JP2007161669A - 歯科用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は歯科用修復物の歯質との接着に関して、優れた接着力および接着耐久性を有する前処理材や接着材を提供することを目的とする。
【解決手段】 酒石酸などのα−ヒドロキシカルボン酸および/またはグルクロン酸などのβ−ヒドロキシカルボン酸を、酸性基含有重合性単量体、および水からなる歯科用前処理材に配合する。また、α−ヒドロキシカルボン酸および/またはグルクロン酸などのβ−ヒドロキシカルボン酸を、酸性基含有重合性単量体、水、および重合開始剤からなる歯科用接着材に配合する。
【選択図】 なし

Description

本発明は歯科用組成物、詳しくは歯科医療分野等における歯の修復に際し使用する歯科用前処理材や歯科用接着材に好適な歯科用組成物に関する。
齲蝕等により損傷を受けた歯の修復には、主にコンポジットレジンと呼ばれる充填材料が用いられる。このコンポジットレジンは歯の空洞に充填後重合硬化して使用されることが一般的である。しかし、この材料自体歯質への接着性を持たない為、歯科用接着材が併用される。この接着材にはコンポジットレジンの硬化に際して発生する内部応力、即ちコンポジットレジンと歯質との界面に生じる引張り応力に打ち勝つだけの接着強度が要求される。さもないと過酷な口腔環境下での長期使用により脱落する可能性があるのみならず、コンポジットレジンと歯質の界面で間隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄に悪影響を与える恐れがあるためである。
歯の硬組織はエナメル質と象牙質から成り、臨床的には双方への接着が要求される。従来、接着性の向上を目的として、接着材塗布に先立ち歯の表面を前処理する方法が用いられてきた。このような前処理材としては、歯の表面を脱灰する酸水溶液が一般的であり、リン酸等の酸水溶液が用いられてきた。エナメル質の場合、処理面との接着機構は、酸水溶液の脱灰による粗造な表面へ、接着材が浸透して硬化するというマクロな機械的嵌合であるのに対し、象牙質の場合には、脱灰後に歯質表面に露出するスポンジ状のコラーゲン繊維の微細な空隙に、接着材が浸透して硬化するミクロな機械的嵌合であると言われている。但し、コラーゲン繊維への浸透はエナメル質表面ほど容易ではなく、酸水溶液による処理後に更にプライマーと呼ばれる浸透促進材が一般的に用いられる。即ち、この方法ではエナメル質と象牙質の双方に対して良好な接着強度を得るためには、歯科用接着材を塗布する前に2段階の前処理が必要な3ステップシステムであり、操作が煩雑であるという問題があった。
近年、この操作の煩雑さの軽減を目的として、酸水溶液の脱灰機能と象牙質プライマーの浸透促進機能を併せ持つセルフエッチングプライマーと呼ばれる前処理材と歯質接着材で処理する2ステップシステム(特許文献1、2)が提案され、さらに、酸水溶液の脱灰機能と象牙質プライマーの浸透促進機能及び歯質への接着材としての機能すべてを併せ持つ接着材で処理する1ステップシステム(特許文献3、4参照)が提案されている。
これら2ステップシステムの前処理材および1ステップシステムの接着材には、いずれも歯質を脱灰するために、酸性基を有する重合性単量体が用いられている。しかしながら、このような酸性基含有重合性単量体は、一般的に機械的強度が低く、また耐水性も悪いため、水分を多く含む口腔内という過酷な条件下で長期間安定した接着力を維持するのは必ずしも十分とは言えなかった。
特開平06−009327号公報 特開平06−024928号公報 特開平10−236912号公報 特開平10−245525号公報
以上の背景にあって、本発明は歯科用修復物の歯質との接着に関して、優れた接着力および接着耐久性を有する前処理材や接着材を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、酸性基含有重合性単量体とともに、α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸を用いた歯科用組成物を用いれば、優れた接着力及び接着耐久性を有する前処理材や接着材が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸、並びに(B)酸性基含有重合性単量体を含有することを特徴とする歯科用組成物である。
該歯科用組成物を歯科用前処理材として用いる場合には、(A)α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸、(B)酸性基含有重合性単量体に、(C)水を加えることにより、歯質の脱灰力および歯質への浸透力に優れ、且つ、歯質に対して優れた接着力及び接着耐久性を有する前処理剤が得られる。
また、該歯科用組成物を歯科用接着材として用いる場合には、(A)α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸、(B)酸性基含有重合性単量体に、(C)水及び(D)光重合開始剤を加えることにより、歯質に対して優れた接着力及び接着耐久性を有し、前処理等をしなくても使用可能な接着材が得られる。
本発明の歯科用組成物を基にした前処理材や接着材は、従来の歯科用前処理材や歯科用接着材と比較してより高い接着強度および優れた接着耐久性を得ることができる。この前処理材や接着材を用いれば、齲蝕の治療に際して、歯科用修復物と歯質とを優れた接着性で接着でき、その結果、接着界面からの齲蝕菌の侵入が抑制でき、齲蝕の再発を高度に防止できる。
本発明の歯科用組成物は、(A)α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸、および(B)酸性基含有重合性単量体を含有することを特徴とし、該組成物を基にした歯科用前処理材や歯科用接着材は、エナメル質や象牙質などの歯質に対し優れた接着力および接着耐久性を有するものになる。この理由は定かではないが、α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸と歯質中のカルシウムとの水素結合などの化学的な相互作用が強固であるためと推測される。
以下、これら各成分について説明する。
本発明の歯科用組成物に使用する(A)α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸としては、水酸基とカルボキシル基が同じ炭素に結合したα−ヒドロキシカルボン酸、水酸基とカルボキシル基が隣り合った炭素に結合したβ−ヒドロキシカルボン酸であれば、公知の化合物が使用できる。このような関係にある水酸基、カルボキシル基の数はそれぞれ1〜4個が好ましく、それぞれ2〜4個有している場合に、接着性と接着耐久性に関する本発明の効果が顕著に発揮され特に好ましい。また、1〜20個の炭素数の炭化水素基を持つα−またはβ−ヒドロキシカルボン酸が好ましい。
好ましいα−ヒドロキシカルボン酸を例示すると、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、メチル乳酸、2−ヒドロキシ−3−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘプタン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、2−ヒドロキシノナン酸、2−ヒドロキシデカン酸、2−ヒドロキシウンデカン酸、2−ヒドロキシドデカン酸、2−ヒドロキシテトラデカン酸、2−ヒドロキシヘキサデカン酸、2−ヒドロキシオクタデカン酸)、2−ヒドロキシエイコサン酸、2−ヒドロキシテトラコサン酸、2−ヒドロキシ−9−ウンデセン酸、2−ヒドロキシ−10−ウンデセン酸、グリセリン酸、グルカル酸,ムチン酸などが挙げられ、特に好ましいのは、酒石酸、グルコン酸、グルカル酸、ムチン酸である。
また、好ましいβ−ヒドロキシカルボン酸を例示すると、グルクロン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−メチル−3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシペンタン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、3−ヒドロキシヘプタン酸、3−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシノナン酸、3−ヒドロキシデカン酸、3−ヒドロキシウンデカン酸、3−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシテトラデカン酸、3−ヒドロキシヘキサデカン酸、3−ヒドロキシオクタデカン酸、3−ヒドロキシエイコサン酸、3−ヒドロキシテトラコサン酸、3−ヒドロキシ−9−ウンデセン酸、3−ヒドロキシ−10−ウンデセン酸、サリチル酸、セリン、トレオニンなどが挙げられる。
尚、ヒドロキシカルボン酸の種類によっては、光学異性体が存在するものもある。本発明の歯科用組成物においては、そのような光学異性体を単独で、あるいは混合物として含有させることができる。
本発明の歯科用組成物におけるα−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸の配合量は特に限定されないが、本発明の歯科用組成物を基にした試薬の全組成中の0.01〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.05〜10質量%である。
本発明の歯科用組成物に使用する(B)酸性基含有重合性単量体としては、1分子中に少なくとも1つの重合性不飽和基と少なくとも1つの酸性基を有する重合性単量体であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで、重合性不飽和基とは、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基等の(メタ)アクリロイル基の誘導体基;ビニル基:アリル基;スチリル基等が例示される。
また、ここで酸性基とは、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)}、カルボキシル基{−C(=O)OH}、スルホ基(−SOH)等の遊離の酸基のみならず、当該酸性基の2つが脱水縮合した酸無水物構造(例えば、−C(=O)−O−C(=O)−)、あるいは酸性基のOHがハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基(例えば、−C(=O)Cl)等など、該基を有する重合性単量体の水溶液又は水懸濁液が酸性を示す基を示す。
酸性基含有重合性単量体を具体的に例示すると、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−o−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸等の分子内に1つのカルボキシル基を有す重合性単量体、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物;11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル サクシネート、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテート、N,O−ジ(メタ)アクリロイルチロシン、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート アンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物等の分子内に複数のカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有す重合性単量体、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物(ただしこれらはカルボキシル基を有す化合物である場合);2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル) ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル フェニル ハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル ジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル ジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2−ブロモエチル ハイドロジェンフォスフェート等の分子内にホスフィニコオキシ基又はホスホノオキシ基を有す重合性単量体(重合性酸性リン酸エステルとも称す)、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物;ビニルホスホン酸、p−ビニルベンゼンホスホン酸等の分子内にホスホノ基を有す重合性単量体;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸等の分子内にスルホ基を有す重合性単量体が例示される。またこれら以外にも、特開昭54−11149号公報、特開昭58−140046号公報、特開昭59−15468号公報、特開昭58−173175号公報、特開昭61−293951号公報、特開平7−179401号公報、特開平8−208760号公報、特開平8−319209号公報、特開平10−236912号公報、特開平10−245525号公報等に開示されている歯科用組成物の成分として記載されている酸性基含有重合性単量体も好適に使用できる。
これら酸性基含有重合性単量体は単独で用いても、複数の種類のものを併用しても良い。
上記酸性基含有重合性単量体のなかでも、歯質に対する接着性が優れている点で、重合性酸性リン酸エステルが特に好ましい。また光照射時の重合性が良好な点で、重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基の誘導体基であることが好ましい。
本発明の歯科用組成物における酸性基含有重合性単量体の配合量は特に限定されないが、本発明の歯科用組成物を基にした試薬の全組成中の1〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは3〜70質量%である。
本発明の歯科用組成物に使用する(C)水は、(B)酸性基含有重合性単量体と共に歯質脱灰作用を効果的に発揮させるために加えるのが好ましい成分である。該(C)水は、保存安定性、生体適合性および接着性に有害な不純物を実質的に含まないことが好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。本発明の接着剤における(C)水の配合量は、特に限定されるものではなく適宜設定すれば良いが、前処理材とした場合には、該前処理剤の全組成中の1〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜55質量%である。また、接着材とした場合には、該接着材の全組成中の1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは3〜20質量%である。
本発明の歯科用接着材に使用する(D)光重合開始剤としては、ジアセチル、アセチルベンゾイル、ベンジル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等のα−ジケトン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体、ベンゾフェノン、p,p’−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド誘導体、さらには、アリールボレート化合物/色素/光酸発生剤からなる系が挙げられる。これらの中でも特に好ましいのは、α−ジケトン系の光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤、及びアリールボレート化合物/色素/光酸発生剤を組み合わせた系からなる光重合開始剤である。
上記α−ジケトンとしてはカンファーキノン、ベンジルが好ましく、また、アシルホスフォンオキサイドとしては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドが好ましい。なお、これらα−ジケトン及びアシルホスフォンオキサイドは単独でも光重合活性を示すが、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ラウリル、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミン化合物と併用することがより高い活性を得られて好ましい。
また、アリールボレート化合物/色素/光酸発生剤系の光重合開始剤については特開平9−3109号公報等に記されているものが好適に用いられるが、より具体的には、テトラフェニルホウ素ナトリウム塩等のアリールボレート化合物を、色素として3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3,3’−カルボニルビス(4−シアノ−7−ジエチルアミノクマリン等のクマリン系の色素を、光酸発生剤として、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、またはジフェニルヨードニウム塩化合物を用いたものが特に好適に使用できる。
該光重合開始剤はそれぞれ単独で配合するのみならず、必要に応じて複数の種類を組み合わせて配合することもできる。これらの配合量は本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、調整する硬化性組成物の用途や目的に応じ適宜決定すれば良いが、好ましくはα−ジケトン又はアシルホスフィンオキサイドの場合には、全重合性単量体成分の合計を100質量部として、0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部であり、さらに必要に応じてアミン化合物を0.01〜20質量部加えれば良い。また、アリールボレート化合物/色素/光酸発生剤系の場合、色素が0.001〜1質量部、光酸発生剤が0.01〜10質量部とすれば良い。
本発明の前処理材には、通常、上記(A)〜(C)成分、接着材には通常、(A)〜(D)成分が配合されていればその効果を良好に発現するが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて歯科用組成物の配合成分として公知の他の成分、例えば、酸性基を有しない重合性単量体、水溶性有機溶媒、紫外線吸収剤、重合禁止剤、重合抑制剤、染料、顔料などが配合されていてもよい。
酸性基を有しない重合性単量体としては、歯科分野で使用可能な公知のものが制限なく使用できる。具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2’−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水溶性有機溶媒としては、水溶性を示すものであれば公知の有機溶媒が何等制限なく使用できる。ここで言う水溶性とは、20℃での水への溶解度が20g/100ml以上であることを言う。このような水溶性有機溶媒として具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する為害性を考慮すると、エタノール、プロパノール又はアセトンが好ましい。
本発明の歯科用組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の歯科用組成物の製造方法に従えばよく、一般的には、赤色光などの不活性光下に、配合される全成分を秤取り、均一溶液になるまでよく混合すればよい。
本発明の歯科用組成物の使用方法もまた、歯科用前処理材や歯科用接着材における公知の方法に従えばよく、いずれの場合も、前記したように先に酸水溶液などによるエッチング処理をしなくても優れた接着効果が発揮され好ましい。具体的な操作を示せば、例えば、前処理材として使用する場合には、齲蝕部を取り除くなどした被着体となる歯質に本発明の前処理材を塗布、5〜60秒程度放置後に圧縮空気などを軽く吹き付けて揮発成分を揮発させた後、市販の歯科用接着材で処理すればよい。また、歯科用接着材として使用する場合には、齲蝕部を取り除くなどした被着体となる歯質に本発明の接着材を塗布、5〜60秒程度放置後に圧縮空気などを軽く吹きつけて揮発性成分を揮発させ、ついで歯科用照射器を用いて可視光を照射し重合、硬化させた後、コンポジットレジン等の歯科用修復物を用いて歯の修復をすれば良い。
その他、本発明の歯科用組成物は、上記歯科用前処理剤や歯科用接着材の用途の他にも、その歯質への優れた接着性に関する効果を生かして、歯科用コーティング材、充填用の歯科用セメント等の歯面を処理する用途において好適に使用可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を(1)に、本発明の前処理材および接着材のエナメル質、象牙質接着強度測定方法を(2)に示す。
(1)略称及び構造
(B)成分;酸性基含有重合性単量体
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MDP;10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC−10;11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカンボン酸
4−META;4−メタクリロイルオキシエチルトリメリテートアンハイドライド
(D)成分;光重合開始剤
CQ;カンファーキノン
DMBE;N,N−ジメチルp−安息香酸エチル
TPO;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
その他成分
UDMA;1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルオキサン
HEMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
EtOH;エチルアルコール
(2)エナメル質、象牙質接着強度測定方法
(2−1)本発明の歯科用性組成物を前処理材として用いた場合
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、往水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ0.5mm直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に本発明の前処理材を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次に歯科用接着材(トクソーマックボンドII ボンディングエージェント、トクヤマデンタル社製)を模擬窩洞内に塗布し可視光線照射器(パワーライト、トクヤマデンタル社製)にて10秒間光照射し接着剤を硬化させた。更にその上に歯科用コンポジットレジン(パルフィークエステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片を作製した。
上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を初期接着強度とした。また、同様に作製した接着試験片を熱衝撃試験機にて4℃と60℃の水中に1分間ずつ交互に浸漬し、これを3000回行った後で上記と同様に引張り接着強度を測定し、その値を耐久性後の接着強度とした。
(2−2)本発明の歯科用組成物を接着材として用いた場合
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、往水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ0.5mm直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に本発明の接着剤を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次に可視光線照射器(パワーライト、トクヤマデンタル社製)にて10秒間光照射し接着剤を硬化させた。更にその上に歯科用コンポジットレジン(パルフィークエステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片を作製した。
上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を初期接着強度とした。また、同様に作製した接着試験片を熱衝撃試験機にて4℃と60℃の水中に1分間ずつ交互に浸漬し、これを3000回行った後で上記と同様に引張り接着強度を測定し、その値を耐久性後の接着強度とした。
実施例1
(A)成分として0.5gのL(−)−リンゴ酸、(B)成分として4.5gのPM、(C)成分として5gの水を量り取り、混合し本発明の歯科用組成物からなる前処理材を調製した。該前処理材を用いて、エナメル質、象牙質接着強度を測定した。前処理材の組成を表1に、エナメル質、象牙質に対する初期及び耐久性後の接着強度を表2示した。
実施例2〜13、比較例1〜3
実施例1の方法に準じ組成の異なる前処理材を調整した。前処理材の組成を表1に、接着強度の測定結果を表2に示した。
Figure 2007161669
Figure 2007161669
実施例1〜13は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合されたものであるが、いずれの場合においても初期及び耐久性後において高い接着強度が得られている。
これに対して、比較例1では、(A)成分であるα−ヒドロキシカルボン酸、またはβ−ヒドロキシカルボン酸が配合されていない為、初期接着強度は高いものの、耐久性後の接着強度は低下している。比較例2では、実施例1で使用したL(−)−リンゴ酸と構造は類似するものの、ヒドロキシル基を持たない、即ち、ヒドロキシカルボン酸ではない化合物を配合した例であるが、この場合も、比較例1と同様、耐久性後の接着強度は低下した。このことより、α−ヒドロキシカルボン酸、および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸が良好な接着耐久性を得るには必須であることがわかる。比較例3は、(B)成分である、酸性基含有重合性単量体が配合されていない為、初期接着強度が低下している。
実施例14
(A)成分として1gのL(−)−リンゴ酸、(B)成分として4gのMDP、(C)成分として1gの水および(D)成分として0.05gのCQ、0.05gのDMBEを量り取り、混合し本発明の歯科用組成物からなる接着材を調製した。該接着材を用いて、エナメル質、象牙質接着強度を測定した。接着材の組成を表3に、エナメル質、象牙質に対する初期及び耐久性後の接着強度を表4示した。
実施例15〜26、比較例4〜5
実施例14の方法に準じ組成の異なる接着材を調整した。該接着材の組成を表3に、接着強度の測定結果を表4に示した。
Figure 2007161669
Figure 2007161669
実施例14〜26は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合されたものであるが、いずれの場合においても初期及び耐久性後において高い接着強度が得られている。
これに対して、比較例5では、(A)成分であるα−ヒドロキシカルボン酸、またはβ−ヒドロキシカルボン酸が配合されていない為、初期接着強度は高いものの、耐久性後の接着強度は低下している。比較例6は、(B)成分である、酸性基含有重合性単量体が配合されていない為、初期接着強度が低下している。

Claims (4)

  1. (A)α−ヒドロキシカルボン酸および/またはβ−ヒドロキシカルボン酸、並びに(B)酸性基含有重合性単量体を含有することを特徴とする歯科用組成物。
  2. さらに、(C)水を含んでなる請求項1記載の歯科用組成物。
  3. 請求項2記載の歯科用組成物からなる歯科用前処理材。
  4. 請求項2記載の歯科用組成物に、さらに、(D)光重合開始剤を含んでなる歯科用接着材。
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