JP2007149898A - 電磁開閉装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁石装置からケースに伝播される振動を従来構成に比べて低減することができる電磁開閉装置を提供する。
【解決手段】ケースXは、電磁石装置1と接点装置2とを収納した状態で電磁石装置1および接点装置2との間に所定の隙間を有する大きさの箱状に形成されている。電磁石装置1においては、励磁用巻線3への通電が入切されることにより、可動鉄芯が、固定鉄芯に当接する位置と固定鉄芯から離れる位置との間で移動する。ケースXは固定部材を支持しており、ケースXと固定部材との間には、電磁石装置1からケースXに伝播される衝撃を吸収する緩衝部材33が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、励磁用巻線を有した電磁石装置と電磁石装置の動作に連動して開閉する接点装置とをケース内に備えた電磁開閉装置に関するものである。
従来から、この種の電磁開閉装置として、図7に示すように、電磁石装置1と接点装置2とを合成樹脂などの絶縁材料からなるケースX内に収納したものが提供されている。
図7の電磁石装置1は、励磁用巻線3により生じる磁束を通す磁路の一部に、互いに突き合わされる形で配置された固定鉄芯6と、固定鉄芯6に当接する位置と固定鉄芯6から離れる位置との間で移動可能な可動鉄芯7とを有しており、励磁用巻線3への通電が入切されることにより固定鉄芯6に可動鉄芯7が接離する。ここにおいて、可動鉄芯7の移動に連動して接点装置2が開閉されるように、可動鉄芯7には、一対の可動接点22が設けられた可動接触子21が絶縁材料からなる連結軸23を介して連結される。
各可動接点22には固定接点19がそれぞれ対向して配置されており、固定鉄芯6に可動鉄芯7が当接した状態では、可動接点22と固定接点19とからなる接点装置2が閉成される。一方、固定鉄芯6と可動鉄芯7との間に設けられた復帰ばね14のばね力によって可動鉄芯7が固定鉄芯6から離間された状態では接点装置2が開放される。なお、図7に示す電磁開閉装置は、接点装置2と固定鉄芯6と可動鉄芯7とを気密空間に収納した所謂封止接点装置である(たとえば特許文献1参照)。
特開平11−232986号公報(第3−4頁、図1)
ところで、上述した電磁開閉装置では、固定鉄芯6から離れた位置にある可動鉄芯7を固定鉄芯6に当接させる際に、可動鉄芯7が固定鉄芯6に衝突することにより電磁石装置1において振動が生じる。この振動がケースXに伝播されるとケースX自体が振動することになり、たとえばケースXと他の部材とが接触することによる音鳴りなどの原因となり得る。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであって、電磁石装置からケースに伝播される振動を従来構成に比べて低減することができる電磁開閉装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明では、励磁用巻線と励磁用巻線により異極性に磁化される一対の磁極部とを備えた固定部材と、固定部材の一方の磁極部に対向する形で配置されるとともに他方の磁極部と磁気結合されることにより、励磁用巻線への通電が入切されると前記一方の磁極部に当接する位置と前記一方の磁極部から離れる位置との間で移動する可動部材とを有した電磁石装置と、可動部材の移動に連動して開閉する接点を有した接点装置とを箱状のケース内に備え、ケースは固定部材を支持しており、ケースと固定部材との間には、電磁石装置からケースに伝播される衝撃を吸収する緩衝部材が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、ケースと固定部材との間に、電磁石装置からケースに伝播される衝撃を吸収する緩衝部材が設けられていることにより、ケースは緩衝部材を介して固定部材を支持することになるので、電磁石装置において生じた振動はケースに直接伝播されることはなく、緩衝部材で吸収されることによりケースには伝播されにくくなる。したがって、電磁石装置からケースに伝播される振動を従来構成に比べて低減することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記固定部材が、前記励磁用巻線が巻装される筒状のコイルボビンと、コイルボビンの外側において励磁用巻線により生じる磁束を通す磁路の一部を形成する継鉄と、コイルボビンの内側において継鉄に固定される固定鉄芯とを備え、前記可動部材が、前記一方の磁極部となる固定鉄芯の一面にコイルボビンの軸方向に並んでコイルボビンの内側に配置されるとともに前記他方の磁極部となる継鉄の一部と磁気結合され、かつ固定鉄芯から離れる向きに付勢され、励磁用巻線により磁束が生じると継鉄と固定鉄芯と共に形成する磁路の磁気抵抗を小さくするように固定鉄芯に吸引されて当接する可動鉄芯を備えることを特徴とする
この構成によれば、可動鉄芯と固定鉄芯とはコイルボビンの内側で衝突するので、電磁石装置において生じる衝撃はコイルボビンの外側には比較的漏れにくい。したがって、電磁石装置からケースに伝播される振動をより低減することができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記ケースが、前記固定部材の一部に嵌合する嵌合凹所と嵌合凸部との少なくとも一方を内周面に有することを特徴とする。
この構成によれば、嵌合凹所と嵌合凸部との少なくとも一方に固定部材の一部が嵌合することにより固定部材がケースに支持されるので、固定部材はケースに対して相対的に動きやすくなる。したがって、電磁石装置で振動が生じた際にも、固定部材がケース内で動くことにより、振動としてケースに伝播されるエネルギーは減少し、結果的に電磁石装置からケースに伝播される振動は低減する。
請求項4の発明は、請求項2の発明において、前記コイルボビンが、軸方向に対向し前記励磁用巻線の両側方に配置される一対の鍔片を有し、前記ケースが、鍔部の周縁に嵌合する嵌合凹所を内周面に有することを特徴とする。
この構成によれば、ケースは鍔部の周縁を支持することにより固定部材を支持しており、この鍔部の周縁は電磁開閉装置において衝撃の発生源となる可動鉄芯や固定鉄芯から離れているので、電磁石装置からケースに伝播される振動をより低減することができる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記鍔片が、前記緩衝部材との接触面に凹部を有することを特徴とする。
この構成によれば、鍔片と緩衝部材との接触面積が凹部の分だけ小さくなるので、鍔片は緩衝部材に対して相対的に動きやすくなる。したがって、電磁石装置で振動が生じた際にも、鍔片がケース内で動くことにより、振動としてケースに伝播されるエネルギーは減少し、結果的に電磁石装置からケースに伝播される振動は低減する。
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明において、前記緩衝部材は、前記コイルボビンの前記鍔片と比較して、損失係数が大きくかつ同等以上の耐熱性を有する材料から成ることを特徴とする。
この構成によれば、緩衝部材がコイルボビンの鍔片よりも大きい損失係数を有するから、コイルボビンを通して緩衝部材に伝播された振動を緩衝部材において確実に低減することができる。なお、ここでいう損失係数は材料が変形する際に材料がエネルギーを吸収する程度を意味する。また、緩衝部材の耐熱性はコイルボビンの鍔片と同等以上であるから、緩衝部材を設けたことによって電磁開閉装置全体の耐熱性が劣化することはない。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明において、前記緩衝部材が、内部を伝播される振動を自身の損失係数に依存して減衰させる材料から成ることを特徴とする。
この構成によれば、緩衝部材を一体物とすることができるから、ケースと固定部材との間に緩衝部材を配置する作業が容易である。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかの発明において、前記緩衝部材が、内部に多数の気室を有した素材から成ることを特徴とする。
この構成によれば、緩衝部材が内部に多数の気室を有するから、電磁石装置からケースに伝播される振動は、緩衝部材の中を多数の気室間で入出力を繰り返しながら伝播されることにより減衰されることになる。したがって、電磁石装置からケースに伝播される振動を比較的高効率で減衰させることができる。
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかの発明において、前記緩衝部材が、前記ケースおよび前記固定部材の少なくとも一方との接触面に凸部あるいは凹部を複数有することを特徴とする。
この構成によれば、緩衝部材においてケースおよび固定部材の少なくとも一方との接触面積が小さくなるから、固定部材はケースに対して相対的に動きやすくなる。したがって、電磁石装置で振動が生じた際にも、固定部材がケース内で動くことにより、振動としてケースに伝播されるエネルギーは減少し、結果的に電磁石装置からケースに伝播される振動は低減する。
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明において、前記ケースは、前記緩衝部材を介して前記接点装置を支持しており、接点装置は前記接点に接続された固定端子を有し、ケースには固定端子を外部に露出させる端子窓が貫設され、緩衝部材は、前記端子窓の周縁と接点装置との隙間を埋める形に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、端子窓の周縁と接点装置との隙間を埋めているから、端子窓の周縁と接点装置との隙間を通して異物がケース内に侵入することを防止できる。また、隙間を緩衝部材によって埋めているから、接点装置からケースに伝播される振動が緩衝部材で吸収されることにより、接点装置からケースに伝播される振動についても抑制することができる。
本発明では、ケースと固定部材との間に、電磁石装置からケースに伝播される衝撃を吸収する緩衝部材が設けられていることにより、ケースは緩衝部材を介して固定部材を支持することになるので、電磁石装置において生じた振動はケースに直接伝播されることはなく、緩衝部材で吸収されることによりケースには伝播されにくくなる。したがって、電磁石装置からケースに伝播される振動を従来構成に比べて低減することができるという利点がある。
以下の実施形態では、従来構成として説明したものと同様に気密空間に接点装置と固定鉄芯と可動鉄芯とを収納した封止接点装置を電磁開閉装置の一例として説明するが、本発明を実施するために、接点装置と固定鉄芯と可動鉄芯とが封止されている必要はない。
本実施形態の電磁開閉装置は、図1に示すように、従来構成と同様に電磁石装置1と接点装置2とを合成樹脂製のケースX内に備えたものである。以下では、図1(a)の上下左右を上下左右として、各部の構成を従来構成よりも詳しく説明する。
まず、ケースX内に収納される電磁石装置1および接点装置2について図2を参照して説明する。電磁石装置1は、励磁用巻線3を備える固定部材と、固定部材に突き合わされて配置される可動部材とを有する。固定部材は、励磁用巻線3の他に、合成樹脂製であって励磁用巻線3が巻装された筒状のコイルボビン4と、磁性金属材料からなりコイルボビン4を包囲する継鉄5と、コイルボビン4の内側に配置される固定鉄芯6とを備える。可動部材はコイルボビン4の内側において、コイルボビン4の軸方向である上下方向に並んで配置される可動鉄芯7を備える。固定鉄芯6と可動鉄芯7とは、励磁用巻線3により生じる磁束を通す磁路を継鉄5と共に形成する。コイルボビン4は、励磁用巻線3の上下両側方において上下方向に対向する一対の鍔片32を有している。各鍔片32は、それぞれ外周が矩形状となる板状に形成されている(図5(a)参照)。
本実施形態の継鉄5は、コイルボビン4の上端面に当接する矩形板状の継鉄主板8と、コイルボビン4の下端面に当接する矩形板状の継鉄主板9と、両継鉄主板8,9の左右各端縁同士をそれぞれ連結する一対の継鉄側板10とで構成されており、前後方向(図2で紙面に直交する方向)に開放されている。下側の継鉄主板9と一対の継鉄側板10とは1枚の板を折曲することにより連続一体に形成されている。
固定鉄芯6および可動鉄芯7とコイルボビン4との間には、非磁性材料からなり上面開口の有底円筒状に形成された筒体11が介在する。言い換えると、コイルボビン4の内側に設けられた筒体11内に、固定鉄芯6と可動鉄芯7とが収納されることになる。固定鉄芯6は筒体11の開口側に配置される。さらに、固定鉄芯6および可動鉄芯7はそれぞれ外径が筒体11の内径と同程度の円筒状に形成されており、可動鉄芯7は筒体11の軸方向に移動可能となっている。可動鉄芯7の移動範囲は、固定鉄芯6から離れる初期位置と、固定鉄芯6に当接する当接位置との間に設定される。固定鉄芯6と可動鉄芯7との間には、コイルばねからなり可動鉄芯7を初期位置に復帰させる向きのばね力を有した復帰ばね14が介在する。
また、上側の継鉄主板8の中央部には固定鉄芯6の一部が挿通される固定孔12が貫設されており、固定鉄芯6は上側の継鉄主板8に対して固定される。さらに、筒体11は、開口周部が継鉄主板8における固定孔12の周囲に固着されるとともに、下端部が下側の継鉄主板9の中央部に設けられた保持孔13内に挿通される。ここで、筒体11の下部に収納された可動鉄芯7は継鉄主板9における保持孔13の周部と磁気結合されることになる。
上述した構成によれば、励磁用巻線3への通電時には、固定鉄芯6における可動鉄芯7との対向面と継鉄主板9における保持孔13の周部とは、一対の磁極部として互いに異極性に磁化されることになる。したがって、励磁用巻線3に通電すると、継鉄主板9における保持孔13の周部に磁気結合された可動鉄芯7と固定鉄芯6とが互いに異極性になり、可動鉄芯7は固定鉄芯6に吸引されて当接位置に移動する。一方、励磁用巻線3への通電を停止すると可動鉄芯7は復帰ばね14により初期位置に復帰する。復帰ばね14の一部は固定鉄芯6に設けたばね収納凹部15内に収まっており、可動鉄芯7が当接位置に移動したときには復帰ばね14が圧縮されて復帰ばね14の全体がばね収納凹部15内に収まるので、復帰ばね14が固定鉄芯6への可動鉄芯7の当接を妨げることはない。
また、電磁石装置1の上方には、耐熱性材料により下面が開口する箱状に形成された蓋体16が設けられ、蓋体16の底部の2箇所に貫通孔17が設けられる。各貫通孔17には、銅系材料から円柱状に形成された固定端子18がそれぞれ挿通される。各固定端子18の下端面にはそれぞれ固定接点19が固着される。各固定端子18の上端部にはそれぞれ鍔部20が設けられており、鍔部20が蓋体16にろう付けされる。
蓋体16内には、両固定接点19間に跨る形で導電材料からなる平板状の可動接触子21が設けられており、可動接触子21の上面において固定接点19に対向する各部位にはそれぞれ固定接点19と共に接点装置2を構成する可動接点22が設けられる。可動接触子21の中央部には可動接触子21を上述した可動鉄芯7に連結する連結軸23の一端部が挿通される軸孔24が貫設される。
連結軸23は、丸棒状に形成されたものであって、可動接触子21から上方に突出した部分により可動接触子21に対して抜け止めがなされる。さらに、可動接触子21と継鉄主板8との間には連結軸23が挿通されたコイルばねからなる接圧ばね25が設けられており、可動接触子21は、接圧ばね25のばね力によって上方に押し付けられるので、連結軸23の上端部に保持されることになる。また、連結軸23の下端部は、固定鉄芯6に挿通され可動鉄芯7に結合される。この構成により、可動接触子21が可動鉄芯7の移動に連動して上下方向に移動する。
ここにおいて、可動鉄芯7が初期位置にあるときには可動接点22と固定接点19とが互いに離間(つまり接点装置2が開放)され、一方、可動鉄芯7が当接位置にあるときには可動接点22と固定接点19とが接触(つまり接点装置2が閉成)するように、可動鉄芯7と可動接触子21との位置関係が設定される。要するに、励磁用巻線3に通電していない期間には接点装置2が開放されることにより両固定端子18間は絶縁され、励磁用巻線3に通電している期間には接点装置2が閉成されることにより両固定端子18間が導通することになる。可動接点22と固定接点19との間の接触圧は接圧ばね25によって確保される。
また、接点装置2と固定鉄芯6と可動鉄芯7とが気密空間に収納されるように、蓋体16と継鉄主板8との隙間を覆う筒状の連結体26が設けられており、蓋体16と固定端子18と継鉄主板8と筒体11と連結体26とが気密接合されることにより、蓋体16と固定端子18と継鉄主板8と筒体11と連結体26とで内部に気密空間を有する封止容器27を形成している。
ところで、本実施形態では、以下に説明する構成を採用することにより、電磁石装置1からケースXに伝播される振動を低減している。
ケースXは、図1に示すように、電磁石装置1と接点装置2とを収納した状態で電磁石装置1および接点装置2との間に所定の隙間を有する大きさの箱状に形成されている。そして、ケースXの内周面においては、コイルボビン4における各鍔片32の前後各端縁の近傍にそれぞれ嵌合凹所34が設けられている。なお、コイルボビン4には励磁用巻線3に接続されたボビン端子29が設けられており、このボビン端子29がケースXに設けられたケース端子30に接続される。
各嵌合凹所34は、鍔片32の周縁と嵌合する形状にそれぞれ形成される。ただし、上側の鍔片32に対応する各嵌合凹所34においては上方に開放された形状に形成される。ここで、各鍔片32が一対の嵌合凹所34に後述の緩衝部材33を介して挟持されることにより、電磁石装置1はケースX内に位置固定される。
緩衝部材33は、電磁石装置1からケースXに伝播される衝撃を吸収するものであって、ここでは、図3(a)に示すように矩形板状のものを用いている。緩衝部材33の材料としては合成ゴムを採用しているが、その他の合成樹脂(プラスチック等)や繊維製の緩衝部材33としてもよい。ばね形状や繊維状に形成された金属を緩衝部材33とすることもできる。ただし、緩衝部材33を設けたことに起因して電磁開閉装置全体の耐熱性が劣化することがないように、電磁石装置1と接点装置2とケースXとのうちで最も耐熱性の低いコイルボビン4と比較して同等以上の耐熱性を有する材料から緩衝部材33を成形することが望ましい。また、本実施形態では緩衝部材33はコイルボビン4の鍔片32よりも大きい損失係数を有する材料から成形してある。つまり、緩衝部材33は、合成樹脂製のコイルボビン4に比べても、材料が変形する際に振動のエネルギーをより多く吸収できる材料から成る。
ケースXは前後方向(図1(b)の左右方向)に分離可能なボディ35とカバー36との2部材を組み合わせて構成されており、電磁石装置1と接点装置2とは、ボディ35とカバー36とを組み合わせる際にケースX内に収納される。このとき、ケースXが緩衝部材33を介してコイルボビン4の鍔片32を支持するように組み立てることにより、電磁石装置1が定位置に位置固定される。なお、図1では、ボディ35とカバー36との継目に蟻溝形状などを採用することにより、ボディ35とカバー36との継目に隙間が生じてケースX内に異物が侵入することを防止している。
上述した構成によれば、ケースXは緩衝部材33を介して固定部材に弾接する嵌合凹所34のみで電磁石装置1を支持しているので、電磁石装置1に生じた振動はケースXに直接伝播されることはなく、緩衝部材33で吸収されることによりケースXには伝播されにくくなる。しかも、緩衝部材33が当接するコイルボビン4は、固定鉄芯6や可動鉄芯7に対して直接固着されておらず継鉄5などを介して間接的に接しているだけであるから、可動鉄芯7が固定鉄芯6に衝突することにより振動が生じても、この振動はコイルボビン4には伝播され難い。さらに、コイルボビン4は、弾性および可撓性を有する合成樹脂製であって電磁石装置1に生じる振動を伝播し難い材質であるから、コイルボビン4を通して緩衝部材33に伝播される振動はさらに低減されることになる。結果的に、電磁石装置1からケースXに伝播される振動が従来構成に比べて低減されるという効果を奏する。
また、緩衝部材33としては、上述した矩形板状に代えて、たとえば図3(b)〜(d)にそれぞれ示すように、厚み寸法を増したものや錐体状(図3(c)では錐の先端部を切り落として平面としている)としたものや枠状としたもの、さらには図3(e)〜(h)にそれぞれ示すように平面視円形状としたものなど、種々の形状のものを採用することができる。図示しないが球体状の緩衝部材33を採用してもよい。さらに、緩衝部材33におけるケースXとの接触面に凸部あるいは凹部を複数設けてもよく、この場合には、緩衝部材33とケースXとの接触面積が小さくなるから、固定部材はケースXに対して相対的に動きやすくなる。したがって、電磁石装置1で振動が生じた際にも、固定部材がケースX内で動くことにより、振動としてケースXに伝播されるエネルギーは減少し、結果的に電磁石装置1からケースXに伝播される振動は低減する。具体的には、図4に示すように緩衝部材33の表面に、円柱状の凸部を複数設けたり(図4(a))、円形に開口する凹部を複数設けたり(図4(b))、断面V字状の溝から成る凹部を複数本設けたり(図4(c))、四角錐状の凸部を複数設けたり(図4(d))することが考えられる。同様に、緩衝部材33における固定部材との接触面に凸部あるいは凹部を複数形成してもよい。
さらに、本実施形態では、一体物(合成ゴム)からなる緩衝部材33を採用し、緩衝部材33の材料物性の損失係数に依存して緩衝部材33中を伝播される振動を減衰させているが、この他に、たとえばケースXと固定部材との間にそれぞれ布状あるいは不職布状に形成された複数の微細部材(図示せず)が重ねられて成る素材で緩衝部材33を構成することもできる。この場合には、緩衝部材33の内部に微細部材によって区切られた多数の気室が形成されることになり、電磁石装置1からケースXに伝播される振動は、緩衝部材33の中を、多数の気室間あるいは微細部材と気室との間で入出力を繰り返しながら伝播されることになり、比較的高効率で減衰されることになる。同様の原理を利用したスポンジなどの素材を緩衝部材33としてもよい。
また、図5(b)に示すように、図5(a)に示した矩形板状の鍔片32に対して、各角部を残して前後両端縁から鍔片32における前後方向の幅寸法を縮めるように切り込まれた凹部37を設けた形状のコイルボビン4を採用してもよい。この構成では、コイルボビン4の鍔片32と緩衝部材33との接触面積が凹部37の分だけ小さくなるので、鍔片32はケースXに対して相対的に動きやすくなる。したがって、電磁石装置1で振動が生じた際にも、鍔片32がケースX内で動くことにより、振動としてケースXに伝播されるエネルギーは減少し、結果的にコイルボビン4からケースXに伝播される振動は低減する。
ところで、ケースXの上端部には、接点装置2の固定端子18を露出させる一対の端子窓28が開口されている。端子窓28についても、ケースXの他の部分と同様に接点装置2(固定端子18)との間に所定の隙間を有する大きさに形成されている。両端子窓28の間には両固定端子18間の沿面距離を大きくする絶縁壁38が立設される。ここで、端子窓28の周縁と接点装置2との間の隙間から、ケースX内に異物が侵入することを防止するために、端子窓28の周縁と接点装置2との隙間を埋める必要があるが、本実施形態では、蓋体16における固定接点18の周囲に緩衝部材33を全周に亘って設けるとともに、ケースXにおける端子窓28の周縁に下方に突出するリブ40を全周に亘って設けてある。すなわち、リブ40の先端面を緩衝部材33に弾接させることにより、端子窓28の周縁と接点装置2との間の隙間が緩衝部材33で埋まることになり、結果的に、ケースXは緩衝部材33を介して接点装置2を支持する構成となるので、接点装置2からケースXに伝播される振動も電磁石装置1からケースXに伝播される振動と同様に緩衝部材33で低減されることになる。
また、本実施形態では、ケースXは、緩衝部材33を電磁石装置1の一部(コイルボビン4の鍔片32)に当接させるように内周面の一部に設けた嵌合凹部34のみで電磁石装置1を支持しているが、たとえば図6に示すように、ケースXと電磁石装置1との間の隙間に緩衝部材33を充填することにより、ケースXの内周面の全面で電磁石装置1を支持するようにしてもよい。
さらにまた、ケースXの内周面に、固定部材のうちコイルボビン4の鍔片32以外の部分に嵌合する嵌合凹所(図示せず)と嵌合凸部(図示せず)との少なくとも一方を設け、ケースXが鍔片32以外の部分を支持することにより電磁石装置1が支持される構成としてもよい。
本発明の実施形態の構成を示し、(a)は正面図、(b)は一部を破断した側面図である。 同上に用いる電磁石装置および接点装置の構成を示す断面図である。 同上に用いる緩衝部材を示す斜視図である。 同上に用いる緩衝部材の他の形態を示す斜視図である。 同上に用いる電磁石装置および接点装置の構成を示す斜視図である。 同上の他の構成を示す正面図である。 従来例を示す断面図である。
符号の説明
1 電磁石装置
2 接点装置
3 励磁用巻線
4 コイルボビン
5 継鉄
6 固定鉄芯
7 可動鉄芯
18 固定端子
28 端子窓
32 鍔片
33 緩衝部材
34 嵌合凹所
37 凹部
X ケース

Claims (10)

  1. 励磁用巻線と励磁用巻線により異極性に磁化される一対の磁極部とを備えた固定部材と、固定部材の一方の磁極部に対向する形で配置されるとともに他方の磁極部と磁気結合されることにより、励磁用巻線への通電が入切されると前記一方の磁極部に当接する位置と前記一方の磁極部から離れる位置との間で移動する可動部材とを有した電磁石装置と、可動部材の移動に連動して開閉する接点を有した接点装置とを箱状のケース内に備え、ケースは固定部材を支持しており、ケースと固定部材との間には、電磁石装置からケースに伝播される衝撃を吸収する緩衝部材が設けられていることを特徴とする電磁開閉装置。
  2. 前記固定部材は、前記励磁用巻線が巻装される筒状のコイルボビンと、コイルボビンの外側において励磁用巻線により生じる磁束を通す磁路の一部を形成する継鉄と、コイルボビンの内側において継鉄に固定される固定鉄芯とを備え、前記可動部材は、前記一方の磁極部となる固定鉄芯の一面にコイルボビンの軸方向に並んでコイルボビンの内側に配置されるとともに前記他方の磁極部となる継鉄の一部と磁気結合され、かつ固定鉄芯から離れる向きに付勢され、励磁用巻線により磁束が生じると継鉄と固定鉄芯と共に形成する磁路の磁気抵抗を小さくするように固定鉄芯に吸引されて当接する可動鉄芯を備えることを特徴とする請求項1記載の電磁開閉装置。
  3. 前記ケースは、前記固定部材の一部に嵌合する嵌合凹所と嵌合凸部との少なくとも一方を内周面に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁開閉装置。
  4. 前記コイルボビンは、軸方向に対向し前記励磁用巻線の両側方に配置される一対の鍔片を有し、前記ケースは、鍔部の周縁に嵌合する嵌合凹所を内周面に有することを特徴とする請求項2記載の電磁開閉装置。
  5. 前記鍔片は、前記緩衝部材との接触面に凹部を有することを特徴とする請求項4記載の電磁開閉装置。
  6. 前記緩衝部材は、前記コイルボビンの前記鍔片と比較して、損失係数が大きくかつ同等以上の耐熱性を有する材料から成ることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の電磁開閉装置。
  7. 前記緩衝部材は、内部を伝播される振動を自身の損失係数に依存して減衰させる材料から成ることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電磁開閉装置。
  8. 前記緩衝部材は、内部に多数の気室を有した素材から成ることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電磁開閉装置。
  9. 前記緩衝部材は、前記ケースおよび前記固定部材の少なくとも一方との接触面に凸部あるいは凹部を複数有することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電磁開閉装置。
  10. 前記ケースは、前記緩衝部材を介して前記接点装置を支持しており、接点装置は前記接点に接続された固定端子を有し、ケースには固定端子を外部に露出させる端子窓が貫設され、緩衝部材は、前記端子窓の周縁と接点装置との隙間を埋める形に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の電磁開閉装置。
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