JP2007154700A - インジェクタ、インジェクタを備える燃料噴射装置、インジェクタを用いた噴射方法 - Google Patents

インジェクタ、インジェクタを備える燃料噴射装置、インジェクタを用いた噴射方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピエゾ式のインジェクタ1により微小量の燃料噴射を行う際に、弁体16のリフト量の変動を抑えて高精度に微小量の燃料噴射を行えるようにする。
【解決手段】インジェクタ1のピエゾアクチュエータ18を、複数の圧電部材17の一部分からなり、単独に電圧の印加を受けることができる第1印加部45、および第1印加部45に含まれる圧電部材17以外の圧電部材17からなる第2印加部46に分割する。これにより、第1印加部45のみに電圧を印加して駆動力および伸長量を発生させることができる。このため、印加電圧に対する弁体16のリフト量の感度を高めることができる。この結果、印加電圧の調節によるリフト量の操作が容易になる。したがって、ピエゾ式のインジェクタ1により微小量の燃料噴射を行う際に、弁体16のリフト量の変動を抑えて高精度に微小量の燃料噴射を行えるようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電部材の伸長を利用して燃料を噴射するインジェクタ、インジェクタを備える燃料噴射装置、およびインジェクタを用いた噴射方法に関する。
〔従来の技術〕
従来から、圧電部材の伸長を利用して弁体を着座位置からリフトすることで噴孔を開放するピエゾ式のインジェクタが公知となっている。このインジェクタは、例えば、着座位置から軸方向にリフトして噴孔を開放する弁体と、複数の圧電部材を有し、これらの圧電部材が電圧の印加を受け伸長することで駆動力を発生するピエゾアクチュエータと、燃料圧力を介して駆動力を弁体の方に伝達し、弁体が着座位置からリフトする方向(開弁方向)に作用させる駆動力伝達機構とを備える。
このインジェクタによれば、圧電部材に電圧が印加され圧電部材が伸長しようとすることで、ピエゾアクチュエータに駆動力が発生する。そして、圧電部材の伸長に伴い、ピエゾアクチュエータの駆動力は燃料圧力を介して弁体の方に伝達される。これにより、弁体に作用する付勢力のバランスが軸方向において変動する。この結果、弁体が着座位置からリフトして噴孔を開放し、噴射が開始する。
そして、個々の圧電部材は、印加される電圧(印加電圧)に応じた長さまで伸長し、この伸長の結果生じたピエゾアクチュエータ全体の伸長量(以下、単に伸長量と呼ぶ)も、燃料圧力を介して弁体の方に伝達される。これにより、弁体は、伸長量に応じたリフト量だけ着座位置からリフトし、リフト量に応じた噴射率で噴射が行われる(例えば、特許文献1参照)。
〔従来技術の不具合〕
しかし、例えば、パイロット噴射のように微小量の燃料を噴射する場合、弁体のリフト量を小さい値で安定して維持する必要がある。このため、ピエゾアクチュエータの伸長量も小さな値で安定させる必要があり、この結果、印加電圧を小さな値で厳しく管理する必要が生じる。しかし、このような微小量の燃料噴射に適する小さな値に印加電圧を管理することは極めて困難である。このため、ピエゾ式のインジェクタによる微小量の燃料噴射では、印加電圧の変動に伴うリフト量の変動が生じやすく、この結果、噴射量のばらつきも大きくなってしまう。
米国特許第6520423号明細書
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ピエゾ式のインジェクタにより微小量の燃料噴射を行う際に、弁体のリフト量の変動を抑えて高精度に微小量の燃料噴射を行えるようにすることにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載のインジェクタは、燃料を噴射するものであり、着座位置からリフトして噴孔を開放する弁体と、複数の圧電部材を有し、圧電部材が電圧の印加を受け伸長することで駆動力を発生するピエゾアクチュエータと、駆動力を弁体の方に伝達し、弁体が着座位置からリフトする方向に作用させる駆動力伝達機構とを備える。そして、ピエゾアクチュエータは、複数の圧電部材の一部分からなり、単独に電圧の印加を受けることができる第1印加部、およびこの第1印加部以外の圧電部材からなる第2印加部に分割されている。
これにより、第1印加部のみに電圧を印加して駆動力および伸長量を発生させることができる。このため、第1、第2印加部の両方に電圧を印加して駆動力および伸長量を発生させる場合に比べて、印加電圧に対する弁体のリフト量の感度を高めることができる。この結果、印加電圧の調節によるリフト量の操作が、第1、第2印加部の両方に電圧を印加する場合よりも容易になる。したがって、ピエゾ式のインジェクタにより微小量の燃料噴射を行う際に、弁体のリフト量の変動を抑えて高精度に微小量の燃料噴射を行うことができるようになる。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載のインジェクタによれば、第1印加部は、駆動力の伝達方向において第2印加部よりも弁体の方に配置されている。
これにより、微小量の燃料噴射を行う際に、電圧の印加に伴い駆動される部分の重量を低減することができる。この結果、弁体の駆動を開始する際の慣性力を弱めることができるので、噴射開始の指令に対する応答を早めることができる。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載のインジェクタによれば、駆動力伝達機構は、第1印加部に発生する駆動力により弁体の方に変位する第1ピエゾピストン、および第2印加部に発生する駆動力により弁体の方に変位する第2ピエゾピストンを有する。そして、第1ピエゾピストンおよび第2ピエゾピストンは、燃料圧力を介して弁体の方に駆動力を伝達する。
これにより、燃料圧力を媒介としパスカルの原理に基づいて、駆動力および伸長量を伝達することができるとともに、異なる部分(つまり、第1、第2印加部)で発生する駆動力および伸長量を、個々に異なる伝達経路(つまり、第1ピエゾピストンによる伝達経路、および第2ピエゾピストンによる伝達経路)で伝達することができる。このため、第1、第2ピエゾピストンによる加圧面積と弁体の方の受圧面積との面積比を、第1ピエゾピストンによる伝達経路と、第2ピエゾピストンによる伝達経路との間で異ならせることができる。この結果、燃料の噴射に関して、以下のような工夫を施すことができる。
すなわち、パスカルの原理に基づき駆動力および伸長量が伝達される場合、駆動力および伸長量は、上記の面積比(加圧面積/受圧面積として定義する)に応じて増減されて伝達される。つまり、駆動力は、この面積比が小さいほど増幅されて伝達され、逆に、伸長量は、この面積比が大きいほど減縮されて伝達される。
そこで、噴射開始時のように弁体がリフトを開始するために強い駆動力を必要とする時には、面積比の大きい方の伝達経路により駆動力を伝達させ、確実に噴孔を開放する。また、噴射開始後、要求される噴射量を確保するため弁体のリフト量を大きくする必要がある時には、面積比の小さい方の伝達経路により伸長量を伝達させ、確実に弁体を大きくリフトさせる。
このように、噴射開始時および噴射開始後の各々の目的に適した伝達経路を選択することができる。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載のインジェクタによれば、第1印加部と第2印加部との間に、圧電部材よりもヤング率の高い素材からなる部材が存在している。
これにより、第1印加部にのみ電圧が印加され第1印加部に駆動力が生じた場合、第2印加部の方への伸長は、圧電部材よりもヤング率の高い素材(例えば、鉄)により阻止される。このため、第1印加部を、第2印加部の反対側にのみ伸長させることができるので、第1印加部の伸長量を無駄なく一方向において利用することができる。
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載のインジェクタによれば、第2印加部は、第1印加部の伸長に応じて圧縮されるように配置されている。
これにより、第1印加部にのみ電圧が印加され第2印加部が圧縮されると、第2印加部には圧電効果により電圧が発生する。そして、この第2印加部に発生する電圧は、第1印加部の伸長量との間で高い相関を示す。よって、第2印加部に発生する電圧を検出することで、第1印加部の伸長量を計測することができる。つまり、第2印加部を検出部として、第1印加部の伸長量、すなわち、弁体のリフト量を計測することができる。この結果、微小量の燃料噴射をさらに高精度に行うことができる。
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の燃料噴射装置は、第2印加部の圧縮により第2印加部に発生する電圧に応じて、第1印加部に印加する電圧を補正する印加電圧補正手段を備える。
第1印加部にのみ電圧を印加して微小量の燃料噴射を行う場合、第1印加部の伸長量に過不足が生じると、弁体のリフト量にも過不足が生じ噴射量がばらついてしまう。しかし、この伸長量の過不足分は、前記した圧電効果により第2印加部に発生する電圧に反映される。したがって、この第2印加部に発生する電圧に応じて第1印加部に印加する電圧を補正すれば、第1印加部の伸長量の過不足を低減することができる。このため、弁体のリフト量の過不足を低減して、微小量の燃料噴射をさらに高精度に行うことができる。
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の燃料噴射装置は、第2印加部の圧縮により第2印加部に発生する電圧を放電する第2印加部放電手段を備える。
第1印加部にのみ電圧を印加して微小量の燃料噴射を行う場合、第1印加部の伸長量が過剰になると、弁体のリフト量も過剰になり噴射量が多くなってしまう。
ところで、第1印加部の伸長量が過剰になると第2印加部も過剰に圧縮され、圧電効果により第2印加部に発生する電圧も大きくなる。そこで、この第2印加部に生じた電圧の増大分を放電すれば、第2印加部は、過剰に圧縮されていない状態になり、第1印加部の伸長量の過剰も解消される。このため、弁体のリフト量の過剰をなくすことができるので、微小量の燃料噴射において噴射量が増大するのを抑えることができる。
〔請求項8の手段〕
請求項8に記載の燃料の噴射方法によれば、エンジンから要求される燃料の噴射量に応じて、第1印加部のみに電圧を印加する部分印加パターン、または第1印加部および第2印加部の両方に電圧を印加する全部印加パターンのいずれか一方を選択する。
これにより、例えば、エンジンから要求される燃料の噴射量が少ない場合には、部分印加パターンを選択して、弁体のリフト量を小さくするとともに、印加電圧に対する弁体のリフト量の感度を高めることができる。このため、微小量の燃料噴射を高精度に行えるようになる。また、エンジンから要求される燃料の噴射量が多い場合には、全部印加パターンを選択して弁体のリフト量を大きくすることで、噴射率を向上させ所望の噴射量を確保することができる。
〔請求項9の手段〕
請求項9に記載の燃料の噴射方法によれば、エンジンの1燃焼サイクルあたりに要求される噴射量の燃料を、先行するパイロット噴射と、パイロット噴射に後行するメイン噴射とに分けて噴射する場合に、部分印加パターンにより弁体をリフトさせてパイロット噴射を実行し、全部印加パターンにより弁体をリフトさせてメイン噴射を実行する。
これにより、微小な噴射量が要求されるパイロット噴射を行う場合には、部分印加パターンを選択して高精度にパイロット噴射を行うことができる。そして、大きな噴射量が要求されるメイン噴射では、全部印加パターンを選択して噴射率を向上させ所望の噴射量を確保することができる。
〔請求項10の手段〕
請求項10に記載の燃料の噴射方法によれば、1回の噴射の途中で噴射率を向上させるブーツ噴射を行う場合に、部分印加パターンから全部印加パターンに切り替えることで噴射率を向上させる。
これにより、微小な噴射量が要求されるブーツ噴射の前段階を行う場合には、部分印加パターンを選択して高精度にブーツ噴射の前段階を行うことができる。そして、大きな噴射量が要求されるブーツ噴射の後段階では、全部印加パターンを選択して噴射率を向上させ所望の噴射量を確保することができる。
〔請求項11の手段〕
請求項11に記載の燃料の噴射方法によれば、燃料が噴射される空間の圧力に応じて、部分印加パターンまたは全部印加パターンのいずれか一方を選択する。
これにより、高地のように気圧が低い場所でエンジンを作動させる場合には、部分印加パターンを選択して弁体のリフト量を小さくすることで、燃料噴霧の貫徹力を弱めることができる。また、通常の大気圧下で燃料の噴射を行うときのように強い貫徹力を必要とする場合には、全部印加パターンを選択して弁体のリフト量を大きくすることで、貫徹力を強めることができる。このため、気圧等の条件がエンジンの作動場所に応じて変動しても、燃料噴霧の貫徹力を操作して所望の燃料噴霧を形成することができる。
最良の形態1のインジェクタは、燃料を噴射するものであり、着座位置からリフトして噴孔を開放する弁体と、複数の圧電部材を有し、圧電部材が電圧の印加を受け伸長することで駆動力を発生するピエゾアクチュエータと、駆動力を弁体の方に伝達し、弁体が着座位置からリフトする方向に作用させる駆動力伝達機構とを備える。そして、ピエゾアクチュエータは、複数の圧電部材の一部分からなり、単独に電圧の印加を受けることができる第1印加部、およびこの第1印加部以外の圧電部材からなる第2印加部に分割されている。
第1印加部は、駆動力の伝達方向において第2印加部よりも弁体の方に配置されている。また、第2印加部は、第1印加部の伸長に応じて圧縮されるように配置されている。そして、このインジェクタを備える燃料噴射装置は、第2印加部の圧縮により第2印加部に発生する電圧に応じて、第1印加部に印加する電圧を補正する印加電圧補正手段を備える。
また、このインジェクタを用いた燃料の噴射方法によれば、エンジンから要求される燃料の噴射量に応じて、第1印加部のみに電圧を印加する部分印加パターン、または第1印加部および第2印加部の両方に電圧を印加する全部印加パターンのいずれか一方を選択する。
例えば、エンジンの1燃焼サイクルあたりに要求される噴射量の燃料を、先行するパイロット噴射と、パイロット噴射に後行するメイン噴射とに分けて噴射する場合に、部分印加パターンにより弁体をリフトさせてパイロット噴射を実行し、全部印加パターンにより弁体をリフトさせてメイン噴射を実行する。また、1回の噴射の途中で噴射率を向上させるブーツ噴射を行う場合に、部分印加パターンから全部印加パターンに切り替えることで噴射率を向上させる。
さらに、このインジェクタを用いた燃料の噴射方法によれば、燃料が噴射される空間の圧力に応じて、部分印加パターンまたは全部印加パターンのいずれか一方を選択する。
最良の形態2のインジェクタを備える燃料噴射装置は、第2印加部の圧縮により第2印加部に発生する電圧を放電する第2印加部放電手段を備える。
最良の形態3のインジェクタによれば、駆動力伝達機構は、第1印加部に発生する駆動力により弁体の方に変位する第1ピエゾピストン、および第2印加部に発生する駆動力により弁体の方に変位する第2ピエゾピストンを有する。そして、第1ピエゾピストンおよび第2ピエゾピストンは、燃料圧力を介して弁体の方に駆動力を伝達する。
最良の形態4のインジェクタによれば、第1印加部と第2印加部との間に、圧電部材よりもヤング率の高い素材からなる部材が存在している。
〔実施例1の構成〕
実施例1のインジェクタ1の構成を、図1および図2を用いて説明する。
このインジェクタ1は、エンジン(図示せず)に燃料を噴射供給するものであり、例えば、燃料タンク2から燃料を吸引し高圧化して吐出する燃料噴射ポンプ3、燃料噴射ポンプ3から吐出された燃料を高圧状態で蓄圧しインジェクタ1に分配供給するコモンレール4、インジェクタ1や燃料噴射ポンプ3等を駆動制御する制御手段5等とともに、蓄圧式の燃料噴射装置6を構成する。なお、制御手段5は、各種の演算ならびに制御信号の合成および出力を行う電子制御装置(以下、ECUと称する)7、制御信号の入力を受けてインジェクタ1や燃料噴射ポンプ3のアクチュエータに電力を供給する各種の駆動回路8〜10等により構成されている。
ここで、ECU7は、コモンレール4に蓄圧された燃料の圧力を検出するレール圧センサ11や、その他のエンジンの運転状態を示す各種センサから検出値の入力を受ける。そして、ECU7は、これらの検出値に基づいて、インジェクタ1や燃料噴射ポンプ3のアクチュエータに与える指令値を算出し、算出した指令値に応じた制御信号を合成し駆動回路8〜10に出力する。これにより、駆動回路8〜10は、各々、対応するアクチュエータに、指令値に応じた電力の供給を行う。なお、インジェクタ1のアクチュエータは、後記するように2つに分割されているので、制御手段5は、インジェクタ1のアクチュエータ用に2つの駆動回路9、10を有している。
インジェクタ1は、コモンレール4から燃料を分配供給され、供給された燃料をエンジンの気筒内に噴射供給する。このインジェクタ1による噴射開始時期および噴射期間は、ECU7において各種の検出値に基づき指令値として算出される。そして、ECU7は、算出された噴射開始時期および噴射期間に応じた制御信号を合成し、インジェクタ1のアクチュエータに電力を供給する駆動回路9、10に出力する。これにより、インジェクタ1のアクチュエータに電力が供給され、算出された噴射開始時期および噴射期間に応じた噴射が実行される。なお、インジェクタ1の制御信号に係わる指令値の算出については後述する。
このインジェクタ1は、着座位置からリフトして噴孔15を開放する弁体16と、複数の圧電部材17を有し、圧電部材17が電圧の印加を受け伸長することで駆動力を発生するピエゾアクチュエータ18と、駆動力を弁体16の方に伝達し、弁体16が着座位置からリフトする方向に作用させる駆動力伝達機構19と、駆動力伝達機構19から駆動力の伝達を受けるとともに、噴孔15を閉鎖する方向に弁体16を付勢する閉弁機構20とを備える(以下の説明では、噴孔15を開放する方向を開弁方向、噴孔15を閉鎖する方向を閉弁方向と呼ぶ)。
また、このインジェクタ1は、閉弁機構20をなす弁体ピストン23やバランスピストン24、および駆動力伝達機構19をなすピエゾピストン25等を収容する本体部26、弁体16を収容して本体部26の先端側に装着されるノズル部27、ピエゾアクチュエータ18等を収容して本体部26の後端側に装着されるアクチュエータ部28からなり、これら3つがリテーニングナット29により締め付けられ一体となることで構成されている。
弁体16は、ニードル状に設けられ、軸方向に変位してノズル部27のボディ(ノズルボディ)30の先端に設けられた噴孔15を開閉する。この弁体16の先端部は、テーパ状に設けられ、噴孔15を閉鎖するためのシート部33を有する。また、弁体16の後端部は、ノズルボディ30に軸受けされる摺動軸部34をなす。この摺動軸部34の後端面は、弁体ピストン23の先端面と面接触しており、弁体16は、弁体ピストン23から直接的に閉弁方向の付勢力を伝達され、弁体ピストン23と一体となって軸方向に変位する。
なお、ノズルボディ30には、噴孔15に供給される高圧の燃料が蓄えられる燃料溜まり35、噴孔15と燃料溜まり35との間を連通するガイド孔36、ガイド孔36よりも先端側に設けられ噴孔15が開口するサック室37、燃料溜まり35に向かい高圧の燃料が通過する高圧流路38が設けられている。また、ガイド孔36の先端部分は、サック室37に向かって縮径するようにテーパ状に形成されており、シート部33が着座するシート面39をなす。
ピエゾアクチュエータ18は、図2に示すように、板状の圧電部材17の一方面に導電材を蒸着させて内部電極42を形成し、内部電極42を形成した圧電部材17を積層して圧電部材17の積層体をなすとともに、この内部電極42を一層おきに導通する1対の外部電極43を積層体の側面に配置して構成される。なお、本実施例のピエゾアクチュエータ18では、後記するように、圧電部材17の積層体が先端側と後端側とで2分割され、先端側の積層体および後端側の積層体は、図1に示すように、個別に1対の外部電極43が配置されて第1印加部45および第2印加部46をなしている。
そして、圧電部材17に電圧が印加され圧電部材17が軸方向に伸長しようとすることで、ピエゾアクチュエータ18に駆動力が発生する。そして、個々の圧電部材17は、印加される電圧(印加電圧)に応じた長さまで伸長する(以下、個々の圧電部材17の伸長により生じたピエゾアクチュエータ18の全体の長さの増加量を伸長量と呼ぶ)。
また、ピエゾアクチュエータ18は、筒状部材48の内周側に収容されるとともに、先端側にピエゾピストン25を押圧する押圧部材49が配置され、かつ後端側に支持部材50が配置された状態で、アクチュエータボディ51に収容されている。なお、筒状部材48の先端には弾性膜52が装着され、筒状部材48の内部の気密が保たれている。そして、押圧部材49は、弾性膜52および調整シム53を介してピエゾピストン25を押圧し、ピエゾアクチュエータ18に発生した駆動力をピエゾピストン25に伝達する。
駆動力伝達機構19は、ピエゾアクチュエータ18の駆動力が伝達されて先端の方に変位するピエゾピストン25を有する。そして、駆動力伝達機構19は、このピエゾピストン25により、燃料圧力を介して、閉弁機構20をなす弁体ピストン23に駆動力を伝達するとともに、ピエゾピストン25の変位(つまり、ピエゾアクチュエータ18の伸長量)を拡大して弁体ピストン23に伝達する。
ここで、ピエゾピストン25の変位の拡大は、パスカルの原理に基づくものである。すなわち、駆動力伝達機構19には、ピエゾピストン25により燃料の加圧を受けるピエゾ加圧室56、および連通路57を介してピエゾ加圧室56の燃料圧力の伝達を受け、この燃料圧力を弁体ピストン23に受圧させる弁体側受圧室58が形成されている。そして、ピエゾ加圧室56、連通路57および弁体側受圧室58を通じて、ピエゾピストン25の変位が拡大されて弁体ピストン23に伝達される。すなわち、ピエゾピストン25の加圧面積と弁体ピストン23の受圧面積との面積比(加圧面積/受圧面積として定義する)に応じて、ピエゾピストン25の変位が拡大され、弁体ピストン23に伝達される。なお、弁体ピストン23の受圧面積は、弁体ピストン23の先端面の面積から摺動軸部34の後端面の面積を差し引いた大きさである。
また、弁体ピストン23は、弁体側受圧室58を後端側から封鎖するように配置されているので、伝達された駆動力は、弁体ピストン23に対し開弁方向に作用し、伝達されたピエゾピストン25の変位、つまりピエゾアクチュエータ18の伸長量は、弁体16のリフト量になる。
なお、ピエゾ加圧室56には、ピエゾピストン25をピエゾアクチュエータ18の方に付勢する皿バネ59が収容されている。この皿バネ59は、復元バネとして機能するとともに、圧電部材17に初期荷重を与えて圧電部材17の過伸長による破壊を防止している。なお、復元バネの機能および圧電部材17の破壊を防止する機能を有する部材として、皿バネ59以外に、コイルバネ等を用いることもできる。
閉弁機構20は、弁体ピストン23の後端に配置され、弁体ピストン23を閉弁方向に付勢するスプリング62、弁体加圧室63の燃料圧力により、弁体ピストン23に当接して閉弁方向に付勢するバランスピストン24、摺動軸部34の後端面に面接触し、スプリング62の付勢力および弁体加圧室63の燃料圧力による付勢力を弁体16に伝達する弁体ピストン23を有する。つまり、閉弁機構20は、主に、スプリング62の付勢力および弁体加圧室63の燃料圧力による付勢力により、弁体16を閉弁方向に付勢する。また、閉弁機構20は、上記のように、弁体ピストン23が弁体側受圧室58の燃料圧力を開弁方向に受けることで、開弁方向に付勢される。
ここで、弁体加圧室63は高圧流路38と連通しており、常時、高圧の燃料が供給されている。また、スプリング62を収容するスプリング室64には、弁体加圧室63および弁体側受圧室58の燃料がリークし、リークした燃料は低圧流路65を介して燃料タンク2に戻される。
次に、インジェクタ1の作動を説明する。
まず、ECU7から駆動回路9、10のいずれか一方または両方に制御信号が出力され、ピエゾアクチュエータ18に電力が供給されると、圧電部材17に電圧が印加され、ピエゾアクチュエータ18が駆動力を発生する。そして、この駆動力により、ピエゾピストン25が先端の方に変位を開始するとともに、ピエゾ加圧室56および弁体側受圧室58の燃料圧力が加圧される。これにより、駆動力は、弁体ピストン23に伝達され開弁方向に作用するので、弁体ピストン23を開弁方向に付勢する付勢力が強くなる。このため、弁体16に作用する付勢力のバランスが軸方向において変動し、弁体16が着座位置からリフトして噴孔15を開放し、噴射が開始する。そして、弁体16は、ピエゾアクチュエータ18の伸長量に応じたリフト量までリフトし、リフト量に応じた噴射率で噴射を続ける。
その後、ECU7からの制御信号の出力が停止され、ピエゾアクチュエータ18への電力の供給が停止されると、圧電部材17に印加されていた電圧が放電され、ピエゾアクチュエータ18が駆動力の発生を止める。これにより、ピエゾ加圧室56および弁体側受圧室58の燃料圧力は加圧状態を解除され、弁体ピストン23を開弁方向に付勢する付勢力が弱くなる。このため、弁体16に作用する付勢力のバランスが軸方向において、再度、変動し、弁体16が着座位置に下降して噴孔15を閉鎖し、噴射が終了する。
〔実施例1の特徴〕
実施例1のインジェクタ1および燃料噴射装置6の特徴を説明する。
まず、ピエゾアクチュエータ18は、複数の圧電部材17の一部分からなり、単独に電圧の印加を受けることができる第1印加部45、および第1印加部45に含まれる圧電部材17以外の圧電部材17からなる第2印加部46に分割されている。
第1印加部45は、駆動力の伝達方向において第2印加部46よりも弁体16の方に配置されている。つまり、先端側の積層体およびこれに配置された1対の外部電極43が第1印加部45をなし、後端側の積層体およびこれに配置された1対の外部電極43が第2印加部46をなす。また、第2印加部46は、第1印加部45の伸長に応じて圧縮されるように配置されている。つまり、第1印加部45の積層体の後端側に第2印加部46の積層体が連続的に配置され、第2印加部46の後端側に支持部材50が配置されている。
また、制御手段5は、第1、第2印加部45、46の各々に対応する駆動回路9、10を有する(以下、第1印加部45に対応する駆動回路9を第1駆動回路9と呼び、第2印加部46に対応する駆動回路10を第2駆動回路10と呼ぶ)。第1、第2駆動回路9、10は、各々、ECU7から、第1、第2印加部45、46に電圧を印加するための制御信号(第1、第2制御信号)の入力を受けて作動し、第1、第2印加部45、46に電圧を印加する。
また、ECU7は、前記した噴射開始時期および噴射期間、後記する噴射方法の形態および印加電圧の大きさ等に応じて、第1、第2印加部45、46に電圧の印加を開始する時期、および第1、第2印加部45、46に電圧の印加を持続する期間を算出する。そして、ECU7は、算出された値を指令値とし、これらの指令値に応じて第1、第2制御信号を合成して第1、第2駆動回路9、10に出力する。
さらに、ECU7は、第2印加部46の圧縮により第2印加部46に発生する電圧に応じて、第1印加部45に印加する電圧を補正する印加電圧補正手段としての機能を具備する。ここで、第1印加部45にのみ電圧が印加されて噴射が行われる場合、第1印加部45に生じる駆動力および伸長量は、主に、駆動力伝達機構19により弁体16の方に伝達されるものの、反力が弁体16の方とは逆の第2印加部46の方に生じる。このため、第2印加部46は圧縮され圧電効果により電圧が発生する。
そして、ECU7は、この第2印加部46に発生する電圧を電気信号として取り込むことで、第2印加部46に発生する電圧を検出する。そして、ECU7は、この検出値に応じて、第1制御信号のデューティ比や、電圧印加のための通電電流の大きさ等を修正することで、第1印加部45への印加電圧を補正する。
〔実施例1の噴射方法〕
実施例1のインジェクタ1を用いた燃料の噴射方法を、図3ないし図6を用いて説明する。
ECU7は、エンジンから要求される燃料の噴射量に応じて、第1印加部45のみに電圧を印加する部分印加パターン、または第1印加部45および第2印加部46の両方に電圧を印加する全部印加パターンのいずれか一方を選択する。そして、ECU7は、部分印加パターンを選択したら第1制御信号のみを第1駆動回路9に出力し、全部印加パターンを選択したら第1、第2制御信号を、各々、第1、第2駆動回路9、10に出力する。
例えば、要求される噴射量が微小量である場合、つまり、リフト量を小さくして噴射率を低めに抑えたい場合に、ECU7は、部分印加パターンを選択する。そして、第1制御信号のみがECU7から出力され、図3に示すように、第1駆動回路9のみがオンし、第1印加部45にのみ電圧が印加される。このため、ピエゾアクチュエータ18の伸長量、弁体16のリフト量、および噴射率は、いずれも第1印加部45への印加電圧にのみ応じた小さな値になる。
これに対し、要求される噴射量が大きい場合、つまり、リフト量を大きくして噴射率を高めたい場合に、ECU7は、全部印加パターンを選択する。そして、第1、第2制御信号が両方ともECU7から出力され、図4に示すように、第1、第2駆動回路9、10の両方がオンし、第1、第2印加部45、46の両方に電圧が印加される。このため、ピエゾアクチュエータ18の伸長量、弁体16のリフト量、および噴射率は、いずれも第1印加部45への印加電圧と第2印加部46への印加電圧との和に応じた大きな値になる。
そして、部分印加パターンと全部印加パターンとを組み合わせることで、以下のような各種の噴射方法を実行することができる。
例えば、エンジンの1燃焼サイクルあたりに要求される噴射量の燃料を、先行するパイロット噴射と、パイロット噴射に後行するメイン噴射とに分けて噴射する場合、パイロット噴射で必要な噴射量は微小量であり、大部分は、メイン噴射で噴射される。このため、ECU7は、パイロット噴射を実行する際には部分印加パターンを選択し、メイン噴射を実行する際には全部印加パターンを選択する。
すなわち、図5に示すように、まず、第1制御信号のみがECU7から出力されて第1駆動回路9のみがオンし、第1印加部45にのみ電圧が印加される。このため、ピエゾアクチュエータ18の伸長量、弁体16のリフト量、および噴射率は、いずれも第1印加部45への印加電圧にのみ応じた小さな値になる。そして、一旦、第1制御信号の出力が終了した後、第1、第2制御信号が両方ともECU7から出力されて第1、第2駆動回路9、10が両方ともオンし、第1、第2印加部45、46の両方に電圧が印加される。このため、ピエゾアクチュエータ18の伸長量、弁体16のリフト量、および噴射率は、いずれも第1印加部45への印加電圧と第2印加部46への印加電圧との和に応じた大きな値になる。
また、1回の噴射の途中で噴射率を向上させるブーツ噴射を行う場合、噴射率を向上させる前の前段階で必要な噴射量は微小量であり、大部分は、噴射率を向上させた後の後段階で噴射される。このため、ECU7は、ブーツ噴射を実行する際、1回の噴射の途中で部分印加パターンから全部印加パターンに切り替える。
すなわち、図6に示すように、まず、第1制御信号のみがECU7から出力されて第1駆動回路9のみがオンし、第1印加部45にのみ電圧が印加される。このため、ピエゾアクチュエータ18の伸長量、弁体16のリフト量、および噴射率は、いずれも第1印加部45への印加電圧にのみ応じた小さな値になる。そして、第1駆動回路9のオンが続いている状態で、第2制御信号がECU7から出力されて第2駆動回路10がオンし、第1、第2印加部45、46の両方に電圧が印加される。このため、ピエゾアクチュエータ18の伸長量、弁体16のリフト量、および噴射率は、いずれも第1印加部45への印加電圧と第2印加部46への印加電圧との和に応じた大きな値になる。
さらに、ECU7は、燃料が噴射される空間の圧力に応じて、部分印加パターンまたは全部印加パターンのいずれか一方を選択する。例えば、ECU7は、高地のように気圧が低い場所でエンジンを作動させる場合に、部分印加パターンを選択して弁体16のリフト量を小さくすることで燃料噴霧の貫徹力を弱め、気圧等に応じた燃料噴霧を形成させる。
〔実施例1の効果〕
実施例1のインジェクタ1は、複数の圧電部材17を有し、圧電部材17が電圧の印加を受け伸長することで駆動力を発生するピエゾアクチュエータ18を備え、このピエゾアクチュエータ18は、複数の圧電部材17の一部分からなり、単独に電圧の印加を受けることができる第1印加部45、およびこの第1印加部45に含まれる圧電部材17以外の圧電部材17からなる第2印加部46に分割されている。
これにより、第1印加部45のみに電圧を印加して駆動力および伸長量を発生させることができる。このため、第1、第2印加部45、46の両方に電圧を印加して駆動力および伸長量を発生させる場合に比べて、印加電圧に対する弁体16のリフト量の感度を高めることができる。この結果、印加電圧の調節によるリフト量の操作が、第1、第2印加部45、46の両方に電圧を印加する場合よりも容易になる。したがって、ピエゾ式のインジェクタ1により微小量の燃料噴射を行う際に、弁体16のリフト量の変動を抑えて高精度に微小量の燃料噴射を行えるようになる。
また、第1印加部45は、駆動力の伝達方向において第2印加部46よりも弁体16の方に配置されている。
これにより、微小量の燃料噴射を行う際に、電圧の印加に伴い駆動される部分の重量を低減することができる。この結果、弁体16の駆動を開始する際の慣性力を弱めることができるので、噴射開始の指令(つまり、第1、第2制御信号のいずれか一方または両方の出力開始)に対する応答を早めることができる。
また、第2印加部46は、第1印加部45の伸長に応じて圧縮されるように、配置されている。
これにより、第1印加部45にのみ電圧が印加され第2印加部46が圧縮されると、第2印加部46には圧電効果により電圧が発生する。そして、この第2印加部46に発生する電圧は、第1印加部45の伸長量との間で高い相関を示す。よって、第2印加部46に発生する電圧を検出することで、第1印加部45の伸長量、すなわち弁体16のリフト量を計測することができる。この結果、微小量の燃料噴射をさらに高精度に行うことができる。
また、ECU7は、第2印加部46の圧縮により第2印加部46に発生する電圧に応じて、第1印加部45に印加する電圧を補正する印加電圧補正手段としての機能を具備する。
第1印加部45にのみ電圧を印加して微小量の燃料噴射を行う場合、第1印加部45の伸長量に過不足が生じると、弁体16のリフト量にも過不足が生じ噴射量がばらついてしまう。しかし、この伸長量の過不足分は、前記した圧電効果により第2印加部46に発生する電圧に反映される。したがって、この第2印加部46に発生する電圧に応じて第1印加部45に印加する電圧を補正すれば、第1印加部45の伸長量の過不足を低減することができる。このため、弁体16のリフト量の過不足が低減されて、微小量の燃料噴射をさらに高精度に行うことができる。
また、実施例1のインジェクタ1を用いることで、ECU7は、エンジンから要求される燃料の噴射量に応じて、第1印加部45のみに電圧を印加する部分印加パターン、または第1、第2印加部45、46の両方に電圧を印加する全部印加パターンのいずれか一方を選択することができる。
これにより、例えば、エンジンから要求される燃料の噴射量が少ない場合には、部分印加パターンを選択して、弁体16のリフト量を小さくするとともに、印加電圧に対する弁体16のリフト量の感度を高めることができる。このため、微小量の燃料噴射を高精度に行えるようになる。また、エンジンから要求される燃料の噴射量が多い場合には、全部印加パターンを選択して弁体16のリフト量を大きくすることで、噴射率を向上させ所望の噴射量を確保することができる。
また、ECU7は、エンジンの1燃焼サイクルあたりに要求される噴射量の燃料を、先行するパイロット噴射と、パイロット噴射に後行するメイン噴射とに分けて噴射する場合に、部分印加パターンにより弁体16をリフトさせてパイロット噴射を実行し、全部印加パターンにより弁体16をリフトさせてメイン噴射を実行する。
これにより、微小な噴射量が要求されるパイロット噴射を行う場合には、部分印加パターンを選択して高精度にパイロット噴射を行うことができる。そして、大きな噴射量が要求されるメイン噴射では、全部印加パターンを選択して噴射率を向上させ所望の噴射量を確保することができる。
また、ECU7は、1回の噴射の途中で噴射率を向上させるブーツ噴射を行う場合に、部分印加パターンから全部印加パターンに切り替えることで噴射率を向上させる。
これにより、微小な噴射量が要求されるブーツ噴射の前段階を行う場合には、部分印加パターンを選択して高精度にブーツ噴射の前段階を行うことができる。そして、大きな噴射量が要求されるブーツ噴射の後段階では、全部印加パターンを選択して噴射率を向上させ所望の噴射量を確保することができる。
さらに、ECU7は、燃料が噴射される空間の圧力に応じて、部分印加パターンまたは全部印加パターンのいずれか一方を選択する。
これにより、高地のように気圧が低い場所でエンジンを作動させる場合には、部分印加パターンを選択して弁体16のリフト量を小さくすることで、燃料噴霧の貫徹力を弱めることができる。また、通常の大気圧下で燃料の噴射を行うときのように強い貫徹力を必要とする場合には、全部印加パターンを選択して弁体16のリフト量を大きくすることで、貫徹力を強めることができる。このため、気圧等の条件がエンジンの作動場所に応じて変動しても、燃料噴霧の貫徹力を操作して所望の燃料噴霧を形成することができる。
〔実施例2の特徴〕
実施例2の制御手段5は、図7に示すように、第2印加部46の電圧を放電するための制御信号(放電制御信号)の入力を受けて、第2印加部46の圧縮により第2印加部46に発生する電圧を放電する放電回路67を有する。そして、この放電回路67は、ECU7とともに、第2印加部46の圧縮により第2印加部46に発生する電圧を放電する第2印加部放電手段として機能する。
つまり、ECU7は、圧電効果により第2印加部46に発生する電圧を検出し、この電圧の目標値と検出値との差分を把握する。そして、ECU7は、この差分に応じて放電制御信号を合成して放電回路67に出力し、放電回路67は、放電制御信号の入力を受けてオンし、第2印加部46の電圧を放電する。なお、第2印加部46に発生する電圧の目標値は、所定値として固定してもよく、要求される噴射量等の噴射条件に応じて随時変更してもよい。
〔実施例2の効果〕
実施例2の制御手段5は、第2印加部46の圧縮により第2印加部46に発生する電圧を放電する放電回路67を有し、この放電回路67は、ECU7とともに、第2印加部46の圧縮により第2印加部46に発生する電圧を放電する第2印加部放電手段として機能する。
第1印加部45にのみ電圧を印加して微小量の燃料噴射を行う場合、第1印加部45の伸長量が過剰になると、弁体16のリフト量も過剰になり噴射量が多くなってしまう。そして、第1印加部45の伸長量が過剰になると第2印加部46も過剰に圧縮されるので、第2印加部46に発生する電圧も大きくなる。そこで、この第2印加部46に生じた電圧の増大分を放電すれば、第2印加部46は、過剰に圧縮されていない状態になり、第1印加部45の伸長量の過剰も解消される。このため、弁体16のリフト量の過剰をなくすことができるので、微小量の燃料噴射において噴射量が増大するのを抑えることができる。
〔実施例3の特徴〕
実施例3のインジェクタ1によれば、図8に示すように、駆動力伝達機構19は、第1印加部45に発生する駆動力により変位する第1ピエゾピストン69、および第2印加部46に発生する駆動力により変位する第2ピエゾピストン70を有する。すなわち、第1、第2印加部45、46は、アクチュエータボディ51において同列状に別々の筒状部材48の内周側に収容されるとともに、それぞれに押圧部材49が配置されている。そして、第1、第2ピエゾピストン69、70は、各々、弾性膜52および調整シム53を介して押圧部材49により押圧され、第1、第2印加部45、46に発生した駆動力が伝達される。
そして、第1、第2ピエゾピストン69、70は、実施例1と同様に、燃料圧力を介して弁体16の方に駆動力を伝達する。つまり、駆動力伝達機構19は、第1、第2ピエゾピストン69、70により、燃料圧力を介して、弁体ピストン23に駆動力を伝達するとともに、第1、第2ピエゾピストン69、70の変位(つまり、第1、第2印加部45、46の伸長量)を拡大して弁体ピストン23に伝達する。
すなわち、実施例3の駆動力伝達機構19によれば、第1、第2ピエゾピストン69、70により、各々、燃料の加圧を受ける第1、第2ピエゾ加圧室71、72が形成されている。そして、第1、第2ピエゾ加圧室71、72の燃料圧力は、各々、弁体側受圧室58に通じる第1、第2連通路73、74を介して、弁体ピストン23に伝達される。以上により、第1、第2印加部45、46に発生した駆動力および伸長量が、個別に弁体ピストン23に伝達される。
なお、第1、第2ピエゾ加圧室71、72には、各々、皿バネ59が収容され、第1、第2ピエゾピストン69、70を、各々、第1、第2印加部45、46の方に付勢している。
〔実施例3の効果〕
実施例3のインジェクタ1によれば、駆動力伝達機構19は、第1印加部45に発生する駆動力により弁体16の方に変位する第1ピエゾピストン69、および第2印加部46に発生する駆動力により弁体16の方に変位する第2ピエゾピストン70を有する。そして、第1、第2ピエゾピストン69、70は、燃料圧力を介して弁体16の方に駆動力を伝達する。
これにより、第1、第2印加部45、46で発生する伸長力および伸長量を、個々に異なる伝達経路(つまり、第1ピエゾピストン69による伝達経路、および第2ピエゾピストン70による伝達経路)で伝達することができる。このため、第1、第2ピエゾピストン69、70による加圧面積と弁体16の方の受圧面積との面積比を、第1ピエゾピストン69による伝達経路と、第2ピエゾピストン70による伝達経路との間で異ならせることができる。この結果、燃料の噴射に関して、以下のような工夫を施すことができる。
すなわち、駆動力および伸長量は、パスカルの原理に基づき、上記の面積比(加圧面積/受圧面積)に応じて増減されて伝達される。つまり、駆動力は、この面積比が小さいほど増幅されて伝達され、逆に、伸長量は、この面積比が大きいほど増幅されて伝達される。そこで、噴射開始時のように弁体16のリフトを開始するために大きな駆動力を必要とする時には、面積比の小さい方の伝達経路により駆動力を伝達させ、確実に、噴孔15を開放する。また、噴射開始後、要求される噴射量を確保するため弁体16のリフト量を大きくする必要がある時には、面積比の大きい方の伝達経路により伸長量を伝達させ、確実に、弁体16を大きくリフトさせる。このように、噴射開始時および噴射開始後の各々の目的に適した伝達経路を選択することができる。
なお、実施例3の第1、第2印加部45、46は、アクチュエータボディ51において同列状に収容されていたが、第1、第2印加部45、46が並列に配置されるように収容してもよい。この場合、インジェクタ1の長さを短縮することができる。
実施例4のインジェクタ1によれば、図9に示すように、第2印加部46が、圧電部材17よりもヤング率の高い素材(例えば、鉄)からなる部材(以下、高剛性部材と称する)77により囲われている。つまり、第1印加部45と第2印加部46との間に、高剛性部材77が存在している。
これにより、第1印加部45にのみ電圧が印加され第1印加部45に駆動力が生じた場合、第2印加部46の方への伸長は、高剛性部材77により阻止される。このため、第1印加部45を、第2印加部46の反対側、つまり弁体16の方にのみ伸長させることができるので、第1印加部45の伸長量を無駄なく弁体16の方に伝達することができる。
燃料噴射装置の全体構成およびインジェクタの構成を示す説明図である(実施例1)。 ピエゾアクチュエータの構成を示す説明図である(実施例1)。 インジェクタによる噴射時(噴射量が微小量である場合)の特性推移を示すタイムチャートである(実施例1)。 インジェクタによる噴射時(噴射量が大きい場合)の特性推移を示すタイムチャートである(実施例1)。 インジェクタによる噴射時(パイロット噴射およびメイン噴射に分割して噴射を行う場合)の特性推移を示すタイムチャートである(実施例1)。 インジェクタによる噴射時(ブーツ噴射を行う場合)の特性推移を示すタイムチャートである(実施例1)。 燃料噴射装置の全体構成およびインジェクタの構成を示す構成図である(実施例2)。 インジェクタの構成を示す説明図である(実施例3)。 インジェクタの構成を示す説明図である(実施例4)。
符号の説明
1 インジェクタ
6 燃料噴射装置
7 ECU(印加電圧補正手段、第2印加部放電手段)
15 噴孔
16 弁体
17 圧電部材
18 ピエゾアクチュエータ
19 駆動力伝達機構
45 第1印加部
46 第2印加部
67 放電回路(第2印加部放電手段)
69 第1ピエゾピストン
70 第2ピエゾピストン
77 高剛性部材(圧電部材よりもヤング率の高い素材からなる部材)

Claims (11)

  1. 燃料を噴射するインジェクタであって、
    着座位置からリフトして噴孔を開放する弁体と、
    複数の圧電部材を有し、これらの圧電部材が電圧の印加を受け伸長することで駆動力を発生するピエゾアクチュエータと、
    前記駆動力を前記弁体の方に伝達し、前記弁体が着座位置からリフトする方向に作用させる駆動力伝達機構とを備え、
    前記ピエゾアクチュエータは、前記複数の圧電部材の一部分からなり、単独に電圧の印加を受けることができる第1印加部、およびこの第1印加部以外の圧電部材からなる第2印加部に分割されていることを特徴とするインジェクタ。
  2. 請求項1に記載のインジェクタにおいて、
    前記第1印加部は、駆動力の伝達方向において前記第2印加部よりも前記弁体の方に配置されていることを特徴とするインジェクタ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のインジェクタにおいて、
    前記駆動力伝達機構は、
    前記第1印加部に発生する駆動力により前記弁体の方に変位する第1ピエゾピストン、および前記第2印加部に発生する駆動力により前記弁体の方に変位する第2ピエゾピストンを有し、
    前記第1ピエゾピストンおよび前記第2ピエゾピストンは、燃料圧力を介して前記弁体の方に駆動力を伝達することを特徴とするインジェクタ。
  4. 請求項1ないし請求項3に記載のインジェクタにおいて、
    前記第1印加部と前記第2印加部との間に、前記圧電部材よりもヤング率の高い素材からなる部材が存在していることを特徴とするインジェクタ。
  5. 請求項1ないし請求項3に記載のインジェクタにおいて、
    前記第2印加部は、前記第1印加部の伸長に応じて圧縮されるように配置されていることを特徴とするインジェクタ。
  6. 請求項5に記載のインジェクタを備える燃料噴射装置において、
    前記第2印加部の圧縮により前記第2印加部に発生する電圧に応じて、前記第1印加部に印加する電圧を補正する印加電圧補正手段を備える燃料噴射装置。
  7. 請求項5に記載のインジェクタを備える燃料噴射装置において、
    前記第2印加部の圧縮により前記第2印加部に発生する電圧を放電する第2印加部放電手段を備える燃料噴射装置。
  8. 請求項1ないし請求項5に記載のインジェクタを用いた燃料の噴射方法において、
    エンジンから要求される燃料の噴射量に応じて、前記第1印加部のみに電圧を印加する部分印加パターン、または前記第1印加部および前記第2印加部の両方に電圧を印加する全部印加パターンのいずれか一方を選択することを特徴とする燃料の噴射方法。
  9. 請求項8に記載の燃料の噴射方法において、
    前記エンジンの1燃焼サイクルあたりに要求される噴射量の燃料を、先行するパイロット噴射と、このパイロット噴射に後行するメイン噴射とに分けて噴射する場合に、
    前記部分印加パターンにより前記弁体をリフトさせてパイロット噴射を実行し、前記全部印加パターンにより前記弁体をリフトさせてメイン噴射を実行することを特徴とする燃料の噴射方法。
  10. 請求項8に記載の燃料の噴射方法において、
    1回の噴射の途中で噴射率を向上させるブーツ噴射を行う場合に、
    前記部分印加パターンから前記全部印加パターンに切り替えることで噴射率を向上させることを特徴とする燃料の噴射方法。
  11. 請求項1ないし請求項5に記載のインジェクタを用いた燃料の噴射方法において、
    燃料が噴射される空間の圧力に応じて、前記第1印加部のみに電圧を印加する部分印加パターン、または前記第1印加部および前記第2印加部の両方に電圧を印加する全部印加パターンのいずれか一方を選択することを特徴とする燃料の噴射方法。
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