JP2007160759A - 樹脂被覆補強繊維糸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
簡便で生産性良く射出成形可能な有機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】
溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントで構成される繊維束を熱可塑性樹脂で被覆することを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法。
【選択図】なし
簡便で生産性良く射出成形可能な有機繊維含有熱可塑性樹脂ペレットおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】
溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントで構成される繊維束を熱可塑性樹脂で被覆することを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントで補強した熱可塑性樹脂成形体を成形するために用いる樹脂被覆補強繊維糸の製造方法に関する。
従来より、ガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体が補強性能に優れるため多用されている。このようなガラス繊維補強熱可塑性樹脂成形体を成形する方法としては、通常、ガラス繊維を集束剤で集束して集束糸とし、そして該集束糸をカットして熱可塑性樹脂とコンパウンドし、加熱加圧して成形する方法(例えば、特許文献1参照。)、ガラス繊維を熱可塑性樹脂で被覆する方法(例えば、特許文献2参照)、ガラス繊維糸で形成された織物と熱可塑性樹脂フィルムとを交互に積層し、加熱加圧して成形する方法等が行われている。しかしながら、これらガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂成形体は、該成形体を廃棄する際に離脱したガラス繊維が飛散する等、人体の影響に対する懸念があった。
上記したようなガラス繊維の代替として、有機繊維の短繊維に集束剤で集束し、これをカットして集束糸とし熱可塑性樹脂とコンパウンドして繊維補強熱可塑性樹脂成形体を製造する方法が用いられているが、有機繊維の短繊維を樹脂に分散させることは困難であった。すなわち、集束剤の含有量が少ないと有機繊維が綿状となってホッパーの目詰まりを生じさせ、成形体製造工程において安定生産を阻害する問題があり、逆に集束剤の含有量が多いと樹脂中での有機繊維束が多く生じて分散不良となり、補強効果が得られないという問題があった。
また、多数本の補強用連続繊維で形成した有機繊維束の外周に位置する繊維のみに接着し、内部にはほとんど含浸しないように、熱可塑性樹脂をコーティングする方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、上記した方法を用いた場合においても、得られる繊維補強熱可塑性樹脂成形体の補強性能は不十分であった。
しかし、上記した方法を用いた場合においても、得られる繊維補強熱可塑性樹脂成形体の補強性能は不十分であった。
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたもので、簡便で生産性良く射出成形可能な樹脂補強繊維糸、それをカットして得られるペレットおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、補強繊維として溶融液晶ポリマーからなるポリアリレート繊維のフィラメントを用い、そして多数本のポリアリレートフィラメントの外周に位置する繊維のみに接着し、かつ内部にはほとんど含浸しないように熱可塑性樹脂をコーティングすることにより、得られる樹脂補強繊維糸は射出成形材料として優れた特性を備えていることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントで構成される繊維束を熱可塑性樹脂で被覆することを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法であり、好ましくは上記の樹脂被覆補強繊維糸を裁断し、ペレット状にしたことを特徴とする射出成形材料の製造方法に関する。
本発明のポリアリレートフィラメントからなる樹脂被覆補強繊維糸は、多数本の連続繊維からなる補強繊維束を熱可塑性樹脂が被覆して保護しており、かつ適度な柔軟性を有しているため、加工の工程において損傷を生じることがないので繊維補強熱可塑性樹脂成形体用ペレットを製造するために好適に使用可能であり、しかも成形時には補強繊維に集束剤等を必要としないために繊維の分散性も良好で高品質の成形体を成形できる。
本発明で用いるポリアリレート繊維の原料樹脂は溶融液晶ポリマーである。この溶融液晶ポリマーは溶融相において光学異方性(液晶性)を示すポリマーであり、例えば試料をホットステージに載せ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。本発明の溶融液晶ポリマーは芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等から誘導される反復構成単位を有するものであるが、例えば下記化1及び化2の(1)〜(11)に示す繰返し構成単位からなるポリマーが挙げられる。
上記の溶融液晶ポリマーにおいて、より好ましくは化1および化2に示される反復構成単位の組合せ(5)、(8)、(9)からなるポリマーであり、さらに好ましくは、(5)に相当するポリマーであって、下記化3の(B)の成分が4〜45モル%である芳香族ポリエステルである。
本発明で用いられる溶融液晶ポリマーは好ましくは250〜350℃、より好ましくは260〜320℃の融点を有するポリマーである。ここでいう融点とは、JIS K7121に準拠した試験方法により測定されるものであり、示差走査熱量計(DSC)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である。
本発明の溶融液晶ポリマーに、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、各種添加剤を添加してもよい。
本発明で補強繊維として用いられる溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントは、形態的には連続繊維であれば、フィラメント糸を多数に集束して形成された繊維束、あるいは撚りを加えたヤーンであってもよい。補強繊維束を構成する補強繊維の繊維径、フィラメント本数は特に限定されないが繊維径は3〜200μmであることが好ましく、より好ましくは7〜50μm、フィラメント本数は50〜100000本であることが好ましく、より好ましくは100〜4000本である。
補強繊維として本発明のポリアリレート繊維を用いることにより、得られる熱可塑性樹脂成形体は従来のポリエステル、ナイロン等の汎用の有機繊維補強では達成できなかった耐衝撃性、曲げ応力、引張応力などの補強性能を有するものとなる。
補強繊維として本発明のポリアリレート繊維を用いることにより、得られる熱可塑性樹脂成形体は従来のポリエステル、ナイロン等の汎用の有機繊維補強では達成できなかった耐衝撃性、曲げ応力、引張応力などの補強性能を有するものとなる。
本発明の樹脂被覆補強繊維糸において、被覆した熱可塑性樹脂は補強繊維束の内部にはほとんど含浸せず、外周に位置する連続繊維に接着されていることが必要である。熱可塑性樹脂が補強繊維束の内部に含浸しないことにより、繊維束の内部では繊維同士が固着されず、全体の柔軟性が保たれる。また被覆した熱可塑性樹脂が補強繊維束の外周に位置する連続繊維に接着していることにより、熱可塑性樹脂被膜が剥がれ難くなり、したがってこの樹脂被覆補強繊維糸を用いた工程において熱可塑性樹脂被膜が剥がれる等のトラブルを防止することができる。
さらに本発明において、熱可塑性樹脂に層状ケイ酸塩を添加すると、高い衝撃性を維持しながら、より高い曲げ応力、引張応力が得られるので好ましい。層状ケイ酸塩には膨潤性を有する層状ケイ酸塩や膨潤性を示さない層状ケイ酸塩があるが、いずれを添加してもよい。また高アスペクト比でフレーク形状のものがより好ましい。なお熱可塑性樹脂への層状ケイ酸塩の添加量は1〜30質量%であることが好ましく、2〜25質量%であることがより好ましい。
膨潤性を有する層状ケイ酸塩としては、水あるいは有機溶剤に入れた場合に膨潤性を示し、これらの溶媒を層間に吸収することで層間距離が拡がるケイ酸塩をいう。膨潤性の層状ケイ酸塩は溶媒を層間に吸収することで層間が拡がり、あるいはさらに膨潤してへき開して超微粒子になる特性を示すため、非常に薄い板状の無機物が得られ、繊維表面に付着させることができる。好適な層状ケイ酸塩としてはこのような膨潤性を示す層状鉱物や層状無機塩(ハイドロタルサイト、マガデイアイト、カネマイト)等が使用でき、さらには多くの層状粘土鉱物が好適に使用できる。具体的な層状粘土鉱物としては、膨潤性雲母(マイカ)、スメクタイト鉱物(モンモリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト、カオリナイト、ハロイサイト、マーガライト、イモゴライト、およびクリントナイト等が挙げられる。これら層状ケイ酸塩は天然のものであっても、合成されたものであってもよく、中でも膨潤性合成フッ素雲母が好ましく、例えばタルクとナトリウム及び/またはリチウムの珪フッ化物またはフッ化物の混合物を加熱処理して得られるフッ化系化合物が好ましい。この層状ケイ酸塩は、その層間に有機カチオンを含有させることで繊維表面との接着性が改善できる場合がある。そしてこれら層状ケイ酸塩は、無機物で分子構造的に耐熱性を有しており、かつ硬度も高いため、板状微粒子として安定である。一方、非膨潤性の層状ケイ酸塩としては、特に限定されるものではなく、白雲母や金雲母に代表される雲母(マイカ)類、タルク、カオリナイトなどが挙げられる。なお、上記の膨潤性層状ケイ酸塩がへき開した板状微粒子を本発明のポリアリレート繊維の表面に付着させることで耐熱性や耐摩耗性が向上して熱溶融成形時に押出機スクリューによる繊維の損傷を防止し、ひいては熱可塑性樹脂の補強性を向上させることができる。
膨潤性を有する層状ケイ酸塩としては、水あるいは有機溶剤に入れた場合に膨潤性を示し、これらの溶媒を層間に吸収することで層間距離が拡がるケイ酸塩をいう。膨潤性の層状ケイ酸塩は溶媒を層間に吸収することで層間が拡がり、あるいはさらに膨潤してへき開して超微粒子になる特性を示すため、非常に薄い板状の無機物が得られ、繊維表面に付着させることができる。好適な層状ケイ酸塩としてはこのような膨潤性を示す層状鉱物や層状無機塩(ハイドロタルサイト、マガデイアイト、カネマイト)等が使用でき、さらには多くの層状粘土鉱物が好適に使用できる。具体的な層状粘土鉱物としては、膨潤性雲母(マイカ)、スメクタイト鉱物(モンモリロナイト、ハイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト、カオリナイト、ハロイサイト、マーガライト、イモゴライト、およびクリントナイト等が挙げられる。これら層状ケイ酸塩は天然のものであっても、合成されたものであってもよく、中でも膨潤性合成フッ素雲母が好ましく、例えばタルクとナトリウム及び/またはリチウムの珪フッ化物またはフッ化物の混合物を加熱処理して得られるフッ化系化合物が好ましい。この層状ケイ酸塩は、その層間に有機カチオンを含有させることで繊維表面との接着性が改善できる場合がある。そしてこれら層状ケイ酸塩は、無機物で分子構造的に耐熱性を有しており、かつ硬度も高いため、板状微粒子として安定である。一方、非膨潤性の層状ケイ酸塩としては、特に限定されるものではなく、白雲母や金雲母に代表される雲母(マイカ)類、タルク、カオリナイトなどが挙げられる。なお、上記の膨潤性層状ケイ酸塩がへき開した板状微粒子を本発明のポリアリレート繊維の表面に付着させることで耐熱性や耐摩耗性が向上して熱溶融成形時に押出機スクリューによる繊維の損傷を防止し、ひいては熱可塑性樹脂の補強性を向上させることができる。
次に本発明の樹脂被覆補強繊維糸の製造方法について説明する。
本発明においては、多数本の溶融液晶ポリマーからなるポリアリレート繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲するように溶融した熱可塑性樹脂を押出し、芯部に該ポリアリレート繊維を通過させ、熱可塑性樹脂を加圧下で前記補強繊維束の外周に接触させ、繊維を熱可塑性樹脂で被覆させる。図1は前記した本発明の樹脂被覆補強繊維糸の製造に用いるノズルの一例を示す概略側面図である。図1に示すように、ノズルの中央部に該ポリアリレート繊維を通過させ、その周囲に熱可塑性樹脂を通す円筒状の通路を有している。
本発明においては、多数本の溶融液晶ポリマーからなるポリアリレート繊維束を走行させた状態で、その補強繊維束を包囲するように溶融した熱可塑性樹脂を押出し、芯部に該ポリアリレート繊維を通過させ、熱可塑性樹脂を加圧下で前記補強繊維束の外周に接触させ、繊維を熱可塑性樹脂で被覆させる。図1は前記した本発明の樹脂被覆補強繊維糸の製造に用いるノズルの一例を示す概略側面図である。図1に示すように、ノズルの中央部に該ポリアリレート繊維を通過させ、その周囲に熱可塑性樹脂を通す円筒状の通路を有している。
次にポリアリレート繊維を熱可塑性樹脂で被覆させた樹脂被覆補強繊維糸を裁断してペレット状とする。裁断方法としてはロータリー方式のカッティングマシーンやギロチン方式のカッティングマシーン等を用いて裁断する方法が挙げられるが、特に限定されるものではない。
またペレットの長さは、溶融押出機で押出しする際や射出成形する際の混練性、補強繊維の分散性の面から3〜15mmであることが好ましく、4〜10mmの長さであることがより好ましい。
さらに得られるペレットを熱風乾燥機等で乾燥し、ペレット中の水分率を低くすることが溶融押出機で押出しする際や、射出成形する際により好ましい。
またペレットの長さは、溶融押出機で押出しする際や射出成形する際の混練性、補強繊維の分散性の面から3〜15mmであることが好ましく、4〜10mmの長さであることがより好ましい。
さらに得られるペレットを熱風乾燥機等で乾燥し、ペレット中の水分率を低くすることが溶融押出機で押出しする際や、射出成形する際により好ましい。
以下実施例によって、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお本発明の実施例においてFRP成形品の耐衝撃性、曲げ応力、引張応力は以下の測定方法により測定されたものを意味する。
[FRP成形品の耐衝撃性 kJ/m2]
株式会社東洋精機製デジタル衝撃試験機「DG−CB」を用い、JIS K7111試験法に準拠してノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度を測定した。
株式会社東洋精機製デジタル衝撃試験機「DG−CB」を用い、JIS K7111試験法に準拠してノッチ付き試験片のシャルピー衝撃強度を測定した。
[FRP成形品の曲げ応力 N/mm2]
株式会社島津製作所製オートグラフAG/Rを用い、JIS K7171試験法に準拠して測定した。
株式会社島津製作所製オートグラフAG/Rを用い、JIS K7171試験法に準拠して測定した。
[FRP成形品の引張応力 N/mm2]
株式会社島津製作所製オートグラフAG/Rを用い、JIS K7161試験法に準拠して測定した。
株式会社島津製作所製オートグラフAG/Rを用い、JIS K7161試験法に準拠して測定した。
[実施例1]
(1)溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントとして株式会社クラレ製ベクトラン(登録商標)「T−506」(繊維径;16μm、フィラメント数;600本)、熱可塑性樹脂として出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」を用いて、図1に示すノズル1の内径0.75mm、ノズル2の内径0.86mm、のノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、熱可塑性樹脂の吐出量6g/min、巻取速度9m/minの条件にて該ポリアリレート繊維束の外周を熱可塑性樹脂で被覆した樹脂被覆補強繊維糸を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂被覆補強繊維糸を切断し、断面を電子顕微鏡で観察したところ、補強繊維束を取囲んだ熱可塑性樹脂被覆が形成されており、その被覆は補強繊維束の外周のみに接着されており、補強繊維束の内部への樹脂含浸は見られなかった。また得られた樹脂被覆補強繊維糸は柔軟であった。
次に被覆された熱可塑性樹脂を剥がして内部の補強繊維束を観察したところ、内部の補強繊維に損傷は見られず、したがってコーティング工程で該補強繊維に損傷は生じていなかった。さらに内部の補強繊維束の引張強度を測定したところ、樹脂被覆前に比べて繊維の強度低下はみられなかった。
(3)得られた樹脂被覆補強繊維糸を上記(1)と同じ出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」100質量部に対して、該ポリアリレート繊維の含有率が10質量部となるようにチップブレンドして、押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化した。このようにして得られたペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
(1)溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントとして株式会社クラレ製ベクトラン(登録商標)「T−506」(繊維径;16μm、フィラメント数;600本)、熱可塑性樹脂として出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」を用いて、図1に示すノズル1の内径0.75mm、ノズル2の内径0.86mm、のノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、熱可塑性樹脂の吐出量6g/min、巻取速度9m/minの条件にて該ポリアリレート繊維束の外周を熱可塑性樹脂で被覆した樹脂被覆補強繊維糸を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂被覆補強繊維糸を切断し、断面を電子顕微鏡で観察したところ、補強繊維束を取囲んだ熱可塑性樹脂被覆が形成されており、その被覆は補強繊維束の外周のみに接着されており、補強繊維束の内部への樹脂含浸は見られなかった。また得られた樹脂被覆補強繊維糸は柔軟であった。
次に被覆された熱可塑性樹脂を剥がして内部の補強繊維束を観察したところ、内部の補強繊維に損傷は見られず、したがってコーティング工程で該補強繊維に損傷は生じていなかった。さらに内部の補強繊維束の引張強度を測定したところ、樹脂被覆前に比べて繊維の強度低下はみられなかった。
(3)得られた樹脂被覆補強繊維糸を上記(1)と同じ出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」100質量部に対して、該ポリアリレート繊維の含有率が10質量部となるようにチップブレンドして、押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化した。このようにして得られたペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様に樹脂被覆補強繊維糸を作製し、得られた樹脂被覆補強繊維糸と、出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」、株式会社クラレ製マイカ「クラライトマイカ200−D」をそれぞれポリアリレート繊維の含有率が5質量部、マイカの含有率が2質量部となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1と同様に樹脂被覆補強繊維糸を作製し、得られた樹脂被覆補強繊維糸と、出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」、株式会社クラレ製マイカ「クラライトマイカ200−D」をそれぞれポリアリレート繊維の含有率が5質量部、マイカの含有率が2質量部となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリアリレート繊維の含有率を10質量部、マイカの含有率を14質量部とする以外は実施例2と同様にペレットを作製し、このペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
ポリアリレート繊維の含有率を10質量部、マイカの含有率を14質量部とする以外は実施例2と同様にペレットを作製し、このペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
(1)溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントの代わりにユニチカ株式会社製ポリエステル繊維「E−721」(繊維径;21μm、フィラメント数;384本)、熱可塑性樹脂として出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」を用いて、図1に示すノズル1の内径0.75mm、ノズル2の内径0.86mm、のノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、熱可塑性樹脂の吐出量6g/min、巻取速度9m/minの条件にてポリエステル繊維束の外周を熱可塑性樹脂で被覆した樹脂被覆補強繊維糸を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂被覆補強繊維糸を上記(1)と同じ出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」をポリエステル繊維の含有率が10質量部となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
(3)表1に示すとおり、得られたFRP成形品は衝撃性、曲げ応力、引張応力とも全て満足する性能が得られなかった。
(1)溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントの代わりにユニチカ株式会社製ポリエステル繊維「E−721」(繊維径;21μm、フィラメント数;384本)、熱可塑性樹脂として出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」を用いて、図1に示すノズル1の内径0.75mm、ノズル2の内径0.86mm、のノズルにて紡糸ヘッド温度200℃、熱可塑性樹脂の吐出量6g/min、巻取速度9m/minの条件にてポリエステル繊維束の外周を熱可塑性樹脂で被覆した樹脂被覆補強繊維糸を得た。
(2)上記(1)で得られた樹脂被覆補強繊維糸を上記(1)と同じ出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」をポリエステル繊維の含有率が10質量部となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになるようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。
(3)表1に示すとおり、得られたFRP成形品は衝撃性、曲げ応力、引張応力とも全て満足する性能が得られなかった。
[比較例2]
旭ファイバーグラス株式会社製チョップドストランド「グラスロン03JAFT17」と出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」をガラス繊維含有率が20質量部となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになりようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すとおり、得られたFRP成形品において繊維の添加量を実施例1の2倍添加することで、曲げ応力と引張応力は実施例1と同等のものが得られたが、耐衝撃性は不十分であった。
旭ファイバーグラス株式会社製チョップドストランド「グラスロン03JAFT17」と出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」をガラス繊維含有率が20質量部となるようにチップブレンドして押出機でストランドを作製し、ペレタイザーで4mmになりようにカットしてペレット化し、さらにこのペレットを用いて射出成形機にてFRPを成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すとおり、得られたFRP成形品において繊維の添加量を実施例1の2倍添加することで、曲げ応力と引張応力は実施例1と同等のものが得られたが、耐衝撃性は不十分であった。
[比較例3]
出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」のみを用いて射出成形機にて成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すとおり、補強繊維が添加されない成形品の耐衝撃性は低いものであった。
出光石油株式会社製ポリプロピレン「J−762HP」のみを用いて射出成形機にて成形し、性能評価を行った。結果を表1に示す。表1に示すとおり、補強繊維が添加されない成形品の耐衝撃性は低いものであった。
表1に示すように、補強繊維を本発明の溶融液晶ポリマーからなるポリアリレート繊維を用いた樹脂被覆補強繊維糸をペレット化し、このペレットを用いて射出成形したFRP成形品は、耐衝撃性、曲げ応力、引張応力とも従来のFRP成形品に比べて優れたものとなる。
一方、比較例1の補強繊維にポリエステル繊維を用いた樹脂被覆補強繊維糸をペレット化し、このペレットを用いて射出成形したFRP成形品や比較例3の補強繊維を添加されないFRP成形品は、耐衝撃性、曲げ応力、引張応力とも本発明のFRP成形品よりも劣り、比較例2のガラス繊維を用いた樹脂被覆補強繊維糸をペレット化し、このペレットを用いて射出成形したFRP成形品は、耐衝撃性が本発明のFRP成形品よりも劣るものであった。
一方、比較例1の補強繊維にポリエステル繊維を用いた樹脂被覆補強繊維糸をペレット化し、このペレットを用いて射出成形したFRP成形品や比較例3の補強繊維を添加されないFRP成形品は、耐衝撃性、曲げ応力、引張応力とも本発明のFRP成形品よりも劣り、比較例2のガラス繊維を用いた樹脂被覆補強繊維糸をペレット化し、このペレットを用いて射出成形したFRP成形品は、耐衝撃性が本発明のFRP成形品よりも劣るものであった。
本発明の樹脂被覆補強繊維糸は、多数本の連続繊維からなる補強繊維束を熱可塑性樹脂被覆が覆って保護しており、且つ適度な柔軟性を有しているため、加工の工程において損傷を生じることがなく、繊維補強熱可塑性樹脂成形体用ペレットを製造するために好適に使用可能であり、しかも、成形時には、補強繊維に集束剤等を必要としないために繊維の分散も良く、高品質のFRP成形体を成形できるという特徴を有している。また製造工程が簡単で、安価に製造可能であり、生産性が良い等の特徴も有している。またガラス繊維を含まないFRPであるため焼却も可能であり、FRPを埋め立てする必要もない。本発明の繊維補強熱可塑性樹脂成形体用ペレットは、自動車用途ではバンパー、フェンダー、スポイラー、エアロパーツ、コンソールボックスなどに使用できる他、ヘルメット、その他射出成形機にて成形されるFRP用途にも使用可能である。
Claims (2)
- 溶融液晶ポリマーからなるポリアリレートフィラメントで構成される繊維束を熱可塑性樹脂で被覆することを特徴とする樹脂被覆補強繊維糸の製造方法。
- 請求項1記載の樹脂被覆補強繊維糸を裁断し、ペレット状にしたことを特徴とする射出成形用樹脂の製造方法。
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JP2005361160A Pending JP2007160759A (ja) | 2005-12-15 | 2005-12-15 | 樹脂被覆補強繊維糸の製造方法 |
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JP (1) | JP2007160759A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009118996A1 (ja) * | 2008-03-25 | 2009-10-01 | 株式会社クラレ | オルガノポリシロキサン組成物およびそれを用いたロープ構造体の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH07304037A (ja) * | 1994-05-13 | 1995-11-21 | Polyplastics Co | 樹脂含浸ダイおよびそれを用いた長繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法 |
JPH07314444A (ja) * | 1994-05-19 | 1995-12-05 | Polyplastics Co | 長繊維強化熱可塑性樹脂構造体およびその製造方法 |
JP2004216712A (ja) * | 2003-01-14 | 2004-08-05 | Daicel Chem Ind Ltd | 樹脂含浸連続繊維成形用ダイ及びそれを用いた樹脂含浸連続繊維の製造方法 |
-
2005
- 2005-12-15 JP JP2005361160A patent/JP2007160759A/ja active Pending
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JP5379788B2 (ja) * | 2008-03-25 | 2013-12-25 | 株式会社クラレ | オルガノポリシロキサン組成物およびそれを用いたロープ構造体の製造方法 |
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