JP2007152943A - 熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

熱収縮性ポリエステル系フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ラベル化した際の、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てに優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供する。
【解決手段】95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後の一方向(y方向)の収縮率が20%以上85%未満であり、それと直交する方向(x方向)の収縮率が0%以上10%以下であり、厚み方向(z方向)の屈折率が1.5400未満であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、特にペットボトル(ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトル)等のラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。
熱収縮性フィルム、特にボトルの胴部のラベル用の熱収縮性フィルムとしては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなるフィルムが主として用いられている。しかし、ポリ塩化ビニルについては、近年、廃棄した塩化ビニル製品の焼却時の塩素系ガスの発生が問題となり、一方、ポリスチレンについては、ポリスチレンフィルム上への印刷が困難である等の問題がある。さらに、ペットボトルの回収リサイクルにあたっては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の樹脂のラベルは、廃棄時に分別する必要がある。このため、これらの問題の無いポリエステル系の熱収縮性フィルムが注目を集めている。
ボトル用ラベルとして用いられる熱収縮性ポリエステル系フィルムには、熱収縮性の他に、ラベル化した際の、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性が求められている。
ミシン目カット性は、ボトル用ラベルに開封用ミシン目を設ける場合があることから、要求されるものである。商品のボトルが飲料用ガラス瓶の場合、冷蔵されるのが通常である。この場合、ラベル開封が低温度で行われるため、開封不良が発生しやすいという問題があり、ミシン目カット性に対する要求は高い。特許文献1では、ミシン目カット性を向上するために、熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造工程において、延伸時の温度条件の最適化が行われている。この方法により、得られる熱収縮性ポリエステル系フィルムのミシン目カット性は、いくらか改善されるものの、まだ不十分である。
ミシン目カット性に優れた熱収縮性ポリエステル系フィルムとしては、特許文献2に所定の温湯収縮率と破断伸度を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムが開示されている。しかし、この熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ペットボトルにラベルとして装着した際、ペットボトルが落下した場合に、衝撃でラベルの接着部が剥がれるなど、ラベル化時の接着部の強度に劣るという問題があった。
耐衝撃性については、公知の熱収縮性フィルムは、横方向の収縮率を30%以上発現させるために、横方向にのみ3〜5倍程度の延伸を行うことが多い。横方向にのみ延伸したフィルムは横方向に裂けやすいため、フィルムラベルをガラス瓶に装着して複数箱詰めし、長距離輸送した場合に、ガラス瓶同士の衝撃でフィルムが横方向に裂けるという問題があった。また、横延伸のみを行うという製造方法は、生産性が低いという問題があった。それらを改善する方策として、横方向の延伸だけではなく縦方向の延伸も行うことで、フィルム内の縦方向の分子配向も存在させて、張力によるフィルムの裂けを抑制する手法があり、この縦延伸を行うと、縦方向の生産速度も向上する。しかしながら、公知のようにポリマーを単純にブレンドして縦方向の延伸を行うと、縦方向の収縮(いわゆる縦引け、図2参照)が生じるため、特に角型のボトルに装着した場合に意匠性が悪くなるという問題があった。
以上のように、ボトル用ラベル用途において、ラベル化した際の、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てに優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、これまでに得られていなかった。
特開2003−268131号公報 特開平11−207818号公報
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、ラベル化した際の、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てに優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、屈折率は、ポリエステル系フィルムの化学組成、構造、およびポリエステル分子の配向の程度(これらのうちでは特にポリエステル分子の配向の程度)により変わる値であるところ、ミシン目カット性および接着部の強度に優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムの化学組成、構造、およびポリエステル分子の配向の程度を、厚み方向の屈折率により表現できることを見出した。
また、通常は、縦延伸をした場合には、耐衝撃性は得られるものの縦方向に熱収縮しやすくなり、縦引けが起こりやすいものであるところ、本発明では、厚み方向の屈折率の低いフィルムを、あえてその縦延伸することによって、特定の熱収縮率を有するフィルムとし、縦方向の収縮に起因する縦引けの問題が解決できることを見出した。
そして、2種類のポリエステル成分が交互に層を成したポリエステル系フィルムによれば、低屈折率を達成でき、2種類のポリエステル成分をブレンドしたフィルムに比べ、ミシン目カット性、接着部の強度等に優れることを見出した。
すなわち本発明は、95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後の一方向(y方向)の収縮率が20%以上85%未満であり、それと直交する方向(x方向)の収縮率が0%以上10%以下であり、厚み方向(z方向)の屈折率が1.5400未満であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ポリエステル成分Mを含むX層とポリエステル成分Nを含むY層とが、交互に積層された構造を有することが好ましい。また、X層に含まれるポリエステル成分Mが、ポリエステルA70〜99質量%およびポリエステルB1〜30質量%を含み、Y層に含まれるポリエステル成分Nが、ポリエステルB70〜99質量%およびポリエステルA1〜30質量%を含むことが好ましい。さらに、X層とY層とが、合わせて500層以上交互に積層された構造を有することが好ましい。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後のy方向の熱収縮率が50%以上85%未満であり、溶剤接着強度が2.0N/15mm以上であり、引裂伝播強度が2.0N以下であり、60℃±1℃の温水中に30分間浸漬後の破断強度が20MPa以上であり、厚みが5〜100μmであることが好ましい。
さらに、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、フィルム中に、アルカリ土類金属化合物を20ppm(質量基準、以下同じ)以上400ppm以下、リン化合物をリン原子Pを基準にして5ppm以上500ppm以下含有することが好ましい。
また、本発明は、ポリエステルA70〜99質量%およびポリエステルB1〜30質量%を含むポリエステル成分M、およびポリエステルB70〜99質量%およびポリエステルA1〜30質量%を含むポリエステル成分Nをそれぞれ別々の押出機EおよびFに投入して溶融し、溶融状態のポリエステル成分MおよびNを積層装置に投入してポリエステル成分MおよびNの積層体を得、積層体が積層装置から吐出されてから冷却ロールに密着するまでの時間が45秒〜10分となるように、積層体を積層装置からスリットダイに導き、冷却フィルムロールに押出して未延伸シートを得、該未延伸シートを60℃以上120℃以下で3.0倍以上6.0倍以下横方向に延伸し、横方向の延伸の前または後に、50℃以上120℃以下で1.01倍以上3.0倍以下に縦方向に延伸することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法である。当該方法において好ましくは、積層装置にスタティックミキサを使用する。
さらに本発明は、上記の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いたボトル用ラベルである。
本発明によれば、ラベル化した際の、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てに優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムが提供される。本発明のフィルムを用いたラベルは、ミシン目カット性に優れるため、フルボトルラベルとした場合でも、低温時においてさえラベルの引き剥がしが容易である。また、自動販売機でペットボトル入り飲料の商品が取出口に落下した際のラベルの破損の問題を引き起こすことがほとんどない。さらに、フィルムラベルをガラス瓶に装着して複数箱詰めし、長距離輸送した場合に、ガラス瓶同士の衝撃でフィルムが横方向に避けるという問題も減少し、角型のボトルに装着した場合に、縦引けによって意匠性が損なわれることもほとんどない。
本発明は、95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後の一方向(y方向)の収縮率が20%以上85%未満であり、それと直交する方向(x方向)の収縮率が0%以上10%以下であり、厚み方向(z方向)の屈折率が1.5400未満であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムである。
(熱収縮率)
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、95℃±0.5℃の温水に無荷重状態で10秒間浸漬して処理した際の収縮率(温水熱収縮率)が、一方向(y方向)において20%以上であるという特性を有する。該熱収縮率が20%未満では、熱収縮力の不足により、ラベルを容器にうまく装着できない場合がでてくる。該熱収縮率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。特に該熱収縮率が50%以上のときには、ボトルの肩部等、装着が難しい部分でも、ラベルの装着が極めて容易に行える。一方、該熱収縮率の上限に関しては、85%未満であり、好ましくは82%以下、より好ましくは80%以下である。特に該熱収縮率が85%未満であれば、ボトルに被せて加熱収縮させる際の、ラベルの収縮力が大きすぎることによるラベルの飛び上がりの発生が極めて抑制される。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、70℃±0.5℃の温水に無荷重状態で10秒間浸漬して処理した際の収縮率(温水熱収縮率)が、y方向において10%以上50%以下であることが好ましい。該熱収縮率が10%未満の場合は、収縮性が不十分であり、収縮工程をより高温で行う必要がでてくる。該熱収縮率が50%を超えると、ボトルに被せて加熱収縮させる際に、ラベルの収縮力が大きすぎることによるラベルの飛び上がり現象が起こることがある。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、95℃±0.5℃の温水に無荷重状態で10秒間浸漬して処理した際の収縮率(温水熱収縮率)が、y方向に直交する方向(x方向)において、0%以上10%以下であり、好ましくは0%以上8%以下であり、より好ましくは0%以上5%以下である。該熱収縮率が10%を超えると、フィルムをラベル化し、熱収縮させてボトルに装着した際に、縦引けが起こるおそれがある。該熱収縮率が0%より小さいと、逆にフィルムラベルが縦方向に伸びてしまうために、かえって意匠性が悪くなる。
なお、ここで温水熱収縮率は、浸漬処理前後でフィルムの長さを測定し、[(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ]×100(%)の式により求められる値である。また、熱収縮率を測定する際には、当該フィルムに余計な熱履歴を与えないようにするために、所定温度の温水に所定時間浸漬後は、25℃±0.5℃の水にフィルムを浸漬してフィルムを冷却するようにすべきである。
(屈折率)
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、厚み方向(z方向)の屈折率が、1.5400未満であり、より好ましくは1.5390未満である。屈折率は、ポリエステル系フィルムの化学組成、構造、およびポリエステル分子の配向の程度(これらのうちでは特にポリエステル分子の配向の程度)により変わる値であり、本発明は、ミシン目カット性および接着部の強度に優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムの化学組成、構造、およびポリエステル分子の配向の程度が、厚み方向の屈折率により表現できることを見出したものである。該厚み方向の屈折率の値は、通常のポリエステルフィルムのものよりも低い値であり、厚み方向の屈折率が低いポリエステルフィルムは、ポリエステル分子の配向が厚み方向においてランダムであるため、ファンデルワールス力が弱く、分子の凝集力が弱くなるために、フィルムの引き裂きやすさが向上するものと考えられる。当該屈折率の下限は、ポリエステル系フィルムが発現できる屈折率の限界値であり、1.4000程度であると考えられる。ポリエステル系フィルムの工業的な生産性の観点から、下限は好ましくは1.4500であり、より好ましくは1.5000である。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、溶剤接着強度が2.0N/15mm以上であり、引裂伝播強度が2.0N以下であり、60℃の温水中に30分間浸漬後の破断強度が20MPa以上であることが好ましい。このような特性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ミシン目カット性およびラベル化時の接着部の強度が、特に優れる。
本発明において、溶剤接着強度とは、次のようにして求められる値である。
フィルムの片端の片面の端縁から少し内側に1,3−ジオキソランを2±1mm幅で塗布し(塗布量:3.0±0.3g/m2)、直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着し、チューブに加工する(加工速度:10mm/分)。このチューブを接着箇所が中央になるように切り開き、さらに、接着箇所が中央になるように長さ100mm、幅15mmのフィルム状試験片(n=10)を切り出す。このフィルム状試験片を、チャック間距離を50mmにセットした引張試験機に、溶剤接着部がチャック同士の中央に位置するようにセットして、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、接着部分の剥離強度を測定する。この剥離強度が溶剤接着強度である。
本発明においては、溶剤接着強度が2.0N/15mm以上であることが好ましいが、2.5〜20N/15mmであることがより好ましく、2.8〜10N/15mmであることが特に好ましい。
本発明において、引裂伝播強度とは、JIS K7128−2(1998年)に基づいて、予め85℃で10%収縮させたフィルムを縦51mm×横64mmに裁断し、軽荷重引裂試験機を用いて測定して得られる値をいう。
本発明においては、引裂伝播強度が2.0N以下であることが好ましいが、0.2〜1.9Nであることがより好ましく、0.5〜1.8Nであることがより特に好ましい。
本発明において、破断強度とは、次のようにして求められる値である。
折り径87.5mm×ラベル長さ120mmのフィルムラベルを、250mLのスチール缶(外径53mm、高さ133mm)に被せ、80℃の温湯に10秒間浸漬して、ラベルを缶に収縮装着する(約5%収縮)。ラベルが装着されたスチール缶を、すぐに60℃±1℃の温水中に移し、30分間浸漬させる。当該スチール缶のラベルからサンプルを切り出し、JIS−K−7127(1999年)(試験片はタイプ2とする。ただし、チャック間距離:20mm、引張り速度:200mm/分)に準じて熱処理前のフィルムの最大収縮方向と直交する方向(すなわちx方向)についての引張試験を行う。試験片のサイズは、長さ100mm(x方向)、幅15mmとし、試験条件は、チャック間距離20mm、温度23℃、引張速度200mm/分とする。試験中に破断したときの強度を破断強度とする。
本発明においては、60℃±1℃の温水中に30分間浸漬後の破断強度が20MPa以上であることが好ましいが、30〜200MPaであることがより好ましく、40〜150MPaであることが特に好ましい。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みとしては、5〜100μmが好ましく、20〜50μmがより好ましい。
本発明において、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、上記の95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後のy方向およびx方向の収縮率、ならびにz方向の屈折率が上記の範囲内であれば、具体的なフィルムの化学組成、フィルムの構造は特に制限されない。また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法については、特に制限はない。
上記の熱収縮率と屈折率を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法の一例としては、ポリエステル成分Mを含むX層とポリエステル成分Nを含むY層とが、交互に積層された構造を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムを、適切な延伸条件で延伸する方法が挙げられる。
このポリエステル成分Mを含むX層とポリエステル成分Nを含むY層とが、交互に積層された構造を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムは、好ましくは500層以上となる層の各々が、各層を構成するポリエステル成分個々の性質を有しているために、2つのポリエステル成分を混合して製造したフィルムでは得られないような特性を有し、上記のような低い屈折率を達成できる。その結果、ミシン目カット性、接着部の強度等に特に優れるフィルムとなる。
フィルムの積層数を測定するには、基本的には、X層とY層を染め分けた後、フィルム断面をTEM観察することにより行う。ただし、層数が増えてくると、TEM画像の倍率を高めても、目視で数えることが困難となる。よって、その場合は、後に詳述するように、画像解析ソフトを用いて画像の濃淡度合いを明瞭化し、次いで数値化(2値化)して、層数を求める方法を採用した。
まず、ポリエステル成分Mを含むX層とポリエステル成分Nを含むY層とが、交互に積層された構造を有するポリエステル系フィルムについて具体的に説明する。
ポリエステル成分MとNは、異なる熱特性を有するものであれば、任意の組合せで本発明の目的に合致するよう選択することができる。ポリエステル成分MとNのガラス転移温度の差が3℃以上100℃以下であって結晶融解熱量の差が5J/g以上100J/g以下であることが好ましい。また、ポリエステル成分Mは、DSCで測定されるガラス転移温度が−50℃以上60℃未満であって結晶融解熱量が5J/g以上100J/g以下である結晶性ポリエステル成分であり、ポリエステル成分Nは、ガラス転移温度が60℃以上150℃以下であって結晶融解熱量が0J/g以上3J/g以下である実質的に非晶質のポリエステル成分であることがより好ましい。原料となるポリエステル成分MおよびNは、ホモポリマー、コポリマーのいずれにより構成されていても良く、また2種類以上の任意のポリエステルを含むポリエステル組成物であってもよい。
ポリエステル成分MとNの好ましい組み合わせとしては、ポリエステル成分Mが、ポリエステルA70〜99質量%およびポリエステルB1〜30質量%を含み、ポリエステル成分Nが、ポリエステルB70〜99質量%およびポリエステルA1〜30質量%を含むことが好ましい。また、ポリエステル成分Mが、ポリエステルA73〜97質量%およびポリエステルB3〜27質量%を含み、ポリエステル成分Nが、ポリエステルB73〜97質量%およびポリエステルA3〜27質量%を含むことがより好ましい。さらに、ポリエステル成分Mが、ポリエステルA75〜94質量%およびポリエステルB6〜25質量%を含み、ポリエステル成分Nが、ポリエステルB75〜94質量%およびポリエステルA6〜25質量%を含むことが最も好ましい。
ポリエステル成分MおよびNは、質量比(ポリエステル成分M/N)で、97/3〜3/97で使用することが好ましい。質量比がこの範囲を外れると、層構造が形成されにくくなり、95℃条件での50%以上の熱収縮率と2.0N以下の引裂伝播強度とを同時に達成するのが困難となるおそれがある。
さらに、ポリエステル成分MおよびNは、質量比(ポリエステル成分M/N)で、90/10〜10/90で使用することがより好ましく、85/15〜60/40又は40/60〜15/85で使用することが最も好ましい。
ここで、ポリエステルAとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリペンタメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等の結晶性ポリエステルを用いることができる。また、これらをベースにして、後述の酸成分かつ/またはグリコール成分を、酸成分かつ/またはグリコール成分100モル%中10モル%以下共重合したものを使用してもよい。さらに、ポリエチレンテレフタレート(PET)をベースにして、ダイマー酸を10モル%以下共重合したもの(PET−D)や、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)にイソフタル酸を10モル%以下共重合したものも用いることができる。より好ましいものとしては、PBT、PTTおよびPET−Dである。
ポリエステルBとしては、例えば、酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコールからなるポリエステルをベースとして、酸成分かつ/またはグリコール成分100モル%中5モル%以上、好ましくは6モル%以上40モル%未満の異なるジカルボン酸成分かつ/またはグリコール成分を共重合したものを用いることができる。具体的なモノマー成分としては、例えば、ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。グリコール成分としては、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオール等が挙げられる。
ポリエステルBとして好ましくは、酸成分としてテレフタル酸、グリコール成分としてエチレングリコールからなるポリエステルをベースとして、7モル%以上35モル%以下のネオペンチルグリコールかつ/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルである。
当該熱収縮性ポリエステル系フィルムは、X層とY層が交互に積層された構造を有するが、積層されるX層およびY層の数としては、X層とY層との合計で500以上であることが好ましく、より好ましくは1000〜10万であり、最も好ましくは2000〜2万である。X層とY層との合計が500層以上の場合には、ミシン目カット性が特に優れたものとなる。
なお、熱収縮性ポリエステル系フィルムの最外層は、X層またはY層のいずれであってもよい。
X層およびY層には、必要に応じ、従来公知の添加剤、例えば、有機粒子(例、架橋アクリル粒子、架橋スチレン粒子、シリコーン粒子等)、無機粒子(例、シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛等)、滑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、消泡剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。
本発明で用いる熱収縮性ポリエステル系フィルムは、温度275℃における溶融比抵抗値が0.70×108Ω・cm以下であることが好ましい。このようなフィルムを用いると、以下に詳細に説明するように、フィルム厚みの均一性を高めることができ、フィルムへの印刷性や、フィルムを容器に装着可能な形態に加工する際の加工性(安定加工性)を高めることができる。
すなわち本発明では、押出機から溶融押し出ししたフィルムを導電性冷却ロール(キャスティングロールなど)で冷却するに際して、前記押出機とキャスティングロールの間に電極を配設し、電極とキャスティングロールとの間に電圧を印加し(すなわち、前記電極からフィルムに電気を与え)、静電気的にフィルムをロールに密着させている。溶融比抵抗値が小さいと、フィルムとロールとの密着性(静電密着性)を高めることができる。ロールへの静電密着性が低いと、キャスティングした未延伸フィルム原反の厚みが不均一化し、この未延伸フィルムを延伸した延伸フィルムにおいては厚みの不均一性がより拡大されてしまうのに対して、静電密着性が十分に高い場合には、延伸フィルムにおいても厚みを均一化できる。
フィルム厚みの均一性を高めると、複数の色を重ね合わせる多色印刷をフィルムに施す際に、色ズレを防止でき印刷性を高めることができる。
加えてフィルム厚みの均一性を高めると、溶剤接着によってフィルムをチューブ等に加工する際にも、接着部分の重ね合わせが容易である。しかもフィルムに多色印刷する際には、フィルムにシワが入り易くなるのを防止でき、また走行中にフィルムが蛇行するのを防止でき、加工性(安定加工性)を高めることができる。
さらにフィルム厚みの均一性を高めると、フィルムをロール状に巻いた状態で部分的な巻き硬度の差が発生するのを防止でき、フィルムに弛みや皺が発生し、フィルムの外観を大きく損なうのを防止できる。
なお溶融比抵抗値を下げて静電密着性を高めると、前記フィルム厚みの均一性を高めることができるだけでなく、フィルムの生産性を高めることができ、フィルムの外観も向上できる。すなわち静電密着性が高いと、フィルムの冷却固化の安定性を高めることができ、キャスティング速度(生産速度)を高めることができる。また静電密着性が高いと、フィルムの冷却固化が不完全となって、ロールとフィルムとの間に局部的にエアーが入り込み、フィルム表面にピンナーバブル(スジ状の欠陥)が発生するのを防止でき、フィルム外観を高めることができる。
前記溶融比抵抗値は、好ましくは0.65×108Ω・cm以下、さらに好ましくは0.60×108Ω・cm以下である。
溶融比抵抗値を上記範囲に制御するためには、フィルム中にアルカリ土類金属化合物と、リン含有化合物とを含有させるのが望ましい。アルカリ土類金属化合物だけでも溶融比抵抗値を下げることができるが、リン含有化合物を共存させると溶融比抵抗値を著しく下げることができる。アルカリ土類金属化合物とリン含有化合物とを組合わせることによって溶融比抵抗値を著しく下げることができる理由は明らかではないが、リン含有化合物を含有させることによって、異物の量を減少でき、電荷担体の量を増大できるためと推定される。
フィルム中のアルカリ土類金属化合物の含有量は、アルカリ土類金属原子M2を基準にして、例えば、20ppm(質量基準)以上、好ましくは40ppm(質量基準)以上、さらに好ましくは50ppm(質量基準)以上、特に60ppm(質量基準)以上である。アルカリ土類金属化合物の量が少なすぎると溶融比抵抗値を下げることができない。なおアルカリ土類金属化合物の含有量を多くし過ぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまい、むしろ異物生成や着色などの弊害が大きくなる。そのためアルカリ土類金属化合物の含有量は、アルカリ土類金属原子M2を基準にして、例えば、400ppm(質量基準)以下、好ましくは350ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは300ppm(質量基準)以下である。
フィルム中のリン化合物の含有量は、リン原子Pを基準にして、例えば、5ppm(質量基準)以上、好ましくは20ppm(質量基準)以上、さらに好ましくは40ppm(質量基準)以上、特に60ppm(質量基準)以上である。リン化合物の量が少なすぎると、溶融比抵抗値を下げることが充分にできず、異物の生成量を低減することもできない。なおリン化合物の含有量を多くしすぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまう。さらにはジエチレングリコールの生成を促進してしまい、しかもその生成量をコントロールすることが困難であるため、フィルムの物性が予定していたものと異なる虞がある。そのためリン化合物の含有量は、リン原子Pを基準にして、例えば、500ppm(質量基準)以下、好ましくは450ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは400ppm(質量基準)以下、特に350ppm(質量基準)以下である。
アルカリ土類金属化合物及びリン化合物でフィルムの溶融比抵抗値を下げる場合、フィルム中のアルカリ土類金属原子M2とリン原子Pとの質量比(M2/P)は、1.2以上(好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.4以上)であることが望ましい。質量比(M2/P)を1.2以上にすることによって、溶融比抵抗値を著しく低減できる。なお質量比(M2/P)が5.0を超えると、異物の生成量が増大したり、フィルムが着色したりする。そのため質量比(M2/P)は、5.0以下、好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下である。
フィルムの溶融比抵抗値をさらに下げるためには、前記アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物に加えて、フィルム中にアルカリ金属化合物を含有させるのが望ましい。アルカリ金属化合物は、単独でフィルムに含有させても溶融比抵抗値を下げることはできないが、アルカリ土類金属化合物及びリン含有化合物の共存系に追加することで、溶融比抵抗値を著しく下げることができる。その理由については明確ではないが、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、及びリン含有化合物の三者で錯体を形成することによって、溶融比抵抗値を下げているものと推定される。
フィルム中のアルカリ金属化合物の含有量は、アルカリ金属原子M1を基準にして、例えば、0ppm(質量基準)以上、好ましくは5ppm(質量基準)以上、さらに好ましくは6ppm(質量基準)以上、特に7ppm(質量基準)以上である。なおアルカリ金属化合物の含有量を多くしすぎても、溶融比抵抗値の低減効果が飽和してしまい、さらには異物の生成量が増大する。そのためアルカリ金属化合物の含有量は、アルカリ金属原子M1を基準にして、例えば、100ppm(質量基準)以下、好ましくは90ppm(質量基準)以下、さらに好ましくは80ppm(質量基準)以下である。
前記アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物、アルコキシド、脂肪族カルボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、芳香族カルボン酸塩(安息香酸塩)、フェノール性水酸基を有する化合物との塩(フェノールとの塩など)などが挙げられる。またアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど(好ましくはマグネシウム)が挙げられる。好ましいアルカリ土類金属化合物には、水酸化マグネシウム、マグネシウムメトキシド、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムなど、特に酢酸マグネシウムが含まれる。前記アルカリ土類金属化合物は、単独で又は2種以上組合わせて使用できる。
前記リン化合物としては、リン酸類(リン酸、亜リン酸、次亜リン酸など)、及びそのエステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)、並びにアルキルホスホン酸、アリールホスホン酸及びそれらのエステル(アルキルエステル、アリールエステルなど)が挙げられる。好ましいリン化合物としては、リン酸、リン酸の脂肪族エステル(リン酸のアルキルエステルなど;例えば、リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステル、リン酸モノブチルエステルなどのリン酸モノC1-6アルキルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸ジエチルエステル、リン酸ジブチルエステルなどのリン酸ジC1-6アルキルエステル、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステルなどのリン酸トリC1-6アルキルエステルなど)、リン酸の芳香族エステル(リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジルなどのリン酸のモノ、ジ、又はトリC6-9アリールエステルなど)、亜リン酸の脂肪族エステル(亜リン酸のアルキルエステルなど;例えば、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリブチルなどの亜リン酸のモノ、ジ、又はトリC1-6アルキルエステルなど)、アルキルホスホン酸(メチルホスホン酸、エチルホスホン酸などのC1-6アルキルホスホン酸)、アルキルホスホン酸アルキルエステル(メチルホスホン酸ジメチル、エチルホスホン酸ジメチルなどのC1-6アルキルホスホン酸のモノ又はジC1-6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸アルキルエステル(フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチルなどのC6-9アリールホスホン酸のモノ又はジC1-6アルキルエステルなど)、アリールホスホン酸アリールエステル(フェニルホスホン酸ジフェニルなどのC6-9アリールホスホン酸のモノ又はジC6-9アリールエステルなど)などが例示できる。特に好ましいリン化合物には、リン酸、リン酸トリアルキル(リン酸トリメチルなど)が含まれる。これらリン化合物は単独で、又は2種以上組合わせて使用できる。
前記アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、脂肪族カルボン酸塩(酢酸塩、酪酸塩など、好ましくは酢酸塩)、芳香族カルボン酸塩(安息香酸塩)、フェノール性水酸基を有する化合物との塩(フェノールとの塩など)などが挙げられる。またアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなど(好ましくはナトリウム)が挙げられる。好ましいアルカリ土類金属化合物には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど、特に酢酸ナトリウムが含まれる。
次に、X層とY層とが交互に積層された構造を有するポリエステル系フィルムの製造方法を含め、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法について説明する。本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法には特に制限はないが、例えば、ポリエステルA70〜99質量%およびポリエステルB1〜30質量%を含むポリエステル成分M、およびポリエステルB70〜99質量%およびポリエステルA1〜30質量%を含むポリエステル成分Nをそれぞれ別々の押出機EおよびFに投入して溶融し、溶融状態のポリエステル成分MおよびNを積層装置に投入してポリエステル成分MおよびNの積層体を得、積層体が積層装置から吐出されてから冷却ロールに密着するまでの時間が45秒〜10分となるように、積層体を積層装置からスリットダイに導き、冷却ロールに押出して未延伸シートを得、該未延伸シートを60℃以上120℃以下で3.0倍以上6.0倍以下横方向に延伸し、横方向の延伸の前または後に、50℃以上120℃以下で1.01倍以上3.0倍以下に縦方向に延伸する方法によって製造することができる(製造ラインの一例を図1に示した)。
以下、より具体的に説明すると、まず、原料であるポリエステルを、ホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥する。
ポリエステルAおよびポリエステルBを所定量混合し、ポリエステル成分Mおよびポリエステル成分Nを調製する。ポリエステルの混合方法としては、特に制限がなく、チップブレンド法、マスターバッチ法等が採用できる。なお、2種以上のポリエステル成分をブレンドしても、溶融押出時の熱履歴によってエステル交換し、共重合化する傾向が強いことが知られている。
ポリエステル成分Mおよびポリエステル成分Nを、それぞれ別の押出機EおよびFに投入し、溶融する。溶融温度は、各樹脂にとって劣化や変質を起こさないものであれば特に制限はない。ひとつの指標として、組成物が結晶性を示す場合には、融点+(5℃〜30℃)、非晶性を示す場合には、軟化温度+(20℃〜150℃)が、好適である。
溶融したポリエステル成分MおよびNは、溶融状態のまま、積層装置に導かれ、積層体が形成される。積層装置としては、フィードブロック、マルチマニホールドダイ、スタティックミキサ等が挙げられる。これらのうち、数百層にもおよぶ積層化が容易に達成できることから、スタティックミキサを使用することが好ましく、フィードブロックとスタティックミキサを組み合わせて用いることがより好ましい。
本発明におけるスタティックミキサとは、配管内に、横長の長方形の板をその短辺同士のなす角(捩り角)が45度〜270度となるように捩じ曲げた形状のエレメントを、隣接するエレメントの短辺同士が交差するように交互に配列させた配管内混合装置のことである。1つのエレメントを溶融樹脂が通過する時、樹脂が2層に分割されると共に、各樹脂層に、エレメントの旋回方向とは逆方向への捩れが生じる。さらに、次のエレメントを通過すると、同様に樹脂の分割と捩れが生じ、4層に分割される。従って、樹脂成分Mと樹脂成分Nとを1層ずつ積層した状態で、スタティックミキサに導入すると、理論上は、最初のエレメントの短辺が積層面に水平であれば、n個のエレメントを通過すると2n層に、最初のエレメントの短辺が積層面に垂直であれば2n+1層になるが、実際には、流路径と長さ、エレメントの捩り角、捩り勾配、樹脂の吐出量、各樹脂の粘度や表面張力などの溶融特性の影響で変化することもある。
スタティックミキサのエレメントのL/D(配管長/配管の内径)比は、1.0〜3.0の範囲が好ましく、1.4〜2.0の範囲がより好ましい。L/D比が1.0より小さいと樹脂の分割効率が悪くなり、3.0を超えるとミキサ内を通過する樹脂の滞留時間が長くなるため実用的ではない。
スタティックミキサのエレメントの捩り角は、45度以上とする。捩り角が45度未満では樹脂層のねじりが不充分となるからである。捩り角は、90度以上がより好ましく、135度以上がさらに好ましい。捩り角の上限は315度がよい。315度を超えると過度のねじりによって、均一な積層構造が得られない。捩り角は270度以下が好ましく、215度以下がより好ましい。なお、均一な積層構造が得られないというのは、積層した各層が波打った状態となるなど、積層構造が乱れてしまうことをいう。
また、スタティックミキサの配管側面を樹脂の進行方向に切断して展開した場合の、配管内壁とエレメントとのつなぎ目をたどる直線と、樹脂の進行方向とがなす角度、つまりエレメントの捩り勾配は、27度以上が好ましい。この捩り勾配が27度未満では樹脂層の捩り効果が少なく、樹脂に充分なねじりを与えるためにはL/D比を大きくしなければならないため、実用的ではない。捩り勾配は38度以上がより好ましく、42度以上がさらに好ましい。一方、捩り勾配が65度を超える場合は、樹脂の乱流が激しくなるため、積層構造が乱れるため好ましくない。捩り勾配は54度以下がより好ましく、50度以下がさらに好ましい。
スタティックミキサのエレメントの好ましい形状は、樹脂の吐出量や溶融特性に応じて適宜選択することができ、また、スタティックミキサを通過する樹脂の溶融特性の変化に対応して、形状の異なる複数のエレメントを組み合わせて用いることもできる。最も好ましいエレメントは、L/D=1.5、捩り角180度、捩り勾配46度のものである。
スタティックミキサのエレメントの配列は、エレメントの捩れ方向が、右旋回、左旋回、右旋回となるように、交互に方向を変えることが好ましい。均一な積層構造が得られるためである。また、隣接するエレメントを直角に交わるように配列することも、均一な積層構造を得るためには好ましい。
スタティックミキサのエレメント数は、4以上が好ましく、より好ましくは6以上であり、さらに好ましくは8以上である。本発明のフィルムは積層構造を有するものであり、その層数としては上述のように500層以上が特に好ましいものであり、当該エレメント数を8以上とすれば、500層以上の積層構造が確実に得られやすい。一方、当該エレメント数が大きくなりすぎると、積層構造の乱れが生じやすくなるため、当該エレメント数を24以下とすることが好ましく、18以下とすることがより好ましく、14以下とすることがさらに好ましい。例えば、ポリエステル成分の質量比が8/2(M/N)である場合には、エレメント数は8〜14が好ましく、10〜12がとりわけ好ましい。
上記で説明したスタティックミキサの構造は1つの典型であり、本発明の目的を逸脱しない範囲で形状や配置を変更したり、また、スタティックミキサの前後や、そのエレメント間に別の装置を配置することも、もちろん可能である。例えば、樹脂配管よりも小径のスタティックミキサを配管内に2列以上並列させてもよい。樹脂成分Mと樹脂成分Nとをスタティックミキサを通過させて積層した積層樹脂に、さらに、別の樹脂を合流させて積層させることもできる。
また、フィードブロックを複数用いて、3層以上に積層した積層樹脂を、スタティックミキサに導いてさらに多層化することもできる。この場合には、フィードブロックでの積層数の分だけ、スタティックミキサのエレメント数を少なくすることができるが、スタティックミキサでの積層によって生じるフィルムの特異な効果(ミシン目開封性の向上等)が小さくなるため、フィードブロックによる積層数は100層以内とすることが好ましい。
積層装置(スタティックミキサ等)の温度としては、組成物が結晶性を示す場合には、融点+(5℃〜30℃)、非晶性を示す場合には、軟化温度+(20℃〜150℃)に設定するのがよく、最も好ましくは、溶融温度として採用した温度と同じ温度に設定する。
この積層体をT−ダイ等のスリットダイより押出し、表面温度が10〜40℃の冷却ロールに密着させることにより、未延伸シートを得る。積層体をスリットダイより冷却ロールに押出す際、積層体が積層装置(積層装置を複数使用する場合は、一番最後に積層を行う装置)から吐出されてから冷却ロールに密着するまでの時間(例えば、図1ではスタティックミキサ4から積層体が吐出されてから、Tダイ5から押出されて冷却ロール6に積層体が密着するまでの時間)は45秒〜10分、好ましくは1〜8分、より好ましくは1.5〜5分とする。積層体が積層装置から吐出されてから冷却ロールに密着するまでの時間を上記範囲内にすることにより、X層とY層との間の剥離に起因するラベルフィルムの破損を防ぐことができ、ラベル接着部の強度が確保される。なお、積層体が冷却ロールに密着するとは、積層体が幅方向全体で冷却ロールに面接触することをいう。例えば、静電密着法を採用した場合は、ダイより押出された積層体は、まず冷却ロールとは幅方向全体で線で接触するが、冷却ロールが回転することにより、面接触するようになる。面接触の始点は、冷却ロールと積層体の密着点が幅方向に連続して並ぶことによりできる線となって現れる。よって、この線が現れた瞬間を、冷却ロールに密着した時点とみなしてよい。
積層体が積層装置から吐出されてから冷却ロールに密着するまでの時間を調整する方法としては、例えば、積層装置からスリットダイまでの流路を長くする、経路中で積層体を滞留させる等の方法が挙げられる。
次に、得られた未延伸シートを、必要により50〜120℃、好ましくは60〜100℃で予熱した後、横方向(押し出し方向に対して直交する方向)にテンターで3.0倍以上6.0倍以下、好ましくは3.5倍以上5.0倍以下に延伸する。延伸温度は、60℃以上120℃以下、好ましくは70℃以上100℃以下である。
本発明においては、この横延伸の前または後に縦延伸を行う。この縦延伸により、フィルムラベルをガラス瓶に装着して複数箱詰めし、長距離輸送した場合に、ガラス瓶同士の衝撃でフィルムが横方向に避けるという問題が減少でき、製造工程上の観点からは、生産性が向上する。そして、通常は、縦延伸を行った場合には、縦方向に熱収縮しやすくなり、縦引けが起こりやすいものであるところ、本発明では、特定の厚み方向の屈折率を有するフィルムを、あえてその縦延伸を行うことによって、特定の熱収縮率を有するフィルムとし、縦方向の収縮に起因する縦引けの問題が解決できることを見出したものである。縦延伸の条件は、50℃以上120℃以下であり、好ましい下限温度は60℃、好ましい上限温度は100℃である。50℃未満では、フィルムの塑性変形が十分でないため白化したり、延伸中にフィルムが破断することがある。120℃を超えると、x方向の熱収縮率を本発明の規定範囲内に収めることが困難である。縦延伸の倍率は、1.01倍以上3.0倍以下であり、好ましい倍率の下限は1.03倍、より好ましい下限は1.05、好ましい倍率の上限は2.0倍、より好ましい上限は1.5倍である。縦延伸倍率が1.01倍未満では、ガラス瓶での破損の問題が起こりやすく、生産性の向上もあまり見込めない。3.0倍を超えると、縦引けの問題が発生してしまう。
さらに、必要により、70〜100℃の温度で熱処理して、熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。当該フィルムは、常法に従い巻き取ることによって、フィルムロールとしてよい。
また、フィルムを延伸するに際してフィルムの表面温度の変動幅を小さくする(均温化する)と、フィルム全長に亘って同一温度で延伸や熱処理することができ、厚み分布値や熱収縮挙動を均一化することができる。
前記表面温度の変動幅は、任意のポイントにおいてフィルムの表面温度を測定したときの各ポイントの温度が、例えば、フィルムの平均温度±1℃以内程度であることが好ましく、平均温度±0.6℃以内であることがさらに好ましい。
フィルムを延伸する際には、延伸前の予備加熱工程、延伸工程、延伸後の熱処理工程、緩和処理、再延伸処理工程などの種々の工程を経てフィルムを延伸するためこれらの工程の一部又は全部で、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる(均質化する)設備を用いるのが好ましい。特に、フィルム全長に亘って厚み分布値を均一化するためには、予備加熱工程及び延伸工程において(さらに、必要に応じて延伸後の熱処理工程において)、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる設備を用いるのが好ましい。なお熱収縮率挙動を均一化する場合には、延伸工程において、フィルムの表面温度の変動幅を小さくできる設備を用いるのが好ましい。
前記フィルム表面温度の変動を小さくできる設備としては、例えば、フィルムを加熱するための熱風の供給速度を制御するための風速制御手段(インバーターなど)を備えた設備、空気を安定的に加熱して前記熱風を調製するための加熱手段[500kPa以下(5kgf/cm2以下)の低圧蒸気を熱源とする加熱手段など]を備えた設備などが挙げられる。
なお、本発明の目的を達成するには、主収縮方向(y方向)としては横方向が実用的であるので、以上では、主収縮方向が横方向である場合のフィルム化法の例を示したが、主収縮方向を縦方向とする場合も、上記方法における延伸方向を90度変えるほかは、上記方法の操作に準じてフィルム化することができる。
このようにして得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムは、5℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後の一方向(y方向)の収縮率が20%以上85%未満であり、それと直交する方向(x方向)の収縮率が0%以上10%以下であり、厚み方向(z方向)の屈折率が1.5400未満である。また、溶剤接着強度が2.0N/15mm以上であり、引裂伝播強度が2.0N以下であり、60℃±1℃の温水中に30分間浸漬後の破断強度が20MPa以上であるという特性も有する。そして、ラベル化した際の、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てに優れ、ボトル用ラベルとして好適である。
なお本発明において、ミシン目カット性とは、ボトルに装着されたラベルフィルムを、ボトルから剥しやすくする目的で縦方向に設けられたミシン目の、指による引き裂き易さのことをいい、特に、5℃で12時間冷蔵し、冷蔵庫から取り出した直後のボトルのラベルのミシン目の指先での引き裂きやすさのことをいう。ミシン目カット性に優れるとは、指でミシン目を引き裂いた場合に、フィルムが破損して指先でつまんでいるフィルム部分が千切れたり、ミシン目に沿っていない方向にフィルムが引き裂けたりすることなく、ミシン目の形成された方向に簡単に引き裂けることをいう。
接着部の強度とは、特に、フィルムラベルを装着したボトルが落下したときの衝撃に対する、フィルムを筒状にする際にフィルムを重ね合わせて接着する部分の剥がれ難さのことであり、接着部の強度が優れるとは、フィルムラベルを装着したボトルを1mの高さからコンクリート面に自由落下させたときに、接着部が解離したり、接着部においてフィルムが破損したりしないことをいう。
耐衝撃性とは、特に、フィルムラベルをガラス瓶に装着して複数箱詰めして長距離輸送した場合の、ガラス瓶同士の衝撃に対する耐衝撃性のことをいい、耐衝撃性に優れるとは、そのような衝撃に対し、フィルムが破損(特に横方向)しないことをいう。
ボトル装着時の意匠性とは、ボトルに装着されたフィルムラベルの外観的な美しさのことをいい、意匠性に優れるとは、特に、ボトル(特に角型ボトル)に装着した筒状のフィルムラベルが縦引けをほとんど起こさず、フィルムラベルの上端縁と下端縁がほぼ水平に揃っていることをいう。なお、縦引けとは、図2に示すように、収縮後のラベルの縦方向の長さが不揃いになることであり、ペットボトル等に被覆収縮させた後のラベルの上端縁が下向きに湾曲するラインを描いたり、下端縁が上向きに湾曲ラインを描いたりする外観不良をいう。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムのラベル化については、従来公知の方法により行うことができる。一例としては、所望幅に裁断した熱収縮性ポリエステル系フィルムに適当な印刷を施し、溶剤接着等によりフィルムの左右端部を重ね合わせて接合してチューブフィルムを製造する。該チューブフィルムを適切な長さに裁断し、チューブ状ラベルとする。または、さらにこのチューブ状ラベルの一方の開口部を接合して袋状ラベルとする。
そして、これらのラベルを、従来方法によりミシン目を形成した後、ペットボトルに被せ、当該ペットボトルをベルトコンベアー等にのせて、スチームを吹きつけるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)または、熱風を吹きつけるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を通過させる。これらのトンネル通過時にラベルが熱収縮することにより、ラベルがペットボトル等のボトル容器に装着される。
具体的に500mLペットボトルに、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムをラベル化して装着させる一例を示すと、チューブ成形装置を用いて、フィルムの片端の片面の端縁から少し内側に1,3−ジオキソランを2±1mm幅で塗布する(塗布量:3.0±0.3g/m2)。直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着し、チューブ状のフィルムラベルを作成する。チューブ状フィルムラベルの大きさとしては、シワなく500mLペットボトルに装着される大きさであればよい。当該フィルムラベルの大きさの目安としては、折径109mm、ラベル長さ90mm程度である。
上記ラベルに、実際の製品の態様に応じたミシン目を設ける。例えば、ミシン刃を用いて、ラベルの主収縮方向に対し直角方向に沿って長さ0.2〜2.0mmの孔を0.2〜1.0mmの間隔で配設し、ラベルの全長にわたる長さのミシン目を1〜2本設ける。
続いて、該フィルムを500mLペットボトル(丸型、胴直径62mm、ネック部の最小直径25mm)に被覆し、スチームトンネルを用い、該チューブ状のフィルムラベルを通過時間2.5秒、ゾーン温度80℃で熱収縮させることにより、500mLのペットボトルに装着することができる。
そして、当該ラベルは、ミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てにおいて優れる。特に意匠性に関し、一般にフィルムラベルは、2L角型ペットボトルに装着した際には、縦引け量が0mm以上6mm未満であることが望まれているが、当該ラベルによれば、ラベル折径175mm、ピッチ120mmのラベルを、スチームトンネル(85℃、5秒)を用いて2L角型ペットボトルに装着させた際に、0mm以上6mm未満という小さい縦引け量を達成することができ、0mm以上5mm以下、さらには0mm以上3mm以下という小さい縦引け量を達成することも可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に何ら制限されるものではない。まず、実施例および比較例において作成したフィルムの評価方法について説明する。
(1)温水熱収縮率
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、95℃±0.5℃の温水中において、無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた。フィルムを直ちに25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従いそれぞれ熱収縮率を求めた。該熱収縮率の大きい方向をy方向とした。
熱収縮率=((収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ)×100(%) (1)
(2)溶剤接着強度
フィルムの片端の片面の端縁から少し内側に1,3−ジオキソランを2±1mm幅で塗布した(塗布量:3.0±0.3g/m2)。直ちにフィルムを丸めて端部を重ね合わせて接着し、チューブに加工した(加工速度:10mm/分)。このチューブを平らに潰した状態で巻き取ってロール状物とした。
ロール状物から切り出したチューブ状試料を、接着箇所が中央になるように切り開いて、フィルム状試料とした。このフィルム状試料から、長さ100mm、幅15mmのフィルム状試験片(n=10)を切り出して、このフィルム状試験片を、チャック間距離を50mmにセットした引張試験機(ボールドウイン社製「STM−T」)に、溶剤接着部がチャック同士の中央に位置するようにセットして、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で引張試験を行い、接着部分の剥離強度を測定し、これを溶剤接着強度とした。
(3)引裂伝播強度
JIS K7128−2(1998年)に基づいて、予め85℃で10%収縮させたフィルムを縦51mm×横64mmに裁断し、(株)東洋精機製作所製軽荷重引裂試験機を用いて測定し、得られた値を引裂伝播抵抗とした。
(4)ミシン目カットテスト
熱収縮性フィルムに、あらかじめ東洋インキ製造(株)の草・金・白色のインキで3色印刷した。印刷したフィルムを1,3−ジオキソランで両端部を接着することにより、チューブ状のラベルを作成した。ラベルのサイズは、折径109mm、ラベル長さ90mmとした。
上記ラベルに、ラベルの主収縮方向に対し直角方向にミシン目を入れた。2つ折りにしたラベルの下に厚さ1mmのボール紙を2枚重ねて敷き、テストシーラー(西部機械社製)にミシン刃(1mmピッチの刃が1mm間隔で付いている全長100mmの刃)を装着し、ゲージ圧2kg/cm2でミシン刃をラベルに圧着して、2つ折りにしたラベルの端部より5mmの位置にラベル端部と平行にミシン目を入れた。ラベルには、長さ1mmの孔が1mm間隔で配設されたミシン目がラベル全長にわたり同時に2本設けられ、2本のミシン目の間隔は10mmであった。
Fuji Astec Inc製スチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間2.5秒、ゾーン温度80℃(表示)で蒸気圧98kPa(圧力ゲージ表示:1kg/cm2)の水蒸気を吹き付けて該ラベルを熱収縮させることにより、500mLのペットボトル(丸型、胴直径62mm、ネック部の最小直径25mm)に装着した。なお、このとき、直径が約40mmの部分(肩部)がラベルの一方の端になるようにした。
その後、このボトルに水を約500mL充填し、5℃で12時間冷蔵し、冷蔵庫から取り出した直後のボトルのラベルのミシン目を指先で引き裂き、縦方向にきれいに裂けてラベルをボトルから外すことができた本数を数え、全サンプル50本に対するきれいにラベルを裂くことができなかったボトルの割合をミシン目カット不良率(%)として示した。
(5)落下時の破れ
(4)の条件でラベルを装着し、5℃で12時間冷蔵したペットボトルを、1mの高さから防塵塗装を施し光沢のあるコンクリート面に自由落下させた。このとき、ペットボトルを横向きに持って手を放し、ボトルがその側面からコンクリート面に落下するようにした。ペットボトル10本についてテストを行い、接着部が1本でも外れれば×、破れなければ○とした。また、ミシン目部分に破れが生じないかについても、同様に評価した。
(6)破断強度
折り径87.5mm×ラベル長さ120mmのフィルムラベルを、250mLのスチール缶(外径53mm、高さ133mm)に被せ、80℃の温湯に10秒間浸漬することにより、ラベルを缶に収縮させて装着した(約5%収縮)。ラベルが装着されたスチール缶を、すぐに60℃±1℃の温水中に移し、30分間浸漬させた。当該スチール缶のラベル(背貼りのない部分)からサンプルを切り出し、JIS−K−7127(1999年)(試験片はタイプ2とする。ただし、チャック間距離:20mm、引張り速度:200mm/分)に準じて熱処理前のフィルムの最大収縮方向と直交する方向についての引張試験を行った。試験片のサイズは、長さ100mm(フィルムの最大収縮方向と直行する方向)、幅15mmとし、試験条件は、チャック間距離20mm、温度23℃、引張速度200mm/分とする。試験中に破断したときの強度を破断強度とした。
(7)屈折率
実施例および比較例で得られたフィルムを幅2cm、長さ3cmとなるように切り出したものをサンプルとした。このとき、サンプルの長さ方向がフィルムの長さ方向(縦延伸方向;x方向)と平行になるようにして切り出したサンプルを準備した。
上記各測定用サンプルそれぞれについて、アタゴ光学社製アッベ屈折計4Tを用いて、フィルムの長さ方向、幅方向(横延伸方向;y方向)および厚み方向(z方向)の屈折率を測定した。測定に使用した溶剤はジヨードメタンであり、測定条件は23℃60RH%下である。測定数は、n=5とした。
(8)縦引け
1,3−ジオキソランでフィルムの両端部を接着することにより、折径175mm、ピッチ120mmのチューブ状フィルムラベルを作成した。該ラベルを2L角型ペットボトルに被せ、スチームトンネルを通過させてボトルに装着させた(通過時間5秒、ゾーン温度85℃(表示)、蒸気圧98kPa(圧力ゲージ表示:1kg/cm2))。この時のボトル縦方向に収縮する量を測定した(図2参照)。
(9)ガラス瓶での衝撃によるフィルムの破損
折径86.0mm×ラベル長さ60.0mmのフィルムラベルを、140mLの水(60℃)を充填したガラス瓶〔高さ125mm(内胴部83mm)、直径48mm、質量(フタ込み)122g〕に被せ、80℃の温湯に10秒間浸漬することにより、ラベルを収縮させて瓶に装着させた。このとき、ラベル長さ60.0mmのうち、10.0mmは瓶の肩より細い部分(肩部において瓶先端に向かって傾斜する部分)にかかるように装着させた。ラベルが装着された瓶を12時間30℃の水に浸し、冷却した。さらに、−5℃の雰囲気下に12時間放置して冷却した。瓶1ダースを縦方向3本×横方向4本となるように箱詰めしたものを1セットとし、これを20セット準備した。この20セットをトラックに積んで500km走行させた後の破損したフィルムの個数を数えた。
(1)〜(9)の評価結果は、表3に示した。
(10)ポリエステル成分の熱分析
セイコー電子工業(株)製のDSC装置(型式:DSC220)を用い、ポリエステル成分の熱分析を行った。後述の合成例で合成したチップの各10±1mgを試料とし、この試料を300℃で2分間加熱し、直ちに液体窒素に入れて急冷した後、温度−40℃から300℃まで速度20℃/分で昇温し、熱流束曲線(DSC曲線)を測定した。前記DSC曲線における吸熱開始カーブの前後に引いた接線の交点をガラス転移温度(Tg)とした。前記DSC曲線における吸熱ピークの最大値を示す温度を融解温度(Tm)とした。前記DSC曲線の吸熱ピークの積分値を融解熱量(Hm)とした。結果を表1に示した。
(11−1)フィルム内部の層数(その1)
フィルム内部の層数は、透過型電子顕微鏡を用いて観察して求めた。まず、フィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)をそれぞれ100:89:3の割合で良く混合したものを用いた。次に、サンプルフィルムを上述の混合樹脂中に包埋後、温度60℃に調整したオーブン中で16時間放置し、樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした切片はメッシュ上に回収した後、室温で四酸化ルテニウム蒸気中に30分間静置して染色し、薄くカーボン蒸着を施した。
電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を加速電圧200kVの条件で実施した。得られた像はイメージングプレート(フジ写真フィルム製FDL UR−V)上に記録した。イメージングプレート上に記録した信号をデジタルルミノグラフィー(日本電子製PixsysTEM)を用いて読み出し、ウインドウズ(登録商標)パソコン上にデジタルの画像情報として記録し、X層およびY層の染色度の差から確認される層の数を数えた。
(11−2)フィルム内部の層数(その2)
フィルム内部の層数は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察して求めた。まず、フィルムをエポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)をそれぞれ100:89:3の割合(質量)で良く混合したものを用いた。次に、サンプルフィルムを上述の混合樹脂中に包埋後、温度60℃に調整したオーブン中で16時間放置し、樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
この包埋ブロックに対し、ガラスナイフを用いて、フィルム部分の断面がブロック表面に現れるまで樹脂を切削した(面出し)。この面出し後の包埋ブロックを、塩化ルテニウム蒸気を密閉した容器中に3日間入れて、ルテニウム染色を行った。塩化ルテニウム蒸気は1日毎に新しい蒸気と交換した。
染色後の包埋ブロックから、ミクロトームで厚さおよそ700Åの超薄切片を、包埋ブロックの表面から1.5μm程度内部まで何枚も切り出した。最もコントラストの鮮明な超薄切片を選んで、カーボン蒸着を行い、TEM観察用試料とした。
電子顕微鏡観察は、日本電子社製JEM−2010を用い、加速電圧200kVの条件で実施した。得られた像はイメージングプレート(富士写真フィルム社製「FDL UR−V」)上に記録した。イメージングプレート上に記録した信号をデジタルルミノグラフィー(日本電子社製「PixsysTEM」)を用いて読み出し、ウインドウズ(登録商標)パソコン上にデジタルの画像情報として記録した。倍率は5000〜20000倍の中から適宜選択した。
上記画像情報を、画像解析ソフト(Scion Image Alpha 4.0.3.2 ; Scion Corporation製)を用いて解析した。まず、詳細な層数確認の前に、予備確認を行った。予備確認は、以下のようにして行った。
1.フィルム厚み方向の色の濃淡をラインプロファイルにより数値化した。具体的には、幅100ピクセル、長さ3000ピクセル(ピクセル数は任意に変更可能)の濃淡を読み取り、横軸を長さ方向のピクセル、縦軸を信号強度(濃淡)として曲線を描かせて、グラフ化した。
2.グラフ中の曲線にはピークが多数存在しているので、ある1個のピークについて、極大値がある位置のピクセル数と、極小値がある位置のピクセル数を読み取り、その差d(ピークの幅の約半分)を層の厚みと考えた。30個のピークについて、dを求め、平均値davを算出した。
3.上記平均値davをnm単位に換算し、換算後の値が100nm以上の場合は、イメージングプレート上のTEM像から、目視で層数を数えた。なお、換算の際には、TEM像が5000倍の場合は、1ピクセルを5nmとし、2万倍の場合は、1ピクセルを1.25nmとした。
4.上記換算後のdav(nm)が100nm未満の場合は、下記の詳細な層数確認法を採用して層数を求めた。
詳細な層数確認法は、以下のようにして行った。
1.上記TEM観察画像について、ノイズと画像の濃淡の斑との補正処理を行った。まず、画像解析ソフト(L Process ver.1.96;FUJIFILM Science Lab99製)を用いて、上記画像を取り込んだ(図3)。イメージセレクタツールの設定を2nにして、画像の最大範囲(2048×2048ピクセル:但し、任意に指定可能)でフーリエ変換(FFT)を行った(図4)。図3において、図の中心を決め、層方向(縞の方向)をX軸、該方向に直交する方向をY軸とする。図4において、白い輝点の集合体がY軸に沿うように(図中、水平線と垂直線が見えるが、これはノイズである)、図3の中心と図4の中心(ゼロピクセル)を合わせて、Y軸の5ピクセル目から1020ピクセル目までを幅200ピクセル(X軸上で−100ピクセルから+100ピクセル目まで)の長方形で囲んだ。同様に−5ピクセル目から−1020ピクセル目までを幅200ピクセルの長方形で囲んだ。この囲んだところ以外はノイズとして扱う。なお、上記の5〜1020ピクセルと幅200ピクセルという数値は、ノイズを除去するため、経験的に導き出した数値である。囲んだ部分のみを逆フーリエ変換(IFFT)し、得られた画像をTIFF形式(16bit)で保存した(図5)。
2.逆フーリエ変換後の画像を、画像解析ソフト(Scion Image Alpha 4.0.3.2 ; Scion Corporation製)に読み込んで、Threshold機能で画像の濃淡を明瞭化し、BMP形式へと変更した(図6)。(補正処理終了)
3.このBMP形式の画像において、Profile Plot機能を用い、Y軸に平行ななるべく長い(2000〜2500ピクセル程度)ラインプロファイルを、プロット幅1ピクセルで採ることにより、フィルム断面画像の濃淡を2値化して、Plot Value形式で保存した。
4.このPlot Value形式のデータを、Microsoft Excelに読み込んで、Y軸に平行なラインの1ピクセルごとの全データの平均値(Av)を求めた。次いで、あるピクセルのデータが平均値(Av)より大きい時は、そのピクセルに判定値+1を与え、それ以外の場合は、そのピクセルには判定値−1を与えた。各ピクセルの判定値をピクセル(横軸)に対してプロットすると、得られるグラフは、+1と+1(または−1と−1)を結ぶ水平な直線と、+1と−1(またはその逆)とを結ぶ斜めの直線とからなる線となった。この斜めの直線の数を、層の数と判断した。
なお、上記の方法で求められる層数は、スタティックミキサのエレメント数nから理論的に求まる2n層または2n+1層よりも小さくなることがある。X層を構成するポリエステル樹脂成分MとY層を構成するポリエステル樹脂成分Nとは異なる樹脂組成であるが、積層工程中に隣り合う層同士の界面でエステル交換反応が起こり、X層とY層の界面近傍に同じ組成のポリエステルが生成することがある。例えば、層数が多くなって一層の厚みが数nmレベルに薄くなると、X層とY層との一部が同じポリエステル組成の層であると同一視されてしまい、上記の染色法や層数確認法を採用したときに、理論値よりも小さくなるものと考えられる。
合成例1(ポリエステルの合成)
エステル化反応缶に、57036質量部のテレフタル酸(TPA)、33244質量部のエチレングリコール(EG)、15733質量部のネオペンチルグリコール(NPG)、23.2質量部の三酸化アンチモン(重合触媒)、5.0質量部の酢酸ナトリウム(アルカリ金属化合物)および46.1質量部のトリメチルホスフェート(リン化合物)を仕込み、0.25MPaに調圧し、温度220〜240℃で120分間攪拌することによりエステル化反応を行った。反応缶を常圧に復圧し、3.0質量部の酢酸コバルト・4水塩、及び124.1質量部の酢酸マグネシウム・4水塩(アルカリ土類金属化合物)を加え、温度240℃で10分間攪拌した後、75分間かけて圧力0.5hPaまで減圧すると共に、温度280℃まで昇温した。温度280℃で溶融粘度が4500ポイズになるまで攪拌を継続(約70分間)した後、ストランド状で水中へ吐出した。吐出物をストランドカッターで切断することにより、ポリエステルチップAを得た。ポリエステルチップAの極限粘度は、0.75dl/gであった。
合成例2〜5
合成例1と同様な方法により、表1に示すチップ組成のポリエステル原料チップB〜Eを得た。表中、PDは、1,3−プロパンジオール、CHDMは1,4−シクロヘキサンジメタノール、BDは1,4−ブタンジオール、DIAは、ダイマー酸の略記である。それぞれのポリエステルの極限粘度は、チップBが0.92dl/g、チップCが0.72dl/g、チップDが1.20dl/g、チップEが0.90dl/gであった。
なお、極限粘度は、チップ0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=3/2(質量比)の混合溶媒に溶解した後、オストワルド粘度計で30±0.1℃で測定した。極限粘度[η]は、下式(Huggins式)によって求められる。
ここで、ηsp :比粘度、t0:オストワルド粘度計を用いた溶媒の落下時間、t:オスワルド粘度計を用いたチップ溶液の落下時間、C:チップ溶液の濃度である。なお、実際の測定では、Huggins式においてk=0.375とした下記近似式で極限粘度を算出した。
ここで、ηr:相対粘度である。
実施例1
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表2に示したように、チップA80kg、チップB20kgをスーパーミキサー(川田製作所製)を用いて十分混合した後に、混合ペレットを押出機I(単軸60mmφ、L/D=25)のホッパに投入し、275℃±2℃で溶融した。同様にチップA5kg、チップB25kgをスーパーミキサーを用いて十分混合した後に、押出機II(二軸押出機、22.5mm×2本、L/D=25)で255℃±2℃で溶融した。
両押出機で溶融した樹脂を、I/II=8/2(吐出質量比)となるように、265℃±2℃のフィードブロックに導き、さらに、275℃±2℃のスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、12エレメント、内径38.4mm、1エレメントのL/D=1.5、1エレメントの板のひねり角度180度、捩り勾配46度)にて積層化した。次いで275℃±2℃のT−ダイに導き、溶融押出しした。押出しした樹脂は、表面温度20℃±2℃の冷却ロール上に静電密着され、未延伸シートを得た。なお、樹脂積層体が積層終了にあたるスタティックミキサの出口から吐出された時点から、冷却ロールに密着するまでの時間は約2分であった。また、押出機IおよびIIの吐出量は1時間あたり40kgであった。
上記未延伸シートを、表面温度75℃のメタルロールで予熱し、続いて表面温度80℃のシリコンゴムロールで1.08倍に縦延伸した。次に、テンター内で82℃で24秒間予熱した後に、横方向に77℃で4.8倍に延伸し、続いて70℃で24秒間熱処理を行って、厚み45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
ここで実施例1においては、フィルムを連続製造したときのフィルムの表面温度の変動幅は、テンターの予熱工程で平均温度±0.6℃、延伸工程で平均温度±0.5℃、熱処理工程で平均温度±0.5℃の範囲であった。
実施例2
縦延伸倍率を1.4倍とした以外は、実施例1と同様の方法において熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
実施例3
ポリエステルチップAをポリエステルチップCとした以外は、実施例2と同様の方法において熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
実施例4
別個に予備乾燥したチップA80kg、チップE20kgをスーパーミキサー(川田製作所製)を用いて十分混合した後に、混合ペレットを押出機I(単軸60mmφ、L/D=25)のホッパに投入し、275℃±2℃で溶融した。同様にチップA5kg、チップE25kgをスーパーミキサーを用いて十分混合した後に、押出機II(二軸押出機、22.5mm×2本、L/D=25)で240℃±2℃で溶融した。
両押出機で溶融した樹脂を、I/II=8/2(吐出質量比)となるように、265℃±2℃のフィードブロックに導き、さらに、275℃±2℃のスタティックミキサ(ノリタケカンパニー製、12エレメント、内径38.4mm、1エレメントのL/D=1.5、1エレメントの板のひねり角度180度)にて積層化した。次いで275℃±2℃のT−ダイに導き、溶融押出しした。押出しした樹脂は、表面温度20℃±2℃の冷却ロール上に静電密着され、未延伸シートを得た。なお、樹脂積層体が積層終了にあたるスタティックミキサの出口から吐出された時点から、冷却ロールに密着するまでの時間は約2分であった。また、押出機IおよびIIの吐出量は1時間あたり40kgであった。
上記未延伸シートを、表面温度75℃のメタルロールで予熱し、続いて表面温度80℃のシリコンゴムロールで1.2倍に縦延伸した。次に、テンター内で79℃で24秒間予熱した後に、横方向に73℃で4.8倍に延伸し、続いて70℃で24秒間熱処理を行って、厚み45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
比較例1
縦延伸をしなかった(すなわち縦延伸倍率が1.0倍)以外は、実施例1と同様の方法において熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
比較例2
チップAとチップBを80/20(重量比)で混合して押出機II(二軸押出機)に投入し、275℃で溶融し、スタティックミキサを用いずにT−ダイに導いた以外は、実施例2と同様の方法において熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ボトル用ラベルに好適である。また、その他の熱収縮性ポリエステル系フィルムが使用される用途にも適用可能である。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造ラインの一例を示す概略図である。 本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの縦引け量の測定部分を示す図である。 画像解析ソフトに取り込まれたフィルムのTEM写真である。 図3のフーリエ変換後の画像である。 図4の逆フーリエ変換後の画像である。 図5の濃淡を明瞭化した後の画像である。
符号の説明
1 押出機E
2 押出機F
3 フィードブロック
4 スタティックミキサ
5 T−ダイ
6 冷却ロール
7 フィルムラベル
8 測定すべき縦引け量を表わす矢印
9 2L角型ペットボトル(簡略図)

Claims (9)

  1. 95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後の一方向(y方向)の収縮率が20%以上85%未満であり、それと直交する方向(x方向)の収縮率が0%以上10%以下であり、厚み方向(z方向)の屈折率が1.5400未満であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. ポリエステル成分Mを含むX層とポリエステル成分Nを含むY層とが、交互に積層された構造を有するものである請求項1記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. X層に含まれるポリエステル成分Mが、ポリエステルA70〜99質量%およびポリエステルB1〜30質量%を含み、Y層に含まれるポリエステル成分Nが、ポリエステルB70〜99質量%およびポリエステルA1〜30質量%を含む請求項2記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. X層とY層とが、合わせて500層以上交互に積層された構造を有するものである請求項2または3記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 95℃±0.5℃の温水中に10秒間浸漬後のy方向の熱収縮率が50%以上85%未満であり、溶剤接着強度が2.0N/15mm以上であり、引裂伝播強度が2.0N以下であり、60℃±1℃の温水中に30分間浸漬後の破断強度が20MPa以上であり、厚みが5〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  6. フィルム中に、アルカリ土類金属化合物を20ppm(質量基準、以下同じ)以上400ppm以下、リン化合物をリン原子Pを基準にして5ppm以上500ppm以下含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  7. ポリエステルA70〜99質量%およびポリエステルB1〜30質量%を含むポリエステル成分M、およびポリエステルB70〜99質量%およびポリエステルA1〜30質量%を含むポリエステル成分Nをそれぞれ別々の押出機EおよびFに投入して溶融し、
    溶融状態のポリエステル成分MおよびNを積層装置に投入してポリエステル成分MおよびNの積層体を得、
    積層体が積層装置から吐出されてから冷却ロールに密着するまでの時間が45秒〜10分となるように、積層体を積層装置からスリットダイに導き、冷却フィルムロールに押出して未延伸シートを得、
    該未延伸シートを60℃以上120℃以下で3.0倍以上6.0倍以下横方向に延伸し、横方向の延伸の前または後に、50℃以上120℃以下で1.01倍以上3.0倍以下に縦方向に延伸することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法。
  8. 積層装置がスタティックミキサである請求項7記載の製造方法。
  9. 請求項1〜6記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムを用いたボトル用ラベル。
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