007164076A - 封印シール - Google Patents

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Abstract

【課題】封印の対象物に貼着して、不正な剥離行為が明確に判明可能な封印シールを得るとともに、この封印シールの対象物からの剥離時に、封印シールから剥離した不透明層や貼着層が対象物に残存することがないか、又は対象物から容易に除去可能とする。
【解決手段】透明又は半透明の表面シート1の一面に離型剤により警告表示2を印刷して剥離容易な離型部3を設けるとともに、離型部3の形成部分を含めて表面シート1の離型部3側に不透明層4を形成し、不透明層4の外表面に貼着層6を形成し、貼着層6は対象物5への貼着面8に凹凸形状を形成する。そして、貼着層6は凹凸形状の凸部10を介して対象物5への表面シート1の貼着と対象物5からの剥離を可能とし、剥離時に貼着層6を表面シート1の離型部3から対応する不透明層4とともに剥離可能とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、カバン等の収納体の開閉部、パソコンのメディアの挿入口、扉の開閉部、鍵の挿入口その他の対象物に貼着したり、書面に記載されたサイン、パスワード等を被覆して封印する封印シールに係るものであり、封印シールが剥離された場合、この剥離行為が確実に判明可能であるとともに、剥離時に粘着層等が対象物に付着残存しにくくしようとするものである。
特開平9−279108号公報 特開2001−97441号公報
従来、例えば銀行業務において、顧客情報を記録した磁気テープを支店から本店に移送する場合等は、この磁気テープをアタッシュケース等のカバンや封筒、樹脂袋等に収納して移送する。この移送途中で、上記カバンや封筒、樹脂袋等が不正に開けられて情報が盗まれることを防止するため、カバンや封筒、樹脂袋等の開閉部に封印シールを貼着する手段が採られている。
この封印シールの一例としては、例えば図7に示す如く、透明又は半透明の表面シート(20)の一面に、離型剤により「開封無効」等の一定の警告表示(21)を印刷して剥離可能な離型部(22)を設けるとともに、この離型部(22)を含めて表面シート(20)の一面全体に不透明層(23)を形成し、この不透明層(23)の表面に粘着剤により貼着層(24)を平滑に形成したものが存在する。このように形成した封印シール(25)をカバン等の対象物(26)に貼着して封印する。そして、貼着した封印シール(25)が剥離されると、離型部(22)部分の不透明層(23)が表面シート(20)から剥離して、貼着層(24)とともに対象物(26)の表面に残存し、「開封無効」等の警告表示(21)が対象物(26)に転写表示されるとともに、表面シート(20)は離型部(22)部分が欠落することにより、「開封無効」等の警告表示(21)が浮き出る。そして、この剥離した表面シート(20)を対象物(26)に再度貼着しようとしても、前記「開封無効」等の文字を完全に一致させて貼着することはできず、不正な剥離を判別可能としているものである。
また、特許文献1に示す如く、銀行、その他の顧客業務に於いて、顧客の印影、サイン、パスワード等に貼着して、これらが見えないようにする遮蔽シールも存在する。これは、図7に示す如き封印シールと同様に表面シート、警告表示を印刷した離型部、不透明層及び平滑な貼着層とから成るシールに、更に貼着層の外面側に印影等の保護表示を保護する基板シートを配置し、この基板シートの外面に、保護表示に貼着するための外面貼着層を平滑に設けたものであり、この遮蔽シールを外面貼着層側から保護表示に貼着してこの保護表示を遮蔽するものである。そして、保護表示に貼着した遮蔽シールを剥離すると、基板シートが保護表示に残るとともに、この基板シート上に「開封無効」等の警告表示が貼着層とともに残存し、表面シートには「開封無効」等の警告表示が浮き出るものである。したがって、正当権限者以外の者が遮蔽シールを不正に剥離して印影等を見ようとすると、剥離した表面シートに「開封無効」等の文字が表示されて不正行為が判明するので、正当権限者に到達するまでの間の盗用、不正複写等を防止可能としていた。
また、パソコンのハードディスク等に保存されているデータを磁気ディスク等の記録媒体に不正にコピーされるのを防止するため、磁気ディスク等のドライブの挿入口に封印シールを貼着して封印する手段も存在した。また、CDケースや商品のケース、包装フィルム、又は特許文献2に示す如く半導体メモリーの保管ケース等の不正な開封を防止するため、これらのケースや包装フィルムに封印シールを貼着する手段も存在した。これらの場合にも、不正行為を行おうとする者が封印シールを不正に剥離すると、パソコンやケース、包装フィルム等の表面及び剥離された封印シールが破壊される。この場合も、やはり元に戻そうとしても、破壊部分を完全に復元することができず、不正な剥離を確実に判別することができるため、不正行為の未然の防止が可能であった。
また、近年はカメラ付き携帯電話の発達により、カメラでの手軽な撮影が可能となっている。そのため、職場や工場等で、企業秘密等をカメラで撮影されないよう、従業員や見学者等の携帯電話のカメラに封印シールを貼着する手段が採られている。この封印シールを剥離して、書類や製品等を不正に撮影した場合、封印シールが破壊されることにより、退出の際等に、チェック者が携帯電話の所有者の不正行為を確実に発見することや判別することが可能となる。
しかしながら、上記従来例に示す如き封印シールや特許文献1に示す如き遮蔽シールは貼着層を平滑に形成しているため、これらのシールを平滑な対象物に貼着すると、貼着層の全面が対象物に貼り付くものとなる。そして、不正な剥離であっても、正当権限者による正当な剥離であっても、封印シールを対象物から剥離した際に不透明層と貼着層が対象物に全て残存し、周囲のゴミが付着したりして見栄えを悪くしていた。これら残存した不透明層と貼着層は、貼着層の全面が対象物に貼り付いているため、手指等で強く擦って除去したり、専用の剥離シート等を使用して除去する必要があったり、何れの場合も除去作業は手間や時間が掛かって煩わしいものであった。また、携帯電話等ではカメラやボタンに貼着層が付着すると、除去しにくいとともに、カメラやボタン操作に支障を来す虞もあった。
そこで本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、正当権限者以外によるカバン、ケース、封筒、樹脂袋等の不正な開放や、印影、サイン、パスワード等の不正な確認を防止したり、携帯電話のカメラによる不正な撮影を防止できるように、対象物に貼着する封印シールに於いて、万一不正行為が行われた場合には、正当権限者によってその不正行為が容易に確認できるようにしようとするものである。また、貼着層と対象物との貼着面積を減少させ、対象物に貼着した封印シールを剥離しても、この剥離時に不透明層や貼着層が対象物に残存しないか、又は殆ど残存しないものとし、残存した場合であっても残存物を手指等で軽く擦るだけで容易に除去可能にしようとするものである。
そこで上述の如き課題を解決するため、透明又は半透明の表面シートの一面に離型剤により警告表示を印刷して剥離容易な離型部を設けるとともに、この離型部の形成部分を含めて表面シートの離型部側に不透明な不透明層を形成し、この不透明層の外表面に貼着層を形成し、この貼着層は対象物への貼着面に凹凸形状を形成し、この凹凸形状の凸部を介して貼着層を対象物へ貼着することにより表面シートを対象物に貼着可能であるとともに対象物からの貼着層の剥離が可能で、この剥離時に貼着層を表面シートの離型部から対応する不透明層とともに剥離可能としたものである。
また、凹凸形状は、361〜4096メッシュの間隔で形成したものであってもよい。
また、凹凸形状は、表面シート及び不透明層とともに貼着層をエンボス加工にて形成するものであってもよい。
また、不透明層は、アルミ真空蒸着により形成したものであってもよい。
また、貼着層は、アクリル共重合体40wt%、トルエン35wt%及び酢酸エチル25wt%からなる粘着剤を形成し、この粘着剤99wt%と硬化剤1wt%とを混合して形成したものであってもよい。
また、硬化剤は、イソシアネートを含有するものであってもよい。
本発明においては、上述の如く構成したものであって、貼着層の対象物への貼着面に凹凸形状を設けたことにより、この凹凸形状の凸部を主体として対象物に貼着し、凹部は貼着しにくいものとなる。したがって、貼着層と対象物との接触面積が少なくなり、封印シールを対象物から剥離する際に容易に剥離可能となるとともに、貼着層等の残存物が対象物に残存しないか、又は殆ど残存しないものとなる。
この場合であっても、警告表示は、表面シートの一面に離型剤により印刷し、この離型剤の表面に不透明層を形成したものであるため、封印シールの剥離に伴って不透明層の外表面に形成した貼着層が少しでも引っ張られれば、不透明層は表面シートと容易に分離し、この分離した部分の警告表示が表面シートに現れるものとなる。また、警告表示は表面シートの一面に離型処理したものであるため、封印シールの剥離時に不透明層が表面シートと分離すると、この不透明層は表面シートに戻ることはなく、表面シートには警告表示が現れたままとなり、剥離の事実は消すことができないものとなる。
したがって、封印シールを顧客情報等の機密情報、貴重品、ROM、商品等を収納した対象物たるカバンやケース、封筒、樹脂袋等の開閉部に貼着したり、磁気ディスク等のドライブ等の記憶媒体の挿入口に貼着することにより、対象物を封印して、正当権限者以外の者が不正にカバン等を開けたり、データを記録媒体に不正にコピーするなどの不正行為を防止することができる。また、上述の通り剥離の事実を消すことはできないため、正当権限者が不正剥離の事実を発見した場合には、警察への通報等の対策を直ちに講じることができる。また、正当権限者が正当に剥離した場合でも、貼着層等の残存による見栄えの悪化を生じにくく、この残存した貼着層等を除去するための手間や除去用シート等を必要とせず、作業効率が向上するものとなる。
以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明すると、(1)は表面シートで、透明又は半透明の樹脂フィルムにて形成している。そして、この表面シート(1)の一面に、離型剤により一定の意味を有する記号、文字等の警告表示(2)を印刷して剥離容易な離型部(3)を設ける。この離型部(3)の警告表示(2)は、本実施例では「開封無効」の文字警告を表示しているが、「開封済み」等の他の文字警告表示であっても、特定の記号、数字であっても、要するに当事者が開封の事実を理解し得るものであればよい。また、離型剤はシリコン等の適宜の離型剤を用いることができ、本実施例ではシリコン印刷方法により離型部(3)を形成したものである。
また、この離型部(3)の形成部分を含めて、表面シート(1)の離型部(3)側に不透明な不透明層(4)を形成する。この不透明層(4)は、不透明インキを印刷してもよいが、本実施例においてはアルミ真空蒸着法により、表面シート(1)の全面に不透明層(4)を形成している。そして、この不透明層(4)の外表面に、カバン等の対象物(5)に表面シート(1)を貼着するための貼着層(6)を形成している。この貼着層(6)は、対象物(5)への表面シート(1)の貼着が可能であるとともに対象物(5)から剥離し易い粘着力で形成する。その反面、この粘着力は、離型部(3)と不透明層(4)との付着力よりも強力なものとし、対象物(5)からの貼着層(6)の剥離時に、離型部(3)を表面シート(1)から、対応する不透明層(4)とともに剥離可能とするとともに、この剥離した貼着層(6)が、対象物(5)に残存しにくく貼着層(6)側に残存し易いようにする。そして、不透明層(4)や貼着層(6)が対象物(5)に残存した場合でも、この残存物を手指(7)等で擦ることにより、容易に除去可能な程度の粘着力を有するように形成する。
このような条件を有する貼着層(6)を得るため、本実施例では、アクリル共重合体40wt%、トルエン35wt%及び酢酸エチル25wt%からなる粘着剤を用意する。次に、この粘着剤99wt%と、イソシアネートを含有する硬化剤1wt%とを混合して混合粘着剤を形成する。この混合粘着剤を不透明層(4)の外面に塗布することにより、貼着層(6)を形成している。
なお、上記粘着剤の粘着性能を測定した結果を下記表1に示す。この測定は、前記粘着剤1kgに対して、イソシアネート45wt%、トルエン40wt%、酢酸エチル15wt%からなる硬化剤を4.47g混合したものを、25μm厚のPET製の基材に、25μg塗布して行った。なお、この粘着剤の粘度は、60P/25℃であった。この粘度は、50〜80P/25℃の範囲とするのが好ましい。
Figure 2007164076
上記表1の中列に示す如く、粘着力は、JIS Z 0237に準拠し、測定温度20℃、湿度65%RHで、180°引き剥がし法、即ち粘着剤を塗布したPETをステンレス板(SUS304)に貼着し、300mm/minの速度で180°方向に引き剥がした際の負荷を測定したものである。保持力は、JIS Z 0237に準拠し、測定温度40℃で前記粘着剤にて貼り合わせたPETに、垂直方向に20×20mm当たり1kgの荷重をかけて、その位置ズレ状態を観察したものである。また、ボールタックは、JIS Z 0237に準拠し、J.Dow法により、測定温度20℃、湿度65%RHで、傾斜角度30°の平面に助走距離100mmをとり、この助走距離の下端に連続して、粘着剤を塗布したPETを、粘着剤を上面に向けて配置し100mmの滑走路を形成する。そして、2/32〜32/32インチの複数の異なる大きさの鋼球を、それぞれ助走距離100mmの位置から転がし、上記粘着剤を塗布した滑走路内で停止した鋼球のうち最大径のものを見いだし、この鋼球の最大径を32倍して得られた数値を最大値として表示したものである。
その結果、表1の右列に示す如く、粘着力は25mm当たり1,000gであった。また、保持力は60分でズレなしであった。また、ボールタックでは最大値は9であった。
上記表1の粘着性能を有する粘着剤に、前述の如くイソシアネートを含有する硬化剤を混合して形成した混合粘着剤を、不透明層(4)の外表面に塗布することによって得た貼着層(6)は、対象物(5)への貼着の際は、位置ズレを生じたり不測に剥がれる等がなく、貼着状態を保持することができる。
そして、図2に示す如く、貼着層(6)の裏面に剥離紙(8)を配置して、不使用時の貼着層(6)の保護を可能としている。また、この剥離紙(8)からの表面シート(1)の剥離時には、離型部(3)から不透明層(4)と貼着層(6)が剥離することのないものとしている。
上述の如く構成したものにおいては、上記特許文献1に記載の発明と比較して、対象物(5)からの剥離時に不透明層(4)や貼着層(6)が対象物(5)に残存しにくいものではあるが、必ずしも十分なものではない。そこで、本発明の一実施例では、上述のように形成した表面シート(1)、不透明層(4)、貼着層(6)及び剥離紙(8)を一体としてエンボス加工を施し、1平方インチ当たり縦横32本ずつの線を、対象物(5)との貼着面(10)側に隆起するよう形成して凸部(11)とすることにより、961メッシュ/平方インチの間隔で凸部(11)を設けた凹凸形状を形成する。これにより、表面シート(1)を剥離紙(8)から剥離し、貼着層(6)を対象物(5)に貼着する際に、貼着層(6)の貼着面(10)に形成した凸部(11)を主体として、少ない面積で対象物(5)に貼着するものとなり、凹部は対象物(5)に貼着しにくいものとなる。
特に、従来用いられていた、上記特許文献1や図7に示す如き貼着層を平滑に形成した封印シールでは、対象物(5)が平滑なアルミ材や樹脂材等であった場合には、対象物(5)から封印シールを剥離した場合に、不透明層や貼着層が対象物(5)に残存しやすいものとなっていた。そこで、本実施例の如く貼着層(6)に凹凸形状を形成し、貼着層(6)の貼着面(10)に形成した凸部(11)を主体として、少ない面積で対象物(5)に貼着することにより、不透明層(4)や貼着層(6)が対象物(5)に残存しないか又は殆ど残存することがないために、特に有効なものとなる。
なお、この凸部(11)は、361メッシュ〜4096メッシュ/平方インチの範囲の間隔で形成することが好ましい。361メッシュ/平方インチ以下であると凸部(11)の数が少なくなる。そうすると、凸部(11)間の間隔も広くなり、対象物(5)への貼着時に、凸部(11)間にある平坦部が手指等で押されたり、自身の重さで弛んだりして対象物(5)に貼着し、貼着層(6)全体として対象物(5)との接触面積が大きくなりすぎる場合がある。また、4096メッシュ/平方インチ以上であると、凸部(11)の数が多くなって対象物(5)との接触面積が大きすぎる場合がある。そして、以上のように対象物(5)との接触面積が大きすぎると、凹凸形状を形成しない場合と同様に、対象物(5)からの剥離時に不透明層(4)や貼着層(6)の対象物(5)への残存防止効果が不確実なものとなる可能性がある。
そして、上述の如く貼着層(6)の凸部(11)を主体として表面シート(1)が対象物(5)に貼着することにより、貼着層(6)と対象物(5)との接触面積は少ないものとなり、表面シート(1)を対象物(5)から剥離する際に容易に剥離可能となるとともに、貼着層(6)に用いた粘着剤の粘着性能と相俟って、対象物(5)に不透明層(4)や貼着層(6)が残存しないか、又は殆ど残存することがないものとなる。また、不透明層(4)や貼着層(6)が対象物(5)に残存しても、上述の通り、貼着層(6)と対象物(5)との接触面積は少ないため、残存物の量も少ないものとなる。したがって、残存物は手指(7)等で軽く擦ることにより除去可能となる。このように、対象物(5)からの剥離時に不透明層(4)や貼着層(6)の残存物が対象物(5)にないか又は殆どないことにより、対象物(5)の見栄えが悪くなることはないとともに、残留物の除去作業に要する手間や時間を生じないか、又は削減することができるものとなる。
上述の如く構成した封印シール(12)を、例えば顧客情報を記憶した磁気テープを運搬するカバンに使用するには、封印シール(12)を貼着する対象物(5)であるカバンに、銀行の職員等が磁気テープを収納し、カバンを閉じて施錠等を行う。次に、封印シール(12)の裏面から剥離紙(8)を剥離し、この封印シール(12)を、図3に示す如く、貼着層(6)側から、対象物(5)であるカバンの一対の開閉部(13)を跨ぐように貼着することにより、開閉部(13)の封印を行って、カバンを不正に開けることができないようにする。このとき、封印シール(12)は貼着層(6)に設けた凸部(11)を介して対象物(5)に貼着するものとなる。そして、この封印シール(12)の貼着状態で、職員等が磁気テープを収納したカバンを目的の場所に移送するものである。
そして、この移送途中等に、不正手段により封印シール(12)の剥離が行われた場合には、図1に示す如く、表面シート(1)とともに不透明層(4)と貼着層(6)も、対象物(5)の表面から剥離される。この貼着層(6)は、対象物(5)からの剥離が可能な粘着力を有しているが、離型部(3)への不透明層(4)の付着力よりは強力なものであり、剥離時に不透明層(4)に作用する剪断力も相俟って、離型部(3)の部分の不透明層(4)は、貼着層(6)とともに離型部(3)から剥離する。そして、図1に示す如く、離型部(3)から剥離した不透明層(4)と貼着層(6)は表面シート(1)側の貼着層(6)に分子間結合力により引っ張られ、貼着層(6)の貼着面(10)側に剥離物(14)として丸まって付着する。したがって、離型部(3)から剥離した不透明層(4)と貼着層(6)は、対象物(5)に残存しないか又は殆ど残存することはないとともに、丸まることにより離型処理された離型部(3)に戻ることもない。
その結果、表面シート(1)の表面には、図4に示す如く、「開封無効」の警告表示(2)が現れるものとなる。また、離型部(3)から剥離した不透明層(4)は上述の如く貼着層(6)の貼着面(10)側に剥離物(14)として丸まって付着することにより、一度剥離した表面シート(1)を、貼着層(6)により対象物(5)に再度止着しても、「開封無効」の警告表示(2)を離型部(3)に戻すことはできず、表面シート(1)にはこの警告表示(2)が現れたままとなるので、剥離の事実を消すことはできないものとなる。したがって、この剥離行為を明確に判別することができるので、顧客情報等の機密情報の不正な持ち出しやコピーを未然に防ぐことができる。また、剥離行為の事実を知った正当権限者は、警察への通報や犯人の追跡、その他の対策を直ちに講じることが可能となる。
また、上述の如く、封印シール(12)は凸部(11)を介して少ない面積で対象物(5)に貼着しているため、封印シール(12)は対象物(5)から剥離容易となるとともに、不透明層(4)及び貼着層(6)が対象物(5)に残存しないか、又は殆ど残存しないものとなる。したがって、正当権限者が正当に封印シール(12)を剥離しても、離型部(3)から剥離した不透明層(4)及び貼着層(6)が対象物(5)に残存しないか、又は殆ど残存することがないため、対象物(5)の見栄えを悪くすることがない。また、貼着層(6)が少ない面積で対象物(5)に貼着しているため、仮に残存物が生じても残存物である不透明層(4)や貼着層(6)も少量となり、手指(7)等で軽く擦ることにより容易に取り除くことができ、除去の手間や除去のための専用の剥離シート等を必要とせず、作業性が向上するものとなる。
また、上記実施例では、カバンが不正に開けられるのを防止するために使用しているが、他の異なる使用形態として、封筒や樹脂袋等の封印部分からの不正な開封を防止するために使用することも可能である。この場合は、例えば顧客情報等の重要書類等を銀行等の本支店間で郵送したり、社員によって直接移送したりする際に、書類を対象物(5)である封筒や樹脂袋等に入れ、この封筒等の開口部を綴じ代に糊などを塗布して綴じ、図5に示す如く、封印シール(12)を綴じ代と封筒等の本体とに跨るように貼着して、開口部を封印するものである。
そして、この封筒等の移送途中等で不正行為をしようとする者により、封筒等に貼着した封印シール(12)が不正に剥離されると、前述と同様に警告表示(2)が現れるため、不正な剥離があった事実を確実に判別することが可能となる。また、本発明の封印シール(12)は、前述の如く、対象物(5)である封筒等に不透明層(4)や貼着層(6)が残存しにくいものであるため、封筒等の再利用が可能となり、従来の封筒等を切断しなければ開封できなかった場合に比較して、コストの削減や、ゴミの減少によって環境に与える負荷の軽減を図ることが可能となる。
また、他の異なる使用形態として、銀行の窓口係員、得意先係等は、顧客から印影、サイン、パスワード等の保護表示(15)の提供を受けた場合に、この保護表示(15)の盗用や不正複写等を防止するために、本実施例の封印シール(12)を使用することができる。それには、図6に示す如く、封印シール(12)を保護表示(15)の表面に貼着することにより、保護表示(15)は不透明層(4)によって見ることができなくなり、正当権限者に到達するまでの間における、不正手段による盗用、不正複写等を防止することができる。
そして、封印シール(12)の剥離が行われた場合には、表面シート(1)の離型部(3)部分の不透明層(4)が、貼着層(6)とともに剥離され、表面シート(1)の表面に、「開封無効」の警告表示(2)が現れる。また、この離型部(3)から剥離した不透明層(4)及び貼着層(6)は、対象物(5)に残存せずに表面シート(1)側に付着するが、離型部(3)部分に戻ることはない。したがって、一度剥離された表面シート(1)を対象物(5)に再度止着しても、警告表示(2)が消えることはなく、剥離の事実を消すことはできない。この剥離の事実を知った正当権限者は、パスワードを変更するなどの対策を直ちに講じることが可能となる。
また、本発明の封印シール(12)は、パソコンのハードディスク等に保存されているデータを、磁気ディスク等の記録媒体に不正にコピーされるのを防止するため、磁気ディスク等のドライブの挿入口に貼着して使用することもできる。また、CDケースや半導体メモリーの保管ケース、又は商品のケースや包装フィルムの不正な開封を防止するため、これらのケースや包装フィルムに、本発明の封印シール(12)を貼着することもできる。いずれの場合も、不正行為を行おうとする者が封印シール(12)を不正に剥離すると、離型部(3)から不透明層(4)や貼着層(6)が剥離され、表面シート(1)に警告表示(2)が現れる。そして、不正行為者が表面シート(1)を元の位置に貼り直しても、この警告表示(2)が消えることはないから、不正な剥離を確実に判別することができる。したがって、不正行為を未然に防止することが可能となる。また、貼着層(6)の凸部(11)がケースや包装フィルムに貼着することから貼着面積が少ないので、ケースや包装フィルムには、不透明層(4)と貼着層(6)が殆ど残存しないし、残存しても手指(7)等で軽く擦って容易に除去することができ、商品価値を低下させることがないものとなる。
また、本発明の封印シール(12)を、社内や工場内に部外者等が入室する際に、入室者の携帯電話のカメラが使用できないように携帯電話の本体に貼着したり、折り畳みタイプの携帯電話が開かないよう携帯電話の本体に貼着することができる。この場合も、企業秘密書類や機械を携帯電話のカメラで撮影する目的で、不正行為者が封印シール(12)を剥離すると、離型部(3)から不透明層(4)や貼着層(6)が剥離され、表面シート(1)に警告表示(2)が現れる。そして、不正行為者が表面シート(1)を元の位置に貼り直しても、この警告表示(2)が消えることはない。したがって、退室者の携帯電話のチェック者は、この警告表示(2)が現れているか否かを確認することにより不正な剥離の事実を確実に判別することができ、不正な撮影行為を未然に防止することが可能となる。また、携帯電話の本体と封印シール(12)とは、貼着層(6)の凸部(11)を介して貼着することから、貼着面積が少ないので、正当な剥離後は、携帯電話の本体に不透明層(4)や貼着層(6)の残存物が付着しないか、付着しても手指(7)等で軽く擦ることにより容易に除去することができる。したがって、携帯電話の見栄えを悪くすることがないし、カメラやボタン等の機能や操作性を低下させることもないものとなる。
また、封印シール(12)は、貼着する対象物(5)のサイズ等に応じたサイズで形成してもよく、切り取る等の手間を省くことができる。また、封印シール(12)をサイズの大きなシート状に形成し、貼着する対象物(5)に応じてハサミ等で切り取って使用してもよく、対象物(5)を選ばず、かつ任意のサイズに切り取ることができ、汎用的な使用が可能となる。
本発明の一実施例の封印シールを、対象物から剥離する過程を示す断面図。 封印シールの構成を示す断面図。 対象物であるカバンの開閉部に封印シールを貼着した状態を示す斜視図。 封印シールを剥離して、表面シートに警告表示が表示された状態の斜視図。 対象物である封筒の開口部に封印シールを貼着した状態を示す斜視図。 保護表示の表面に封印シールを貼着しようとする状態を示す斜視図。 従来の封印シールの剥離過程を示す断面図。
符号の説明
1 表面シート
2 警告表示
3 離型部
4 不透明層
5 対象物
6 貼着層
8 貼着面
10 凸部
12 封印シール

Claims (6)

  1. 透明又は半透明の表面シートの一面に離型剤により警告表示を印刷して剥離容易な離型部を設けるとともに、この離型部の形成部分を含めて表面シートの離型部側に不透明な不透明層を形成し、この不透明層の外表面に貼着層を形成し、この貼着層は対象物への貼着面に凹凸形状を形成し、この凹凸形状の凸部を介して貼着層を対象物へ貼着することにより表面シートを対象物に貼着可能であるとともに対象物からの貼着層の剥離が可能で、この剥離時に貼着層を表面シートの離型部から対応する不透明層とともに剥離可能としたことを特徴とする封印シール。
  2. 凹凸形状は、361〜4096メッシュの間隔で形成したことを特徴とする請求項1の封印シール。
  3. 凹凸形状は、表面シート及び不透明層とともに貼着層をエンボス加工にて形成することを特徴とする請求項1の封印シール。
  4. 不透明層は、アルミ真空蒸着により形成したことを特徴とする請求項1の封印シール。
  5. 貼着層は、アクリル共重合体40wt%、トルエン35wt%及び酢酸エチル25wt%からなる粘着剤を形成し、この粘着剤99wt%と硬化剤1wt%とを混合して形成したことを特徴とする請求項1の封印シール。
  6. 硬化剤は、イソシアネートを含有することを特徴とする請求項5の封印シール。
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