JP2007147640A - 検出制御回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出電極取付けに起因する複雑なシール構造を要することなく、インク残量を正確に検出すること。
【解決手段】圧電素子を有する圧電装置を用いて、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検出する回路であって、圧電装置を発振させ、発振後に残留する残留振動によって圧電装置が発生した逆起電力を測定する測定回路部と、測定回路部が測定した逆起電力を入力して液体の消費状態を表す信号を出力する検出回路部とを備え、測定回路部が、測定回路部に入力された電圧が所定のしきい値を超えたときに、入力された電圧を増幅して圧電装置へ駆動電圧を出力することにより圧電装置を発振させる増幅器を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、音響インピーダンスの変化を検出することで、その中でも特に共振周波数の変化を検出することで、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検知するための圧電装置に用いられる検出制御回路に関する。さらに詳しくは、圧力発生手段により圧力発生室のインクを印刷データに対応させて加圧してノズル開口からインク滴を吐出させて印刷するインクジェット記録装置に適用されるインクカートリッジに備えられ、インクカートリッジ内のインクの消費状態を検出する圧電装置に関するものである。
本発明が適用される液体容器として、インクジェット式記録装置に装着されるインクカートリッジを例にとって説明する。一般にインクジェット記録装置には、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインクをノズル開口からインク滴として吐出するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドが搭載されたキャリッジと、流路を介して記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクタンクとを備えており、連続印刷が可能なように構成されている。インクタンクはインクが消費された時点で、ユーザが簡単に交換できるように、記録装置に対して着脱可能なカートリッジとして構成されているものが一般的である。
従来、インクカートリッジのインク消費の管理方法として、記録ヘッドによって吐出されるインク滴のカウント数と、印字ヘッドのメンテナンス工程で吸引されたインク量とをソフトウエアにより積算し、計算上でインク消費を管理する方法や、インクカートリッジに直接液面検出用の電極を2本取付けることによって、実際にインクが所定量消費された時点を検知することでインク消費を管理する方法などが知られていた。
しかしながら、ソフトウェアによりインク滴の吐出数や吸引されたインク量を積算してインク消費を計算上で管理する方法は、使用環境により、例えば使用室内の温度や湿度の高低、インクカートリッジの開封後の経過時間、ユーザサイドでの使用頻度の違いなどによって、インクカートリッジ内の圧力やインクの粘度が変化してしまい、計算上のインク消費量と実際の消費量との間に無視できない誤差が生じてしまうという問題があった。また同一カートリッジを一旦取外し、再度装着した場合には積算されたカウント値は一旦リセットされてしまうので、実際のインク残量がまったくわからなくなってしまうという問題もあった。
一方、電極によりインクが消費された時点を管理する方法は、インク消費のある一点の実量を検出できるため、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしながら、インクの液面を検出するためにインクは導電性でなくてはならず、よって使用されるインクの種類が限定されてしまう。また、電極とインクカートリッジとの間の液密構造が複雑化する問題がある。さらに、電極の材料として、通常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属を使用するので、インクカートリッジの製造コストがかさむという問題もあった。さらに、2本の電極をそれぞれインクカートリッジの別な場所に装着する必要があるため、製造工程が多くなり結果として製造コストがかさんでしまうという問題もあった。
そこで本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、液体の残量を正確に検出でき、かつ複雑なシール構造を不要とした圧電装置の検出制御回路を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
即ち、本発明の第1の形態における検出制御回路は、圧電素子を有する圧電装置を用いて、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検出する回路であって、圧電装置を発振させ、発振後に残留する残留振動によって圧電装置が発生した逆起電力を測定する測定回路部と、測定回路部が測定した逆起電力を入力して液体の消費状態を表す信号を出力する検出回路部とを備えることが好ましい。
また、測定回路部が増幅器を有し、増幅器が、相補に接続されたPNP型トランジスタ及びNPN型トランジスタを有し、PNP型トランジスタ及びNPN型トランジスタのエミッタ同士が接続されることが好ましい。更に、増幅器が、相補に接続されたP型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタを有し、P型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタのソース同士が接続され、ソースとP型電界効果トランジスタ又はN型電界効果トランジスタのソースとの間に生じる駆動電圧が圧電装置に与えられてもよい。
検出回路部が、残留振動が一定時間に振動する回数を数えるカウンタを更に有し、カウンタが数えた値に基づいて、液体の消費状態を判定することが好ましい。また、検出回路部が、残留振動が一定時間に振動する回数を数えるカウンタを更に有し、カウンタは、残留振動が所定の回数振動する間における、残留振動の振動周期より短い振動周期を有するクロックの振動回数を数え、カウンタが数えた値に基づいて、液体の消費状態を判定することが好ましい。圧電装置が所定の回数残留振動した後に、カウンタが残留振動の振動回数を数えてもよい。残留振動の振動を検出しないときに、検出回路部が、液体容器が検出制御回路に接続されていないことを通知してもよい。
測定回路部が、複数の増幅器と複数の圧電装置とを更に備え、複数の増幅器のそれぞれが、複数の圧電装置にそれぞれ駆動電圧を与え、検出回路部が、複数の圧電装置が発生した、それぞれの逆起電力を入力して液体の消費状態を表す信号を出力することが好ましい。検出回路が出力した液体の消費状態を表す信号に基づいて、液体を消費する動作を制御する制御回路部を更に備えることが好ましい。
液体容器が、液体の消費状態を記憶する記憶手段を備え、制御回路部が、記憶手段から液体の消費状態を読み出し、記憶手段に逆起電力を測定することにより検出した液体の消費状態を記憶手段に書きこむ情報記憶制御回路部を有すること
が好ましい。液体容器が、インクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジであり、インクジェット記録装置に設けられてもよい。
制御回路部が、インクカートリッジ液体容器内の液体を吐出する印字ヘッドと、印字ヘッドから吐出されたインク滴の数液体の量を数えるドット吐出量カウンタとを備えてもよい。検出回路部が、逆起電力から得た液体の消費状態に基づいて前記ドットカウンタが数えた前記インク滴の数から液体の消費量を算出する算出式のパラメータを補正することが好ましい。
本発明の第2の形態における記録媒体は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体であって、圧電素子を有する圧電装置を用いて液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検出する記録装置制御回路を制御する液体消費状態検出プログラムを格納し、液体消費状態検出プログラムが、液体容器に装着された圧電装置を発振させる信号を生成し、発振後に残留する残留振動によって圧電装置が発生した逆起電力を入力するよう記録装置制御回路を制御する入力プログラムと、入力プログラムに従って入力された逆起電力に基づいて液体容器内の液体の消費状態を表す信号を出力するよう記録装置制御回路を制御する検出プログラムとを有することが好ましい。
本発明の第3の形態における情報処理装置は、インクジェット記録装置に接続された端末に対して、インクジェット記録装置に装着されたインクカートリッジ内のインクの消費状態を検出する記録装置制御回路を制御する検出制御プログラムを送信する情報処理装置であって、インクカートリッジに装着された圧電装置を発振させ、発振後に残留する残留振動によって圧電装置が発生した逆起電力を入力するよう記録装置制御回路を制御する入力プログラムと、逆起電力に基づいてインクカートリッジ内のインクの消費状態を表す信号を出力するよう記録装置制御回路を制御する検出プログラムとを電気通信回線を介して端末に送信することが好ましい。
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
本発明の検出制御回路は、液体の残量を正確に検出できる。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本発明の基本的概念は、振動現象を利用することで、液体容器内の液体の状態(液体容器内の液体の有無、液体の量、液体の水位、液体の種類、液体の組成を含む)を検出することである。具体的な振動現象を利用した液体容器内の液体の状態の検出としてはいくつかの方法が考えられる。例えば弾性波発生手段が液体容器の内部に対して弾性波を発生し、液面あるいは対向する壁によって反射する反射波を受波することで、液体容器内の媒体およびその状態の変化を検出する方法がある。また、これとは別に、振動する物体の振動特性から音響インピーダンスの変化を検知する方法もある。音響インピーダンスの変化を利用する方法としては、圧電素子を有する圧電装置またはアクチュエータの振動部を振動させ、その後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって、共振周波数または逆起電力波形の振幅を検出することで音響インピーダンスの変化を検知する方法や、測定機、例えば伝送回路等のインピーダンスアナライザによって液体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定し、電流値や電圧値の変化または、振動を液体に与えたときの電流値や電圧値の周波数による変化を測定する方法がある。本実施例は、音響インピーダンスの変化を検出することで、その中でも特に共振周波数の変化を検出することで、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検知するための圧電装置に用いられる検出制御回路に関するものである。
図1および図2は、圧電装置の一実施形態であるアクチュエータ106の詳細および等価回路を示す。ここでいうアクチュエータは、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。特に、残留振動により共振周波数の検出することで、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。図1(A)は、アクチュエータ106の拡大平面図である。図1(B)は、アクチュエータ106のB−B断面を示す。図1(C)は、アクチュエータ106のC-C断面を示す。さらに図2(A)および図2(B)は、アクチュエータ106の等価回路を示す。また、図2(C)および図2(D)は、それぞれインクカートリッジ内にインクが満たされているときのアクチュエータ106を含む周辺およびその等価回路を示し、図2(E)および図2(F)は、それぞれインクカートリッジ内にインクが無いときのアクチュエータ106を含む周辺およびその等価回路を示す。
アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形状の開口161を有する基板178と、開口161を被覆するように基板178の一方の面(以下、表面という)に配備される振動板176と、振動板176の表面の側に配置される圧電層160と、圧電層160を両方からはさみこむ上部電極164および下部電極166と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子168と、下部電極166と電気的に結合する下部電極端子170と、上部電極164および上部電極端子168の間に配設され、かつ両者を電気的に結合する補助電極172と、を有する。圧電層160、上部電極164および下部電極166はそれぞれの主要部として円形部分を有する。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの円形部分は圧電素子を形成する。
振動板176は、基板178の表面に、開口161を覆うように形成される。キャビティ162は、振動板176の開口161と面する部分と基板178の表面の開口161とによって形成される。基板178の圧電素子とは反対側の面(以下、裏面という)は液体容器側に面しており、キャビティ162は液体と接触するように構成されている。キャビティ162内に液体が入っても基板178の表面側に液体が漏れないように、振動板176は基板178に対して液密に取り付けられる。
下部電極166は振動板176の表面、即ち液体容器とは反対側の面に位置しており、下部電極166の主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように取り付けられている。なお、下部電極166の円形部分の面積が開口161の面積よりも小さくなるように設定されている。一方、下部電極166の表面側には、圧電層160が、その円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成されている。圧電層160の円形部分の面積は、開口161の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるように設定されている。
一方、圧電層160の表面側には、上部電極164が、その主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成される。上部電極164の円形部分の面積は、開口161および圧電層160の円形部分の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるよう設定されている。
したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによって、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造となっていて、圧電層160を効果的に変形駆動することができる。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分がアクチュエータ106における圧電素子を形成する。上述のように圧電素子は振動板176に接している。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分、下部電極166の円形部分および開口161のうちで、面積が最も大きいのは開口161である。この構造によって、振動板176のうち実際に振動する振動領域は、開口161によって決定される。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分および下部電極166の円形部分は開口161より面積が小さいので、振動板176がより振動しやすくなる。さらに、圧電層160と電気的に接続する下部電極166の円形部分および上部電極164の円形部分のうち、下部電極166の円形部分の方が小さい。従って、下部端子166の円形部分が圧電層160のうち圧電効果を発生する部分を決定する。
上部電極端子168は、補助電極172を介して上部電極164と電気的に接続するように振動板176の表面側に形成される。一方、下部電極端子170は、下部電極166に電気的に接続するように振動板176の表面側に形成される。上部電極164は、圧電層160の表面側に形成されるため、上部電極端子168と接続する途中において、圧電層160の厚さと下部電極166の厚さとの和に等しい段差を有する必要がある。上部電極164だけでこの段差を形成することは難しく、かりに可能であったとしても上部電極164と上部電極端子168との接続状態が弱くなってしまい、切断してしまう危険がある。そこで、補助電極172を補助部材として用いて上部電極164と上部電極端子168とを接続させている。このようにすることで、圧電層160も上部電極164も補助電極172に支持された構造となり、所望の機械的強度を得ることができ、また上部電極164と上部電極端子168との接続を確実にすることが可能となる。
なお、圧電素子と振動板176のうちの圧電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106において実際に振動する振動部である。また、アクチュエータ106に含まれる部材は、互いに焼成されることによって一体的に形成されることが好ましい。アクチュエータ106を一体的に形成することによって、アクチュエータ106の取り扱いが容易になる。さらに、基板178の強度を高めることによって振動特性が向上する。即ち、基板178の強度を高めることによって、アクチュエータ106の振動部のみが振動し、アクチュエータ106のうち振動部以外の部分が振動しない。また、アクチュエータ106の振動部以外の部分が振動しないためには、基板178の強度を高めるのに対し、アクチュエータ106の圧電素子を薄くかつ小さくし、振動板176を薄くすることによって達成できる。
圧電層160の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)または鉛を使用しない鉛レス圧電膜を用いることが好ましく、基板178の材料としてジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板176には、基板178と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
上述したように構成されるアクチュエータ106は、液体を収容する容器に適用することができる。例えば、インクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジやインクタンク、あるいは記録ヘッドを洗浄するための洗浄液を収容した容器などに装着することができる。
図1および図2に示されるアクチュエータ106は、液体容器の所定の場所に、キャビティ162を液体容器内に収容される液体と接触するように装着される。液体容器に液体が十分に収容されている場合には、キャビティ162内およびその外側は液体によって満たされている。一方、液体容器の液体が消費され、アクチュエータの装着位置以下まで液面が降下すると、キャビティ162内には液体は存在しないか、あるいはキャビティ162内にのみ液体が残存されその外側には気体が存在する状態となる。アクチュエータ106は、この状態の変化に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、アクチュエータ106は、液体容器に液体が十分に収容されている状態であるか、あるいはある一定以上の液体が消費された状態であるかを検知することができる。さらに、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の種類も検出することが可能である。
ここでアクチュエータによる液面検出の原理について説明する。媒体の音響インピーダンスの変化を検出するには、媒体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定する。インピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定する場合には、例えば伝送回路を利用することができる。伝送回路は、媒体に一定電圧を印加し、周波数を変えて媒体に流れる電流を測定する。または、伝送回路は、媒体に一定電流を供給し、周波数を変えて媒体に印加される電圧を測定する。伝送回路で測定された電流値または電圧値の変化は音響インピーダンスの変化を示す。また、電流値または電圧値が極大または極小となる周波数fmの変化も音響インピーダンスの変化を示す。
上記の方法とは別に、アクチュエータは、液体の音響インピーダンスの変化を共振周波数のみの変化を用いて検出することができる。液体の音響インピーダンスの変化を利用する方法として、アクチュエータの振動部が振動した後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって共振周波数を検出する方法を用いる場合には、例えば圧電素子を利用することができる。圧電素子は、アクチュエータの振動部に残留する残留振動により逆起電力を発生する素子であり、アクチュエータの振動部の振幅によって逆起電力の大きさが変化する。従って、アクチュエータの振動部の振幅が大きいほど検出がしやすい。また、アクチュエータの振動部における残留振動の周波数によって逆起電力の大きさが変化する周期が変わる。従って、アクチュエータの振動部の周波数は逆起電力の周波数に対応する。ここで、共振周波数は、アクチュエータの振動部と振動部に接する媒体との共振状態における周波数をいう。
共振周波数fsを得るために、振動部と媒体とが共振状態であるときの逆起電力測定によって得られた波形をフーリエ変換する。アクチュエータの振動は、一方向だけの変形ではなく、たわみや伸長等様々な変形をともなうので、共振周波数fsを含め様々な周波数を有する。よって、圧電素子と媒体とが共振状態であるときの逆起電力の波形をフーリエ変換し、最も支配的な周波数成分を特定することで、共振周波数fsを判断する。
周波数fmは、媒体のアドミッタンスが極大またはインピーダンスが極小であるときの周波数である。共振周波数fsとすると、周波数fmは、媒体の誘電損失または機械的損失などによって、共振周波数fsに対しわずかな誤差を生ずる。しかし、実測される周波数fmから共振周波数fsを導出することは手間がかかるため、一般には、周波数fmを共振周波数に代えて使用する。ここで、アクチュエータ106の出力を伝送回路に入力することで、アクチュエータ106は少なくとも音響インピーダンスを検出することができる。
媒体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定し周波数fmを測定する方法と、アクチュエータの振動部における残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって共振周波数fsを測定する方法と、によって特定される共振周波数に差がほとんど無いことが実験によって証明されている。
アクチュエータ106の振動領域は、振動板176のうち開口161によって決定されるキャビティ162を構成する部分である。液体容器内に液体が充分に収容されている場合には、キャビティ162内には、液体が満たされ、振動領域は液体容器内の液体と接触する。一方で、液体容器内に液体が充分にない場合には、振動領域は液体容器内のキャビティに残った液体と接するか、あるいは液体と接触せず、気体または真空と接触する。
本発明のアクチュエータ106にはキャビティ162が設けられ、それによって、アクチュエータ106の振動領域に液体容器内の液体が残るように設計できる。その理由は次の通りである。
アクチュエータの液体容器への取り付け位置や取り付け角度によっては、液体容器内の液体の液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にあるにもかかわらず、アクチュエータの振動領域に液体が付着してしまう場合がある。振動領域における液体の有無だけでアクチュエータが液体の有無を検出している場合には、アクチュエータの振動領域に付着した液体が液体の有無の正確な検出を妨げる。たとえば、液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にある状態のとき、キャリッジの往復移動などにより液体容器が揺動して液体が波うち、振動領域に液滴が付着してしまうと、アクチュエータは液体容器内に液体が充分にあるとの誤った判断をしてしまう。そこで、逆にそこに液体を残存した場合であっても液体の有無を正確に検出するように設計されたキャビティを積極的に設けることで、液体容器が揺動して液面が波立ったとしても、アクチュエータの誤動作を防止することができる。このように、キャビティを有するアクチュエータを用いることで、誤動作を防ぐことができる。
また、図2(E)に示すように、液体容器内に液体が無く、アクチュエータ106のキャビティ162に液体容器内の液体が残っている場合を、液体の有無の閾値とする。すなわち、キャビティ162の周辺に液体が無く、この閾値よりキャビティ内の液体が少ない場合は、インク無しと判断し、キャビティ162の周辺に液体が有り、この閾値より液体が多い場合は、インク有りと判断する。例えば、アクチュエータ106を液体容器の側壁に装着した場合、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置よりも下にある場合をインク無しと判断し、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置より上にある場合をインク有りと判断する。このように閾値を設定することによって、キャビティ内のインクが乾燥してインクが無くなったときであってもインク無しと判断し、キャビティ内のインクが無くなったところにキャリッジの揺れなどで再度インクがキャビティに付着しても閾値を越えないので、インク無しと判断することができる。
ここで、図1および図2を参照しながら逆起電力の測定による媒体とアクチュエータ106の振動部との共振周波数から液体容器内の液体の状態を検出する動作および原理について説明する。アクチュエータ106において、上部電極端子168および下部電極端子170を介して、それぞれ上部電極164および下部電極166に電圧を印加する。圧電層160のうち、上部電極164および下部電極166に挟まれた部分には電界が生じる。その電界によって、圧電層160は変形する。圧電層160が変形することによって振動板176のうちの振動領域がたわみ振動する。圧電層160が変形した後しばらくは、たわみ振動がアクチュエータ106の振動部に残留する。
残留振動は、アクチュエータ106の振動部と媒体との自由振動である。従って、圧電層160に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後に振動部と媒体との共振状態を容易に得ることができる。残留振動は、アクチュエータ106の振動部を振動させるため、圧電層160をも変形する。従って、圧電層160は逆起電力を発生する。その逆起電力は、上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170を介して検出される。検出された逆起電力によって、共振周波数が特定できるため、液体容器内の液体の状態を検出することができる。
一般に、共振周波数fsは、
fs=1/(2*π*(M*Cact)1/2) (式1)
で表される。ここで、Mは振動部のイナータンスMactと付加イナータンスM'との和である。Cactは振動部のコンプライアンスである。
図1(C)は、本実施例において、キャビティにインクが残存していないときのアクチュエータ106の断面図である。図2(A)および図2(B)は、キャビティにインクが残存していないときのアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路である。
Mactは、振動部の厚さと振動部の密度との積を振動部の面積で除したものであり、さらに詳細には、図2(A)に示すように、
Mact=Mpzt+Melectrode1+Melectrode2+Mvib (式2)
と表される。ここで、Mpztは、振動部における圧電層160の厚さと圧電層160の密度との積を圧電層160の面積で除したものである。Melectrode1は、振動部における上部電極164の厚さと上部電極164の密度との積を上部電極164の面積で除したものである。Melectrode2は、振動部における下部電極166の厚さと下部電極166の密度との積を下部電極166の面積で除したものである。Mvibは、振動部における振動板176の厚さと振動板176の密度との積を振動板176の振動領域の面積で除したものである。ただし、Mactを振動部全体としての厚さ、密度および面積から算出することができるように、本実施例では、圧電層160、上部電極164、下部電極166および振動板176の振動領域のそれぞれの面積は、上述のような大小関係を有するものの、相互の面積の差は微小であることが好ましい。また、本実施例において、圧電層160、上部電極164および下部電極166においては、それらの主要部である円形部分以外の部分は、主要部に対して無視できるほど微小であることが好ましい。従って、アクチュエータ106において、Mactは、上部電極164、下部電極166、圧電層160および振動板176のうちの振動領域のそれぞれのイナータンスの和である。また、コンプライアンスCactは、上部電極164、下部電極166、圧電層160および振動板176のうちの振動領域によって形成される部分のコンプライアンスである。
尚、図2(A)、図2(B)、図2(D)、図2(F)は、アクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示すが、これらの等価回路において、Cactはアクチュエータ106の振動部のコンプライアンスを示す。Cpzt、Celectrode1、Celectrode2およびCvibはそれぞれ振動部における圧電層160、上部電極164、下部電極166および振動板176のコンプライアンスを示す。Cactは、以下の式3で表される。
1/Cact=(1/Cpzt)+(1/Celectrode1)+(1/Celectrode2)+(1/Cvib) (式3)
式2および式3より、図2(A)は、図2(B)のように表すこともできる。
コンプライアンスCactは、振動部の単位面積に圧力をかけたときの変形によって媒体を受容できる体積を表す。また、コンプライアンスCactは、変形のし易さを表すといってもよい。
図2(C)は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合のアクチュエータ106の断面図を示す。図2(C)のM'maxは、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の付加イナータンスの最大値を表す。M' maxは、
M'max=(π*ρ/(2*k3))*(2*(2*k*a)3/(3*π))/(π*a2)2 (式4)
(aは振動部の半径、ρは媒体の密度、kは波数である。)
で表される。尚、式4は、アクチュエータ106の振動領域が半径aの円形である場合に成立する。付加イナータンスM'は、振動部の付近にある媒体の作用によって、振動部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。式4からわかるように、M'maxは振動部の半径aと、媒体の密度ρとによって大きく変化する。
波数kは、
k=2*π*fact/c (式5)
(factは液体が触れていないときの振動部の共振周波数である。cは媒体中を伝播する音響の速度である。)
で表される。
図2(D)は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている図2(C)の場合のアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示す。
図2(E)は、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している場合のアクチュエータ106の断面図を示す。式4は、例えば、液体容器に液体が満たされている場合に、インクの密度ρなどから決定される最大のイナータンスM'maxを表す式である。一方、液体容器内の液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が気体または真空になった場合には、
M'=ρ*t/S (式6)
と表せる。tは、振動にかかわる媒体の厚さである。Sは、アクチュエータ106の振動領域の面積である。この振動領域が半径aの円形の場合は、S=π*a2である。従って、付加イナータンスM'は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合には、式4に従う。一方で、液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が気体または真空になった場合には、式6に従う。
ここで、図2(E)のように、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している場合の付加イナータンスM'を便宜的にM'cavとし、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の付加イナータンスM'maxと区別する。
図2(F)は、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している図2(E)の場合のアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示す。
ここで、媒体の状態に関係するパラメータは、式6において、媒体の密度ρおよび媒体の厚さtである。液体容器内に液体が充分に収容されている場合は、アクチュエータ106の振動部に液体が接触し、液体容器内に液体が充分に収容されていない場合は、キャビティ内部に液体が残存するか、もしくはアクチュエータ106の振動部に気体または真空が接触する。アクチュエータ106の周辺の液体が消費され、図2(C)のM'maxから図2(E)のM'cavへ移行する過程における付加イナータンスをM' varとすると、液体容器内の液体の収容状態によって、媒体の厚さtが変化するため、付加イナータンスM'varが変化し、共振周波数fsも変化することになる。従って、共振周波数fsを特定することによって、液体容器内の液体の有無を検出することができる。ここで、図2(E)に示すようにt=dとした場合、式6を用いてM'cavを表すと、式6のtにキャビティの深さdを代入し、
M'cav=ρ*d/S (式7)
となる。
また、媒体が互いに種類の異なる液体であっても、組成の違いによって密度ρが異なるため、付加イナータンスM´が変化し、共振周波数fsも変化する。従って、共振周波数fsを特定することで、液体の種類を検出できる。 尚、アクチュエータ106の振動部にインクまたは空気のいずれか一方のみが接触し、混在していない場合には、式4によって計算しても、M'の相違を検出できる。
図3(A)は、インクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示すグラフである。ここでは液体の1例としてインクについて説明する。縦軸は、共振周波数fsを示し、横軸は、インク量を示す。インク組成が一定であるとき、インク残量の低下に伴い、共振周波数fsは、上昇する。
インク容器にインクが十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされている場合には、その最大付加イナータンスM'maxは式4に表わされる値となる。一方で、インクが消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされていないときには、付加イナータンスM'varは、媒体の厚さtに基づいて式6によって算出される。式6中のtは振動にかかわる媒体の厚さであるから、アクチュエータ106のキャビティ162のd(図1(B)参照)を小さく、即ち、基板178を十分に薄くすることによって、インクが徐々に消費されていく過程を検出することもできる(図2(C)参照)。ここで、tinkは振動にかかわるインクの厚さとし、tink−maxはM'maxにおけるtinkとする。例えば、インクカートリッジの底面にアクチュエータ106をインクの液面に対してほぼ水平に配備する。インクが消費され、インクの液面がアクチュエータ106からtink-maxの高さ以下に達すると、式6によりM'varが徐々に変化し、式1により共振周波数fsが徐々に変化する。従って、インクの液面がtの範囲内にある限り、アクチュエータ106はインクの消費状態を徐々に検出することができる。
また、アクチュエータ106の振動領域を大きくまたは長くし、かつ縦に配置することによってインクの消費による液面の位置にしたがって、式6中のSが変化する。従って、アクチュエータ106はインクが徐々に消費されていく過程を検出することもできる。例えば、インクカートリッジの側壁にアクチュエータ106をインクの液面に対してほぼ垂直に配備する。インクが消費され、インクの液面がアクチュエータ106の振動領域に達すると、水位の低下に伴い付加イナータンスM'が減少するので、式1により共振周波数fsが徐々に増加する。従って、インクの液面が、キャビティ162の径2a(図2(C)参照)の範囲内にある限り、アクチュエータ106はインクの消費状態を徐々に検出することができる。
図3(A)の曲線Xは、アクチュエータ106のキャビティ162を十分に浅くした場合や、アクチュエータ106の振動領域を十分に大きくまたは長くした場合のインクタンク内に収容されたインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を表わしている。インクタンク内のインクの量が減少するとともに、インクおよび振動部の共振周波数fsが徐々に変化していく様子が理解できる。
より詳細には、インクが徐々に消費されていく過程を検出することができる場合とは、アクチュエータ106の振動領域の周辺において、互いに密度が異なる液体と気体とがともに存在し、かつ振動にかかわる場合である。インクが徐々に消費されていくに従って、アクチュエータ106の振動領域周辺において振動にかかわる媒体は、液体が減少する一方で気体が増加する。例えば、アクチュエータ106をインクの液面に対して水平に配備した場合であって、tinkがtink−maxより小さいときには、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体はインクと気体との両方を含む。したがって、アクチュエータ106の振動領域の面積Sとすると、式4のM'max以下になった状態をインクと気体の付加質量で表すと、
M'=M'air+M'ink= ρair*tair/S+ρink*tink/S (式8)
となる。ここで、M'airは空気のイナータンスであり、M'inkはインクのイナータンスである。ρairは空気の密度であり、ρinkはインクの密度である。tairは振動にかかわる空気の厚さであり、tinkは振動にかかわるインクの厚さである。アクチュエータ106の振動領域周辺における振動にかかわる媒体のうち、液体が減少して気体が増加するに従い、アクチュエータ106がインクの液面に対しほぼ水平に配備されている場合には、tairが増加し、tinkが減少する。それによって、M'varが徐々に減少し、共振周波数が徐々に増加する。よって、インクタンク内に残存しているインクの量またはインクの消費量を検出することができる。尚、式7において液体の密度のみの式となっているのは、液体の密度に対して、空気の密度が無視できるほど小さい場合を想定しているからである。
アクチュエータ106がインクの液面に対しほぼ垂直に配備されている場合には、アクチュエータ106の振動領域のうち、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域と、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体が気体の領域との並列の等価回路(図示せず)と考えられる。アクチュエータ106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域の面積をSinkとし、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体が気体のみの領域の面積をSairとすると、
1/M'=1/M'air+1/M'ink=Sair/(ρair*tair)+Sink/(ρink*tink )(式9)
となる。
尚、式9は、アクチュエータ106のキャビティにインクが保持されない場合に適用される。アクチュエータ106のキャビティにインクが保持される場合については、式7、式8および式9によって計算することができる。
一方、基板178が厚く、即ち、キャビティ162の深さdが深く、dが媒体の厚さtink-maxに比較的近い場合や、液体容器の高さに比して振動領域が非常に小さいアクチュエータを用いる場合には、実際上はインクが徐々に減少する過程を検出するというよりはインクの液面がアクチュエータの装着位置より上位置か下位置かを検出することになる。換言すると、アクチュエータの振動領域におけるインクの有無を検出することになる。例えば、図3(A)の曲線Yは、小さい円形の振動領域の場合におけるインクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示す。インクタンク内のインクの液面がアクチュエータの装着位置を通過する前後におけるインク量Qの間で、インクおよび振動部の共振周波数fsが激しく変化している様子が示される。このことから、インクタンク内にインクが所定量残存しているか否かを検出することができる。
図3(B)は、図3(A)の曲線Yにおけるインクの密度とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示す。液体の例としてインクを挙げている。図3(B)に示すように、インク密度が高くなると、付加イナータンスが大きくなるので共振周波数fsが低下する。すなわち、インクの種類によって共振周波数fsが異なる。したがって共振周波数fsを測定することによって、インクを再充填する際に、密度の異なったインクが混入されていないか確認することができる。
つまり、互いに種類の異なるインクを収容するインクタンクを識別できる。
続いて、液体容器内の液体が空の状態であってもアクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存するようにキャビティのサイズと形状を設定した時の、液体の状態を正確に検出できる条件を詳述する。アクチュエータ106は、キャビティ162内に液体が満たされている場合に液体の状態を検出できれば、キャビティ162内に液体が満たされていない場合であっても液体の状態を検出できる。
共振周波数fsは、イナータンスMの関数である。イナータンスMは、振動部のイナータンスMactと付加イナータンスM'との和である。ここで、付加イナータンスM'が液体の状態と関係する。付加イナータンスM'は、振動部の付近にある媒体の作用によって振動部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。即ち、振動部の振動によって見かけ上媒体を吸収することによる振動部の質量の増加分をいう。
従って、M'cavが式4におけるM'maxよりも大きい場合には、見かけ上吸収する媒体は全てキャビティ162内に残存する液体である。よって、液体容器内に液体が満たされている状態と同じである。この場合にはM'が変化しないので、共振周波数fsも変化しない。従って、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の状態を検出できないことになる。
一方、M'cavが式4におけるM' maxよりも小さい場合には、見かけ上吸収する媒体はキャビティ162内に残存する液体および液体容器内の気体または真空である。このときには液体容器内に液体が満たされている状態とは異なりM'が変化するので、共振周波数fsが変化する。従って、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の状態を検出できる。
即ち、液体容器内の液体が空の状態で、アクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存する場合に、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件は、M'cavがM'maxよりも小さいことである。尚、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件M'max>M'cavは、キャビティ162の形状にかかわらない。
ここで、M'cavは、キャビティ162の容量とほぼ等しい容量の液体の質量である。従って、M'max>M'cavの不等式から、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件は、キャビティ162の容量の条件として表すことができる。例えば、円形状のキャビティ162の開口161の半径をaとし、およびキャビティ162の深さをdとすると、
M'max>ρ*d/πa2 (式10)
である。式10を展開すると
a/d>3*π/8 (式11)
という条件が求められる。尚、式10、式11は、キャビティ162の形状が円形の場合に限り成立する。円形でない場合のM'maxの式を用い、式10中のπa2をその面積と置き換えて計算すれば、キャビティの幅および長さ等のディメンジョンと深さの関係が導き出せる。
従って、式11を満たす開口161の半径aおよびキャビティ162の深さdであるキャビティ162を有するアクチュエータ106であれば、液体容器内の液体が空の状態であって、かつキャビティ162内に液体が残存する場合であっても、誤作動することなく液体の状態を検出できる。
付加イナータンスM'は音響インピーダンス特性にも影響するので、残留振動によりアクチュエータ106に発生する逆起電力を測定する方法は、少なくとも音響インピーダンスの変化を検出しているともいえる。
また、本実施例によれば、アクチュエータ106が振動を発生してその後の残留振動によりアクチュエータ106に発生する逆起電力を測定している。しかし、アクチュエータ106の振動部が駆動電圧による自らの振動によって液体に振動を与えることは必ずしも必要ではない。即ち、振動部が自ら発振しなくても、それと接触しているある範囲の液体と共に振動することで、圧電層160がたわみ変形する。この残留振動が圧電層160に逆起電力電圧を発生させ、上部電極164および下部電極166にその逆起電力電圧を伝達する。この現象を利用することで媒体の状態を検出してもよい。例えば、インクジェット記録装置において、印字時における印字ヘッドの走査によるキャリッジの往復運動による振動によって発生するアクチュエータの振動部の周囲の振動を利用してインクタンクまたはその内部のインクの状態を検出してもよい。
図4(A)、図4(B)および図4(C)は、アクチュエータ106を振動させた後の、アクチュエータ106の残留振動の波形と残留振動の測定方法とを示す。インクカートリッジ内のアクチュエータ106の装着位置レベルにおけるインク水位の上下は、アクチュエータ106が発振した後の残留振動の周波数変化や、振幅の変化によって検出することができる。図4(A)から(C)において、縦軸はアクチュエータ106の残留振動によって発生した逆起電力の電圧を示し、横軸は時間を示す。アクチュエータ106の残留振動によって、図4(A) から(C)に示すように電圧のアナログ信号の波形が発生する。次に、アナログ信号を、信号の周波数に対応するデジタル数値に変換する。
図4(A) および図4(B)に示した例においては、アナログ信号の4パルス目から8パルス目までの4個のパルスが生じる時間を計測することによって、インクの有無を検出する。
より詳細には、アクチュエータ106が発振した後、予め設定された所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。デジタル信号を4カウントから8カウントまでの間をHighとし、所定のクロックパルスによって4カウントから8カウントまでの時間を計測する。
図4(A)はアクチュエータ106の装着位置レベルよりも上位にインク液面があるときの波形である。一方、図4(B)はアクチュエータ106の装着位置レベルにおいてインクが無いときの波形である。図4(A)と図4(B)とを比較すると、図4(A)の方が図4(B)よりも4カウントから8カウントまでの時間が長いことがわかる。換言すると、インクの有無によって4カウントから8カウントまでの時間が異なる。この時間の相違を利用して、インクの消費状態を検出することができる。アナログ波形の4カウント目から数えるのは、アクチュエータ106の振動が安定してから計測をはじめるためである。4カウント目からとしたのは単なる一例であって、任意のカウントから数えてもよい。ここでは、4カウント目から8カウント目までの信号を検出し、所定のクロックパルスによって4カウント目から8カウント目までの時間を測定する。それによって、共振周波数を求める。クロックパルスは、インクカートリッジに取り付けられる半導体記憶装置等を制御するためのクロックと等しいクロックのパルスであることが好ましい。尚、8カウント目までの時間を測定する必要は無く、任意のカウントまで数えてもよい。図4においては、4カウント目から8カウント目までの時間を測定しているが周波数を検出する回路構成にしたがって、異なったカウント間隔内の時間を検出してもよい。
例えば、インクの品質が安定していてピークの振幅の変動が小さい場合には、検出の速度を上げるために4カウント目から6カウント目までの時間を検出することにより共振周波数を求めてもよい。また、インクの品質が不安定でパルスの振幅の変動が大きい場合には、残留振動を正確に検出するために4カウント目から12カウント目までの時間を検出してもよい。
また、他の実施例として所定期間内における逆起電力の電圧波形の波数を数えてもよい(図示せず)。この方法によっても共振周波数を求めることができる。より詳細には、アクチュエータ106が発振した後、所定期間だけデジタル信号をHighとし、所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。そのカウント数を計測することによってインクの有無を検出できるのである。
さらに、図4(A)および図4(B)を比較して分かるように、インクがインクカートリッジ内に満たされている場合とインクがインクカートリッジ内に無い場合とでは、逆起電力波形の振幅が異なる。従って、共振周波数を求めることなく、逆起電力波形の振幅を測定することによっても、インクカートリッジ内のインクの消費状態を検出してもよい。より詳細には、例えば、図4(A)の逆起電力波形の頂点と図4(B) の逆起電力波形の頂点との間に基準電圧を設定する。アクチュエータ106が発振した後、所定時間にデジタル信号をHighとし、逆起電力波形が基準電圧を横切った場合には、インクが無いと判断する。逆起電力波形が基準電圧を横切らない場合には、インクが有ると判断する。
図4(C)は、所定のクロックパルスによって図4(A)に示したパルス波形の4カウント目から8カウント目までの時間を測定した例を示す。この図において、4カウント目から8カウント目までの間にクロックパルスが5カウント分出現している。実際には100カウントから200カウント分のクロックパルスが出現するがここでは説明を簡単にするために少ないクロックパルスを用いて説明する。クロックパルスは、一定の周期を有するパルスであるのでクロックパルスの個数をカウントすることにより時間を測定することができる。4カウント目から8カウント目までの間の時間を測定することによって、共振周波数を求める。クロックパルスは、逆起電力波形の周期より短い周期を有することが好ましく、例えば16MHz等の周波数が高いクロックパルスであることが好ましい。
図5は、アクチュエータ106が音響インピーダンスの変化を検知することで液体容器1内の液体の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を制御する記録装置制御部2000の構成を示す。記録装置制御部2000は、液体容器1に装着されたアクチュエータ106に対して、アクチュエータ106を駆動する電圧を与え、その結果アクチュエータ106が検知する音響インピーダンスの変化から液体の消費状態を検出する液体消費状態検出部1200と、液体消費状態検出部1200が出力する液体有無の検出結果に基づいて記録装置を制御する制御回路部1500とを備える。
制御回路部1500は、液体消費状態検出部1200が出力する液体有無の検出結果に基づいて記録装置動作制御部1402を制御する制御部1400と、制御部1400の指示に基づいて記録装置の動作を制御する記録装置動作制御部1402とを更に備える。制御回路部1500は、記録装置動作制御部1402によりその動作が制御される提示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部1412、及び印字データ記憶部1414を更に備える。
なお、記録装置制御部2000は、インクジェット記録装置の内部に設けられてもよいが、記録装置制御部2000の一部の機能が外部に設けられてもよい。例えば、制御回路部1500の機能が、記録装置に接続されたコンピュータ等の外部装置に与えられてもよい。さらに、記録装置制御部2000の一部の機能が、プログラムとして記録媒体に格納され供給されてもよい。記録装置制御部2000の一部の機能を記録媒体に格納されたプログラムとして記録装置に接続されたコンピュータに供給することにより、記録装置制御部2000の一部の機能が後日改良された場合、容易に最新の機能を実行するプログラムをコンピュータの記憶媒体に格納し、常に最新の機能を用いて記録装置の動作を制御することができる。
また、記録装置制御部2000の一部の機能は、プログラムとしてサーバ等の情報処理装置から、電気通信回線を介して記録装置が接続されるコンピュータ等の端末に送信されてもよい。この場合、最新の機能を、容易に電気通信回線を介してサーバから入手してコンピュータの記憶装置に格納することによって、記録装置は常に最新の機能を実行することができる。
液体消費状態検出部1200は、アクチュエータ106を駆動し、音響インピーダンスの変化から液体容器1内の液体の有無を検出する。例えば、液体消費状態検出部1200は、アクチュエータ106が残留振動により発生した逆起電力、例えば電圧値を測定する測定回路部800と、測定回路部が測定した逆起電力を入力して液体容器1内の液体の有無を表す信号を出力する検出回路部1100とを有する。
測定回路部800は、アクチュエータ106を駆動する駆動電圧を生成する駆動電圧生成部850を有する。駆動電圧生成部850によって生成された駆動電圧によって液体容器1に装着されたアクチュエータ106を駆動し発振させる。アクチュエータ106は駆動発振後も振動し続け、この残留振動によってアクチュエータ106自身が逆起電力を発生させる。測定回路部800は、更に、アクチュエータ106が発生した逆起電力の波形のアナログ信号を、逆起電力波形の周波数に対応するデジタル信号に変換してデジタル回路部900に出力する。
検出回路部1100は、測定回路部800が出力した信号の一定時間内のパルス数をデジタル的にカウントするデジタル回路部900と、デジタル回路部900がカウントしたパルス数に基づいて液体の有無を判定する液体有無判定部1000とを有する。本実施例においては、デジタル回路部900は、図4(A)及び図4(B)に示すように、測定回路部800が出力した逆起電力波形中の4カウント目から8カウント目までがHighの信号を出力する。更に、図4(C)に示すように、デジタル回路部900は上記デジタル信号中の4カウント目から8カウント目までのHighである期間において、逆起電力波形の周期より短い周期を有する所定のクロックパルスのパルス数をカウントする。一定な周期を有するクロックパルスのパルス数をカウントすることで、4カウント目から8カウント目までの時間を測定することができる。例えば図4(C)ではクロックパルスが5カウント分存在し、5カウントをクロックパルスの周期と掛け合わせることで時間を算出することができる。ここでは説明を簡単にするために低い周波数のクロックパルスを例にして説明しているが実際には16MHz等の周波数が高いクロックパルスが使用される。液体有無判定部1000は、デジタル回路部900が出力したカウント値に基づいて、液体容器1内の液体の有無を判定し、判定結果を制御回路部1500へ出力する。
液体消費状態検出部1200が液体無しの判定結果を出力した場合、制御部1400は、記録装置動作制御部1402を制御して所定の低インク量対応処理を行う。低インク量対応処理は、インクが残り少なくなったことを考慮して、不適切な印刷等の記録装置の動作を禁止または抑制する処理である。記録装置動作制御部1402は、制御部1400の指示に基づいて、提示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、あるいは印刷データ記憶処理部1412の動作を制御して低インク量対応処理を実行する。
提示処理部1404は、液体容器1内の液体の有無を検知したアクチュエータ106に対応する情報を提示する。情報の提示には、ディスプレイ1416による表示およびスピーカ1418による発報がある。ディスプレイ1416は、例えば記録装置の表示パネルや、記録装置に接続されたコンピュータの画面である。また、提示処理部1404はスピーカ1418と接続され、アクチュエータ106が装着位置において液体無しを検出すると、報知音がスピーカ1418から出力される。スピーカ1418は、記録装置のスピーカでもよく、記録装置に接続されたコンピュータ等の外部装置のスピーカでもよい。また、報知音として音声信号を用いることも好適であり、音声合成処理によりインク消費状態を示す合成音声が生成されてもよい。
印刷動作制御部1406は印刷動作部1420を制御して、記録装置の印刷動作を停止させる。印刷動作の停止により、インクが無くなった後の印刷動作が回避される。また、印刷動作制御部1406は、低インク量対応処理の他の例として、ある印刷処理を終了してから次の印刷処理に移るのを禁止してもよい。この印刷処理の禁止により、ひとつの印刷処理、たとえば一連の文章の印刷途中で印刷が停止するのを回避できる。また、印刷処理の禁止の例として、1ページ印刷している途中で印刷処理が停止するのを防ぐために、改ページ終了後の印刷処理を禁止することが好ましい。
インク補充処理部1408は、インク補充装置1422を制御してインクカートリッジにインクを自動的に補充する。このインクの補充により、印刷を継続することができる。カートリッジ交換処理部1410はカートリッジ交換装置1424を制御してインクカートリッジを自動的に交換する。この対応処理によってもユーザの手をわずらわせることなく印刷動作を継続することができる。印刷データ記憶処理部1412は、低インク量対応処理として、印刷完了前の印字データを印字データ記憶部1414に格納する。この印字データはインクエンド検出後に記録装置に送られてくる印字データである。この印字データの格納により、印刷前の印字データが失われるのを回避できる。
これらの構成1404〜1412の全てが記録装置制御部2000に設けられていなくてもよい。また、全ての低インク量対応処理が行われる必要はなく、少なくともひとつの低インク量対応処理が行われればよい。例えば、インク補充処理部1408またはカートリッジ交換処理部1410が処理を行うのであれば、印刷動作制御部1406は印刷動作の停止処理を行わなくてもよい。また、上記に例示した以外の低インク量対応処理を行う構成であって、インク不足による不適切な動作を回避する構成が設けられてもよい。また、上記の低インク量対応処理は、アクチュエータ106が、その装着位置において液体無しを検知してから「所定の余裕量」の印刷が行われた後に実行することが好適である。「所定の余裕量」は、アクチュエータ106の液体無し検知後に全インクを消費する印刷量より少ない適当な値に設定される。
図6は、他の実施形態の記録装置制御部2002を示すブロック図である。本実施形態では、液体容器1に3つのアクチュエータ106A、106B,及び106Cが装着されている。3つのアクチュエータ106A、106B,及び106Cは、液体消費による液面低下方向に沿って異なる位置に設置されている。図6に示す測定回路部802は、液体容器1に装着された3つのアクチュエータ106A、106B,及び106Cに対して、アクチュエータを駆動する電圧をそれぞれ与える駆動電圧生成部850A、850B、及び850Cを有する。検出回路部1102内のデジタル回路部902は、アクチュエータ106A,106B,及び106Cが発生する逆起電力信号をそれぞれ測定回路部802から入力し、それぞれの逆起電力信号の所定時間内のパルス数をカウントする。更に、液体有無判定部1002は、デジタル回路部902が出力したそれぞれの逆起電力信号のカウント値に基づいて、液体容器1内の液体の有無を判定する。本実施例においては、複数のアクチュエータが液面低下方向の異なる位置にそれぞれ装着されているので、それぞれのアクチュエータの装着位置における液体の消費状態を段階的に検出することができる。記録装置制御部2002の液体消費状態検出部1202以外の構成は、図5の記録装置制御部2000と同様の構成であるので説明を省略する。
液面がアクチュエータの取付位置レベルより高いか否かによってアクチュエータの出力信号が異なる。例えば検出される逆起電力の周波数や振幅が大きく変化し、それに伴って検出信号が変化する。液体消費状態検出部1202は、検出信号に基づいて液体の液面が各アクチュエータ106A、106B、及び106Cの取付位置レベルを通過したか否かを判定できる。検出処理は予め定められたタイミングで定期的に行われる。
ここで、液面がアクチュエータの取付位置より低い状態を「液体無し状態」とし、液面がアクチュエータより高い状態を「液体有り状態」とする。液面がアクチュエータを通過すると、「液体有り状態」から「液体無し状態」へ検出結果が変化する。本実施の形態では、液面通過の検知とはこの検出結果の変化を示す。
本実施形態の特徴として、制御部1400は、インピーダンスの検出に用いるアクチュエータを、液体消費の進行に応じて液体の液面の低下方向に沿って切り換える。詳述すると、液体容器1の装着直後、すなわち液体フル状態ではアクチュエータ106Aのみが使用される。液体が消費され液面がアクチュエータ106Aを通過すると、アクチュエータ106Aは液体無し状態を検出する。これに応えて、制御部1400は、液体検出位置を中段に切り換える。すなわち、アクチュエータ106Bのみを用いて液体の消費が検出される。同様にして、アクチュエータ106Bが液体無し状態を検出すると、検出位置が最下段のアクチュエータ106Cへと切り換えられる。
本実施の形態によれば、検出位置を順次下方に切り換えていくので、全てのアクチュエータが常に動作しなくてもよく、アクチュエータの動作の頻度が少なくなる。したがって、制御部1400におけるデータ処理量も減少することができる。この結果、検出動作が印刷動作のスループットを低下させることはない。
本実施の形態においては、アクチュエータの数が3つであった。しかしながら、アクチュエータの数は3つ以上であればいくつでもよい。また、アクチュエータの間隔は一定でなくてもよい。たとえば、液面が低くなるほどアクチュエータの間隔を狭くすることが好適である。こうした変形は、以下の他の実施形態においても同様に適用可能である。
図7は、図5に示した記録装置制御部2000の更に他の実施形態を示す。図7の液体容器1は、液体容器1内の液体を記録媒体に吐出して印字するヘッド部1300に連通するよう、キャリッジ上に装着されている。ヘッド部1300は、ヘッド駆動部1440によって駆動される。図7の記録装置は、ヘッド部1300から液体を吸引してヘッド部1300のノズルを清掃するクリーニング部1436を有し、クリーニング駆動部1432がポンプ1434を駆動することにより、クリーニング部1436はヘッド部1300から液体を吸引する。
図7に示した記録装置制御部2004の制御回路部1502は、図5に示した記録装置制御部2000が備える要素に加えて、ヘッド部1300が吐出したインク滴の数を数える液体吐出カウンタ(ドットカウンタ)1450、液体吐出カウンタ1450が数えたインク滴の数に基づいてインク消費量を算出する液体消費量算出部1452、及びクリーニング駆動部1432を液体消費状態検出部1210が検出したインク消費状態に基づいて制御するクリーニング制御部1442を更に備える。更に、検出回路部1104は、液体吐出カウンタ1450がカウントしたヘッド部1300のインク滴の吐出数を、アクチュエータ106を用いて検出したインクの消費状態に基づいて補正する液体消費状態補正部1010を有する。
次に、図7において新たに加わった要素についての動作を説明する。液体吐出カウンタ1450は、印字時にヘッド部1300から吐出されるインク滴の数をカウントし、液体消費量算出部1452へ出力する。液体消費量算出部1452は、液体吐出カウンタ1450のカウント値に基づいてヘッド部から吐出されたインク量を算出する。また、印字ヘッドに印刷とは関係のない駆動信号を印加してインク滴を空吐出させることにより、ヘッド1300のノズル開口近傍の不揃いのメニスカスを回復させたり、ノズル開口におけるインクの目詰まりを防止するフラッシング操作によっても、インクが消費される。したがって、液体吐出カウンタ1450は、フラッシング操作によるインク滴吐出数についてもカウントして液体消費量算出部1452へ出力する。液体消費量算出部1452は、印字操作及びフラッシング操作によるヘッド部1300からのインクの吐出数から、インクの消費量を算出して、算出したインク消費量を液体消費状態補正部1010へ出力する。液体消費量算出部1452によって算出されたインク量は提示処理部1404のディスプレイ1416によって表示される。
更に、ヘッド部1300をクリーニング部1436によって清掃する際にも、クリーニングによってヘッド部1300内のインクが吸引されることで液体容器1内のインクが消費される。したがって、液体消費量算出部1452は、クリーニング制御部1442を介してクリーニング駆動部1432がポンプ1434を駆動した時間、例えば、ポンプ1434に通電した時間を入力し、ポンプ1434の時間当たりのインク吸収量を掛けることによってクリーニングによるインクの消費量を算出する。
したがって、液体消費量算出部1452は、液体吐出カウンタ1450とクリーニング制御部1442とによって消費されたインク量を算出する。液体消費状態補正部1010は、液体消費量算出部1452の算出値を液体有無判定部1000の判定結果に基づいて補正する。
インク消費状態の検出に、液体有無判定部1000、液体消費量算出部1452、及びクリーニング制御部1442の3つの出力を用いる理由を次に述べる。液体有無判定部1000の出力は、液体の液面をアクチュエータ106の装着位置において実際に測定した情報である。一方、液体消費量算出部1452及びクリーニング制御部の出力は、液体吐出カウンタ1450がカウントしたインク滴の数、及びポンプの駆動時間から算出された推定のインク消費量である。この算出値は、ユーザサイドでの印刷形態や、使用環境により、例えば室温が極端な高低、あるいはインクカートリッジの開封後の経過時間などによってインクカートリッジ内の圧力やインクの粘度が変化することによって誤差を生じることがある。そこで、液体消費状態補正部1010は、液体消費量算出部1452及びクリーニング制御部1442の出力に基づいて算出されたインク消費量を、液体有無判定部1000から出力されたインク有無の判定結果に基づいて補正する。更に、液体消費状態補正部1010は、液体有無判定部1000から出力されたインク有無の判定結果に基づいて、液体消費量算出部1452がインク消費量を算出するのに用いる算出式のパラメータを補正する。算出式のパラメータを補正することによって算出式をインクカートリッジが使用されている環境に適合させ、算出式によって得られた値が実際使用した値に近似するようにする。
アクチュエータ106が装着位置においてインク無しを検知した場合、記録装置動作制御部1402に制御される印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部1412、及びクリーニング制御部1442は、所定の低インク量対応処理を行う。
印刷動作制御部1406は、ヘッド駆動部1440を制御して、ヘッド部1300におけるインクの吐出を停止したり、インクの吐出量を減少させるので、インクが無くなった後の印刷動作が回避される。クリーニング制御部1442は、低インク対応処理として、クリーニング部1436によるヘッド部1300のクリーニング動作を禁止したり、クリーニングの回数を減少したり、ポンプ1434の吸引力を弱めることによりインクの吸引量を減少させる。ヘッド部1300のクリーニングの際に、比較的多くのインクがヘッド部1300から吸引される。したがって、低インクとなったときにクリーニング動作を禁止することにより、残り少ないインクがクリーニングのためにヘッド部1300から吸引されるのを回避でき、クリーニングのためにインクが不足するという事態を回避できる。また、クリーニングの回数を減少したり、ポンプ1434の吸引力を弱めてもよい。液体容器1内のインク残量に基づいて、制御部1400は、印刷動作制御部1406及びクリーニング制御部1442がどの低インク処理を実行するかを選択する。
図8は、図7に示した記録装置制御部2004の他の実施形態を示す。この実施例では、半導体記憶手段7が液体容器1に装着され、記録装置制御部2006が情報記憶制御回路部1444を有する以外は、図7に示した記録装置制御部2004と同様の構成である。したがって、半導体記憶手段7及び情報記憶制御手段1444と関係ない要素についてはその説明を省略する。本実施形態の特徴として、半導体記憶手段7及び情報記憶制御回路部1444を備えた構成により得られる機能と利点を以下に説明する。
液体容器1は、アクチュエータ106及び半導体記憶手段7を有する。半導体記憶手段7は、EEPROM等の書き換え可能なメモリである。一方、制御回路部1506は、情報記憶制御回路部1444を有する。液体消費状態検出部1210は、アクチュエータ106を制御して液体容器1内の液体の消費状態を検出し、アクチュエータ106を用いた液体消費状態の検出に関連する消費関連情報を制御回路部1506へ出力する。制御部1400は、情報記憶制御回路部1444を介して消費関連情報を半導体記憶手段7に書き込む。更に、情報記憶制御回路部1444は、消費関連情報を半導体記憶手段7から読み出して制御部1400へ出力する。
次に、半導体記憶手段7について詳細に説明する。半導体記憶手段7は、アクチュエータ106を用いた液体の消費状態の検出に関連する消費関連情報を記憶する。消費関連情報は、検出された液体の消費状態の情報を含む。情報記憶制御回路部1444は、アクチュエータ106を用いて得られた消費状態情報を半導体記憶手段7に書き込む。そして、この消費状態情報が読み出され、記録装置制御部2006において使用される。
消費状態情報を半導体記憶手段7に記憶することは、特に液体容器1の脱着において有利である。液体が途中まで消費された状態で、液体容器1がインクジェット記録装置から取り外されたとする。この時、液体消費状態を記憶した半導体記憶手段7が常に液体容器1と一緒にある。液体容器1は再度同じインクジェット記録装置に装着され、あるいは他のインクジェット記録装置に装着される。このとき、半導体記憶手段7から液体消費状態が読み出され、その液体消費状態に基づいて記録装置制御部2006が動作する。例えば、液体が空または液体残量が少ない液体容器1が装着されたことが分かり、その旨がユーザに伝えられる。このようにして、脱着後、液体容器1の以前の消費状態情報を確実に利用できる。
半導体記憶手段7は、さらに、液体吐出カウンタ1450がカウントしたインク滴の数に基づいて液体消費量算出部1452が算出した液体消費状態を記憶してもよい。アクチュエータ106は、アクチュエータ106の装着位置におけるインク液面の通過を確実に検出できる。そこで、液面通過の前後のインク消費状態を液体消費量算出部1452が算出した液体消費状態から推定することが好ましい。この推定値が半導体記憶手段7に格納される。
また、消費関連情報は、液体の消費状態に応じて検出されるべき検出特性情報を含む。本実施形態では、検出特性情報として、消費前検出特性情報および消費後検出特性情報が記憶される。消費前検出特性情報は、インクの消費を開始する前の検出特性、すなわち、インクフル状態における検出特性を示す。消費後検出特性情報は、インクが所定の検出目標まで消費されたときに検出される予定の検出特性、具体的には、インク液面がアクチュエータ106の取付位置レベルを下回ったときの検出特性を示す。
情報記憶制御回路部1444は半導体記憶手段7から検出特性情報を読み出し、液体消費状態検出部1210は、その検出特性情報に基づいてアクチュエータ106を用いて液体消費状態を検出する。消費前検出特性に対応する検出信号が得られた場合、液体の消費がまだ進んでおらず、インクの残量は多いと考えられる。少なくとも、インク液面がアクチュエータ106より上にあることは確実に分かる。一方、消費後検出特性に対応する検出信号が得られたときは、インクの消費が進み、残量が少ないので、インク液面はアクチュエータ106を下回っていることが分かる。
検出特性情報を半導体記憶手段7に記憶することの利点の一つを説明する。検出特性情報は、液体容器1の形状、アクチュエータ106の仕様、およびインクの仕様、等の各種の要因によって決まる。改良等の設計変更が行われたときには、検出特性も変化することがある。液体消費状態記憶部1210が常に同じ検出特性情報を使用すると、こうした検出特性の変化への対処が容易でない。一方、本実施の形態では、検出特性情報が半導体記憶手段7に記憶され利用される。したがって、検出特性の変化に容易に対処できる。もちろん、新しい仕様の液体容器1が提供されるときも、その液体容器1の検出特性情報を記録装置制御部2006が容易に利用できる。
さらに好ましくは、個々の液体容器1ごとの検出特性情報が測定され、半導体記憶手段7に格納される。液体容器1の仕様が同じでも、製造ばらつきによって検出特性が異なることがある。例えば、液体容器1の形状や肉厚に応じて検出特性が異なることもある。本実施の形態では、各液体容器1が半導体記憶手段7を有するので、その半導体記憶手段7に固有の検出特性情報を格納できる。これにより、製造ばらつきの検出への影響を低減でき、検出精度を向上できる。このように、本実施の形態は、個々液体容器1の検出特性の相違に対して有利である。
図9は、図8に示した記録装置制御部2006の動作手順を示すフローチャートである。まず、インクカートリッジが装着されたか否かが判定される(S10)。新品または途中まで使用されたインクカートリッジが装着されたことが検出される。この処理は、インクジェット記録装置に備えられたスイッチ等(図示せず)を用いる。インクカートリッジが装着されると、半導体記憶手段7から検出特性情報等を含む消費関連情報が読み出される(S12)。記録装置制御部2008の提示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部1412、及びクリーニング制御部1442は、読み出された消費関連情報を利用する。例えば、読み出された消費関連情報により、液体容器1内の液体残量が少ないことが分かると、ディスプレイ1416に液体残量が少ないことを表示したり、ヘッド部1300の動作を停止させる。
液体消費状態検出部1210は、読み出された検出特性情報に基づいて、アクチュエータ106を用いて液体の消費状態を検出する(S14)。検出された液体消費状態に基づいて、液体容器1内の液体の有無が判定される(S16)。液体無しが検出された場合には、液体無し対応手段(S18)が実行される。液体無し対応手段(S18)としては、印刷データ記憶処理部1412によって、印字データを記憶するステップ(S24)、印刷動作制御部1406によって、印刷動作を停止するステップ(S26)、及び提示処理部1404によって液体無しを表示するステップ(S28)が含まれる。この場合液体無し表示ステップ(S28)の指示によりユーザがインクカートリッジを交換することでインクジェット記録装置にインクが補充される。
また、液体無し対応手段ステップ(S18)としてカートリッジ交換処理部1410によって、自動的にインクカートリッジを交換(S20)してもよいし、インク補充処理部1408によって自動的にインクを補充(S22)してもよい。この場合インクは自動的にインクジェット記録装置に補充され、ユーザによってインクカートリッジを交換される必要が無いので、カートリッジ交換判断ステップ(S32)を経ずに、液体消費情報読出しステップ(S12)にフィードバックされる。インク補充ステップ(S22)の場合、インクが補充された後、どれだけの量のインクが記録装置に補充されたかの情報が半導体記憶手段に格納される(S34)。
液体無し対応手段(S18)として印字データ記憶ステップ(S24)、印刷動作停止ステップ(S26)、及び液体無し表示ステップ(S28)が実行された後、検出された液体消費状態は半導体記憶手段7に格納される(S30)。次に、インクカートリッジ内にインクがないことが液体無し表示ステップ(S28)によってユーザに伝達されているので、ユーザが液体無し表示ステップ(S28)の指示に従ってインクカートリッジを交換した場合(S32、Y)、液体消費状態検出ステップ(S14)に戻る。一方、ユーザがインクカートリッジを交換しない場合、インクカートリッジを交換するようユーザに指示する表示がディスプレイ又はスピーカにより提示されてがプロセスを終了する。
図10は、測定回路部800の回路構成を示す図である。測定回路部800は、駆動電圧生成部850、基準電位生成部816、ハイパスフィルタ824、増幅部860、及び比較器836を有する。駆動電圧生成部850は、相補に並列にベースB同士及びエミッタE同士が接続されたNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812の2個のバイポーラトランジスタを含む。NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は、アクチュエータ106を駆動するトランジスタである。アクチュエータ106は、一方の端子が、互いに接続されたNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812のエミッタEに接続され、他方の端子が、グランドGNDに接続される。アクチュエータ106の他方の端子は、電源Vccに接続されてもよい。
端子840から駆動電圧生成部850に入力されるトリガ信号が、LowからHighとなると、互いに接続されたNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812のベースBが立ち上がり、NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は入力されたトリガ信号の電流を増幅して、アクチュエータ106に与える。図10の場合、PNP型トランジスタ812のエミッタEとコレクタC間の電圧が、アクチュエータ106に与えられる。そのため、アクチュエータ106は急激に充電されて発振する。更に、アクチュエータ106は発振後に残留する振動により逆起電力を発生する。アクチュエータ106の残留振動により発生した逆起電力は、バイパスフィルター824を介して増幅部860に出力される。
NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812のベースB及びエミッタE間はPN接合になっており、ベースBとエミッタEとの電位差が0.6V以下ではエミッタEにおいてほとんど電流が流れず、0.6Vを超えると大きく増幅された電流がエミッタEにおいて流れる。NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は、それぞれ0.6Vの不感帯又はバイアス電圧を有するので、NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は合計1.2V程度のバイアス電圧を有する。アクチュエータ106の逆起電力を含めた端子電位が不感帯の範囲内であればトランジスタが動作することはなく、トランジスタの動作のためにアクチュエータ106の残留振動を抑えてしまうことがない。不感帯がないとアクチュエータ106の電圧はトランジスタにより制御されて一定値となり逆起電力を調べることができなくなる。
図10において、バイポーラトランジスタが、NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812として用いられているが、バイポーラトランジスタの代わりに電界効果トランジスタを用いてもよい。電界効果トランジスタを用いる場合、図10のNPN型トランジスタが配置されている位置にN型電界効果トランジスタを配置する。N型電界効果トランジスタのゲートをNPN型トランジスタ810のベースBの位置に配置し、ソースをエミッタEの位置に配置する。また、PNP型トランジスタ812が配置されている位置にP型電界効果トランジスタを配置する。P型電界効果トランジスタのゲートをPNP型トランジスタ812のベースBの位置に配置し、ソースをエミッタEの位置に配置する。更に、P型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタのゲート同士及びソース同士を接続する。アクチュエータ106は、一方の端子が互いに接続されたP型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタのソースに接続され、他方の端子が電源Vcc又はグランドGNDに接続されることが好ましい。
ハイパスフィルタ824はコンデンサ826と抵抗器828とを有しており、駆動電圧生成部850の出力はハイパスフィルタ824を介して増幅部860に出力される。ハイパスフィルタ824は、アクチュエータ106の出力のうちの高周波成分を増幅部860へ出力して低周波成分を取り除く。更に、ハイパスフィルタ824は、増幅部860の出力が基準電位を中心として0〜5Vの範囲に収まるようにする役割がある。基準電位生成部816は、直列に接続された抵抗818及び820と抵抗820に並列に接続されたコンデンサ822とを有する。基準電位生成部816は2〜3V程度の安定した直流電位を基準電位として生成し、ハイパスフィルタ824、増幅部860、比較器836へ供給する。そのため、ハイパスフィルタ824及び増幅部860が出力する信号波形の電圧は、基準電位を中心にして振動する。
増幅部860は、オペアンプ834と抵抗830及び832とを有する。オペアンプ834、抵抗830、及び832は、入力信号を反転せずに増幅して出力する非反転増幅回路として構成される。増幅部860は、駆動電圧生成部850が出力した逆起電力信号を、ハイパスフィルタ824を介してオペアンプ860の+端子に入力する。増幅部860は、―端子が負帰還抵抗830を通して出力と接続し、更に抵抗832を通して基準電位と接続していて、アクチュエータ106が出力した微弱な逆起電力信号を基準電位を中心として増幅し、比較器836へ出力する。この増幅された逆起電力信号の波形は、図4に示したアナログ波形として表される。
比較器836は、増幅部860が出力した逆起電力信号の電圧と基準電位生成部816が出力した基準電位とを入力し、逆起電力信号の電圧が基準電位以上のときにHighの信号を、逆起電力信号の電圧が基準電位以下のときにLowの信号を出力することによりデジタル波形の逆起電力信号を生成する。オペアンプ834の出力は基準電位を中心に振動し、比較器836の−端子の電圧が基準電位と等しくなるので、比較器836は基準電位を基準にして逆起電力信号の電圧を比較し、デジタル波形の逆起電力信号を出力する。比較器836は、生成したデジタル波形の逆起電力信号を端子844へ出力する。
図11は、検出回路部1100の回路構成を示す。検出回路部1100は、デジタル回路部900及び液体有無判定部1000を有する。デジタル回路部900は、フリップフロップ910及び918と、カウンタ912及び920と、NANDゲート914及び916とを有する。カウンタ920は、最高値(1111、1111)まで数えたら、次にクロックパルスが入力されても(0000、0000)にならず、最高値を維持するものとする。
トリガ信号が、端子842からフリップフロップ910のクロック入力ピンCLKに入力されると、フリップフロップ910はカウンタ912に対して測定回路部800から出力された逆起電力信号のパルス数の計測をカウンタ912が開始するよう制御する信号を出力する。更に、カウンタ912が逆起電力信号のパルスを8個数えると、NANDゲート916を介してフリップフロップ910がクリアされる。したがって、フリップフロップ910は、トリガ信号が入力されてから逆起電力信号が8パルス目までの間、Highとなっている信号をカウンタ912のカウントイネーブル端子ENPに供給する。カウンタ912はカウンタイネーブル端子ENPに入力される信号がHighのときのみクロックを計数する。カウンタ912は、トリガ信号がフリップフロップ910に入力されてから逆起電力信号のパルス数の計数を開始し、パルス数を8個数えた時点でカウントイネーブル端子ENPに入力される信号がLowになるのでパルス数のカウントを終了する。カウンタ912は、4パルス目から8パルス目までがHighとなっている信号を出力ピンQCからフリップフロップ918の入力ピンDに出力する。
フリップフロップ918は、カウンタ912が出力した4パルス目から8パルス目までがHighとなっている信号を入力ピンDから入力し、端子846から入力した16MHzの周波数のクロックをクロック入力ピンCLKから入力して入力ピンDから入力した信号をクロックに同期させて出力する。カウンタ920は、フリップフロップ918に入力されるのと同様の16MHzのクロックパルスを、クロック入力ピンCLKから入力する。そのため、カウンタ920はフリップフロップ918と同期して作動し、フリップフロップ918の出力ピン/Qの出力がHighとなっている4パルス目から8パルス目までの間において、16MHzのクロックパルスが何個あるかをカウントすることができる。16MHzのクロックパルスのパルス数をカウントすることで、4パルス目から8パルス目までの4個のパルスが生じる時間を計測することができる。カウンタ920は、カウントしたカウント値を液体有無判定部1000に出力する。なお、フリップフロップ918の出力ピンQがHighになる前、すなわちカウンタ920を動作させる前に、フリップフロップ918の出力ピン/Qの出力とカウンタ912の出力ピンQBの出力とがNANDゲート914においてNAND演算されてカウンタ920のクリア入力ピンCLRに入力されることによりカウンタ920がクリアされている。
図11では、逆起電力波形の4パルス目から8パルス目までの間に存在する、16MHzのクロックパルスのパルス数をカウントしたが、カウンタ912の出力を用いて計数回路を追加及び組み合わせることにより8カウント目までの時間ばかりでなく、任意のカウントまで数えることもできる。すなわち、異なったカウント間隔内の時間を検出することができる。
図12は、図11に示した液体有無判定部1000の詳細な回路構成を示す。液体有無判定部1000は、カウンタ920が出力した逆起電力信号の4パルス目から8パルス目までの間に現れる16MHzのクロックパルス数のカウント値に基づいて、液体容器1内の液体の有無を判断する。液体有無判定部1000は、上限値レジスタ1011と、下限値レジスタ1012と、比較部1014及び1016と、ANDゲート1018とを有する。上限値レジスタ1011にはカウント値の上限値が格納され、下限値レジスタ1012にはカウント値の下限値が格納されている。
比較部1014は、デジタル回路部900が出力したカウント値をB端子から入力し、カウント値の上限値を上限値レジスタ1011からA端子へ入力する。カウント値が上限値より小さい場合、比較部1014はHighの信号をアンドゲート1018に出力する。一方、カウント値が、上限値以上の場合、比較部1014は、Lowの信号をアンドゲート1018に出力する。カウント値が上限値以上の場合は、逆起電力波形の周波数が下限値より低く、逆起電力波形が正常に測定されていないので、液体容器が記録装置に装着されていないかまたは確実に装着されていない可能性がある。
比較部1016はデジタル回路部900が出力したカウント値をA端子から入力し、カウント値の下限値を下限値レジスタ1012からB端子へ入力する。カウント値が下限値より大きい場合、比較部1016はHighの信号をアンドゲート1018及び端子1022に出力する。一方、カウント値が下限値以下である場合、比較部1016はLowの信号をアンドゲート1018及び端子1022に出力する。カウント値が下限値以下である場合、液体容器1内の液体が、アクチュエータ106の装着位置において存在しないことを意味する。
比較部1014及び1016の双方がHighの信号を出力した場合、すなわちカウント値が上限値より小さく下限値より大きい場合、アンドゲート1018はHighの信号を出力する。この場合、逆起電力波形の周波数が上限値より低いので、液体容器1内の液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて存在する。しかも逆起電力波形の周波数が下限値より高いので、液体容器1が記録装置に確実に装着されており、液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて有ることがわかる。すなわち端子1020がHighの場合は、液体容器1が記録装置に確実に装着されており、液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて存在する正常な状態である。
比較部1014がLowの信号を出力し、比較部1016がHighの信号を出力した場合、すなわちカウント値が上限値以上で下限値より大きい場合、アンドゲート1018はLowの信号を出力する。また、端子1022には、Highの信号が入力される。この場合、端子1020がLowなので異常であり、端子1022がHighなので液体容器1が記録装置に装着されていないか又は確実に装着されていないと判定できる。
比較部1014がHighの信号を出力し、比較部1016がLowの信号を出力した場合、すなわちカウント値が上限値より小さく下限値以下の場合、アンドゲート1018はLowの信号を出力する。この場合、端子1020がLowなので異常であり、端子1022がLowなので液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて無いことがわかる。
図13は、アクチュエータ106の製造方法を示す。複数のアクチュエータ106(図13の例では4個)が一体に形成されている。図13に示した複数のアクチュエータの一体成形物を、それぞれのアクチュエータ106において切断することにより、図14に示すアクチュエータ106を製造する。図13に示す一体成形された複数のアクチュエータ106のそれぞれの圧電素子が円形である場合、一体成形物をそれぞれのアクチュエータ106において切断することにより、図1に示すアクチュエータ106を製造することができる。複数のアクチュエータを一体に形成することにより、複数のアクチュエータを同時に効率良く製造することができ、運搬時の取り扱いが容易となる。
アクチュエータ106は、薄板又は振動板176、基板178、弾性波発生手段又は圧電素子174、端子形成部材又は上部電極端子168、及び端子形成部材又は下部電極端子170を有する。圧電素子174は、圧電振動板又は圧電層160、上電極又は上部電極164、及び下電極又は下部電極166を含む。基板178の上面に振動板176が、形成され、振動板176の上面に下部電極166が形成されている。下部電極166の上面には、圧電層160が形成され、圧電層160の上面に、上部電極164が、形成されている。したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部及び下部電極166の主要部によって、上下から挟まれるように形成されている。
振動板176上に複数(図13の例では4個)の圧電素子174が形成されている。振動板176の表面に下部電極166が形成され、下部電極166の表面に圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成される。上部電極164及び下部電極166の端部に上部電極端子168及び下部電極端子170が形成される。4個のアクチュエータ106は、それぞれ別々に切断されて個別に使用される。
図14は、圧電素子が矩形のアクチュエータ106の一部分の断面を示す。
図15は、図14に示したアクチュエータ106の全体の断面を示す。基板178の圧電素子174と対向する面には、貫通孔178aが形成されている。貫通孔178aは振動板176によって封止されている。振動板176はアルミナや酸化ジルコニア等の電気絶縁性を備え、かつ弾性変形可能な材料によって形成されている。貫通孔178aと対向するように、圧電素子174が振動板176上に形成されている。下部電極166は貫通孔178aの領域から一方向、図15では左方に延びるように振動板176の表面に形成されている。上部電極164は貫通孔178aの領域から下部電極とは反対の方向に、図15では右方に延びるように圧電層160の表面に形成されている。上部電極端子168及び下部電極端子170は、それぞれ補助電極172及び下部電極166の上面に形成されている。下部電極端子170は下部電極166と電気的に接触し、上部電極端子168は補助電極172を介して上部電極164と電気的に接触して、圧電素子とアクチュエータ106の外部との間の信号の受け渡しをする。上部電極端子168及び下部電極端子170は、電極と圧電層とを合わせた圧電素子の高さ以上の高さを有する。
図16は、図13に示したアクチュエータ106の製造方法を示す。まず、グリーンシート940にプレスあるいはレーザー加工等を用いて貫通孔40aを穿孔する。グリーンシート940は焼成後に基板178となる。グリーンシート940はセラミック等の材料で形成される。次に、グリーンシート940の表面にグリーンシート941を積層する。グリーンシート941は、焼成後に振動板176となる。グリーンシート941は、酸化ジルコニア等の材料で形成される。次に、グリーンシート941の表面に導電層942、圧電層160、導電層944を圧膜印刷等の方法で順次形成する。導電層942は、後に下部電極166となり、導電層944は、後に上部電極164となる。次に、形成されたグリーンシート940、グリーンシート941、導電層942、圧電層160、及び導電層944を乾燥して焼成する。スペーサ部材947、948は、上部電極端子168と下部電極端子170の高さを底上げして圧電素子より高くする。スペーサ部材947、948は、グリーンシート940、941と同材料を印刷して形成する。このスペーサ部材947,948により貴金属である上部電極端子168及び下部電極端子170の材料が少なくて済む上に、上部電極端子168及び下部電極端子170の厚みを薄くできるので、上部電極端子168及び下部電極端子170を精度良く印刷でき、さらに安定した高さとすることができる。
導電層942の形成時に導電層944との接続部944'及びスペーサ部947及び948を同時に形成すると、上部電極端子168及び下部電極端子170を容易に形成したり、強固に固定することができる。最後に、導電層942及び導電層944の端部領域に、上部電極端子168及び下部電極端子170を形成する。上部電極端子168及び下部電極端子170を形成する際、上部電極端子168及び下部電極端子170が、圧電層160に電気的に接続されるように形成する。
図17は、本発明が適用されるインクカートリッジのさらに他の実施形態を示す。図17(A)は、本実施形態によるインクカートリッジの底部の断面図である。本実施形態のインクカートリッジは、インクを収容する容器1の底面1aに貫通孔1cを有する。貫通孔1cの底部はアクチュエータ650によって塞がれ、そこがインク溜部となっている。
図17(B)は、図17(A)に示したアクチュエータ650及び貫通孔1cの詳細な断面を示す。図17(C)は、図17(B)に示したアクチュエータ650及び貫通孔1cの平面を示す。アクチュエータ650は振動板72および振動板72に固定された圧電素子73とを有する。振動板72及び基板71を介して圧電素子73が貫通孔1cに対向するように、アクチュエータ650は、容器1の底面に固定される。振動板72は、弾性変形可能で耐インク性を備える。
容器1のインク量に依存して、圧電素子73及び振動板72の残留振動によって発生する逆起電力の振幅及び周波数が変化する。アクチュエータ650に対向する位置に貫通孔1cが形成されていて、最小限の一定量のインクが貫通孔1cに確保される。したがって、貫通孔1cに確保されるインク量により決まるアクチュエータ650の振動の特性を予め測定しておくことにより、容器1のインクエンドを確実に検出することができる。
図18は貫通孔1cの他の実施形態を示す。図18(A)、(B)、及び(C)のそれぞれにおいて、左側の図は、貫通孔1cにインクKが無い状態を示し、右側の図は、貫通孔1cにインクKが残った状態を示す。図17の実施形態においては、貫通孔1cの側面は垂直な壁として形成されている。図18(A)においては、貫通孔1cは、側面1dが上下方向に斜めであり上方に拡大して開いている。図18(B)においては、段差部1e及び1fが、貫通孔1cの側面に形成されている。上方にある段差部1fが、下方にある段差部1eより広くなっている。図18(C)においては、貫通孔1cは、インクKを排出しやすい方向、すなわち供給口2の方向へ延びる溝1gを有する。図18(C)に示した貫通孔1cによれば、貫通穴1cにより形成された凹部のインクKの量を少なくできる。凹部に残るインクKの量が図1で説明したMcavに相当する。従って、McavをM'の最大値と比較して小さくすることができるので、インクエンド時におけるアクチュエータ650の振動特性を、容器1に印刷可能な量のインクKが残存している場合と大きく異ならせることができるので、インクエンドをより確実に検出することができる。
図19はアクチュエータ660の他の実施形態を示す斜視図である。図19のアクチュエータ660は、アクチュエータ660を構成する振動板72の貫通孔1cよりも外側にパッキン76を有する。アクチュエータ660の外周にはカシメ孔77が形成されている。アクチュエータ660は、カシメ孔77を介してカシメによりインク容器1に固定される。
図20(A)、(B)は、アクチュエータ670の更に他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態においては、凹部81がアクチュエータ670により形成されている。基板80は、インク容器1に埋め込み可能なサイズであことが好ましい。基板80に凹部81を形成し、基板80の裏面に圧電振動板82を固定してインク容器1の貫通孔1cに埋め込むことで、インク容器1に凹部81を形成することができる。
図21は、アクチュエータ106を取り付けモジュール体100として一体形成した構成を示す斜視図である。モジュール体100はインクカートリッジの容器1の所定個所に装着される。モジュール体100は、インク液中の少なくとも音響インピーダンスの変化を検出することにより、容器1内の液体の消費状態を検知するように構成されている。本実施形態のモジュール体100は、平面がほぼ矩形の基台102上に駆動信号により発振するアクチュエータ106を収容した円柱部116を載せた構造となっている。モジュール体100が、インクカートリッジに装着されたときに、モジュール体100のアクチュエータ106が外部から接触できないように構成されているので、アクチュエータ106を外部の接触から保護することができる。なお、円柱部116の先端側エッジは丸みが付けられていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
図22は、図21に示したモジュール体100の構成を示す分解図である。モジュール体100は、樹脂からなる基台102、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110を一体に有する。プレート110は、ステンレス又はステンレス合金等の錆びにくい材料から形成される。基台102は、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110を収容できるよう中心部に開口部114が形成されている。リードワイヤ104a及び104bは、それぞれアクチュエータ106の上部電極及び下部電極と結合して圧電層に駆動信号を伝達し、一方、アクチュエータ106が検出した共振周波数の信号を記録装置等へ伝達する。アクチュエータ106は、リードワイヤ104a及び104bから伝達された駆動信号に基づいて一時的に発振する。アクチュエータ106は発振後に残留振動し、その振動によって逆起電力を発生させる。このとき、逆起電力波形の振動周期を検出することによって、液体容器内の液体の消費状態に対応した共振周波数を検出することができる。フィルム108は、アクチュエータ106とプレート110とを接着してアクチュエータを液密にする。フィルム108は、ポリオレフィンによって形成し、熱融着で接着することが好ましい。プレート110は、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、及びフィルム108が基台102と一体となるようにモジュール100の凹部113に固定される。
プレート110は円形状であり、基台102の開口部114は円筒状に形成されている。アクチュエータ106及びフィルム108は矩形状に形成されている。リードワイヤ104、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110は、基台102に対して着脱可能としてもよい。基台102、リードワイヤ104、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110は、モジュール体100の中心軸に対して対称に配置されている。更に、基台102、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110の中心は、モジュール体100のほぼ中心軸上に配置されている。
基台102の開口部114の面積は、アクチュエータ106の振動領域の面積よりも大きく形成されている。プレート110の中心でアクチュエータ106の振動部に直面する位置には、貫通孔112が形成されている。図21に示したようにアクチュエータ106にはキャビティ162が形成され、貫通孔112とキャビティ162は、共にインク溜まり部を形成する。プレート110の厚さは、残留インクの影響を少なくするために貫通孔112の径に比べて小さいことが好ましい。例えば貫通孔112の深さはその径の3分の1以下の大きさであることが好ましい。貫通孔112は、モジュール体100の中心軸に対して対称なほぼ真円の形状である。また貫通孔112の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の開口面積よりも大きい。貫通孔112の断面の周縁はテ-パ形状であっても良いしステップ形状でもよい。モジュール体100は、貫通孔112がインク容器1の内側へ向くようにインク容器1の側部、上部、又は底部に装着される。インクが消費されアクチュエータ106周辺のインクがなくなると、アクチュエータ106の共振周波数が大きく変化するので、インクの水位変化を検出することができる。
図23は、モジュール体400の他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態のモジュール体400は、平面がほぼ角丸の正方形上の基台402上に円柱状の台403を載せ、更に円柱状の台403上に立てられた板状要素406の側面にアクチュエータ106を配置して形成されている。板状要素406のアクチュエータ106を取り付ける方の面に凹部413が形成されている。なお、板状要素406の先端は所定角度に面取りされていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
図24は、図23に示したモジュール体400の構成を示す分解斜視図である。図21に示したモジュール体100と同様に、モジュール体400は、基台402、リードワイヤ404a及び404b、アクチュエータ106、フィルム408、及びプレート410を有する。
本実施形態によれば、プレート410は矩形状であり、板状要素406に設けられた開口部414は矩形状に形成されている。リードワイヤ404a及び404b、アクチュエータ106、フィルム408、及びプレート410は基台402に対して着脱可能として構成しても良い。アクチュエータ106、フィルム408、及びプレート410は、開口部414の中心を通り、開口部414の平面に対して鉛直方向に延びる中心軸に対して対称に配置されている。更に、アクチュエータ406、フィルム408、及びプレート410の中心は、開口部414のほぼ中心軸上に配置されている。
プレート410の中心に設けられた貫通孔412の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の開口の面積よりも大きく形成されている。アクチュエータ106のキャビティ162と貫通孔412とは、共にインク溜まり部を形成する。プレート410の厚さは貫通孔412の径に比べて小さく、例えば貫通孔412の径の3分の1以下の大きさに設定することが好ましい。貫通孔412は、モジュール体400の中心軸に対して対称なほぼ矩形の形状である。貫通孔412の断面の周縁はテ-パ形状であっても良いしステップ形状でもよい。モジュール体400は、貫通孔412がインク容器1の内部に配置されるようにインク容器1の底部に装着される。アクチュエータ106が垂直方向に延びるようにインク容器1内に配置されるので、基台402の高さを変えてアクチュエータ106がインク容器1内に配置される高さを変えることによりインクエンドの時点の設定を容易に変えることができる。
図25は、モジュール体500の更に他の実施形態を示す。図21に示したモジュール体100と同様に、図25のモジュール体500は、基台502、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、フィルム508、及びプレート510を有する。本実施形態のモジュール体500は、平面がほぼ角丸の正方形上の台上に上面が上下方向に斜めな円柱状の台を載せた基台502を備える。基台502の上面が上下方向に斜めな円柱状の台上にアクチュエータ106が配置されている。すなわち、モジュール体500の先端が傾斜しており、その傾斜面にアクチュエータ106が装着されている。そのため、モジュール体500がインク溶液1の底部又は側部に装着されると、アクチュエータ106がインク容器1の上下方向に対して傾斜する。モジュール体100の先端の傾斜角度は、検出性能を鑑みてほぼ30°から60°の間とすることが望ましい。基台502の中心部には、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、フィルム508、及びプレート510を収容する開口部514が形成されている。モジュール体500の先端の傾斜面には、凹部513が形成されており、プレート510は、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、及びフィルム508が、基台502と一体となるように、凹部513に固定される。
モジュール体500は、アクチュエータ106がインク容器1内に配置されるようにインク容器1の底部又は側部に装着される。モジュール体500がインク容器1の側部に装着される場合には、アクチュエータ506がインク容器1の上側、下側、又は横側を向くようにインク容器1に取り付けられる。一方、モジュール体500が、インク容器1の底部に装着される場合には、アクチュエータ106がインク容器1のインク供給口側を向くようにインク容器1に取り付けられることが好ましい。
図26は、図21に示したモジュール体100をインク容器1に装着したときのインク容器の底部近傍の断面図である。モジュール体100は、インク容器1の側壁を貫通するように装着されている。インク容器1の側壁とモジュール体100との接合面には、Oリング365が設けられ、モジュール体100とインク容器1との液密を保っている。Oリングでシールが出来るようにモジュール体100は円筒部を備えることが好ましい。モジュール体100の先端がインク容器1の内部に挿入されることで、プレート110の貫通孔112を介してインク容器1内のインクがアクチュエータ106と接触する。アクチュエータ106の振動部の周囲が液体か気体かによってアクチュエータ106の残留振動の共振周波数が異なるので、モジュール体100を用いてインクの消費状態を検出することができる。また、モジュール体100に限らず、図23に示したモジュール体400、図25に示したモジュール体500、又は図27に示したモジュール体700A及び700B、及び取付構造体600をインク容器1に装着してインクの有無を検出してもよい。
図27は、モジュール体100の更に他の実施形態を示す。図27(A)のモジュール体700Aはアクチュエータ106と基台部360とを有する。モジュール体700Aは前面が容器1の側壁の内面と同一面となるように、容器1に装着されている。アクチュエータ106は、圧電層160、上部電極164、下部電極166、振動板176及び取付プレート350を含む。取付プレート350の上面に振動板176が形成され、振動板176の上面に下部電極166が形成されている。下部電極166の上面には圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成されている。したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部及び下部電極166の主要部によって上下から挟まれるように形成されている。圧電層160、上部電極164、及び下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板176上に形成される。圧電素子及び振動板176の振動領域はアクチュエータが実際に振動する振動部である。取付プレート350には貫通孔370が設けられている。更に、液体容器1の側壁には孔380が形成されている。したがって、インクは、液体容器1の孔380及び取付プレート350の貫通孔370を介して振動板176と接触する。液体容器1の孔380及び取付プレート350の貫通孔370は、共にインク溜まり部を形成する。
次に図27(A)に示したモジュール体700Aの動作について説明する。上部電極164及び下部電極166は圧電層160に駆動信号を伝達し、圧電層160が検出した共振周波数の信号を記録装置に伝達する。圧電層160は上部電極164及び下部電極166によって伝達された駆動信号により発振して共振周期で振動する。この残留振動により圧電層160は逆起電力を発生する。逆起電力波形の振動周期をカウントすることにより共振周波数を検出することができる。モジュール体700Aは、アクチュエータ106がアクチュエータ106の振動部の圧電素子側とは反対の面、すなわち、図27(A)では、振動板176と取付プレート350の一部のみが、インク容器1内のインクと接触するように容器1に装着される。図27(A)のモジュール体700Aは図21から図25に示したリードワイヤ104a、104b、404a、404b、504a、及び504bの電極のモジュール体100への埋め込みが不要となる。そのため成形工程が簡素化される。更に、モジュール体700Aの交換が可能となりリサイクルが可能となる。また更に、アクチュエータ106は基台部360により保護されているのでアクチュエータ106を外部との接触から保護できる。
図27(B)はモジュール体700Bの更に他の実施形態を示す。基台部360がインク容器1の内部に突出するように、モジュール体700Bは容器1に装着されている。取付プレート350には貫通孔370が形成され、貫通孔370とアクチュエータ106の振動部が面している。更に、基台部360の側壁には孔382が形成されている。したがって、インクは、基台部360の孔382及び取付プレート350の貫通孔370を介して振動板176と接触する。基台部360の孔382及び取付プレート350の貫通孔370は、共にインク溜まり部を形成する。基台部360とアクチュエータ106とは、取付プレート350及び緩衝フィルム部材によって固定されている。基台部360と容器1との接続部にはシーリング構造372が設けられている。シーリング構造372は合成樹脂等の可塑性の材料により形成されてもよいし、Oリングにより形成されてもよい。図27(B)の基台部360と容器1とは別体であるが、基台部360を容器1の側壁の一部で構成してもよい。
図27(B)のモジュール体700Bは、図21から図25に示したリードワイヤ104の電極のモジュール体100への埋め込みが不要となる。そのため成形工程が簡素化される。更に、モジュール体700Bの交換が可能となりリサイクルが可能となる。
インクカートリッジが揺れる際にインクがインク容器1の上面あるいは側面に付着し、インク容器1の上面あるいは側面から垂れてきたインクがアクチュエータ106に接触することでアクチュエータ106が誤作動する可能性がある。しかし、モジュール体700Bは基台部360が容器1の内部に突出しているので、インク容器1の上面や側面から垂れてきたインクによりアクチュエータ106が誤作動しない。
図27(C)はアクチュエータ106を備えた取付構造体600の実施形態を示す。取付構造体600はアクチュエータ106とモールド部364とを有する。アクチュエータ106とモールド部364とは一体に成形されている。モールド部364はシリコン樹脂等の可塑性の材料によって成形される。モールド部364は内部にリードワイヤ362を有する。モールド部364は形状が2本の足を有する凹型に形成されており、アクチュエータ100を凹型の底面に有する。モールド部364はモールド部364と容器1とを液密に固定するために、モールド部364の2本の足の底部が半球状に形成される。モールド部364はアクチュエータ106がインク容器1の内部に突出するよう容器1に装着され、アクチュエータ100の振動部はインク容器1内のインクと接触する。モールド部364によって、アクチュエータ106の上部電極164、圧電層160、及び下部電極166はインクから保護されている。
図27(C)の取付構造体600は、モールド部364と容器1との間にシーリング構造372が必要ないので、インクがインク容器1から漏れにくい。また、インク容器1の外部から取付構造体600が突出しない形態であるので、アクチュエータ106を外部との接触から保護することができる。インクカートリッジが揺れる際に、インクがインク容器1の上面あるいは側面に付き、インク容器1の上面あるいは側面から垂れてきたインクが、アクチュエータ106に接触することで、アクチュエータ106が、誤作動する可能性がある。取付構造体600は、モールド部364が、容器1の内部に突出しているので、インク容器1の上面や側面から垂れてきたインクにより、アクチュエータ106が誤作動しない。
図28は、図1に示したアクチュエータ106を用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録装置の実施形態を示す。複数のインクカートリッジ180は、それぞれのインクカートリッジ180に対応した複数のインク導入部182及びヘッドプレート186を有するインクジェット記録装置に装着される。複数のインクカートリッジ180は、それぞれ異なった種類、例えば色のインクを収容する。複数のインクカートリッジ180のそれぞれの底面には、少なくとも音響インピーダンスを検出する手段であるアクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106をインクカートリッジ180に装着することによって、インクカートリッジ180内のインク残量を検出することができる。
図29は、インクジェット記録装置のヘッド部周辺の詳細を示す。インクジェット記録装置は、インク導入部182、ホルダー184、ヘッドプレート186、及びノズルプレート188を有する。インクを噴射するノズル190がノズルプレート188に複数形成されている。インク導入部182は空気供給口181とインク導入口183とを有する。空気供給口181はインクカートリッジ180に空気を供給する。インク導入口183はインクカートリッジ180からインクを導入する。インクカートリッジ180は空気導入口185とインク供給口187とを有する。空気導入口185はインク導入部182の空気供給口181から空気を導入する。インク供給口187はインク導入部182のインク導入口183にインクを供給する。インクカートリッジ180がインク導入部182から空気を導入することによって、インクカートリッジ180からインク導入部182へのインクの供給を促す。ホルダー184は、インクカートリッジ180からインク導入部182を介して供給されたインクをヘッドプレート186に連通する。
図30は、図29に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す。図30(A)のインクカートリッジ180Aは、上下方向に斜めに形成された底面194aにアクチュエータ106が装着されている。インクカートリッジ180のインク容器194の内部には、インク容器194の内部底面から所定の高さの、アクチュエータ106と直面する位置に防波壁192が設けられている。アクチュエータ106が、インク容器194の上下方向に対し斜めに装着されているので、インクの掃けが良好になる。
アクチュエータ106と防波壁192との間には、インクで満たされた間隙が形成される。また、防波壁192とアクチュエータ106のアクチュエータ106との間隔は、毛細管力によりインクが保持されない程度に空けられている。インク容器194が横揺れしたときに、横揺れによってインク容器194内部にインクの波が発生し、その衝撃によって、気体や気泡がアクチュエータ106によって検出されてアクチュエータ106が誤作動する可能性がある。防波壁192を設けることによって、アクチュエータ106付近のインクの波を防ぎ、アクチュエータ106の誤作動を防ぐことができる。
図30(B)のインクカートリッジ180Bのアクチュエータ106は、インク容器194の供給口の側壁上に装着されている。インク供給口194の近傍であれば、アクチュエータ106は、インク容器194の側壁又は底面に装着されてもよい。また、アクチュエータ106はインク容器194の幅方向の中心に装着されることが好ましい。インクは、インク供給口187を通過して外部に供給されるので、アクチュエータ106をインク供給口187の近傍に設けることにより、インクニアエンド時点までインクとアクチュエータ106とが確実に接触する。したがって、アクチュエータ106はインクニアエンドの時点を確実に検出することができる。
更に、アクチュエータ106をインク供給口187の近傍に設けることで、インク容器をキャリッジ上のカートリッジホルダに装着する際に、インク容器上のアクチュエータ106とキャリッジ上の接点との位置決めが確実となる。その理由は、インク容器とキャリッジとの連結において最も重要なのは、インク供給口と供給針との確実な結合である。少しでもずれがあると供給針の先端を痛めてしまったりあるいはOリングなどのシーリング構造にダメージを与えてしまいインクが漏れ出してしまうからである。このような問題点を防ぐために、通常インクジェットプリンタはインク容器をキャリッジにマウントする時に正確な位置合わせができるような特別な構造を有している。よって供給口近傍にアクチュエータを配置させることにより、アクチュエータの位置合わせも同時に確実なものとなるのである。さらに、アクチュエータ106をインク容器194の幅方向の中心に装着することで、より確実に位置合わせすることができる。インク容器が、ホルダへの装着時に幅方向中心線を中心として軸揺動した場合に、もっともその揺れが少ないからである。
図31はインクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図31(A)はインクカートリッジ180Cの断面図、図31(B)は図31(A)に示したインクカートリッジ180Cの側壁194bを拡大した断面図、及び図31(C)はその正面からの透視図である。インクカートリッジ180Cは、半導体記憶手段7とアクチュエータ106とが同一の基板610上に形成されている。図31(B)、(C)に示すように、半導体記憶手段7は基板610の上方に形成され、アクチュエータ106は同一の基板610において半導体記憶手段7の下方に形成されている。アクチュエータ106の周囲を囲むように異型Oリング614が、基板610に形成される。異型Oリング614は、基板610には、基板610をインク容器194に接合するためのカシメ部616が複数形成されている。カシメ部616によって基板610をインク容器194に接合し、異型Oリング614をインク容器194に押しつけることで、アクチュエータ106の振動領域がインクと接触することをできるようにしつつ、インクカートリッジの外部と内部とを液密に保つ。
半導体記憶手段7及び半導体記憶手段7付近には端子612が形成されている。端子612は半導体記憶手段7とインクジェット記憶装置等の外部との間の信号の受け渡しをする。半導体記憶手段7は、例えばEEPROMなどの書き換え可能な半導体メモリによって構成されてもよい。半導体記憶手段7とアクチュエータ106とが同一の基板610上に形成さているので、アクチュエータ106及び半導体記憶手段7をインクカートリッジ180Cに取付ける際に1回の取付け工程で済む。また、インクカートリッジ180Cの製造時及びリサイクル時の作業工程が簡素化される。更に、部品の点数が削減されるので、インクカートリッジ180Cの製造コストが低減できる。
アクチュエータ106は、インク容器194内のインクの消費状態を検知する。半導体記憶手段7はアクチュエータ106が検出したインク残量などインクの情報を格納する。すなわち、半導体記憶手段7は検出する際に用いられるインク及びインクカートリッジの特性等の特性パラメータに関する情報を格納する。半導体記憶手段7は、予めインク容器194内のインクがフルのとき、すなわちインクがインク容器194内に満たされたとき、又はエンドのとき、すなわちインク容器194内のインクが消費されたときの共振周波数を特性パラメータの一つとして格納する。インク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数は、インク容器が初めてインクジェット記録装置に装着されたときに格納されてもよい。また、インク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数は、インク容器194の製造中に格納されてもよい。半導体記憶手段7に予めインク容器194内のインクがフル又はエンドのときの共振周波数を格納し、インクジェット記録装置側で共振周波数のデータを読出すことによりインク残量を検出する際のばらつきを補正できるので、インク残量が基準値まで減少したことを正確に検出することができる。
図32は、インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図32(A)に示すインクカートリッジ180Dは、インク容器194の側壁194bに複数のアクチュエータ106を装着する。図13に示した、一体成形された複数のアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106として用いることが好ましい。複数のアクチュエータ106は、上下方向に間隔をおいて側壁194bに配置されている。複数のアクチュエータ106を上下方向に間隔をおいて側壁194bに配置することによって、インク残量を段階的に検出することができる。
図32(B)に示すインクカートリッジ180Eは、インク容器194の側壁194bに上下方向に長いアクチュエータ606を装着する。上下方向に長いアクチュエータ606によって、インク容器194内のインク残量の変化を連続的に検出することができる。アクチュエータ606の長さは、側壁194bに高さの半分以上の長さを有することが望ましく、図32(B)においては、アクチュエータ606は側壁194bのほぼ上端からほぼ下端までの長さを有する。
図32(C)に示すインクカートリッジ180Fは、図32(A)に示したインクカートリッジ180Dと同様に、インク容器194の側壁194bに複数のアクチュエータ106を装着し、複数のアクチュエータ106の直面に所定の間隔をおいて上下方向に長い防波壁192を備える。図13に示した、一体成形された複数のアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106として用いることが好ましい。アクチュエータ106と防波壁192との間には、インクで満たされた間隙が形成される。また、防波壁192とアクチュエータ106との間隔は、毛細管力によりインクが保持されない程度に空けられている。インク容器194が横揺れしたときに横揺れによってインク容器194内部にインクの波が発生し、その衝撃によって気体や気泡がアクチュエータ106によって検出されてしまい、アクチュエータ106が誤作動する可能性がある。本発明のように防波壁192を設けることによって、アクチュエータ106付近のインクの波を防ぎ、アクチュエータ106の誤作動を防ぐことができる。また、防波壁192はインクが揺動することに発生した気泡がアクチュエータ106に侵入するのを防ぐ。
図33は、インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図33(A)のインクカートリッジ180Gは、インク容器194の上面194cから下方に延びる複数の隔壁212を有する。隔壁212の下端とインク容器194の底面とは所定の間隔が空けられているので、インク容器194の底部は連通している。インクカートリッジ180Gは複数の隔壁212のそれぞれによって区画された複数の収容室213を有する。複数の収容室213の底部は互いに連通する。複数の収容室213のそれぞれにおいて、インク容器194の上面194cにはアクチュエータ106が装着されている。図13に示した、一体成形されたアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106として用いることが好ましい。アクチュエータ106は、インク容器194の収容室213の上面194cのほぼ中央に配置される。収容室213の容量はインク供給口187側が最も大きく、インク供給口187からインク容器194の奥へ遠ざかるにつれて、収容室213の容量が徐々に小さくなっている。したがって、アクチュエータ106が配置される間隔はインク供給口187側が広く、インク供給口187からインク容器194の奥へと遠ざかるにつれ、狭くなっている。
インクは、インク供給口187から排出され、空気が空気導入口185から入るので、インク供給口187側の収容室213からインクカートリッジ180Gの奥の方の収容室213へとインクが消費される。例えば、インク供給口187に最も近い収容室213のインクが消費されて、インク供給口187に最も近い収容室213のインクの水位が下がっている間、他の収容室213にはインクが満たされている。インク供給口187に最も近い収容室213のインクが消費され尽くすと、空気が、インク供給口187から数えて2番目の収容室213に侵入し、2番目の収容室213内のインクが消費され始めて、2番目の収容室213のインクの水位が下がり始める。この時点で、インク供給室187から数えて3番目以降の収容室213には、インクが満たされている。このように、インク供給口187に近い収容室213から遠い収容室213へと順番にインクが消費される。
このように、アクチュエータ106がそれぞれの収容室213ごとにインク容器194の上面194cに間隔をおいて配置されているので、アクチュエータ106はインク量の減少を段階的に検出することができる。更に、収容室213の容量が、インク供給口187から収容室213の奥へと徐々に小さくなっているので、アクチュエータ106が、インク量の減少を検出する時間間隔が徐々に小さくなり、インクエンドに近づくほど頻度を高く検出することができる。
図33(B)のインクカートリッジ180Hは、インク容器194の上面194cから下方に延びる一つの隔壁212を有する。隔壁212の下端とインク容器194の底面とは所定の間隔が空けられているので、インク容器194の底部は連通している。インクカートリッジ180Hは隔壁212によって区画された2室の収容室213a及び213bを有する。収容室213a及び213bの底部は互いに連通する。インク供給口187側の収容室213aの容量はインク供給口187から見て奥の方の収容室213bの容量より大きい。収容室213bの容量は、収容室213aの容量の半分より小さいことが好ましい。
収容室213bの上面194cにアクチュエータ106が装着される。更に、収容室213bには、インクカートリッジ180Hの製造時に入る気泡を捕らえる溝であるバッファ214が形成される。図33(B)において、バッファ214は、インク容器194の側壁194bから上方に延びる溝として形成される。バッファ214はインク収容室213b内に侵入した気泡を捕らえるので、気泡によってアクチュエータ106がインクエンドと検出する誤作動を防止することができる。また、アクチュエータ106を収容室213bの上面194cに設けることにより、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に対して、収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正をかけることで、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さを変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
図33(C)は、図33(B)のインクカートリッジ180Iの収容室213bに多孔質部材216が充填されている。多孔質部材216は、収容室213b内の上面から下面までの全空間を埋めるように設置される。多孔質部材216は、アクチュエータ106と接触する。インク容器が倒れたときや、キャリッジ上での往復運動中に空気がインク収容室213b内に侵入してしまい、これがアクチュエータ106の誤作動を引き起こす可能性がある。しかし、多孔質部材216が備えられていれば、空気を捕らえてアクチュエータ106に空気が入るのを防ぐことができる。また、多孔質部材216はインクを保持するのでインク容器が揺れることにより、インクがアクチュエータ106にかかってアクチュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出するのを防ぐことができる。多孔質部材216は最も容量が小さい収容室213に設置することが好ましい。また、アクチュエータ106を収容質213bの上面194cに設けることにより、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量が判る。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さを変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
図33(D)は、図33(C)のインクカートリッジ180Iの多孔質部材216が孔径の異なる2種類の多孔質部材216A及び216Bによって構成されている。多孔質部材216Aは、多孔質部材216Bの上方に配置されている。上側の多孔質部材216Aの孔径は、下側の多孔質部材216Bの孔径より大きい。また、多孔質部材216Aは、多孔質部材216Bよりも液体親和性が低い部材で形成される。孔径の小さい多孔質部材216Bの方が孔径の大きい多孔質部材216Aより毛細管力は大きいので、収容室213b内のインクが下側の多孔室部材216Bに集まり、保持される。したがって、一度空気がアクチュエータ106まで到達してインク無しを検出すると、インクが再度アクチュエータに到達してインク有りと検出することが無い。更に、アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216Bにインクが吸収されることで、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良くなり、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。また、アクチュエータ106を収容質213bの上面194cに設けることにより、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量が判る。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さを変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
図34は、図33(C)に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す断面図である。図34に示すインクカートリッジ180の多孔質部材216は、多孔質部材216の下部の水平方向の断面積が、インク容器194の底面の方向にむけて徐々に小さくなるように圧縮され、孔径が小さくなるよう設計されている。図34(A)のインクカートリッジ180Kは、多孔質部材216の下の方の孔径が小さくなるように圧縮するために側壁にピンが設けられている。多孔質部材216下部の孔径は圧縮されることにより、小さくなっているので、インクは多孔質部材216下部へと集められ、保持される。アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216下部にインクが吸収されることで、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良くなり、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによってインクカートリッジ180K上面に装着されたアクチュエータ106にインクがかかっていしまい、アクチュエータ106が、インク無しをインク有りと誤検出することを防止することができる。
一方、図34(B)及び図34(C)のインクカートリッジ180Lは、多孔質部材216の下部の水平方向の断面積が、インク容器194の幅方向において、インク容器194の底面にむけて徐々に小さくなるよう圧縮するために、収容室の水平方向の断面積がインク容器194の底面の方向にむけて徐々に小さくなっている。。多孔質部材216下部の孔径は圧縮されることにより、小さくなっているので、インクは多孔質部材216下部へと集められ、保持される。アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216B下部にインクが吸収されることで、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良くなり、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによって、インクカートリッジ180L上面に装着されたアクチュエータ106にインクがかかっていしまい、アクチュエータ106が、インク無しをインク有りと誤検出することを防止することができる。
図35は、アクチュエータ106を用いたインクカートリッジの更に他の実施形態を示す。図35(A)のインクカートリッジ220Aは、インクカートリッジ220Aの上面から下方へと延びるように設けられた第1の隔壁222を有する。第1の隔壁222の下端とインクカートリッジ220Aの底面との間には所定の間隔が空けられているので、インクは、インクカートリッジ220Aの底面を通じてインク供給口230へ流入できる。第1の隔壁222よりインク供給口230側には、インクカートリッジ220Aの底面より上方に延びるように第2の隔壁224が、形成されている。第2の隔壁224の上端とインクカートリッジ220A上面との間には所定の間隔が空けられているので、インクは、インクカートリッジ220Aの上面を通じてインク供給口230へ流入できる。
第1の隔壁222によって、インク供給口230から見て、第1の隔壁222の奥の方に第1の収容室225aが形成される。一方、第2の隔壁224によって、インク供給口230から見て第2の隔壁222の手前側に第2の収容室225bが形成される。第1の収容室225aの容量は、第2の収容室225bの容量より大きい。第1の隔壁222及び第2の隔壁224の間に、毛管現象を起こせるだけの間隔が空けられることにより、毛管路227が形成される。したがって、第1の収容室225aのインクは、毛管路227の毛細管力により、毛管路227に集められる。そのため、気体や気泡が収容室225bへ混入するのを防止することができる。また、収容室225b内のインクの水位は、安定的に徐々に下降できる。インク供給口230から見て、第1の収容室225aは、第2の収容室225bより奥に形成されているので、第1の収容室225aのインクが消費された後、第2の収容室225bのインクが消費される。
インクカートリッジ220Aのインク供給口230側の側壁、すなわち第2の収容室225bのインク供給口230側の側壁には、アクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106は、第2の収容室225b内のインクの消費状態を検知する。アクチュエータ106を、第2の収容室225bの側壁に装着することによって、インクエンドにより近い時点でのインク残量を安定的に検出することができる。更に、アクチュエータ106を第2の収容室225bの側壁に装着する高さを変えることにより、どの時点でのインク残量をインクエンドにするかを、自由に設定することができる。毛管路227によって収容室225aから収容室225bへインクが供給されることにより、アクチュエータ106は、インクカートリッジ220Aの横揺れによるインクの横揺れの影響を受けないので、アクチュエータ106は、インク残量を確実に測定できる。更に、毛管路227が、インクを保持するので、インクが第2の収容室225bから第1の収容室225aへ逆流するのを防ぐ。
インクカートリッジ220Aの上面には、逆止弁228が設けられている。逆止弁228によって、インクカートリッジ220Aが横揺れしたときに、インクがインクカートリッジ220A外部に漏れるのを防ぐことができる。更に、逆止弁228をインクカートリッジ220Aの上面に設置することで、インクのインクカートリッジ220Aからの蒸発を防ぐことができる。インクカートリッジ220A内のインクが消費されて、インクカートリッジ220A内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、逆止弁228が開いて、インクカートリッジ220Aに空気を吸入し、その後閉じてインクカートリッジ220A内の圧力を一定に保持する。
図35(C)及び(D)は、逆止弁228の詳細の断面を示す。図35(C)の逆止弁228は、ゴムにより形成された羽根232aを有する弁232を有する。インクカートリッジ220の外部との通気孔233が、羽根232aに対向してインクカートリッジ220に設けられる。羽根232aによって、通気孔233が、開閉される。逆止弁228は、インクカートリッジ220内のインクが減少し、インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、羽根232aが、インクカートリッジ220の内側に開き、外部の空気をインクカートリッジ220内に取り入れる。図35(D)の逆止弁228は、ゴムにより形成された弁232とバネ235とを有する。逆止弁228は、インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、弁232が、バネ235を押圧して開き、外部の空気をインクカートリッジ220内に吸入し、その後閉じてインクカートリッジ220内の負圧を一定に保持する。
図35(B)のインクカートリッジ220は、図35(A)のインクカートリッジ220において逆止弁228を設ける代わりに第1の収容室225aに多孔質部材242を配置している。多孔質部材242は、インクカートリッジ220内のインクを保持すると共に、インクカートリッジ220が横揺れしたときに、インクがインクカートリッジ220の外部へ漏れるのを防ぐ。
以上、キャリッジに装着される、キャリッジと別体のインクカートリッジにおいて、インクカートリッジ又はキャリッジにアクチュエータ106を装着する場合について述べたが、キャリッジと一体化され、キャリッジと共に、インクジェット記録装置に装着されるインクタンクにアクチュエータ106を装着してもよい。更に、キャリッジと別体の、チューブ等を介して、キャリッジにインクを供給するオフキャリッジ方式のインクタンクにアクチュエータ106を装着してもよい。またさらに、記録ヘッドとインク容器とが一体となって交換可能に構成されたインクカートリッジに、本発明のアクチュエータを装着してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
圧電装置の一実施形態であるアクチュエータ106の詳細を示す。 圧電装置の一実施形態であるアクチュエータ106およびその周辺の詳細を示す。 インクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示すグラフである。 アクチュエータ106を振動させた後の、アクチュエータ106の残留振動の波形と残留振動の測定方法とを示す。 アクチュエータ106が音響インピーダンスの変化を検知することで液体容器1内の液体の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を制御する記録装置制御部2000の構成を示す。 他の実施形態の記録装置制御部2002を示すブロック図である。 図5に示した記録装置制御部2000の更に他の実施形態を示す。 図7に示した記録装置制御部2004の他の実施形態を示す。 図8に示した記録装置制御部2006の動作手順を示すフローチャートである。 測定回路部800の回路構成を示す図である。 検出回路部1100の回路構成を示す。 図11に示した液体有無判定部1000の詳細な回路構成を示す。 アクチュエータ106の製造方法を示す。 圧電素子が矩形のアクチュエータ106の一部分の断面を示す。 図14に示したアクチュエータ106の全体の断面を示す。 図13に示したアクチュエータ106の製造方法を示す。 本発明が適用されるインクカートリッジのさらに他の実施形態を示す。 貫通孔1cの他の実施形態を示す。 アクチュエータ660の他の実施形態を示す斜視図である。 アクチュエータ670の更に他の実施形態を示す斜視図である。 アクチュエータ106を取り付けモジュール体100として一体形成した構成を示す斜視図である。 モジュール体100の構成を示す分解図である。 モジュール体400の他の実施形態を示す斜視図である。 図23に示したモジュール体400の構成を示す分解斜視図である。 モジュール体500の更に他の実施形態を示す。 図21に示したモジュール体100をインク容器1に装着したときのインク容器の底部近傍の断面図である。 モジュール体100の更に他の実施形態を示す。 図1に示したアクチュエータ106を用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録装置の実施形態を示す。 インクジェット記録装置のヘッド部周辺の詳細を示す。 図29に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す。 インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。 インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。 インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。 図33(C)に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す断面図である。 アクチュエータ106を用いたインクカートリッジの更に他の実施形態を示す。
符号の説明
1 容器、1a 底面、1c、40a 貫通孔、1d、 側面、1e、1f 段差部、1g 溝、40、41 グリーンシート、42、44 導電層、44' 接続部、47、48 補助導電層、67 板材、68 フロート、71 接着剤層、72、80、178 基板、73、圧電素子、76 パッキン、77 カシメ孔、81 凹部、100、400,500、700 モジュール、102 基台部、104、362 リードワイヤ、106、650、660、670 アクチュエータ、108 フィルム、110 プレート、112 キャビティ、113 凹部、114 開口部、116 円柱部、160 圧電層、162、370 キャビティ、164 上部電極、166 下部電極、168 上部電極端子、170 下部電極端子、172 補助電極、174 圧電素子、176 振動板、180 インクカートリッジ、181 空気供給口、182 インク導入部、183 インク導入口、184 弁部、185 空気導入口、186 ヘッドプレート、187 インク供給口、188 ノズルプレート、189 切替弁、190 ノズル、192 防波壁、194 インク容器、194a 底面、194b 側壁、194c 上面、212 隔壁、213、213a、213b 収容室、214 バッファ、216、216a、216b 多孔質部材、220 インクカートリッジ、222 第1の隔壁、224 第2の隔壁、225a 第1の収容室、225b 第2の収容室、227 毛管路、228 逆止弁、230 インク供給口、232 弁、232a 羽根、233 通気孔、235 バネ、242 多孔質部材、250 キャリッジ、252 記録ヘッド、254 インク供給針、256 サブタンクユニット、258、258' 凸部、260、260' 弾性波発生手段、262 インク室、264 インク供給路、266 膜弁、268 フィルタ、270 弁体、272 インクカートリッジ、274 容器、274a 底面、274b 側面、276 インク供給口、278 凹部、280、280' ゲル化材、282 パッキン、284 バネ、286 弁体、288 半導体記憶手段、290 容器、290a 底面、292、294、296 部屋、298、300、302 インク供給口、304、306、308 ゲル化材、310、312、314 凹部、316 板材、318 フロート、350 取付プレート、360 基台部、364 モールド部、370 キャビティ、372 シーリング構造、402、502 基台、403 円柱状の台、404、504 リードワイヤ、408、508 フィルム、410、510 プレート、413、513 凹部、414、514 開口部、600 取付構造体、606 アクチュエータ、610 基板、612 端子、800、802 測定回路部、810 NPN型トランジスタ、812 PNP型トランジスタ、816 基準電位生成部、818、820、828、830、832 抵抗、822、826 コンデンサ、824 ハイパスフィルタ、834、840、842、844、846 端子、836 比較器、850、850A、850B、850C 駆動電圧生成部、860 増幅部、900、902 デジタル回路部、910、918 フリップフロップ、912、920 カウンタ、914、916 NANDゲート、1000、1002 液体有無判定部、1010 液体消費状態補正部、1011 上限値レジスタ、1012 下限値レジスタ、1014、1016 比較部、1018 ANDゲート、1020、1022 端子、1100、1102、1104 検出回路部、1200、1202、1210 液体消費状態検出部、1300 ヘッド部、1400 制御部、1402 記録装置動作制御部、1404 提示処理部、1406 印刷動作制御部、1408 インク補充処理部、1410 カートリッジ交換処理部、1412 印刷データ記憶処理部、1414 印字データ記憶部、1416 ディスプレイ、1418 スピーカ、1420 印刷動作部、1422 インク補充装置、1424 カートリッジ交換装置、1432 クリーニング駆動部、1434 ポンプ、1436 クリーニング部、1440 ヘッド駆動部、1442 クリーニング制御部、1444 情報記憶制御回路部、1450 液体吐出カウンタ、1452 液体消費量補正部、1500、1502、1506 制御回路部、2000、2002、2004、2006 記録装置制御部

Claims (15)

  1. 圧電素子を有する圧電装置を用いて、液体を収容する液体容器内の前記液体の消費状態を検出する回路であって、
    前記圧電装置の振動部に残留する残留振動に基づいて前記圧電装置が発生した逆起電力を測定する測定回路部と、
    前記測定回路部が測定した前記逆起電力を入力して前記液体の消費状態を表す信号を出力する検出回路部とを備えたことを特徴とする検出制御回路。
  2. 前記測定回路部が増幅器を有し、前記増幅器が相補に接続されたPNP型トランジスタ及びNPN型トランジスタを有し、前記PNP型トランジスタ及び前記NPN型トランジスタのエミッタ同士が接続されたことを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  3. 前記測定回路部が増幅器を有し、前記増幅器が相補に接続されたP型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタを有し、前記P型電界効果トランジスタ及び前記N型電界効果トランジスタのソース同士が接続され、前記ソースと前記P型電界効果トランジスタ又は前記N型電界効果トランジスタのソースとの結合点とグラウンドとの間に生じる駆動電圧が前記圧電装置に与えられることを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  4. 前記検出回路部が、前記残留振動が一定時間に振動する回数を数えるカウンタを更に有し、前記カウンタが数えた値に基づいて、前記液体の消費状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  5. 前記検出回路部が、前記残留振動が一定時間に振動する回数を数えるカウンタと、前記残留振動が所定の回数振動する間における、前記残留振動の振動周期より短い振動周期を有するクロックの振動回数を数えるクロックカウンタとを更に有し、前記クロックカウンタが数えた値に基づいて、前記液体の消費状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  6. 前記圧電装置が所定の回数残留振動した後に、前記カウンタが前記残留振動の前記振動回数を数えることを特徴とする請求項4及び5に記載の検出制御回路。
  7. 前記残留振動を検出しないときに、前記検出回路部が、前記液体容器が前記検出制御回路に接続されていないことを通知する信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  8. 前記測定回路部が、複数の増幅器と複数の前記圧電装置とを更に備え、前記複数の増幅器のそれぞれが、前記複数の圧電装置にそれぞれ駆動電圧を与え、
    前記検出回路部が、前記複数の圧電装置が発生した、それぞれの前記逆起電力を入力して前記液体の消費状態を表す信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  9. 前記検出回路が出力した前記液体の消費状態を表す信号に基づいて、前記液体を消費する動作を制御する制御回路部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の検出制御回路。
  10. 前記液体容器が、前記液体の消費状態を記憶する記憶手段を備え、
    前記制御回路部が、前記記憶手段から前記液体の消費状態を読み出し、前記記憶手段に前記逆起電力を測定することにより検出した前記液体の消費状態を前記記憶手段に書きこむ情報記憶制御回路部を有すること
    を特徴とする請求項9に記載の検出制御回路。
  11. 前記液体容器が、インクジェット記録装置に装着されるインクカートリッジであり、前記インクジェット記録装置に設けられたことを特徴とする請求項9に記載の検出制御回路。
  12. 前記制御回路部が、前記インクカートリッジ液体容器内の液体を吐出する印字ヘッドと、前記印字ヘッドから吐出されたインク滴の数を数えるドットカウンタとを備えたことを特徴とする請求項11に記載の検出制御回路。
  13. 前記検出回路部が、前記逆起電力から得た前記液体の消費状態に基づいて、前記ドットカウンタが数えた前記インク滴の数から液体の消費量を算出する算出式のパラメータを補正することを特徴とする請求項12に記載の検出制御回路。
  14. コンピュータで読み取り可能な記録媒体であって、
    圧電素子を有する圧電装置を用いて液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検出する記録装置制御回路を制御する液体消費状態検出プログラムを格納し、
    前記液体消費状態検出プログラムが、
    前記液体容器に装着された前記圧電装置の振動部に残留する残留振動に基づいて前記圧電装置が発生する逆起電力を入力するよう前記記録装置制御回路を制御する入力プログラムと、
    前記入力プログラムに従って入力された前記逆起電力に基づいて前記液体容器内の前記液体の消費状態を表す信号を出力するよう前記記録装置制御回路を制御する検出プログラムとを有すること
    を特徴とする記録媒体。
  15. インクジェット記録装置に接続された端末に対して、前記インクジェット記録装置に装着されたインクカートリッジ内のインクの消費状態を検出する記録装置制御回路を制御する検出制御プログラムを送信する情報処理装置であって、
    前記インクカートリッジに装着された前記圧電装置の振動部に残留する残留振動によって前記圧電装置が発生した逆起電力を入力するよう前記記録装置制御回路を制御する入力プログラムと、前記逆起電力に基づいて前記インクカートリッジ内の前記インクの消費状態を表す信号を出力するよう前記記録装置制御回路を制御する検出プログラムとを電気通信回線を介して前記端末に送信することを特徴とする情報処理装置。
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