JP2007157184A - 情報記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレートの改善を図ることが可能な情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】ハードディスク100は,媒体108に記録する情報の補償を行う記録補償回路114と,媒体からの再生信号の非対称性を補正する非対称補正回路128とを備え,記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,非対称補正回路は,記録補償回路による補正量との組み合わせで,再生信号の非対称性を補正する。再生信号の上下非対称性が時間的なずれに変化する現象に注目し,記録する際に,予め,記録電流の立ち上がりエッジと立ち下りエッジのタイミングを変えることで,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレートの改善を図ることが可能である。
【選択図】図1
【解決手段】ハードディスク100は,媒体108に記録する情報の補償を行う記録補償回路114と,媒体からの再生信号の非対称性を補正する非対称補正回路128とを備え,記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,非対称補正回路は,記録補償回路による補正量との組み合わせで,再生信号の非対称性を補正する。再生信号の上下非対称性が時間的なずれに変化する現象に注目し,記録する際に,予め,記録電流の立ち上がりエッジと立ち下りエッジのタイミングを変えることで,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレートの改善を図ることが可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は,記録媒体に記録された情報の記録および再生を行う情報記録再生装置(例えば,ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)等)にかかり,特に,垂直磁気記録媒体を用いた情報記録再生装置に関する。なお本発明は,再生信号が垂直磁気記録と同様に矩形状で上下の非対称性を持つような,他の情報記録再生装置への適用も可能である。
コンピュータなどにおける情報記録再生装置として,ハードディスクドライブが広く用いられている。ハードディスクドライブの記録方式として,従来の水平記録方式に替わり垂直記録方式が実用化されつつある。媒体上の磁化情報は磁界の垂直成分がリードヘッドによって読み出され,電圧信号として検出される。その際,リードヘッドのρH特性に非対称性がある場合には,再生信号が上下非対称となり,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の劣化が起こる。従来の水平記録方式においては一般的に,二乗回路と加算器からなる非対称補正回路によって,ビットエラーレートの補償を行っていた(例えば,特許文献1参照。)。
ところで,垂直記録方式では再生信号の波形が水平記録方式と異なるため,微分特性に近いフィルタリングを施して水平記録時の信号に近似させ,復調を行うのが一般的となっている。しかし,このフィルタリングを非対称補正回路の前段階で行うと,非対称が補正できないという問題が明らかになった。すなわち,水平記録方式の場合には非対称補正回路による補正が可能であったが,垂直記録方式の場合,ハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)のカットオフ周波数の高域化(低周波成分の除去)により,非対称補正ができなくなるという問題が明らかになった。
本発明は,従来の情報再生装置が有する上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的は,垂直記録時の再生信号における上下の非対称性の影響を抑えるとともに,ビットエラーレートの改善を図ることの可能な,新規かつ改良された情報記録再生装置を提供することである。
上記課題を解決するため,本発明の第1の観点によれば,媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路を備え,前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,前記時間軸方向の補正量は,前記パルス状の記録信号が表す情報に応じて異なる補正量であることを特徴とする,情報記録再生装置が提供される。
また本発明によれば,媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路を備え,前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正することを特徴とする,情報記録再生装置が提供される。
本発明では,垂直記録方式で媒体に記録された情報をハイパスフィルタの微分特性を利用して再生する場合に,再生信号の上下非対称性が,時間的なずれ(Timing Shift)に変化する現象に注目する。そして,情報を記録する際に,予め,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正(タイミング補正)することで,再生信号の非対称性の影響を抑える。ここで時間軸方向の補正としては,例えば,記録電流の立ち上がりエッジと立ち下りエッジのタイミングを変えることが可能である。このようにして,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の改善を図ることが可能である。
また,信号の周波数で非対称の発生量は異なる。これはリードヘッドの入出力特性により,入力振幅が小さければ非対称性の有無による振幅差も小さくなるためである。またこのリードヘッド入力の振幅差は磁化の符号間干渉により発生する。周波数の低いものは同じ磁化状態が長く続き干渉はわずかであるが,周波数が高いものは逆方向の磁化が近接するため,お互いの干渉が大きく,振幅(ヘッド入力磁界の強さ)は小さくなる。従って,ハイパスフィルタ後のタイミングシフト量(タイミングの非対称性)も周波数で異なるため,記録時の情報(例えば“0”,“1”の並びなどのデータパターン)に応じてタイミングの補正量を変えた方が,さらなる改善が期待できる。
また,前記記録補償回路が行う時間軸方向の補正としては,前記記録信号の立ち上がりエッジのみを補正するようにしてもよい。あるいは,前記記録信号の立ち下がりエッジのみを補正するようにしてもよい。
また,ハイパスフィルタのカットオフ周波数は,クロック周波数の11%とすることが可能である。カットオフ周波数が11%の場合には,再生時における非対称補正回路の効果がほとんど無いことが知られている。そこで,本発明のように情報の記録時に予めタイミング補正しておくことが極めて有効である。なお,ハイパスフィルタのカットオフ周波数は,ハイパスフィルタの微分特性を利用できる範囲であればよく,例えば,カットオフ周波数を20%〜30%にすることも可能である。
また,前記時間軸方法の補正量は,例えば,前記記録信号のパルス幅の10%〜30%とすることが可能である。シミュレーション結果からは,特に20%が好ましい。シミュレーション結果についてはさらに後述する。
上記課題を解決するため,本発明の第2の観点によれば,媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路と,媒体からの再生信号の非対称性を補正する非対称補正回路と,を備え,前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,前記時間軸方向の補正量は,前記パルス状の記録信号が表す情報に応じて異なる補正量であり,前記非対称補正回路は,前記記録補償回路による補正量との組み合わせで,前記再生信号の非対称性を補正することを特徴とする,情報記録再生装置が提供される。
また本発明によれば,媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路と,媒体からの再生信号の非対称性を補正する非対称補正回路と,を備え,前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正(タイミング補正)することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,前記非対称補正回路は,前記記録補償回路による補正量との組み合わせで,前記再生信号の非対称性を補正することを特徴とする,情報記録再生装置が提供される。
本発明では,垂直記録方式で媒体に記録された情報をハイパスフィルタの微分特性を利用して再生する場合に,再生信号の上下非対称性が,時間的なずれ(Timing Shift)に変化する現象に注目する。そして,情報を記録する際に,予め,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正するとともに,情報を再生する際に,非対称補正回路において,記録補償回路による補正量との組み合わせで,再生信号の非対称性を補正する。ここで時間軸方向の補正としては,例えば,記録電流の立ち上がりエッジと立ち下りエッジのタイミングを変えることが可能である。このようにして,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の改善を図ることが可能である。
また上記と同様に,記録時の情報(例えば“0”,“1”の並びなどのデータパターン)に応じてタイミングの補正量を変えた方が,さらなる改善が期待できる。
また,前記記録補償回路が行う時間軸方向の補正としては,前記記録信号の立ち上がりエッジのみを補正するようにしてもよい。あるいは,前記記録信号の立ち下がりエッジのみを補正するようにしてもよい。
また,前記時間軸方法の補正量は,例えば,前記記録信号のパルス幅の10%〜30%とすることが可能である。シミュレーション結果からは,特に20%が好ましい。シミュレーション結果についてはさらに後述する。
さらに,ハイパスフィルタのカットオフ周波数は,例えば,クロック周波数の0.6〜1%とすることができ,特に1%が好ましい。カットオフ周波数が0.6〜1%の場合には,再生時における非対称補正回路の効果があるので,情報の記録時にタイミング補正と非対称補正とを組み合わせることで,ビットエラーレートのさらなる改善を図ることが可能である。
また,前記非対称性補正回路の補正量は,前記記録補償回路が行う時間軸方向の補正量との組み合わせで最適なものを選択することができる。例えば,前記時間軸方法の補正量は,前記記録信号のパルス幅の10%であり,前記非対称性補正回路の補正量は,前記再生信号のパルス幅の10%とすることができる。
以上のように,本発明によれば,垂直記録方式で媒体に記録された情報をハイパスフィルタの微分特性を利用して再生する場合に,再生信号の上下非対称性が,時間的なずれ(Timing Shift)に変化する現象に注目し,情報を記録する際に,予め,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正(タイミング補正)することで,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の改善を図ることが可能である。
以下に添付図面を参照しながら,本発明にかかる情報記録再生装置の好適な実施形態について詳細に説明する。以下では,本発明にかかる情報記録再生装置の一例として,垂直磁気記録媒体を用いたハードディスクドライブについて説明するが,本発明がこれに限定されるものではない。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず,図1を参照しながら,ハードディスクドライブにおける記録および再生の流れを説明する。図1は,ハードディスクドライブ100の一構成例を示すブロック図であり,図中の矢印は情報の流れを示す。以下,情報の流れを中心に説明する。
ハードディスクドライブ100は,リードチャネル102とプリアンプ部104とヘッド部106に大別される。リードチャネル部102とプリアンプ部104には,以下に説明する様々な機能を有する回路が集積されている。また,ヘッド部106は,媒体108に対する記録および再生を行う。
(記録)
リードチャネル102にライトデータ110が入力されると,ランレングス符号化回路(Run Length Limited Code:RLL符号化)112でライトデータ110の符号化が行われ,記録補償回路(Write Pre-Compensation)114で記録パルスのタイミング補正が行われる。これはNLTS(Non-Linear Transition Shift)と呼ばれる,記録時の磁化反転のずれをあらかじめ補正するためのものである。この記録パルスはプリアンプ部104に送られる。そして,ライトドライバ116の制御により,記録パルスが記録電流に変換されてライトヘッド118に送られる。そして,ライトヘッド118のコイルに電流が流れ,そこで発生される磁界で媒体108への記録が行われる。
リードチャネル102にライトデータ110が入力されると,ランレングス符号化回路(Run Length Limited Code:RLL符号化)112でライトデータ110の符号化が行われ,記録補償回路(Write Pre-Compensation)114で記録パルスのタイミング補正が行われる。これはNLTS(Non-Linear Transition Shift)と呼ばれる,記録時の磁化反転のずれをあらかじめ補正するためのものである。この記録パルスはプリアンプ部104に送られる。そして,ライトドライバ116の制御により,記録パルスが記録電流に変換されてライトヘッド118に送られる。そして,ライトヘッド118のコイルに電流が流れ,そこで発生される磁界で媒体108への記録が行われる。
(再生)
リードヘッド(MRヘッドとも称される)120によって再生された信号はプリアンプ(Pre-Amplifier)122で増幅され,リードチャネル102内のハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)124に入力される。ハイパスフィルタ124の主な機能は電気回路的に問題となるDC成分の除去(AC Coupling)であるが,カットオフ周波数を高くして,サーマル・アスペリティ(Thermal Asperity)などの除去にも用いられる。
リードヘッド(MRヘッドとも称される)120によって再生された信号はプリアンプ(Pre-Amplifier)122で増幅され,リードチャネル102内のハイパスフィルタ(High Pass Filter:HPF)124に入力される。ハイパスフィルタ124の主な機能は電気回路的に問題となるDC成分の除去(AC Coupling)であるが,カットオフ周波数を高くして,サーマル・アスペリティ(Thermal Asperity)などの除去にも用いられる。
さらに,可変利得増幅器(Variable Gain Amplifier:VGA)126で振幅のばらつきが吸収され,非対称補正回路(MR Asymmetry Correction:MRAC)128によって上下振幅の非対称性が補正される(図2を参照しながら後述する)。非対称補正回路126により上下振幅の非対称性が補正された信号は,ローパスフィルタ130によりノイズが除去された後,アナログデジタル変換器132によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は,デジタルフィルタ134により所望の形に変形された後,ビタビ復号器238にて最尤復号される。さらに,ランレングス復号化回路138にてランレングス復号化処理されて,リードデータ140として出力される。
図2はリードヘッド120の入出力特性(ρH特性)を示す説明図である。
線形な場合,すなわち非対称性が無く0%の場合(図中の破線)と,非対称性が−30%の場合(図中の実線)を示す。非対称性が−30%の場合,図中の実線のグラフは2次の関数で近似でき,非対称性はこの2次成分からなる。非補正対称回路128では入力信号を二乗し,これを元の入力信号に加算(あるいは減算)することで2次成分の除去を行い,非対称性の補正を行う。
図3〜図6は,水平記録方式(Longitudinal Magnetic Recording:LMR)と垂直記録方式(Perpendicular Magnetic Recording:PMR)の信号波形を比較するための説明図である。
図3は,水平記録方式の場合のリードヘッド120の出力であり,非対称性が無い場合(図中の破線)と−30%の場合(図中の実線)の例を示す。この両者の差は前述した二乗操作と加算器で埋めることが可能である。
図4は,水平記録方式の場合のハイパスフィルタ124の出力であり,カットオフ周波数をクロック周波数(ビット周期の逆数)の0.6%に設定した場合を示している。図3のリードヘッド120の出力とほぼ同じ形をしており,非対称補正回路128で十分補正され得る。この例ではハイパスフィルタ124のカットオフ周波数はクロック周波数(ビット周期の逆数)の0.6%に設定しているが,通常のサーマル・アスペリティ(Thermal Asperity)の除去(TA補正とも称される。)を行わない場合には,0.5〜1%程度に設定されるのが一般的である。
一方,図5は,垂直記録方式の場合のリードヘッド120の出力であり,非対称性が無い場合(図中の破線)と−30%の場合(図中の実線)の例を示す。このように,垂直記録方式では,水平記録方式の場合と波形が異なる。そこで水平記録方式と同様の復調方法を行うためには,微分処理を行う必要がある。
図6は,カットオフ周波数を上げた場合のハイパスフィルタ124の出力であり,非対称性が無い場合(図中の破線)と−30%の場合(図中の実線)の例を示す。このように,垂直記録方式においても,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数を上げることで,容易に近似的な微分波形を得ることができる。しかしながら,振幅の非対称性は上下のタイミングのずれに代わる。正側ピーク(図6中の符号A,C)では前方にシフトし,負側ピーク(図6中の符号B)では後方にシフトする。このため,従来の非対称補正回路では補正が不可能となる。
そこで本実施形態では,上記の問題点を解決するため,この時間的なずれを記録時に補正する方法を採用する。従来の記録補償回路は,記録時に発生するライトヘッドと媒体と相互作用によるずれ(Shift)を補正するものであるが,本実施形態にかかる記録補償回路114は,リード過程で発生するタイミング的な非対称性を補正することを特徴とする。具体的には以下に説明するように,パルスの記録信号を時間軸方向に補正する。このような時間軸方向の補正を,以下,タイミング補正という。
図7は,記録補償回路114のタイミング補正の一例を示す説明図である。図7の例では,記録電流の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジのタイミングを調整することで,再生信号の非対称性を媒体108への記録時に予め補正する。
図7において立ち上がりエッジAでは,パルス状の記録信号を所定量遅らせる方向にタイミング補正している。これにより,図6の正側ピークAにおける非対称性(−30%)に起因するずれが生じないように予め補正することが可能である。ここで記録信号を遅らせる補正量としては,パルス幅の10〜30%程度とすることが可能である。タイミング補正量とビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)との関係については,さらに後述する。
また,図7において立ち上がりエッジBでは,パルス状の記録信号を所定量進ませる方向にタイミング補正している。これにより,図6の負側ピークBにおける非対称性(−30%)に起因するずれが生じないように予め補正することが可能である。同様に,立ち上がりエッジCでは,パルス状の記録信号を所定量遅らせる方向にタイミング補正している。これにより,図6の正側ピークCにおける非対称性(−30%)に起因するずれが生じないように予め補正することが可能である。
(シミュレーション結果)
図8,図9は,ハイパスフィルタ124の影響とタイミング補正による効果との関係をシミュレーションした結果を示す説明図である。なお,図8,図9における非対称補正利得(Asymmetry Correction Gain)は次のように定義される。非対称性(MR Asymmetry)の定義を((|Vp|−|Vn|)/(|Vp|+|Vn|))*100%とし(Vp:正側ピーク値,Vn:負側ピーク値),非対称補正回路128の入力をX,出力をYとしたとき,非対称補正利得は,Y=X+G*X2のGで表される。
図8,図9は,ハイパスフィルタ124の影響とタイミング補正による効果との関係をシミュレーションした結果を示す説明図である。なお,図8,図9における非対称補正利得(Asymmetry Correction Gain)は次のように定義される。非対称性(MR Asymmetry)の定義を((|Vp|−|Vn|)/(|Vp|+|Vn|))*100%とし(Vp:正側ピーク値,Vn:負側ピーク値),非対称補正回路128の入力をX,出力をYとしたとき,非対称補正利得は,Y=X+G*X2のGで表される。
図8では,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数=11%とし,タイミング補正量を0%,10%,20%,30%とした場合を示している。さらに対比として,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数=1%とし,タイミング補正量を0%とした場合を示している。
図8に示したように,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数=1%の場合には,非対称補正によりビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)は改善されていく。一方,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数=11%の場合には,非対称補正の効果はほとんど無い。しかし,タイミング補正を行うことでビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の大きな改善が見られる。図8では,タイミング補正量を0%,10%,20%,30%とした場合に,ビットエラーレートが改善された状態を示している。図8のシミュレーション結果では,特に,タイミング補正量を20%とした場合に,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)が最も改善されることが分かる。
図9では,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数=1%とし,タイミング補正量を0%,10%,20%,30%とした場合を示している。
図9に示したように,ハイパスフィルタ124のカットオフ周波数=1%の場合にも,非対称補正回路とタイミング補正との組み合わせで,さらなるビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の改善が期待できる。その際には,非対称補正量(Asymmetry Correction Gain)(図8,図9の横軸)とタイミング補正量との組み合わせを変えながら,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)またはビットエラーレートの指標となるパラメータ(例えば,Viterbi信頼度情報)を測定し,最適化を行うことが可能である。図9では,タイミング補正量を10%とし,非対称補正量を10%とした場合に,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)が最も改善されることが分かる。
(本実施形態の効果)
以上説明したように,本実施形態によれば,垂直記録方式で媒体に記録された情報をハイパスフィルタ124の微分特性を利用して再生する場合に,再生信号の上下非対称性が,時間的なずれ(Timing Shift)に変化する現象に注目し,情報を記録する際に,予め,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正(タイミング補正)することで,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の改善を図ることが可能である。
以上説明したように,本実施形態によれば,垂直記録方式で媒体に記録された情報をハイパスフィルタ124の微分特性を利用して再生する場合に,再生信号の上下非対称性が,時間的なずれ(Timing Shift)に変化する現象に注目し,情報を記録する際に,予め,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正(タイミング補正)することで,再生信号の非対称性の影響を抑え,ビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の改善を図ることが可能である。
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる情報記録再生装置の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば,上記実施形態においては,記録補償回路114における記録信号のタイミング補正として,記録信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを補正する場合(図7)について説明したが,本発明はこれに限定されない。応用例として,立ち上がりエッジのみあるいは立ち下がりエッジのみを補正するようにしてもよい。
図10はかかる応用例を示す説明図である。図10(a)はタイミング補正前の記録信号を示す。図10(b)は立ち上がりエッジのみを,パルス幅(1ビット)の20%ずらした場合であり。図10(c)は立ち下がりエッジのみをパルス幅(1ビット)の20%ずらした場合である。ハードディスクドライブでは,タイミング信号を自己生成することが可能であり(セルフクロッキング),パルス信号は相対的なものである。このため,立ち上がりエッジのみをずらしても,立ち下がりエッジのみをずらしても,立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジをずらしても,同様のタイミング補正を行うことが可能である。
本発明は,記録媒体に記録された情報の記録および再生を行う情報記録再生装置(例えば,ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)等)に利用可能であり,特に,垂直磁気記録媒体を用いた情報記録再生装置に利用可能である。なお本発明は,再生信号が垂直磁気記録と同様に矩形状で上下の非対称性を持つような,他の情報記録再生装置への適用も可能である。
100 ハードディスクドライブ
102 リードチャネル部
104 プリアンプ部
106 ヘッド
108 媒体
110 ライトデータ
112 ランレングス復号化回路
114 記録補償回路
116 ライトドライバ
118 ライトヘッド
120 リードヘッド
122 プリアンプ
124 第1のハイパスフィルタ
126 可変利得増幅器
128 非対称補正回路
130 ローパスフィルタ
134 アナログデジタル変換器
136 デジタルフィルタ
138 ビタビ検波器
140 ランレングス符号化回路
142 リードデータ
102 リードチャネル部
104 プリアンプ部
106 ヘッド
108 媒体
110 ライトデータ
112 ランレングス復号化回路
114 記録補償回路
116 ライトドライバ
118 ライトヘッド
120 リードヘッド
122 プリアンプ
124 第1のハイパスフィルタ
126 可変利得増幅器
128 非対称補正回路
130 ローパスフィルタ
134 アナログデジタル変換器
136 デジタルフィルタ
138 ビタビ検波器
140 ランレングス符号化回路
142 リードデータ
Claims (10)
- 媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,
媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路を備え,
前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,
前記時間軸方向の補正量は,前記パルス状の記録信号が表す情報に応じて異なる補正量であることを特徴とする,情報記録再生装置。 - 媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,
媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路を備え,
前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正することを特徴とする,情報記録再生装置。 - 前記記録補償回路は,前記記録信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを補正することを特徴とする,請求項1または2に記載の情報記録再生装置。
- 前記記録補償回路は,前記記録信号の立ち上がりエッジのみを補正することを特徴とする,請求項1または2に記載の情報記録再生装置。
- 前記記録補償回路は,前記記録信号の立ち下がりエッジのみを補正することを特徴とする,請求項1または2に記載の情報記録再生装置。
- 媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,
媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路と,
媒体からの再生信号の非対称性を補正する非対称補正回路と,
を備え,
前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,
前記時間軸方向の補正量は,前記パルス状の記録信号が表す情報に応じて異なる補正量であり,
前記非対称補正回路は,前記記録補償回路による補正量との組み合わせで,前記再生信号の非対称性を補正することを特徴とする,情報記録再生装置。 - 媒体に対して情報の記録を行うとともに媒体に記録された情報の再生を行う情報記録再生装置であって,
媒体に記録する情報の補償を行う記録補償回路と,
媒体からの再生信号の非対称性を補正する非対称補正回路と,
を備え,
前記記録補償回路は,パルス状の記録信号を時間軸方向に補正することで,前記媒体からの再生信号の非対称性を予め補正し,
前記非対称補正回路は,前記記録補償回路による補正量との組み合わせで,前記再生信号の非対称性を補正することを特徴とする,情報記録再生装置。 - 前記記録補償回路は,前記記録信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを補正することを特徴とする,請求項6または7に記載の情報記録再生装置。
- 前記記録補償回路は,前記記録信号の立ち上がりエッジのみを補正することを特徴とする,請求項6または7に記載の情報記録再生装置。
- 前記記録補償回路は,前記記録信号の立ち下がりエッジのみを補正することを特徴とする,請求項6または7に記載の情報記録再生装置。
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