JP2007162934A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温耐久性に優れ、かつ、フッ素と鋼との反応を抑制しPFPE油本来の耐熱性や潤滑性を活用した長寿命の転がり軸受を提供する。
【解決手段】内輪2および外輪3と、この内輪2および外輪3間に介在する複数の転動体4とを備えた転がり軸受1において、該転動体4の周囲にパーフルオロポリエーテル油を基油とし、フッ素樹脂粉末を増ちょう剤とするフッ素系潤滑グリース7を封入し、転動体4を保持する保持器5を樹脂で形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は高温用転がり軸受に関し、特に高温度で使用される自動車などの電装補機や電子写真装置の定着部に好適に用いられるフッ素系の高温用潤滑グリースが封入された転がり軸受に関する。また、真空中などグリース封入量が比較的少なく、境界潤滑条件で使用される転がり軸受に関する。
転がり軸受には、潤滑性を付与するために潤滑グリースが封入される。この潤滑グリースは主成分として基油と増ちょう剤とを混練して得られ、基油としては鉱油やエステル油、シリコーン油、エーテル油等の合成油が、また増ちょう剤としてはリチウム石けん等の金属石けんやウレア化合物等が一般的に使用されている。また、潤滑グリースに必要に応じて酸化防止剤、錆び止剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤などの各種添加剤が配合されている。
近年、自動車の小型化、軽量化および静粛性向上の要求に伴って自動車電装品の小型化、軽量化、静粛性向上、エンジンルーム内の密閉化が図られているが、その一方で電装品の性能には高出力・高効率化が求められている。転がり軸受に封入される潤滑グリースの寿命は、通常、軸受自体の疲労による使用寿命より短いため、軸受自体の寿命は潤滑グリース寿命に依存することになる。そのためこれら電装補機に用いられる潤滑グリースもウレア系潤滑グリース以上の高温に耐えるものでなければならない。
従来200℃付近の高温になるファンクラッチに用いられる転がり軸受の封入グリースには、増ちょう剤としてフッ素樹脂粉末を用い、基油にパーフルオロポリエーテル(以下、PFPEと記す)油を用いた耐熱性に優れるフッ素系潤滑グリースが使用されている。
また、一般に電子写真装置を用いた複写機や印刷機(プリンター)などの定着部には、定着ローラなどを回転自在に支持するためにロール用転がり軸受が多用されている。この定着部には、紙に帯電して付着したトナーを最高250℃程度の高温で加圧することによって、紙に定着する部位であり、定着部のロール支持転がり軸受は高温で使用されることが多い。特に、ヒートロールは中空軸の内側にヒータをいれ、内側から熱するために、軸受も200℃をこえる温度で使用されることがある。またヒートロール支持転がり軸受は軸受部の温度を下げるため樹脂製の断熱スリーブを介して使用されることもあるが、それでも輻射熱で軸受端面の温度は 200℃近くになることがある。従来、このような高温条件で使用されるころがり軸受の封入グリースには、高温での劣化が少なく、長い寿命が得られるフッ素系グリースが使用されている。
また、一般に潤滑剤は真空にさらされると、基油の蒸気圧が高いため基油が蒸発する。そのため真空度が上がらなかったり、真空チャンバーや真空機器内に設けられた計測機器を汚染し不具合を生じる。その対応として真空中で使用される転がり軸受の潤滑にはフッ素系グリースが多く用いられてきた。
これらのフッ素系グリースは十分な量が存在する場合は良好な潤滑性を発揮するが、転がり接触部や、すべり部への供給が不足し境界潤滑となる場合は、基油であるPFPE油と軸受材料である鋼(鉄)とが反応し基油の分解とともに鋼の摩耗が生じ短寿命となる。この反応は、特に保持器と転動体間の滑り部で著しく、長時間運転すると転動体表面が腐食され、摩耗が大きくなる。また、この反応によりPFPE油自体が劣化し、消費されるため、利用できる潤滑剤の量が著しく減少し、これらが相乗して転がり軸受が短寿命で焼きつくという現象にいたる。
この反応を抑制しPFPE油本来の耐熱性や潤滑性を活用することにより、より長寿命を得ることが要求されている。その対応として、シリカ配合(皮膜形成)によるフッ素グリースの耐焼付き性、耐摩耗性の改良(特許文献1参照)、有機アンチモンまたは有機モリブデン配合による転がり疲労特性の改良(特許文献2参照)、ビスマス化合物の配合による転がり疲労特性の改良(特許文献3参照)、フッ素有機リン化合物の配合によるフッ素グリースの耐摩耗性、防錆性の改良(特許文献4参照)、二硫化モリブデン、合成マイカ等の層状鉱物粉末、金属石けん、金属酸化物等の金属塩、ダイヤモンド粉末、グラファイト等の炭素化合物、およびメラミンシアヌレート、アミノ酸化合物等の配合によるフッ素グリースの塗れ性の改良(特許文献5参照)、変性ウンデカン混合物、変性ブタン、Cuフタロシアニン、Caスルフォネート等の配合によるフッ素グリースの劣化防止(特許文献6参照)等が知られている。
しかし、これらはいずれもフッ素と鋼との反応に着目してなされたものではなく、高温特性に優れるものの金属への侵食性を有するフッ素系グリースの性質を根本的に改良するにはいたっていない。
特開2005−97513号公報 特開2000−303088号公報 特開2005−42102号公報 特開2003−27079号公報 特開2004−188607号公報 特開平8−143883号公報
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、高温耐久性に優れ、かつ、フッ素と鋼との反応を抑制しPFPE油本来の耐熱性や潤滑性を活用した長寿命の転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、該転動体を保持する保持器とを備え、この転動体の周囲にPFPE油を基油とし、フッ素樹脂粉末を増ちょう剤とするフッ素系潤滑グリースが封入され、上記保持器が樹脂で形成されることを特徴とする。
また、上記樹脂がポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(以下、PEEKと記す)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと記す)樹脂、芳香族ポリイミド(以下、PIと記す)系樹脂、フェノール樹脂、およびPPS樹脂とポリアミドイミド(以下、PAIと記す)樹脂との混合樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、転動体の周囲にフッ素系潤滑グリースが封入されてなるので、高温耐久性に優れ、さらに転動体を保持する保持器が樹脂で形成されるので、転動体と保持器表面におけるフッ素と鋼との反応が抑制され、PFPE油本来の耐熱性や潤滑性を活用することにより長寿命となる。
この結果、自動車電装補機、事務用機器等に用いられる転がり軸受として好適に利用できる。また、真空中など、グリース封入量が比較的少なく、境界潤滑条件で使用される転がり軸受としても好適に利用できる。
転がり軸受においてフッ素系潤滑グリースを用いる場合、転動体と保持器との摩擦摩耗面または摩耗により露出した金属新生面において、基油中のフッ素が鋼(鉄)と反応して基油が分解するとともに鋼の摩耗が生じ寿命が短くなると考えられている。特に摩擦面間接触が起こる境界潤滑条件下ではこの傾向が顕著である。本願発明はこのような点に着目し、PFPE油を基油、フッ素樹脂粉末を増ちょう剤とするフッ素系潤滑グリースを用いた転がり軸受において、保持器を樹脂で形成し、フッ素と鋼との接触および反応を防止することで長寿命化を図るものである。
本発明の転がり軸受は、転動体を保持する保持器が樹脂で形成される。この保持器を構成する合成樹脂としては、耐油性を有し、機械的強度が強く、耐摩耗性に優れた材質であれば、特に限定されない。そのような例としては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリオキサゾリン樹脂、PPS樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、PAI樹脂、PEEK樹脂、熱可塑性PI樹脂、熱硬化性PI樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などを例示できる。また、上記合成樹脂から選ばれた2種以上の材料の混合物、すなわちポリマーアロイなどを例示できる。
これらの合成樹脂には、必要に応じて、繊維状や粒子状の各種充填材を配合することができる。繊維状充填材としてはガラス繊維や炭素繊維が好ましい。特に、強度や耐摩耗性を重視する場合には炭素繊維が好ましい。
本発明において、特に好ましい合成樹脂はポリアミド樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂、PPS樹脂とPAI樹脂との混合樹脂、PI系樹脂、フェノール樹脂であり、特に高温で使用する場合には耐熱性に優れるPI樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂とPAI樹脂との混合樹脂が好ましい。
ポリアミド樹脂は分子構造中にアミド基を含む線状ポリマーの総称であり、エンジニアリングプラスチックの代表的な樹脂である。ポリアミド樹脂としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(6、6−ナイロン)、ポリカプロラクタム(6−ナイロン)などの脂肪族系ポリアミド樹脂、ポリメタフェニレンイソフタラミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタキシレンアジパミド(ナイロンMXD−6)、1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸との縮重合体(9Tナイロン)などの芳香族ポリアミド樹脂が挙げられ、これらは単独でまた混合物として使用できる。
PEEK樹脂は、ベンゼン環がパラの位置で、リジッドなカルボニル基と、フレキシブルなエーテル結合によって連結されたポリマー構造を持つ結晶性の芳香族系熱可塑性樹脂であり、優れた耐熱性、耐衝撃性、耐摩耗・摺動特性等を有するエンジニアリングプラスチックである。その構造を化1に示す。市販品としては、PEEK150P(ビクトレックス (VICTREX)社、商品名)が挙げられる。
Figure 2007162934
PPS樹脂は、ベンゼン環がパラの位置で、硫黄結合によって連結された化2に示すポリマー構造を持つ結晶性の熱可塑性樹脂である。PPS樹脂の市販品としては、T4AG(トープレン社、商品名)、B160(東ソー社、商品名)、KPS W214(呉羽化学工業社、商品名)等が挙げられる。
Figure 2007162934
この発明に用いるPAI樹脂は、下記の化3の式で示されるものであり、R1は少なくとも1つのベンゼン環を含む芳香族基であり、そのうちの2価は2個のカルボニル基がR1のベンゼン環内の隣接する炭素原子に結合しているものである。そして、この発明に用いるPAIは、このような構造と共に他のアミド結合を含有する化合物との共重合体であってもよい。
Figure 2007162934
(式中、R1は少なくとも1つのベンゼン環を含む3価の芳香族基、R2は2価の有機基、R3は水素、メチル基またはフェニル基を表わす。)
なお、化3式中の好ましいR1を例示すると、下記の化4に示す通りである。
Figure 2007162934
また、化3式中の好ましいR2を例示すると、−(CH2m−で表され、mが4〜12の整数の飽和脂肪族炭化水素基、および下記の化5に示すものがある。
Figure 2007162934
(化5に示した基の一般式中、Yは1〜3の整数、X4は1〜6個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基もしくは芳香族基である。)
また、これらのPAI樹脂に対して、以下の構造を有する単位を共重合させることは、PPS樹脂との相溶性を向上させ、またさらに溶融流動性を向上させる点でより好ましい。
Figure 2007162934
Figure 2007162934
化6および化7に示す式中のR4は化3に示す式中のR2と同じである。
化6の式中のArは、2価の芳香族基であり、その具体例としては、次の化8に示すものが挙げられる。
Figure 2007162934
化7の式中に示されるR5は、2価の脂肪族基であり、その具体例としては、−(CH2m−が挙げられる。より好ましい−(CH2m−は、m=2〜12のものであり、特に好ましいものはm=4〜12である。
化3で示される構造および化6で示される構造からなる共重合体は、化3および化6の各構造の合計100モル%に対し、好ましくは化3が10〜70モル%、化6が90〜30モル%からなる組成のものが好ましい。
また、化3で示される構造および化7で示される構造からなる共重合体は、化3および化7の各構造の合計100モル%に対し、好ましくは化3が10〜50モル%、化7が90〜50モル%からなる組成のものが好ましい。
化3、化6および化7の構造からなる共重合体は、化3が10〜70モル%、化6が1〜89モル%、化7が1〜70モル%からなる組成のものが好ましい。そして、以上のような共重合体における各構造の配列としては、ランダム、ブロックまたは交互のいずれであってもよい。
このようなPAI樹脂の製造方法は、米国特許第3625911号、特公昭50−33120号公報などの特許公報類に開示されているように周知であるが、例えば下記の化9で表わされるような芳香族トリカルボン酸無水物またはその誘導体と、H2N−R2−NH2、OCN−R2−NCO、(式中、R2は、上記した化3で説明したものに同じ。)で表わされる有機ジアミンまたはその誘導体とを、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはN−メチルピロリドンなどの極性有機溶媒の中で、所定温度で所要時間反応させてポリアミド酸等を生成させ、これを加熱その他の方法でイミド化状態に転化する。
Figure 2007162934
この方法で製造されるPAI樹脂としては、下記の化10の式で示されるものがあり、その市販品として米国アモコ社製のトーロン(登録商標)が挙げられる。
Figure 2007162934
上記の方法により得られるPAI樹脂は、溶融流動性が劣るので、より流動性の良いPAI樹脂を得るためには、芳香族トリカルボン酸無水物およびジイソシアネートから製造する方法を採用することが好ましい。また、重合の際において、特開平6−322060号公報に示されるようなアミド化とイミド化を段階的に進ませるような条件下で反応させることがより好ましい。
また、PAI樹脂とPPS樹脂の相溶性を改良する目的でポリアミドイミドの前駆体を用いたり、第3成分としてイソシアネート化合物を添加することもできる。
PAI樹脂はPPS樹脂と組み合わせて用いられるが、その配合割合は5〜65容量%である。PAI樹脂の配合量が、5容量%未満では、高温時の耐クリープ性の改善を充分に行なえないからであり、65容量%をこえて多量に配合すると、他の成分であるPPS樹脂の絶縁性や成形容易性が充分に生かされ難くなり、溶融状態で流動性が低下し、射出成形が困難になる。また、射出成形時の無理抜き(アンダーカット)、軸受への組み込み性を考慮すると、組み合わせるPPS樹脂はセミ架橋(セミリニア)型や直鎖(リニア)型のものが好ましい。
PI系樹脂は、例えば芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二水物から合成される高耐熱性エンジニアリングプラスチックの代表的な樹脂であり、高剛性、寸法安定性に優れる。その構造を化11に示す。市販品としてはオーラム(AURUM)(三井化学社、商品名)、ベスペル(デュポン社、商品名)、ユーピレックス(宇部興産社、商品名)などを挙げることができる。
Figure 2007162934
フェノール樹脂はフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られる耐熱耐久性、電気絶縁性、耐油・耐酸性に優れる熱硬化性樹脂である。その構造を化12に示す。市販品としてはスミライトレジン(住友ベークライト社、商品名)などを挙げることができる。これらは、綿職布との積層体として用いることができる。
Figure 2007162934
本発明に使用できるフッ素系潤滑グリースは、PFPE油を基油としフッ素樹脂粉末を増ちょう剤とする。
PFPE油は、脂肪族炭化水素ポリエーテルの水素原子をフッ素原子で置換した化合物であれば使用できる。そのようなPFPE油を例示すれば、以下の化13および化14で示される側鎖を有するPFPE油と、化15から化17で示される直鎖状のPFPE油とがある。これらは単独でもまた混合しても使用できる。n、mは整数である。
化13の市販品としてはフォンブリンY(モンテジソン社商品名)を、化14の市販品としてはクライトックス(デュポン社商品名)やバリエルタJオイル(クリューバー社商品名)を、化15の市販品としてはフォンブリンZ(モンテジソン社商品名)を、化16の市販品としてはフォンブリンM(モンテジソン社商品名)を、化17の市販品としてはデムナム(ダイキン社商品名)等をそれぞれ例示できる。
Figure 2007162934
Figure 2007162934
Figure 2007162934
Figure 2007162934
Figure 2007162934
増ちょう剤であるフッ素樹脂粉末は上記PFPE油と親和性が高く、高温安定性、耐薬品性を有する粉末が使用できる。
フッ素樹脂を例示すれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂などのパーフルオロ系フッ素樹脂が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂が高温安定性、耐薬品性が優れているため好ましい。
本発明に用いるフッ素系潤滑グリースは、潤滑グリース全体量に対して、PFPE油を 70 重量%〜90 重量%、フッ素樹脂粉末を 10 重量%〜30 重量%配合することが好ましい。この範囲の配合とすることにより、転がり軸受封入グリースとして洩れが少なく、長時間トルクを下げられる好ましいちょう度に調整できる。
本発明の転がり軸受のシールに関しては、鉄板シールドのほか、用途によって接触または非接触のゴムシールを用いることができる。本軸受は高温使用を目的としているため、ゴムにはフッ素ゴムを用いることが好ましい。
本発明に用いるフッ素系潤滑グリースには、必要に応じて公知の添加剤を含有させることができる。この添加剤として、例えば、アミン系、フェノール系、イオウ系、ジチオりん酸亜鉛などの酸化防止剤、塩素系、イオウ系、りん系、ジチオりん酸亜鉛、有機モリブデンなどの極圧剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、摩耗抑制剤、清浄分散剤などが挙げられる。また、これらの添加剤は単独または2 種類以上組み合わせて添加できる。
また、本発明のグリースにはフッ素系グリースを必須成分として、これにウレア系グリースを混合して用いることもできる。
本発明に係る転がり軸受の一例を図1に示す。図1は深溝玉軸受の断面図である。
転がり軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。この複数個の転動体4を保持する保持器5および外輪3等に固定されるシール部材6とにより構成される。このうち保持器5が樹脂で形成される。保持器5は樹脂で形成されることによってフッ素と接触しても反応することがない。
なお、本軸受は深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、ころ軸受、針状ころ軸受(ラジアル、スラスト)、円すいころ軸受など、形式を問わない。また、樹脂保持器の製造方法も機械加工によるもの、射出成形によるものなど様々なものを採用できるが、生産性の良い射出成形を採用することが好ましい。保持器の形状は、玉軸受であれば最も一般的な冠型、またはもみ抜き型を、ころ軸受であればかご型、くし型、円すいころ軸受であればかご型などを用いることができる。
<グリース1の作製>
グリース全体に対して、PFPE油(デュポン社製商品名、クライトックスGPL105、40℃の動粘度 160 mm2/sec) 67 重量%に、フッ素樹脂粉末(デュポン社製商品名、バイダックス) 33 重量%を加え撹拌した後、ロールミルに通し、増ちょう剤にフッ素樹脂粉末、基油にPFPE油を用いたグリースである半固形状のグリース1を得た。なお、このグリース1のちょう度は 280 であった。
<グリース2の作製>
グリース全体に対して、PFPE油(ソルベイ社製商品名、フォンブリンM30、40℃の動粘度 159 mm2/sec) 67 重量%に、フッ素樹脂粉末(デュポン社製商品名、バイダックス) 33 重量%を加え撹拌した後、ロールミルに通し、増ちょう剤にフッ素樹脂粉末、基油にPFPE油を用いたグリースである半固形状のグリース2を得た。なお、このグリース2のちょう度は 280 であった。
実施例1および実施例3
表1に示す軸受構成およびグリースを用いて6204軸受で試験用転がり軸受を作製した。炭素繊維を 30 重量%含有したPEEK樹脂(ビクトレックス社製:PEEK450CA30)を射出成形した冠型保持器を使用した。内外輪、および転動体の材質はSUJ2を用いた。シールは鉄板シールドである。
石油ベンジンで洗浄した軸受6204ZZに全空間容積の 38 体積%となるようにグリースを封入して転がり軸受を作製した。得られた転がり軸受を高温耐久試験にて評価した。
高温耐久試験は、ラジアル荷重 67 N 、スラスト荷重 67 N 、回転数 10000 rpm 、雰囲気温度 200℃にて軸受を回転させ、過負荷によりモータが停止するまでの時間を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
樹脂保持器材料にポリイミド樹脂(三井化学社製:オーラム)を用いた以外は、実施例1と同様とし、高温耐久試験を行なった。結果を表1に示す。
実施例4
無水トリメリット酸50モル%、2,4−トリレンジイソシアネート50モル%を原料にして、脱CO2させる条件で、N−メチルピロリドン中で重合されたPAI樹脂 30重量部に対し、PPS樹脂(大日本インキ化学工業社製:リニア型PPS樹脂 LR−03)を45重量部、ガラス繊維25重量部を配合したPAI樹脂とPPS樹脂からなる樹脂混合物を用いた以外は、実施例1と同様とし、高温耐久試験を行なった。結果を表1に示す。
比較例1および比較例2
表1に示す軸受構成およびグリースを用いて6204軸受で試験用転がり軸受を作製した。実施例と同様の高温耐久試験を実施した。結果を表1に示す。
Figure 2007162934
表1に示すように、実施例1〜実施例4の樹脂製保持器を用いた転がり軸受は、比較例1よりも高温耐久試験に優れた。
本発明の転がり軸受は、フッ素と樹脂製保持器とが反応せず、PFPE油本来の耐熱性や潤滑性を活用して長寿命であるので、自動車電装補機、事務用機器等に用いられる転がり軸受として好適に利用できる。また、真空中など、グリース封入量が比較的少なく、境界潤滑条件で使用される転がり軸受にも好適に利用できる。
深溝玉軸受の断面図である。
符号の説明
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 フッ素系潤滑グリース

Claims (2)

  1. 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、該転動体を保持する保持器とを備えた転がり軸受であって、該転動体の周囲にパーフルオロポリエーテル油を基油とし、フッ素樹脂粉末を増ちょう剤とするフッ素系潤滑グリースが封入され、前記保持器が樹脂であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、芳香族ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂とポリアミドイミド樹脂との混合樹脂から選ばれた少なくとも1つの樹脂であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
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