JP2007152653A - インクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体 - Google Patents

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Abstract


【課題】 本発明は、インクジェットプリンター等に用いられるインクジェットヘッドの製造に好適に用いられる、信頼性に優れ、低コストで製造可能なインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体を提供することを課題とする。
【解決手段】 インクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体は、インクジェットヘッドの製造に用いられる、金属箔と芳香族ポリマー層とを有する金属箔−芳香族ポリマー積層体であって、前記金属箔上に、芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマーの前駆体溶液が直接塗工されて前記芳香族ポリマー層が形成されており、かつ該芳香族ポリマー層の線膨張係数が10〜30ppm/Kの範囲にある。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェットヘッドの製造に好適に用いられるインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体に関するものである。
近年、パソコン等の普及に伴い、その情報の出力のために、プリンター装置が広く普及しており、特に、装置コストが安価で、カラー印刷を容易に行うことのできるインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンターが、広く用いられている。
インクジェットプリンターは、インクジェットヘッドと呼ばれるインク吐出部を備えている。このインクジェットヘッドとしては、ヘッド内部に気泡を発生させて、その圧力によりインクを吐出するいわゆるバブルジェット型と、インク溜部を形成するインク室の一部を印字信号で変形する圧電変換器を有し、圧電変換器の変形で生じたインク室内の圧力によりインクを液滴として吐出させるいわゆる圧電変換器型の2種類がある。
前記圧電変換器型のインクジェットヘッドは、圧電変換器の伸縮により、インク室を形成する振動膜を変形させて、インク室のインクをノズル開口部から吐出させる構成となっている。
該圧電変換器型のインクジェットヘッドの上記振動膜を構成する材料としては、高分子膜及び金属箔の積層体が一般的に用いられている。例えば、特開平8−187868号公報(特許文献1)等には、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の高分子延伸フィルムとステンレス等の金属薄板を接着剤により接合したラミネート材料を用いて、金属薄板にエッチング加工を施し、接着剤が塗布された高分子延伸フィルムをダイヤフラム部として用いるインクジェットヘッドが提案されている。
しかしながら、特許文献1のインクジェットヘッドは、高分子の延伸性フィルムを接着剤により金属箔に接合しているため、その製造の際に、特に薄い高分子の延伸性フィルムを用いた場合に、しわや反り等の発生により生産性が著しく低下するという問題があった。また、接着剤の耐熱性やインクへの耐性に問題があり、高分子の延伸性フィルムを用いたインクジェットヘッドには耐久性が劣るという問題があった。
また、WO93/25390号公報(特許文献2)等には、エッチング可能な無機質膜と高分子樹脂製薄膜との積層体を用いたインクジェットヘッドが開示されている。そして、引用文献2には、高分子樹脂製薄膜として、エッチング工程での耐性、樹脂自身が発現する接着性、振動する膜としての柔軟性に優れることから、ポリイミド樹脂製のものが好ましいことが開示されている。
しかしながら、引用文献2のインクジェットヘッドには、ポリイミド樹脂等からなる高分子樹脂膜の線膨張係数に何ら関心が払われておらず、無機質膜と高分子樹脂膜からなる積層体に反りが起こりやすく、無機質膜をエッチング加工する際に不具合が生じやすいという問題があった。さらに無機質膜のエッチング前後の寸法変化が大きいために、微細なインクジェットヘッドを作ることが困難な上に、ダイヤフラム部となる高分子樹脂製膜にたるみやうねりが発生して、良好な吐出性を備えたインクジェットヘッドの製造が困難となるという問題があった。
そのため、これらの問題が解決できるインクジェットヘッド用材料の開発が待ち望まれていた。
特開平8−187868号公報 WO93/25390号公報
本発明の目的は、前記問題点に鑑み、インクジェットプリンター等に用いられるインクジェットヘッドの製造に好適に用いられる、信頼性に優れ、低コストで製造可能なインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体を提供することにある。
本発明者らはかかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、従来のポリイミド樹脂等の高分子膜を用いたインクジェットヘッドの不具合は、高分子樹脂製膜の物性、特に線膨張係数に問題があることを発見し、これにより安価で信頼性に優れたインクジェットヘッドが製造可能であることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下に示すインクジェット用金属箔−芳香族ポリマー積層体が提供される。
〔1〕インクジェットヘッドの製造に用いられる、金属箔と芳香族ポリマー層とを有する金属箔−芳香族ポリマー積層体であって、前記金属箔上に、芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマーの前駆体溶液が直接塗工されて前記芳香族ポリマー層が形成されており、かつ該芳香族ポリマー層の線膨張係数が10〜30ppm/Kの範囲にあることを特徴とするインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔2〕該金属箔の厚みが10〜50μmの範囲にあることを特徴とする前記〔1〕に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔3〕該金属箔がステンレス箔であることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔4〕該芳香族ポリマー層の厚みが1〜20μmであることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔5〕該芳香族ポリマー層の水蒸気透過率が0.5g・mm/m/24hr以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔6〕該芳香族ポリマー層の弾性率が3GPa以上であることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔7〕該芳香族ポリマー層がポリイミドからなることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔8〕該芳香族ポリマー層が、一般式(1)で示される構成単位を50重量部以上有するポリイミド樹脂からなることを特徴とする前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
Figure 2007152653
(式(1)中、Rは炭素数が6以上30以下で、ベンゼン環を1以上有する2価の有機基を示す。)
〔9〕該金属箔と該芳香族ポリマー層の接着力が0.3kN/m以上であることを特徴とする前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔10〕該芳香族ポリマー層表面に、更に厚み1〜1000nmの無機質層が形成されていることを特徴とする前記〔1〕〜〔9〕に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔11〕該無機質層が金属からなることを特徴とする前記〔10〕に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
〔12〕該無機質層がスパッタリング、蒸着、CVDの何れかの方法で形成されていることを特徴とする前記〔10〕又は〔11〕に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
本願発明のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体は、金属箔上に芳香族ポリマー溶液もしくは該芳香族ポリマー前駆体溶液が直接塗工されて、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の接着剤を介することなく金属箔上に芳香族ポリマー層が形成されていることにより、かつ芳香族ポリマーの線膨張係数が10〜30ppm/Kの範囲にあることにより、インクジェット用インクへの化学的耐性等に優れ、インクジェットヘッドとして用いた際に良好なインク吐出性能を示す、平坦で、低コストで製造可能なインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体である。
前記金属箔の厚みが、10〜50μmであればインクジェットヘッド用に金属箔をエッチング加工するのが容易であり、金属箔としてステンレス箔を用いると、化学的及び機械的耐久性に優れたインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体が得られる。
前記芳香族ポリマー層の厚みが、1〜20μmであれば、極めてインク吐出量の正確なインクジェットヘッドを得ることができる。
また、芳香族ポリマー層の水蒸気透過率が0.5g・mm/m/24hr以下であれば、芳香族ポリマーを通したインク中の水分や溶剤等の浸透を防止することができ、該芳香族ポリマー層が経時での特性変化の少ない安定した振動膜となり、耐久性の優れたインクジェットヘッドが得られる。
また、特定のポリイミド樹脂を用いた芳香族ポリマー層は、線膨張係数のコントロールを行い易く、低水蒸気透過率、高弾性率で、金属箔との接着性に優れたものとなり、更にはインクへの耐久性に優れるものとなる。
また、芳香族ポリマー層の弾性率が3GPa以上であれば、安定的したインク吐出量のインクジェットヘッドが得られる。
前記金属箔と芳香族ポリマー層の接着力が0.3kN/m以上であれば、金属箔と芳香族ポリマー層の剥離が起こり難く、耐久性に優れたインクジェットヘッドが得られる。
前記芳香族ポリマー層の表面に無機質の薄膜層を形成すると、機械的特性の改善や水蒸気透過率の抑制等に優れる金属箔−芳香族ポリマー積層体が得られる。
以下、本発明のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体について、詳細に説明する。
本発明のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体(以下、単に用金属箔−芳香族ポリマー積層体または積層体ともいう。)は、金属箔と芳香族ポリマー層とを有し、該芳香族ポリマー層は、金属箔上に芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマーの前駆体溶液が直接塗工されることにより形成されたものである。
本発明の積層体に用いる金属箔としては、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔、ニクロム箔、タングステン箔等任意の金属箔を用いることができ、機械的耐久性や化学的耐久性の観点から、ステンレス箔を用いることが好ましい。
本発明に用いる金属箔の厚みは、好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜30μmである。金属箔の厚みが10μm以上であれば、インクジェットヘッドを形成するために金属箔にエッチング加工を施す際に、しわ等が発生しにくくなると同時に、インクジェットヘッドとして用いた際の機械的な耐久性も低下する虞がない。一方、50μm以下であれば、高精度なエッチング加工を容易に行うことができる。
本発明の用金属箔−芳香族ポリマー積層体を構成する芳香族ポリマー層は、芳香族ポリマーの溶液もしくは、その前駆体溶液が金属箔上に直接塗工されて形成されたものであり、しわの発生が少なく、芳香族ポリマーの厚み精度に優れ、更に安価で生産性に優れている。また、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の接着剤を介することなく金属箔上に芳香族ポリマー層が形成されているので、耐熱性やインクジェット用インクに対する化学的耐性等に優れている。
該芳香族ポリマー層を構成する芳香族ポリマーとは、その主鎖中にベンゼン環を有するポリマーをいう。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等が挙げられる。本発明で用いられる芳香族ポリマーとしては、ポリマー自体もしくはその前駆体を溶液にすることができるものであり、かつその線膨張係数が10〜30ppm/Kのものであれば、任意のものを用いることができる。但し、溶液状態での塗膜形成の行い易さや線膨張係数のコントロールの行い易さ等の観点から、芳香族ポリマーとして、ポリイミドを用いることが好ましい。
本発明で用いるポリイミドとしては、一般式(1)で表される構成単位を50重量部以上含有するポリイミドが、線膨張係数を容易に制御し、低水蒸気透過率と高弾性率を得る上で好ましい。このような構成のものは、線膨張係数のコントロールを行い易く、低水蒸気透過率、高弾性率で、金属箔との接着性に優れた芳香族ポリマー層が得やすくなる。かかる観点から、一般式(1)で表される構成単位を、70重量部以上含有するポリイミドがより好ましく、更に好ましくは80重量部であり、特に好ましくは100重量部である。
Figure 2007152653
(式(1)中、Rは炭素数が6以上30以下で、ベンゼン環を1以上有する2価の有機基を示す。)
芳香族ポリマーとしてポリイミドを用いる場合、その合成は従来公知の方法、例えばジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物を出発原料とした、極性有機溶媒中でのポリイミド前駆体であるポリアミック酸の重合、及びそのイミド化反応により行うことができる。そして、本発明においては、極性有機溶媒中での重合により得られたポリアミック酸溶液を金属箔上に塗工した後、該極性有機溶媒を乾燥し、更に熱イミド化反応を行うことが、プロセスとして簡便である上に、ポリイミドの熱膨張係数を制御する上でも好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリマーには、金属箔への接着性向上や機械的特性の改善等を目的として、フィラーやカップリング材等の添加剤を加えることも可能である。
本発明の積層体を構成する芳香族ポリマー層の線膨張係数は、前述したように、10〜30ppm/Kの範囲にあることを要する。該線膨張係数がこの範囲内であれば、本発明の積層体をインクジェットヘッドとして用いた際に良好なインク吐出性能が得られる。該線膨張係数が10ppm/K未満もしくは30ppm/K超であると、本発明の積層体に反りが発生するとともに、金属箔をエッチングする際の寸法変化が大きくなり、安定したインクジェットヘッドの製造を行うことが困難になる。その上、金属箔に部分的にエッチング加工を施して、芳香族ポリマー層のみとした際に、芳香族ポリマーにしわや、弛みや、うねりが発生して、良好なインクジェットヘッドとしての性能を発現できなくなる虞がある。かかる観点から、芳香族ポリマーの線膨張係数は15〜25ppm/Kが好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリマー層の厚みは、好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは3〜8μmである。芳香族ポリマー層の厚みが1〜20μmであれば、極めてインク吐出量の正確なインクジェットヘッドを得ることができる。即ち、芳香族ポリマー層の厚みが1μm以上であると、その機械的な強度が確保され、インクジェットヘッドのダイヤフラムとして用いた場合に、該芳香族ポリマー層の破断やシワの発生等の不具合が起こりにくくなる。一方、20μm以下であれば、芳香族ポリマー層の剛性が適度であり、インクの吐出精度が低下する虞がない。
更に、本発明に用いる芳香族ポリマー層においては、その水蒸気透過率が、0.5g・mm/m/24hr以下であることが好ましく、より好ましくは0.3g/m2/24hr以下であり、更に好ましくは0.2g・mm/m/24hrである。水蒸気透過率が0.5g・mm/m/24hr以下であれば、芳香族ポリマー層のインク中の水分や溶剤の浸透が起き難いので、芳香族ポリマー層の振動膜としての特性の経時変化が小さくなる。
尚、本明細書における水蒸気透過率とは、JIS Z0208の方法により測定される透湿度(g/m/24hr)に芳香族ポリマー層の厚みを掛けた値である。芳香族ポリマー厚みを掛けた値を採用しているのは、一般的に厚みが増えるほど水蒸気透過率は小さくなる傾向があることを考慮すると共に、厚みが前記1〜20μmの範囲内であることが好ましいことを考慮し、厚みが薄いと共に透湿度(g/m/24hr)も小さいものが好ましいことを評価するためである。
また、該芳香族ポリマー層の弾性率は3GPa以上であることが好ましく、より好ましくは4GPa以上であり、更に好ましくは5GPa以上である。弾性率が3GPa以上であればダイヤフラムとしての性能が優れたものとなり、安定的したインク吐出量のインクジェットヘッドが得られる。
また、機械的特性の改善や水蒸気透過率の抑制等を目的に前記芳香族ポリマー層の表面に、蒸着、スパッタリングもしくはCVD等の方法により、ニッケル、クロム、銅、チタン、モリブデンといった金属もしくはそれらの合金等の無機質の薄膜層を形成しても良い。
該無機質の薄膜層の厚みは、1〜1000nmが好ましく、3〜500nmがより好ましく、5〜100nmが更に好ましい。該薄膜層の厚みが、1nm以上であれば、機械的特性の改善や水蒸気透過率の抑制等の効果を発揮することができ、1000nm以下であれば、該無機質膜形成における生産性に優れ、芳香族ポリマー層本来の優れた振動膜としての特性を維持することができる。
本発明の積層体においては、金属箔と芳香族ポリマーの接着力が、0.3kN/m以上であることが好ましく、より好ましくは0.5kN/m以上である。金属箔と芳香族ポリマーの接着力が0.3kN/m以上であれば、本発明の積層体をインクジェットに加工する際や、インクジェットヘッドとして使用する際に金属箔と芳香族ポリマーが剥離する虞がなく、耐久性に優れたインクジェットヘッドを得ることができる。
本発明のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体は、金属箔上に芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマー前駆体溶液を直接塗工し、溶媒乾燥や硬化反応を行うことで得ることができる。
芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマー前駆体溶液の金属箔への塗工には、ダイコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等任意のコーターを用いることができる。
また、塗工した芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマー前駆体溶液の溶媒を乾燥し、更に必要に応じて硬化反応を行わせることで、芳香族ポリマー層を形成することが好ましい。その際、乾燥温度や硬化反応の温度は、使用する芳香族ポリマーもしくは芳香族前駆体ポリマーの種類や溶媒の種類に合わせて、適度な温度を選択することができる。
特に芳香族ポリマーとしてポリイミドを用いる場合、その前駆体であるポリアミック酸溶液を塗工し、溶媒の乾燥及びイミド化反応により、ポリイミド層を形成することが好ましい。その際、溶媒の乾燥を100〜200℃の範囲で行うことが好ましく、イミド化反応は好ましくは200℃以上、より好ましくは300℃以上で行うことが好ましい。また、ポリイミド層の発泡の防止や、熱膨張係数の制御の観点からは、溶媒乾燥からイミド化までの熱処理工程を3段階以上のステップ昇温や、昇温速度50℃/分以下の連続昇温で行うことが好ましい。
本発明のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体は、平坦性、寸法安定性、接着性等の特性に優れており、また芳香族ポリマーの良好な機械特性、低水蒸気透過性等の特性を示すことから、インクの吐出性能や耐久性等に優れた極めて高性能のインクジェットヘッドを与えることができる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例で用いる略号の意味は、以下の通りである。
DADMB:4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル
PDA:p−フェニレンジアミン
DAPE:4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
PMDA:無水ピロメリット酸
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
芳香族ポリマー前駆体の合成
<合成例1>
攪拌棒を備えたセパラブルフラスコ中で、DADMB0.075モル(15.92g)及びDAPE0.025モル(5.01g)を284gのDMAcに溶解させた。その後、攪拌しながらBPDA0.099モル(29.13g)を添加して、重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体溶液Aを得た。
<合成例2>
攪拌棒を備えたセパラブルフラスコ中で、PDA0.07モル(7.57g)及びDAPE0.03モル(6.01g)を242gのDMAcに溶解させた。その後、攪拌しながらBPDA0.099モル(29.13g)を添加して、重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体溶液Bを得た。
<合成例3>
攪拌棒を備えたセパラブルフラスコ中で、DADMB0.08モル(16.98g)及びBAPB0.02モル(7.37g)を294gのDMAcに溶解させた。その後、攪拌しながらPMDA0.02モル(4.36g)及びBPDA0.079モル(23.24g)を添加して、重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体溶液Cを得た。
<合成例4>
攪拌棒を備えたセパラブルフラスコ中で、DAPE0.1モル(20.02g)を279gのDMAcに溶解させた。その後、攪拌しながらBPDA0.099モル(29.13g)を添加して、重合反応を行い、粘稠なポリイミド前駆体溶液Dを得た。
実施例1
厚さ20μmのステンレス箔(東洋精箔・株式会社製SUS304、H−TA材)に、合成例1で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Aを硬化後5μmの厚さになるように塗布し、110℃及び130℃で各2分乾燥した後、更に160℃、200℃、280℃、320℃、380℃各2分の熱処理を行い、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔とを有する積層体を得た。
得られた積層体はほぼ平坦なものであり、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔の接着力は0.5kN/mであった。
また、塩化第二鉄水溶液を用いて銅箔をエッチング除去して得られたポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層の線膨張係数は22ppm/Kであった。また、芳香族ポリマー層の引張り弾性率は7.5GPaであり、厚みは5.0μm、積層体の見かけ上の透湿度を測定し、得られた測定値に芳香族ポリマー層の厚み5×10−3mmを掛けた値(水蒸気透過率)は0.075g・mm/m/24hrであった。
実施例2
ポリイミド前駆体樹脂溶液Aの代わりに、合成例2で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Bを用い、ポリイミド樹脂層の厚みを6μmとして、更にステンレス箔厚みを15μmとした以外は実施例1と同様に行い、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔とを有する積層体を得た。
得られた積層体はほぼ平坦で、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔の接着力は0.4kN/mであった。
また、ステンレス箔をエッチング除去して得られたポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層の線膨張係数は18ppm/K、引張り弾性率は7.0GPa、厚みは6.0μm、水蒸気透過率は0.08g・mm/m/24hrであった。
実施例3
ポリイミド前駆体樹脂溶液Aの代わりに、合成例3で得られたポリイミド前駆体樹脂溶液Cを用い、ステンレス箔の厚みを25μmとした以外は、実施例1と同様に行い、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔とを有する積層体を得た。
得られた積層体はほぼ平坦で、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔の接着力は0.7kN/mであった。
また、ステンレス箔をエッチング除去して得られたポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層の線膨張係数は20ppm/K、引張り弾性率は8.0GPa、厚みは5.0μm、水蒸気透過率は0.12g・mm/m/24hrであった。
比較例1
ポリイミド前駆体樹脂Aの代わりに、合成例4で得られたポリイミド前駆体樹脂Dを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
その結果、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層の線膨張係数が35ppm/Kと高く、そのため、得られた積層体には曲率半径が10mm程度の大きな反りが発生し、実用に耐えるものではなかった。
実施例4
実施例1で得られたポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレス箔とを有する積層体に、更にスパッタリング法により、厚み20nmのニッケル50%、クロム50%からなる合金層を形成し、ステンレス箔、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層及びニッケル−クロム合金層からなる積層体を作成した。
得られた積層体はほぼ平坦であり、ポリイミド樹脂からなる芳香族ポリマー層とステンレスの接着力は0.5kN/mを維持していた。
また、ステンレスのみをエッチングして得られたポリイミド樹脂と合金層からなる積層体の見かけ上の透湿度を測定し、得られた測定値に芳香族ポリマー層の厚み5×10−3mmを掛けた値(水蒸気透過率)は0.03g・mm/m/24hrと極めて低いものであった。
尚、線膨張係数、芳香族ポリマー層の透湿度及び水蒸気透過率、芳香族ポリマーの弾性率、金属箔と芳香族ポリマーの接着力は、次のように測定した。
線膨張係数の測定は、サーモメカニカルアナライザー(島津製作所製TMA−50)を用いて、室温から250℃まで昇温し、更にその温度で10分間保持した後、10℃/分の速度で冷却して、降温時の240℃から100℃までの平均の線膨張率として求めた。
芳香族ポリマー層の透湿度及び水蒸気透過率はJIS Z0208の透湿カップ法により、以下の条件により測定し、下記式(2)及び(3)を用いて算出した。
・吸湿剤:塩化カルシウム
・試験環境:温度40℃、相対湿度90%RH
・試験時間:24時間
透湿度(g/m/24hr)=24時間後の重量増加(g)/試験サンプルの透湿面積(m)……(2)
水蒸気透過率(g・mm/m/24hr)=透湿度(g/m/24hr)×芳香族ポリマー層の厚み(mm)……(3)
芳香族ポリマー層の厚みは、マイクロメーター(株式会社ニコン製、デジマイクロMFC−101)により求めた。
芳香族ポリマーの弾性率はJIS K7113に基づき、10mm幅の試験片を50mm/分の速度で引張って測定した。
金属箔と芳香族ポリマーの接着力は、金属箔を1mmの幅の直線状にエッチング加工した後、芳香族ポリマー側を厚さ1mmのアルミ板に両面テープで裏打ちし、金属箔を180°方向に5cm/分の速さで引っ張り、その剥離強度を測定した。

Claims (12)

  1. インクジェットヘッドの製造に用いられる、金属箔と芳香族ポリマー層とを有する金属箔−芳香族ポリマー積層体であって、前記金属箔上に、芳香族ポリマー溶液もしくは芳香族ポリマーの前駆体溶液が直接塗工されて前記芳香族ポリマー層が形成されており、かつ該芳香族ポリマー層の線膨張係数が10〜30ppm/Kの範囲にあることを特徴とするインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  2. 該金属箔の厚みが10〜50μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  3. 該金属箔がステンレス箔であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  4. 該芳香族ポリマー層の厚みが1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  5. 該芳香族ポリマー層の弾性率が3GPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  6. 該芳香族ポリマー層の水蒸気透過率が0.5g・mm/m/24hr以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  7. 該芳香族ポリマー層がポリイミドからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  8. 該芳香族ポリマー層が、一般式(1)で示される構成単位を50重量部以上有するポリイミド樹脂からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
    Figure 2007152653
    (式(1)中、Rは炭素数が6以上30以下で、ベンゼン環を1以上有する2価の有機基を示す。)
  9. 該金属箔と該芳香族ポリマー層の接着力が0.3kN/m以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  10. 該芳香族ポリマー層表面に、更に厚み1〜1000nmの無機質層が形成されていることを特徴とする請求項1〜9に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  11. 該無機質層が金属からなることを特徴とする請求項10に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
  12. 該無機質層がスパッタリング、蒸着、CVDの何れかの方法で形成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のインクジェットヘッド用金属箔−芳香族ポリマー積層体。
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