本発明の実施例1における交互推進式の内視鏡を、図1から図3Cを参照して、以下に詳細に説明する。この実施例における内視鏡は、その先端に内視鏡ヘッド部2が取り付けられ、他方の(操作)端に操作装置、および、必要に応じて、情報判定部(図示せず)が取り付けられた柔軟性内視鏡軸部1を備える。内視鏡ヘッド部2は、光学手段、照明手段、その他器具の操作用管体などの手段3を内蔵できる。
内視鏡ヘッド部2は、好ましくは可動先端部4(以下、「可撓部」と呼ぶ)により、柔軟性のある内視鏡軸部1に接続されている。可撓部4は、内視鏡の操作端(図示せず)からの指示に応じて、好ましくは複数の方向に複数の曲率半径にて曲げることができる。可撓部4は、本実施例で採用している、関連する独国特許出願公開第10209986号明細書や独国出願公開第10010932号公報に開示されている従来式のものを利用しても構わない。可撓部4の機能や構造に関しては、それらを参照のこと。本明細書においては、前記で説明したように、可撓部4は、内視鏡軸部の操作端からの制御信号および/または圧力により曲げることができ、かつ、曲げ位置または曲げ位置以外で選択的に堅固状態に変えることができるとだけ記述する。
可撓部4や先端手段3を、同じく、内視鏡ヘッド2で利用する作業器具を操作し挿入するための作業管体を制御する配線(図示せず)が、可撓部4と内視鏡軸部1との内部を後方へ操作端まで伸びている。
内視鏡軸部1は、内視鏡軸部1が可撓部4に接続されている位置まで好ましく単壁ホース5で囲まれており、それに接続された内視鏡ヘッド部2を含む可撓部4をホース5の先端(遠端)から突き出せるようになっている。本実施例におけるホースは、壁厚が2〜3mmのEPTFE製ホースである。構造補強のため、EPTFE材はバネ形状に応じて円錐状に延びることができるよう、螺旋形バネをホース形状のEPTFEに挿着させてあり、バネ線材(バネ鋼である必要はない)が、ホースの内壁と外壁の中間のEPTFE材内に完全に埋め込まれている。さらに、EPTFE材に応じて螺旋形バネを配置することも可能であり、その場合、螺旋形バネをEPTFEホース材で被覆して接合させるため、バネを内側へ露出させることができる。さらにまた、螺旋形バネを使用することなく、ホース5の形状を決めることも同様に可能である。なお、ホースの材質はEPTFE材に制限されることなく、たとえばシリコン樹脂などのその他の材料で製造しても構わない。
本実施例におけるホース5には、その外周面に流体パッド6が取り付けられている。流体パッド6は、好ましくは楕円形状を有し、中央部分7が幅広くなっている。流体パッド6の先端と後端は、幅狭い舌形状部8を有する。
本実施例における流体パッド6は、3つの流体パッド6で1つのグループを構成している。3つのグループの流体パッド6は、流体パッド6の側面同志を中央部分7で互い接触させるか、あるいは、わずかな隙間を残すような形態で、ホース5の外周面に互いに並列に配置されている。すなわち、ホースの外周面に載置された3つの流体パッドのグループは、流体パッド6の中央の鉛直線が内視鏡軸部1の中心軸と交差し、流体パッド6の鉛直線が、互いに120度となるよう配置されている。それゆえ、舌状端部8が、(中心軸に対する法線面上で)互いに120度の間隔にて、ホース5の外周面の周囲に、先端方向および後端方向に伸びている。舌形状部8は中央部分7よりも幅狭であるため、互いの距離が中央部分7よりも広く離れることになる。このようにして、2つの隣り合う舌形状部8のあいだに膨脹部9を形成している。
前記で説明した3つの流体パッド6のグループに隣接して、別の3つの流体パッド6のグループが、その別のグループの舌形状部8を元のグループの3つの流体パッド6の膨脹部に挿入する状態で、それぞれ先端方向側と後端方向側に配置される。つまり意味するのは、縦方向の流体パッドのグループが、ホース中央軸に対する法線面上において、周方向に60度でオフセット配置される。
流体パッド6は、ホース5の先端から開始してホースの後端の50cm程度まで上記の配置状態で取り付けられている。
前記の流体パッド6には、ホース5の内側または外側の外周面、あるいは、壁内を後の操作端まで伸長する供給配管(図示せず)を経由して圧力が供給される。
流体パッド6に供給される圧力により、ホース5の柔軟性を可変させる。さらに、ホース5を空洞壁に対して保持できるよう、圧力により流体パッド6を空洞壁に接触させることができる。それゆえ、流体パッド6への圧力付与、および/または、流体パッド6中の非圧縮性流体の排除により、内視鏡軸部1の柔軟性に対して、任意的にホース5の柔軟性を高くまたは低く変化させることが可能となり、同時に、ホース5を空洞壁に対して保持状態あるいは可動状態にすることができる。
つまり、前記の圧力付与された流体パッドがその舌形状部8にて重なるため、ホース5を、その柔軟性を損なうことなく、空洞壁の全周面に保持することができるのである。
図2は、内視鏡を空洞内に少しだけ挿入した図を示す。図の番号10は、ホース5を前進移動させるための第1の駆動手段10である。駆動手段10は、ホース5を両側からその外縁溝面により摩擦係合できる1対の駆動車輪11を備える。駆動車輪11は、図示しない電気モータにより駆動される。ホース5の後端は、板形材12に固定されている。その板形材12と第1の駆動手段10とのあいだに、ホース5に被覆された内視鏡軸部1が膨脹状態15で配備される。板形材12の位置からは、内視鏡軸部1とホース5のあいだの隙間に潤滑剤を圧入することができる。
板形材12のホース5側の反対側には、内視鏡軸部1を両側から摩擦係合するための1対の駆動車輪13が設けられている。駆動車輪13は、図示しない電気モータおよび第2の駆動手段14、および駆動車輪13に接続された板形材12を構成している。
第1の駆動手段10と第2の駆動手段14とは接続固定されているため、両手段が他方に対して移動することはない。さらに、両駆動手段10と14は、検査する細管状空洞に対しても移動できないよう設置されている。
外周溝の付いた駆動車輪11の表面は、駆動車輪11とホース5とのあいだの摩擦が大きくなるよう設計されている。ホース5と内視鏡軸部1とのあいだに潤滑剤が圧入、および/または、内視鏡軸部1の表面が塗布されている(テフロンなど)ため、ホース5と内視鏡軸部1のあいだの摩擦が最小になる。そのため、ホース5を駆動車輪11によって摩擦駆動させると同時に、別の駆動車輪13によって内視鏡軸部1を反対方向へ移動させる、あるいは、静止させることができるのである。
(実施例1の機能動作)
次に、本発明の実施例1の機能を、図2と図3を参照して説明する。
図3aに示すように、内視鏡軸部1とホース5とが検査する細管状空洞内の所定位置に配置される。ポンプ(図示せず)によって流体パッド6を流体で充満させ、空洞壁に接触させる。空洞壁に対する流体パッド6の圧力により、ホース5が空洞壁に対して静止される。加えて、または、別途に、ホース5を駆動手段10で保持する。さらに、流体パッドが完全に充満された場合に、内視鏡軸部1よりもホース5の柔軟性が低く(剛性が高く)なるよう、流体の供給を制御する。
その状態のまま、第2の駆動ユニット14により内視鏡軸部1を前進移動させる。このとき、第1の駆動ユニット10はアイドリング状態である。この動作を、図3bに概略的に示す。内視鏡軸部1が前進移動する際、ホース5は内視鏡軸部1移動の支持管体として作用する。この支持機能は、ホース5の低柔軟性により支援される。
前記の内視鏡軸部1の前進移動中の際に、空洞湾曲部に沿って内視鏡軸部1の先端をガイドする必要がある場合、次の動作を行う。最初に、内視鏡ヘッド2のセンサー、あるいは、内視鏡ヘッドに取り付けられた光学装置により、空洞湾曲部の全位置を検出する。空洞湾曲部に沿って内視鏡ヘッド2を移動させるとき、可撓部4の曲率を調整して、空洞湾曲部の曲率半径に合致させる。そのため、空洞の湾曲した外壁部位には圧力がまったく負荷されないか、あるいは、わずかに負荷されるだけとなる。そして、内視鏡ヘッド2が空洞湾曲部の後端に達すると同時に、可撓部4を直線形状に戻して、さらに内視鏡ヘッド2を前進移動させる。
第2の駆動ユニット14によって内視鏡軸部1をホース5から所定距離だけ(前方向へ)突き出して、第2駆動ユニットの動作を停止すると、内視鏡軸部1を静止保持することができる。
その次の動作を、図3cに示す。ホース5を空洞壁に対して移動できるよう、流体パッド6の圧力を解除する。さらに、流体パッド6の圧力が解除されると、ホース5の柔軟性が内視鏡軸部1よりも高くなる。その状態で、第1の駆動手段10によりホース5を前進移動させる。前進移動中に、内視鏡軸部1とホース5の膨脹形状15が低下する。第2の駆動手段14により内視鏡軸部1を保持できるため、検査する空洞に対して内視鏡軸部1を保持しつつ、ホース5の先端を内視鏡軸部1の先端方向に移動させる(このホース5の前進移動に関しては、本文の最後に説明するいくつかの変更例が可能である)。
ホース5の前進移動中において、空洞に対して静止状態の内視鏡軸部1がその低柔軟性により(ホース5に比べて基礎剛性が高いため)、ホース5のレールとして作用する。内視鏡軸部1はホース5よりもさらに空洞内側にあるため、ホース5が移動開始するときには、内視鏡軸部1はすでにホース5が1サイクル分移動する空洞範囲の湾曲形状に対応している。それゆえ、内視鏡軸部1の形状をホース5が追従する際には、湾曲外壁部に負荷されるホース5の押圧力を低減することができる。本発明では、湾曲外壁部に対する押圧力は、その状態ではより剛性が高い内視鏡軸部1により回避できる。実際の治療において、この結果、患者が受ける苦痛が発生しないか、あるいは低減されることになる。
ホース5の前進移動は、図3cに示すように、好ましくは、ホース5の先端がホース5と可撓部4との接続位置に達するまで行う。図3a〜3cに示す前進移動サイクルが終了した後、内視鏡移動の新規サイクルが図3aから開始される。つまり、ホース5を空洞壁に対して保持できるよう、流体パッド6を流体で再度充満させることから始める。その後、内視鏡軸部1の前進移動が続く。
そして、内視鏡軸部1とホース5の交互移動は、空洞内の所望の検査位置に到着するまで繰り返される。
内視鏡の後退移動は、前進移動の逆の方法で行う。別の例として、流体パッド6の圧力を解除して、可撓部4が自在に移動できるようにしても構わない。その後、内視鏡軸部をホース5と共に空洞から取り出す。
図4に、本発明の実施例2を示す。この実施例2の説明では、前の実施例1と同じ部品には同じ番号を付して、説明を省略する。
実施例2では、流体パッドを含むホースを使わず、代わりに、内視鏡軸部1よりも低い柔軟性を有するガイドワイヤ17が、内視鏡軸部1の作業管体16内をガイドされる。ガイドワイヤ17の先端は、折り畳み可能なケージ部18に接続している。ケージ部18は、折り畳んだ状態のまま作業管体16内をガイド移動できる。
内視鏡軸部1を検査する空洞内に挿入する場合、ガイドワイヤ17の数センチ分とケージ部18を内視鏡軸部1の先端から前方へ突き出す。次に、ケージ部18をわずかに空洞内へ挿入する。そして、たとえば、ガイドワイヤ17の後端を保持することにより、ケージ部18を含むガイドワイヤ17を空洞に対して保持させつつ、内視鏡軸部1を駆動手段または手動にて前進させる。
内視鏡軸部1を前進移動させる際、ガイドワイヤ17は、空洞に対して保持されるため、内視鏡軸部1のレールとして作用する。そのため、内視鏡軸部1が前進移動中にガイドガイドワイヤ17を追従し、空洞の湾曲部では、その湾曲部外壁部に過剰な圧力を負荷することなく、湾曲部に沿ってガイドされる。ガイドワイヤ17は、内視鏡軸部1に比べて柔軟性が低いため、曲部外壁部に負荷される内視鏡軸部1による押圧力を、ガイドワイヤ17の剛性により回避することができる。
内視鏡軸部1がケージ部18の後端に到達すると、内視鏡軸部1の前進移動が停止されて、ケージ部18を含むガイドワイヤ17は駆動手段または手動により前進移動されるが、内視鏡軸部1は空洞に対して保持されたままである。
ケージ部18の前端がテーパ形状となっているため、ケージ部は、空洞の湾曲部の外壁に対して大きな押圧力を負荷することなく、湾曲部の曲面を追従し、空洞面やその湾曲部に沿ってガイドされる。その前進移動の際、ガイドワイヤ17は内視鏡軸部1に支持される。ケージ部18が内視鏡軸部1の先端から所定距離まで前進移動できるよう、ガイドワイヤ17を予め決められた距離分だけ前進移動させると、ケージ部18を含むガイドワイヤ17が空洞に対して静止位置に移動するが、内視鏡軸部1はガイドワイヤ17をレールとして使用して前進移動する。
そして、内視鏡軸部1とケージ部18を含むガイドワイヤ17との交互移動は、空洞内の所望の検査位置に到着するまで繰り返される。
任意的に、本明細書の前説部分および/または変更例として説明したように、軸部やガイドワイヤに一時的剛性付与手段を備えても構わない。
本発明の前記実施例の変更例として、連続駆動式内視鏡を概略的に図7に示す。
下記の説明において、前記の実施例で説明したものと同じ部分の説明は省略する。なお、それら同じ部分には同じ番号を付けてある。
この変更例の内視鏡は、内視鏡軸部1の外周面上に、剛性調整手段およびガイド手段として作用するカテーテルホース16aが内視鏡軸部1の縦方向および/または軸方向に配置された、少なくとも1つの内視鏡軸部1(前記の実施例と同じ手段を備える構成であっても構わない)を備える。好ましくは、複数のカテーテルホース16aが、たとえば、内視鏡軸部1の外周面に沿ってその内視鏡軸部1の周方向において等間隔および/または一定の角距離で配置される。内視鏡軸部1の好ましい形態例として、3つのカテーテルホース16aが、内視鏡軸部1の外周面に120度の角度間隔で上記の方法で配置される。
しかしながら、カテーテルホース16aは、必ずしも内視鏡軸部1の外周面上に配備する必要はない。図8aと8bに示されるように、内視鏡軸部1は断面に、すなわち内視鏡軸部1の縦方向または軸方向に垂直な断面図に示されている。
図8aでは、カテーテルホース16aが、内視鏡軸部1の外周面の縦方向に形成された溝内に配置されているので、カテーテルホース16aの一部のみが内視鏡軸部1の外周面から径方向に突き出る。
図8bは、内視鏡軸部1の他の断面図である。内視鏡軸部1の外周面または溝内にカテーテルホース16aを配置するのに代えて、必ずしもそれに限定されるわけではないが、カテーテルホース16aによって内視鏡軸部1内にその縦方向に延びる細管16cが形成され、好ましくは、内視鏡軸部1の外周面に近接した位置に配置される。
前記で説明したように、内視鏡軸部1は柔軟性がきわめて高い。しかしながら、内視鏡軸部1の径方向に作用する応力を緩和することが、本実施例では必要である。そのような応力は、カテーテルホース16aの構造に関係する。それゆえ、内視鏡軸部1の可撓性をわずかに低下させるが、内視鏡軸部1の径方向の応力を緩和できる螺旋形ワイヤ(図7には示されていない)を、内視鏡軸部1内の縦方向に配備している。当然ながら、従来技術で周知の内視鏡軸部1の径方向の応力を緩和できる装置を利用することも可能である。
剛性調整手段およびガイド手段として作用するカテーテルホース16aは、その剛性を変えることができる。したがって、その剛性を変化させることにより、内視鏡軸部1が過剰に曲がるのを防止することができ、その作用を下記に詳細に説明する。その作用は、従来技術で周知の方法で実践でき、前述の実施例で説明したとおりである。
図7に示すカテーテルホース16aは、従来技術で周知の支持体16bにより内視鏡軸部1に取り付けてある。好ましくはカテーテルホース16aと内視鏡軸部1とのあいだに内視鏡軸部1の径方向の距離および/または隙間が形成されるよう、支持体16bにてカテーテルホース16aを保持するのが好ましく、その距離または隙間は、好ましくは0.5cm〜1cm程度の範囲である。そして、内視鏡軸部1に対するカテーテルホース16aの相対移動を不可能とする(図8aと8bの状態もその一例)。さらに好ましくは、支持体16bを内視鏡軸部1の径方向に弾性変形可能とし、変形度合は、支持体16bの選択により調整する。
しかしながら、支持体16bを、カテーテルホース16aと内視鏡軸部1とのあいだに設置する必要はない。前記で説明したように、内視鏡軸部1の縦方向に溝を形成し(図7に図示しないが、図8aに図示)、その溝内にカテーテルホース16aを埋設して固定することも可能である。したがって、支持体16bを省略できる。
つまり、カテーテルホース16が剛性調整手段およびガイド手段として作用できる限り、内視鏡軸部1へのカテーテルホース16bの取付方法はどのような構成でも構わない。
内視鏡軸部1へのカテーテルホース16aの取付構造の一例として、好ましくは内視鏡軸部1の先端部に取り付けられた1つの支持体16bによって、各々のカテーテルホース16aを内視鏡軸部1に固定する。カテーテルホース16aのその他部分は、内視鏡軸部1に縦方向に固定された少なくとも1つのガイドスライドベアリングまたはスライド支持体により、内視鏡軸部1の縦方向にガイドされる。さらに詳しくいうと、内視鏡軸部1の先端部のカテーテルホース16bの一部は1つの支持体16bにて内視鏡軸部1上に固定されており、内視鏡軸部1に対して相対移動できないが、そのカテーテルホース16aのその他部分は、内視鏡軸部1の基端部まで伸び、少なくとも1つのガイドスライドベアリングつまりスライド支持体によりガイドされているため、内視鏡軸部1の径方向ではなく縦方向に移動でき、内視鏡軸部1に対して移動可能である。本例では、内視鏡軸部1およびカテーテルホース16aに、内視鏡軸部1の縦方向の応力を緩和するため、前記の螺旋形ワイヤやその他の同様手段だけでなく、別の螺旋形ワイヤを埋設または内蔵するのが好ましい。しかしながら、前述のカテーテルホース16aや内視鏡軸部1の縦方向の応力を緩和するため、従来技術の周知装置を利用しても構わない。つまり、内視鏡軸部1が屈曲強度または屈曲剛性を有するように構成された手段を、内視鏡軸部1に備えればよいのである。
図8aと8bに示されるカテーテルホース16aと16cの場合、それらカテーテルホース16aと16cの端部のみが、たとえば、接着剤などにより、内視鏡軸部1の先端に固定されているため、前記の支持体16bを省略できる。また本例では、内視鏡軸部1およびカテーテルホース16aに、内視鏡軸部1の縦方向の応力を緩和するため、前記の螺旋形ワイヤ以外に別の螺旋形ワイヤを埋設または内蔵している。言い換えれば、内視鏡軸部1が屈曲強度または屈曲剛性を有するように構成された手段を、内視鏡軸部1に備えている。それゆえ、カテーテルホース16aと16cのその他部分の内視鏡軸部1の縦方向への相対移動を可能にするため、カテーテルホース16aと16cのその他部分と、カテーテルホースのその他部分がその内部を配置されガイドされる内視鏡軸部1の溝や細管とのあいだで、潤滑を行う。たとえば、その潤滑作用は、オイルなどの潤滑剤を使えばよい。
カテーテルホース16aと16cが配置される溝や細管のガイド能力は、カテーテルホース16aと16cや溝または細管に形成した別途のガイド手段により向上させることができる。たとえば、カテーテルホース16aと16c、および溝または細管の一方側にガイドレールを設け、それぞれのカテーテルホース16aと16cおよび溝または細管の他方側にはそのガイドレールに対応して係合するガイド溝を設ける。しかしながら、従来技術の周知のガイド手段を利用しても構わない。
好ましくは、ガイド要素として作用する弾性ガイドワイヤ17aを、カテーテルホース16a内にガイド支持して、ガイドワイヤ17aがカテーテルホース16a内を移動可能にするのがよい。ガイドワイヤ17aの端に、内視鏡軸部1の移動方向に対して、内視鏡軸部1の遠端、つまり、内視鏡軸部1の先端から突出するループ部18aを形成する。つまり、ガイドワイヤ17aのループ部18aは、内視鏡軸部1の先端部(また、内視鏡軸部の内視鏡ヘッド部2および可撓部4)を越えて、摩擦および/またはスライド支持体により変更可能な所定距離分だけ、内視鏡軸部の軸方向に突き出ている。ここで、支持体16bによってカテーテルホース16aを内視鏡軸部1にのみに取り付ける、図7の事例に注目してほしい。可撓部4と内視鏡ヘッド部2は、カテーテルホース16aまたは支持体16bと接触しない内視鏡軸部1の可動先端部に対応している。ガイドワイヤ17aの他方端は、所定長さだけ、(内視鏡軸部1の操作端に対応する)内視鏡軸部1の基端部から突き出る。次の内視鏡軸部の詳細な機能説明部分で述べるように、ガイドワイヤ17aは、ガイドワイヤ17aを移動させ、ひいては内視鏡軸部1の先端部のループ部18aを移動させるための、内視鏡軸部1の基端部から突出するガイドワイヤ17aの基端において操作される。ループ部18aの変更例として、ループ18aの大きさを、前記の実施例2(実施例2の折り畳み可能ケージ部18)のように変更可能にしても構わない。
内視鏡軸部1の先端部から突き出るガイドワイヤ17aの先端は、球形、ボール形、または楕円形の中空体が形成されるように、相互構成された複数のループ部18aで構成することも可能である。次の説明から判るように、本事例では、それぞれ円形状や曲線形状や中空形状のループ部18aにより、検査する細管状の空洞に対するループ部18aや中空体の移動における抵抗を低減することが重要である。さらに、前記の実施例で説明したように、ガイドワイヤ17aの先端部に取り付けられるループ部18aや中空体に代えて、ケージ部をガイドワイヤ17a端に取り付けることも可能である。しかしながら、下記の機能説明から判るように、ガイドワイヤ17aの先端に取り付けられているループ18a部は、ガイドワイヤ17aの先端部に必ずしも取り付ける必要はない。このループ部18aは、内視鏡軸部1の移動を支援する役目をする。
連続駆動式内視鏡の検査する細管状の空洞内での機能つまり駆動モードを、次に説明する。
内視鏡を検査する細管状の空洞内に挿入するときに、内視鏡軸部1の先端から突き出されるガイドワイヤ17、あるいは、ループ18aを内視鏡軸部1の先端から突き出すのが好ましい。しかし、細管状の空洞が移動通過させやすい部位で構成されている場合には、ガイドワイヤ17a、あるいは、ループ18aを内視鏡軸部1の先端から突き出す必要はない。内視鏡は駆動手段(図7には図示されていない)にて前進移動させるが、駆動手段は、従来技術で周知の連続駆動式内視鏡用の駆動手段で構わない。駆動手段は、内視鏡軸部1または、内視鏡軸部上に固定されたカテーテルホース16aを駆動する。さらに、それら両者を同時に駆動しても構わない。つまり、より具体的には、内視鏡軸部1を細管状の空洞内で移動させるのに充分な剛性が内視鏡軸部1にある場合は、内視鏡軸部1を駆動手段によって駆動することが可能となる。内視鏡軸部の剛性が充分でない、あるいは、低下する場合には、内視鏡軸部1の軸方向の補強のため、従来技術で周知の方法で剛性を高める剛性調整手段およびガイド手段として作用できるよう、カテーテルホース16aを調整制御する。好ましくは、カテーテルホース16aの剛性は、先端にループ部18a(ただしループ部18aを備える必要はない)を選択的に有する弾性ワイヤを、そのカテーテルホース16a内に挿入することで調整する。したがって、弾性ワイヤをガイド挿入することにより、弾性ワイヤの剛性と柔軟性をカテーテルホース16aが達成するため、内視鏡軸部1をガイドすることができ、同時に内視鏡軸部1の過剰な曲げ折れを防止することができる。
カテーテルホース16aの剛性を調整する別の方法として、カテーテルホース16a内へ流体(液体または気体)を導入する方法がある。カテーテルホース16a内へ流体を導入し、所定の圧力を保持することにより、その圧力値に対応する所定の剛性をカテーテルホース16aに付与することができる。この場合、カテーテルホース16a内に流体を導入する際、カテーテルホースを流体密閉するため、カテーテルホース16aの基端を(プラグなどで)封止する必要がある。しかしながら、前記で説明したように、従来技術で周知の方法で、カテーテルホース16aの剛性を変化させることも可能である。
再び図7に示すように、ガイドワイヤ17aを挿入したカテーテルホース16aを、ガイドワイヤ17aがカテーテルホース16a内をスライド移動しないよう保持または固定し、ループ部18aを内視鏡軸部1内視鏡軸部1の基端から所定長さだけ突出させることにより、内視鏡軸部1に圧力が対応し、内視鏡軸部1を細管状空洞内に挿入する。すなわち、ガイドワイヤ17aは、内視鏡軸部1およびカテーテルホース16aのいずれに対しても相対移動することはない。しかし、前記で説明したように、ガイドワイヤ17aのループ部18aは、内視鏡軸部1の前進移動を支援できるが、必ずしもそれを利用する必要はない。
内視鏡軸部1よりも前に、ガイドワイヤ17aの突出ループ部18aが細管状の空洞内の角部および/または湾曲部に達すると、ループ部18aが角部に対応する細管状の空洞の湾曲部の外壁面に接触する。しかしながら、ループ部18aの形状が実質的に円形または曲線であるため、移動する際に、細管状空洞の湾曲外壁面に沿ってスライドする。このため、内視鏡軸部1が前進移動するときの、ガイドワイヤ17aのループ部18aと湾曲外壁面とのあいだの摩擦抵抗が、最小限になる。ガイドワイヤ17aは柔軟性があるため、そのループ部18aの接触により、細管状空洞の湾曲外壁面で湾曲する。したがって、細管状空洞の湾曲面で湾曲するそのガイドワイヤ17aの柔軟性のために、内視鏡軸部1がガイドワイヤ17aによって湾曲し、細管状空洞の湾曲面に沿って内視鏡軸部1を方向転換させることができる。さらに、カテーテルホース16a内に弾性ガイドワイヤ17aが挿入されているため、内視鏡軸部1が過剰に湾曲するのが防止される。ガイドワイヤ17aのループ部18aにより内視鏡軸部1が先導されるため、内視鏡軸部が到着するより前にループ部18aが空洞内の角部および/または湾曲部を通過し、柔軟性をもつ内視鏡軸部1を細管状空洞の湾曲壁面の形状に合致した形状に適合または湾曲させる。それゆえ、壁湾曲面で曲がることができるループ部18aを含むガイドワイヤが、内視鏡軸部1を先導するのと同様に、ループ部18aを追従して方向転換する。
前記で説明したように、前進移動中の内視鏡軸部1は、駆動手段および支持体16bを経由してのカテーテルホース16aから作用する軸方向の応力のみならず径方向の応力を緩和する。さらに、内視鏡軸部1は、空洞の湾曲部を通過して湾曲する。高い柔軟性をもつ内視鏡軸部1が過剰に湾曲するのを防止するため、ガイド手段や剛性調整手段として作用するカテーテルホース16aは、その柔軟性を変えることができる。このため、内視鏡軸部に充分な柔軟性を与えると同時に、内視鏡軸部の折れ曲がりを防止することができる。たとえば、ガイドワイヤ17aを使用する場合、ガイドワイヤ17aを備えるカテーテルホース16aの剛性を変えて、ガイドおよび剛性調整手段としての役目をするのである。また、内視鏡軸部1を前進移動させる場合には、内視鏡軸部1を通過させる湾曲部の角度に応じて、異なる剛性および柔軟性をもつガイドワイヤ17aを利用することもできる。それゆえ、内視鏡軸部1に正確な剛性を付与することができる。
ループ部18aを有するガイドワイヤ17aを使用する場合には、細管状の空洞のたとえば、湾曲部および/または角部など通過が困難な部分であっても、先端にループ部18aを含むガイドワイヤ17aは簡単に通過できる。
前記の連続駆動式内視鏡の駆動モードの場合でも、ループ部18aが内視鏡軸部1に対してガイドワイヤ17aの先導ガイド要素として作用するため、内視鏡軸部1の移動を支援できる。ループ部18aの構造は、細管状の空洞の湾曲部および/または角部に対する追従を可能にする。
細管状空洞の検査する位置に到着すると、ループ部18aを含むガイドワイヤ17aを後退させて、内視鏡軸部1の内視鏡ヘッド部2の作業手段3が行う治療および/または診断行為の障害とならないようにする。その結果、必要な治療および/または診断が、問題なく行える。
図8aと8bに図示するように、カテーテルホース16aと16cの先端部分が内視鏡軸部1の先端に固定され、その他部分がスライド支持体あるいはガイド溝または細管によりガイドされる場合には、内視鏡軸部1に対する各々のカテーテルホース16aと16cの相対移動を、前記で説明した屈曲強度または屈曲剛性によって制御することにより、内視鏡軸部1を所望の方向へ曲げることが可能となる。つまり、たとえば内視鏡軸部1をある方向へ曲げるには、内視鏡軸部1の進行方向、つまり内視鏡軸部1の推進方向で、カテーテルホース16aと16cの1つを内視鏡軸部1に対して移動させ、同時に、たとえば、カテーテルホース16aと16cと対称に配置された別のカテーテルホース16aと16cを内視鏡軸部1の進行方向の反対方向へ後退させるのである。その結果、それぞれのカテーテルホース16aと16cの相対移動を制御することにより、内視鏡軸部1を所望の方向へ曲げることができる。一方で、それぞれのカテーテルホース16aと16cの内視鏡軸部1に対する相対移動の相違により、カテーテルホースの湾曲が発生する。他方では、内視鏡軸部1は、その縦方向における応力を緩和できる屈曲強度または屈曲剛性を有するため、後退方向へ移動するカテーテルホース16aと16cの相対移動による内視鏡軸部1の押圧が防止でき、所望の方向へ曲げることができるのである。
上記の説明から判るように、内視鏡軸部1の湾曲制御は、2つのカテーテルホース16aと16cを使用することにより行える。しかし、内視鏡軸部1の湾曲制御するために、1つまたは複数のカテーテルホースを使用することも可能である。つまり、内視鏡軸部1を曲げる方向をより正確に制御するには、より多くのカテーテルホース16aと16cをそれぞれ内視鏡軸部1に前記の方法で配置する。
本変更例の好ましい形態として、内視鏡軸部1の湾曲方向の制御、つまりカテーテルホース16aと16cの相対移動を、カテーテルホース駆動手段(図示せず)により各々のカテーテルホース16aと16cを別々に駆動および/または移動または保持するための電子制御ユニットECU(図示せず)で行う。したがって、カテーテルホース駆動手段を駆動することにより、内視鏡軸部1の湾曲方向を制御する。
カテーテルホース駆動手段は、それぞれのカテーテルホース16aと16cを内視鏡軸部1の移動方向において前後方向に移動させ、かつ、カテーテルホース16aと16cを所定位置に保持可能であって、そのため、内視鏡軸部1とカテーテルホース16aと16cとのあいだの相対移動が起こらないような駆動手段ならどのようなものでも構わない。たとえば、カテーテルホース16aと16cのそれぞれが実行すべき相対移動に応じて、カテーテルホース16aと16cを巻き上げおよび/または巻き出しできるロールまたはシリンダーによって、カテーテルホース駆動手段を構成することが可能である。
さらに、流体導入による押圧が行えるよう、カテーテルホース16aと16cの基端部を封止する場合でも、内視鏡軸部1の曲げを制御できる。その場合、カテーテルホース16aと16cを内視鏡軸部1全体の縦方向に沿って固定する。詳しく言えば、図7、図8aおよび8bに図示するように、内視鏡軸部1に対して相対移動することないよう、カテーテルホース16bと16cを内視鏡軸部1に沿って固定する。しかしながら、前記の事例とは違って、内視鏡軸部1とカテーテルホース16aと16cとは縦方向に伸縮可能である。それゆえ、流体導入により特定の押圧力が付与されると、それぞれのカテーテルホース16aと16cが、カテーテルホース16aと16cの材質や柔軟性に応じて伸長し始める。カテーテルホース16aと16cは支持体16bまたは接着剤により内視鏡軸部1に沿って固定されているため、カテーテルホース16aと16cの伸長が内視鏡軸部1に伝わり、内視鏡軸部1が湾曲する結果となる。特に、図7に示すようにそれぞれのカテーテルホース16aと16cが支持体16bで固定されている場合には、隣接する支持体16b間でのそれぞれのカテーテルホース16aと16cの伸長が支持体16bによって内視鏡軸部1に伝わる。また、それぞれのカテーテルホース16aと16cが内視鏡軸部1に直接に配置されている場合には、それぞれのカテーテルホース16aと16cの伸長が、たとえば接着剤である固定部によって内視鏡軸部1に伝わる。それゆえ、前記で説明したのと同様の方法で、カテーテルホース16aと16cに特定の押圧力を付与することにより、内視鏡軸部の湾曲方向を制御することができる。また、前記で説明したような電子制御装置によって、それぞれのカテーテルホース16aと16cへ押圧力の付与を制御することも可能である。
検査する細管状の空洞を通過するために制御される内視鏡軸部1の湾曲移動を制御するために、内視鏡軸部1の曲率半径を5〜6cmの範囲にするように、内視鏡軸部1に対するそれぞれのカテーテルホース16aと16cの伸長を1.5〜2cmの範囲するのが好ましい。
(別の変形例)
本実施例や付随する図面は説明のための事例にすぎず、本発明を説明事例に制限するものではないことに注意してほしい。本発明においては、本発明の主旨を逸脱しない多様な適用例や変更例が可能である。
さらに、下記に別の変更例を説明する。
基本的に、前記の内視鏡の交互推進の原則は、内視鏡の前進移動中のいかなる状態でも、開始と停止を繰り返せることである。つまり、内視鏡軸部と補助手段とを最初に細管状空洞内に挿入した後、通過が困難な空洞の所定部位において交互移動を開始する。その部位(たとえば鋭角的湾曲部)の通過後、前進移動中における交互推進動作を停止および開始して次の前進に備える。
実施例1では、流体パッドの形状が特徴を有する。しかしながら、流体パッドの形状はどのようなものでも構わない。たとえば、流体パッドは、ホースの縦軸に垂直な面でホース5を取り囲むようなリング形状も可能である。リング形の流体パッドは、中空であって、複数の空間に分割されている。その各空間が単数あるいは複数の流体パッド6の機能に対応しており、供給線から圧力が供給され解除されるのである。
さらに、流体パッド6は省略することができ、その場合、柔軟性は、ホースおよび/または補助手段の外周面、内周面または壁内の縦方向に延びる細管状の空洞に沿って変化させる。さらに、これらの細管状の空洞はホースおよび/または補助手段の外周面、内周面または壁内にらせん形状に形成することも可能である。同様に、内視鏡軸部1の柔軟性の変化も、内視鏡軸部1の縦方向に延びる細管状の空洞により、あるいは、内視鏡軸部1に沿って細管状の空洞を螺旋形状に形成して実現できる。補助手段および/または内視鏡軸部の柔軟性を変えるには、細管内の流体または媒体に圧力を付与あるいは流体または媒体から圧力を解除し、あるいは下記で説明するように、媒体の物理的状態を変化させる。
流体パッド6が設けられたホース5の先端の長さは、実施例1においてはおよそ50cmであった。しかし、ホース先端の長さは、自在に変更可能であることが明白である。
さらに、実施例1の流体パッド6は、ホース5の外周面に設けられている。けれども同様に、流体パッドをホース壁内に埋設しても構わない。
ホース5の代わりに、実施例1において螺旋形バネを採用することもできる。この螺旋形バネは、外周面に配置される流体パッドの有無に関わらず補助手段として使用が可能である。
実施例1の流体パッドは、3つのパッドで1つのグループを構成している。しかしながら、各グループを構成する流体パッドの数もまた、増加することが可能である。
実施例1のさらに別の変更例として、それぞれの流体パッド6に加熱素子を配備し、加熱素子の加熱により固体から液体へと物理的状態を変化する媒体で流体パッド6を充満することにより、流体パッド6によってホース5の柔軟性を変化させることができる。その場合、それぞれの加熱素子の加熱により媒体を液体に変えると、ホース5の柔軟性が内視鏡軸部1よりも低くなる。逆に、加熱素子の電源を切ると流体パッドが固体化するため、ホース5の柔軟性が内視鏡軸部1よりも低くなる。また、加熱素子で加熱されると、液体から気体へと状態が変化する媒体を採用しても、同様の効果が得られる。
実施例1で説明した流体パッド6への圧力の付与または解除によるホース5の柔軟性の変化は、複数の工程または連続した工程で実行できる。たとえば、流体パッド6への圧力の付与を制御し、付与される圧力が高いほど、ホース5は静止したままで、内視鏡ヘッド部2が空洞湾曲部内をより遠くまで移動する、つまり、前進移動中に可撓部4をより大きく曲げられるようにする。
実施例1において、内視鏡軸部1が後退している状態である場合(図3aの状態)、ホース5の先端部(遠端部)の終点は可撓部4の後端と重なる。しかしながら、本発明においてはこれに限定されず、内視鏡軸部1の後退時に、ホース5の先端部が、可撓部4よりもさらに後方まで後退しても構わない。
ホース5は、好ましくは柔軟性が高いEPTFE樹脂で製造されているため、その直径および/または壁厚を変化させることなく大きく伸長可能である。そのため、たとえば、実施例1のホース5を内視鏡軸部2まで延長し、流体封止方法(たとえば、接着法など)でこれに固定することもできる。この状態が、図5aに示されている、図5aから5cの内視鏡の縦断面図において、I−I線から右側がこれである。内視鏡軸部5が後退の状態では(図5aの状態)、流体パッド6は可撓部4の後方にある。
図5bに示すように、内視鏡軸部1のみを前進させ、流体パッドに圧力を加えると、流体パッドが空洞壁面で静止するので、流体パッド6が装備されていないホース5の伸長部19は内視鏡軸部1の前進移動によりホース5に対して伸長する。その伸長動作中、伸長部19の先端は前進する内視鏡ヘッド部2に固定され、伸長部19の後端は流体パッド6の空洞壁に対する押圧により空洞壁に固定される。
つぎに、図5cに示すように、流体パッド6を解除してホース5を前進させると、ホース5の伸長部19は再度後退する。
この変更例が、実施例1の追加例であって、そしてその長所は、隙間から潤滑剤が漏れ出ないよう、かつ、不純物が隙間に入り込まないよう、内視鏡軸部1とホース5のあいだの隙間が閉鎖されていることが理解できよう。
実施例1の内視鏡軸部1は、第1の駆動手段10によるホース5の駆動中に、第2の駆動手段14によって同じ速度で反対方向に駆動される。
別の例として、第1の駆動手段14による内視鏡軸部1を反対方向に駆動する代わりに、可撓部4により内視鏡軸部1の先端を空洞壁に固定し、第1の駆動手段14をアイドリング状態にして、駆動車輪13を回転自在にすることも可能である。その結果、ホース5が前進移動するときでも、内視鏡軸部1を空洞壁に静止させておくことができる。
さらに別の例として、ホース5を板形材12と接続しない方法もある。その場合、内視鏡軸部1が前進移動する距離分だけ、ホース5の後端を板形材12から離しておき、ホース5が内視鏡ヘッド部2に対する先行位置にくるようにする。内視鏡軸部1が前進移動するときには、ホース5の後端を板形材12に近接させ、ホース5が空洞壁に対して静止するよう、第1の駆動手段10の駆動車輪11を停止する。逆に、ホース5の駆動時には、駆動車輪13が回転しないよう、第2の駆動手段14を停止する。そのホース5の前進時には、膨脹形状15の大きさが変化せず、ホース5の後端が板形材12から遠ざかる方向に移動する。
実施例1の流体パッド6によるホース5の柔軟性変化は、すでに説明された。それに加えて、あるいは、その変更例として、内視鏡軸部の柔軟性も、内視鏡軸部の外周面に設けられた、あるいは、外周面に一体形成された流体パッドにより変化可能である。そして、内視鏡軸部の流体パッドへの圧力供給線を、内視鏡軸部の内部をその後端の操作端まで伸ばす。本事例における交互移動も、実施例1と同じ機能動作で行われ、内視鏡軸部およびホースの一時的な剛性要素により、前進移動中におけるより柔軟な部分を支持することができる。
実施例2では、流体パッド6を含むホース5の使用が省略されているが、実施例1と実施例2とを組み合わせても構わない。
詳細な説明は避けるが、その実施例においては、内視鏡軸部、ホース、ガイドワイヤを交互に駆動できるという長所をもつ。その場合、内視鏡の構造は前記の構造と同じであるが、内視鏡軸部とは別にホースとガイドワイヤを前進させる駆動ユニットを含む。
本実施例においては、最初に内視鏡軸部を前進させ、次に内視鏡軸部を支持するホースを引き入れる、つまり、駆動手段による同様の方法で前進させる。その結果、内視鏡が所望の位置まで送り込まれる。しかしながら、空洞の狭い湾曲部を移動する際、内視鏡軸部の操作が困難となる問題が発生する。その場合、ガイドワイヤにそのような狭い湾曲部にて操作し易いケージ部を予め含み、先導させることができる。その後に、内視鏡軸部を狭い湾曲部をガイドし追従させる。その結果、ケージ部を含むガイドワイヤが最初に通過し、次に駆動手段による前進と同様に内視鏡軸部が追従する。その次に、ホースを押し込んで内視鏡軸部を安定させる。このような3つの部品による交互動作により、空洞の狭い湾曲部や角部でも内視鏡を安全に操作することができる。
続いて、本発明の実施例3を、図6を参照して説明する。
本実施例では、補助手段を、少なくとも内視鏡軸部の一部分を取り囲み、互いの内側に位置する、相互移動が可能な複数(好ましくは2本)のホースで構成する。各ホースの剛性は内視鏡軸部よりも低いが、全部のホースの合算剛性は内視鏡軸部の剛性よりも高い。
内視鏡軸部を空洞内に挿入する場合、最初の段階では複数のホースを保持しておき、内視鏡軸部をホースより所定の距離だけ前進させる。そのとき、ホース全体で、内視鏡軸部のガイドの役目をする。その後、内視鏡軸部は保持され、1本ずつホースを前進移動させるが、各々のホースよりも内視鏡軸部の基本剛性が高いので、ガイドとして作用し、ガイド応力が緩和される。
最後に、前記の各実施例では、2つの駆動手段10および14に関して記載されているが、必ずしもこれらは必要ない。たとえば、内視鏡軸部をモータで駆動し、補助手段をクランプ手段やブレーキで一時的に保持しても構わない。その場合、補助手段の追従動作は、内視鏡軸部を保持しているあいだに手動で行う。また、両方の駆動を手動のみで行うことも可能である。
さらに別の交互推進式の内視鏡の場合、内視鏡軸部を補助手段(好ましくは複数の流体パッドを含むホースまたはガイドワイヤおよび/またはネット)で検査すべき細管状の空洞内を前進移動させるが、内視鏡軸部と補助手段とを交互に空洞壁に保持して、同時に、保持された部分でガイドしつつ保持しない要素を前進させることができる。あるいは、同時に前進させる場合には、補助手段の基礎剛性を内視鏡軸部の剛性よりも高くする。