JP2007163968A - 写真処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のテストプリントを連続的に搬送してセットアップを行う測色装置を搭載した写真処理装置であっても、適正に測色を行うことが可能な写真処理装置を提供する。
【解決手段】写真プリントシステム1では、プリント部50において現像処理されたセットアップ用テストプリントTPを、乾燥部60を経由して排出し、乾燥部60の側方に配置された測色装置80へと自動的に搬送する。測色装置80では、搬送されてきたセットアップ用テストプリントTPを搬送ローラ対83a,83bによって間欠搬送しながら、セットアップ用テストプリントTPに形成された複数の帯体F1〜F22の濃度を濃度計82によってそれぞれ測定する。測色装置80には、測色を終えたセットアップ用テストプリントTPを、測色装置80における搬送経路から退避するための排出機構として、測色装置80における搬送面と排出面84との間に段差84aを設けている。
【選択図】図5

Description

本発明は、テストプリントが形成された感光材料を搬送しながら測色を行う測色装置を搭載した写真処理装置に関する。
近年、最適な露光や現像等の処理を最適な条件で行うために、処理を開始する前段階において各種処理条件の補正(セットアップ)を行う写真処理装置が用いられている。
セットアップは、現像処理された濃度の異なる複数の帯体を含むテストプリントの各帯体の発色状態等を測色装置等を用いて測色し、その測色結果に基づいて露光処理条件、現像処理条件等の各種処理条件を補正することにより行われる。
このようなセットアップを自動的に行うことが可能な写真処理装置として、現像処理された感光材料を乾燥させる乾燥処理部における排出部の近傍に、例えば、特許文献1に示すような測色装置を配置した写真処理装置が提案されている。
これによれば、人の手を介することなく、テストプリントが排出された直後に測色を行って自動的にセットアップを行うことができる。
特開2005−30943号公報(平成17年2月3日公開)
しかしながら、上記従来の写真処理装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された測色装置をそのまま搭載した写真処理装置では、複数のテストプリントを連続的に搬送してセットアップを行う場合には、既に測色を終えたテストプリントの後端が測色装置の最下流側の搬送ローラの近傍で停止しているために、次に測色を行うために搬送されてきたテストプリントの先端と衝突してしまう場合がある。この場合、測色中のテストプリントに対して外力が働いて測色位置がずれる等の要因によって測色を適正に行うことができなくなるおそれがある。
本発明の課題は、複数のテストプリントを連続的に搬送してセットアップを行う測色装置を搭載した写真処理装置であっても、適正に測色を行うことが可能な写真処理装置を提供することにある。
第1の発明に係る写真処理装置は、テストプリントが形成された感光材料を搬送しながら測色を行い、測色結果に基づいて画像処理条件のセットアップを行う写真処理装置であって、現像処理部と、排出部と、測色部と、を備えている。現像処理部は、感光材料に対して現像処理を行う。排出部は、現像処理部において現像処理された感光材料を排出する。測色部は、排出部から感光材料を受け取って搬送する搬送部と、テストプリントの濃度を測色する測定部と、測色を終えたテストプリントを搬送経路から退避させるための排出機構と、を有している。
ここでは、現像処理された感光材料を排出する排出部の近傍に配置された測色部において感光材料に形成されたテストプリントの濃度を自動的に測色し、測色結果に基づいて画像処理条件のセットアップを行う写真処理装置であって、測色部が、測色部におけるテストプリントの搬送経路上から測色済みのテストプリントを退避させる排出機構を有している。
ここで、排出機構には、測色済みのテストプリントを測色部における搬送経路外へと強制的に搬送する搬送機構や、搬送部によって搬送されるテストプリントを重量等によって搬送経路外へと導く段差や傾斜等が含まれる。
これにより、写真処理装置において複数枚のテストプリントを形成し、これを連続して測色部に送り込む場合でも、測色部において既に測色が終わったテストプリントを搬送経路外へと排除することができる。この結果、先に測色されたテストプリントの後端が測色部における搬送経路上に残っているために次に測色を行うテストプリントの先端がその後端に衝突して測色中のテストプリントの搬送が円滑に行われなくなって測色エラーとなってしまう等の不具合の発生を回避して、高精度な測色およびセットアップを実施することができる。
第2の発明に係る写真処理装置は、第1の発明に係る写真処理装置であって、排出機構は、測色部が有する搬送部の下流側に形成された段差である。
ここでは、測色部における搬送部の下流側に、テストプリントの搬送経路よりも下段へ測色済みのテストプリントを導くための段差を設けている。
これにより、測色を終えたテストプリントを搬送部によって搬送された勢いによって段差の下まで落下させて、搬送経路外へと移動させることができる。この結果、段差を設けるだけの簡易な構成であっても、測色を終えたテストプリントを搬送経路外へと退避させることが可能になる。
第3の発明に係る写真処理装置は、第2の発明に係る写真処理装置であって、段差は、感光材料の搬送方向の下流側における、搬送部からの距離が10mm以内の位置に形成されている。
ここでは、測色済みのテストプリントを搬送経路外へと導くための段差を、測色部においてテストプリントを搬送するための搬送部の最下流側の端部から10mm以内の位置に形成している。
ここで、測色部においてテストプリントを搬送する搬送部が、例えば、一対の搬送ローラを複数組含むように構成されている場合には、段差は、これらの複数の搬送ローラ対の最下流側に配置されたものを基準にして下流側10mm以内に形成されていればよい。
これにより、搬送部によるテストプリントの搬送速度が比較的遅い場合でも、測色を終えて搬送部によって排出されるテストプリントを確実に段差の下へと落下させることができる。この結果、測色を終えたテストプリントの後端が、現在測色中のテストプリントの先端と衝突して測色エラーとなってしまうことを回避して、複数のテストプリントの測色を高精度に行うことができる。
第1の発明に係る写真処理装置によれば、測色エラー等の不具合の発生を回避して、高精度な測色およびセットアップを実施することができる。
第2の発明に係る写真処理装置によれば、簡易な構成であっても、測色を終えたテストプリントを搬送経路外へと退避させることが可能になる。
第3の発明に係る写真処理装置によれば、測色を終えたテストプリントの後端が、現在測色中のテストプリントの先端と衝突して測色エラーとなってしまうことを回避して、複数のテストプリントの測色を高精度に行うことができる。
本発明の一実施形態に係る写真プリントシステム(写真処理装置)1について、図1〜図7を用いて説明すれば以下の通りである。
[写真プリントシステム1の構成]
本実施形態に係る写真プリントシステム1は、図1に示すように、いわゆるデジタルミニラボと呼ばれる写真プリントシステムである。また、写真プリントシステム1は、操作部20と、プリント部50とを備えている。
操作部20は、現像された写真フィルムFやデジタルカメラ等で撮影されたデジタル画像データが保存されたメモリカード等のメディアから画像データを取り込んでプリントデータを作成し、プリント部50に対して送信する。
プリント部50は、操作部20から受信したプリントデータに基づいて、印画紙(感光材料)P(図2参照)に対して露光処理および現像処理を行って写真プリント画像や、セットアップ用テストプリントTP(図3参照)を形成する。
[操作部20の構成]
操作部20は、図1および図2に示すように、モニタ21と、キーボード22と、マウス23と、コンピュータユニット30と、メディアリーダ31と、フィルムスキャナ40と、を有している。
コンピュータユニット30は、モニタ21、キーボード22、マウス23と接続されており、フィルムスキャナ40およびプリント部50に含まれる各部の動作や画像処理および画像データの入出力等の制御を行う。
モニタ21には、各種制御のためのGUI(Graphical User Interface)や処理対象の画像が表示される。
メディアリーダ31は、本写真プリントシステム1のコントローラとして機能するコンピュータユニット30に搭載されており、デジタルカメラ等で撮影された画像のデジタルデータをメモリカードや各種半導体メモリ、CD−R等のメディアから取り込む。
フィルムスキャナ40は、写真フィルムFに現像された撮影コマに対応する画像をデジタル画像データとして取り込む。
[プリント部50の構成]
プリント部50は、図1に示すように、操作部20から受信したプリントデータに基づいて、印画紙Pを搬送しながら印画紙Pに対して露光処理および現像処理を行って写真プリント画像を形成する。そして、プリント部50は、図2に示すように、内部に2つの印画紙マガジン51と、シートカッター52と、バックプリント部53と、プリント露光部54と、圧接搬送ローラ対57と、チャッカー式搬送ユニット58と、処理槽ユニット(現像処理部)55と、乾燥部60と、コンベア56と、ソータ(図示せず)と、測色装置80と、を有している。
2つの印画紙マガジン51は、プリント部50の内部においてロール状の印画紙Pを1個ずつ収納しており、圧接搬送ローラ対57によって適宜必要な量の印画紙Pが引き出される。
シートカッター52は、印画紙マガジン51から印画紙Pを引き出す複数の圧接搬送ローラ対57の下流側に配置されており、印画紙マガジン51から引き出された印画紙Pを所望のサイズに切断する。
バックプリント部53は、シートカッター52の下流側に配置されており、プリントサイズ等所望のサイズに切断された印画紙Pの裏面側に、色補正情報やコマ番号等のプリント処理情報を印刷する。
プリント露光部54は、バックプリント部53の下流側におけるチャッカー式搬送ユニット58に隣接するように配置されており、プリントサイズやテストプリントサイズに切断された印画紙Pの表面に対して、プリントする撮影画像の露光を行う。
処理槽ユニット55は、プリント露光部54の下流側における複数の圧接搬送ローラ対57に隣接するように配置されており、発色現像処理液を貯留する発色現像槽55a、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽55bおよび安定処理液を貯留する安定処理槽55cを有している。そして、露光後の印画紙Pが、これらの各処理槽55a〜55cをこの順で経由しながら搬送されることで、所望の写真プリント画像やセットアップ用テストプリント画像(図3参照)が印画紙Pの表面に形成される。
乾燥部60は、処理槽ユニット55の下流側に配置されており、処理槽ユニット55において各種処理液に浸漬されて現像処理された印画紙Pを乾燥するために設けられている。
コンベア56は、プリント部50の上部に露出しており、写真プリント画像が表面に形成されて乾燥処理後に排出された印画紙Pをソータの方向へ搬送する。
ソータは、プリント部50の前面側に鉛直方向に複数のトレイを並べた状態で配置されており、コンベア56によって搬送されるプリント済の印画紙Pを、例えば、オーダー単位で各トレイに振り分ける。
圧接搬送ローラ対57と、チャッカー式搬送ユニット58とは、プリント部50の内部において、印画紙マガジン51に収容されたロール状の印画紙Pを引き出すとともに、プリントサイズ等に切断された印画紙Pを、印画紙Pに対して行われる様々な処理に対応した搬送速度で搬送する。圧接搬送ローラ対57は、2つのローラを組み合わせて構成されており、2つのローラの間の隙間に印画紙Pを圧接して回転することで印画紙Pを下流側へと搬送する。チャッカー式搬送ユニット58は、プリントサイズ等に切断された印画紙Pの下流側(先端側)の端部を搬送方向における両側からつまむようにして搬送する。
測色装置80は、乾燥部60の下流側に配置されており、乾燥部60から排出されるセットアップ用テストプリントTPに含まれる複数の帯体F1〜F22のそれぞれの濃度を測定する。なお、測色装置80の構成については、後段にて詳述する。
(乾燥部60)
乾燥部60は、ブロワ(図示せず)等の温風を吹き出すための装置が設けられており、処理槽ユニット55において各種処理液に浸漬されて現像処理された印画紙Pを搬送しながら乾燥させる。そして、乾燥部60は、図4に示すように、圧接搬送ローラ対61と、ターンローラ対62と、搬送切換ガイド63と、搬出ローラ対64と、搬送ガイド(排出部)66と、シャッター67とを有している。
圧接搬送ローラ対61は、駆動ローラおよび当接ローラを組み合わせて構成されており、2つのローラの間隙に印画紙Pを挟みこんで駆動ローラ回転することで、印画紙Pを下流側へと搬送する。
ターンローラ対62は、上流側から上方に向かって搬送されてくる印画紙Pが下方に向かって搬送されるように搬送方向を変化させるためのローラ群であって、例えば、駆動ローラと複数の従動ローラとで構成されている。
搬送切換ガイド63は、ターンローラ対62の直下流側に配置されており、搬送されてくる印画紙Pが普通プリントであれば、図4中実線で示す位置となって印画紙Pを搬送経路a、セットアップ用テストプリントTPであれば、図4中に示す破線で示す位置となって印画紙Pを搬送経路bにそれぞれ搬送されるように搬送経路を切り換える。
搬出ローラ対64は、搬送切換ガイド63により誘導される普通プリントの印画紙Pを、コンベア56に排出するためのローラであって、2つのローラの間隙に印画紙Pを挟み込んで駆動ローラ側を回転させることで印画紙Pを搬出する。これにより、印画紙Pは、搬出孔65を通過してコンベア56へと落下搬送される。
搬送ガイド66は、搬送切換ガイド63によって誘導されるセットアップ用テストプリントTPの印画紙Pを、測色装置80が配置されている方向に向かって誘導するためのガイドである。具体的には、搬送ガイド66は、ターンローラ対62から送り出されて略鉛直下向きに搬送される印画紙Pを、そのまま乾燥部60の側方に向かって誘導する。
シャッター67は、搬送ガイド66によって誘導される印画紙Pによって押しのけられるようにして上端部付近を回動中心として回動する部材である。そして、シャッター67は、通常時には、シャッター67が配置された位置からみて乾燥部60における上流側と下流側とを遮断している。これにより、ブロワから排出される高温の空気が下流側の測色装置80の方へ流れることを防止している。また、印画紙Pがシャッター67を通過した後には、シャッター67は再度乾燥部60の上流側と下流側との間における空気の流れを遮断する。そして、搬送切換ガイド63によって搬送方向bに送り出された印画紙Pは、搬出孔68を通過して、測色装置80へ送り出される。
(測色装置80)
測色装置80は、搬送されてくるセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pをコマ送り(間欠搬送)しながら各帯体F1〜F22の濃度を測定する。そして、図4に示すように、測色装置80は、筐体81と、濃度計82と、搬送ローラ83a,83bと、排出面84と、を有している。
筐体81は、測色装置80内の温度や明るさを一定に保つために、濃度計82や搬送ローラ対83a,83b等を覆うように設けられており、例えば、合成樹脂によって成形されている。
濃度計82は、図3に示すようなセットアップ用テストプリントTPの各帯体F1〜F22の濃度を測定し、測定結果をコンピュータユニット30に送信する。
搬送ローラ対83a,83bは、濃度計82がセットアップ用テストプリントTPの各帯体F1〜F22の濃度を順番に測定するように、セットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pをコマ送り(間欠搬送)する。具体的には、搬送ローラ対83a,83bは、最初にセットアップ用テストプリントTPの帯体F1の中心が濃度計の直下の位置に来るまで搬送する。そして、濃度計82によって帯体F1の濃度が測定されると、搬送ローラ対83a,83bは、帯体幅に相当する距離だけセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを搬送方向に搬送する。搬送ローラ対83a,83bがこの動作を繰り返すことで、濃度計82はセットアップ用テストプリントTPにおける帯体F1〜F22までの各濃度を順番に測定することができる。また、搬送ローラ対83a,83bは、セットアップ用テストプリントTPの最下流側の帯体F22の濃度を測定すると、下流側の搬送ローラ対83bによって挟持されなくなるまでセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを下流側へと一気に排出する。
排出面84は、帯体F22の濃度まで測定されて搬送ローラ対83a,83bによって排出されたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを載置するための面である。この排出面84は、図4および図5に示すように、測色装置80においてセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pが搬送される面(搬送経路)よりも一段下に形成されている。つまり、測色中にセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pが搬送される面と排出面84との間には、段差84aが形成されている。このため、各帯体F1〜F22の濃度測定(測色)を終えて排出されたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pは、測色装置80におけるセットアップ用テストプリントTPの搬送面よりも下方に載置される。
段差84aは、高さが5mm程度の段差である。そして、段差84aは、測色装置80内においてセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを搬送する搬送ローラ対83a,83bのうち、最下流側に配置された搬送ローラ対83bによる挟持位置から距離Xだけ下流側に配置されている。なお、本実施形態では、距離Xは10mmに設定されている。
ここで、各帯体F1〜F22の濃度測定を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pは、その後端が搬送ローラ対83bによる挟持位置を通過するまでは搬送ローラ対83bによって機械的に搬送される。そして、挟持位置を通過した後には、搬送の勢い(慣性力)と重力とによって、搬送方向における下流側へと移動する。このとき、搬送ローラ対83bによる挟持位置から10mm下流側に段差84aが形成されているため、測色済みのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pは、段差84aの下、つまり排出面84まで移動する。排出面84は、測色装置80における搬送面よりも1段下にあることから、測色済みのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを、測色装置80における搬送経路外へと排出することができる。この結果、次に測色を行うためにセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pが連続搬送されてきた場合でも、測色中のセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの先端が、既に測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの後端等に衝突して、測色中のセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの間欠搬送の邪魔をすることはない。よって、写真プリントシステム1において、複数のセットアップ用テストプリントTPを形成して連続して測色を行う場合でも、各セットアップ用テストプリントTPについて正確に測色を行って、高精度なセットアップを行うことができる。
<写真プリントシステム1による自動セットアップ>
写真プリントシステム1は、毎日の運転開始時ごとにセットアップ用にプリントされたセットアップ用テストプリントTPを複数枚形成し、測色装置80に対してこれら複数枚のセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを連続して搬送する。測色装置80では、各セットアップ用テストプリントTPにおける各帯体F1〜F22の濃度を濃度計82によって測定する。そして、コンピュータユニット30は、この濃度計82の測定結果に基づいてプリント露光部54の出力状態を調整するセットアップを行う。
通常、プリント部50から出力されるプリント品質(プリント濃度)等は、プリント露光部54の光源の発光状態、各処理液の状態(処理液温度、酸化状態、活性化度合等)によって変化してしまう。このため、セットアップ用テストプリントTPに形成された濃度の異なる複数の帯体F1〜F22のそれぞれの濃度を濃度計82によって測定し、この測定結果に基づいてプリント露光部54の出力状態の調整、いわゆるセットアップを行う。このようなセットアップを行うことで、プリント露光部54の状態に関わらず再現性の高い写真プリント行うことができる。なお、一般的に、セットアップとはプリントの状態を左右する前述した原因のうち、プリント露光部54に関連する原因について調整することをいう。
本実施形態の写真プリントシステム1におけるセットアップでは、モニタ21に表示されるGUIによってセットアップモードを選択した場合、一連のセットアップが自動的に実施される。具体的には、現在の状態のプリント部50から所定の画像データに基づいてセットアップ用テストプリントTPを出力するようにコンピュータユニット30がプリント露光部54を制御する。そして、プリント露光部54によって露光され現像処理されたセットアップ用テストプリントTPは、測色装置80に含まれる濃度計82によって自動的に各帯体の濃度が測定される。さらに、この測定結果と所定の基準濃度との濃度差を算出し、この濃度差に基づいてプリント露光部54の出力状態の調整が行われる。プリント露光部54の調整は、例えば、レーザ露光エンジン(プリント露光部54の一例)の露光制御装置(図示せず)に設けられた画像データのLUTを書き換える等の方法により行うことができる。
[写真プリントシステム1の特徴]
(1)
本実施形態の写真プリントシステム1では、図4に示すように、プリント部50において現像処理されたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを、乾燥部60を経由して排出し、乾燥部60の側方に配置された測色装置80へと自動的に搬送する。測色装置80では、図5に示すように、搬送されてきたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを搬送ローラ対83a,83bによって間欠搬送しながら、セットアップ用テストプリントTPに形成された複数の帯体F1〜F22の濃度を濃度計82によってそれぞれ測定する。そして、測色装置80には、測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを測色装置80における搬送経路から退避するための排出機構(段差84a)を設けている。
これにより、写真プリントシステム1において、複数枚のセットアップ用テストプリントTPを形成し、これを測色装置80において連続して測色する場合でも、先に測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの後端が、測色装置80における搬送面上に残っていることはない。よって、次に測色を行っているセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの先端が、既に測色済みのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの後端等に衝突して測色中のセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの間欠搬送の搬送精度を低下させることを防止することができる。この結果、測色装置80において複数枚のセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを連続して測色する場合でも、測色エラーを発生させることなく正確に測色を行って、高精度なセットアップを行うことができる。
(2)
本実施形態の写真プリントシステム1では、図5に示すように、測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを測色装置80における搬送経路から退避するための排出機構として、測色装置80における搬送面と排出面84との間に段差84aを設けている。
これにより、測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを、測色装置80における搬送面からみて1段下の排出面84へ移動させることができる。この結果、次のセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pが搬送されて来る時には、既にそのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pは測色装置80における搬送経路の外へと排出されているため、次のセットアップ用テストプリントTPの測色に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
(3)
本実施形態の写真プリントシステム1では、図5に示すように、排出機構として設けた段差84aを、搬送ローラ対83a,83bのうち最も下流側に配置された搬送ローラ対83bの挟持位置から10mm下流側に配置している。
これにより、測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを最後に搬送する最下流側の搬送ローラ対83bから10mmという近距離に段差84aを設けたことで、測色済みのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを、搬送の勢いと重力とによって確実に搬送経路外である排出面84へと移動させることができる。この結果、測色を終えたセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pの後端が、測色装置80における搬送経路に残されることを防止して、複数枚のセットアップ用テストプリントTPについてそれぞれ正確に各帯体F1〜F22の濃度測定を行い、高精度なセットアップを実施することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、測色済みのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを、測色装置80における搬送経路外へと排出する排出機構として、搬送ローラ対83a,83bによる搬送面と排出面84との間に段差84aを設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
上記排出機構としては、段差だけに限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、段差184aと搬送方向に向かって下方傾斜する排出面184とを組み合わせた測色装置180であってもよい。この場合には、下方傾斜する排出面184に載置されるテストプリントには、搬送の勢いと重力とによって搬送方向における下流側へ移動するような力がより大きく働くため、より効果的に測色済みのテストプリントが測色装置における搬送経路上に残されることを防止できる。
(B)
上記実施形態では、測色済みのセットアップ用テストプリントTPが形成された印画紙Pを、測色装置80における搬送経路外へと排出する排出機構として、搬送ローラ対83a,83bによる搬送面と排出面84との間に段差84aを設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
上記排出機構としては、段差だけに限定されるものではなく、例えば、図7に示すように、テストプリントの搬送面における段差84aの直上流側に、排出面84まで確実にテストプリントの後端を搬送する搬送ローラ83cを設けた測色装置280であってもよい。この場合にも、搬送ローラ83cによって、測色済みのテストプリントの後端が確実に搬送経路外である排出面84まで搬送されることから、測色中のテストプリントに測色済みのテストプリントが悪影響を及ぼすことを回避することができる。
また、搬送ローラ83cを搬送経路に沿って複数個配置することで、測色中のテストプリントが接触しない位置まで測色済みのテストプリントを搬送するような構成であってもよい。
この場合には、段差がなく、測色装置における搬送面と同一平面上にある排出面であっても、測色中のテストプリントの搬送を既に測色を終えたテストプリントが邪魔をすることはないため、上記と同様の効果を得ることができる。
ただし、上記実施形態のように、段差を設けることで、搬送ローラ83c等の複雑な機構を設けることなく、簡易な構成によって上記課題を解決できるという点では、上記実施形態のような構成とすることがより好ましい。
(C)
上記実施形態では、測色装置80の排出面84に形成された段差84aが、搬送ローラ
83a,83bのうち、最下流側に配置された搬送ローラ対83bの挟持位置から10mmの位置に形成された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
段差を形成する位置としては、搬送ローラ対83bの挟持位置から10mmの位置に限定されるものではなく、例えば、測色を終えたテストプリントを最後まで搬送する搬送ローラ対による挟持位置から8mm、5mm等のように、10mm以下の範囲であればよい。このように、測色を終えたテストプリントを最後まで搬送する搬送ローラ対から段差までの距離を最大で10mmとすることで、測色を終えたテストプリントは搬送の勢いと重力とによって排出面84まで落下するため、測色装置における搬送経路上に測色済みのテストプリントが残ってしまうことをより確実に防止できる。
(D)
上記実施形態では、測色装置80に形成された段差84aの高さを5mmとした例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
排出機構として機能する段差の高さは、5mmに限定されるものではなく、例えば、10mm以上の高さになるように形成されていてもよい。このように高さを大きくとることは、複数枚のテストプリントが排出されてそれらが積み重なった場合でも、測色中のテストプリントの搬送を妨げることを回避できる点でより好ましい。
(E)
上記実施形態では、図3に示すように、プリント露光部54のセットアップ用のテストプリントTPを測色装置80において測色する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
測色装置において濃度を測定する対象としては、セットアップ用のテストプリントに限定されるものではなく、例えば、プロセッサ用のセットアップを行うテストプリントであってもよい。
(F)
上記実施形態では、図3に示すように、22階調分の帯体F1〜F22が形成されたセットアップ用テストプリントTPを用いてセットアップを行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、14階調分の帯体が形成されたセットアップ用テストプリントを用いてセットアップを行ってもよい。
本発明の写真処理装置は、連続して搬送されるテストプリントの測色エラーを発生させることなく、高精度に行うことができるという効果を奏することから、複数枚のシート材を連続して搬送する各種装置に対して広く適用可能である。
本発明の一実施形態に係る写真プリントシステムを示す外観図。 図1の写真プリントシステムの内部の構造を示す断面図。 図1の写真プリントシステムにおいてセットアップ用に形成されるテストプリントを示す平面図。 図1の写真プリントシステムにおける下流側に搭載された乾燥装置および測色装置を示す拡大図。 図4の測色装置の内部構成を示す断面図。 本発明の他の実施形態に係る写真プリントシステムに搭載された測色装置の内部構成を示す断面図。 本発明のさらに他の実施形態に係る写真プリントシステムに搭載された測色装置の内部構成を示す断面図。
符号の説明
1 写真プリントシステム(写真処理装置)
20 操作部
21 モニタ
22 キーボード
23 マウス
30 コンピュータユニット(テストプリント制御部)
31 メディアリーダ
40 フィルムスキャナ
50 プリント部
51 印画紙マガジン
52 シートカッター
53 バックプリント部
54 プリント露光部
55 処理槽ユニット(現像処理部)
55a 発色現像槽
55b 漂白定着槽
55c 安定処理槽
56 コンベア
57 圧接搬送ローラ対
58 チャッカー式搬送ユニット
60 乾燥部
61 圧接搬送ローラ対
62 ターンローラ対
63 搬送切換ガイド
64 搬出ローラ対
65 搬出孔
66 搬送ガイド(排出部)
67 シャッター
68 搬出孔
80 測色装置(測色部)
81 筐体
82 濃度計
83a 搬送ローラ(搬送部)
83b 搬送ローラ(搬送部)
83c 搬送ローラ(排出機構)
84 排出面
84a 段差(排出機構)
180 測色装置(測色部)
184 排出面(排出機構)
280 測色装置(測色部)
P 印画紙(感光材料)
F 写真フィルム
F1〜F22 帯体
X 距離

Claims (3)

  1. テストプリントが形成された感光材料を搬送しながら測色を行い、測色結果に基づいて画像処理条件のセットアップを行う写真処理装置であって、
    前記感光材料に対して現像処理を行う現像処理部と、
    前記現像処理部において現像処理された前記感光材料を排出する排出部と、
    前記排出部から前記感光材料を受け取って搬送する搬送部と、前記テストプリントの濃度を測色する測定部と、測色を終えた前記テストプリントを搬送経路から退避させるための排出機構と、を有する測色部と、
    を備えている写真処理装置。
  2. 前記排出機構は、前記測色部が有する前記搬送部の下流側に形成された段差である、
    請求項1に記載の写真処理装置。
  3. 前記段差は、前記感光材料の搬送方向の下流側における、前記搬送部からの距離が10mm以内の位置に形成されている、
    請求項2に記載の写真処理装置。
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WO2021199963A1 (ja) * 2020-03-30 2021-10-07 キヤノン株式会社 シートの測色装置

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