ところで、電気光学装置としての液晶表示装置において動画像を表示する場合にその再現性を向上するためには液晶における応答特性を改善することは必要不可欠である。液晶の応答特性は、一定温度においては、定常状態(配向状態)からの遷移については、液晶層に印加される電界の大きさに応じて応答速度が速くなる。
また、液晶層に電界が印加された状態から配向状態への遷移は、一定の応答時間が必要である。この応答時間は、一般的に液晶層に電界を印加した時間の数倍の長さである。
更に、電気光学装置としての液晶装置における液晶をサブフィールド駆動により階調表示させる場合に、液晶自体また液晶の周囲における温度の変化によって応答特性が変化するために、オン状態となるパルス、オフ状態となるパルスの時間的な配置の仕方によって液晶の階調特性が変化し、画質が低下するという間題がある。
また、単純なサブフィールド駆動方式では、表示可能な階調が、分割したサブフィールドの数に制限されてしまうという問題があった。例えば、フィールドをM個のサブフィールドに分割した場合、表示可能な階調は(M+1)となる。階調数を増やすためにはサブフィールドの数を増やさなくてはならないが、その場合、画面の走査を高速にする必要がある。しかし現実には駆動素子の動作速度により限界がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電気光学材料としての液晶の応答特性を改善して画質の向上を図ることができると共に、重み付けしない、単純なフィールド分割によりサブフィールドを決めた場合でも、サブフィールドの数よりはるかに多く階調表示できる電気光学装置の駆動方法、その駆動回路、電気光学装置さらには、この電気光学装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
本発明に係る電気光学装置の駆動回路は、電圧の印加によって光の透過率が可変の電気光学材料によってマトリクス状に各画素が構成された表示部に対して、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を供給することにより、前記電気光学材料の単位時間における光の透過状態と非透過状態との状態及び時間比に応じて階調表現を行うサブフィールド駆動を行うものであって、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、前記オン電圧を印加した場合に前記電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりも前記サブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいて前記オン電圧を印加するサブフィールドと前記オフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行う駆動手段を具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、各画素を構成する電気光学材料は、電圧の印加によって光の透過率が可変である。駆動手段は、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を電気光学材料に印加することによって、各画素をサブフィールド駆動する。駆動手段は、オン電圧を印加した場合に電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりもサブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいてオン電圧を印加するサブフィールドとオフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行う。電気光学材料の飽和応答時間が1サブフィールドの時間よりも長いので、電気光学材料の透過率は1フィールド内のサブフィールド数よりも細かく変化させることができる。これにより、1フィールド内のサブフィールド数に比べて表現可能な階調数を著しく増大させることが可能となる。
また、本発明に係る電気光学装置の駆動回路は、電圧の印加によって光の透過率が可変の電気光学材料によってマトリクス状に各画素が構成された表示部に対して、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を供給することにより、前記電気光学材料の単位時間における光の透過状態と非透過状態との状態及び時間比に応じて階調表現を行うサブフィールド駆動を行うものであって、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、前記オフ電圧を印加した場合に前記電気光学材料の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも前記サブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいて前記オン電圧を印加するサブフィールドと前記オフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行う駆動手段を具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、駆動手段は、オフ電圧を印加した場合に電気光学材料の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりもサブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいてオン電圧を印加するサブフィールドとオフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行う。電気光学材料の非透過応答時間が1サブフィールドの時間よりも長いので、電気光学材料の透過率は1フィールド内のサブフィールド数よりも細かく変化させることができる。これにより、1フィールド内のサブフィールド数に比べて表現可能な階調数を著しく増大させることが可能となる。
前記駆動手段は、前記フィールド期間における前記電気光学材料の透過状態の積分値が表示データに対応するように、連続又は非連続のサブフィールドにおいて前記オン電圧を前記電気光学材料に印加することを特徴とする。
このような構成によれば、オン電圧は、フィールド期間における電気光学材料の透過状態の積分値が表示データに対応するように、連続又は非連続のサブフィールドにおいて電気光学材料に印加される。これにより、多階調での表示が可能となる。
また、前記各フィールド内の複数のサブフィールドは、略同一の時間幅に設定されることを特徴とする。
このような構成によれば、駆動回路を簡略化することができるとともに、液晶などの一定の応答時間を有する電気光学材料を用いた表示装置のサブフィールド駆動に適用することができる。
前記飽和応答時間は、3サブフィールド期間以上の時間であることを特徴とする。
このような構成によれば、1サブフィールド期間あたりにおける電気光学材料の透過率の変化が比較的小さいので、より多階調での表示が可能となる。
前記非透過応答時間は、3サブフィールド期間以上の時間であることを特徴とする。
このような構成によれば、1サブフィールド期間あたりにおける電気光学材料の透過率の変化が比較的小さいので、より多階調での表示が可能となる。
前記オン電圧は、前記フィールド期間の先頭側のサブフィールド期間において集中的に前記電気光学材料に印加することを特徴とする。
このような構成によれば、フィールド期間の終端では電気光学材料を非透過状態にし易いことから、表示の応答特性を向上させることができる。
前記オフ電圧は、前記フィールド期間の終端側のサブフィールド期間において集中的に前記電気光学材料に印加することを特徴とする。
このような構成によれば、フィールド期間の終端では電気光学材料を非透過状態にし易いことから、表示の応答特性を向上させることができる。
本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、電圧の印加によって光の透過率が可変の電気光学材料によってマトリクス状に各画素が構成された表示部に対して、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を供給することにより、前記電気光学材料の単位時間における光の透過状態と非透過状態との状態及び時間比に応じて階調表現を行うサブフィールド駆動を行う電気光学装置の駆動方法であって、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、前記オン電圧を印加した場合に前記電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりも前記サブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいて前記オン電圧を印加するサブフィールドと前記オフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、各画素を構成する電気光学材料は、電圧の印加によって光の透過率が可変である。サブフィールド駆動においては、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を電気光学材料に印加することによって、各画素を駆動する。サブフィールドの時間は、オン電圧を印加した場合に電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりも短く設定され、階調表現は、オン電圧を印加するサブフィールドとオフ電圧を印加するサブフィールドとを、表示データに基づいて決定することによって行われる。電気光学材料の飽和応答時間が1サブフィールドの時間よりも長いので、電気光学材料の透過率は1フィールド内のサブフィールド数よりも細かく変化させることができる。これにより、1フィールド内のサブフィールド数に比べて表現可能な階調数を著しく増大させることが可能となる。
また、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、電圧の印加によって光の透過率が可変の電気光学材料によってマトリクス状に各画素が構成された表示部に対して、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を供給することにより、前記電気光学材料の単位時間における光の透過状態と非透過状態との状態及び時間比に応じて階調表現を行うサブフィールド駆動を行う電気光学装置の駆動方法であって、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、前記オフ電圧を印加した場合に前記電気光学材料の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも前記サブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいて前記オン電圧を印加するサブフィールドと前記オフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、サブフィールドの時間は、オフ電圧を印加した場合に電気光学材料の透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間よりも短く設定され、階調表現は、オン電圧を印加するサブフィールドとオフ電圧を印加するサブフィールドとを、表示データに基づいて決定することによって行われる。電気光学材料の非透過応答時間が1サブフィールドの時間よりも長いので、電気光学材料の透過率は1フィールド内のサブフィールド数よりも細かく変化させることができる。これにより、1フィールド内のサブフィールド数に比べて表現可能な階調数を著しく増大させることが可能となる。
前記階調表現は、前記フィールド期間における前記電気光学材料の透過状態の積分値が表示データに対応するように、連続又は非連続のサブフィールドにおいて前記オン電圧を前記電気光学材料に印加することにより行われることを特徴とする。
このような構成によれば、オン電圧は、フィールド期間における電気光学材料の透過状態の積分値が表示データに対応するように、連続又は非連続のサブフィールドにおいて電気光学材料に印加される。これにより、多階調での表示が可能となる。
また、本発明に係る電気光学装置の駆動方法は、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを備える複数の画素を、表示データに従って、サブフィールド毎、オン電圧又はオフ電圧により制御し、駆動することによりフィールド内で前記複数の画素の各々に階調表示させる電気光学装置の駆動方法であって、前記オン電圧を印加した場合に前記電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりも前記サブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいてオン電圧を印加するサブフィールドとオフ電圧を印加するサブフィールドとを決定することを特徴とする。
このような構成によれば、サブフィールドの時間は、オン電圧を印加した場合に電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりも短く設定される。これにより、1サブフィールド期間における電気光学材料の透過率の変化は小さく、多階調での表示が可能となる。
本発明に係る電気光学装置は、上記電気光学装置の駆動回路を具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、サブフィールド駆動において透過率を細かく制御することができく、多階調表示が可能である。
また、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素を有し、透過率を飽和させることが可能なオン電圧又は非透過状態にさせることが可能なオフ電圧を供給することにより、前記電気光学材料の単位時間における光の透過状態と非透過状態との状態及び時間比に応じて階調表現を行うサブフィールド駆動を行うものであって、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドを制御単位とし、前記オン電圧を印加した場合に前記電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりも前記サブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいて前記オン電圧を印加するサブフィールドと前記オフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行う駆動手段を具備したことを特徴とする。
このような構成によれば、画素は、画素電極、スイッチング素子、電気光学材料及び対向電極を有しており、例えば液晶装置に適用して、多階調表示が可能である。
本発明に係る電子機器は、上記電気光学装置を具備したことを特徴とする電子機器。
このような構成によれば、多階調表示が可能である。
また、本発明は、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを構える複数の画素を、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動することによりフィールド内でサブフィールド駆動方式を用いて前記複数の画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより階調表示させる電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の画素の各々に透過状態にするパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるように制御することを特徴とする。
このような構成によれば、複数のデータ線と複数の走査線との交差に対応して配設される、画素電極と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを備える複数の画素を階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動することにより画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせ、複数の画素が階調表示される。この場合において、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数の各画素が各サブフィールドにおいて階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動され、複数の画素の各々に透過状態にするパルス信号がフィールドにおける前半に集中させるように制御される。
これにより、画素を構成する電気光学材料としての液晶における目標透過率に到達するまでの時間が短縮でき、高速応答化が図れ、その結果、画質の向上が図れる。
また、本発明は、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを備える複数の画素を、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動することによりフィールド内でサブフィールド駆動方式で前記複数の画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより階調表示させる電気光学装置の駆動方法であって、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更することを特徴とする。
本発明によれば、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される液晶と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素が、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動させ前記画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより前記画素が階調表示される。この場合において、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数の各画素が各サブフィールドにおいて階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動され、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅が変更される。
これにより、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に速やかに所望の階調となるように、画素を構成する電気光学材料としての液晶における応答性を改善することができ、画質の向上が図れる。
また、本発明は、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを備える複数の画素を、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動することによりフィールド内でサブフィールド駆動方式で前記複数の画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより階調表示させる電気光学装置の駆動方法であって、前記フィールドの少なくとも最後のサブフィールドには非透過状態にさせるパルス信号を出力させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される液晶と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素が、階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動させ前記画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより前記画素が階調表示される。この場合において、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数の各画素が各サブフィールドにおいて階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動され、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、前記フィールドの少なくとも最後のサブフィールドには非透過状態にさせるパルス信号を出力させる。
これにより、次のフィールドを表示する前に、短い時間の黒表示を挿入することができ、それぞれのフィールドが連続的ではなく、間欠的に表示されるようになるので動画認識性が向上する。
また、本発明は、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを備える複数の画素を、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動することによりフィールド内でサブフィールド駆動方式を用いて前記複数の画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより階調表示させる電気光学装置の駆動方法であって、前記電気光学材料自体、又は該電気光学材料の周囲の温度に応じて各フィールドにおいて前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更することを特徴とする。
本発明によれば、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される液晶と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素が、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動され前記画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより前記画素が階調表示される。この場合において、各フィールドを、時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数の各画素が各サブフィールドにおいて階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動され、前記電気光学材料自体、又は該電気光学材料の周囲の温度に応じて各フィールドにおいて前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更するように制御される。これにより、電気光学材料としての液晶が、液晶自体又は液晶の周囲の温度により応答速度が変化しても、階調特性が一定になるようにすることができ、温度変化に起因する階調特性の劣化を改善でき、画質の向上が図れる。
また、本発明は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素を有し、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記画素を階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動することによりフィールド内でサブフィールド駆動方式を用いて前記複数の画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより階調表示させる電気光学装置の駆動回路であって、前記複数の画素の各々に透過状態にさせるパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるように制御する制御手段を有することを特徴とする。
また、本発明の一態様においては、前記制御手段は、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更することを特徴とする。
本発明によれば、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される液晶と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素が、階調データに従って前記画素を透過状態又は非透過状態にさせるオン電圧又はオフ電圧で駆動され階調表示される。この場合において、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数の各画素が各サブフィールドにおいて階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動され、制御手段により複数の画素の各々を透過状態にさせるパルス信号がフィールドにおける前半に集中させるように制御される。
これにより、画素を構成する電気光学材料としての液晶における目標透過率に到達するまでの時間が短縮でき、高速応答化が図れ、その結果、画質の向上が図れる。
また、前記制御手段は、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更するように制御する。
これにより、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に速やかに所望の階調となるように、画素を構成する電気光学材料としての液晶における応答性を改善することができ、画質の向上が図れる。
また、本発明の他の一態様においては、前記制御手段は、前記フィールドの少なくとも最後のサブフィールドには非透過状態にさせるパルス信号を出力させることを特徴とする。
これにより、次のフィールドを表示する前に短い時間の黒表示を挿入することができ、それぞれのフィールドが連続的ではなく、間欠的に表示されるようになるので動画認識性が向上する。
また、本発明は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素を有し、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、前記画素を階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動することによりフィールド内でサブフィールド駆動方式を用いて前記複数の画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより階調表示させる電気光学装置の駆動回路であって、更に、前記電気光学材料自体、又は該電気光学材料の周囲の温度を検出する温度検出手段と、各フィールドにおいて階調に応じてあらかじめ定められた前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を前記温度検出手段の検出出力に基づいて変更するように補正するパルス幅補正手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される液晶と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素が、階調データに従って各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧で駆動され前記画素の各々を透過状態又は非透過状態にさせることにより前記画素が階調表示される。この場合において、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数の各画素が各サブフィールドにおいて階調データに従ってオン電圧又はオフ電圧で駆動される。また、温度検出手段により前記電気光学材料自体、又は該電気光学材料の周囲の温度が検出され、該温度検出手段の検出出力に基づいて制御手段により各フィ−ルドにおいて階調に応じてあらかじめ定められた前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅が変更される。
これにより、電気光学材料としての液晶が、液晶自体又は液晶の周囲の温度により応答速度が変化しても、階調特性が一定になるようにすることができ、温度変化に起因する階調特性の劣化を改善でき、画質の向上が図れる。
また、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料及び前記画素電極に対して対向配置された対向電極を有する画素と、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、該複数のサブフィールドの各々において前記スイッチング素子を導通させる走査信号を前記各走査線に供給する走査線駆動回路と、階調データに基づいてオン電圧又はオフ電圧を指示することにより各画素を透過状態又は非透過状態にさせる2値信号を、それぞれ当該画素に対応する走査線に前記走査信号が供給される期間に、当該画素に対応するデータ線に供給するデータ線駆動回路と、前記複数の画素の各々に透過状態にさせるパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるようにデータ線駆動回路を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の一態様においては、前記制御手段は、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更することを特徴とする。
本発明によれば、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、該複数のサブフィールドの各々において走査線駆動回路により前記スイッチング素子を導通させる走査信号が、前記各走査線に供給され、階調データに基づいて各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧を指示することにより各画素を透過状態又は非透過状態にさせる2値信号が、それぞれ当該画素に対応する走査線に前記走査信号が供給される期間に、データ線駆動回路により当該画素に対応するデータ線に供給され、前記各画素が階調表示される。この場合において、制御手段により前記複数の画素の各々に透過状態にさせるパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるようにデータ線駆動回路が制御される。
これにより、画素を構成する電気光学材料としての液晶における目標透過率に到達するまでの時間が短縮でき、高速応答化が図れ、その結果、画質の向上が図れる。
また、前記制御手段は、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を変更するように制御する。
これにより、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に速やかに所望の階調となるように、画素を構成する電気光学材料としての液晶における応答性を改善することができ、画質の向上が図れる。
また、前記制御手段は、前記フィールドの少なくとも最後のサブフィールドには非透過状態にさせるパルス信号を出力させることを特徴とする。
これにより、次のフィールドを表示する前に、短い時間の黒い表示を挿入することができ、それぞれのフィールドが連続的ではなく、間欠的に表示されるようになるので動画認識性が向上する。
また、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料及び前記画素電極に対して対向配置された対向電極を有する画素と、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、該複数のサブフィールドの各々において前記スイッチング素子を導通させる走査信号を前記各走査線に供給する走査線駆動回路と、階調データに基づいてオン電圧又はオフ電圧を指示することにより各画素を透過状態又は非透過状態にさせる2値信号を、それぞれ当該画素に対応する走査線に前記走査信号が供給される期間に、当該画素に対応するデータ線に供給するデータ線駆動回路と、前記複数の画素の各々に透過状態にさせるパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるようにデータ線駆動回路を制御する制御手段とを有することを特徴とする電気光学装置であって更に、前記電気光学材料自体、又は該電気光学材料の周囲の温度を検出する温度検出手段と、各フィールドにおいて階調に応じてあらかじめ定められた前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅を前記温度検出手段の検出出力に基づいて変更するように補正するパルス幅補正手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、該複数のサブフィールドの各々において走査線駆動回路により前記スイッチング素子を導通させる走査信号が、前記各走査線に供給され、階調データに基づいて各サブフィールドにおいて各画素のオン電圧又はオフ電圧を指示することにより各画素を透過状態又は非透過状態にさせる2値信号が、それぞれ当該画素に対応する走査線に前記走査信号が供給される期間に、データ線駆動回路により当該画素に対応するデータ線に供給され、前記各画素が階調表示される。この場合において、制御手段により前記複数の画素の各々に透過状態にさせるパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるようにデータ線駆動回路が制御される。
また、温度検出手段により前記電気光学材料自体、又は該電気光学材料の周囲の温度が検出され、該温度検出手段の検出出力に基づいてパルス幅補正手段により各フィールドにおいて階調に応じてあらかじめ定められた前記透過状態にさせるパルス信号のパルス幅が変更される。
これにより、電気光学材料としての液晶が、液晶自体又は液晶の周囲の温度により応答速度が変化しても、階調特性が一定になるようにすることができ、温度変化に起因する階調特性の劣化を改善でき、画質の向上が図れる。
本発明に係る電子機器にあっては、上記電気光学装置を有するので、画素を構成する電気光学材料としての液晶における目標透過率に到達するまでの時間が短縮でき、高速応答化が図れ、その結果、画質の向上が図れる。
また、本発明に係る電子機器にあっては、上記電気光学装置を有するので、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に速やかに所望の階調となるように、画素を構成する電気光学材料としての液晶における応答性を改善することができ、画質の向上が図れる。
また、本発明に係る電子機器にあっては、上記電気光学装置を有するので、次のフィールドを表示する前に、短い時間の黒い表示を挿入することができ、それぞれのフィールドが連続的ではなく、間欠的に表示されるようになるので動画認識性が向上する。
更に、本発明に係る電子機器にあっては、上記電気光学装置を有するので、電気光学材料としての液晶が、液晶自体又は液晶の周囲の温度により応答速度が変化しても、階調特性が一定になるようにすることができ、温度変化に起因する階調特性の劣化を改善でき、画質の向上が図れる。
また、本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、各フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料とを備える複数の画素を、表示データに従って、画素を透過状態にするサブフィールドをオン電圧又はオフ電圧により制御し、それによりフィールド内でサブフィールド駆動方式で前記複数の画素の各々に階調表示させる電気光学装置の駆動方法において、表示データに基づいてフィールドの前半に連続的に配置されている透過状態にするサブフィールドのうち、表示データによって定まる規則に従って一部のサブフィールドを非透過状態にすることを特徴とする。
また、本発明は、表示データに基づいてフィールドの前半に連続的に配置されている透過状態にするサブフィールドのうち、透過状態開始のサブフィールドを除く透過状態開始近傍のサブフィールドを、前記表示データによって定まる規則に従って非透過状態にすることを特徴とする。
また、本発明は、表示データに基づいてフィールドの前半に連続的に配置されている透過状態にするサブフィールドのうち、透過状態終了のサブフィールドを除く透過状態終了近傍のサブフィールドを、前記表示データによって定まる規則に従って非透過状態にすることを特徴とする。
また、本発明は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極と、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子と、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料と、前記画素電極に対して対向配置された対向電極とからなる画素を有し、各サブフィールドのうち前記透過状態にするためのサブフィールドをオン電圧又はオフ電圧により制御し、それによりフィールド内でサブフィールド駆動方式で前記複数の画素の各々に階調表示させる電気光学装置の駆動回路であって、表示データに従って連続的に配置されている透過状態にするサブフィールドのうち、表示データに基づいて一部のサブフィールドを非透過状態にするように制御する制御手段を有することを特徴とする。
また、本発明は、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料及び前記画素電極に対して対向配置された対向電極を有する画素と、各フィールドを、時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、該複数のサブフィールドの各々において前記スイッチング素子を導通させる走査信号を前記各走査線に供給する走査線駆動回路と、前記複数の画素の各々に透過状態にするパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させ、連続的に配置されている透過状態にするパルス信号のうち、表示データに従って一部のパルス信号を非透過状態にするようにデータ線駆動回路を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、上記電気光学装置を有することを特徴とする電子機器である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置を示すブロック図である。図2は図1中の画素の具体的な構成を示す説明図である。
本実施形態に係る電気光学装置は、例えば電気光学材料として液晶を用いた液晶装置であり、後述するように素子基板と対向基板とが、互いに一定の間隙を保って貼付され、この間隙に電気光学材料たる液晶が挟持される構成となっている。なお、ここでは、電気光学装置の表示モードはノーマリーブラックであり、画素に電圧が加わった状態で白表示(オン状態)、電圧が加わらない状態で黒表示(オフ状態)を行なうものとして説明する。
本実施形態に係る電気光学装置では、素子基板としてガラス基板などの透明基板が用いられ、ここに、画素を駆動するトランジスタと共に、周辺駆動回路などを形成したものである。−方、素子基坂上における表示領域101aには、複数本の走査線112が、図においてX(行)方向に延在して形成され、また、複数本のデータ線114が、Y(列)方向に沿って延在して形成されている。そして、画素110は、走査線112とデータ線114との各交差に対応して設けられて、マトリクス状に配列されている。
ここで、説明の便宜上、本実施の形態では、走査線112の総本数をm本とし、データ線114の総本数をn本として(m、nはそれぞれ2以上の整数)、m行xn列のマトリクス型表示装置として説明するが、本発明をこれに限定する趣旨ではない。
<画素の構成>
画素110の具体的な構成としては、例えば、図2(a)に示すものが挙げられる。この構成では、スイッチング手段としてのトランジスタ(MOS型FET)116のゲートが走査線112に、ソースがデータ線114に、ドレインが画素電極118に、それぞれ接続されると共に、画素電極118と対向電極108との間に電気光学材料たる液晶105が挟持されて液晶層が形成されている。ここで、対向電極108は、後述するように、実際には画素電極118と対向するように対向基板の全面に形成される透明電極である。
なお、対向電極108には対向電極電圧VLCCOMが印加されるようなっている。また、画素電極118と対向電極108との間においては蓄積容量119が形成されて、液晶層を挟む電極と共に電荷を蓄積する。なお、図2(a)の例では、蓄積容量119を画素電極118と対向電極108との間に形成したが、画素電極118と接地電位GND間や画素電極118とゲート線間等に形成しても良い。
図2(a)に示す構成では、トランジスタ116として一方のチャネル型のみが用いられているので、トランジスタ特性などに起因する正負電圧の極性差をなくすためにオフセット電圧を必要とするが、図2(b)に示すように、Pチャネル型トランジスタとNチャネル型トランジスタとを相補的に組み合わせた構成とすれば、オフセット電圧を用いなくても極性差の影響を小さくすることができる。ただし、この相補型構成では、走査信号として互いに排他的レベルの信号を供給する必要が生じるため、1行の画素110に対して走査線112a、112bの2本が必要となる。
各走査線112には後述する走査線駆動回路130から夫々走査信号G1,G2,…Gmが供給される。各走査信号によって、各ラインの画素を構成するトランジスタ116が導通状態となり、これにより、後述するデータ線駆動回路140から各データ線114に供給された画像信号が画素電極118に供給される。書き込まれた画素電極9aと対向電極21との電位差に応じて液晶105の分子集合の配向状態が変化して、光の変調が行われ、階調表示が可能となる。
本実施の形態においては、液晶105の駆動方法としてサブフィールド駆動を採用する。アナログ駆動において中間調を表示する際には、液晶の透過率を飽和させる駆動電圧(以下、液晶飽和電圧という)以下の電圧で液晶を105を駆動する。従って、液晶105の透過率は、駆動電圧に略比例し、駆動電圧に比例した明るさの画面が得られる。
これに対し、サブフィールド駆動は、液晶が透過状態になる駆動電圧と、非透過状態になる駆動電圧の2つの駆動電圧のみを使い、サブフィールド毎の駆動電圧の組み合わせ方により液晶の透過率を制御する。なお、後述する図8に示すように、実際には、画面の明るさは、透過率の積分値に比例するが、説明を簡略化するために、本実施の形態においては、画面の明るさは駆動電圧の印加時間に比例するものとして説明する。
本実施の形態においては、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割する。例えば、図6の(a)に示すように、1フィールド期間(1f)を、略均等に複数のサブフィールド期間Sf1〜Sf255に分割し、各サブフィールド期間毎に、液晶の駆動を制御するようになっている。図6では分割数が255の例を示しているが、1フィールド期間(1f)を、複数のサブフィールド期間Sf1〜Sfnに分割すればよい。
なお、図6の例は、例えば、各画素について表示すべき階調を示す階調データを8ビットで表現し、表示し得る階調数を256階調とした場合に適用したものであり、1フィールド期間を255個のサブフィールド期間Sf1〜Sf255に分割した例である。
階調表示を行う場合には、指定された階調データに基づいて各サブフィールド期間Sf1〜Sf255毎に、各画素をオン状態又はオフ状態になるように駆動制御する。
本実施の形態においては、図6に示すように、各フィールドにおいて、フィールド期間の始まりから階調に対応した数だけサブフィールド期間をオン状態にするようになっている。
即ち、液晶を駆動するための駆動信号として、1サブフィールド期間Tsに相当するパルス幅を有するパルス信号(画素データ)を用いる。そして、表示すべき明るさが256階調分のNの明るさであるものとすると、パルス信号をNサブフィールド分の時間、即ち、(Ts×N)だけ出力するように制御する。換言すれば、サブフィールド期間Tsに相当するパルス幅を有するパルス信号(駆動信号)がフィールドの開始時点からN個だけ、連続的に出力されるように制御すればよい。255個の各サブフィールド毎に、全画素についてパルス信号(画素データ)の書込みが行われる。なお、パルス信号はH(オン信号)又はL(オフ信号)の2値信号である。
次に、電気光学装置の電気的構成について説明する。図1において、本実施の形態に係る電気光学装置は、走査線駆動回路130と、データ線駆動回路140と、クロック発生回路150と、タイミング信号生成回路200と、データ変換回路300と、駆動電圧生成回路400とを有している。
クロック発生回路150は、各部の制御動作の基準となるクロック信号CLKを発生してタイミング信号生成回路200に出力する。タイミング信号生成回路200は、図示しない上位装置から供給される垂直走査信号Vs、水平走査信号Hs、ドットクロック信号DCLK及びクロックCLKに従って、次に説明する各種のタイミング信号やクロック信号などを生成する回路である。
タイミング信号生成回路200は、交流化信号FR、スタートパルスDY、走査側転送クロックCLY、データイネーブル信号ENBX及びデータ転送クロックCLXを生成する。交流化信号FRは、1フィールド毎にデータ書き込み極性を反転させるための信号である。スタートパルスDYは、各サブフィールドの開始タイミングで出力されるパルス信号である。走査側転送クロックCLYは、走査側(Y側)の水平走査を規定する信号である。データイネーブル信号ENBXは、データ線駆動回路へデータ転送を開始する、及び走査線毎データを画素へ出力するタイミングを決めるパルス信号であって、走査側転送クロックCLYのレベル遷移(即ち、立ち上がり及び立ち下がり)に同期して出力される。データ転送クロックCLXは、データ線駆動回路へデータを転送するタイミングを規定する信号である。
駆動電圧生成回路400は、走査信号を生成する電圧V2を生成して走査線駆動回路130に与え、データ線駆動信号を生成する電圧V1,−V1,V0を生成してデータ線駆動回路140に与え、対向電極電圧VLCCOMを生成して対向電極108に印加する。
電圧V1は、交流化駆動信号FRがローレベル(以下、Lレベルという)のとき液晶層に電圧V0を基準にして正極性のハイレベル信号として出力されるデータ線駆動信号の電圧であり、電圧−V1は、交流化駆動信号FRがハイレベル(以下、Hレベルという)のとき液晶層に電圧V0を基準にして負極性のハイレベル信号として出力されるデータ線駆動信号の電圧である。
<スタートパルス生成回路>
既述したように本実施形態においては、1フィールドを、時間軸上で複数のサブフィールドSf1〜Sf255に分割し、階調データに応じて各サブフィールドSf1〜Sf255毎に2値電圧を液晶層に印加するようにしている。各サブフィールドの切り替わりはスタートパルスDYによって制御される。このスタートパルスDYはタイミング信号生成回路200の内部で生成される。
図3はタイミング信号生成回路200に内蔵されてスタートパルスDYを生成するスタートパルス生成回路の具体的な構成を示す回路図である。
図3に示すように、スタートパルス生成回路210は、カウンタ211、コンパレータ212、マルチプレクサ213、リングカウンタ214、Dフリップフロップ215、及びオア回路216によって構成されている。
カウンタ211はクロックCLKをカウントするが、オア回路216の出力信号によってカウント値がリセットされるようになっている。また、オア回路216の一方の入力端子には、フィールドの開始において、クロックCLKの1周期の期間だけHレベルとなるリセット信号RSETが供給されるようになっている。従って、カウンタ211は、少なくともフィールドの開始時点において、カウント値がリセットされるようになっている。
コンパレータ212は、カウンタ211のカウント値とマルチプレクサ213の出力データ値を比較し、両者が一致する時、Hレベルとなる一致信号を出力する。マルチプレクサ213は、スタートパルスDYの数をカウントするリング力ウンタ214のカウント結果に基づいて、データDs1,Ds2,…,Ds255を選択出力する。ここで、データDs1,Ds2,…,Ds255は、図6に示す各サブフィールド期間Sf0,Sf2,Sf2,…,Sf255に各々対応するものである。
また、液晶表示装置の温度、或いは液晶表示装置周辺の温度を温度センサで検出し、検出温度に基づいて、液晶の温度特性に合わせて、データDs1,Ds2,…,Ds255の値を可変するようにしてもよい。なお、このように、サブフィールドSf1(1=1〜255)の長さを液晶の温度特性に合わせて可変すると、環境温度の変化に追随して液晶に印加する電圧の実効値を変化させることができるので、温度が変化しても、表示の階調やコントラスト比を一定に保つことができる。
また、コンパレータ212は、カウンタのカウント値が、サブフィールドの区切りを示すマルチプレクサからの出力信号と一致すると一致信号を出力することになる。この一致信号は、オア回路216を介してカウンタ211のリセット端子にフィートバックされるから、カウンタ211はサブフィールドの区切りから再びカウントを開始することになる。また、Dフリップフロップ215は、オア回路216の出力信号を、走査側転送クロックCLYに同期させて、スタートパルスDYを生成する。
<走査線駆動回路>
走査線駆動回路130は、サブフィールドの最初に供給されるスタートパルスDYをクロック信号CLYに従って転送し、走査線112の各々に走査信号G1,G2,G3,…,Gmとして順次排他的に供給するものである。
<データ線駆動回路>
データ線駆動回路140は、ある水平走査期間において2値信号Dsをデータ線114の本数に相当するn個順次ラッチした後、ラッチしたn個の2値信号Dsを、次の水平走査期間において、それぞれ対応するデータ線114にデータ信号d1,d2,d3,…,dnとして一斉に供給するものである。
図4は図1中のデータ線駆動回路140の具体的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、データ線駆動回路140は、Xシフトレジスタ1410と、第1のラッチ回路1420と、第2のラッチ回路1430と、電圧選択回路1440とから構成されている。
Xシフトレジスタ1410は、水平走査期間の最初に供給されるデータイネーブル信号ENBXをクロック信号CLXに従って転送し、ラッチ信号S1,S2,S3,…,Snとして順次排他的に供給するものである。次に、第1のラッチ回路1420は、2値信号Dsをラッチ信号S1,S2,S3,…,Snの立ち下がりにおいて順次ラッチするものである。そして、第2のラッチ回路1430は、第1のラッチ回路1420によりラッチされた2値信号Dsの各々をデータイネーブル信号ENBXにより一斉にラッチすると共に、電圧選択回路1440を介して、データ線114の各々にデータ信号d1,d2,d3,…,dnとして供給するものである。
電圧選択回路1440は、交流化信号FRのレベルに応じてデータ信号d1,d2,d3,…,dnに対応する電圧を選択する。例えば、交流化信号FRがHレベルである場合においてある画素をオン状態にするデータ信号が出力される場合には電圧−V1が選択され、オフ状態にするデータ信号が出力される場合には電圧V0が選択される。また、交流化信号FRがLレベルである場合においてある画素をオン状態にするデータ信号が出力される場合には電圧V1が選択され、オフ状態にするデータ信号が出力される場合には電圧V0が選択される。
<データ変換回路>
上述したように、サブフィールド駆動では、各画素の表示すべき明るさに応じて、サブフィールド期間Sf1〜Sf255毎に各画素をオン状態又はオフ状態にする。各画素の表示すべき明るさのデータ(以下、階調データという)を、各サブフィールド期間毎に画素をオン状態又はオフ状態にするためのHレベル又はLレベルの2値信号Dsに変換する必要がある。
図1におけるデータ変換回路300はこのために設けられたものであり、制御手段に相当する。データ変換回路300は、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hs及びドットクロック信号DCLKに同期して動作し、画素毎に対応する8ビットの階調データD0〜D7を、フィールドメモリに書き込み、スタートパルスDYに同期してフィールドメモリからデータを読み出し、読み出した8ビットの階調データD0〜D7を、サブフィールドSf1〜Sf255の各サブフィールド毎に2値信号Dsに変換し、この2値信号Dsを各画素に供給する構成となっている。
データ変換回路300では、1フィールドにおいて、現在どのサブフィールドでの書き込みを行っているかを認識する構成が必要となる。この構成については、例えば、次のような手法で認識することができる。即ち、本実施形態では、交流化駆動のために、1フィールド毎に反転する交流化信号FRを生成しているので、データ変換回路300内部に、スタートパルスDYを計数すると共に、当該カウント結果を交流化信号FRのレベル遷移(立ち上がり及び立ち下がり)でリセットするカウンタを設けて、当該カウント結果を参照することで、現在書き込みを行っているサブフィールドを認識することができる。
本実施の形態においては、データ変換回路300は、各画素について8ビットの階調データD0〜D7で指定された階調(明るさ)を実現するのにフィールド期間の前半に各サブフィールド期間に相当するパルス幅のオン電圧となるパルス信号を階調数だけ集中させるように出力する構成となっている。
更に、データ変換回路300におけるフィールドメモリは、2フィールド分設けられており、第1のフィールドメモリは、入力される階調データ(画像データ)が書き込まれるメモリであり、第2のメモリは1フィールド前に第1のフィールドメモリに書き込まれていた各画素の階調データが格納されるメモリであり、第1のフィールドメモリに階調データが書き込まれている間に第2のフィールドメモリから各画素について階調データが読み出されるようになっている。
また、データ変換回路300には液晶自体、又は液晶の周辺の温度を検出する温度センサの検出出力が入力されるようになっている。図示しない温度センサは温度検出手段に相当し、データ変換回路300はパルス幅補正手段に相当する。
データ変換回路300は、温度センサの検出出力に基づいてスタートパルス生成回路210内のマルチプレクサ213に入力されるデータDs1,Ds2,…,Ds255の値を変更するように補正するための制御信号SCを発生してタイミング信号生成回路200に出力するようになっている。タイミング信号生成回路200は、制御信号SCによってスタートパルスDYの出力タイミングを変更し、各サブフィールドSf1〜Sf255の期間を液晶の応答速度の変化に対応して変更することができるようになっている。
なお、上記2値信号Dsについては、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路140における動作に同期して出力する必要があるので、データ変換回路300には、スタートパルスDYと、水平走査に同期する走査側転送クロックCLYと、データ線駆動回路にデータの転送を開始するタイミングを規定するデータイネーブル信号ENBXと、データ転送クロックCLXとが供給されている。
また、上述したように、データ線駆動回路140では、ある水平走査期間において、第1のラッチ回路1420が点順次的に2値信号をラッチした後、次の水平走査期間において、第2のラッチ回路1430から、データ信号d1,d2,d3,…,dnとして一斉に各データ線114に供給される構成となっているので、データ変換回路300は、走査線駆動回路130及びデータ線駆動回路140における動作と比較して、1水平走査期間だけ先行するタイミングで2値信号Dsを出力する構成となっている。
<動作>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置の動作について説明する。図5はこの電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
交流化信号FRは、1フィールド期間(1f)毎にレベル反転する信号である。スタートパルスDYは、各サブフィールドSf1〜Sf255の開始時に発生する。交流化信号FRがLレベルとなるフィールド期間(1f)において、スタートパルスDYが供給されると、走査線駆動回路130(図1参照)におけるクロック信号CLYに従った転送によって、走査信号G1,G2,G3,…,Gmが期間(t)に順次排他的に出力される。なお、本実施の形態では基本的には1フィールドを255等分し、各サブフィールドは等しい時間幅となっているが、液晶自体、又は液晶の周囲の温度変化に応じて各サブフィールド期間を変更する場合もある。そこで、期間(t)は、最も短いサブフィールド期間よりもさらに短い期間に設定する。
走査信号G1,G2,G3,…,Gmは、それぞれクロック信号CLYの半周期に相当するパルス幅を有し、また、上から数えて1本目の走査線112に対応する走査信号G1は、スタートパルスDYが供給された後、クロック信号CLYが最初に立ち上がってから、少なくともクロック信号CLYの半周期だけ遅延して出力される。従って、スタートパルスDYが供給されてから、走査信号G1が出力されるまでに、データイネーブル信号ENBXの1クロック(G0)がデータ線駆動回路140に供給されることになる。
いま、このデータイネーブル信号ENBXの1クロック(G0)が供給されたものとする。このデータイネーブル信号ENBXの1クロック(G0)がデータ線駆動回路140に供給されると、データ線駆動回路140(図4参照)におけるクロック信号CLXに従った転送によって、ラッチ信号S1,S2,S3,…,Snが水平走査期間(1H)に順次排他的に出力される。なお、ラッチ信号S1,S2,S3,…,Snは、それぞれクロック信号CLXの半周期に相当するパルス幅を有している。
この際、図4における第1のラッチ回路1420は、ラッチ信号S1の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて1本目のデータ線114との交差に対応する画素110への2値信号Dsをラッチし、次に、ラッチ信号S2の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて2本目のデータ線114との交差に対応する画素110への2値信号Dsをラッチし、以下、同様に、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えてn本目のデータ線114との交差に対応する画素110への2値信号Dsをラッチする。
これにより、まず、図1において上から1本目の走査線112との交差に対応する画素1行分の2値信号Dsが、第1のラッチ回路1420により点順次的にラッチされることになる。なお、データ変換回路300は、第1のラッチ回路1420によるラッチのタイミングに合わせて、各画素の階調データD0〜D7から順次、各サブフィールドに対応する2値信号Dsを生成して出力することはいうまでもない。
次に、クロック信号CLYが立ち下がって、走査信号G1が出力されると、図1において上から数えて1本目の走査線112が選択される結果、当該走査線112との交差に対応する画素110のトランジスタ116が全て導通状態となる。
一方、当該クロック信号CLYの立ち下がりによってデータイネーブル信号ENBXが出力される。そして、このデータイネーブル信号ENBXの立ち下がりタイミングにおいて、第2のラッチ回路1430は、第1のラッチ回路1420によって点順次的にラッチされた2値信号Dsを、対応するデータ線114の各々に電圧選択回路1440を介してデータ信号d1,d2,d3,…,dnとして一斉に供給する。これにより、上から数えて1行目の画素110においては、データ信号d1,d2,d3,…,dnの書き込みが同時に行われることとなる。この書き込みと並行して、図1において上から2本目の走査線112との交差に対応する画素1行分の2値信号Dsが、第1のラッチ回路1420において点順次的にラッチされる。
ここで、ある画素の階調データD0〜D7が、第0乃至第255の256階調のうちの暗い方から3番目の階調(明るさ)(以下、第2階調という)を示す「00000010」であるものとする。指定された第2階調の明るさを得るためには、255個のサブフィールドのうちの2つのサブフィールドの画素をオンにすればよい。そして、本実施の形態においては、この場合には、図7に示すように、フィールド期間の先頭からの2つのサブフィールド、即ち、サブフィールドSf1,Sf2の各区間において、画素に供給する2値信号としてHレベルを示す電圧V1を出力し、他のサブフィールドSf3〜Sf255については、Lレベルを示す電圧V0をデータ信号として電圧選択回路1440から出力させる。
また、例えば、ある画素の階調データD0〜D7が第3階調である「00000011」であるものとする。この場合には、指定された第3階調の明るさを得るために、サブフィールドSf1,Sf2,Sf3の各区間において2値信号としてHレベルを示す電圧V1を出力し、他の各サブフィールドSf4〜Sf255については、Lレベルを示す電圧V0を電圧選択回路1440から出力させる。
このように、本実施の形態に係る電気光学装置では、複数の画素の各々に階調表示させる際に、複数の画素の各々に印加するオン電圧(V1)となるパルス信号をフィールド期間の前半に集中させるようにデータ変換回路300によって制御する。
そして、以降同様な動作が、m本目の走査線112に対応する走査信号Gmが出力されるまで繰り返される。即ち、ある走査信号Gi(iは、1≦i≦mを満たす整数)が出力される1水平走査期間(1H)においては、1本目の走査線112に対応する画素110の1行分に対するデータ信号d1〜dnの書き込みと、(i+1)本目の走査線112に対応する画素110の1行分に対する2値信号Dsの点順次的なラッチとが並行して行われることになる。なお、画素110に書き込まれたデータ信号は、次のサブフィールドSf2における書き込みまで保持される。
以下同様な動作が、各サブフィールド期間の開始を規定するスタートパルスDYが供給される毎に繰り返される。
さらに、1フィールド経過後、交流化信号FRがHレベルに反転した場合においても、各サブフィールドにおいて同様な動作が繰り返される。
次に、上記構成におけるサブフィールド駆動による各画素における1フィールド毎の画素データの書き込み時における動作状態を従来例との比較において説明する。図10は、従来のアナログ駆動による画素データの書き込み時の各フィールドにおける液晶の駆動電圧波形(図10(A))と、各フィールドにおける液晶の透過率の変化状態(図10(B))との関係を示している。
図10において、フィールドf1,f2では、表示すべき階調(明るさ)D1を得るように階調D1に応じた正負のアナログ電圧V01、−V01が交互に2フィールドにわたって印加されている。ここで、フィールドf2において、階調を階調D1から階調D1より高い階調D2に変更する際に、その画素には階調D2に応じたレベルの駆動電圧V02、−V02がフィールドf3,f4の2フィールドにわたって印加されるが、液晶が有限の応答時間を持つことにより、すぐに目標とする階調D2に達せず、階調の切り替え時から3フィールド目であるフィールドf5において、階調D2となる。
これに対して、本発明の実施の形態では、サブフィールド駆動により1フィールドにおけるオン電圧となる区間と、オフ電圧となる区間の時間比、即ちデューティで階調表示を行うが、その場合において、オン電圧となる区間を各フィールド期間の前半に集中させるように制御することにより液晶の光学的な応答特性の改善を図っている。
図8にサブフィールド駆動による画素データの書き込み時の各フィールドにおける液晶の駆動電圧波形(図8(A))と、各フィールドにおける液晶の透過率の変化状態(図8(B))との関係を示す。なお、図8においては、オン電圧を印加する連続した複数のサブフィールド期間を1パルスによって表しており、パルス幅はオンとなるサブフィールド数に対応する。図8(A)において、各フィールドにおいて画素に印加されるパルス状の電圧のレベルV1、−V1は液晶の飽和電圧Vsat の1〜1.5倍程度が選択される。これは液晶の応答特性における立ち上がりが画素に印加される電圧レベルと概ね比例関係にあるから液晶の応答特性を改善するために好ましいからである。またパルス状の信号は、フィールドの前半部分に集中するように制御されているので、フィールドの切り替わりに対して、すばやく応答することができるようになっている。
一方で立ち上がりと逆の方向に階調が変化する場合、オン信号の印加は表示階調に応じ、フィールド途中で終わることからフィールドの終わり、即ち次のフィールドの始まりにおいては液晶に電界が印加されていない状態になるため、この場合にも従来の駆動方式に比べて良好な応答特性を得ることができる。
図8においてフィールドf1,f2では、表示すべき階調D1を得るように階調D1に応じたパルス幅PAの電圧V1、−V1が2フィールドにわたって各フィールドの前半に集中した状態で印加され、目標とする階調D1が得られている。ここで、フィールドf2において、階調D1から階調D1より高い階調D2に変更する際に、フィールドf3,f4,f5において、階調D2に応じたパルス幅PBの電圧V1、−V1が各フィールドの前半に集中した状態で印加される。この場合に階調D1から階調D2に変更する過程においてフィールドf2から2フィールド経過したフィールドf4において目標とする透過率、即ち階調D2に到達している。
また、フィールドf5において、階調D2から階調D1に変更する際にも、同様に、フィールドf5から2フィールド目のフィールドf7で目標とする階調D1に滑らかに変化する。ここで、階調D1、D2が得られる透過率は実効的に図10(B)に示す従来例と同一となっている。
このように本実施の形態に係る電気光学装置によれば、複数の走査線と複数のデータ線との各交差に対応して配設された画素電極、前記画素電極毎に印加する電圧を制御するスイッチング素子、前記複数のデータ線と複数の走査線の交差領域に挟持される電気光学材料及び前記画素電極に対して対向配置された対向電極を有する画素と、各フィールドを、1フィールドについて複数のサブフィールドに分割し、該複数のサブフィールドの各々において前記スイッチング素子を導通させる走査信号を前記各走査線に供給する走査線駆動回路と、階調データに基づいて各サブフィールドにおいて各画素のオン電圧又はオフ電圧を指示することにより各画素を白表示又は黒表示させる2値信号を、それぞれ当該画素に対応する走査線に前記走査信号が供給される期間に、当該画素に対応するデータ線に供給するデータ線駆動回路と、前記複数の画素の各々に印加するオン電圧となるパルス信号を前記フィールドにおける前半に集中させるようにデータ線駆動回路を制御する制御手段とを有するので、画素を構成する電気光学材料としての液晶における目標透過率に到達するまでの応答時間が短縮でき、高速応答化が図れ、その結果、画質の向上が図れる。
また、本実施の形態に係る電気光学装置において、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて切り替わったフィールドにおけるオン電圧となるパルス信号のパルス幅を表示階調に応じて変更することにより、液晶の応答特性を改善することができる。
図9を参照して動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合におけるサブフィールド駆動による画素データの書き込み制御について説明する。図9(A)は、サブフィールド駆動による画素データの書き込み時の各フィールドにおける液晶の駆動電圧波形を示し、図9(B)は、各フィールドにおける液晶の透過率の変化状態を示している。
これらの図において、フィールドf1,f2ではパルス幅PAの電圧V1、−V1が出力され、目標とする階調D1が得られている。フィールドf2からフィールドf3にかけて表示内容が変化し、画面の明るさ、即ち階調が階調D1から階調D2に変化するとする。このように画面の階調が高い方向に変化する場合には、階調に応じた基準となるパルス幅よりパルス幅が大きくなるようにパルス幅を補正する。例えば、階調D1,D2に応じた基準となるパルス幅をそれぞれ、PA,PBとする。フィールドf2からフィールドf3にかけて階調D1から階調D2に変化する場合には、フィールドf3において、画素に印加する電圧V1のパルス幅を、PB×1.3(=PB')とする。
また、フィールドf5からフィールドf6にかけて表示内容が変化し、階調が階調D2から階調D1に変化する場合、即ち、画面の階調が低い方向に変化する場合には、階調に応じた基準となるパルス幅よりパルス幅が小さくなるようにパルス幅を補正する。例えば、フィールドf5からフィールドf6にかけて階調D2から階調D1に変化する場合には、フィールドf6において、画素に印加する電圧−V1のパルス幅を、PA×0.7(=PA')とする。
このようにすることで表示内容が変化し、画面の階調が変化する場合にも全てのフィールドで目標とする階調、即ち目標とする透過率を得ることができる。
この場合には図1におけるデータ変換回路300内で、各画素毎に現在、読み出し中のフィールドメモリから読み出した階調データと、1フィールド前の階調データが格納されているフィールドメモリから読み出した階調データとの2フィールド間の階調データの差分を算出し、その結果により階調の変化する方向に各画素の階調データ、即ち、各画素についてフィールド内で印加するパルス電圧のパルス幅を補正する。この結果、画面上で階調が変化した部分の時間幅が補正され、全体として1フィールドにおいて前半に集中して印加される電圧のパルス幅が目標とする階調(透過率)となるように補正される。
本実施の形態に係る電気光学装置によれば、データ変換回路300(制御手段)は、動画像を表示する場合にフィールドの切り替わりにおいて、表示内容が変化する場合には、画面の明るさが変化する方向に応じて前記切り替わったフィールドにおける前記オン電圧となるパルス信号のパルス幅を変更するので、画面の明るさが変化する方向に速やかに所望の階調となるように、画素を構成する電気光学材料としての液晶における応答性を改善することができ、画質の向上が図れる。
更に、本実施の形態に係る電気光学装置において、電気光学材料としての液晶自体、又は液晶の周囲の温度に応じて各フィールドにおいて前記オン電圧となるパルス信号のパルス幅を変更することにより液晶の温度変化に起因する階調特性の劣化を改善するようにしてもよい。
これは、既述したように本実施の形態に加えて、温度検出手段としての温度センサにより液晶自体、又は液晶の周囲の温度が検出され、該温度センサの検出出力に基づいてパルス幅補正手段としてのデータ変換回路により各フィールドにおいて階調に応じてあらかじめ定められた前記オン電圧となるパルス信号のパルス幅が変更されることにより実現される。
即ち、液晶の温度が高くなると、液晶の光学的な応答速度が速くなり、逆に液晶の温度が低くなると、上記応答速度が遅くなる。そこで、本実施の形態では、液晶の温度が基準温度より高くなった場合にはオン電圧となるパルス信号のパルス幅を広く、即ち、オン電圧となるサブフィールド期間の幅を広くするようにし、また液晶の温度が基準温度より低くなった場合にはオン電圧となるパルス幅を狭く、即ちオン電圧となるサブフィールド期間の幅を狭くするようにサブフィールド期間を規定するスタートパルスDYの出力タイミングを変更する。
データ変換回路300は、スタートパルス生成回路210内のマルチプレクサ213に入力されるサブフィールドSf1,Sf2,…,Sf255に対応したデータDs1,Ds2,…,Ds255の値を液晶自体、又は液晶の周囲の温度を検出する温度センサの検出出力に基づいて変更するように補正するための制御信号SCをタイミング信号生成回路200に出力する。
この結果、フィールドにおいて各サブフィールドSf1,Sf2,…,Sf255の時間幅が液晶の温度変化、即ち液晶の応答速度に応じて変更される。
このように本実施の形態に係る電気光学装置によれば、前記電気光学材料としての液晶自体、又は該液晶の周囲の温度に応じて各フィールドにおいて前記オン電圧となるパルス信号のパルス幅を変更するようにしたので、電気光学材料としての液晶が、液晶自体又は液晶の周囲の温度により応答速度が変化しても、階調特性が一定になるようにすることができ、温度変化に起因する階調特性の劣化を改善でき、画質の向上が図れる。
更に、上述した本実施の形態に係る電気光学装置において、フィールドにおける最後のサブフィールドは必ず黒表示となるようにすることもできる。というのも、上述した本実施の形態に係る電気光学装置では、階調データに応じて、フィールドにおける各サブフィールドSf1,Sf2,…,Sf255全てがオン電圧となる場合もあり得る。このような場合、動画像の再現性を向上させるために液晶層からできるだけ早いタイミングで電界を取り除くという本実施形態の目的の効果が半減してしまう。この問題を避けるための実施例を以下に説明する。
上述の実施例では、1フィールドを255個のサブフィールドに分割し、サブフィールドSf1,Sf2,…,Sf255とした。ここでは、例えば、1フィールドを300個のサブフィールドに分割し、サブフィールドSf1,Sf2,…,Sf300とする。制御手段たるデータ変換回路300は、分割したサブフィールドのうち、サブフィールドSf1,Sf2,…,Sf255には、上述の実施形態のように、階調を表示させる。一方、サブフィールドSf256〜Sf300は、実際の階調表示には寄与させず、必ず黒表示となるように制御する。あるいは、データ変換回路300は、サブフィールドSF256〜Sf300を、46個分の長さを持つひとつのサブフィールドとし、この46個分の長さを持つサブフィールドは、必ず黒表示となるように制御する。
このように制御することで、フィールドにおける最後のサブフィールドを黒表示させることができる。このように黒を表示するサブフィールドを、フィールド毎に挿入することにより、明るい側の階調でも表示が持続的にならず、容易に動画の視認性を向上させることができる。
また、上述した実施形態の電気光学装置の表示モードは、ノーマリーブラックであるとして説明した。電気光学装置の表示モードがノーマリーホワイトである場合も、上述した構成と同様の構成であれば適応可能である。ただし、その場合、上述で「オン電圧(オン状態)」と「オフ電圧(オフ状態)」の信号状態を入れ替えて制御する必要がある。
図11は本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置を示すブロック図である。図11において図1と同一の構成要素に同一符号を付して説明を省略する。
第1の実施の形態においては、表示可能な階調が、分割したサブフィールドの数に制限されてしまう。これに対し、本実施の形態は、分割したサブフィールド数に比べて、表示可能な階調数を十分に大きくすることを可能にしたものである。
本実施の形態においてもサブフィールド駆動を採用する。本実施形態では、図16の(a)に示すように、1フィールド期間(1f)を、ほぼ均等に分割した複数のサブフィールドSf1〜Sf32を用いるものとする。
本実施形態では、各フィールドにおいて、階調に応じて、フィールドの前半からまずオン状態としたサブフィールドを集中させ、そのうちの一部のサブフィールドをオフ状態となるように制御することによりサブフィールドの数よりも十分に多くの階調を表示する。つまり、表示する階調が、フィールドの開始からN個のサブフィールドを利用することで表示できる場合、サブフィールドの時間Tsに相当するパルス幅を有するパルス信号が、フィールドの開始時点からN個のパルス信号を出力する期間内(Ts×N)に断続的に出力されるように制御される。
本実施の形態においては、電気光学装置の駆動デバイスとして、例えばpSiTFT(ポリシリコンTFT)を用いるものとする。また、サブフィールドの数は上述のように32個とする。これは、従来の駆動方式における走査周波数は60Hzであるが、本実施の形態では、その32倍(60×32Hz)で画面走査が行われることを意味している。
本実施の形態における電気光学装置100の電気的構成を図11に示す。画素110の具体的な構成は図2(a)と同様である。なお、図2(a)のスイッチング手段としてのトランジスタ116としてpSiTFTが用いられる。
なお、本実施の形態においても、蓄積容量119を画素電極118と対向電極108の間に形成したが、画素電極118と接地電位GND間や画素電極118とゲート線間等に形成しても良い。また素子基板側に対向電極電圧VLCCOMと同じ電位を持つ配線を配し、その間に形成することもできる。
タイミング信号生成回路201は、上位装置(図示略)から供給される垂直同期信号Vs、水平同期信号Hs、ドットクロック信号DCLK等のタイミング信号に従って、極性反転信号FR、走査スタートパルスDY、走査側転送クロックCLY、データイネーブル信号ENBX、データ転送クロックCLX、データ転送スタートパルスDDS、サブフィールド識別信号SFを生成する。各信号の機能を以下に説明する。
極性反転信号FRは、1フィールド毎に極性が反転する信号である。走査スタートパルスDYは、各サブフィールドの最初に出力されるパルス信号であり、これが走査線駆動回路401に入力されることにより、走査線駆動回路401はゲートパルス(G1〜Gm)を出力する。走査側転送クロックCLYは、走査側(Y側)の走査速度を規定する信号で、上記のゲートパルスはこの転送クロックに同期して走査線毎送られる。データイネーブル信号ENBXは、データ線駆動回路500中にあるXシフトレジスタ510に蓄えられたデータを水平画素数分並列に出力させるタイミングを決定するものである。データ転送クロックCLXは、データ線駆動回路500ヘデータを転送するためのクロック信号である。データ転送スタートパルスDDSは、データコーディング回路301からデータ線駆動回路500ヘデータ転送を開始するタイミングを規定するものであり、タイミング信号生成回路201からデータコーディング回路301へ送られる。サブフィールド識別信号SFは、そのパルス(サブフィールド)が何番目のパルスであるかを、データコーディング回路301へ知らせるためのものである。
本実施の形態の電気光学装置は、サブフィールドSf1〜Sf32毎に、階調に応じて画素をオン状態又はオフ状態にするために、Hレベル又はLレベルのデータを書き込む。表示するデータは、外部(図示略)からデータコーディング回路301に、8ビットのデジタルデータとして入力される。データコーディング回路301では、それらをサブフィールド毎に、所定の規則に則って2値化したデータとして、データ線駆動回路500へ転送できるように変換する。そのために、送られてきたデータを一旦フィールドメモリ310に貯め、随時変換処理ができるように構成されている。2値化された表示データは、データ転送スタートパルスDDSが入力されると、データ転送クロックCLXに同期して、データ線駆動回路500へと転送される。
ここで、データコーディング回路301では、表示データを2値化する際に、1フィールドのうちのどのサブフィールドであるかを認識する必要がある。本実施の形態では、タイミング信号生成回路201で、走査スタートパルスDYを計数し、その結果をサブフィールド識別信号SFとしてデータコーディング回路301に向けて出力するようになっている。走査スタートパルスDYの計測は0〜31の間で行われ、外部から入力される垂直同期信号によりリセットされるようになっている。データコーディング回路301は、このサブフィールド識別信号SFによりサブフィールドを認識する。
データコーディング回路301は、各画素について指定された階調を実現するのに、表示する階調に応じて基本的には前述のようにフィールドの前半にオン電圧となるパルス信号を集中させるように出力させ、前半に集中させたオン電圧のうち一部をオフ電圧にするような構成となっている。
更に、データコーディング回路301におけるフィールドメモリ310は2フィールド分の表示データを蓄えられる分の容量が設けられている。ここで、第1のフィールドメモリは、外部より入力される表示データが書き込まれるメモリであり、第2のフィールドメモリは1フィールド前に入力された表示データが格納されているメモリである。フィールドメモリ310は、第1のフィールドメモリに外部から人力されている表示データが書き込まれている間に、データコーディング回路301が第2のフィールドメモリにアクセスし、各画素の表示データが読み出されるようになっている。第1のフィールドメモリと第2のフィールドメモリの役割は、フィールド毎に交換される。
データコーディング回路301におけるサブフィールドの制御の一例を、図16の(b)に示す。この図において、黒部は、白表示させるオン電圧のサブフィールドを示している。第1の実施例に示した、白表示するためのサブフィールドをフィールドの前半に集中させる制御では、本実施形態のように1フィールドを32のサブフィールドに分割した場合、表示できる階調は0〜32までの33階調のみである。ここでは、第1の実施形態に示した方法で表示できる階調(明るさ)を、例えば「基本12階調」といい、本実施形態の制御で表示できる階調(明るさ)を、例えば「基本12階調+1階調」という。
例えば、「基本12階調+2階調」の階調を表示する場合には、図16の(b)に示すように、サブフィールドSf1〜Sf9及びSf13の各区間では、オン状態を示すデータ信号が出力され、サブフィールドSf10〜Sf12及びSf14〜Sf32の各サブフィールドでは、オフ状態を示すデータ信号が出力される。また、「基本12階調+5階調」の階調を表示する場合には、図16の(b)に示すように、サブフィールドSf1〜Sf3及びSf5〜Sf13の各区間では、オン状態を示すデータ信号が出力され、サブフィールドSf4及びSf14〜Sf32のサブフィールドでは、オフ状態を示すデータ信号が出力される。
本実施の形態において、図16の(b)の「基本12階調+3階調」に示すように制御した場合の液晶の透過率を図13に示す。この図に示すように、白表示するサブフィールドの一部をオフ電圧にすることにより透過率が低下し、その結果、明るさを示す透過率の積分値が、白表示するサブフィールドの一部をオフ電圧にしなかった場合より小さくなる。このような原理により、階調数を増やすことができる。
図11において、走査線駆動回路401は、サブフィールドの最初に供給される走査スタートパルスDYを走査側転送クロックCLYに従って転送し、各々の走査線112に走査信号G1、G2、G3、…、Gmとして順次排他的に供給するものである。
データ線駆動回路500は、ある水平走査期間において、2値データをデータ線の本数に相当するn個順次ラッチした後、ラッチしたn個の2値データを、それぞれ対応するデータ線114にデータ信号d1,d2,d3,…,dnとして一斉に供給するものである。
ここで、図14を参照して、データ線駆動回路500の具体的な構成について説明する。データ線駆動回路500は、Xシフトレジスタ510、水平画素分の第1のラッチ回路520、第2のラッチ回路530、水平画素分の昇圧回路540から構成されている。
このうち、Xシフトレジスタ510は、水平走査期間の開始タイミングで供給されるデータイネーブル信号ENBXをクロック信号CLXに従って転送し、ラッチ信号S1,S2,S3,…,Snとして順次排他的に供給するものである。次に、第1のラッチ回路520は、2値データをラッチ信号S1,S2,S3,…,Snの立ち下がりにおいて順次ラッチするものである。そして、第2のラッチ回路530は、第1のラッチ回路520によりラッチされた2値データの各々をデータイネーブル信号ENBXの立ち下がりにおいて一斉にラッチすると共に、昇圧回路540を介して、データ線114の各々にデータ信号d1,d2,d3,…,dnとして供給するものである。
昇圧回路540は、極性反転機能と昇圧機能とを備える。昇圧回路540は、極性反転信号FRに基づいて昇圧する。昇圧回路540の動作を説明する図を図12に示す。例えば、極性反転信号FRがLレベルである場合において、ある画素をオン状態にするデータ信号が昇圧回路540に入力された場合にはプラスの液晶駆動電圧を出力する。また、極性反転信号FRがHレベルである場合において、ある画素をオン状態にするデータ信号が人力された場合には、マイナスの液晶駆動電圧を出力する。画素をオフ状態にするデータの場合には、極性反転信号FRの状態に関わらず、VLCCOM電位を出力する。
次に、第2の実施の形態に係る電気光学装置の動作について説明する。図15は、この電気光学装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
まず、極性反転信号FRは、1フィールド(1f)毎にレベル反転する信号である。一方、走査スタートパルスDYは、各サブフィールドSf1〜Sf32の開始時に供給される。
ここで、極性反転信号FRがLレベルとなる1フィールド(1f)において、走査スタートパルスDYが供給されると、走査線駆動回路401における走査側転送クロックCLYにしたがった転送によって、走査信号G1、G2、G3、…、Gmが期間(t)に順次排他的に出力される。なお、本実施の形態では、上述のように1フィールドを32等分し、各サブフィールドは等しい時間幅となっている。
この走査信号G1、G2、G3、…、Gmは、それぞれ走査側転送クロックCLYの半周期に相当するパルス幅を有し、また、上から数えて1本目の走査線112に対応する走査信号G1は、走査スタートパルスDYが供給された後、走査側転送クロックCLYが最初に立ち上がってから、少なくとも走査側転送クロックCLYの半周期だけ遅延して出力される構成となっている。従って、走査スタートパルスDYが供給されてから、走査信号G1が出力されるまでに、データイネーブル信号ENBXの最初の1クロック(G0)がデータ線駆動回路500に供給されることになる。
まず、このデータイネーブル信号ENBXの最初の1クロック(G0)が供給された場合について説明する。このデータイネーブル信号ENBXの1クロック(G0)がデータ線駆動回路500に供給されると、データ転送クロックCLXにしたがった転送によって、ラッチ信号S1,S2,S3,…,Snが水平走査期間(1H)に順次排他的に出力される。なお、ラッチ信号S1,S2,S3,…,Snは、それそれデータ転送クロックCLXの半周期に相当するパルス幅を有している。
この際、図14における第1のラッチ回路520は、ラッチ信号S1の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて1本目のデータ線114との交差に対応する画素110への2値データをラッチし、次に、ラッチ信号S2の立ち下がりにおいて、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えて2本目のデータ線114との交差に対応する画素110への2値データをラッチし、以下、同様に、上から数えて1本目の走査線112と、左から数えてn本目のデータ線114との交差に対応する画素110への2値データをラッチする。
これにより、まず、図11において上から1本目の走査線112との交差に対応する画素1行分の2値データが、第1のラッチ回路520により点順次的にラッチされることになる。なお、データコーディング回路301は、第1のラッチ回路520によるラッチのタイミングに合わせて、各画素の表示データから順次、各サブフィールドに対応する2値データを生成して出力することはいうまでもない。
次に、クロック信号CLYが立ち下がって、走査信号G1が出力されると、図11において上から数えて1本目の走査線112が選択される結果、当該走査線112との交差に対応する画素110のトランジスタ116が全てオンとなる。
一方、当該クロック信号CLYの立ち下がりタイミングで再びデータイネーブル信号ENBX(G1)が出力される。そして、この信号の立ち上がりタイミングにおいて、第2のラッチ回路530は、第1のラッチ回路520によって点順次的にラッチされた2値データを、対応するデータ線114の各々に昇圧回路540を介してデータ信号d1,d2,d3,…,dnとして一斉に供給する。これにより、上から数えて1行目の画素110においては、データ信号d1,d2,d3,…,dnの書き込みが同時に行われることとなる。
この書き込みと並行して、図11において上から2本目の走査線112との交差に対応する画素1行分の2値データが、第1のラッチ回路520により点順次的にラッチされる。
このように、本実施の形態に係る電気光学装置では、複数の画素の各々に階調表示させる際に、複数の画素の各々に印加するオン電圧なるパルス信号をフィールドの前半に集中させ、さらに、表示する階調に応じて、オン電圧となるパルス信号の一部をオフ電圧として出力させるようにデータコーディング回路301によって制御する。
そして、以降同様な動作が、m本目の走査線112対応する走査信号Gmが出力されるまで繰り返される。なお、画素110に書き込まれたデータ信号は、次のサブフィールドSf2における書込まで保持される。
以下同様な動作が、サブフィールドの開始を規定する走査スタートパルスDYが供給される毎に繰り返される。
上記構成において、図16の(b)に一例を示すようにサブフィールドを白表示した場合におけるpSiTFTを用いた電気光学装置の明るさの実験データを図17に示す。なお、図17において、例えば横軸の「12_0」というのは、図16の(b)における「基本12階調」のことを示し、「12_5」というのは、図16の(b)における「基本12階調+5階調」のことを示す。図17の実験結果から、図16の(b)に一例を示すように駆動することにより、基本12階調(明るさ)と基本13階調(明るさ)との間に7つの階調を表示できることがわかる。
なお、ここでは、サブフィールドSf1〜Sf12を白表示する階調と、サブフィールドSf1〜Sf13を白表示する階調との間を補間する階調を得るパターンの例のみを示したが、他の階調と階調の間を補間する場合でも、図16の(b)と同様に制御することにより、サブフィールドMとM+1との間の階調を表示することができる。
ここで、サブフィールドMとM+1との間の階調を表示する場合で、連続的に配置された白表示するオンパルス(サブフィールド)のうち、白表示開始パルスを除く白表示開始近傍のパルス(サブフィールド)をオフにすることにより、よりM階調に近い階調を得ることができる。なお、ここでいう白表示開始近傍とは、フィールドが切り替わり、白表示信号の印加開始から表示素子(本実施の形態では液晶)の光学応答時間より短い時間内、つまり応答の遷移過程にある時間内のことである。
また、連続的に配置された白表示するオンパルス(サブフィールド)のうち、白表示終了パルスを除く白表示終了近傍のパルス(サブフィールド)をオフにすることによっても、よりM階調に近い階調を得ることができる。なお、ここでいう白表示終了近傍とは、M+1階調を表示する場合に白表示を終了する時点から、表示素子(本実施の形態では液晶)の光学応答時間遡った時間内のことである。
それ以外のパルスをオフすることによっては、よりM+1階調に近い階調を得ることができる。
必要な階調は、上記の中から適当な組み合わせを選ぶことにより得ることができる。
また、上述の本実施の形態では、駆動デバイスはpSiTFTであるものとしたが、これに限られるわけではない。本発明は、上述した構成と類似の構成を有する、電気光学装置の表示素子(本実施の形態では液晶)で、表示素子の光学応答時間がサブフィールドの時間より長いか、それに近い光学応答特性を有する場合に適用可能である。そのような電気工学装置として、例えば、駆動デバイスとしてpSiTFTを利用した液晶ライトバルブにより構成されたプロジェクターや、駆動デバイスとしてαTFTやTFDを用いた直視型液晶表示装置(直視型LCD)などがある。これらの構成については後述する。
ここで、本実施形態において適用した電気光学装置の表示素子は、上述した光学応答特性を備えているか検証する。
上述した本実施の形態では、60Hzのフレーム周波数において、32個の駆動パルス(サブフィールド)に分割した。この場合の単位パルスの長さと、液晶の応答速度を比較する。
単位パルス=1÷60÷32=約0.5(msec)
液晶の応答速度(TN液晶代表値)=約5(msec)
このように、本実施の形態の単位パルス時間は、液晶の応答速度に対し十分短いパルスなので、本実施の形態の電気光学装置は有効である。
また、上述した実施の形態の電気光学装置の表示モードは、ノーマリーブラックであるとして説明した。電気光学装置の表示モードがノーマリーホワイトである場合も、上述した構成と同様の構成であれば適応可能である。ただし、その場合、上述での「オン電圧(オン状態)」と「オフ電圧(オフ状態)」の信号を入れ替えて制御する必要がある。
<液晶装置の全体構成>
次に、上述した実施形態や応用形態に係る電気光学装置の構造について、図18及び図19を参照して説明する。ここで、図18は、電気光学装置100の構成を示す平面図であり、図19は、図18におけるA−A'線の断面図である。
これらの図に示されるように、電気光学装置100は、画素電極118などが形成された素子基板101と、対向電極108などが形成された対向基板102とが、互いにシール材104によって一定の間隙を保って貼り合わせられると共に、この間隙に電気光学材料としての液晶105が挟持された構造となっている。なお、実際には、シール材104には切欠部分があって、ここを介して液晶105が封入された後、封止材により封止されるが、これらの図においては省略されている。
本実施の形態のような、ノーマリーブラックの表示モードの液晶表示装置は、例えば垂直配向膜と誘電率異方性が負の液晶材料を組み合わせて液晶パネルを構成し、それらを、透過軸を夫々90度ずらして配置した2枚の偏光板で挟み込むことにより得ることができる。
もちろんノーマリーホワイトの表示モードであるTNモード液晶を用いることもできるが、その場合は、白表示したいサブフィールドで電圧をオフ状態にし、黒表示を得たいサブフィールドにおいて電圧をオン状態とするように駆動すればよい。
対向基板102は、ガラス等から構成される透明な基板である。また、上述した説明では、素子基板101は透明基板からなると記載したが、反射型の電気光学装置の場合は、半導体基板とすることもできる。この場合、半導体基板は不透明なので、画素電極118はアルミニウムなどの反射性金属で形成される。
素子基板101において、シール材104の内側かつ表示領域101aの外側領域には、遮光膜106が設けられている。この遮光膜106が形成される領域内のうち、領域130aには走査線駆動回路130か形成され、また、領域140aにはデータ線駆動回路140が形成されている。
即ち、遮光膜106は、この領域に形成される駆動回路に光が入射するのを防止している。この遮光膜106には、対向電極108と共に、対向電極電圧VLCCOMが印加される構成となっている。
また、素子基板101において、データ線駆動回路140が形成される領域140a外側で、あって、シール材104を隔てた領域107には、複数の接続端子が形成されて、外部からの制御信号や電源などを入力する構成となっている。
一方、対向基板102の対向電極108は、基板貼合部分における4隅のうち、少なくとも1箇所において設けられた導通材(図示省略)によって、素子基板101における遮光膜106及び接続端子と電気的な導通が図られている。即ち、対向電極電圧VLCCOMは、素子基板101に設けられた接続端子を介して、遮光膜106に、さらに、導通材を介して対向電極108に、それぞれ印加される構成となっている。
また、対向基板102には、電気光学装置100の用途に応じて、例えば、直視型であれば、第1に、ストライプ状や、モザイク状、トライアングル状等に配列したカラーフィルタが設けられ、第2に、例えば、金属材料や樹脂などからなる遮光膜(ブラックマトリクス)が設けられる。なお、色光変調の用途の場合には、例えば、後述するプロジェクタのライトバルブとして用いる場合には、カラーフィルタは形成されない。また、直視型の場合、電気光学装置100に光を対向基板102側もしくは素子基板側から照射するライトか必要に応じて設けられる。くわえて、素子基板101及び対向基板102の電極形成間には、それぞれ所定の方向にラビング処理された配向膜(図示省略)などが設けられて、電圧無印加状態における液晶分子の配向方向を規定する一方、対向基板102の側には、配向方向に応じた偏光子(図示省略)が設けられる。ただし、液晶105として、高分子中に微小粒として分散させた高分子分散型液晶を用いれば、前述の配向膜や偏光子などが不要となる結果、光利用効率か高まるので、高輝度化や低消費電力化などの点において有利である。
<電子機器>
次に、上述した液晶装置を具体的な電子機器に用いた例のいくつかについて説明する。
<プロジェクタ>
まず、実施形態に係る電気光学装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図20は、このプロジェクタの構成を示す平面図である。この図に示されるように、プロジェクタ1100内部には、偏光照明装置1110がシステム光軸PLに沿って配置している。この偏光照明装置1110において、ランプ1112からの出射光は、リフレクタ1114による反射で略平行な光束となって、第1のインテグレータレンズ1120に入射する。これにより、ランプ1112からの出射光は、複数の中間光束に分割される。この分割された中間光束は、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130によって、偏光方向が略々揃った一種類の偏光光束(s偏光光束)に変換されて、偏光照明装置1110から出射されることとなる。
偏光照明装置1110から出射されたs偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のs偏光光束反射面1141によって反射される。この反射光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1151の青色光反射層にて反射され、反射型の電気光学装置100Bによって変調される。また、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層にて反射され、反射型の液電気光学装置100Rによって変調される。
一方、ダイクロイックミラー1151の青色光反射層を透過した光束のうち、緑色光(G)の光束は、ダイクロイックミラー1152の赤色光反射層を透過して、反射型の電気光学装置100Gによって変調される。
このようにして、電気光学装置100R、100G、100Bによってそれぞれ色光変調された赤色、緑色、青色の光は、ダイクロイックミラー1152、1151、偏光ビームスプリッタ1140によって順次合成された後、投射光学系1160によって、スクリーン1170に投射されることとなる。なお、電気光学装置100R、100Bおよび100Gには、ダイクロイックミラー1151、1152によって、R、G、Bの各原色に対応する光束が入射するので、カラーフィルタは必要ない。
なお、本実施形態においては、反射型の電気光学装置を用いたが、透過型表示の電気光学装置を用いたプロジェクタとしても構わない。
<モバイル型コンピュータ>
次に、上記電気光学装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図21はこのパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、表示ユニット1206とから構成されている。この表示ユニット1206は、先に述べた電気光学装置100の前面にフロントライトを付加することにより構成されている。
なお、この構成では、電気光学装置100を反射直視型として用いることになるので、画素電極118において、反射光が様々な方向に散乱するように、凹凸が形成される構成が望ましい。
さらに、上記電気光学装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図22はこの携帯電話の構成を示す斜視図である。同図において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302のほか、受話口1304、送話口1306と共に、電気光学装置100を備えるものである。
この電気光学装置100にも、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。また、この構成でも、電気光学装置100が反射直視型として用いられることになるので、画素電極118に凹凸が形成される構成が望ましい。
なお、電子機器としては、図21、図22を参照して説明した他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に対して、上記各実施形態や応用形態に係る電気光学装置が適用可能なのは言うまでもない。
図23乃至図25は本発明の第3の実施の形態に係り、図23は第3の実施の形態において採用される駆動回路を示すブロック図であり、図24及び図25は第3の実施の形態を説明するための説明図である。
本実施の形態におけるハードウェア構成は第1及び第2の実施の形態で用いた電気光学装置と略同様であり、図1におけるデータ変換回路300又は図11におけるデータコーディング回路301のコーディング方法が異なる。
上述した第1の実施の形態では、オン電圧を印加するサブフィールドを前半に集中させ液晶の応答視認性を改善し、また第2の実施の形態ではその一部をオフ電圧とすることにより、サブフィールドの数を増やすことなく表示可能な階調数を増やすことができた。しかし、静止画のように液晶の応答視認性が問題にならない場合には、オン電圧を印加するサブフィールドの位置とオフ電圧を印加するサブフィールドの位置とを適宜設定することによって、表現可能な階調数を、第2の実施の形態よりも更に増大させることができる。
ところで、プラズマディスプレイ等においても、サブフィールド駆動が採用されている。プラズマディスプレイ等においては、1フィールド内のサブフィールド期間の長さ(時間幅)を変えて、各サブフィールドに重みを付した重み付けサブフィールド駆動が行われる。これは、プラズマディスプレイ等においては、各サブフィールド期間毎に画素への書込み時間(走査時間)が必要であり、1フィールド内のサブフィールド数を増大させると、1フィールド期間内で画素に書き込み走査を行う回数が増え、この書き込みのために発光時間が短くなって画面が暗くなってしまうからである。
これに対し、液晶装置は、1フィールド内のサブフィールド数が増大しても画面が暗くなることはない。上述したように、1フィールド内のサブフィールド数が多いほど、表現可能な階調数も多くなる。従って、液晶装置では階調表現を考慮すると、1フィールド内のサブフィールド数を多くした方が好ましい。しかし、高速化についてのデバイス制約によって、1フィールド内のサブフィールド数も制限を受ける。
そこで、本実施の形態においては、液晶の飽和応答時間(液晶オン電圧の印加から透過率100%が得られるまでの時間)が、例えばプロジェクタ用途では5m秒程度であることを利用して、1フィールド内のサブフィールド数を多くすることなく、表現可能な階調数を増大させるようになっている。
図23の駆動回路は、例えば図11の走査線駆動回路401、データ線駆動回路500及び表示領域101aを除く部分に相当する。サブフィールドタイミングジェネレータ10には外部から水平同期信号Hs、垂直同期信号Vs及びドットクロックDCLKが入力される。サブフィールドタイミングジェネレータ10は、入力された水平同期信号Hs、垂直同期信号Vs、ドットクロックDCLKを基に、サブフィールド系で用いるタイミング信号を生成する。
即ち、サブフィールドタイミングジェネレータ10は、ディスプレイ駆動用の信号である、データ転送クロックCLX、データイネーブル信号ENBX、極性反転信号FRを生成してデータ線駆動回路500(図11参照)に出力する。また、サブフィールドタイミングジェネレータ10は、走査スタートパルスDY、走査側転送クロックCLYを生成して走査線駆動回路401に出力する。また、サブフィールドタイミングジェネレータ10は、コントローラ内部で用いるデータ転送スタートパルスDDS及びサブフィールド識別信号SFを生成して、データ・エンコーダ30に出力する。
一方、表示データはメモリ・コントローラ20に供給される。書き込みアドレスジェネレータ11は、外部から入力される水平同期信号Hs、垂直同期信号Vs、ドットクロックDCLKにより、そのときに送られているデータの画面上での位置を特定し、特定した結果に基づいて、表示データをメモリ23,24に格納するためのメモリアドレスを生成して、メモリ・コントローラ20に出力する。
読み込みアドレスジェネレータ12は、サブフィールドタイミングジェネレータ10によって生成されたサブフィールド系のタイミング信号から、そのときに表示する画面上での位置を決定し、決定した結果に基づいて、書き込み時と同一のルールに則って、メモリ23,24からデータを読み込むためのメモリアドレスを生成して、メモリ・コントローラ20に出力する。
メモリ・コントローラ20は、入力された表示データをメモリ23,24に書き込み、またディスプレイに表示するデータをメモリ23,24から読み込むための制御を行う。即ち、メモリ・コントローラ20は、外部から入力されたデータのメモリ23,24への書き込みは、タイミング信号DCLKに同期させて、書き込みアドレスジェネレータ11で生成されたアドレスに対して行う。また読み込みは、読み込みアドレスジェネレータ12で生成されたアドレスから、サブフィールドタイミングジェネレータ10で生成されたタイミング信号CLXに同期させて行う。メモリ・コントローラ20は、読み込んだデータをデータ・エンコーダ30に出力する。
メモリ23,24は、フィールド毎に書き込み用又は読み込み用として交互に切り替えて使用される。この切り替え制御は、メモリ・コントローラ20によってタイミング信号に合わせて行われる。
コード格納用ROM31は、各画素の表示すべき明るさのデータ(階調データ)に対して、各サブフィールド期間毎に画素をオン状態又はオフ状態にするためのHレベル又はLレベルの2値信号Dsを格納している。コード格納用ROM31は、各画素に書き込むべきデータ(階調データ)と、書き込みを行うサブフィールドとをアドレスとして入力すると、そのサブフィールドに対応した1ビットのデータ(2値信号(データ)Ds)を出力するように構成されている。
データ・エンコーダ30は、メモリ・コントローラ20から送られてきたデータと、サブフィールドタイミングジェネレータ10から送られてくるサブフィールド識別信号SFにより、コード格納用ROM31から必要なデータを読み出すためのアドレスを生成し、そのアドレスを用いてコード格納用ROM31からデータを読み出し、データ転送クロックCLXに同期してデータ線駆動回路500に出力する。
本実施の形態においては、コード格納用ROM31に格納されている2値信号Dsは、液晶の応答特性を考慮したものとなっており、階調データに基づいて、全サブフィールド中の任意のサブフィールドを白表示又は黒表示させる値となっている。図24はコード格納用ROM31に格納される2値信号Dsを説明するためのものである。
図24は1フィールドを時間軸上で6つのサブフィールドSf1〜Sf6に分割した例を示している。即ち、図24では、1フィールド期間を6等分して各分割期間であるサブフィールド期間毎に、画素をサブフィールド駆動する例についてのものである。図24の斜線部はオン電圧を印加するサブフィールド期間を示し、無地部はオフ電圧を印加するサブフィールド期間を示している。
本実施の形態においても、各画素について、指定された階調データに基づいて各サブフィールド期間Sf1〜Sf6毎に、各画素をオン状態(白表示)又はオフ状態(黒表示)にすることによって、階調表示を行う。
図8に示すように、画素電極に対する印加電圧(駆動電圧)は瞬時に飽和するのに対し、画素の透過率の応答は遅く、図8及び図13等に示すように、所定の遅延時間後に液晶の透過率は飽和する。図24は液晶にオン電圧を印加した場合に液晶が光学的に飽和するまでに約3〜4サブフィールド期間の時間を要する液晶材料を用いた例を示している。また、オフ電圧を印加した場合に透過率が飽和状態から非透過状態に移行するまでの非透過応答時間についても、1サブフィールド期間よりも長い液晶材料が用いられる。
即ち、図24の例では、オン電圧印加後の最初のサブフィールド期間では、液晶は飽和透過率の4/10の透過率に変化し、次のサブフィールド期間までに、即ちオン電圧印加後の2サブフィールド期間で7/10の透過率に変化し、オン電圧印加後の3サブフィールド期間で8/10の透過率に変化し、オン電圧印加後の4サブフィールド期間で10/10の透過率に変化する例を示している。
また、図24の例は、オフ電圧印加後の最初のサブフィールド期間では、液晶は透過率が3/10だけ低下し、オフ電圧印加後の2サブフィールド期間で透過率が5/10だけ低下し、オフ電圧印加後の3サブフィールド期間で透過率が7/10だけ低下し、オフ電圧印加後の4サブフィールド期間で透過率が10/10だけ低下する例を示している。
図24(a)はフィールド期間の前半の3サブフィールド期間にオン電圧を印加し、後半の3サブフィールド期間にオフ電圧を印加した例を示している。液晶の透過率は、1つ目のサブフィールド期間で飽和透過率の4/10まで上昇し、2つ目のサブフィールド期間で飽和透過率の7/10まで上昇し、3つ目のサブフィールド期間で飽和透過率の8/10まで上昇する。更に、4つ目のサブフィールド期間で透過率は飽和透過率の5/10に低下し、5つ目のサブフィールド期間で3/10の透過率に低下し、6つ目のサブフィールド期間で1/10の透過率に低下する。
上述したように、サブフィールド駆動の周期(図24の例では1フィールド期間)が十分に短い場合には、透過率の積分値に比例して明るさが変化する。全てのサブフィールド期間において100%の透過率で表示を行った場合に完全な白表示が得られるものとすると、図24(a)のフィールド期間における明るさは完全な白表示の{(4+7+8+5+3+1)/10}×1/6=28/60の明るさとなる。
同様に、図24(b)の例では、完全な白表示の{(4+3+1)/10}×1/6=8/60の明るさとなる。また、図24(c)の例では、完全な白表示の{(4+3+1+4+3+1)/10}×1/6=16/60の明るさとなる。また、図24(d)の例では、完全な白表示の{(4+7+4+3+2+1)/10}×1/6=21/60の明るさとなる。
第1の実施の形態のように、単純にオン電圧を印加するサブフィールド期間を連続させた場合には、6分割したサブフィールド期間によって、6+1=7階調の表示しか得られない。これに対し、本実施の形態においては、オン電圧を印加するサブフィールド期間の位置とオフ電圧を印加するサブフィールド期間の位置を適宜設定することによって、7階調よりも著しく多い多数の階調数での表示が可能である。
図25は第3の実施の形態において、1フィールドを時間軸上で16サブフィールドに分割した例を示している。図25の斜線部はオン電圧を印加するサブフィールド期間を示し、無地部はオフ電圧を印加するサブフィールド期間を示している。全てのサブフィールド期間において白表示になるようにした場合に完全な白表示が得られるものとすると、図25(a)乃至(c)の各フィールド期間における明るさは、夫々、完全な白表示の約60%、50%又は55%である。
図25の例は図25(a)乃至図25(c)のいずれもオン電圧を印加するサブフィールド数は同数であるが、オン、オフパルスの配列、即ち、オン電圧の印加するサブフィールド期間の位置とオフ電圧を印加するサブフィールド期間の位置とに応じて、明るさが変化することを示している。
なお、単純にオンお電圧を印加するサブフィールド期間を連続させた場合には、16サブフィールドによって17階調の表示しか得られないが、図25の例では、160階調以上の階調表現が可能である。同様に、1フィールドを時間軸上で32サブフィールドに分割した場合には、256階調以上の階調表現が可能である。
なお、1フィールドの分割数は任意の数でよいことは他の実施の形態と同様である。また、本実施の形態は応答速度が遅い電気泳動を利用した表示装置等の表示装置にも適用可能である。
以上説明したように本発明によれば、電気光学材料としての液晶の応答特性を改善して画質の向上を図ることができると共に、重み付けしない、単純なフィールド分割によりサブフィールドを決めた場合でも、サブフィールドの数よりはるかに多く階調表示できるという効果を有する。
101a…表示領域、130…走査線駆動回路、140…データ線駆動回路、150…クロック発生回路、200…タイミング信号生成回路、300…データ変換回路、400…駆動電圧生成回路。