JP2007154227A - 電解コンデンサ用アルミニウム箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エッチングに供される電解コンデンサ用アルミニウム箔であって、質量比で、Si:5〜40ppm、Fe:5〜40ppm、Pb:0.1〜3ppm含有し、かつ、Mn、Ni、Sn、Ag、Pt、Auから選ばれる元素のうち、一種、又は二種以上を添加元素として総量で20〜200ppm含有し、残部が99.9%以上のAlと不可避不純物からなる組成を有し、かつ、前記添加元素の配置状態が、酸化皮膜−アルミニウム箔生地界面より生地側に10nm深さを1とした場合、酸化皮膜中央部において5〜50であり、前記界面において80〜150の濃度比を有する。
【選択図】図1
Description
該アルミニウム箔は、さらに、強酸溶液中で電解エッチングを行い、腐食孔(以降ピット)を発生させた後、酸溶液中で、電解又は化学溶解により、ピット径を次工程の化成における電圧に応じた大きさに拡大している。
高純度アルミニウム箔の特徴として、酸溶液中では不動態化が進行するため、化学溶解性が低く、このため、電解エッチングが不可欠であると考えられている。電解エッチングにて必要なピット数を得るためには、40〜60C/cm2の電気量が必要となり、これを得るために大量の電気を消費している。
上記した電気量の低減に対しては、アルミニウム箔のエッチング性を向上させることが有効である。例えば特許文献1では、各種元素を酸化皮膜表面、又は、酸化皮膜と箔基体界面に配置することが提案されている。該特許文献1において、箔表面に配置された元素は、エッチングピットの基点として作用するため、極表層部に配置することが重要であると指摘されている。
電解エッチングを行う場合、エッチングピットの基点として作用するレベルであれば、上記範囲で問題はない。しかし、本発明の目的である化学エッチングを主体とした場合、上記濃化度合いでは反応性が低く実用的ではない。
又、エッチングの進行は箔表面の欠落を同時に生じているため、エッチング反応が発生した後も、継続的に反応を引き起こす必要があり、ある程度、箔内部まで、反応元素を配置する必要がある。
Si、FeはAlと化合し適度に析出物を生成し、再結晶粒の粗大化を抑制するし、Cube粒の優先成長を促進することができる。ただし、各々、5ppm未満の場合精製コストが高くなり、工業的には不向きである。一方、各々40ppm超の場合、析出物の総量が多くなりすぎてCube粒の優先成長まで制御するため、高い立方晶率が得られなくなる。このため、Si、Feの含有量を上記範囲に定める。なお、望ましい下限は、Si、Feともに10ppmであり、望ましい上限はSi、Feともに20ppmである。
Pbはエッチングにおける表面溶解を均一にする元素である。ただし、0.1ppm未満ではその効果が期待できず、3ppm超では溶解性が高くなりすぎて過剰溶解を起こす。したがって、Pbの含有量を上記に定める。なお、望ましい下限は、0.2ppmであり、望ましい上限は1ppmである。
これら添加元素は表面濃縮を起こし、アルミニウム化合物として箔表面付近に存在することにより、電位を貴とし、その周辺の溶解性を高める元素である。これらの元素が酸化皮膜−アルミニウム箔生地界面に濃縮することにより、内部との電位差が大きくなり急激な化学溶解反応を示す。内部との電位差が大きいほど反応性が高くなる。又、酸化皮膜領域にも若干入り込むことにより、酸化皮膜を適度に脆弱化し、エッチング反応の均一性が向上する。ただし、上記添加元素の総量が20ppm未満であると、上記作用が得られず、一方、一方、200ppmを超えて含有すると、ピット生成が過度になりピットの結合などによって却ってピット生成効率が悪くなる。なお、同様の理由で下限を50ppm、上限を180ppmとするのが望ましい。
Cuはアルミの溶解性を高める元素ではあるが、強い表面濃化を示さないため、表層のエッチング性を高めることができない。その半面、内部での溶解性が高くなる結果、ピット径の拡大工程において、過剰溶解を生じ静電容量が低下してしまう。そのため、不純物として10ppm以下に抑制することが望ましい。なお、さらに望ましくは、5ppm以下とする。
不回避不純物量が多いと、過度にピットが発生し、ピット合体を生じ容量が低下したり、必要以上に溶解が進むため、Cu以外の不回避不純物量の総量を100ppm以下にするのが望ましい。さらに望ましくは、20ppm以下である。
酸化皮膜中央部5〜50、界面80〜150
酸化皮膜での上記添加元素が表層部で濃縮されており、ピット生成が効果的に促進され、また、アルミニウム箔生地の深さ方向にピットが効果的に成長して粗面化率を向上させる。
なお、界面での前記添加元素濃度が相対比で80未満であると、発生速度が遅く十分なピットが得られない一方、150を越えると、過剰に反応して、ピットが欠落する。また、酸化皮膜中央部での前記添加元素濃度が相対比で5未満であると、酸化皮膜の抵抗が強く、十分に反応しない一方、50を越えると、全面溶解を起こす。このため、上記濃度比を規定する。
なお、上記添加元素が二種以上の場合、総量で上記濃度比を示せばよい。上記濃度比は、例えばイオン強度比で示すことができる。
また、上記元素濃度は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。その際に、該電子顕微鏡の分析スポット径内における平均値として元素濃度が得られる。透過型電子顕微鏡における分析スポット径は、通常、2〜10nmとなる。ただし、該分析スポット径が本発明として限定されるものではない。
純度99.9%未満であると、結晶方位の均一性がなくなり、正常なエッチングピットが得られない。結晶方位の均一性を確保して立方晶率を95%以上に保つためには、99.9%以上のアルミニウム純度が必要である。
該アルミニウム材は常法により得ることができ、本発明としては特にその製造方法が限定されるものではない。例えば、半連続鋳造によって得たスラブを熱間圧延したものを用いることができる。なお、スラブに対し、例えば500℃以上、30分以上の均熱処理を行った後、熱間圧延に供するものであってもよい。熱間圧延の仕上がり温度は、例えば250〜400℃とする。その他に連続鋳造により得られる高純度アルミニウム材を対象とするものであってもよい。上記熱間圧延または連続鋳造圧延によって例えば数mm厚程度のシート材とする。
最終焼鈍の結果、アルミニウム箔の立方晶率は95%以上であるのが望ましい。また、上記焼鈍によって前記添加元素が表層部に濃縮する。なお、焼鈍を真空下で行うと、表面に酸化皮膜が適切に形成されずエッチング時に良好なエッチングが困難になる。
エッチング処理は、表層部除去工程と、エッチングピット発生工程と、エッチングピット孔径拡大工程により行うことができる。 表層部除去工程は、酸化皮膜を含む表層部を溶解することによって除去する。表層部除去後は、アルミニウム箔表面にエッチングピットを発生させるエッチングピット発生工程を行う。エッチングピット発生工程後に、エッチングピット孔径拡大工程を行う。
エッチング処理においては、無電解においてもピットが高密度で形成され、高い粗面化率が得られる。この箔を化成処理し、必要な耐電圧を得た後、常法により電解コンデンサに電極として組み込むことにより静電容量の高いコンデンサが得られる。
比較例1の添加元素を加えない場合、エッチングピットが発生しないため、著しく静電容量が低くなる。又、酸化皮膜、界面に適度に濃化していない場合は、全般的に低い値となった。
Claims (3)
- エッチングに供される電解コンデンサ用アルミニウム箔であって、質量比で、Si:5〜40ppm、Fe:5〜40ppm、Pb:0.1〜3ppm含有し、かつ、Mn、Ni、Sn、Ag、Pt、Auから選ばれる元素のうち、一種、又は二種以上を添加元素として総量で20〜200ppm含有し、残部が99.9%以上のAlと不可避不純物からなる組成を有し、かつ、前記添加元素の配置状態が、酸化皮膜−アルミニウム箔生地界面より生地側に10nm深さを1とした場合、酸化皮膜中央部において5〜50であり、前記界面において80〜150の濃度比を有することを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。
- 前記不回避不純物中、Cu含有量が質量比で10ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔。
- 前記不回避不純物は、Cu以外の総量が100ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ用アルミニウム箔。
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