JP2007157495A - 自動車用グロメット - Google Patents
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Abstract
【課題】捩じれ作用に対する追従性の向上を図る。
【解決手段】パネルP1,P2間に段差をもって開口形成されたワイヤハーネスの挿通孔に両端を結合し、両パネルP1,P2間に挿通されるワイヤハーネスの外周部を被覆し、各パネルP1,P2の挿通孔に固定されるよう互いに逆方向に開口したフランジ状の一対の取付部1,2の間を、夫々エルボ状部3,4を介して一体に連結する蛇腹状の中空筒部5を備えた自動車用グロメットにおいて、蛇腹状中空筒部5に山部と谷部を連続した形状のひとつの螺旋状部の山部と谷部との間に少なくとももうひとつの螺旋状の連続した山部と谷部とを有する螺旋状部を形成した。
【選択図】図1
【解決手段】パネルP1,P2間に段差をもって開口形成されたワイヤハーネスの挿通孔に両端を結合し、両パネルP1,P2間に挿通されるワイヤハーネスの外周部を被覆し、各パネルP1,P2の挿通孔に固定されるよう互いに逆方向に開口したフランジ状の一対の取付部1,2の間を、夫々エルボ状部3,4を介して一体に連結する蛇腹状の中空筒部5を備えた自動車用グロメットにおいて、蛇腹状中空筒部5に山部と谷部を連続した形状のひとつの螺旋状部の山部と谷部との間に少なくとももうひとつの螺旋状の連続した山部と谷部とを有する螺旋状部を形成した。
【選択図】図1
Description
本発明は、車体とドアとの間(パネル間)に配索されるワイヤハーネスを保護する自動車用グロメット、特に自動車のバックドアと車体との間にわたって配置されるワイヤハーネス保護用の自動車用グロメットに関する。
従来の自動車用グロメットとしては、車体とドアとの間に配索するワイヤハーネスを、車体側貫通穴を通してドア側貫通穴に通す長さ或いはドア側貫通穴から車体側貫通穴に通す長さに設定し、車体側貫通穴とドア側貫通穴の間の当る部分にグロメットを外嵌したものが知られている。そして、このグロメットは、両端に樹脂インナーを組み込んだ装着部を設けていると共に、この両側の装着部の間に蛇腹状筒部を備え、該蛇腹状筒部の両端を屈曲させて装着部に連続させており、該グロメットの樹脂インナーを組み込んだ両側の装着部を楕円形状とし、上記筒部の屈曲位置から装着部の開口面先端までの寸法を、車体側およびドア側に設ける貫通穴の径よりも小さく設定してあるものである。さらに、先通しする車体側或いはドア側の貫通穴にグロメットの両側の装着部を90度ひねると共に、貫通穴に対して装着部開口面を略直交向きにして順次貫通させ、貫通後に両装着部を90度戻して車体側およびドア側の貫通穴と両装着部開口面を略平行として、それぞれ貫通穴に押し込んで樹脂インナーで係止する構成としている(特許文献1参照)。
また、蛇腹状筒部を工夫して、筒部に繰返し加えられる回転力により、筒部の特定部位が無駄な変形を受け、亀裂を生じて防水機能を失うのを防止するため、螺旋状の山部と谷部を連続した形状に形成したものも知られている(特許文献2参照)。
特開2001−97143号公報(第3頁、図4)
実公平6−13576号公報(第2頁、図1)
特許文献1に記載のグロメットは、蛇腹状筒部に工夫を施したものではなかったので、このような筒部では、ドア閉止状態からドア開放状態に至る過程で筒部を回転させる力が加わり、筒部の中央部は捩じれ変形を繰り返し受ける。勿論この変形の応力は蛇腹部によりある程度は吸収されるが、中央部の一点または最も捩じれやすい箇所に繰り返し捩じれ応力を受けることによって次第に劣化し、ついには疲労亀裂を生じて防水機能を失う恐れがあった。また、図24に示すように、蛇腹状筒部100を有するグロメットAをバックドア12と車体11との間に取り付けた場合、両取付個所101,102がドア開放時に近づくときは、蛇腹状筒部100の弛みによる遊びが大きくなるため、周囲の干渉物と接触するおそれが生じ、グロメットAと干渉物と擦れたりするとグロメットAが削れて穴があいたり、車体11の塗装が剥げたりするおそれもあった。さらに、ドア開放時に前記両取付個所101,102が遠ざかるときは、図25に示すように、グロメットAの蛇腹状筒部100が引っ張られて伸び、この蛇腹状筒部100の伸びの反力を取付個所101,102が受けるため、図26に示すように、止水性に影響を及ぼすおそれが生じた。さらにまた、バックドア12を開けた後に閉じる場合、一度伸びきった蛇腹状筒部100が元の状態に復元するのに時間がかかり、弛んだグロメットAが干渉物と接触するおそれもあった。そこで、特許文献2に記載のものが開発された。この螺旋状の蛇腹であると、ドア開閉時における筒部に加わる回転力によって、筒部の長さ方向全般にわたって蛇腹を構成する山と谷が互いに螺旋状に連続してすべり、これを吸収すると共に、エルボ状部分が各パネルと各取付部との間の力を吸収するため、捩じれ応力が一点に集中することがなくなる、というものである。その結果、長期使用により、繰り返し捩じれ応力が一点に集中することによる劣化によって、グロメットの特定部分に亀裂が生じたり、破れて防水不良などを引き起こす恐れがなく、信頼性に富むものとなるものである。しかしながら、ここでいう「すべり」を生じる構造が理論的には説明されておらず、一重螺旋部の断面も真円に近い楕円であり、捩じれには追従しにくいものと考えられる。また、特許文献2には、すべり量に関係する捩じれ量(回転角度)と収縮シロは、山部と谷部の形成ピッチで設定すると記述されているが、山部と谷部の形状、大きさは蛇腹円筒部の直径で略決まってしまうため、このピッチの適度な設定だけでは大きな調整は困難である。
そこで、本発明は、捩じれ作用に対する追従性を向上させ、耐久性、防水性も向上させた自動車用グロメットを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、パネル間に段差をもって開口形成されたワイヤハーネスの挿通孔に両端を結合し、両パネル間に挿通されるワイヤハーネスの外周部を被覆し、各パネルの挿通孔に固定されるよう互いに逆方向に開口したフランジ状の一対の取付部の間を、夫々エルボ状部を介して一体に連結する蛇腹状の中空筒部を備えた自動車用グロメットにおいて、蛇腹状中空筒部に山部と谷部を連続した形状のひとつの螺旋状部の山部と谷部との間に少なくとももうひとつの螺旋状の連続した山部と谷部とを有する螺旋状部を形成したものである。
本発明によれば、パネル間に段差をもって開口形成されたワイヤハーネスの挿通孔に両端を結合し、両パネル間に挿通されるワイヤハーネスの外周部を被覆し、各パネルの挿通孔に固定されるよう互いに逆方向に開口したフランジ状の一対の取付部の間を、夫々エルボ状部を介して一体に連結する蛇腹状の中空筒部を備えた自動車用グロメットにおいて、蛇腹状中空筒部に山部と谷部を連続した形状のひとつの螺旋状部の山部と谷部との間に少なくとももうひとつの螺旋状の連続した山部と谷部とを有する螺旋状部を形成したので、ひとつだけの螺旋を形成したものに比べて捩じれの追従性が向上した。また、捩じれによるグロメット長手方向の伸縮性も大きくなった。
以下に、本発明の好適な実施形態について図面を参照にして説明する。
図1は、グロメットの正面図であり、図2は、パネルP1,P2に取り付けた状態の断面図であり、このグロメットは、各パネルP1,P2の挿通孔に固定されるように互いに逆方向に開口したフランジ状の一対の取付部1,2の間を、夫々エルボ状部3,4を介して一体に連結する蛇腹状の中空筒部5を備えている。この中空筒部5には、4本の螺旋状部5a〜5dが形成してある。これら螺旋状部5a〜5dは、山部と谷部とが連続する形状であり、互いの山部と谷部とが並行に並んでいる。
前記パネルP1としては自動車車体のパネル、パネルP2としてはバックドアのパネル(通常のドアパネルでも差し支えない)を想定し、取付部1を車体に、取付部2をドアに取り付ける。螺旋状部5aが描く螺旋の間に別の連続した螺旋状部5b〜5dが存在している。
図3は、中空筒部5に左右いずれの捩じり力も作用していない状態、すなわち無負荷状態を示し、図4は図3のA−A線断面図である。この状態のグロメットの長さをLとする。この長さLは、取付部1,2の穴の中心間の長さとした。図5では、中空筒部5の螺旋を絞る方向に捩じった状態を示し、長さLは縮む。図6は、図5のB−B線断面図である。図6では、複数の螺旋状部5a〜5dが輪切り方向において十分に縮むので、例えば中空筒部5の中空の円の半径が略半分位の円に縮むことが可能となる。図7では、中空筒部5の螺旋間隔を緩める方向に捩じった状態を示し、図8は図7のC−C線断面図を示す。この緩める方向の捩じりにはスムースに対応して回転し、長さLは長くなる。4本の螺旋状部5a〜5dが形成された中空筒部5が、スムースに捩じれに追従するのは、螺旋状部5a〜5dを輪切りにした形状に沿って独立した螺旋の数分だけ輪切り方向蛇腹ができているためであり、輪切り方向蛇腹が伸びたり縮んだりする(図4,6,8参照)。これに対し、特許文献2に記載の一重螺旋では、輪切り方向蛇腹がなく、捩じれに追従しにくいものであった。
図9に示す他の実施形態は、中空筒部5の中間に螺旋が形成されない中間部5Aを形成し、この中間部5Aの両側に2本以上の螺旋状部5a・・・を形成したものを示す。中間部5Aの上下で螺旋の方向を反対方向に変えている。したがって、一方の螺旋が絞られると他方の螺旋は緩められる。
図10は、中間部5Aの両側の一方に螺旋ではない一般的な蛇腹部6を形成し、他方に2本以上の螺旋状部5a・・・を形成した例を示す。蛇腹部6は、主として伸縮方向や屈曲に対応するものである。
図11ないし図14は、螺旋状部5a〜5dの各種形状(大小、太細)を示す。また、螺旋蛇腹と螺旋蛇腹との間に平面などの別構造を設けたり、異形状の螺旋蛇腹を組み合わせて構成することもできる。
図15は、螺旋状部5a〜5dの螺旋の傾きを「小」としたものであり、「X点」の螺旋蛇腹は、傾きが「小」のため捩じれ方向の蛇腹運動よりも長手伸縮方向の蛇腹運動に強い。図16は、図15の実施品における捩じれ量と伸縮量の関係を示すグラフである。
図17は、6本の螺旋状部5a〜5fを形成し、螺旋の傾きを「大」としたものである。この「Y点」における螺旋蛇腹は、傾きが「大」のため伸縮するよりも捩じれ易くなる。図18は、この実施品における捩じれ量と伸縮量の関係を示すグラフである。
捩じれの追従性とは蛇腹グロメットに捩じれが加わった際、蛇腹部円筒に挿通された電線に摩擦や応力集中をかけないために蛇腹部のある一部に応力集中による窪みや皺などの変形を生じさせずに、蛇腹部全体で捩じれを分散して吸収し、いかに大きな捩じれ量(捩じれ角度)を確保できるかという能力である。図15及び図17のグロメットに同じ小さな捩じれを「X点」「Y点」に加えると両方とも同じだけ捩じれ、同じ大きな捩じれを「X点」「Y点」に加えると「X点」はある時点で捩じれ追従性の限界に達し螺旋蛇腹に変形を生じてしまうが、「Y点」はある程度まで捩じれで追従する(図16、図18参照)。よって「Y点」は捩じれ追従性が高いと言える。
本発明のもう一つの効果である「捩じれによるグロメット長手方向の伸縮」は、蛇腹グロメットに捩じれが加わった時に蛇腹部が捩じれ方向に運動するが、蛇腹部螺旋の傾きにより捩じれの運動の分力としてグロメット長手方向の伸縮方向にも運動が生ずるというものである。これは斜めのレールに止まった列車をまっすぐ(捩じれ方向)に押すと、レールに沿った斜め(捩じれ方向+伸縮方向)に進むと考えると判り易い。また加わった捩じれ量(角度)と伸縮の大きさの関係を「X点」「Y点」で説明すると、「X点」「Y点」に同じ捩じれ量が加わった場合は、捩じれに対して長手方向伸縮の分力が大きい「X点」の方が伸縮量が大きい。ただし「X点」は捩じれ追従性の限界が早いので伸縮量もあまり伸びないが、「Y点」のように捩じれ追従性が高く捩じれ量が大きいと、分力としては小さい長手方向の伸縮も、トータルでは大きくなる。特許文献2に記載のものでは、傾きが小さいため捩じれ方向の追従性が極端に低く、長手伸縮方向の蛇腹運動性が高い(ここで言う長手伸縮方向の蛇腹運動性とは、長手方向に力を加えた時の伸縮のし易さである)。捩じれを加えても捩じれが少ないため、長手方向伸縮も生じない。これを先ほど例で挙げた列車で考えると、レールがほとんど真横に轢かれており、列車を押すと真横に進むどころか、脱線(蛇腹部の変形)してしまうようなものである。
図19は、自動車10の車体11(パネルP1)とバックドア12(パネルP2)との間、車体11とドア13(パネルP2)との間に本発明のグロメットAを取り付けた状態を示すものである。バックドア12を開けた場合に、車体側固定部とドア側固定部とが離れるときは、図20に示すように、2本以上の螺旋状部5a・・・が形成された中間筒部5の螺旋が緩む方向に捩じれる。図20のように、中間筒部5の螺旋が緩むと中間筒部5が長くなり、取付部1,2が圧力を受けず、止水性を保つことができる(図21参照)。なお、図20に示すグロメットAのバックドア12が閉まったときの状態を点線で示すが、閉まったときには、中間筒部5が伸びた状態から縮んで元に戻る(螺旋が緩んだり絞られていないニュートラルな状態)。なお、図22では、バックドア12を開けた場合に、中間筒部5の螺旋が絞られる方向に捩じれる構造としたグロメットAを示す。このグロメットAの拡大図を図23に示す。この場合は、中間筒部5が絞られながら長手方向に短くなるので、中間筒部5の緩みの発生による遊びが抑えられて、周囲の干渉物と接触する可能性を軽減することができる。そのため、グロメットAの周囲に干渉物が存在する狭い空間でのレイアウトが有利になる。図22のバックドア12を閉めた場合、グロメットAは点線で示すようなニュートラルな状態又は若干螺旋が緩んだ状態になる。
図20や図22に示す本発明のグロメットAでは、図24及び図25に示す従来例のように、蛇腹状筒部の緩みによる遊びが大きくなり、周囲の干渉物と接触するおそれもなくなり、また蛇腹状筒部が引っ張られて伸びてしまって止水性を悪くするようなこともない。
1,2 取付部
3,4 エルボ状部
5 中空筒部
5a〜5f 螺旋状部
P1,P2 パネル
3,4 エルボ状部
5 中空筒部
5a〜5f 螺旋状部
P1,P2 パネル
Claims (4)
- パネル間に段差をもって開口形成されたワイヤハーネスの挿通孔に両端を結合し、両パネル間に挿通されるワイヤハーネスの外周部を被覆し、各パネルの挿通孔に固定されるよう互いに逆方向に開口したフランジ状の一対の取付部の間を、夫々エルボ状部を介して一体に連結する蛇腹状の中空筒部を備えた自動車用グロメットにおいて、
蛇腹状中空筒部に山部と谷部を連続した形状のひとつの螺旋状部の山部と谷部との間に少なくとももうひとつの螺旋状の連続した山部と谷部とを有する螺旋状部を形成したことを特徴とする自動車用グロメット。 - 前記中間筒部の中間に螺旋が形成されない中間部を形成し、この中間部の両側に螺旋状部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用グロメット。
- 前記中間部両側の螺旋の向きを互いに反対方向としたことを特徴とする請求項2に記載の自動車用グロメット。
- 前記中間部の一方に螺旋ではない蛇腹部を形成したことを特徴とする請求項2又は3に記載の自動車用グロメット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005350872A JP2007157495A (ja) | 2005-12-05 | 2005-12-05 | 自動車用グロメット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005350872A JP2007157495A (ja) | 2005-12-05 | 2005-12-05 | 自動車用グロメット |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007157495A true JP2007157495A (ja) | 2007-06-21 |
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ID=38241601
Family Applications (1)
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JP2005350872A Pending JP2007157495A (ja) | 2005-12-05 | 2005-12-05 | 自動車用グロメット |
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2005
- 2005-12-05 JP JP2005350872A patent/JP2007157495A/ja active Pending
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