JP2007162100A - スパッタリング成膜方法 - Google Patents

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安彦 赤尾
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Abstract


【課題】マグネット揺動型のスパッタリング成膜方法において、ターゲット表面にノジュールが形成されにくい条件を提案し、ターゲットの使用効率向上、装置の連続可能時間の向上により生産性を高める。
【解決手段】ターゲット18表面に略平行にマグネット24を揺動させつつ成膜を行うスパッタリング成膜装置において、スパッタリング電力密度P(ワット/平方センチメートル)と、マグネット24の平均揺動速度V(センチメートル/秒)の比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)以上となる条件で成膜する。
【選択図】 図3

Description

本発明はスパッタリング成膜方法に係り、特に、ITO(インジウムと錫の酸化物)膜に代表される透明導電膜をスパッタリングで形成するのに好適な成膜方法に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどフラットパネルディスプレイには金属酸化物透明電極が広く用いられている。そのうち、ITOは高い光の透過率、低比抵抗、化学的に安定等の優れた特性を有するため広く用いられている。ITO透明導電膜は通常広い面積に均質な膜が形成できるマグネトロンスパッタリング法で形成され、そのターゲットには低比抵抗膜が安定的に成膜できる酸化物ターゲットが一般に用いられる。
また、ITO成膜装置として、ターゲットの利用率向上を目的として、マグネトロンスパッタに用いるマグネットをターゲット表面に平行に揺動させるマグネット揺動型マグネトロンスパッタリング成膜装置が広く用いられている(特許文献1)。
特開2000−345335号公報
酸化物ターゲットを長時間スパッタリングすると、ターゲット表面に一般にノジュールと呼ばれる突起が形成されることがあり、特に、ITOターゲットはノジュールが多く発生することが知られている。
ターゲットのノジュールはアーキング(異常放電)の原因となり、ノジュールが多く発生した場合は、アーキングが多発して放電が持続できなくなり、膜形成ができなくなる問題がある。さらに、ノジュールが多く発生した場合はターゲット表面のノジュールを除去する作業(クリーニング)を行うのが一般的であり、クリーニングは成膜装置を大気開放して行うので、クリーニングの頻度が高いと生産性が低くなる問題もある。
特に、ITO形成に用いられるマグネット揺動型マグネトロンスパッタリング成膜装置では、マグネット揺動によりターゲット表面の広い面積がスパッタリングによりエロージョン(侵食)されるので、ノジュールの発生する面積も広くなり、ノジュールのクリーニングに時間がかかる問題もあった。
特許文献1は、プラズマ領域によってターゲット表面の各部位がスパッタエッチングされる時間が連続して1秒以上であるように、マグネットの揺動速度を制御する(低速にする)ことで、ノジュールの形成を抑制する技術を提案しているが、電力との関係について十分な検討がなされておらず、十分なノジュール抑制には至っていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ターゲット表面にノジュールが形成されにくく、長時間ターゲットが使用できかつターゲットクリーニングによる生産性の低下を少なくすることができるマグネット揺動型スパッタリング成膜方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、ターゲットを取り付けたカソードの背面側に配置したマグネットを前記ターゲット表面と略平行に揺動させつつ前記カソードに電力を供給し、前記ターゲット表面に対向して設置された基板の表面に膜を形成するスパッタリング成膜方法において、前記カソードに負極電力を供給している時間内の積算電力を前記カソードが負極となっている時間で平均した電力を、前記ターゲット表面に投影される前記マグネットの表面積で除してなる値をスパッタリング電力密度Pとしてワット/平方センチメートルの単位で表し、前記マグネットの揺動する幅を揺動周期の1/2で除した値を前記マグネットの平均揺動速度Vとしてセンチメートル/秒の単位で表したとき、前記スパッタリング電力密度Pと前記マクネットの平均揺動速度Vの比P/Vが0.2ワット・秒/立方センチメートル以上となる条件で成膜を行うことを特徴とするスパッタリング成膜方法を提供する。
本発明によれば、マグネット揺動型のスパッタリング成膜方法において、スパッタリング電力密度Pとマグネットの揺動の際の平均揺動速度Vを定義し、両者の関係においてノジュールの抑制に有効な条件が見出された。すなわち、スパッタリング電力密度Pとマクネットの平均揺動速度Vの比P/Vが0.2ワット・秒/立方センチメートル以上となる条件で成膜を行うことで、ターゲット表面におけるノジュールの発生を防止することができる。
本発明の一態様として、前記ターゲットが酸化物ターゲットであることを特徴とするスパッタリング成膜方法を提供する。
透明導電膜の形成に用いられる酸化物ターゲット(例えば、ITOターゲット)は、特にノジュールが発生しやすい材料として知られているが、本発明を適用することにより、ノジュールの発生を防止することができる。
また、本発明の他の態様として、前記カソードへの供給電力の波形が正弦波形、または1周期中に負極とゼロ電位および/または正極となる時間が存在するパルス波形であることを特徴とするスパッタリング成膜方法を提供する。
供給電力波形の形態としては、正弦波形を用いる態様、1周期中に負極とゼロ電位となる時間が存在するパルス波形を用いる態様、或いは1周期中に負極と正極となる時間が存在するパルス波形を用いる態様などがある。これらの態様は、平均電力が同等の直流による連続放電と比較して、ノジュール抑制の効果が高い点で好ましい態様である。
本発明のさらに他の態様として、前記スパッタリング電力密度Pが0.5ワット/平方センチメートル以上であることを特徴とするスパッタリング成膜方法を提供する。
実験の知見によれば、スパッタリング電力密度Pが0.5ワット/平方センチメートル以上となる場合に、良好なスパッタリング成膜が可能である。
また、本発明の他の態様として、前記成膜チャンバ内で前記基板を搬送しながら成膜を行うものとし、前記マグネットの基板搬送方向の平均揺動速度が基板搬送速度の2倍以上または1/2以下であることを特徴とするスパッタリング成膜方法を提供する。
かかる態様によれば、マグネット揺動の基板搬送方向の平均揺動速度と基板搬送速度との差が大きくなり、基板とマグネットの相対的な移動速度に起因する膜厚分布を抑制することができ、均一な膜厚を実現できる。
本発明によれば、ターゲット表面におけるノジュールの発生を効果的に防止することができ、ターゲットの利用効率を向上させることができる。また、ノジュールの除去作業を最小限に抑えることができ、装置の連続稼働時間が向上し、生産性が向上する。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明が適用されるスパッタリング成膜装置の基本構成の一例を示す概略構成図である。図示のスパッタリング成膜装置10は、成膜チャンバ12と、該成膜チャンバ12内において基板14を保持しつつ搬送する基板搬送機構16と、ターゲット18を取り付けたカソード20とを備えている。
カソード20は、ターゲット18、バッキングプレート22、マグネット24及び不図示の揺動機構を含んで構成される。ターゲット18は、金属製のバッキングプレート22に接した状態で保持され、成膜チャンバ12内に配設される。バッキングプレート22には放電用の電力を印加するための電源26が接続される。電源26にはパルス電源を用いる態様が特に好ましいが、パルス電源に代えて、交流または直流電源を用いることも可能である。
バッキングプレート22の背面側(すなわち、ターゲット18の背面側)にはマグネット24が設けられている。なお、背面側とは、基板14に対して反対側の面を意味する。マグネット24は、不図示の揺動機構に取り付けられており、ターゲット18の表面に略平行な面内で揺動可能となっており、そして基板搬送方向と略平行に揺動可能となっている。図中の矢印Aは基板搬送方向を示し、双方向矢印Bはマグネット24の揺動方向を示している。
本例の成膜チャンバ12はアノードを兼ねており、バッキングプレート(カソード)22に対して電源26から電圧が印加されると、ターゲット18と成膜チャンバ12との間に放電が発生し、高密度プラズマによってターゲット18がスパッタされる。ターゲット18に対向して配置される基板14の搬送に伴い、基板14の表面にはターゲット18からのスパッタ粒子が堆積して薄膜が形成される。本例の基板搬送機構16はアノードの一部とすることも、また電位的に浮上(フローティング)させることも可能である。
本例のターゲットとしては、透明導電膜として酸化物膜を製造する場合、酸化物ターゲットが好ましく用いられる。具体的には、ITO膜を製造する場合、ターゲット18はITOターゲットが好ましく、さらに密度95質量%以上、特に98質量%以上のITO焼結体ターゲットを用いるとノジュールが発生し難くなるのでより好ましい。あるいはまた、酸化物ターゲットに代えて、金属ターゲットとして、インジウムと錫の合金(IT)ターゲットを用いることも可能である。
ターゲット18の形状は特に限定されないが、例えば、図2に示すように、長方形の平板型ターゲットが用いられる。マグネット24の揺動方向に沿ったターゲット18の幅(ターゲット幅)をWT、これと直交する方向のターゲット長をYとして示した。また、図中のLは、マグネット24の中心線Cの揺動幅を表している。図2においては、マグネット24が、ターゲット幅の端から端まで揺動した場合における中心線Cの揺動幅が図中のLに該当する。
図3は図2に示したターゲット18の浸食形状を例示した断面図である。なお、図示の便宜上、図3においてはバッキングプレート(図1中の符号22)を省略してある。
図3に示すように、ターゲット18の背面に配置されるマグネット24は、中央磁石24Aと外周磁石24Bとヨーク24Cとから構成されている。中央磁石24Aのターゲット18側表面はN極、外周磁石24Bのターゲット18側表面はS極となっており、ターゲット18の表面側(図2において上面側)に閉じた磁力線30に基づく磁場が形成される。
この磁場とターゲット18に印加される電圧による電場との相互作用により、電子の閉じ込め効果が増して、ターゲット18上の磁場内に高密度プラズマが生成される。当該高密度プラズマの発生領域がエロージョンに寄与する領域である。不図示の揺動機構によってマグネット24をターゲット18表面と平行に揺動させることによって、エロージョンに寄与する領域を移動させることでターゲット18の利用効率を高めることができる。
マグネット24を揺動させる機構は、特に限定されず、円運動を往復運動に変換する単振動揺動機構など公知の機構を適用できる。
上述のとおり、マグネット24の中心位置Cの揺動幅(中心揺動幅)をL(センチメートル)、揺動周期をT(秒)とするとき、マグネット24の平均揺動速度V(センチメートル/秒)は次式で表される。
V=2L/T …[式1]
すなわち、マグネット24の平均揺動速度Vは、マグネット24の揺動幅(移動幅)Lを揺動周期の1/2で除した値であり、単位は「センチメートル/秒」とする。なお、揺動周期とは、マグネットが揺動幅を往復運動する場合、マグネットが同じ場所へ帰ってくるまでの時間を意味する。
の範囲は、5〜50センチメートルであることがターゲットの利用率向上の点で好ましい。また、T(秒)の範囲は、1〜500秒であることが揺動機構の設計容易さの点で好ましい。
ここで、上記したマグネット揺動型のマグネトロンスパッタリング成膜装置10におけるスパッタリング電力密度Pを次のように定義する。すなわち、カソードに負極電力を供給している時間内の積算電力を、負極に電力が供給されている時間(カソードが負極となっている時間)で平均化した電力をターゲット表面に投影したマグネット24の表面積で除してなる値を「スパッタリング電力密度」とよび、単位を「ワット/平方センチメートル」とする。
なお、「カソードに負極電力を供給している時間内の積算電力を、負極に電力が供給されている時間で平均化した電力」とは、言い換えれば、カソードに負極電力が供給されている時間における平均電力を意味する。
図4は、スパッタリング電力の電圧波形の一例を示す波形図である。図示のように、負の電圧が一定の周期で間欠的に印加されるパルス波形において、実際にスパッタリングが起こっている時間は、負の電圧が印加されている期間(図4におけるa1の期間)である。すなわち、「カソードに負極電力が供給されている時間」としてはa1の時間を用いる。この場合のディーティ比は、無印加時間をb1とするとき、1周期(=a1+b1)中における負の電圧が印加されている時間a1の割合として、a1/(a1+b1)として表される。
また、図5に示すような正電圧の印加(図5におけるb2の期間)がある場合には、正の電圧の印加はスパッタリングには有効に働かないために、「カソードに負極電力が供給されている時間」としてはa2の時間を用いる。図5の波形におけるデューティ比は、1周期(=a2+b2)中における負の電圧が印加されている時間a2の割合として、a2/(a2+b2)として表される。
図4,図5に示した印加電圧値(−V,Vp)や時間a1,b1,a2,b2については、ターゲットの大きさ、状態、あるいは個々の装置によって最適化すればよい。また、スパッタリング電力の波形は、図4,図5で例示した矩形波に限定されず、鋸歯波など、多様な波形形態が可能である。パルス電源の周波数は、特に限定されず、数10Hz以上の範囲で適宜設定可能である。なお、電圧波形がパルス波形の場合を上記で説明したが、正弦波形であっても同様である。
〔実施条件と評価について〕
上記説明した構成のスパッタリング成膜装置10を用いて、図6に示した装置条件で条件を変えてスパッタリングを行いITO膜を製造したときのターゲット上のノジュール発生状況を評価した。その結果を図6の表に示した。なお、評価は目視にて行い、図6中の×は不良、△はややノジュールが認められるものの実用上許容されるレベル、○は良好を表す。
(装置条件)
ターゲット:ITO焼結ターゲット超高密度(98質量%以上)、長さ(Y)100センチメートル,幅(W)20センチメートル,厚さ0.6センチメートルのものを用いた。
マグネット:外形寸法長さ100センチメートル,幅10センチメートルとした。揺動幅(L)はターゲットの幅方向に10センチメートルであり、揺動速度は可変とし、揺動周期(T)を1.5秒〜300秒の範囲で変更可能とした。本例の場合、ターゲット表面に投影したマグネットの表面積Sは、100[センチメートル]×10[センチメートル]=1000[平方センチメートル]となる。基板の搬送速度は0.7センチメートル/秒から1.7センチメートル/秒の範囲で調整し、一つの軸方向への搬送であった。
電源:直流電源またはパルス電源を選択的に使用した。パルス電源は、パルス周波数可変であり、最大10kHzまで変更可能とした。デューティ比は、1周期中にカソードに負極電力を供給してなる時間を1周期で除した値と定義する。上記定義から、直流のデューティ比は1、交流電力は0.5となる。使用したパルス電源はデューティ比を変えることができる。
なお、図6の表において、電力密度Pは、平均電力(W)/(マグネット表面積S(1000[平方センチメートル])×デューティ比)により求めた。また、平均揺動速度Vは、2×揺動幅(L)(10センチメートル)/(揺動周期(T)(秒))により求めた。
図6に示した表から明らかなように、スパッタリング電力密度Pとマグネットの平均揺動速度Vの比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)に満たない条件ではノジュールが多く発生する(比較例1〜3)。これに対し、スパッタリング電力密度Pとマグネットの平均移動速度Vの比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)以上となる条件では、ノジュールが抑制されている(実施例1〜7)。
比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)以上であると、ノジュールの発生が抑制できる理由は、ターゲットのエッチング速度が大きくノジュールが成長しにくくなるからであると推定される。この点、特許文献1においては、エッチングされる時間のみに着目してノジュールの発生が防止できるとしているが、これではエッチングする電力の視点が無い点で不十分である。
また、図6における実施例2と実施例5を比較すると、平均電力が同じ(2500W)である場合、直流電源よりもパルス電源を用いる方がより良好な結果が得られている。
平均電力が同じ場合には、スパッタリング電力密度を高くできる交流(供給電力波形は正弦波形となる。)やパルス電力(供給電力波形はパルス波形となる。)の方が直流電力に比べてターゲットのノジュールが発生し難いのでより好ましいと言える。
上記の実験(比較例1〜3、実施例1〜7)等に基づく知見から、スパッタリング電力密度P(ワット/平方センチメートル)と、マグネットの平均揺動速度V(センチメートル/秒)の比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)以上の関係を満たす実現可能の範囲で、スパッタリング電力密度P並びに平均揺動速度Vを設定することが望ましい。特に、比P/Vが0.33(ワット・秒/立方センチメートル)以上であることがより好ましい。また、比P/Vは、装置の効率性から、100(ワット・秒/立方センチメートル)以下であることが好ましい。特に、比P/Vが50(ワット・秒/立方センチメートル)以下であることがより好ましい。
また、スパッタリング電力密度Pの範囲は、0.2(ワット/平方センチメートル)以上、10(ワット/平方センチメートル)以下であることが適切な膜厚の電極膜を形成する点で好ましい。なお、電力密度が低い場合はノジュールが発生し易い傾向があるため、ノジュール抑制の観点からスパッタリング電力密度Pが0.3(ワット/平方センチメートル)以上、特に、0.5(ワット/平方センチメートル)以上の電力密度であることが好ましく、1(ワット/平方センチメートル)以上であることがより好ましい。
マグネットの平均揺動速度Vの範囲については、0.02(センチメートル/秒)以上、15(センチメートル/秒)以下、特に0.2(センチメートル/秒)以上、12(センチメートル/秒)以下であることが揺動機構の設計容易さの点で好ましい。
ただし、実際のインライン型成膜装置などでは、基板の搬送方向の平均揺動速度が、基板の搬送速度と同じ程度になると、基板と同程度の速度でプラズマが移動することになるので、基板上に形成される膜の厚みが周期的に変動する不均一な膜厚分布となる。このような膜厚分布の発生を回避するために、平均揺動速度は、基板搬送速度よりも早いか、若しくは遅く設定することが好ましく、その差が大きいことが望ましい。具体的には、基板搬送方向の平均揺動速度は、基板搬送速度の2倍以上、もしくは1/2以下の速度であることがより好ましい。基板搬送速度は、0.5(センチメートル/秒)以上、もしくは4(センチメートル/秒)以下であることが生産上好ましい。
なお、本例では、マグネット24が基板搬送方向に往復運動(揺動)する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、ターゲット表面にプラズマを形成する磁場を発生させるマグネットが、ターゲット表面にプラズマを維持しつつターゲットに対して少なくとも一方向に揺動する機能を有していればよく、相互に直交する2方向の揺動(例えば、基板搬送方向と平行な方向と、基板搬送方向と直交する方向の2方向の揺動)を組み合わせることも可能である。このように2軸以上の揺動軸がある場合は、各々の揺動軸の揺動幅をその軸の揺動周期の1/2で除した値を、各々マグネットの平均揺動速度とし、各々の平均揺動速度から求められる比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)以上である必要がある。
〔インライン型スパッタリング成膜装置への適用例〕
図7は、本発明の一実施形態としてのインライン型スパッタリング成膜装置の概略構成図である。このインライン型スパッタリング成膜装置100は、基板110の搬送経路(Z方向に移動)の上流側より順に、ローディング室120と、バッファチャンバA130と、成膜チャンバ140と、バッファチャンバB150とアンローディング室160とを連設して概略構成されており、これらの各室を基板110が搬送手段(図示せず)により順次移動する。また、各室間にはドアバルブ121、131、141、151が設けられており、隣接する室との連結あるいは室毎の密閉が行われる。
図7における成膜チャンバ140の構成は、図1で説明した構成と同様であり、図7中、図1に示した要素と同一または類似の要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、図7において、図示の便宜上、マグネット24の形状を簡略化し、基板搬送機構16(搬送手段)の記載を省略した。
図7に示したインライン型スパッタリング成膜装置100を用いてITO膜を形成する場合の手順は以下のとおりである。すなわち、スパッタリングの実施に際して、基板110は、先ず大気圧下にあるローディング室120で搬送手段に装着され、バッファチャンバA130に送られる。
次いで、バッファチャンバA130の室内を真空排気した後、ドアバルブ131を開けて基板110を成膜チャンバ140に送る。成膜チャンバ140は所定の背圧に真空排気されており、スパッタ時にはガスボンベ170から放電ガス(例えばアルゴンと酸素の混合ガス)が供給される。
成膜チャンバ140内のガス圧は所定の値に調整され、スパッタ時にはターゲッ18のカソード(バッキングプレート22)に電源26から放電電力が供給される。本実施形態では、スパッタリング電力密度Pとマグネット24の平均揺動速度Vの比P/Vが0.2(ワット・秒/立方センチメートル)以上となる条件で電力の供給とマグネット24の揺動が制御される。一般的な膜形成条件は、スパッタリング電力密度Pが2.5ワット/平方センチメートル、パルス電源を使用し、デューティ比は0.5、平均揺動速度Vは10センチメートル/秒である。基板の搬送速度は一つの軸方向への搬送である。このときの基板搬送速度は1.5センチメートル/秒となっており、平均揺動速度の0.15倍になっている。
また、成膜チャンバ140内における搬送手段(図7中不図示、図1の符号16)による基板110の移動速度(基板搬送速度)は、平均マグネット揺動速度の2倍以上、もしくは1/2以下の速度となるように制御される。
こうして、搬送手段(図7中不図示、図1の符号16)によって基板110を移動させながら、ターゲット18上のプラズマ中を通過させる。基板110がターゲット18の前を通過することにより、基板110の表面にはターゲット18からのスパッタ粒子が堆積して薄膜が形成される。
基板110の通過時間(成膜時間)やスパッタリング電力を制御することにより、所望の膜厚を得る。
成膜チャンバ140で成膜された基板110は、バッファチャンバB150内で大気に開放された後、アンローディング室160に送られ、回収される。こうして、一連の成膜工程が終了する。
上記のようなインライン型スパッタリング成膜装置100は、複数枚の基板110を連続して処理できることから、生産性が高いという利点がある。
〔変形例1〕
上述した実施形態では、成膜チャンバ12,140内にターゲット18を1つのみ配置する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、1つの成膜チャンバ内に複数のターゲット(マグネトロンカソード)を配置する構成も可能である。例えば、成膜チャンバ内において、基板搬送方向に沿って複数のターゲットを所定の間隔で配置する態様が可能である。
〔変形例2〕
上述した実施形態では、矩形で平板型のターゲットを用いる場合を例示したが、本発明の適用に際して、ターゲットの形状は特に限定されず、円形、多角形のターゲットや円筒型ターゲットなどについても本発明の適用が可能である。
〔変形例3〕
本発明の適用範囲は、上述したインライン型スパッタリング成膜装置に限定されず、静止した基板に成膜する枚葉型のスパッタリング成膜装置やバッチ方式のスパッタリング成膜装置など、多様な形態のスパッタリング成膜装置について本発明を適用できる。
また、本発明はITO膜に代表される透明導電膜の形成に好適であるが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、酸化インジウム(In2)、酸化亜鉛(ZnO)など、ノジュールが発生し易い材料のターゲットを用いる場合に広く適用可能である。
本発明が適用されるスパッタリング成膜装置の基本構成の一例を示す概略構成図 ターゲットの平面図 ターゲットの浸食形状を例示した断面図 スパッタリング電力の電圧波形の一例を示す波形図 スパッタリング電力の他の電圧波形例を示す波形図 スパッタリング条件を変えてITO膜を製造したときのターゲット上のノジュール発生状況を評価した結果を示す図表 本発明の一実施形態としてのインライン型スパッタリング成膜装置の概略構成図
符号の説明
10…スパッタリング成膜装置、12…成膜チャンバ、14…基板、16…基板搬送機構、18…ターゲット、20…マグネトロンカソード、22…バッキングプレート、24…マグネット、26…電源、100…インライン型スパッタリング成膜装置、110…基板、120…ローディング室、130…バッファチャンバA、140…成膜チャンバ、150…バッファチャンバB、160…アンローディング室、170…ガスボンベ

Claims (5)

  1. ターゲットを取り付けたカソードの背面側に配置したマグネットを前記ターゲット表面と略平行に揺動させつつ前記カソードに電力を供給し、前記ターゲット表面に対向して設置された基板の表面に膜を形成するスパッタリング成膜方法において、
    前記カソードに負極電力を供給している時間内の積算電力を前記カソードが負極となっている時間で平均した電力を、前記ターゲット表面に投影される前記マグネットの表面積で除してなる値をスパッタリング電力密度Pとしてワット/平方センチメートルの単位で表し、前記マグネットの揺動する幅を揺動周期の1/2で除した値を前記マグネットの平均揺動速度Vとしてセンチメートル/秒の単位で表したとき、
    前記スパッタリング電力密度Pと前記マクネットの平均揺動速度Vの比P/Vが0.2ワット・秒/立方センチメートル以上となる条件で成膜を行うことを特徴とするスパッタリング成膜方法。
  2. 前記ターゲットが酸化物ターゲットであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング成膜方法。
  3. 前記カソードへの供給電力の波形が正弦波形、または1周期中に負極とゼロ電位および/または正極となる時間が存在するパルス波形であることを特徴とする請求項1または2記載のスパッタリング成膜方法。
  4. 前記スパッタリング電力密度Pが0.5ワット/平方センチメートル以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のスパッタリング成膜方法。
  5. 前記成膜チャンバ内で前記基板を搬送しながら成膜を行うものとし、前記マグネットが揺動する際の基板搬送方向の平均揺動速度が基板搬送速度の2倍以上または1/2以下であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のスパッタリング成膜方法。
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