JP2007161292A - スポイド素材 - Google Patents

Abstract

【課題】充填される化粧料に対して変質等の悪影響を与えることや皮膚に対する有害な物質が溶出する等の問題が発生せず、経時的に水分が透過することがなく、しかも使用性に優れたスポイド素材の提供並びに当該素材を用いた化粧料用スポイド容器の提供。
【解決手段】可塑性エラストマーの中でも水分透過性が少なく、有害な不純物の溶出が少ないスチレン系エラストマーをスポイド素材とすることで使用性に優れ、水分透過性が少なく、有害な不純物が溶出しないスポイド素材の提供が可能となり、また、スチレン系エラストマーにポリプロピレンをスチレン系エラストマー１に対してポリプロピレンを１／１０００〜１／２の比率で混合することにより生産コストを低減させることが可能となり、より汎用的な素材の提供を可能にしたのものである。

Description

本発明は、スポイド素材に関し、特に、エッセンス類等の化粧料の容器に用いられるスポイドの素材に関する。

従来、化粧料の容器に用いられるスポイドの素材は、使用性から弾力性に富んだシリコーンゴムやＮＢＲゴムが用いられている。シリコーンゴムにおいては、水分の透過性が著しい為、容器内に充填される化粧料の特性を考慮すると、保存性上好ましくない。一方、ＮＢＲゴムは、製造過程で添加される可塑剤等の不純物の影響により、充填された化粧料が変臭や変色等の経時的な変質や不純物等の影響と思われる皮膚刺激が発生する虞がありという問題点があった。

また、前記問題点を踏まえ、スポイドを用いた化粧料の容器では、使用後の保存、特に季節を跨る長期の保存においては、保存用の簡易キャップをつけ、使用時にスポイドに付け替える等の方法が用いられてきた。しかし、使用上は、前記作業は不便であり、毎日使用する場合は特に煩わしさを感じていた。

しかしながら、近年、上記問題点を解決するための検討がなされているが、十分に満足できるスポイド用素材の提案はなされていない。

解決しようとする課題は、充填される化粧料に対して変質等の悪影響を与えることや皮膚に対する有害な物質が溶出する等の問題が発生せず、経時的に水分が透過することがなく、しかも使用性に優れたスポイド素材の提供並びに当該素材を用いた化粧料用スポイド容器の提供である。

上記課題を解決するため、発明者は鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性エラストマーの中でも水分透過性が少なく、有害な不純物の溶出が少ないスチレン系エラストマーをスポイド素材とすることで使用性に優れ、水分透過性が少なく、有害な不純物が溶出しないことを見出し、またスチレン系エラストマーにポリプロピレン（以下、ＰＰと記す。）特定量混合することにより生産コストの低減を可能とし本発明の完成に至った。

即ち、本発明のスポイド素材は、スチレン系エラストマーをスポイド素材に用い成形することにより、使用性に優れた適度な弾力性を有し、十分な密閉性を確保でき、しかも充填物に対する変質や有害不純物の溶出等の悪影響を与えることがない極めて有用なスポイド素材であることを見出し、そのスチレン系エラストマーにＰＰをスチレン系エラストマー１に対してＰＰを１／１０００〜１／２の比率で混合することにより生産コストを低減しより汎用的な使用を可能にしたのものである。

本発明のスポイド素材は、極めて良好な使用感触と優れた材質安定性を有するため、化粧料容器に汎用的に使用することを可能とした。

本発明に用いることができるスチレン系エラストマーは熱可塑性エラストマーであり、室温でゴム弾性体である共重合体であり、部分的に又は完全に水素添加されたものを指す。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体の水添物（ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等）が挙げられる。そして、スチレン含量は本発明の効果が現れる範囲であれば制限されない

本発明に用いることができるＰＰは特に制限はなく、化粧料容器に汎用されているＰＰが好ましい。

本発明のスポイド素材に用いるスチレン系エラストマーは単独でも良いが、混合して用いる場合は、スチレン系エラストマーとＰＰの混合比率はスチレン系エラストマー１に対してＰＰが１／１０００〜１／２が好ましく、更にスチレン系エラストマー１に対してＰＰが１／２０〜１／３が好ましい。

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。

本発明の水分透過性を表１に示す。水分透過性の試験方法は以下の通りである。

（試料）市販の化粧料（アロデュウ エッセンス：ナリスアップコスメティックス社製）
（方法）表１の各素材で成型したスポイド容器を準備し、上記美容液を３０ml充
填し、三洋電機社製インキュベーターに４０日間投入（１日おきに−５℃と４５℃になるように設定した条件）し、充填物の減少量を比較した。

本発明のスポイド素材が充填物に与える影響を確認する方法及び結果を表２に示す。

（試料）市販の化粧料（アロデュウ エッセンス：ナリスアップコスメティックス社製）
（方法）表２の各素材で成型したスポイド容器を準備し、上記美容液を３０ml充
填し、三洋電機社製インキュベーターに１４日間投入（１日おきに−５℃と４５℃になるように設定した条件）し、充填物の状態変化を確認した。

本発明のスポイド素材に使用性についての確認方法及び結果を表３に示す。

（方法）表３の各素材で成型したスポイド容器を準備し、上記美容液を３０ml充
填し、２０代〜４０代の健常女性パネラー１０名に使用させ、スポイドの使用性について官能評価を３段階（良好，普通，悪い）で実施した。

水分透過性、充填物に与える影響及び使用性に関する評価にコスト評価を加え、総合評価を表４に示す。

表１〜表４に示すように、本発明のスポイド素材は従来素材に比べ、水分透過性、充填物に与える影響、使用性に関する評価及びコストに関する全ての項目において同等以上の優れた評価を示した。また、成形性においても、インジェクション成型が可能で従来の素材と比較しても同等以上の成形性を示し、多様な形状やサイズへの対応も可能である。

本発明は、スポイド素材として極めて優れているため、化粧料容器として広く利用が期待できるものである。

Claims (2)

1. （Ａ）スチレン系エラストマーからなることを特徴とするスポイド素材。
2. （Ａ）スチレン系エラストマー及び（Ｂ）ポリプロピレンを混合した組成物からなることを特徴とするスポイド素材。