以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。図2は実施例における紙葉類入出金処理装置100の構成を示すブロック図、図3は紙葉類投入ヘッド200の概略斜視図である。
紙葉類入出金処理装置100は、金融機関等の窓口の係員側に設置され、窓口係員に操作される。この紙葉類入出金処理装置100は、図1に示すように、装置外側の係員操作領域に、紙葉類投入ヘッド200と、操作部110とを備え、装置内部には、投入・受付済みの紙葉類を収納するカセット101〜104と、使用不可紙葉類を収納するカセット105と、紙葉類を一時的に収納する一時収納カセット120と、紙葉類の真偽判定等の処理を行う識別部130と、紙葉類搬送のための第1〜第3搬送ライン141〜143とを備える。
紙葉類投入ヘッド200は、投入部210と、返却部220と、放出部222とを有する。投入部210は、紙幣や小切手といった紙葉類を係員が投入するために設置されている。返却部220は、投入された紙葉類を係員に返却するために設置され、放出部222は、一時収納カセット120やカセット101等に収納していた紙葉類を出金等のために係員に受け渡すために設置されている。なお、図2においては、返却部220と放出部222は別々に示されているが、同時に使用されることは殆どないため、図3に示すように、共通化することもできる。
投入部210や返却部220、放出部222は、紙葉類を縦置き・横置きの状態で集積できるよう構成されている。投入部210で説明すると、投入部210は、紙葉類投入ヘッド200の前面パネルの投入窓211を取り囲むよう設置されたパネル側枠体212と、当該枠体の中央から突出した突出枠213とを備える。図4は投入部210をその上面から見て概略的に示した説明図である。この図4にも示すように、パネル側枠体212は、図中に白抜き矢印で示す搬送方向(搬送経路)に対して紙葉類の長辺が実質的に直交した横送り搬送向きでの紙葉類投入ができるようにされている。突出枠213は、紙葉類の長辺が図中に白抜き矢印で示す搬送方向(搬送経路)に沿った状態となる縦送り搬送向きでの紙葉類投入ができるようにされている。返却部220と放出部222も上記の投入部210と同様の構成であるが、装置内部から搬送されてきた紙葉類を受け止めるために、パネル側枠体212の前端側にはストッパ片214が装着されている。
上記のように紙葉類の紙葉類を縦置き・横置きが可能な投入部210は、投入された紙葉類の縦置き・横置きの状態、延いては、その後の紙葉類搬送時の縦送り・横送りの搬送の向きを検出するため、センサ群を有する。このセンサ群は、パネル側枠体212の左右端部側にそれぞれ設置された右端センサ215と、左端センサ216と、パネル側枠体212中央の中央センサ217と、突出枠213の前端側に設置された前端センサ218とを備える。これらセンサは後述の制御部と接続され、当該制御部に検出信号を出力する。上記各センサは、そのセンサ出力が制御部にて紙葉類の縦置き・横置きの判定に用いられることから、制御部と相俟って本発明の搬送向き判定部を構成する。なお、センサ出力を用いた搬送向き判定については後述する。
次に、紙葉類搬送について説明する。投入部210に投入された紙葉類は、集積された状態の最下段の紙葉類から一枚ずつ第1搬送ライン141にて搬送される。第1搬送ライン141は、投入部210から識別部130を経由して返却部220と放出部222に亘るループ状の搬送ラインを形成する。そして、この第1搬送ライン141は、上記の搬送ラインにより、投入済み紙葉類の識別部130への搬送、識別部130にて処理済み紙葉類の返却部220や放出部222への搬送を行う。
第2搬送ライン142は、第1搬送ライン141から分岐した搬送ラインを形成する。そして、この第2搬送ライン142は、上記の搬送ラインにより、第1搬送ライン141にて搬送された紙葉類を、一時収納カセット120に搬送する。また、第2搬送ライン142は、一時収納カセット120に集積収納済みの紙葉類を、最下段の紙葉類から一枚ずつ取り出し、その取り出した紙葉類を第1搬送ライン141に受け渡す。
第3搬送ライン143は、識別部130とカセット101〜104とカセット105とを結ぶループ状の搬送経路を形成する。そして、この第3搬送ライン143は、上記の搬送ラインにより、第1搬送ライン141にて識別部130まで搬送された紙葉類を受け取って、識別部130での識別結果に応じて該当するカセットに紙葉類を搬送する。また、第3搬送ライン143は、各カセットに集積収納済みの紙葉類を、最上段の紙葉類から一枚ずつ取り出し、その取り出した紙葉類を第1搬送ライン141に受け渡す。なお、第1搬送ライン141に受け渡された紙葉類は、第1搬送ライン141により、返却部220や放出部222に搬送される。
上記した第1〜第3搬送ライン141〜143は、後述の制御部からの制御信号に基づいて駆動し、上記した紙葉類搬送を行う。また、これら第1〜第3搬送ライン141〜143は、それぞれの搬送ラインでの搬送方向に対して紙葉類が横送り・縦送りでも搬送できるよう、紙葉類挟持ローラ対やベルト(無端ベルト)を備える。この場合、紙葉類挟持ローラ対やベルトは、弾性体で形成され、紙葉類表面と接触した際の摩擦を利用して、紙葉類を縦送り・横送りのいずれの状態でも下流側に搬送する。
図5は本実施例の紙葉類入出金処理装置100において予定している紙葉類搬送の様子を示す説明図である。この図5に示すように、本実施例では、第1〜第3搬送ライン141〜143での紙葉類搬送に際して、紙幣については、搬送経路に対して紙幣長辺が直交する横送り搬送を予定しており(図5(A))、小切手等の有価証券(以下、有価証券を小切手として説明する)については、小切手長辺が搬送経路に沿うような縦送り搬送を予定している(図5(B))。このため、既述したカセットのうち、カセット101〜103は、第3搬送ライン143との間で、横送り搬送の紙幣の受け渡しを行い、紙幣を金種別に集積収納する。カセット104は、第3搬送ライン143との間で、縦送り搬送の小切手の受け渡しを行い、小切手を集積収納する。カセット105は、使用不可紙葉類を集積収納するものであることから、紙幣と小切手を混在して集積収納する。一時収納カセット120は、紙葉類を一時的に収納するものである都合上、第2搬送ライン142が搬送する紙幣と小切手を集積収納する。この場合、紙幣と小切手を混在して集積収納するほか、カセット内を区画して紙幣と小切手を区別し、それぞれを集積収納するよう構成することもできる。
上記したカセット101〜103のうち、カセット101は千円札を、カセット102は五千円札を、カセット103は一万円札をそれぞれ集積収納するものとされ、各カセットへの紙幣搬送は、識別部130での金種判別を経て行われる。
なお、上記したカセットとそれぞれの搬送ラインとの間の紙葉類受け渡し、投入部210からの受け渡し、返却部220や放出部222への受け渡しには、それぞれ図示しない紙葉類繰り出しローラ対が設置されている。そして、この紙葉類繰り出しローラ対にあっても、紙葉類を縦送り・横送りのいずれの状態でも下流側に繰り出せるよう、構成されている。
次に、紙幣や小切手の搬送を受ける識別部130の構成について説明する。図6は識別部130の概略構成を平面視して示す説明図である。図示するように、識別部130は、図中白抜き矢印で示す第1搬送ライン141の搬送方向に対して交差(直交)する第1センサ131と第2センサ132とを有する。また、これらセンサの前後に、紙葉類を送り出す送出ローラ対133を複数有する。送出ローラ対133は、第1搬送ライン141の搬送ラインの一部をなし、識別部130は、送出ローラ対133を駆動させつつ、第1センサ131と第2センサ132にてセンサ出力を得る。第1センサ131と第2センサ132は、紙葉類の表裏についての読み取りデータを取得するため、搬送される紙葉類に対して上下に配置されている。この場合、両センサを紙葉類の一方の側にだけ設置することもできる。
第1センサ131は、光学的なラインフォトセンサとして構成され、搬送される紙幣および小切手の表面を読み取って、表裏面の画像データを取得する。この画像データは、後述する制御部に送られ、種々の処理に用いられる。第2センサ132は、磁気感知式のラインセンサとして構成され、搬送される紙幣および小切手の表面に磁気インクにて印刷された記番号の列を読み取り、その記番号の列に含まれるここの文字・数字を読み取って、記番号文字データを取得する。この記番号文字データも、後述する制御部に送られ、種々の処理に用いられる。
この場合、既述したように、本実施例では、紙幣については横送り搬送を予定しており、小切手については縦送り搬送を予定しているので、第1センサ131は、紙幣表面画像データをその前面に亘って収得できるよう、0.2mmピッチの分解能を持ったフォトラインセンサとされている。また、第2センサ132は、例えば図1に示すように小切手の所定箇所(小切手に正対して右下端)に小切手長辺に沿って一列に磁気インク印刷されている記番号をその文字並びに沿って読み取って記番号文字データを所得できるよう、7.5mmピッチの分解能のラインセンサとされている。つまり、第2センサ132は、第1センサ131に比して、低い分解能のセンサ構成とされている。そして、第1センサ131は上記した高分解能であることから、第1センサ131から得られた画像データのデータ解析(画像認識)によれば、横送り搬送された紙幣に紙幣印刷用インクで印刷された紙幣記番号をも文字画像として認識可能である。
なお、識別部130は、紙幣や小切手の真偽判定、金種判定等の種々の処理を行うため、上記した第1センサ131や第2センサ132以外の他のセンサを備え、これら他のセンサ出力をも、第1センサ131や第2センサ132のセンサ出力と共に真偽判定、金種判定等の種々の処理に用いる。
次に、操作部110について説明する。図7は操作部110を正面視して示す説明図である。図示するように、操作部110は、窓状の表示部111と、把持操作されるキースイッチ112と、モード切替スイッチ113と、操作ボタン群114とを有する。表示部111は、後述の制御部による制御を受け、入出金する紙幣や小切手の金額や、紙葉類入出金処理装置100の動作状態等を表示する。キースイッチ112は、紙葉類入出金処理装置100に対して各種の保守作業を行う際に操作される監視キースイッチであり、通常はONとされている。つまり、このキースイッチ112がONからOFFに操作されれば、その後の保守作業時の安全確保、保守作業の効率化等のために、例えば、第1〜第3搬送ライン141〜143の動作を停止させたり、各ラインのマニュアルシーケンス送りができるようにする。
モード切替スイッチ113は、内部に発光部を備えた押圧式のスイッチであり、押圧するごとに、紙幣の入出金処理と小切手の入出金処理とを切り替える。例えば、現状において紙幣入出金処理であれば、紙幣入出金の文字列を発光部からの光で表示し、この状態から押圧操作されると、小切手入出金の文字列を表示する。そして、このモード切替スイッチ113は、その操作状態を後述の制御部に信号出力し、この出力を受けた制御部は、現状の入出金処理対象が紙幣であるか小切手であるかを判定する。本実施例では、紙幣と小切手の搬送方向が既述したように予定されていることから、このモード切替スイッチ113は、紙葉類の搬送開始に先だって操作され、受付対象の紙葉類の向きを横送り搬送向きと縦送り搬送向きのいずれか一方に設定する搬送向き設定操作部として機能する。
操作ボタン群114は、入金確認ボタン115と入金取消ボタン116と計数ボタン117とリセットボタン118を並べて構成されている。入金確認ボタン115は、一時収納カセット120に収納された紙幣や小切手の入金確定を指示する際に操作される。つまり、この入金確認ボタン115が操作されると、識別部130で行った金種判定、真偽判定等の結果に応じて、一時収納カセット120に収納済み紙幣・小切手が該当する搬送ラインによりカセット101〜104に搬送・収納される。入金取消ボタン116は、一時収納カセット120に収納された紙幣や小切手の入金の取り消しを指示する際に操作される。つまり、この入金取消ボタン116が操作されると、一時収納カセット120に収納済み紙幣・小切手が該当する搬送ラインにより返却部220や放出部222或いはカセット105に搬送される。計数ボタン117は、投入部210に投入された紙幣や小切手の計数を開始する際に操作され、当該ボタンの操作により、投入部210に集積された紙葉類の搬送が開始される。リセットボタン118は、紙葉類入出金処理装置100の作動状態を初期状態にリセットする際に操作され、当該ボタン操作により、紙葉類入出金処理装置100は、紙葉類受付やその後の処理に備えた初期状態となる。
次に、紙葉類入出金処理装置100の電気的な構成について説明する。図8は紙葉類入出金処理装置100の電気的な構成を示すブロック図である。図示するように、紙葉類入出金処理装置100は、制御部150を中心にして構成される。制御部150は、マイクロコンピュータとして構成され、論理演算回路であるCPU、一時的データの記憶を行うRAM、後述するプログラムに付いてのデータ等を記憶するROM等を備え、これらと後述のプログラムとで、判定処理部160、搬送方向判定部165、照合・判定部170を構成し、その他、照合のためのデータを記憶する記憶部180を備える。
判定処理部160は、識別部130の第1センサ131および第2センサ132が取得した画像データや記番号文字データを受け取り、これら以外のセンサ138のセンサ入力と相俟って、紙幣についての金種判定や真偽判定、取り扱い要否判定等の種々の処理を行う。また、小切手については、真偽判定の他、記番号の判別・管理等の種々の処理を行う。搬送方向判定部165は、投入部210に設置した右端センサ215、左端センサ216、中央センサ217および前端センサ218のセンサ出力を受け取り、投入部210に投入されて紙葉類受付の対象となる紙葉類の搬送向き(横送り搬送・縦送り搬送)を判定する。記憶部180は、横送り搬送向きが予定されている紙幣について、その金種ごとの紙幣の判別に用い得る紙幣表面の画像データと、縦送り搬送向きが予定されている小切手の判別に足りる画像データ(例えば、各種の市販小切手の表面模様画像データ)とを予め記憶する。そして、照合・判定部170は、この記憶部180が紙幣・小切手について記憶した画像データを、第1センサ131が取得した画像データと照合して、その照合結果に基づいて、操作部110のモード切替スイッチ113にて設定済みの搬送向きと、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類について予定されている搬送向きとの一致・不一致を判定する。これは、例えば、横送り搬送向きが予定されている紙幣が誤って縦送り搬送向きで搬送されたり、その逆に、縦送り搬送向きが予定されている小切手が誤って横送り搬送向きで搬送されたりした場合に、その紙葉類の搬送過程において、搬送向きの良否を判定するためである。こうすることの利点は、次の点である。
搬送方向判定部165は、上記したように投入・集積された紙葉類の搬送向き(横送り・縦送り)を判定し、その判定結果と操作部110のモード切替スイッチ113での設定向きとが一致すれば、紙葉類の搬送を開始し、不一致ならば搬送を止め、投入異常等の報知ができる。ところが、モード切替スイッチ113での設定向きが小切手処理に予定した縦送り向きでありながら、誤って紙幣を縦送り状態で投入部210に投入した場合、右端センサ215等のセンサ信号により搬送方向判定部165は縦送り向きと判定するので、モード切替スイッチ113での設定向きと搬送方向判定部165での判定向きは一致する。よって、この場合は、誤って投入された紙幣が搬送されてしまい、紙幣でありながらその搬送向きが縦送りであるため、小切手として処理され得る。しかしながら、照合・判定部170と記憶部180とによる搬送向き判定を行えば、上記のような紙葉類の誤投入の有無を判定できるので、その後の処理の中止や、紙葉類の返却処理等が可能となる。
また、制御部150は、一時収納カセット120に装着した一時保留検知センサ121からのセンサ入力を受け、一時収納カセット120における紙幣・小切手の収納の有無を判定する。
次に、上記した紙葉類入出金処理装置100の稼働の様子について説明する。図9は紙葉類入出金処理装置100の稼働をもたらす制御部150の処理内容のうち紙幣処理についての前半部分を示すフローチャート、図10は制御部150の紙幣処理についての後半部分を示すフローチャート、図11は紙葉類入出金処理装置100の稼働をもたらす制御部150の処理内容のうち小切手処理についての前半部分を示すフローチャート、図12は制御部150の小切手幣処理についての後半部分を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御部150は、まず操作部110におけるモード切替スイッチ113の操作状況を読み込み(ステップS100)、これに基づいて紙幣処理であるか小切手処理であるかを判定する(ステップS110)。モード切替スイッチ113は、紙葉類処理に先だって係員に操作されるものであり、係員は、今回の処理対象となる紙葉類(紙幣・小切手)に応じてこのモード切替スイッチ113を操作する。具体的には、紙幣処理(例えば、入金処理)の場合、係員はモード切替スイッチ113を操作して紙幣入金処理を指示する。小切手入金であれば、その旨の指示をモード切替スイッチ113の操作で行う。
制御部150は、ステップS110で紙幣入金であると判定すると、係員による投入部210への紙幣の投入・集積を待機し(ステップS120)、続いて、係員による計数ボタン117のボタン操作を待機する(ステップS130)。この場合、紙幣の投入・集積は、係員によるものであることから、モード切替スイッチ113の操作に先だって、或いはその前後になされていればよい。
次に、制御部150は、図4に示す4つのセンサからその出力を読み込み(ステップS140)、その出力状況に基づいて、投入部210に投入・集積された紙幣の送り方向の適否を判定する(ステップS150)。この判定は、次の意味を持つ。ステップS110ではモード切替スイッチ113の操作状況から現在の入金処理の対象は紙幣であるとされたわけであるので、紙幣に予定される送り方向である搬送向きは、処理速度向上の意味から横送り方向となる(図5(A)参照)。そうすると、横送り方向となるよう投入部210に投入・集積された紙幣により、前端センサ218を除くセンサがONとなる。よって、センサ出力状態により、現在の入金処理の対象である紙幣がこの投入部210に横送り方向で投入・集積されたかが判ることになる。つまり、ステップS150では、モード切替スイッチ113で設定された紙幣処理の送り方向(横送り方向)と、投入部210におけるセンサ出力により判別された送り方向とが一致するか否かを判定することになり、肯定判定すれば、後述するように紙幣搬送を開始する。
一方、前端センサ218と中央センサ217とがONとなれば、このセンサ出力に基づく送り方向は縦送り方向であり、モード切替スイッチ113で設定された紙幣処理の送り方向(横送り方向)と相違する。この場合は、ステップS150で否定判定され、制御部150は、モード切替スイッチ113で設定された紙幣処理の送り方向(横送り方向)の通りに紙幣が投入・集積されていない旨を表示部111に報知し(ステップS160)、一旦、ステップS120に戻る。つまり、紙幣の入金処理でありながら(ステップS110での判定)、処理対象となる紙幣の搬送向きが縦送り方向であることから、係員に紙幣の投入・集積を正すよう報知し、係員による正しい方向(横送り方向)での再度の紙幣の投入・集積を待つのである。なお、入金処理の対象が紙幣でありながら、係員が小切手を誤って横方向送りとなるよう投入部210に投入・集積した場合は、ステップS150にて肯定判定されるが、この場合については後述する。また、ステップS160での報知により、係員がモード切替スイッチ113を操作して紙幣処理から小切手処理に切り替えることも有りえる。この場合は、このモード切替スイッチ113の操作をトリガとして、ステップS100からの処理を繰り返せばよい。
ステップS150で、モード切替スイッチ113で設定された紙幣処理の送り方向(横送り方向)と、投入部210におけるセンサ出力により判別された送り方向とが一致すると肯定判定すれば、現在の処理対象である紙幣を予定されている横搬送方向(横送り方向)で搬送できることから、制御部150は、第1搬送ライン141をこれに付随した繰り出しローラ対と共に駆動し、投入部210に横送り方向で投入・集積済みの紙幣を最下段から一枚ずつ識別部130に搬送する(ステップS170)。この1枚ずつの紙幣搬送は、続くステップS180以降の識別部130でのセンサによる画像読み取りや真偽判定等が終わるたびに、繰り返される。
制御部150は、識別部130にて一枚ずつ紙幣を第1センサ131と第2センサ132の読み取り対象として、既述した画像データと記番号文字データを取得し(ステップS180)、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類(横送り搬送された紙幣或いは誤って横送り搬送された小切手)についての画像データを、記憶部180に記憶済みの紙幣についての画像データと照合する(ステップS190)。既述したように、この記憶部180には、横送り搬送向きが予定されている紙幣について、その金種ごとの紙幣の判別に用い得る紙幣表面の画像データが記憶されているので、ステップS190でのデータ照合により、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類は、横送り搬送された紙幣であるのか、誤って横送り搬送された小切手であるのかが判明する。よって、制御部150は、続くステップS200にて現実に搬送されてきた紙葉類が、モード切替スイッチ113にて処理対象とされた紙幣であるか否か、即ち、モード切替スイッチ113にて設定済みの搬送向きと、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類(この場合は紙幣)について予定されている搬送向きとの一致・不一致を判定する。
ステップS200で肯定判定すれば、横送り搬送向きが予定されている紙幣が正しく搬送されたことを意味し、否定判定すれば、縦送り搬送向きが予定されている小切手が誤って横送り搬送向きで搬送されたことを意味する。よって、ステップS200で否定判定すれば、制御部150は、モード切替スイッチ113で紙幣処理が設定されたにも拘わらず識別部130には小切手が誤って横送り方向で搬送された旨を表示部111に報知し(ステップS210)、第1搬送ライン141を駆動制御して、搬送済み紙葉類(この場合は小切手)を返却部220や放出部222に返却する(ステップS220)。返却後は、ステップS120に移行する。これにより、係員は、紙幣の入金処理でありながら(ステップS110での判定)、小切手を誤って搬送したことを認知するので、改めて紙幣を投入部210に横送り方向で投入・集積することになる。なお、ステップS210での報知により、係員がモード切替スイッチ113を操作して紙幣処理から小切手処理に切り替えることも有りえるが、この場合は、このモード切替スイッチ113の操作をトリガとして、ステップS100からの処理を繰り返せばよい。
ステップS200で肯定判定した場合は、現在の処理(入出金)の対象である紙幣が横送り搬送向きで正しく搬送されてきているので、この紙幣についての判定処理を実行する(ステップS230)。この紙幣判定処理は、第1センサ131が取得した画像データやこれ以外のセンサから得たセンサ出力に基づいて、紙幣の真偽判定、金種判定、更には正常・異常の包括的な判定が含まれる。この場合、金種判定にあっては、それぞれの紙幣が幾らの金種のお札であるかの判定の他、本実施例の紙葉類入出金処理装置100で処理可能な金種、例えばカセット101〜103の集積収納対象紙幣金種(千円札と五千円札と一万円札)であるか否かの判定も行われる。なお、二千円札用のカセットを用意して、二千円札も処理可能な金種とすることもできる。紙幣の正常・異常の判定には、第1センサ131の画像データの解析に加え、その他のセンサ出力を用いた複数の真偽判定項目の総てを満たした紙幣について正常と判定することと、複数の真偽判定項目の少なくとも一つの項目を満足しなかった紙幣(偽物紙幣、汚れ等により判定不能紙幣)について異常と判定することが含まれる。つまり、このステップS230では、本物の紙幣であって最終的にはカセット101〜103に集積収納の対象となる正常紙幣と、本物の紙幣であってもカセット101〜103での集積収納の対象となっていない紙幣(処理対象外紙幣)、本物の紙幣であっても破損等により今後の使用に耐えない回収紙幣、或いは偽物紙幣若しくは判定不能紙幣といった異常紙幣の判別がなされる。
制御部150は、続くステップS240にて上記ステップS230での判定結果に応じた紙幣搬送を行う。即ち、制御部150は、正常判定された紙幣については、第1搬送ライン141と第2搬送ライン142を駆動制御して、正常判定の紙幣を一時収納カセット120まで搬送して当該カセットに一時保留する。一方、異常判定された紙幣については、処理対象外紙幣や偽物紙幣、判定不能紙幣は、第1搬送ライン141を駆動制御して、異常判定の紙幣を紙葉類投入ヘッド200の返却部220や放出部222に返却する。また、今後の使用に耐えない回収紙幣は、バッチ的な処理により改めて回収・焼却処分とすべく、第1搬送ライン141と第3搬送ライン143を駆動制御して、カセット105に収納する。
こうして紙幣搬送を行うと、制御部150は、図10に示すように、投入部210に投入・集積された総ての紙幣についての処理が終了したか否かを判定し(ステップS250)、未了であれば、図9のステップS170に移行して、新たな紙幣についての上記処理を繰り返す。これにより、投入部210に投入・集積された総ての紙幣について、その金種判定、真偽判定等の上記判定が順次行われることになる。なお、紙幣処理終了は、投入部210に紙幣が投入・集積されていたためにそれまでON出力であった総てのセンサが、OFF出力に変化することに基づいて判定できる。
ステップS250で処理終了と判定すれば、制御部150は、紙幣のリジェクト、即ち異常判定の紙幣の放出部222への返却、或いは回収紙幣のカセット105に収納の有無を判定する(ステップS260)。ここでリジェクト無しと判定すれば、識別部130での判定処理に処した総ての紙幣の計数結果を表示部111に報知し(ステップS270)、係員による入金確認ボタン115や入金取消ボタン116のボタン操作の有無を待機する(ステップS280)。
一方、ステップS260でリジェクト有りと判定すれば、識別部130での判定処理に処した紙幣(詳しくは、リジェクト紙幣以外の紙幣)の計数結果とリジェクトがあった旨を表示部111に報知し(ステップS290)、係員によるリジェクト紙幣の再計数のための投入部210への再投入を待機する(ステップS300)。この再投入待機の間に、係員がリジェクト紙幣を投入部210に再度投入すれば、投入部210における右端センサ215と左端センサ216と中央センサ217のセンサ入力があるので、制御部150は、このセンサ入力をトリガとしてステップS120以降の処理を繰り返す。係員がリジェクト紙幣の再投入を行わない場合(例えば、所定時間経過後)は、制御部150は、係員による入金確認ボタン115や入金取消ボタン116のボタン操作待機(ステップS280)に移行する。
係員による入金確認ボタン115操作があると、制御部150は、入金処理の実行が確定したとして、一時収納カセット120に一時収納済みの紙幣を一時収納カセット120から搬送し、その金種ごとに分別しつつカセット101〜103に収納集積し(ステップS310)、本ルーチンを終了する。この入金確定を受けて行われる紙幣搬送・カセット収納は、次のようにして行われる。まず、制御部150は、一時収納カセット120と第2搬送ライン142との間の繰り出しローラ対、および第2搬送ライン142と第1搬送ライン141に駆動信号を出力し、一時収納カセット120から紙幣を取り出して識別部130に搬送する。識別部130は、改めて第1センサ131による画像データ取得を行い、制御部150は、その画像データ解析により金種を判定し、金種に対応したカセットに紙幣を収納するよう、第1搬送ライン141と第3搬送ライン143とを駆動制御する。こうした紙幣搬送・カセット収納が、一時収納カセット120に一助保留済みの総ての紙幣について実行される。この際、制御部150は、一時収納カセット120に装着した一時保留検知センサ121のセンサ出力を参照し、カセットでの紙幣収納の有無、搬出の完了を検知しつつ、上記の紙幣搬送・カセット収納を行う。
一方、係員による入金取消ボタン116操作があると、制御部150は、入金処理取消が確定したとして、一時収納カセット120に一時収納済みの紙幣を、一時収納カセット120から搬送して返却部220に返却し(ステップS320)、本ルーチンを終了する。この入金取消確定を受けて行われる紙幣返却は、次のようにして行われる。制御部150は、一時収納カセット120と第2搬送ライン142との間の繰り出しローラ対、および第2搬送ライン142と第1搬送ライン141に駆動信号を出力し、一時収納カセット120から紙幣を取り出して返却部220に紙幣を一枚ずつ返却する。この場合にあっても、制御部150は、一時保留検知センサ121のセンサ出力を参照しつつ、上記の紙幣返却を行う。
次に、小切手についての入金処理について説明する。小切手入金処理は、図9のステップS110においてモード切替スイッチ113の操作により小切手処理であると判定された場合に実行されることになる。この小切手処理(入金処理)は、その処理対象が小切手に変わったに過ぎず、その処理内容はほぼ紙幣処理と同じである。
小切手処理では、図11に示すように、制御部150は、係員による投入部210への小切手の投入・集積並びに計数ボタン117のボタン操作を待機し(ステップS330〜340)、図4に示す4つのセンサからその出力を読み込んで(ステップS350)、投入部210に投入・集積された小切手の送り方向の適否を判定する(ステップS360)。小切手処理では、モード切替スイッチ113の操作状況から現在の入金処理の対象は小切手であることから、小切手に予定される送り方向である搬送向きは、磁気インクの印刷文字列である記番号の読み取り精度の信頼性向上の意味から縦送り方向となる(図5(B)参照)。そうすると、縦送り方向となるよう投入部210に投入・集積された小切手により、右端センサ215と左端センサ216を除く中央センサ217と前端センサ218の両センサがONとなる。よって、センサ出力状態により、現在の入金処理の対象である小切手がこの投入部210に縦送り方向で投入・集積されたかが判ることになる。つまり、ステップS360では、モード切替スイッチ113で設定された小切手処理の送り方向(縦送り方向)と、投入部210におけるセンサ出力により判別された送り方向とが一致するか否かを判定することになり、肯定判定すれば、後述するように小切手搬送を開始する。
一方、前端センサ218を除く総てのセンサがONとなれば、このセンサ出力に基づく送り方向は横送り方向であり、モード切替スイッチ113で設定された小切手処理の送り方向(縦送り方向)と相違する。この場合は、ステップS360で否定判定され、制御部150は、モード切替スイッチ113で設定された小切手処理の送り方向(縦送り方向)の通りに小切手が投入・集積されていない旨を表示部111に報知し(ステップS370)、一旦、ステップS330に戻る。つまり、小切手の入金処理でありながら(図9のステップS110での判定)、処理対象となる小切手の搬送向きが横送り方向であることから、係員に小切手の投入・集積を正すよう報知し、係員による正しい方向(縦送り方向)での再度の紙幣の投入・集積を待つのである。なお、入金処理の対象が小切手でありながら、係員が紙幣を誤って縦方向送りとなるよう投入部210に投入・集積した場合は、ステップS360にて肯定判定されるが、この場合は後述のステップS410〜430にて、紙幣処理の場合と同様処理される。また、ステップS370での報知により、係員がモード切替スイッチ113を操作して小切手処理から紙幣処理に切り替えた場合は、先に説明したように、モード切替スイッチ113の操作をトリガとして、ステップS100からの処理を繰り返せばよい。
ステップS360で、モード切替スイッチ113で設定された小切手処理の送り方向(縦送り方向)と、投入部210におけるセンサ出力により判別された送り方向とが一致すると肯定判定すれば、現在の処理対象である小切手を予定されている縦搬送方向(縦送り方向)で搬送できることから、制御部150は、第1搬送ライン141をこれに付随した繰り出しローラ対と共に駆動し、投入部210に縦送り方向で投入・集積済みの小切手を最下段から一枚ずつ識別部130に搬送する(ステップS380)。この1枚ずつの小切手搬送は、続くステップS390以降の識別部130でのセンサによる読み取りや真偽判定等が終わるたびに、繰り返される。
小切手処理にあっても、制御部150は、識別部130にて一枚ずつ小切手を第1センサ131と第2センサ132の読み取り対象として、既述した画像データと記番号文字データを取得し(ステップS390)、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類(縦送り搬送された小切手或いは誤って縦送り搬送された紙幣)についての画像データを、記憶部180に記憶済みの紙幣についての画像データと照合する(ステップS400)。既述したように、この記憶部180には、縦送り搬送向きが予定されている小切手について、例えば市販小切手の表面模様の画像データや本実施例の紙葉類入出金処理装置100での処理が予定されている小切手の表面模様の画像データが記憶されているので、ステップS400でのデータ照合により、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類は、縦送り搬送された小切手であるのか、誤って縦送り搬送された紙幣或いは取り扱い不可の小切手であるのかが判明する。よって、制御部150は、続くステップS410にて現実に搬送されてきた紙葉類が、モード切替スイッチ113にて処理対象とされた小切手であるか否か、即ち、モード切替スイッチ113にて設定済みの搬送向きと、識別部130に実際に搬送されてきた紙葉類(この場合は小切手)について予定されている搬送向きとの一致・不一致を判定する。
ステップS410で肯定判定すれば、縦送り搬送向きが予定されている小切手が正しく搬送されたことを意味し、否定判定すれば、横送り搬送向きが予定されている紙幣が誤って縦送り搬送向きで搬送されたことを意味する。よって、ステップS410で否定判定すれば、制御部150は、モード切替スイッチ113で小切手処理が設定されたにも拘わらず識別部130には紙幣や取り扱い不可の小切手が誤って縦送り方向で搬送された旨を表示部111に報知し(ステップS420)、第1搬送ライン141を駆動制御して、搬送済み紙葉類(この場合は紙幣や取り扱い不可小切手)を返却部220や放出部222に返却する(ステップS430)。返却後は、ステップS330に移行する。これにより、係員は、小切手の入金処理でありながら(ステップS110での判定)、紙幣や取り扱い不可小切手を誤って搬送したことを認知するので、改めて取り扱い可能小切手を投入部210に縦送り方向で投入・集積することになる。なお、ステップS420での報知により、係員がモード切替スイッチ113を操作して小切手処理から紙幣処理に切り替えることも有りえるが、この場合は、このモード切替スイッチ113の操作をトリガとして、ステップS100からの処理を繰り返せばよい。
ステップS410で肯定判定した場合は、現在の処理(入出金)の対象である小切手(取り扱い可能小切手)が縦送り搬送向きで正しく搬送されてきているので、この小切手についての判定処理を実行する(ステップS440)。この小切手判定処理は、第1センサ131が取得した画像データと第2センサ132が縦送り方向に沿った並びの記番号の磁気読み取りを経て取得した記番号文字データの他、他のセンサから得たセンサ出力に基づいて行う。この場合、第2センサ132による記番号の読み取りは、記番号文字の並びに沿った記番号の並びの順になされることになる。そして、小切手判定処理に際しては、記番号の読み取り精度の更なる向上のため、第2センサ132が読み取った磁気インクの記番号文字列データから得られた記番号と、第1センサ131が取得した画像データから得られた記番号とを照合するようにし、この照合結果を真偽判定の一項目とした。また、第2センサ132から取得した記番号と図示しない他のデータベースに記憶済みの記番号ファイルとの照合を経た小切手の真偽判定、記入金額、更には正常・異常の包括的な判定をも行うこととした。この場合、ステップS410で行った取り扱い可能小切手・不可小切手の判別もこの判定処理で行うことができる。取り扱い不可小切手は、紙葉類入出金処理装置100での取り扱いが予定されていない小切手の他、偽造小切手も含まれる。また、小切手の正常・異常の判定には、第2センサ132から取得した記番号データの解析で得られた記番号と、第1センサ131の画像データの解析で得られた記番号の照合や、その他のセンサ出力を用いた複数の真偽判定項目の総てを満たした紙幣について正常と判定することと、複数の真偽判定項目の少なくとも一つの項目を満足しなかった小切手(偽物小切手、汚れ等により記番号判定不能小切手)について異常と判定することが含まれる。つまり、このステップS440では、本物の小切手であって最終的にはカセット104に集積収納する正常小切手と、本物の小切手であっても破損や汚れ等により小切手金額が読み取り不能な小切手、或いは偽物小切手といった異常小切手の判別がなされる。
制御部150は、続くステップS450にて上記ステップS44での判定結果に応じた小切手搬送を行う。即ち、制御部150は、正常判定された小切手については、第1搬送ライン141と第2搬送ライン142を駆動制御して、正常判定の小切手を一時収納カセット120まで搬送して当該カセットに一時保留する。一方、異常判定された小切手については、取り扱い不可小切手や偽物小切手、判定不能小切手は、第1搬送ライン141を駆動制御して、異常判定の小切手を紙葉類投入ヘッド200の返却部220や放出部222に返却する。
こうして小切手搬送を行うと、制御部150は、図12に示すように、投入部210に投入・集積された総ての小切手についての処理が終了したか否かを判定し(ステップS460)、未了であれば、図11のステップS380に移行して、新たな小切手についての上記処理を繰り返す。これにより、投入部210に投入・集積された総ての小切手について、真偽判定等の上記判定が順次行われることになる。なお、処理終了は、既述したように投入部210におけるセンサ出力推移により判定される。
ステップS460で処理終了と判定すれば、制御部150は、小切手のリジェクト(異常小切手の放出部222への返却)の有無を判定し(ステップS470)、リジェクト無しであれば、識別部130での判定処理に処した総ての小切手の計数結果を表示部111に報知し(ステップS480)、図10のステップS280に移行して、係員による入金確認ボタン115や入金取消ボタン116のボタン操作を待機する。一方、ステップS450でリジェクト有りと判定すれば、識別部130での判定処理に処した小切手(詳しくは、リジェクト小切手以外の小切手)の計数結果とリジェクトがあった旨を表示部111に報知し(ステップS490)、係員によるリジェクト紙幣の再計数のための投入部210への再投入を待機する(ステップS500)。この再投入待機の間に、係員がリジェクト小切手を投入部210に再度投入すれば、投入部210におけるセンサ入力により、制御部150は、ステップS330以降の処理を繰り返す。係員がリジェクト紙幣の再投入を行わない場合(例えば、所定時間経過後)は、制御部150は、係員による入金確認ボタン115や入金取消ボタン116のボタン操作待機(ステップS280)に移行する。
係員による入金確認ボタン115操作があると、制御部150は、入金処理の実行(この場合は小切手についての処理実行)が確定したとして、一時収納カセット120に一時収納済みの小切手を一時収納カセット120から搬送し、カセット104に収納集積し(ステップS310)、本ルーチンを終了する。この入金確定を受けて行われる小切手搬送・カセット収納は、次のようにして行われる。まず、制御部150は、一時収納カセット120と第2搬送ライン142との間の繰り出しローラ対、および第2搬送ライン142と第1搬送ライン141、第3搬送ライン143に駆動信号を出力し、一時収納カセット120から小切手を取り出してカセット104に紙幣を収納する。こうした小切手搬送・カセット収納が、一時収納カセット120に一助保留済みの総ての小切手について実行される。この際、制御部150は、一時収納カセット120に装着した一時保留検知センサ121のセンサ出力を参照し、カセットでの小切手収納の有無、搬出の完了を検知しつつ、上記の小切手搬送・カセット収納を行う。
一方、係員による入金取消ボタン116操作があると、制御部150は、入金処理取消が確定したとして、一時収納カセット120に一時収納済みの小切手を、一時収納カセット120から搬送して返却部220に返却し(ステップS320)、本ルーチンを終了する。この入金取消確定を受けて行われる小切手返却は、既述した紙幣返却と同じである。
次に、カセット101〜103に集積収納済みの紙幣の出金処理について、簡単に説明する。カセット収納済み紙幣の出金に際しては、係員による図示しないテンキーからの出金額設定、紙幣金種と枚数設定がなされ、これらが設定されると、制御部150は、設定金種に該当するカセットから紙幣を取り出して返却部220に搬送する。この搬送に際しては、識別部130を通過するよう第1搬送ライン141と第3搬送ライン143を駆動制御し、識別部130では、設定された金種との一致・不一致が、第1センサ131から取得した画像データの解析に基づいて実行される。そして、金種の一致した紙幣については、返却部220に搬送されて出金され、金種不一致の紙幣は、リジェクト紙幣としてカセット105に収納される。
以上説明したように、本実施例の紙葉類入出金処理装置100では、紙幣や小切手の入金処理のこれら紙葉類の受け付けに際し、投入部210に設けた右端センサ215、左端センサ216、中央センサ217および前端センサ218のセンサ出力に応じて、現在受付対象となっている紙幣或いは小切手について、その搬送向き(紙幣であれば横送り搬送向き、小切手であれば縦送り搬送向き)を判定する。そして、この判定結果に基づいて、紙幣受け付け(入金処理)であれば、識別部130における第1センサ131が表面読み取りによって取得した画像データを紙幣の種々の判定処理に用い、小切手受け付け(入金処理)であれば、識別部130の第2センサ132にて、小切手に磁気インクで印刷済みの記番号の文字列データを文字の並びに沿って読み取り、その記番号文字データを小切手の種々の判定に用いる。
この結果、本実施例の紙葉類入出金処理装置100によれば、一度の大量処理・受付時間短縮化が望まれる紙幣受付にあっては、紙幣をその搬送向きが横送り搬送向きとなるように投入部210に投入すれば、その搬送向きが判定されて第1センサ131による画像データ取得が行われ、この画像データを用いた判定処理を行うことができる。その一方、記番号といった磁気インク印刷文字列の各文字の読み取り精度が重視される小切手受付にあっては、小切手をその搬送向きが縦送り搬送向きとなるように投入部210に投入すれば、その搬送向きが判定されて第2センサ132による記番号文字列のデータ取得が行われ、この記番号文字列データを用いた判定処理を行うことができる。従って、紙幣と小切手を、その紙葉類の種別ごとの要請(大量処理・時間短縮、読み取り精度重視)に則って容易に受付処理できる。このため、紙葉類入出金処理装置100の設置スペースの省スペース化が可能であると共に、磁気感知式の第2センサ132の分解能を不用意に高める必要がなくコスト的に有益である。更には、本実施例の紙葉類入出金処理装置100により、紙幣と小切手を受け付け処理できるので、紙葉類に応じた装置の使い分けも不要となり、簡便となる。
また、縦送り搬送が予定されている小切手については、第2センサ132が読み取った磁気インクの記番号文字列データから得られた記番号と、第1センサ131が取得した画像データから得られた記番号とを照合するようにし(ステップS44)、その照合の結果を小切手真偽判定等にいることにした。このため、縦送り搬送向きで搬送される小切手の判定処理精度をより高めることができる。
更に、処理に先だってモード切替スイッチ113によりその処理対象を紙幣・小切手のいずれかを設定し、スイッチ操作により紙幣処理であれば、紙幣に予定されている搬送方向(横送り方向)と、投入部210に投入・集積された状態での搬送方向との一致・不一致(ステップS150)、小切手処理であれば、小切手に予定されている搬送方向(縦送り方向)と、投入部210に投入・集積された状態での搬送方向との一致・不一致(ステップS360)を判定し、これら搬送方向が一致した場合に、投入部210からの搬送を開始するようにした。よって、予定されている搬送向きと異なる搬送向きで紙幣や小切手を誤って搬送してしまうようなことが無くなり、好ましい。この場合、搬送方向が不一致であれば、その旨報知して(ステップS160、370)、係員に正しい搬送向きでの搬送、即ち投入部210への投入・集積を促すので、その後の処理実行が速やかとなり、好ましい。
加えて、紙幣・小切手の判定処理に先立ち、紙幣と小切手について予め記憶した画像データと、実際に識別部130に搬送されてきた紙幣・小切手から第1センサ131が取得した画像データとを照合し(ステップS190、400)、紙幣或いは小切手に設定されている搬送方向と、実際に識別部130に搬送されてきた紙幣或いは小切手について予定されている搬送向きとの一致・不一致を判定するようにした(ステップS200、410)。そして、設定された搬送向きと、実際に搬送されてきた紙幣或いは小切手に予定されている搬送向きとが一致した場合に、その実際に搬送されてきた紙幣或いは小切手に付いての判定処理を行い、不一致であれば、その旨の報知・返却を行うようにした(ステップS210〜220、420〜430)。よって、例えば、横送り搬送向きに設定したにも拘わらず、実際には横送り搬送向きで小切手が搬送されたような場合には、誤って小切手を紙幣の搬送向き(横送り搬送向き)で投入してしまったようなことを検知できる。縦送り搬送向きに設定したにも拘わらず、実際には縦送り搬送向きで紙幣が搬送された場合も同様である。こうした事態は、投入部210に誤った紙葉類を投入したことであるので、こうした紙葉類投入不備があった場合には、その旨の報知および返却により、投入不備の速やかな解消や、投入不備紙葉類の回収が容易となり、好ましい。
また、本実施例では、図5に示すように、投入部210を横送り搬送向きでの紙幣の投入・集積と縦送り搬送向きでの小切手の投入・集積とが可能となるよう構成した上で、投入部210に設けた右端センサ215、左端センサ216、中央センサ217および前端センサ218のセンサ出力から、横送り搬送向きでの投入載置と、縦送り搬送向きでの投入載置とを判定できる。よって、搬送向きが誤ったままの紙幣・小切手の投入不備を未然に回避できる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。例えば、上記の実施例では、小切手を例に取り説明したが、商品券や手形といった他の有価証券処理に適用することもできる。
また、投入部210を、横送り搬送向きでの紙葉類専用の投入部と、縦送り搬送向きでの紙葉類専用の投入部とを上下に配置した構成とすることもできる、こうすれば、どちらの投入部に投入されたかで、現在処理しようとする紙葉類の搬送向きが判別できる。更には、紙幣と小切手を、紙幣は横送りで小切手は縦送りで混在して処理するようにすることもできる。こうするには、次のようにすればよい。ステップS200での実際に搬送された紙葉類の搬送対象の判定において、搬送されてきた紙葉類の種別(紙幣と小切手かの別)と、その搬送方向(横送り方向か縦送り方向かの別)を第1センサ131の画像データにより判定する。そして、紙幣については、金種・真偽等の判定に第2センサ132を用いる必要がないので、予定されている横送り方向で搬送されてきた場合の他、誤って紙幣が縦送り方向で搬送された場合も、第1センサ131が取得した画像データを判定処理に用いる。つまり、縦送り搬送は搬送向きが正しくはないものの、処理時間が縦送りであるため多少は長くなったとしても、改めての投入を行わないで、縦送り搬送のまま紙幣の判定を行う。小切手については、記入金額が高額であったりすると記番号の読み取り精度を損なうことができないので、第1センサ131の画像データにより小切手が横送り搬送された場合には、縦送りでの再投入・処理を行うべく返却することとし、予定されている縦送り方向で小切手が搬送された場合に限り、第2センサ132による記番号文字の並びに沿って記番号の並び順に記番号を判読するようにする。