JP2007153407A - 気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体 - Google Patents
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Abstract
【課題】磨き鋼材の梱包体内の湿気によって水分が梱包内に生じても、梱包内の鋼材表面に錆の発生を防止した鋼材の梱包体を提供する。
【解決手段】みがき棒鋼1などの鋼材を防錆処理した後、このみがき棒鋼材1を数百本単位で結束し、結束したみがき棒鋼材1の表面に、粉末状の気化性防錆剤8を通気性の紙パック8aに封入した防錆剤を封入し、みがき棒鋼材1と紙パック8aの上からシート4で覆って内部を気密状態に保持した梱包体。
【選択図】図2
【解決手段】みがき棒鋼1などの鋼材を防錆処理した後、このみがき棒鋼材1を数百本単位で結束し、結束したみがき棒鋼材1の表面に、粉末状の気化性防錆剤8を通気性の紙パック8aに封入した防錆剤を封入し、みがき棒鋼材1と紙パック8aの上からシート4で覆って内部を気密状態に保持した梱包体。
【選択図】図2
Description
本発明は、鋼材を出荷用に梱包した梱包体において、特に複数の鋼材を束ねた鋼材束の梱包体において、梱包後の鋼材表面で湿気からの結露により生じた水が鋼材束内へ進入しても鋼材表面を錆びないように防錆化した梱包体に関する。
鋼材を出荷するとき、特に研磨した鋼材を出荷するとき、輸送中や保管中に鋼材が損傷したり、汚れたり、あるいは錆が発生したりする。そこで、このような損傷や汚れやさびの発錆を防止する目的で、鋼材を予め防錆処理し、処理した複数の鋼材を束ねて梱包している。とりわけ研磨した鋼材は、表面の損傷や汚れや錆の発生によって商品価値が下がったり、あるいは、使用の際に有害となる場合が多く、このような鋼材表面の損傷や汚れや錆の発生は問題視されてきた。
このような事態に対処する鋼材の梱包方法は種々考えられているが、梱包を完全に密封することによって梱包内を外気と遮断する方法や、あるいは、水分の進入を完全に防止する方法は極めて困難である。たとえ梱包を厳重にしたとしても、外気の遮断は完全ではなく、気象条件や外環境の変化などにより、梱包内に微量の水分が浸入し、湿気による鋼材表面への結露が発生するため、予め鋼材に防錆処理を施していても、梱包後の時間経過とともに鋼材表面に錆が発生することがある。
通常、このような錆の発生防止策として、鋼材表面に防錆油を予め塗布して防錆処理している。しかし、鋼材を圧延するなどの加工する際に、粘性の高い防錆油は鋼材と圧延用のロール間でスリップする現象を起こし、加工に不都合を生じる場合がある。このような場合、防錆油よりも粘性の低い水溶性の防錆液で代用している。しかし、この水溶性の防錆液による処理は梱包内の防錆効果が防錆油よりも劣っている。一方、防錆効果を補う目的で、梱包内に乾燥剤を装入して、湿気を除去する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このように乾燥剤を装入しても、ごく微量の水分や湿気でも悪条件が重なった場合には、鋼材表面に錆を発生することもあり、この使用では有害となることもあるため問題となっていた。
本発明の解決しようとする目的は、鋼材の梱包内における湿気による結露を防止したり、湿気を完全に除去しようとするのではなく、梱包内の湿気によって水分が発生しても鋼材表面に錆が発生することを防止した鋼材の梱包体を提供することである。
上記の課題を解決するための手段について説明すると、通常、鋼材を出荷する時、顧客よって指定された本数として鋼材を結束する。本発明はこのような結束による鋼材束として出荷する手段であり、顧客の結束依頼の要望を達成するための手段である。すなわち、みがき棒鋼などの鋼材を防錆処理し、その後、このみがき棒鋼材の出荷時に、数百本単位で棒鋼材を結束し、その結束された棒鋼材表面に気化性の防錆剤を封入し、この気化性防錆剤から発生される気化ガスがみがき棒鋼材表面に電気化学的に吸着されることで、湿気による水分と鋼材表面の化学反応を防ぐ作用をする。このように棒鋼材の表面に吸着され、水分との反応を防止する効果のある気化性防錆剤は、粉末状の気化性防錆剤(商品名:ダイアナ)であり、この粉末状の気化性防錆剤を通気性の紙パックに封入して、このみがき棒鋼材と紙パックの上からシートで覆って内部を気密状態に保持するようにした梱包体に構成したものである。
すなわち、請求項1の発明の手段では、予め防錆処理した鋼材の両端部表面と側部表面に気化ガスによって湿気や水分による発錆を防止する気化性防錆剤を配設し、これらの鋼材と気化性防錆剤を気密状態に保持するシートで被覆し梱包したことを特徴とする気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体である。
さらに、請求項2の発明の手段では、予め防錆処理した鋼材は複数の棒鋼材を束ねた棒鋼材束からなり、気化性防錆剤は粉末状の防錆剤を通気性の紙パックに封入して形成されていることを特徴とする請求項1の手段における気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体である。
本発明の手段は、予め防錆処理した鋼材若しくは鋼材を結束した鋼材束からなる梱包体をシートで被覆して気密状態としているので、気化性防錆剤を内部の鋼材表面に取付けて封入することによって、気化性防錆剤から気化した気化ガスが梱包体内に容易に充満される結果、梱包体内に湿気や微量の水分が残存していても、この気化ガスが鋼材の表面に吸着されることとなり、その吸着防錆剤が鋼材表面を防錆することとなる。この場合、気化性防錆剤は通気性の紙パックに封入して鋼材の長手方向の端部若しくは鋼材束の両端部及びそれらの長手方向の側部に分散して取り付けられているので、鋼材及び結束した鋼材束の全体に余すところなく気化して鋼材表面に吸着されることとなり、的確に防錆効果が得られ、錆の発生は抑制された。
本発明の最良の形態について、図面を参照して以下に説明する。従来通り、センタレス研磨したみがき棒鋼材1を水溶性の防錆液に浸漬して予め防錆処理をした。その後、これらのみがき棒鋼材1を数百本単位として束ねて当て紙3を巻回し、その上からフープ2により結束した。結束状態のみがき棒鋼材1の両側の端部1aに粉末上の気化性防錆剤8を封入した通気性の紙パック8aを載置し、その上に透明のビニールキャップ6をかぶせて、ガムテープ10で止めた。そこから長手方向に1m程度離れた部位にあるフープ2の下の当て紙3の端に、テープ7で気化性防錆剤8を封入した紙パック8aを貼り付けた。図3に示すように、その上から高い防水性と防湿性を有するシート4で覆い、布テープ5で止めた。紙パック8aを貼り付けた位置にシート4の上からマーキング9を行なった。両方の端部1aは透明のビニールキャップ6によって可視化されたため、気化性防錆剤8の位置が確認できた。中央部の気化性防錆剤8の位置は、マーキング9によって梱包された状態でも気化性防錆剤8の位置が確認できた。
したがって、客先で刃物により梱包されたみがき棒鋼材1の梱包体を開梱する時に、マーキング9の箇所を避けることができるため、気化性防錆剤8の紙パック8aを傷付け、粉末状の気化性防錆剤8をみがき棒鋼材1上に飛散させ、障害を引き起すようなことはなかった。上記のように梱包されたみがき棒鋼材1の梱包体を開梱したところ、みがき棒鋼材1の表面に目視レベルで確認できるような変色した錆は、全く認められなかった。
径がφ5.75で、長さが4m程度の耐熱鋼からなる棒鋼材をセンタレス研磨した後、防錆液に浸漬したみがき棒鋼材1とし、このみがき棒鋼材1を500kg単位の複数本として結束したものを対象に、従来の手段による乾燥剤を装入した梱包体と、本発明の手段による気化性防錆剤を装入した梱包体について、それぞれ梱包後の錆の発生状況を比較する試験を行なった。その結果を以下に示す。
(試験条件)
みがき棒鋼材1を水溶性防錆液の浴槽の中に、5秒間程度浸漬して防錆処理し、これらの数百本単位のみがき棒鋼材1の両側の端部1aと中央部に、従来の乾燥剤を装入して梱包体としたものと、本発明の手段における気化性防錆剤を装入して梱包体としたものとの2種類を作成した。
みがき棒鋼材1を水溶性防錆液の浴槽の中に、5秒間程度浸漬して防錆処理し、これらの数百本単位のみがき棒鋼材1の両側の端部1aと中央部に、従来の乾燥剤を装入して梱包体としたものと、本発明の手段における気化性防錆剤を装入して梱包体としたものとの2種類を作成した。
(試験方法)
梱包後1週間、保管してから、梱包体内におけるみがき棒鋼材1の表面の錆の発生状況を、2種類の梱包体で比較した。数百本のみがき棒鋼材1の中から1本でも変色した錆が確認された棒鋼材がある場合に錆が発生したものと評価した。
梱包後1週間、保管してから、梱包体内におけるみがき棒鋼材1の表面の錆の発生状況を、2種類の梱包体で比較した。数百本のみがき棒鋼材1の中から1本でも変色した錆が確認された棒鋼材がある場合に錆が発生したものと評価した。
(試験結果)
従来の手段による棒鋼材では、棒鋼材のほぼ全長にわたり目視レベルで変色した錆の発生が認められた。一方、本発明の手段による棒鋼材では、棒鋼材のほぼ全長にわたり目視レベルで変色した錆の発生は認められなかった。
従来の手段による棒鋼材では、棒鋼材のほぼ全長にわたり目視レベルで変色した錆の発生が認められた。一方、本発明の手段による棒鋼材では、棒鋼材のほぼ全長にわたり目視レベルで変色した錆の発生は認められなかった。
1 磨き棒鋼材
1a 端部
2 フープ
3 当て紙
4 シート
5 布テープ
6 透明ビニールキャップ
7 テープ
8 気化性防錆剤
8a 紙パック
9 マーキング
10 ガムテープ
1a 端部
2 フープ
3 当て紙
4 シート
5 布テープ
6 透明ビニールキャップ
7 テープ
8 気化性防錆剤
8a 紙パック
9 マーキング
10 ガムテープ
Claims (2)
- 予め防錆処理した鋼材の両端部表面と側部表面に気化ガスによって湿気や水分による発錆を防止する気化性防錆剤を配設し、これらの鋼材と気化性防錆剤を気密状態に保持するシートで被覆し梱包したことを特徴とする気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体。
- 予め防錆処理した鋼材は複数の棒鋼材を束ねた棒鋼材束からなり、気化性防錆剤は粉末状の防錆剤を通気性の紙パックに封入して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005352403A JP2007153407A (ja) | 2005-12-06 | 2005-12-06 | 気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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JP2007153407A true JP2007153407A (ja) | 2007-06-21 |
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ID=38238254
Family Applications (1)
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JP2005352403A Pending JP2007153407A (ja) | 2005-12-06 | 2005-12-06 | 気化性防錆剤によって鋼材表面を防錆化した梱包体 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100889701B1 (ko) | 2008-09-18 | 2009-03-24 | 동국제강주식회사 | 철근 포장장치 및 이를 이용한 철근 포장방법, 그리고 이와같이 포장된 철근의 적재방법 |
KR101572467B1 (ko) * | 2014-11-07 | 2015-11-27 | 장수철강 (주) | 방청유 살포과정을 구비한 철근포장방법 |
CN108146743A (zh) * | 2017-11-14 | 2018-06-12 | 武汉船用机械有限责任公司 | 一种用于轴系的包装方法 |
RU2740817C1 (ru) * | 2019-11-21 | 2021-01-21 | Федеральное государственное казённое военное образовательное учреждение высшего образования "Военная академия материально-технического обеспечения им. генерала армии А.В. Хрулёва" Министерства обороны Российской Федерации | Способ обособленного длительного хранения, погрузки, транспортировки и выгрузки деревянных конструкций круглого сечения для железнодорожных объектов |
CN116902399A (zh) * | 2023-09-11 | 2023-10-20 | 泰州美氟隆防腐材料有限公司 | 一种用于湿化学设备的耐腐蚀防护装置 |
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2005
- 2005-12-06 JP JP2005352403A patent/JP2007153407A/ja active Pending
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