JP2007162085A - 微細酸化物分散鋼の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼中に分散する酸化物微粒子の分散量を安定かつ飛躍的に増大させ、かつ量産製造プロセスへの適用が可能な微細酸化物分散鋼の製造方法を提供する。
【解決手段】溶鋼中のSiよりも酸素との親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作を行った後、溶鋼に酸素を供給できる酸素源を添加する操作1とその後にSiよりも親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作2とを、それぞれ1回以上行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させる微細酸化物分散鋼の製造方法である。前記の方法を実施する前に、溶鋼に酸素源を添加して溶鋼中の酸素濃度を上昇させておいてもよい。また、前記操作1において、酸素源を複数回に分割して溶鋼に添加してもよく、前記操作2において、脱酸元素を複数回に分割して溶鋼に添加してもよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶鋼中に含有される酸素濃度を低減させる脱酸操作において、溶鋼への酸素源の添加および脱酸剤の添加を適正な方法で繰り返すことにより、鋼中に分散する酸化物微粒子の分散量を安定的かつ飛躍的に増大させる鋼の製造方法に関する。
鋼中に分散する介在物を鋼質の改善のために利用する技術が知られている。近年、従来は省みられなかった直径が1μmの水準を下回る介在物、とりわけ酸化物系介在物の分散を利用する技術が脚光を浴びている。
この鋼中酸化物の微細分散技術は、従来、二次脱酸生成物、すなわち鋼の凝固過程を利用するものであった。つまり、凝固時の晶出を利用する二次脱酸生成物は、凝固時のミクロ偏析にともなう晶出であるため、その成分組成の制御が困難である。さらには、連続鋳造や造塊を考慮すると、鋳片表面近傍の冷却速度の速い領域を除く大部分の領域において、粒径分布は算術平均径で1μm以上になる。これは、比較的遅い冷却速度条件においては、不均質核生成およびオストワルド成長が進行するためである。さらには、溶鋼段階での一次脱酸において酸素濃度が制限されるので、二次脱酸による場合には、晶出量の増加も期待できない。
そこで、最近になって、分散酸化物量を増大させるために、酸素濃度を予備脱酸などで一定範囲に調整した後に強脱酸剤を添加することにより生成する一次脱酸生成物を利用する方法が報告されている。
例えば、特許文献1には、溶存酸素を20〜80ppmに制御した後、Ti、AlそしてCaの順に添加して脱酸するというように、脱酸力の弱い元素から強い元素へと順次添加して脱酸することにより酸化物を微細に多数分散させる技術が開示されている。ここで開示された方法は、溶鋼中の溶存酸素との過飽和度を小さく保ちながら脱酸反応が繰り返されることにより、酸化物の急激な成長および粗大化が抑制される作用によるとされている。しかしながら、特許文献1で開示された方法では、介在物の成分組成は繰り返し添加する脱酸元素によって決定され、また酸化物の分散量自体は初期溶存酸素量によって定まり、しかも、積極的な酸化物の微細分散を促すものでもなかった。すなわち、これらの方法は、従来の鋼の脱酸方法の域を大きく出るものではなく、微細介在物の分散量自体を増大させる技術ではなかった。
分散酸化物の分散量の増大あるいはその成分組成の制御を目的として、溶鋼に酸素を供給する方法もいくつか報告されている。
特許文献2には、溶鋼の介在物形態制御法として、脱酸剤を添加した後にキルド状態の溶鋼1トン(t)当たり1×10-2〜6×10-2kgの酸素分を供給する介在物形態制御法が開示されている。しかし、同文献で開示された方法は、単に酸素源を添加するという一般的な方法を開示したものに過ぎない。
また、特許文献3には、酸素の供給方法として、溶鋼内へ固体酸素イオン伝導体を用いて電圧印加により酸素を供給添加し、微細酸化物を生成分散させる方法、および溶鋼中へ酸化性ガスを吹き込み、微細酸化物を生成分散させる方法が開示されている。これらの方法は、いずれも低い酸素ポテンシャルを維持した状態で酸素を供給することにより、脱酸反応における過飽和度が高くならないようにすることで粗大脱酸生成物の生成を抑制するものである。しかしながら、同文献で開示された方法は、酸素の供給速度が遅く、大量生産を前提とする鉄鋼製造プロセスにおいては実用性に乏しい。
さらに、特許文献4には、溶鋼に脱酸剤を添加した後に、脱酸剤を添加した溶鋼よりも溶存酸素濃度が高い他の溶鋼を添加する溶鋼中の酸化物微細分散方法が開示されている。しかしながら、同文献で開示された方法は、脱酸剤を添加した溶鋼に溶存酸素濃度の高い別の溶鋼を混合する方法であり、量産鋼製造への適用は困難である。
上述のとおり、鋼中に分散する酸化物微粒子の分散量を安定的かつ飛躍的に増大させ、かつ大量生産を前提とした鉄鋼製造プロセスに適用可能な微細酸化物分散鋼の製造方法には、解決されねばならない幾多の課題が残されている。
特開2001−288509号公報(特許請求の範囲、段落[0009]および[0010]) 特開平8−246026号公報(特許請求の範囲、段落[0007]および[0008]) 特開平10−193046号公報(特許請求の範囲および段落[0004]) 特開2002−256330号公報(特許請求の範囲および段落[0006])
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その課題は、溶鋼の脱酸操作により、鋼中に分散する酸化物微粒子の分散量を安定的かつ飛躍的に増大させるとともに、量産製造プロセスへの適用が可能な微細酸化物分散鋼の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて酸化物を多量にかつ安定的に微細分散させる方法について研究開発を進め、溶鋼への酸素源と脱酸剤との供給順序および供給方法を適正化し、これらの供給操作を繰り返すことによって、直径1μm以下の微細酸化物の粒径分布および分散量の制御が可能になるとの知見を得て、本発明を完成させた。
以下に、酸素源および脱酸元素の供給順序にしたがい、(1)酸化方法および(2)脱酸方法に分けて、それぞれに関する知見の詳細について説明する。なお、以下の説明において、1回目に添加する脱酸元素を「脱酸元素M」、2回目に添加する脱酸元素を「脱酸元素M′」、そして3回目に添加する脱酸元素を「脱酸元素M″」などとも記す。
(1)酸化方法
1)酸素源の供給方法としては、(a)一括添加する方法、および(b)少量ずつ分割添加する方法、すなわち溶鋼中のSiおよびMnをできる限り酸化させず、脱酸生成物MyZの生成時にFeXO・MyZを生成させない添加方法を採用できる。いずれの場合にも、添加した段階でFeXO・MyZ介在物を生成させない程度の添加量とすることが重要であり、その理由は、FeXO・MyZ介在物を生成させると、その凝集および浮上が起こり、酸化物の微細分散化が困難となるからである。
2)上記1)の方法において使用する酸素源としては、(a)FeO、Fe23、MnO、MnO2といった鋼の母成分または主要成分から構成される酸化物、(b)溶鋼を酸化可能なガス(O2、CO2など)、およびそれらのガスをArなどの不活性ガスにより希釈したガス、(c)固体電解質などを利用した酸素ポンプ、その他を用いることができる。
3)さらに、脱酸元素Mを添加するに先立って、SiまたはSiよりも脱酸力の弱い元素を用いて予備的な脱酸を行い、かつSi、MnおよびFeを含む低級酸化物が形成されていない状態とすることが好ましい。ついで、FeXO・MyZ介在物を生成させずに、酸化物粒子の凝集を抑制することを目的として、例えばFeO、MnO、Fe23、MnO2、Cr23、MnO・Cr23およびこれら酸化物からなる混合物のように、ある程度の酸化力を有する固体を添加することがより好ましい。
4)上記1)〜3)に述べたことから、酸化方法つまり酸素の供給方法は、FeOなどの酸化物を酸素源として一括添加した後に脱酸元素Mを添加する操作を行い、その後にFeOなどの酸素源を一括添加する操作と引き続き行う脱酸元素M′を一括添加する操作とを繰り返す方法を基本とすることができる。上記の脱酸元素Mの添加後に、脱酸元素M′を添加する操作(以下、「操作2」とも記す)と酸素源を添加する操作(以下、「操作1」とも記す)との繰り返しの際に、上記操作2において添加する脱酸元素M′を脱酸元素Mとは種類の相違する元素とすることにより、分散酸化物として複合脱酸生成物を生成させることができる。
5)また、FeOなどの酸化物を酸素源として操作1を実施する場合に、酸素源を2回以上に分けて溶鋼に添加する分割添加を行い、さらに脱酸元素Mを添加する操作を行った後に、酸素源を2回以上に分けて分割添加する操作1と脱酸元素M′を添加する操作2とを繰り返すこともできる。さらに、操作1および操作2をともに分割添加としたうえで、操作2の繰り返しの際に、脱酸元素M′を脱酸元素Mとは相違する種類の元素とすることにより、分散酸化物を複合酸化物の成分組成に制御することも可能である。
(2)脱酸方法
1)脱酸元素Mを添加する操作2における脱酸元素の添加方法としては、脱酸元素Mの一括添加を行い、その後にFeOなどの酸素源を添加する操作1と脱酸元素M′を一括添加する操作2とをさらに繰り返し、2回目以降の操作1では、前回の操作2にて生成したMyZをFeXO・MyZに変化させないように、FeOなどの酸素源を少量づつ添加することが好ましい。また、操作2の繰り返しの際に脱酸元素M′を脱酸元素Mとは種類の相違する元素とすることにより、複合酸化物を形成させることが可能となる。
2)さらに好ましくは、操作2において脱酸元素Mを複数回に分けて分割添加し、その後にFeOなどの酸素源を添加する操作1と脱酸元素M′分割添加する操作2とを繰り返し、2回目以降の操作1では、前回の操作2にて生成したMyZをFeXO・MyZに変化させないように、FeOなどの酸素源を少量づつ添加する方法がよい。また、操作2の繰り返しの際に脱酸元素M′を脱酸元素Mとは種類の相違する元素とすることにより、複合酸化物の形成が可能となることについては、上記1)で述べたとおりである。
3)操作2における脱酸元素として、Ti、ZrおよびREMから選ばれた1種以上を用いることにより、本発明の作用・効果である微細酸化物の分散量の安定化をさらに確実に図ることができる。
4)操作2にてZrまたはCeのような炭化物および/または窒化物形成元素である脱酸元素を添加した場合には、脱酸に消費されずに残存する過剰の脱酸元素を酸化除去する必要が生じる場合がある。その場合には、酸化除去に必要な酸素源を操作2に引き続いて添加することにより、分散粒子の粗大化を抑制し、微細酸化物の分散量を安定的に増大させることができる。
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(6)に示す微細酸化物分散鋼の製造方法にある。
(1)製鋼温度域で溶鋼中のSiよりも酸素との親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作を行った後、溶鋼に酸素を供給できる酸素源を添加する操作1とその後にSiよりも親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作2とを、それぞれ1回以上行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させることを特徴とする微細酸化物分散鋼の製造方法。
(2)製鋼温度域で溶鋼に酸素源を添加して溶鋼中の酸素濃度を上昇させた後に、前記(1)に記載の一連の操作を行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させることを特徴とする微細酸化物分散鋼の製造方法。
(3)前記操作1において、酸素源を複数回に分割して溶鋼に添加することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の微細酸化物分散鋼の製造方法。
(4)前記操作2において、脱酸元素を複数回に分割して溶鋼に添加することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の微細酸化物分散鋼の製造方法。
(5)前記操作2における脱酸元素がTi、ZrおよびREMから選ばれた1種以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の微細酸化物分散鋼の製造方法。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の微細酸化物分散鋼の製造方法において、前記操作2にて炭化物および/または窒化物形成元素である脱酸元素を添加し、脱酸に消費されずに残存する過剰の脱酸元素を酸化除去するために要する酸素源を前記操作2に引き続いて添加することを特徴とする微細酸化物分散鋼の製造方法。
本発明において、「製鋼温度域」とは、製鋼工程における操作の行われる温度領域を意
味し、1550〜1700℃の温度領域をいう。
また、「Siよりも酸素との親和力が強い元素」とは、温度とギブス自由エネルギー変化との関係を示すエリンガム線図において、上記の製鋼温度域で、Si+2O=SiO2により示される酸化反応の酸素1mol当たりのギブス自由エネルギー変化よりも、酸化反応のギブス自由エネルギー変化が小さい元素を意味する。それらの元素を例示すれば、Ti、Zr、Ce、Nd、La、Gd、Sc、Y、Al、Ca、MgおよびBaが該当する。ただし、Alのように脱酸時の添加により過飽和現象が生じる元素については、過飽和現象が生じないように、溶媒である溶鋼の充分な攪拌操作などを行う必要がある。
そして、「微細酸化物分散鋼」とは、例えば後述するような0.05μm以上の酸化物粒子の分散量が測定できる方法により求めた酸化物微粒子の粒径分布およびその粒子個数から算出される算術平均粒子径が1μm以下である酸化物が分散している鋼を意味する。
なお、明細書の以下の記載において、成分組成を表す濃度の「%」は「質量%」を意味する。
本発明の方法によれば、溶鋼中のSiよりも酸素との親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作を行った後、溶鋼に酸素を供給できる酸素源を添加する操作1とその後にSiよりも親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作2とを、それぞれ1回以上行うか、または、溶鋼に酸素源を添加して溶鋼中の酸素濃度を上昇させた後に、上記の操作を行うことにより、鋼中に分散する酸化物微粒子の分散量を安定的にかつ飛躍的に増大させることができる。したがって、本発明法を用いることにより、量産製造プロセスに適用可能な、1μm以下の微粒子を多数分散させた微細酸化物分散鋼の製造が可能となる。
本発明は、前記のとおり、製鋼温度域で溶鋼中のSiよりも酸素との親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作を行った後、溶鋼に酸素を供給できる酸素源を添加する操作1とその後にSiよりも親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作2とを、それぞれ1回以上行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させる微細酸化物分散鋼の製造方法である。また、製鋼温度域で溶鋼に酸素源を添加して溶鋼中の酸素濃度を上昇させた後に、上記の操作を行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させる微細酸化物分散鋼の製造方法でもある。
(1)本発明の基礎となった知見
本発明者らは、粒径が球相当で1μm未満の脱酸反応生成物の、溶鋼中における粒径分布および分散可能量を調査するために、鋼中微粒子を溶解することなく抽出できる非水溶媒使用による定電位抽出電解法を確立し、種々の脱酸状態にある鋼中の微小酸化物の組成および分散量を調査した。その中で、溶鋼を所定の溶存酸素濃度を含有する条件下に置いた後、酸素との親和力の強い元素、すなわち脱酸元素を添加する際に、1回で添加するよりも、酸素源および脱酸元素を複数回に分けて添加することにより、粒径分布は一層微細に、また分散量は増大することを見出した。
この現象は、脱酸反応が当該反応の過飽和度が小さい状態で進行することによると考えられた。さらに、この微細な脱酸生成物が生じる過飽和度の条件は、脱酸操作で添加する脱酸元素をMとするとき、FeXO・MyZにより表されるFeとの複合酸化物が形成されないような酸素濃度および脱酸元素濃度の範囲内であれば満足されるとの知見に至った。
そして、前述の複合酸化物が生成しない酸素濃度および脱酸元素濃度の範囲であれば、酸素源の添加と脱酸剤の添加操作とを繰り返すことにより、1回目の脱酸操作で生成した微細脱酸生成物を残留させたまま酸素源を添加して、さらに2回目の脱酸操作により多くの脱酸生成物が新たに生成することが判明した。すなわち、このような条件下であれば、酸素源の添加と脱酸剤の添加操作とを繰り返すことにより、微細酸化物の分散量を増加させることが可能なことが明らかとなり、本発明を完成させるに至った。
なお1回目の脱酸操作で添加する脱酸元素Mや2回目の脱酸操作で添加する脱酸元素M′などとして使用できる脱酸元素には、Zrのように、熱間処理温度域において鋼中に炭化物や窒化物を容易に形成する元素がある。これらの脱酸元素を用いる場合には、必要に応じて、添加量を可及的少量にするとともに、最終の脱酸操作に引き続いて、過剰な残存脱酸元素の酸化物が形成される程度の少量の酸素源を添加して、炭化物や窒化物などの生成を抑制することも可能である。また、上記の過剰な脱酸元素の残存量については、直接試料を採取して発光分光分析法により迅速に分析する方法のほか、酸素濃淡電池を原理とする溶存酸素の濃度測定結果から推算する方法を用いることもできる。
(2)技術構成要件の必要理由および好ましい態様
1)脱酸元素の添加
本発明は溶鋼に対して実施されるので、製鋼温度域、すなわち1550〜1700℃の範囲で実施される。Siよりも酸素との親和力の強い元素とは、エリンガム線図において、上記の製鋼温度域で、Si+2O=SiO2により示される酸化反応の酸素1mol当たりのギブス自由エネルギー変化よりも、酸化反応のギブス自由エネルギー変化が小さい元素を意味する。なかでも溶鋼の脱酸元素として用いられ、かつ、本発明に有効な元素を例示すれば、Ti、Zr、Ce、Nd、La、Gd、Sc、Y、Al、Ca、MgおよびBaが該当する。ただし、Alのように脱酸時の添加により過飽和現象が生じる元素については、過飽和現象が生じないように、溶媒である溶鋼の充分な攪拌操作などを行う必要がある。
上記の過飽和現象を回避しやすい元素としては、Ti、ZrおよびREM(Ce、Nd、La、Gd、Sc)などが挙げられ、充分な攪拌操作が行いにくい溶解炉を使用する場合に、好適である。
2)酸素源の添加
溶鋼に酸素源を供給する方法は特に限定されない。すなわち、(a)FeO、Fe23、MnO、MnO2といった鋼の母成分または主要成分から構成される酸化物、(b)溶鋼を酸化できるガス(O2、CO2など)、およびそれらがArガスなどの不活性ガスにより希釈されたガス、(c)固体電解質などを利用した酸素ポンプを用いることができる。
脱酸元素Mを添加するに先立って予備的な脱酸を行い、溶鋼中に含有されるSiおよびMnをできる限り酸化しないことが重要になる点を考慮すれば、好適な実施形態としては、鋼の母成分あるいは主要成分から構成される固体酸化物を用いることが好ましい。なかでも、(a)SiおよびMnの酸化を防止すること、(b)粒子の凝集を抑制すること、つまりFeXO・MyZ介在物を生成させないことを目的として、例えばFeO、MnO、Fe23、MnO2、Cr23、MnO・Cr23およびこれらの酸化物の混合物のような、ある程度の酸化力を有する固体を添加することが好ましい。
3)脱酸操作および酸化操作
上記の脱酸元素の添加および酸素源の添加の両操作を繰り返し行うに当たり、一つの操作の時間間隔については、溶鋼への脱酸元素または酸素源の添加完了時刻から次の操作(すなわち、酸素源の添加または脱酸元素の添加)の開始時刻までに一定の時間間隔が確保できればよい。操作時間の間隔は、プロセスの種類とその規模によって大きく相違する場合があるが、脱酸反応による微細酸化物の生成は微視的な反応過程であり、それは巨視的な物質移動過程に律速されていることを考慮すれば、巨視的な指標である均一混合時間をもとにして決定することができる。その間隔は、少なくともその製鋼プロセスが有する固有の均一混合時間以上の時間間隔が必要であり、均一混合時間の2倍よりも長くすることが好ましい。
さらには、溶鋼中でSiよりも酸素との親和力の強い脱酸元素として、Ti、ZrおよびREMを用いることにより、本発明の効果が安定的かつ効果的に発揮される。ここで、本発明においてREMとは、周期律表における元素番号58番のCeから同番号71番のLuまでの範囲の元素、ならびにSc、Y、LaおよびHfの総称を意味する。これらの元素は化学的性質が比較的類似していることが知られており、本発明における作用も等価として取り扱うことができる。
これらの元素の特徴としては、前述の過飽和現象を生じにくい点以外にも、以下の利点を有する。すなわち、溶鋼中において酸素との親和力が強く、脱酸元素としての強い作用を有するとともに、生成する酸化物が固相であって、かつ溶鉄と濡れやすい性質を有している点である。この濡れやすい性質を有する理由は定かではないが、下記のように考えられる。
これらの元素の多くは、酸素が2価、3価あるいは4価といった複数の価数で結合するものがほとんどである。そして、酸化物の形成過程でMOからM23やMO2といった安定酸化物に変化して行くと推定される。この場合、一時的に2価で結合する酸化物が形成されると、2価の酸化物の中には、酸化物であるにもかかわらず金属的な性質を示すものが存在することになるからである。ここで、金属的な性質とは、自由電子が媒介した結合状態、すなわち金属結合の状態を意味し、同じ結合状態の溶融金属と酸化物は、異相間の界面エネルギーが低い、すなわち濡れやすい性質を示すと考えられる。
このような性質を有することから、酸化物の微細分散がより安定的かつ確実になるものと推察される。また、多くの酸化物は真比重が溶鋼の比重に近似した7程度であることも、酸化物の分散に有利に作用すると考えられる。
なお、前述したとおり、脱酸元素MおよびM′として使用できる脱酸元素には、Zrなどのように、熱間処理温度域において鋼中で炭化物や窒化物を容易に形成する元素がある。これらの脱酸元素を使用する場合には、必要に応じて、添加量を可及的少量にするとともに、脱酸処理の最後期に酸化物が形成される程度の少量の酸素源を添加して、炭化物や窒化物などの生成を抑制することも可能である。
4)脱酸操作および酸化操作前の好ましい条件
脱酸元素を添加する前の段階において、予めSiおよびSiよりも脱酸力の弱い元素を用いて予備的な脱酸を行った状態にある場合がある。このような前段階では、FeXO・SiO2やFeXO・ySiO2・zMnOなどの低級酸化物が懸濁しないような状態であることが好ましい。また、反対に炭素濃度によっては溶存酸素が減少している場合もあり、この場合には、酸素源の添加が極めて有効になる。そして、過剰な酸素源の添加により、FeXO・SiO2やFeXO・ySiO2・zMnOなどの低級酸化物が懸濁しないようにすることが好ましく、FeOやMnOといった固体酸素源の添加による酸素源の供給が好ましい。
脱酸元素の添加前における溶存酸素濃度については、FeXO・SiO2やFeXO・ySiO2・zMnOなどの低級酸化物が懸濁しないような範囲で、できる限り高いことが好ましい。一方、脱酸元素の添加、あるいは酸素源の添加が行われた後の溶存酸素濃度は、0.010%未満であることが好ましい。
5)適用鋼種および大型プロセスへの適用
本発明の適用鋼種およびその考え方について述べる。本発明は、その原理から、酸化物微粒子が生成する脱酸反応に直接影響を及ぼさない炭素については、その濃度範囲が0.0001〜1.5%の鋼種に適用できる。なお、炭化物形成元素の添加を考慮すれば、好適な炭素濃度は0.0001〜0.20%の範囲である。また、本発明は、脱酸反応に直接影響を及ぼさない元素により鉄の一部を置換することができる。つまり、鉄の一部に替えて、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、W、P、およびSを含有する溶鋼にも適用できる。その理由は、これらの元素は、製鋼温度域の溶鉄中においてSiよりも脱酸力の弱い元素であり、本発明の作用および効果に大きな影響を及ぼさないからである。
次に、大型プロセスへの本発明法の適用について述べる。本発明の根幹となる脱酸反応による微細酸化物の生成は、前述したとおり微視的反応である。したがって、例えば攪拌状態などの巨視的な物質移動の条件、つまり、前述した均一混合時間や、精錬反応における物質移動の指標である攪拌動力などの条件が実験室規模の試験と大型プロセスとで合致するように操作条件を調整することにより、実験室規模の操作条件をそのまま大型プロセスに適用することができる。
また、製鋼段階における微細酸化物の分散は、後工程である鋼の鋳造や圧延といったプロセスにも大きな影響は及ぼさない。したがって、本発明は、溶鋼を処理する取鍋精錬プロセスにおける脱酸操作、例えば環流式脱ガス装置や取鍋加熱−攪拌精錬装置を用いた脱酸工程にそのまま適用することができる。
本発明に係る微細酸化物分散鋼の製造方法の効果を確認するため、以下に述べる試験を行い、その結果を評価した。
(試験方法)
誘導加熱炉を用いて炭素濃度が0.03%である溶鋼60gを1600℃で溶解し、保持した。溶鋼の保持容器には緻密質MgOルツボを使用し、溶解雰囲気は、化学的に不活性なArガスとした。予め、酸化鉄(Fe23)試薬を添加することにより、溶鋼中の酸素濃度の調整を行った。溶存酸素濃度の測定には、ジルコニア固体電解質による酸素濃淡電池を測定原理とする酸素濃度センサーを用いた。
溶鋼中の溶存酸素濃度を所定の濃度に調整した後、下記の各方法により、本発明法についての試験を行った。
(A)1回目の脱酸操作として試薬級のTi、Zr、Ce、Nd、CaまたはMgを脱酸元素Mとしてそれぞれ、少量の鉄箔に包んで溶鋼に添加し、添加後にルツボと同じ材質の保護管を攪拌棒として約30秒間静かに攪拌した。約60秒後に、操作1として、酸素源である酸化鉄(Fe23)試薬を添加してMgO製の棒により約20秒間撹拌し、さらに2回目の操作2として、脱酸元素M′を添加し、約30秒間静かに攪拌した。このとき、脱酸元素M′としては、前記1回目の操作2で添加した脱酸元素Mと同種または異なる種類の脱酸元素を用いた。上記のような操作1と操作2とをさらに1回ないし複数回繰り返した。
(B)酸化鉄(Fe23)試薬を用いて酸素濃度を所期の値に高める操作を行い、約20秒間攪拌した後、1回目の脱酸操作として脱酸元素Mを添加して脱酸およびその後の攪拌を行った。さらに、約60秒間以上の保持後に、操作1として、酸素源としての酸化鉄(Fe23)試薬を添加して攪拌し、さらに2回目の操作2として、脱酸元素M′を添加し、攪拌した。このとき、脱酸元素M′としては、前記1回目の操作2で添加した脱酸元素Mと同種または異なる種類の脱酸元素を用いた。このような操作1と操作2とをさらに1回ないし複数回繰り返した。
(C)前記(A)または(B)の方法を実施する際に、酸素源としての酸化鉄(Fe23)試薬を複数回に分割して添加した。各分割添加は、約30秒の間隔をあけて行った。その後、脱酸元素Mを添加して前記(A)または(B)と同様に攪拌操作を行った。このようにして操作1と操作2とをさらに1ないし複数回繰り返した。
(D)前記(A)、(B)または(C)の方法を実施する際に、脱酸元素M、M′、M″などを複数回に分割して添加した。各分割添加は、約30秒の間隔をあけて行った。このようにして操作1と操作2とをさらに1回ないし複数回繰り返した。
(E)前記(A)〜(D)の方法を実施する際に、1回目の脱酸操作で添加する脱酸元素Mおよび2回目の脱酸操作で添加する脱酸元素M′として、鋼中に炭化物や窒化物を容易に形成するTiおよびZrを用い、過剰に存在する脱酸元素を酸化除去するために必要な酸素源を添加して、炭化物や窒化物などの生成を抑制した。
脱酸元素M、M′、M″などを添加する前の溶鋼中の溶存酸素濃度は、Siおよび/またはMnにより予備脱酸された状態で、0.0020〜0.0100%の範囲が好適である。その後、酸化源を加える場合(後出の表1の本発明例(B)参照)には、溶存酸素濃度が0.0001〜0.008%の範囲内で増加するように添加した。脱酸元素M、M′、M″などの添加量は、脱酸生成物が化学量論組成を有するとして、その除去したい酸素濃度の当量分に歩留まりを考慮した添加量を添加する。その添加量の歩留まりは、本発明を適用する溶解炉によって決まる量であり、溶鋼温度および成分組成の関数として求めておき、それらを使用することもできる。
比較法としては、最初の脱酸元素Mの添加後、上記(A)〜(D)の各方法の操作に要する時間静置した。
これらの操作を行った後、誘導加熱炉への電力供給を停止し、炉上部を開放して試料をルツボごと取り出し、水中に急冷した。急冷試料から、10mm×20mm×3mmの試験片に切り出し、以下の方法により酸化物微粒子の分散量および粒度分布を測定した。
試験片表面を洗浄した後、2%TEA溶液にて試料表面を約0.04mg溶解し、溶け残った酸化物微粒子を開孔径0.05μmのニュークリポアフィルタにて捕集した。フィルタ上に残存した酸化物微粒子を走査型電子顕微鏡により所定面積にわたり観察し、観察される粒子径および粒子数を計測した。なお、酸化物微粒子は、フィルタ開口部全面に充分に均一分散していることを予め確認しており、所定面積における測定結果を開口部全面積当たりに換算することにより、粒子数および粒径分布を算出することができる。
(試験結果)
表1および表2に、各試験における脱酸前の溶存酸素濃度、酸素濃度上昇量、脱酸元素の種類、脱酸元素量、酸素濃度増加量、脱酸剤M、M′、M″の分割添加回数および酸素源の分割添加回数といった試験条件、ならびに粒径分布および個数から求めた算術平均粒子径r(μm)を示した。
Figure 2007162085
Figure 2007162085
同表において、本発明例A〜本発明例D(試験番号1〜30および31〜58)およびE(試験番号59および60)は、上記の(A)〜(E)の各方法による本発明例についての試験であり、試験番号61〜70は、本発明で規定する条件を満たさない比較例についての試験である。
図1は、脱酸元素にTiを使用した本発明例A(試験番号1)、本発明例B(試験番号22)、本発明例C(試験番号31)、本発明例D(試験番号45)および比較例(試験番号61)についての分散酸化物粒子の粒径分布を比較して示す図である。
同図において、本発明例A(試験番号1)は、脱酸元素としてTiを使用し、酸化源の添加と脱酸剤の添加とを繰り返した例であり、本発明例B(試験番号22)は、初期に酸素源を添加して酸素濃度を上昇させた後に脱酸剤を添加し、その後、酸素源の添加と脱酸剤の添加とを繰り返した例である。また、本発明例C(試験番号31)は、本発明例Aと同様の試験において、酸素源を添加する際に分割添加を行った例であり、本発明例D(試験番号45)は、本発明例Aと同様の試験において、脱酸剤の分割添加を行った例であり、そして、比較例(試験番号61)は、1回目の脱酸剤の添加を行ったのみの例である。
同図の結果に示されるとおり、比較例に比べて、本発明例A、B、CおよびDは、いずれも、分散された酸化物粒子の粒径分布が低粒径側に移行しており、かつ、低粒径側における分散量が増大して、良好な分散状態が得られていることが明らかである。
図2は、1回目、2回目および3回目の脱酸元素にそれぞれTi、ZrおよびCeを使用した本発明例A(試験番号11)、本発明例B(試験番号26)、本発明例C(試験番号41)、本発明例D(試験番号55)および比較例(試験番号69)についての分散酸化物粒子の粒径分布を比較して示す図である。
同図において、本発明例A(試験番号11)は、1回目の脱酸元素MにTiを使用し、その後、酸化源の添加の後に脱酸剤を添加する操作を繰り返し、その際、2回目の脱酸元素M′としてZrを、3回目の脱酸元素M″としてCeを用いて複合脱酸操作を行った例である。本発明例B(試験番号26)は、初期に酸素源を添加して酸素濃度を上昇させた後に、上記の本発明例Aと同様の方法で脱酸剤を添加し、その後、酸素源の添加と脱酸剤の添加とを繰り返した例である。また、本発明例C(試験番号41)は、本発明例Aと同様の試験において、酸素源を添加する際に分割添加を行った例であり、本発明例D(試験番号55)は、本発明例Aと同様の試験において、酸素源および脱酸剤の分割添加を行った例であり、そして、比較例(試験番号69)は、2回目の脱酸操作および3回目の脱酸操作を行ったが、酸化源の添加操作は行わなかった例である。
同図の結果から、本発明例A、B、CおよびDは、いずれも、分散された酸化物粒子の粒径分布が低粒径側に移行しており、かつ、低粒径側における分散量が増大し、良好な分散状態が得られていることがわかる。
また、図1および図2の結果を比較することにより、本発明の方法により複合脱酸操作を行うと、鋼中の微細酸化物粒子の分散量自体も増大することがわかる。
なお、表1の本発明例A(試験番号15)および本発明例B(試験番号30)は、2回目の脱酸元素M′および3回目の脱酸元素M″のいずれについても、ZrおよびCeの2種の元素を添加した例であり、分散された酸化物粒子の算術平均粒径rの値が小さい良好な結果が得られている。
さらに、表1および表2の結果に示されるとおり、本発明例A、B、C、およびDでは、比較例である試験番号61〜70に比較して、分散された酸化物粒子の算術平均粒径rの値が小さくなっており、この結果は、本発明の方法が酸化物微粒子の微細分散に極めて有効な作用および効果を有することを示すものである。
また、表2の本発明例E(試験番号59および60)に示すとおり、TiおよびZrのような炭化物および/または窒化物形成元素を脱酸元素として使用する場合には、過剰に残存した脱酸元素を酸化除去する方法として、酸素源を添加する方法を適用することができる。この方法によれば、同表の結果に示すように、分散粒子の算術平均粒径rは、過剰な脱酸元素を除去する程度の酸素源の添加ではほとんど増大していない。このことから、本方法により過剰脱酸元素の除去が可能であることがわかる。
本発明の方法によれば、溶鋼中のSiよりも酸素との親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作を行った後、溶鋼に酸素を供給できる酸素源を添加する操作1とその後にSiよりも親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作2とを、それぞれ1回以上行うか、または、溶鋼に酸素源を添加して溶鋼中の酸素濃度を上昇させた後に、上記の操作を行うことにより、鋼中に分散する酸化物微粒子の分散量を安定的にかつ飛躍的に増大させることができる。したがって、本発明に係る鋼の製造方法は、優れた鋼質確保のために重要な役割を有する微細酸化物分散鋼の量産製造工程において広範に適用することができる。
脱酸元素にTiを使用した本発明例A(試験番号1)、本発明例B(試験番号22)、本発明例C(試験番号31)、本発明例D(試験番号45)および比較例(試験番号61)についての分散酸化物粒子の粒径分布を比較して示す図である。 1回目、2回目および3回目の脱酸元素にそれぞれTi、ZrおよびCeを使用した本発明例A(試験番号11)、本発明例B(試験番号26)、本発明例C(試験番号41)、本発明例D(試験番号55)および比較例(試験番号69)についての分散酸化物粒子の粒径分布を比較して示す図である。

Claims (6)

  1. 製鋼温度域で溶鋼中のSiよりも酸素との親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作を行った後、溶鋼に酸素を供給できる酸素源を添加する操作1とその後にSiよりも親和力が強い元素の中から選ばれた1種以上を脱酸元素として溶鋼に添加する操作2とを、それぞれ1回以上行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させることを特徴とする微細酸化物分散鋼の製造方法。
  2. 製鋼温度域で溶鋼に酸素源を添加して溶鋼中の酸素濃度を上昇させた後に、請求項1に記載の一連の操作を行うことにより鋼中に多量の微細酸化物を分散させることを特徴とする微細酸化物分散鋼の製造方法。
  3. 前記操作1において、酸素源を複数回に分割して溶鋼に添加することを特徴とする請求項1または2に記載の微細酸化物分散鋼の製造方法。
  4. 前記操作2において、脱酸元素を複数回に分割して溶鋼に添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微細酸化物分散鋼の製造方法。
  5. 前記操作2における脱酸元素がTi、ZrおよびREMから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の微細酸化物分散鋼の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の微細酸化物分散鋼の製造方法において、前記操作2にて炭化物および/または窒化物形成元素である脱酸元素を添加し、脱酸に消費されずに残存する過剰の脱酸元素を酸化除去するために要する酸素源を前記操作2に引き続いて添加することを特徴とする微細酸化物分散鋼の製造方法。
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