JP4150157B2 - 液体消費状態検出器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響インピーダンスの変化を検出することで、とりわけ、共振周波数の変化を検出することで、インク等の液体の消費状態を検知することができる液体消費状態検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置においては、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインクをインク滴として吐出するノズル開口と、を有するインクジェット記録ヘッドが、キャリッジに搭載されている。
【0003】
インクジェット記録装置では、インクタンク内のインクが流路を介して記録ヘッドに供給され続けることにより、印刷を継続可能に構成されている。インクタンクは、例えばインクが消費された時点でユーザが簡単に交換できる、着脱可能なカートリッジとして構成されている。
【0004】
従来、インクカートリッジのインク消費の管理方法としては、記録ヘッドでのインク滴の吐出数やメンテナンスにより吸引されたインク量をソフトウエアにより積算してインク消費を計算により管理する方法や、インクカートリッジに液面検出用の電極を取付けることにより実際にインクが所定量消費された時点を管理する方法などがある。
【0005】
しかしながら、ソフトウェアによりインク滴の吐出数やインク量を積算してインク消費を計算上管理する方法には、次のような問題がある。ヘッドの中には吐出インク滴に重量バラツキを有するものがある。画質には影響を与えないが、累積した場合を考慮して、マージンを持たせてインクカートリッジに充填してある。従って、個体によっては、マージン分だけインクが余るという問題が生ずる。
【0006】
一方、電極によりインクが消費された時点を管理する方法は、インクの実量を検出できる。このため、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしながら、インクの液面の検出をインクの導電性に頼るので、検出可能なインクの種類が限定されたり、電極のシール構造が複雑化し得る。また、電極の材料としては、通常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属が使用されるので、インクカートリッジの製造コストがかさむ。さらに、2本の電極を装着する必要があるため、製造工程が多くなり、結果として製造コストがかさんでしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特願2000−147052号は、上記の課題を解決すべく、液体残量を正確に検出でき、かつ複雑なシール構造を不要とした、液体容器に装着される圧電装置及びモジュール体を開示している。また、特願2000−146966号は、そのような圧電装置及びモジュール体に利用され得る検出制御回路を開示している。
【0008】
本件発明者は、複数の圧電素子が設けられたインクカートリッジ等において、当該複数の圧電素子の各々に対してそれぞれに検出制御回路を構成することは、設置スペースの点でもコストの点でも問題であることを知見した。
【0009】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、複数の圧電素子が設けられたインクカートリッジ等において、検出制御回路が効率良く構成された液体消費状態検出器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液体を収容する収容空間に少なくとも一部が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に、振動部の振動によって逆起電力信号を発生させる圧電素子と、圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出する液体消費状態検出部と、を備え、圧電素子は、複数が配置されており、複数の圧電素子の各々に、導通用スイッチが接続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に設けられていることを特徴とする液体消費状態検出器である。
【0011】
あるいは、本発明は、液体を収容する収容空間に少なくとも一部が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に、振動部の振動によって逆起電力信号を発生させる圧電素子と、圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出する液体消費状態検出部と、を備え、収容空間は、複数が配置されており、複数の収容空間の各々に、振動部及び圧電素子が設けられており、各圧電素子に、導通用スイッチが接続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に設けられていることを特徴とする液体消費状態検出器である。
【0012】
本発明によれば、液体消費状態検出器が複数の圧電素子に対して共通に設けられているため、設置スペースの点でもコストの点でも、液体消費状態検出器の構成が効率化され得る。
【0013】
好ましくは、前記導通用スイッチは、いずれか1つの導通用スイッチが導通状態の時に他の導通用スイッチが非道通状態であるよう制御されるようになっている。これにより、各圧電素子を用いての液体消費状態検出を、それぞれ独立に行うことができる。
【0014】
導通用スイッチは、例えば、半導体スイッチによって構成され得る。この場合、機械式スイッチに比べて安価かつ小型であり、低電流で、信頼性も高い。また、導通用スイッチは、IC回路の一部として構成され得る。この場合のIC回路は、対応する前記収容空間の情報、例えば、収容空間を形成する容器等の形式情報、収容空間内に収容される液体の種類情報等、を記憶するメモリを有していることが好ましい。
【0015】
液体消費状態検出部は、例えば、逆起電力信号の周波数を測定するようになっている。逆起電力信号の周波数は、収容空間内の物質の共振周波数に対応するため、これによって液体消費状態を簡易かつ正確に検出することができる。
【0016】
具体的には、液体消費状態検出部は、逆起電力信号の所定時間の振動回数を計測するカウンタを有しており、当該カウンタにより計測された数値に基づいて、逆起電力信号の周波数を測定するようになっている。
【0017】
あるいは、液体消費状態検出部は、逆起電力信号が所定回数だけ振動する間の時間を計測するためのクロックカウンタを有しており、当該クロックカウンタにより計測された時間に基づいて、逆起電力信号の周波数を測定するようになっている。
【0018】
また、好ましくは、振動部の液体収容空間に対して露出する部分は、液体収容空間側から見て対称な形状となっている。そして、圧電素子は、好ましくは、振動部の液体収容空間に対して露出する部分の略中心の位置で、当該振動部の液体収容空間側とは反対側に固定されている。
【0019】
特に好ましくは、振動部の液体収容空間に対して露出する部分は、液体容器内面側から見て円形となっている。
【0020】
また、好ましくは、圧電素子の振動方向は、振動部の液体収容空間に対して露出する部分に対して略垂直となっている。
【0021】
なお、以上のような特徴のいずれかを有する液体消費状態検出器と、液体を収容するための収容空間を区画する壁部と、を備えた液体容器(例えばインクカートリッジ)も、本件の保護対象である。
【0022】
この場合、液体容器は、液体消費状態検出器によって検出された液体消費状態を記憶する記憶部を更に備えることが好ましい。
【0023】
さらに、以上のような特徴を有する液体容器と、液体容器に接続され液体容器内に収容されている液体を消費する液体消費本体部と、を備えた液体消費装置(例えばインクジェット記録装置)も、本件の保護対象である。
【0024】
あるいは、液体を収容する収容空間に少なくとも一部が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に、振動部の振動によって逆起電力信号を発生させる圧電素子と、液体を収容するための収容空間を区画する壁部と、を各々有する複数の液体容器と、各圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出する液体消費状態検出部と、各液体容器に接続され、液体容器内に収容されている液体を消費する液体消費本体部と、を備え、複数の圧電素子の各々に、導通用スイッチが接続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に設けられていることを特徴とする液体消費装置も、本件の保護対象である。
【0025】
あるいは、液体を収容する収容空間に少なくとも一部が露出すると共に、当該収容空間に対して振動可能な振動部と、駆動信号に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に、振動部の振動によって逆起電力信号を発生させる圧電素子と、液体を収容するための収容空間を区画する壁部と、を有する液体容器と、圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出する液体消費状態検出部と、液体容器に接続され、液体容器内に収容されている液体を消費する液体消費本体部と、を備え、収容空間は、複数が配置されており、複数の収容空間の各々に、振動部及び圧電素子が設けられており、各圧電素子に、導通用スイッチが接続されており、液体消費状態検出部は、複数の圧電素子に対して共通に設けられていることを特徴とする液体消費装置も、本件の保護対象である。
【0026】
これらの場合、液体消費装置は、液体消費状態検出部によって検出された液体容器の液体消費状態に基づいて、液体消費本体部における液体の消費動作を制御する制御回路部を更に備えることが好ましい。
【0027】
あるいは、液体消費装置は、液体消費状態検出器によって検出された液体消費状態を記憶する記憶部と、記憶部によって記憶された液体容器の液体消費状態に基づいて、液体消費本体部における液体の消費動作を制御する制御回路部と、を更に備えることが好ましい。
【0028】
さらに、以上のような特徴のいずれかを有する液体消費状態検出器を制御する制御装置であって、複数の導通用スイッチのいずれか1つのみを導通状態にして、当該導通状態の導通用スイッチに対応する圧電素子に駆動信号を与え、液体消費状態検出部に液体消費状態を検出させることを特徴とする制御装置も、本件の保護対象である。
【0029】
前記の制御装置あるいは制御装置の各要素手段は、コンピュータシステムによって実現され得る。
【0030】
また、コンピュータシステムに各装置または各手段を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【0031】
ここで、記録媒体とは、フロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、各種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を詳細に説明する。以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0033】
本発明の基本的概念は、振動現象を利用することで、液体容器内の液体の状態(液体容器内の液体の有無、液体の量、液体の水位、液体の種類、液体の組成を含む)を検出することである。
【0034】
振動現象を利用した液体容器内の液体の状態の具体的な検出方法としてはいくつかの方法が考えられる。例えば、弾性波発生手段により液体容器の内部に対して弾性波を発生し、液面あるいは対向する壁によって反射する反射波を受波することで、液体容器内の媒体およびその状態の変化を検出する方法がある。また、振動する物体の振動特性から音響インピーダンスの変化を検知する方法もある。
【0035】
音響インピーダンスの変化を利用する方法としては、圧電素子を有する圧電装置またはアクチュエータの振動部を振動させ、その後、振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって、共振周波数または逆起電力波形の振幅を検出することで音響インピーダンスの変化を検知する方法がある。あるいは、測定機、例えば伝送回路等のインピーダンスアナライザによって、液体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定し、電流値や電圧値の変化、または、振動を液体に与えたときの電流値や電圧値の周波数による変化を測定する方法がある。
【0036】
以下、圧電装置またはアクチュエータの動作原理の詳細について説明する。図1および図2は、圧電装置の一実施形態であるアクチュエータ106の詳細および等価回路を示す。
【0037】
このアクチュエータ106は、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して、液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。特には、残留振動により共振周波数を検出することで音響インピーダンスの変化を検知して、液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。
【0038】
図1(A)は、アクチュエータ106の拡大平面図である。図1(B)は、アクチュエータ106のB−B断面を示す。図1(C)は、アクチュエータ106のC−C断面を示す。さらに図2(A)および図2(B)は、アクチュエータ106の等価回路を示す。また、図2(C)および図2(D)は、それぞれインクカートリッジ内にインクが満たされているときのアクチュエータ106を含む周辺およびその等価回路を示し、図2(E)および図2(F)は、それぞれインクカートリッジ内にインクが無いときのアクチュエータ106を含む周辺およびその等価回路を示す。
【0039】
アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形状の開口161を有する基板178と、開口161を被覆するように基板178の一方の面(以下、表面という)に配置される振動板176と、振動板176の表面の側に配置される圧電層160と、圧電層160を両方からはさみこむ上部電極164および下部電極166と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子168と、下部電極166と電気的に結合する下部電極端子170と、上部電極164および上部電極端子168の間に配設され両者を電気的に結合する補助電極172と、を有する。
【0040】
圧電層160、上部電極164および下部電極166は、それぞれの主要部としての円形部分を有する。そして、圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの円形部分が、圧電素子を形成している。
【0041】
振動板176は、基板178の表面に、開口161を覆うように形成される。
【0042】
キャビティ162は、開口161と面する振動板176の部分と基板178の開口161とによって形成される。圧電素子とは反対側の基板178の面(以下、裏面という)は、液体容器内方に面している。これにより、キャビティ162は液体と接触するように構成されている。なお、キャビティ162内に液体が入っても基板178の表面側に液体が漏れないように、振動板176は基板178に対して液密に取り付けられている。
【0043】
下部電極166は、振動板176の表面(液体容器とは反対側の面)に位置している。下部電極166の主要部である円形部分の中心と開口161の中心とは、ほぼ一致するように取り付けられている。なお、下部電極166の円形部分の面積は、開口161の面積よりも小さくなるように設定されている。
【0044】
一方、下部電極166の表面側には、圧電層160が、その円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように配置(形成)されている。この場合、圧電層160の円形部分の面積は、開口161の面積よりも小さく、かつ、下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるように設定されている。
【0045】
一方、圧電層160の表面側には、上部電極164が、その主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように配置(形成)されている。上部電極164の円形部分の面積は、開口161および圧電層160の円形部分の面積よりも小さく、かつ、下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるよう設定されている。
【0046】
したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによって、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造となっている。これにより、圧電層160は効果的に変形駆動され得る。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分が、アクチュエータ106における圧電素子を形成する。
【0047】
上述のように、このような圧電素子は振動板176に接している。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分、下部電極166の円形部分および開口161のうちで、面積が最も大きいのは開口161である。このような構造のために、振動板176のうち実際に振動する振動領域は、開口161によって決定される。
【0048】
また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分および下部電極166の円形部分の各面積が、開口161の面積より小さいことにより、振動板176がより振動しやすくなっている。
【0049】
さらに、圧電層160と電気的に接続する下部電極166の円形部分および上部電極164の円形部分のうち、下部電極166の円形部分の方が小さい。従って、下部端子166の円形部分が、圧電層160のうちで圧電効果を発生する部分を決定する。
【0050】
圧電素子を形成する圧電層160、上部電極164、及び下部電極166の円形部分は、その中心が、開口部161の中心とほぼ一致している。また、振動板176の振動部分を決定する円形状の開口部161の中心は、アクチュエータ106の全体のほぼ中心に位置している。したがって、アクチュエータ106の振動部の中心は、アクチュエータの中心とほぼ一致する。
【0051】
更に、圧電素子の主部及び振動板176の振動部分が、円形な形状を有するので、アクチュエータ106の振動部は、アクチュエータ106の中心に対して対称な形状である。
【0052】
振動部が、アクチュエータ106の中心に対して対称な形状であるので、構造の非対称性から生じ得る不要な振動を励起することがない。このため、共振周波数の検出精度が向上する。
【0053】
更に、振動部が、アクチュエータ106の中心に対して対称な形状であるので、製造が容易であり、圧電素子ごとの形状のばらつきを小さくできる。したがって、圧電素子ごとの共振周波数のばらつきが小さくなる。
【0054】
また、振動部が等方的な形状であるので、接着の際に固定のばらつきの影響を受けにくく、液体容器に均等に接着され得る。すなわち、アクチュエータ106の液体容器への実装性がよい。
【0055】
更に、振動板176の振動部分が円形な形状を有するので、圧電層160の残留振動の共振モードにおいて、低次、例えば一次の共振モードが支配的となる。すなわち、残留振動の共振モードにおいて、単一のピークが出現する。そのため、ピークとノイズとを、明確に区別することができるので、共振周波数を明確に検出することができる。
【0056】
また、円形形状の振動板176の振動部分の面積を大きくすることによって、逆起電力波形の振幅及び液体の有無による共振周波数の振幅の差が大きくなり、共振周波数の検出の精度を更に向上できる。
【0057】
振動板176の振動による変位は、基板178の振動による変位よりもはるかに大きい。すなわち、アクチュエータ106は、コンプライアンスの小さい(振動によって変位しにくい)基板178と、コンプライアンスの大きい(振動によって変位しやすい)振動板176との2層構造を有する。この2層構造によって、基板178によって液体容器に確実に固定されながら、かつ、振動板176の変位を大きくできる。このため、逆起電力波形の振幅及び液体の有無による共振周波数の振幅の差が大きくなり、共振周波数の検出の精度が向上できる。
【0058】
更に、振動板176のコンプライアンスが大きいので、振動の減衰が小さくなり、共振周波数の検出の精度が向上できる。
【0059】
また、アクチュエータ106の振動の節は、キャビティ162の外周部、すなわち、開口部161の縁付近に位置する。
【0060】
上部電極端子168は、補助電極172を介して上部電極164と電気的に接続するように、振動板176の表面側に形成されている。一方、下部電極端子170は、下部電極166に電気的に接続するように、振動板176の表面側に形成されている。上部電極164は、圧電層160の表面側に形成されるため、上部電極端子168と接続する途中において、圧電層160の厚さと下部電極166の厚さとの和に等しい段差を有する必要がある。上部電極164だけでこの段差を形成することは難しい。かりに上部電極164だけで段差を形成することが可能であったとしても、上部電極164と上部電極端子168との接続状態が弱くなってしまい、切断してしまう危険がある。そこで、補助電極172を補助部材として用いて、上部電極164と上部電極端子168とを接続させている。このようにすることで、圧電層160も上部電極164も補助電極172に支持された構造となり、所望の機械的強度を得ることができ、また、上部電極164と上部電極端子168との接続を確実にすることが可能となる。
【0061】
なお、圧電素子と振動板176のうちの圧電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106において実際に振動する振動部である。また、アクチュエータ106に含まれる部材は、互いに焼成されることによって、一体的に形成されていることが好ましい。アクチュエータ106を一体的に形成することによって、アクチュエータ106の取り扱いが容易になる。
【0062】
さらに、基板178の強度を高めることによって、振動特性が向上し得る。即ち、基板178の強度を高めることによって、アクチュエータ106の振動部のみが振動し、アクチュエータ106のうち振動部以外の部分が振動しない。また、アクチュエータ106の振動部以外の部分が振動しないためには、基板178の強度を高めることに加えて、アクチュエータ106の圧電素子を薄くかつ小さくすると共に、振動板176を薄くすることも有効である。
【0063】
圧電層160の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。基板178の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板176には、基板178と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0064】
上述したように構成されるアクチュエータ106は、液体を収容する容器に適用することができる。例えば、インクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジやインクタンク、あるいは、記録ヘッドを洗浄するための洗浄液を収容した容器、などに装着することができる。
【0065】
図1および図2に示されるアクチュエータ106は、液体容器の所定の場所に、キャビティ162が液体容器内に収容される液体と接触するように装着される。液体容器に液体が十分に収容されている場合には、キャビティ162内およびその外側は液体によって満たされている。
【0066】
一方、液体容器の液体が消費され、アクチュエータの装着位置以下まで液面が降下すると、キャビティ162内に液体が存在しない状態となる、あるいは、キャビティ162内にのみ液体が残存されその外側には気体が存在する状態となる。
【0067】
アクチュエータ106は、この状態の変化に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、アクチュエータ106は、液体容器に液体が十分に収容されている状態であるか、あるいは、ある一定以上の液体が消費された状態であるか、を検知することができる。さらに、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の種類も検出することが可能である。
【0068】
ここで、アクチュエータによる液面検出の原理について説明する。
媒体の音響インピーダンスの変化を検出するためには、媒体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定する。インピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定する場合には、例えば伝送回路を利用することができる。伝送回路は、媒体に一定振幅の周期電圧を印加し、その周波数を変えて媒体に流れる電流を測定する。あるいは、伝送回路は、媒体に一定振幅の周期電流を供給し、その周波数を変えて媒体の電圧を測定する。伝送回路で測定された電流値または電圧値の変化が、音響インピーダンスの変化を示す。また、電流値または電圧値が極大または極小となる周波数fmの変化も、音響インピーダンスの変化を示す。
【0069】
上記の方法とは別に、アクチュエータ106は、液体の音響インピーダンスの変化を共振周波数の変化を用いて検出することができる。共振周波数は、例えばアクチュエータの振動部が振動した後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって、検出することができる。この場合、例えば前記のような圧電素子を利用することができる。
【0070】
前記の圧電素子は、アクチュエータの振動部に残留する残留振動により逆起電力を発生する。逆起電力の大きさは、アクチュエータの振動部の振幅によって変化する。従って、アクチュエータの振動部の振幅が大きいほど、検出が容易である。また、アクチュエータの振動部における残留振動の周波数によって、逆起電力の大きさが変化する周期が変わる。すなわち、アクチュエータの振動部の周波数は、逆起電力の周波数に対応する。ここで、共振周波数は、アクチュエータの振動部と振動部に接する媒体との共振状態における周波数をいう。
【0071】
共振周波数fsを得るために、振動部と媒体とが共振状態であるときの逆起電力測定によって得られた波形を、フーリエ変換する。アクチュエータの振動は、一方向だけの変形ではなく、たわみや伸長等様々な変形をともなうので、共振周波数fsを含め様々な周波数を有する。よって、圧電素子(振動部)と媒体とが共振状態であるときの逆起電力の波形をフーリエ変換し、最も支配的な周波数成分を特定することで、共振周波数fsを判断する。
【0072】
媒体のアドミッタンスが極大またはインピーダンスが極小であるときの周波数fmは、媒体の誘電損失または機械的損失などによって、共振周波数fsに対しわずかに異なる。しかし、実測される周波数fmから共振周波数fsを導出することは手間がかかるため、一般には、周波数fmを共振周波数fsの代わりに使用する。ここで、アクチュエータ106の出力を伝送回路に入力することで、アクチュエータ106は少なくとも音響インピーダンスを検出することができる。
【0073】
なお、媒体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定して周波数fmを測定する方法と、アクチュエータの振動部における残留振動振動によって生ずる逆起電力を測定することによって共振周波数fsを測定する方法と、によって特定される共振周波数には、差がほとんど無いことが実験によって証明されている。
【0074】
アクチュエータ106の振動領域は、振動板176のうち開口161によって決定されるキャビティ162を構成する部分である。液体容器内に液体が充分に収容されている場合には、キャビティ162内には、液体が満たされ、振動領域は液体容器内の液体と接触している。一方で、液体容器内に液体が充分にない場合には、振動領域は液体容器内のキャビティに残った液体と接するか、あるいは、液体と接触せず、気体または真空と接触する。
【0075】
本発明のアクチュエータ106には、キャビティ162が設けられている。これにより、アクチュエータ106の振動領域に液体容器内の液体が残るように設計することができる。その理由は次の通りである。
【0076】
アクチュエータ106の液体容器への取り付け位置や取り付け角度によっては、液体容器内の液体の液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にあるにもかかわらず、アクチュエータの振動領域に液体が付着してしまう場合がある。振動領域における液体の有無だけから液体の有無を検出する場合には、このようにアクチュエータの振動領域に付着する液体が液体の有無の正確な検出を妨げる。
【0077】
たとえば、液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にある状態のとき、キャリッジの往復移動などにより液体容器が揺動して液体が波うち、振動領域に液滴が付着してしまうと、アクチュエータは液体容器内に液体が充分にあるとの誤った判断をしてしまう。
【0078】
そこで、アクチュエータ106では、振動領域に液体が残存している場合であっても液体の有無を正確に検出するようにキャビティを積極的に設けることで、液体容器が揺動して液面が波立ったとしても、アクチュエータの誤動作を防止することができる。このように、キャビティを有するアクチュエータを用いることで、誤動作を防ぐことができる。
【0079】
また、図2(E)に示すように、液体容器内に液体が無く、アクチュエータ106のキャビティ162に液体が残っている場合を、液体の有無の閾値とする。すなわち、キャビティ162の周辺に液体が無く、この閾値よりキャビティ内の液体が少ない場合は、インク無しと判断し、キャビティ162の周辺に液体が有り、この閾値より液体が多い場合は、インク有りと判断する。
【0080】
例えば、アクチュエータ106を液体容器の側壁に装着した場合、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置よりも下にある場合をインク無しと判断し、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置より上にある場合をインク有りと判断する。
【0081】
このように閾値を設定することによって、キャビティ内のインクが乾燥してインクが無くなったときであってもインク無しと判断することができ、キャビティ内のインクが無くなったところにキャリッジの揺れなどで再度インクがキャビティに付着しても(閾値を越えないので)インク無しと判断することができる。
【0082】
ここで、図1および図2を参照しながら、逆起電力の測定により得られる媒体とアクチュエータ106の振動部との共振周波数から、液体容器内の液体の状態を検出する動作および原理について説明する。
【0083】
アクチュエータ106において、上部電極端子168および下部電極端子170を介して、それぞれ上部電極164および下部電極166に電圧を印加する。このため、圧電層160のうち、上部電極164および下部電極166に挟まれた部分に電界が生じる。この電界によって、圧電層160は変形する。圧電層160が変形することによって、振動板176のうちの振動領域がたわみ振動する。圧電層160が変形した後しばらくは、たわみ振動がアクチュエータ106の振動部に残留する。
【0084】
残留振動は、アクチュエータ106の振動部と媒体との自由振動である。従って、圧電層160に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後の振動部と媒体との共振状態を容易に得ることができる。残留振動は、アクチュエータ106の振動部の振動であり、圧電層160の変形を伴う。このため、圧電層160は逆起電力を発生する。この逆起電力は、上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170を介して検出される。検出された逆起電力によって、共振周波数が特定できる。この共振周波数に基いて、液体容器内の液体の状態を検出することができる。
【0085】
一般に、共振周波数fsは、
fs=1/(2×π×(M×Cact)1/2) (式1)
で表される。ここで、Mは振動部のイナータンスMactと付加イナータンスM’との和である。Cactは振動部のコンプライアンスである。
【0086】
図1(C)は、本実施例において、キャビティ162にインクが残存していないときのアクチュエータ106の断面図である。図2(A)および図2(B)は、キャビティにインクが残存していないときのアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路である。
【0087】
Mactは、振動部の厚さと振動部の密度との積を振動部の面積で除したものであり、詳細には、図2(A)に示すように、
Mact=Mpzt+Melectrode1+Melectrode2+Mvib (式2)
と表される。
【0088】
ここで、Mpztは、振動部における圧電層160の厚さと圧電層160の密度との積を圧電層160の面積で除したものである。Melectrode1は、振動部における上部電極164の厚さと上部電極164の密度との積を上部電極164の面積で除したものである。Melectrode2は、振動部における下部電極166の厚さと下部電極166の密度との積を下部電極166の面積で除したものである。Mvibは、振動部における振動板176の厚さと振動板176の密度との積を振動板176の振動領域の面積で除したものである。
【0089】
ただし、Mactを振動部全体としての厚さ、密度および面積から算出することができるように、圧電層160、上部電極164、下部電極166および振動板176の振動領域のそれぞれの面積は、上述のような大小関係を有するものの、相互の面積の差は微小であることが好ましい。
【0090】
また、本実施例において、圧電層160、上部電極164および下部電極166においては、それらの主要部である円形部分以外の部分は、主要部に対して無視できるほど微小であることが好ましい。従って、アクチュエータ106において、Mactは、上部電極164、下部電極166、圧電層160および振動板176のうちの振動領域のそれぞれのイナータンスの和である。また、コンプライアンスCactは、上部電極164、下部電極166、圧電層160および振動板176のうちの振動領域によって形成される部分のコンプライアンスである。
【0091】
尚、図2(A)、図2(B)、図2(D)、図2(F)は、アクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示すが、これらの等価回路において、Cactはアクチュエータ106の振動部のコンプライアンスを示す。Cpzt、Celectrode1、Celectrode2およびCvibは、それぞれ、振動部における圧電層160、上部電極164、下部電極166および振動板176のコンプライアンスを示す。Cactは、以下の式3で表される。
Figure 0004150157
式2および式3より、図2(A)は、図2(B)のように表すこともできる。
【0092】
コンプライアンスCactは、単位面積に圧力をかけたときの変形によって受容できる媒体の体積を表す。すなわち、コンプライアンスCactは、変形のし易さを表す。
【0093】
図2(C)は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合のアクチュエータ106の断面図を示す。図2(C)のM’maxは、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の付加イナータンス(付加質量(振動領域の振動に影響を及ぼす質量)を面積の2乗で除したもの)の最大値を表す。M’maxは、
M’max=(π×ρ/(2×k3))×(2×(2×k×a)3/(3×π))/(π×a2)2 (式4)
(aは振動部の半径、ρは媒体の密度、kは波数である。)
で表される。
【0094】
尚、式4は、アクチュエータ106の振動領域が半径aの円形である場合に成立する。付加イナータンスM’は、振動部の付近にある媒体によって、振動部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。式4からわかるように、M’maxは、振動部の半径aと媒体の密度ρとによって、大きく変化する。
【0095】
波数k は、
k=2×π×fact/c (式5)
(factは、振動部の共振周波数である。c は、媒体中を伝播する音響の速度である。)
で表される。
【0096】
図2(D)は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている図2(C)の場合のアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示す。
【0097】
図2(E)は、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している場合のアクチュエータ106の断面図を示す。
【0098】
式4は、液体容器に液体が満たされている場合に、インクの密度ρなどから決定される最大のイナータンスM’maxを表す式である。一方、液体容器内の液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が気体または真空に置換された場合等の付加イナータンスM’は、一般的に、
M’=ρ×t/S (式6)
と表せる(より詳しくは、後述の式8参照)。ここで、tは振動にかかわる媒体の厚さである。Sは、アクチュエータ106の振動領域の面積である。振動領域が半径aの円形の場合は、S=π×a2 である。
【0099】
従って、付加イナータンスM’は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合には、式4に従う。一方で、液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が気体または真空に置換された場合には、式6に従う。
【0100】
ここで、図2(E)のように、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している場合の付加イナータンスM’を、便宜的にM’cavとし、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の付加イナータンスM’maxと区別する。
【0101】
図2(F)は、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している図2(E)の場合のアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示す。
【0102】
ここで、媒体の状態に関係するパラメータは、式6において、媒体の密度ρおよび媒体の厚さtである。液体容器内に液体が充分に収容されている場合は、アクチュエータ106の振動部に液体が接触する。一方、液体容器内に液体が充分に収容されていない場合は、キャビティ内部に液体が残存するか、もしくは、アクチュエータ106の振動部に気体または真空が接触する。アクチュエータ106の周辺の液体が消費され、図2(C)のM’maxから図2(E)のM’cavへ移行する過程における付加イナータンスM’varは、液体容器内の液体の収容状態によって媒体の密度ρや媒体の厚さtが変化することに伴って変化する。これにより、共振周波数fsも変化する。従って、共振周波数fsを特定することによって、液体容器内の液体の収容状態(有無)を検出することができる。
【0103】
ここで、図2(E)に示すようにt=dとした場合、式6を用いてM’cavを表すと、式6のtにキャビティの深さdを代入し、
M’cav=ρ×d/S (式7)
となる。
【0104】
また、媒体が互いに種類の異なる液体であれば、組成の違いによって密度ρが異なるため、付加イナータンスM´及び共振周波数fsが異なる。従って、共振周波数fsを特定することで、液体の種類を検出できる。
【0105】
図3(A)は、インクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示すグラフである。ここでは液体の1例としてインクについて説明する。縦軸は、共振周波数fsを示し、横軸は、インク量を示す。インク組成が一定であるとき、インク残量の低下に伴い、共振周波数fsは、上昇する。
【0106】
インク容器にインクが十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされている場合には、その最大付加イナータンスM’maxは、式4に表わされる値となる。一方で、インクが消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされていないときには、付加イナータンスM’var は、媒体の厚さtに基づいて式6によって算出される。式6中のtは、振動にかかわる媒体の厚さであるから、液体が残留するアクチュエータ106のキャビティ162のd(図1(B)参照)を小さく、即ち、基板178を十分に薄くすることによって、インクが徐々に消費されていく過程を検出することもできる(図2(C)参照)。ここで、tinkは振動にかかわるインクの厚さとし、tink−maxはM’maxにおけるtinkとする。
【0107】
例えば、アクチュエータ106は、インクカートリッジの底面にインクの液面に対してほぼ水平に配置される。この場合、インクが消費され、インクの液面がアクチュエータ106からtink-maxの高さ以下になると、式6によりM’varが徐々に変化し、式1により共振周波数fsが徐々に変化する。従って、インクの液面がtの範囲内にある限り、アクチュエータ106はインクの消費状態を徐々に検出することができる。
【0108】
あるいは、インクカートリッジの側壁に、アクチュエータ106はインクの液面に対してほぼ垂直に配備され得る。この場合、インクが消費され、インクの液面がアクチュエータ106の振動領域に達すると、水位の低下に伴い付加イナータンスM’が減少する。これにより、式1により共振周波数fsが徐々に増加する。従って、インクの液面がキャビティ162の直径2a(図2(C)参照)の範囲内にある限り、アクチュエータ106はインクの消費状態を徐々に検出することができる。
【0109】
図3(A)の曲線Xは、底面に配置されたアクチュエータ106のキャビティ162を十分に浅くした場合や、側壁に配置されたアクチュエータ106の振動領域を十分に大きくまたは長くした場合の、インクタンク内に収容されたインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を表わしている。インクタンク内のインクの量が減少するとともに、インクおよび振動部の共振周波数fsが徐々に変化していく様子が理解できる。
【0110】
より詳細には、インクが徐々に消費されていく過程を検出することができる場合とは、アクチュエータ106の振動領域の周辺において、互いに密度が異なる液体と気体とがともに存在しかつ振動にかかわる場合である。インクが徐々に消費されていくに従って、アクチュエータ106の振動領域周辺において振動にかかわる媒体は、液体が減少する一方で気体が増加する。
【0111】
例えば、アクチュエータ106をインクの液面に対して水平に配備した場合であって、tink がtink−maxより小さいときには、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体はインクと気体との両方を含む。したがって、アクチュエータ106の振動領域の面積Sを用いて、式4のM’max以下になった状態をインクと気体の付加質量で表すと、
M’=M’air+M’ink= ρair×tair/S+ρink×tink/S (式8)
となる。ここで、M’airは空気のイナータンスであり、M’inkはインクのイナータンスである。ρairは空気の密度であり、ρinkはインクの密度である。tairは振動にかかわる空気の厚さであり、tinkは振動にかかわるインクの厚さである。
【0112】
アクチュエータ106の振動領域周辺における振動にかかわる媒体のうち、液体が減少して気体が増加するに従い、アクチュエータ106がインクの液面に対しほぼ水平に配備されている場合には、tairが増加し、tinkが減少する。それによって、M’varが徐々に減少し、共振周波数が徐々に増加する。よって、インクタンク内に残存しているインクの量またはインクの消費量を検出することができる。尚、式7において液体の密度のみの式となっているのは、液体の密度に対して、空気の密度が無視できるほど小さい場合を想定しているからである。
【0113】
アクチュエータ106がインクの液面に対しほぼ垂直に配備されている場合には、アクチュエータ106の振動領域のうち、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域と、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体が気体のみの領域との並列の等価回路(図示せず)と考えられる。アクチュエータ106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域の面積をSinkとし、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体が気体のみの領域の面積をSairとすると、
1/M’=1/M’air+1/M’ink=Sair/(ρair×tair)+Sink/(ρink×tink)(式9)
となる。
【0114】
尚、式9は、アクチュエータ106のキャビティにインクが保持されない場合に適用される。アクチュエータ106のキャビティにインクが保持される場合の付加イナータンスについては、式9によるM’と式7のM’cav との和によって計算することができる。
【0115】
アクチュエータ106の振動は、tink−maxの深さからインクの残留する深さ(d)まで変化するので、インクの残留する深さがtink−maxよりわずかに小さい程度でアクチュエータ106が底面に配置されている場合には、インクが徐々に減少する過程を検出することは出来ない。この場合、tink−maxから残留する深さdまでのわずかなインク量変化におけるアクチュエータの振動変化から、インク量が変化したことを検出する。また、側面に配置され、開口部(キャビティ)の径が小さい場合は、開口部を通過する間のアクチュエータの振動変化は微量なので、通過過程のインク量を検出することは難しく、インク液面が開口部より上か下かを検出する。
【0116】
例えば、図3(A)の曲線Yは、小さい円形の振動領域の場合におけるインクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示す。インクタンク内のインクの液面がアクチュエータの装着位置を通過する前後におけるインク量の差Qの間で、インクおよび振動部の共振周波数fsが激しく変化している様子が示される。このことから、インクタンク内にインクが所定量残存しているか否かを2値的に検出することができる。
【0117】
アクチュエータ106を用いて液体の有無を検出する方法は、振動板176が液体と直接接触することでインクの有無を検出するので、インクの消費量をソフトウェアによって計算する方法に比べ、検出精度が高い。更に、電極を用いて導電性によりインクの有無を検出する方法は、液体容器への電極の取付位置及びインクの種類によって影響され得るが、アクチュエータ106を用いて液体の有無を検出する方法は、液体容器へのアクチュエータ106の取付位置及びインクの種類によって影響され難い。
【0118】
更に、単一のアクチュエータ106を用いて発振と液体の有無の検出との双方を実施することができるので、発振と液体の有無の検出とを異なったセンサを用いて実施する方法と比較して、液体容器に取付けるセンサの数を減少することができる。したがって、液体容器を安価に製造できる。なお、圧電層160の振動周波数を非可聴領域に設定することで、アクチュエータ106の動作中に発生する音を静かにすることが好ましい。
【0119】
図3(B)は、インクの密度とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係の一例を示す。ここでは、液体の例としてインクについて説明しており、「インク満」と「インク空」とは相対的な2状態を意味し、いわゆるインクフル状態とインクエンド状態とを意味するものではない。図3(B)に示すように、インク密度が高い場合、付加イナータンスが大きくなるので共振周波数fsが低下する。すなわち、インクの種類によって共振周波数fsが異なる。したがって、共振周波数fsを測定することによって、インクを再充填する際に、密度の異なったインクが混入されていないか確認することができる。つまり、互いに種類の異なるインクを収容するインクタンクを識別できる。
【0120】
続いて、液体容器内の液体が空の状態であってもアクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存するようにキャビティのサイズと形状を設定した時において、液体の状態を正確に検出できる条件を詳述する。アクチュエータ106は、キャビティ162内に液体が満たされている場合に液体の状態を検出できれば、キャビティ162内に液体が満たされていない場合であっても液体の状態を検出できる。
【0121】
共振周波数fsは、イナータンスMの関数である。イナータンスMは、振動部のイナータンスMactと付加イナータンスM’との和である。ここで、付加イナータンスM’が液体の状態と関係する。付加イナータンスM’は、振動部の付近にある媒体によって振動部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。即ち、振動部の振動によって見かけ上媒体を吸収する(振動に関わるイナータンスが増加する)ことによる振動部の質量の増加分をいう。
【0122】
従って、M’cav が式4におけるM’max よりも大きい場合には、見かけ上吸収する媒体は全てキャビティ162内に残存する液体である。よって、液体容器内に液体が満たされている状態と同じである。この場合、振動に関わる媒体はM’max よりも小さくならないので、インクが消費されても変化を検出することが出来ない。
【0123】
一方、M’cavが式4におけるM’ maxよりも小さい場合には、見かけ上吸収する媒体はキャビティ162内に残存する液体および液体容器内の気体または真空である。このときには液体容器内に液体が満たされている状態とは異なりM’が変化するので、共振周波数fsが変化する。従って、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の状態を検出できる。
【0124】
即ち、液体容器内の液体が空の状態で、アクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存する場合に、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件は、M’cavがM’maxよりも小さいことである。尚、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件M’max>M’cavは、キャビティ162の形状にかかわらない。
【0125】
ここで、M’cav は、キャビティ162の容量とほぼ等しい容量の液体の質量イナータンスである。従って、M’max >M’cav の不等式から、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件は、キャビティ162の容量の条件として表すことができる。例えば、円形状のキャビティ162の開口161の半径をaとし、およびキャビティ162の深さをdとすると、
M’max>ρ×d/πa (式10)
である。式10を展開すると
a/d>3×π/8 (式11)
という条件が求められる。従って、式11を満たす開口161の半径aおよびキャビティ162の深さdであるキャビティ162を有するアクチュエータ106であれば、液体容器内の液体が空の状態であって、かつ、キャビティ162内に液体が残存する場合であっても、誤作動することなく液体の状態を検出できる。
【0126】
尚、式10、式11は、キャビティ162の形状が円形の場合に限り成立する。キャビティ162の形状が円形でない場合、対応するM’maxの式を用い、式10中のπaをその面積と置き換えて計算すれば、キャビティの幅および長さ等のディメンジョンと深さの関係が導き出せる。
【0127】
なお、付加イナータンスM’は音響インピーダンス特性にも影響するので、残留振動によりアクチュエータ106に発生する逆起電力を測定する方法は、少なくとも音響インピーダンスの変化を検出しているともいえる。
【0128】
また、本実施例によれば、アクチュエータ106が振動を発生して、その後の残留振動によりアクチュエータ106に発生する逆起電力を測定している。しかし、アクチュエータ106の振動部が駆動電圧による自らの振動によって液体に振動を与えることは必ずしも必要ではない。即ち、振動部が自ら発振しなくても、それと接触しているある範囲の液体と共に振動すれば、圧電層160はたわみ変形する。このたわみ変形が逆起電力電圧を発生させ、上部電極164および下部電極166にその逆起電力電圧を伝達する。この現象を利用することで媒体の状態を検出してもよい。例えば、インクジェット記録装置において、印字時における印字ヘッドの走査によるキャリッジの往復運動に伴って発生するアクチュエータの振動部の周囲の振動を利用して、インクタンクまたはその内部のインクの状態を検出してもよい。
【0129】
図4(A) 、図4(B)及び図4(C)は、アクチュエータ106を振動させた後の、アクチュエータ106の残留振動の波形と残留振動の測定方法とを示す。インクカートリッジ内のアクチュエータ106の装着位置レベルにおけるインク水位の上下は、アクチュエータ106が発振した後の残留振動の周波数変化や、振幅の変化によって検出することができる。図4(A) 乃至図4(C)において、縦軸はアクチュエータ106の残留振動によって発生した逆起電力の電圧を示し、横軸は時間を示す。アクチュエータ106の残留振動によって、図4(A) 乃至図4(C)に示すように電圧のアナログ信号の波形が発生する。次に、アナログ信号を、信号の周波数に対応するデジタル数値に変換する。図4(A)乃至図4(C)に示した例においては、アナログ信号の4パルス目から8パルス目までの4個のパルスが生じる時間を計測している。
【0130】
より詳細には、アクチュエータ106が発振した後、予め設定された所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。そして、4カウントから8カウントまでの間をHighとしたデジタル信号を生成し、所定のクロックパルスによって4カウントから8カウントまでの時間を計測する。
【0131】
図4(A)は、アクチュエータ106の装着位置レベルよりも上位にインク液面があるときの波形である。一方、図4(B)はアクチュエータ106の装着位置レベルにおいてインクが無いときの波形である。図4(A)と図4(B)とを比較すると、図4(A)の方が図4(B)よりも4カウントから8カウントまでの時間が長いことがわかる。換言すると、インクの有無によって4カウントから8カウントまでの時間が異なる。この時間の相違を利用して、インクの消費状態を検出することができる。
【0132】
アナログ波形の4カウント目から数えるのは、アクチュエータ106の振動が安定してから計測をはじめるためである。4カウント目からとしたのは単なる一例であって、任意のカウントから数えてもよい。ここでは、4カウント目から8カウント目までの信号を検出し、所定のクロックパルスによって4カウント目から8カウント目までの時間を測定している。この時間に基いて、共振周波数を求めることができる。クロックパルスは、インクカートリッジに取り付けられる半導体記憶装置等を制御するためのクロックと等しいクロックのパルスであることが好ましい。また、8カウント目までの時間を測定する必要は無く、任意のカウントまで数えてもよい。図4においては、4カウント目から8カウント目までの時間を測定しているが、周波数を検出する回路構成にしたがって、異なったカウント間隔内の時間を検出してもよい。
【0133】
例えば、インクの品質が安定していてピークの振幅の変動が小さい場合には、検出の速度を上げるために4カウント目から6カウント目までの時間を検出することにより共振周波数を求めてもよい。また、インクの品質が不安定でパルスの振幅の変動が大きい場合には、残留振動を正確に検出するために4カウント目から12カウント目までの時間を検出してもよい。
【0134】
また、他の実施例として、所定期間内における逆起電力の電圧波形の波数を数えてもよい(図示せず)。この方法によっても共振周波数を求めることができる。より詳細には、アクチュエータ106が発振した後、所定期間だけHighであるデジタル信号を生成し、当該所定期間において所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。そのカウント数を計測することによってインクの有無を検出できる。
【0135】
さらに、図4(A)および図4(B)を比較して分かるように、インクがインクカートリッジ内に満たされている場合とインクがインクカートリッジ内に無い場合とでは、逆起電力波形の振幅が異なる。従って、共振周波数を求めることなく、逆起電力波形の振幅を測定することによって、インクカートリッジ内のインクの消費状態を検出してもよい。
【0136】
より詳細には、例えば、図4(A)の逆起電力波形の頂点と図4(B) の逆起電力波形の頂点との間に基準電圧を設定する。アクチュエータ106が発振した後、所定期間だけHighであるデジタル信号を生成し、逆起電力波形が基準電圧を横切った場合には、インクが無いと判断する。逆起電力波形が基準電圧を横切らない場合には、インクが有ると判断する。
【0137】
図4(C)は、所定のクロックパルスを用いて図4(A)に示したパルス波形の4カウント目から8カウント目までの時間を測定した例を示す。この図において、4カウント目から8カウント目までの間にクロックパルスが5カウント分出現している(実際には、100カウントから200カウント分のクロックパルスが出現するが、ここでは説明を簡単にするために少ないクロックパルスで説明する)。クロックパルスは、一定の周期を有するパルスであるので、クロックパルスの個数をカウントすることにより時間を測定することができる。4カウント目から8カウント目までの間の時間を測定することによって、共振周波数を求めることができる。クロックパルスは、逆起電力波形の周期より短い周期を有することが好ましく、例えば16MHz等の周波数が高いクロックパルスであることが好ましい。
【0138】
図5は、アクチュエータ106が音響インピーダンスの変化を検知することで液体容器1内の液体の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を制御するための記録装置制御部2000の構成を示す。
【0139】
記録装置制御部2000は、液体容器1のインク収容部(収容空間)ISに装着された複数のアクチュエータ106A、106B及び106Cに対して各アクチュエータ106A〜106Cを選択的に駆動する電圧を与え、その結果アクチュエータ106A〜106Cが検知する音響インピーダンスの変化から液体の消費状態を検出する液体消費状態検出部1200と、液体消費状態検出部1200が出力する液体有無の検出結果に基づいて記録装置を制御する制御回路部1500と、を備える。
【0140】
図5に示すように、3つのアクチュエータ106A,106B,及び106Cは、液体消費による液面低下方向に沿って異なる位置に設置されている。各アクチュエータ106A〜106Cは、それぞれ半導体スイッチSWA〜SWCに接続されている。各半導体スイッチSWA〜SWCは、例えば制御部1400によって制御されるようになっており、いずれか1つのスイッチが導通状態の時、他のスイッチは必ず非導通状態となっている。
【0141】
制御回路部1500は、液体消費状態検出部1200が出力する液体有無の検出結果に基づいて記録装置動作制御部1402を制御する制御部1400と、制御部1400の指示に基づいて記録装置の動作を制御する記録装置動作制御部1402とを更に備える。制御回路部1500は、記録装置動作制御部1402によりその動作が制御される提示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部1412、及び印字データ記憶部1414を更に備える。
【0142】
記録装置制御部2000は、インクジェット記録装置の内部に設けられてもよいが、記録装置制御部2000の一部の機能が外部に設けられてもよい。例えば、制御回路部1500の機能が、記録装置に接続されたコンピュータ等の外部装置に与えられてもよい。さらに、記録装置制御部2000の一部の機能が、プログラムとして記録媒体に格納され供給されてもよい。記録装置制御部2000の一部の機能を記録媒体に格納されたプログラムとして記録装置に接続されたコンピュータに供給することにより、記録装置制御部2000の一部の機能が後日改良された場合、容易に最新の機能を実行するプログラムをコンピュータの記憶媒体に格納し、常に最新の機能を用いて記録装置の動作を制御することができる。
【0143】
また、記録装置制御部2000の一部の機能は、プログラムとして、サーバ等の情報処理装置から電気通信回線を介して、記録装置に接続されるコンピュータ等の端末に送信されてもよい。この場合、最新の機能を、容易に電気通信回線を介してサーバから入手してコンピュータの記憶装置に格納することができ、これにより記録装置は常に最新の機能を実行することができる。
【0144】
液体消費状態検出部1200は、アクチュエータ106A〜106Cを駆動し、音響インピーダンスの変化から液体容器1内の液体の有無を検出する。例えば、液体消費状態検出部1200は、アクチュエータ106A〜106Cが残留振動により発生した逆起電力例えば電圧値を測定する測定回路部800と、測定回路部800が測定した逆起電力に基いて液体容器1内の液体の有無を表す信号を出力する検出回路部1100と、を有する。
【0145】
測定回路部800は、アクチュエータ106A〜106Cを駆動する駆動電圧を生成する駆動電圧生成部850を有する。駆動電圧生成部850によって生成される駆動電圧によって、液体容器1に装着されたアクチュエータ106A〜106Cのうち、対応するスイッチが制御部1400によって導通状態となっているアクチュエータが駆動し発振される。アクチュエータは駆動発振後も振動し続ける。この残留振動によって、アクチュエータ自身が逆起電力を発生させる。測定回路部800は、アクチュエータが発生した逆起電力の波形のアナログ信号を、同一の周波数を有するデジタル信号に変換してデジタル回路部900に出力する。
【0146】
検出回路部1100は、測定回路部800が出力したデジタル信号の所定パルス数の振動に費やされる時間を測定するデジタル回路部900と、デジタル回路部900がカウントした時間に基づいて液体の有無を判定する液体有無判定部1000と、を有する。
【0147】
本実施例においては、デジタル回路部900は、図4(A)及び図4(B)に示すように、測定回路部800が出力した逆起電力波形中の4カウント目から8カウント目までがHighの信号を出力する。更に、図4(C)に示すように、デジタル回路部900は、上記デジタル信号中の4カウント目から8カウント目までのHighである期間において、所定のクロックパルス(逆起電力波形の周期より短い周期を有する)のパルス数をカウントする。一定の周期を有するクロックパルスのパルス数をカウントすることで、4カウント目から8カウント目までの時間を測定することができる。例えば図4(C)では、クロックパルスが5カウント分存在し、5カウントをクロックパルスの周期と掛け合わせることで時間を算出することができる。
【0148】
ここでは、説明を簡単にするために低い周波数のクロックパルスを例にして説明しているが、実際には逆起電力の周波数が400kHz程度に対し16MHz等の周波数が高いクロックパルスが使用される。液体有無判定部1000は、デジタル回路部900が出力したカウント値に基づいて、液体容器1内の液体の有無を判定し、判定結果を制御回路部1500へ出力する。
【0149】
本実施例においては、複数のアクチュエータ106A〜106Cが液面低下方向の異なる位置にそれぞれ装着されているので、それぞれのアクチュエータの装着位置における液体の消費状態を段階的に検出することができる。
【0150】
液面が各アクチュエータの取付位置レベルより高いか否かによって、各アクチュエータの出力信号は異なる。例えば、検出される逆起電力の周波数や振幅が大きく変化すれば、それに伴って検出信号が変化する。液体消費状態検出部1202は、各検出信号に基づいて、液体の液面が各アクチュエータ106A,106B,及び106Cの取付位置レベルを通過したか否かを判定できる。検出処理は、例えば予め定められたタイミングで定期的に行われる。
【0151】
ここで、液面がアクチュエータの取付位置より低い状態を「液体無し状態」とし、液面がアクチュエータより高い状態を「液体有り状態」とする。液面がアクチュエータを通過すると、「液体有り状態」から「液体無し状態」へ検出結果が変化する。本実施の形態では、液面通過の検知とは、このような検出結果の変化を示す。
【0152】
本実施形態の特徴として、制御部1400が、インピーダンスの検出に用いるアクチュエータを、液体消費の進行に応じて液体の液面の低下方向に沿って選択する。詳述すると、液体容器1の装着直後すなわち液体フル状態では、アクチュエータ106Aのみを使用すべく、半導体スイッチSWAのみが導通状態とされる。液体が消費され液面がアクチュエータ106Aを通過すると、アクチュエータ106Aは液体無し状態を検出する。これに応えて、制御部1400は、液体検出位置を中段に切り換えるべく、半導体スイッチSWAを非導通状態とし、半導体スイッチSWBのみを導通状態とする。これにより、アクチュェータ106Bのみを用いて液体の消費が検出される。同様にして、アクチュエータ106Bが液体無し状態を検出すると、検出位置を最下段のアクチュエータ106Cへと切り換えるべく、半導体スイッチSWBが非導通状態とされ、半導体スイッチSWCのみが導通状態とされる。液体が消費され液面がアクチュエータ106Cを通過すると、アクチュエータ106Cは液体無し状態を検出する。
【0153】
液体消費状態検出部1200がアクチュエータ106Cによる液体無しの判定結果を出力した場合、制御部1400は、記録装置動作制御部1402を制御して所定の低インク量対応処理を行う。低インク量対応処理とは、インクが残り少なくなったことを考慮して、不適切な印刷等の記録装置の動作を禁止または抑制する処理である。記録装置動作制御部1402は、制御部1400の指示に基づいて、提示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、あるいは印刷データ記憶処理部1412の動作を制御して、低インク量対応処理を実行する。
【0154】
提示処理部1404は、アクチュエータ106により検知される液体容器1内の液体の有無に対応する情報を提示する。情報の提示には、ディスプレイ1416による表示およびスピーカ1418による発報がある。ディスプレイ1416は、例えば記録装置の表示パネルや、記録装置に接続されたコンピュータの画面である。あるいは、提示処理部1404がスピーカ1418と接続されて、アクチュエータ106が液体無しを検出すると、報知音がスピーカ1418から出力される。スピーカ1418は、記録装置のスピーカでもよく、記録装置に接続されたコンピュータ等の外部装置のスピーカでもよい。また、報知音として音声信号を用いることも好適であり、音声合成処理によりインク消費状態を示す合成音声が生成されてもよい。
【0155】
印刷動作制御部1406は、印刷動作部1420を制御して、記録装置の印刷動作を停止させる。印刷動作の停止により、インクが無くなった後の印刷動作が回避される。また、印刷動作制御部1406は、低インク量対応処理の他の例として、ある印刷処理を終了してから次の印刷処理に移ることを禁止してもよい。このような印刷処理の禁止により、ひとつの印刷処理、たとえば一連の文章の印刷途中で印刷が停止するのを回避できる。また、印刷処理の禁止の例として、1ページ印刷している途中で印刷処理が停止するのを防ぐために、改ページ終了後の印刷処理を禁止することも好ましい。
【0156】
インク補充処理部1408は、インク補充装置1422を制御してインクカートリッジにインクを自動的に補充する。このインクの補充により、印刷を継続することができる。
【0157】
カートリッジ交換処理部1410は、カートリッジ交換装置1424を制御してインクカートリッジを自動的に交換する。このような対応処理によって、ユーザの手をわずらわせることなく印刷動作を継続することができる。
【0158】
印刷データ記憶処理部1412は、低インク量対応処理として、印刷完了前の印字データを印字データ記憶部1414に格納する。この印字データは、インクエンド検出後に記録装置に送られてくる印字データである。この印字データの格納により、印刷前の印字データが失われることを回避できる。
【0159】
構成要素1404〜1412については、これらの全てが記録装置制御部2000に設けられる必要はない。また、全ての構成要素1404〜1412において低インク量対応処理が行われる必要はなく、少なくともひとつの低インク量対応処理が行われればよい。例えば、インク補充処理部1408またはカートリッジ交換処理部1410が処理を行うのであれば、印刷動作制御部1406は印刷動作の停止処理を行わなくてもよい。
【0160】
なお、上記に例示した以外の、低インク量対応処理を行う構成すなわちインク不足による不適切な動作を回避する構成、が設けられてもよい。また、上記の低インク量対応処理は、アクチュエータ106Cがその装着位置において「液体無し」を検知してから「所定の余裕量」分の印刷が行われた後に実行されることが好適である。「所定の余裕量」は、アクチュエータ106Cの「液体無し」検知後に全インクを消費してしまうまでの印刷量より少ない適当な値に設定される。
【0161】
本実施の形態によれば、検出位置を順次下方に切り換えていくので、全てのアクチュエータが同時には動作しない。すなわち、アクチュエータの動作の頻度が少ない。
【0162】
また、複数のアクチュエータに対して、駆動電圧生成部850等が共通に設けられているため、配置スペースの点でもコストの点でも、回路の構成が効率化されている。
【0163】
なお、配置されるアクチュエータの数は限定されない。また、アクチュエータの間隔は一定でなくてもよい。例えば、液面が低くなるほどアクチュエータの間隔を狭くすることが好適である。こうした変形は、以下の他の実施形態においても同様に適用可能である。
【0164】
図6は、図5の記録装置制御部2000を他の液体容器1’と共に示すブロック図である。本実施形態では、液体容器1’が3色用に3個のインク収容部(収容空間)ISA〜ISCを有しており、各インク収容部にアクチュエータ106A〜106Cが装着されている。3つのアクチュエータ106A,106B,及び106Cは、各インク収容部の底面近傍に設置されている。
【0165】
図6に示すように、各アクチュエータ106A〜106Cは、図5の場合と同様、それぞれ半導体スイッチSWA〜SWCに接続されている。各半導体スイッチSWA〜SWCは、例えば制御部1400によって制御されるようになっており、いずれか1つのスイッチが導通状態の時、他のスイッチは必ず非導通状態となっている。
【0166】
図6に示す実施の形態では、3色のインクのそれぞれについて、インク消費状態が検出され得る。なお、各インク収容部に複数のアクチュエータを設けると、3色のインクのそれぞれについて、液体量消費状態を検出することができる。
【0167】
図7は、図5の記録装置制御部2000を他の3つの液体容器1A〜1Cと共に示すブロック図である。本実施形態では、各液体容器1A〜1Cが1つのインク収容部(収容空間)ISA〜ISCを有しており、各インク収容部にアクチュエータ106A〜106Cが装着されている。3つのアクチュエータ106A,106B,及び106Cは、各インク収容部の底面近傍に設置されている。
【0168】
図7に示すように、各アクチュエータ106A〜106Cは、図5の場合と同様、それぞれ半導体スイッチSWA〜SWCに接続されている。各半導体スイッチSWA〜SWCは、例えば制御部1400によって制御されるようになっており、いずれか1つのスイッチが導通状態の時、他のスイッチは必ず非導通状態となっている。
【0169】
図7に示す実施の形態では、各液体容器1A〜1Cについて、インク消費状態が検出され得る。なお、各インク収容部に複数のアクチュエータを設けると、各液体容器のそれぞれについて、段階的に液体量消費状態を検出することができる。
【0170】
図8は、図5に示した記録装置制御部2000を変形した実施形態を示す。図8の液体容器1は、液体容器1内の液体を記録紙等の記録媒体に吐出して印字するためのヘッド部1300に連通するように、キャリッジ上に装着されている。ヘッド部1300は、ヘッド駆動部1440によって駆動されるようになっている。また、図8の記録装置は、ヘッド部1300から液体を吸引してヘッド部1300のノズルを清掃するクリーニング部1436を有している。クリーニング駆動部1432がポンプ1434を駆動することにより、クリーニング部1436はヘッド部1300から液体を吸引するようになっている。
【0171】
図8に示す記録装置制御部2004の制御回路部1502は、図5に示した記録装置制御部2000が有する要素に加えて、ヘッド部1300が吐出したインク滴の数を数える液体吐出カウンタ(ドットカウンタ)1450と、液体吐出カウンタ1450が数えたインク滴の数に基づいてインク消費量を算出する液体消費量算出部1452と、液体消費状態検出部1210が検出したインク消費状態に基づいてクリーニング駆動部1432を制御するクリーニング制御部1442と、を更に有している。また、検出回路部1104は、液体吐出カウンタ1450がカウントしたヘッド部1300のインク滴の吐出数を、アクチュエータ106A〜106Cを用いて検出したインクの消費状態に基づいて補正する液体消費状態補正部1010を有する。
【0172】
次に、図8において新たに加わった要素についての動作を説明する。液体吐出カウンタ1450は、印字時にヘッド部1300から吐出されるインク滴の数をカウントし、液体消費量算出部1452へ出力する。液体消費量算出部1452は、液体吐出カウンタ1450のカウント値に基づいて、ヘッド部から吐出されたインク量を算出する。
【0173】
また、印刷とは関係のない駆動信号を印字ヘッドに印加してインク滴を空吐出させることにより、ヘッド部1300のノズル開口近傍の不揃いのメニスカスを回復させたり、ノズル開口におけるインクの目詰まりを防止すること(フラッシング操作)によっても、インクが消費される。したがって、液体吐出カウンタ1450は、フラッシング操作によるインク滴吐出数についてもカウントして、液体消費量算出部1452へ出力する。
【0174】
液体消費量算出部1452は、印字操作及びフラッシング操作におけるヘッド部1300からのインクの吐出数から、インクの消費量を算出して、算出したインク消費量を液体消費状態補正部1010へ出力する。液体消費量算出部1452によって算出されたインク量は、提示処理部1404のディスプレイ1416によって表示される。
【0175】
更に、ヘッド部1300をクリーニング部1436によって清掃する(クリーニング操作)際にも、ヘッド部1300内のインクが吸引されることで液体容器1内のインクが消費される。したがって、液体消費量算出部1452は、クリーニング制御部1442を介してクリーニング駆動部1432がポンプ1434を駆動した時間(例えばポンプ1434に通電した時間)とポンプ1434の時間当たりのインク吸収量とを掛けることによって、クリーニングによるインクの消費量を算出する。
【0176】
したがって、液体消費量算出部1452は、液体吐出カウンタ1450とクリーニング制御部1442とによって、消費されたインク量を算出する。液体消費状態補正部1010は、液体消費量算出部1452の算出値を、液体有無判定部1000の判定結果に基づいて補正する。
【0177】
インク消費状態の検出に、液体有無判定部1000及び液体消費量算出部1452の2つの出力を用いる理由を次に述べる。
【0178】
液体有無判定部1000の出力は、液体の液面をアクチュエータ106A〜106Cによって実際に測定した情報である。一方、液体消費量算出部1452の出力は、液体吐出カウンタ1450がカウントしたインク滴の数及びポンプの駆動時間から算出された推定のインク消費量である。
【0179】
この算出値は、ユーザサイドで設定される印刷形態や使用環境により、例えば室温が極端に高いまたは低い場合、あるいは、インクカートリッジの開封後の経過時間が長い場合、インクカートリッジ内の圧力やインクの粘度が変化することによって誤差を生じることがある。
【0180】
そこで、液体消費状態補正部1010は、液体消費量算出部1452によって算出されたインク消費量を、液体有無判定部1000から出力されたインク有無の判定結果に基づいて補正する。更に、液体消費状態補正部1010は、液体有無判定部1000から出力されたインク有無の判定結果に基づいて、液体消費量算出部1452がインク消費量を算出するのに用いる算出式のパラメータを補正する。このように算出式のパラメータを補正することによって、当該算出式をインクカートリッジが使用されている環境に適合させることができる。これにより、算出式によって得られた値が、実際に使用した値により近似するようになる。
【0181】
アクチュエータ106Cが「インク無し」を検知した場合、記録装置動作制御部1402に制御される印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部1412及びクリーニング制御部1442は、所定の低インク量対応処理を行う。
【0182】
印刷動作制御部1406は、ヘッド駆動部1440を制御して、ヘッド部1300におけるインクの吐出を停止したり、インクの吐出量を減少させる。これにより、インクが無くなった後の印刷動作が回避される。
【0183】
クリーニング制御部1442は、低インク対応処理として、クリーニング部1436によるヘッド部1300のクリーニング動作を禁止したり、クリーニングの回数を減少したり、ポンプ1434の吸引力を弱めたりして、インクの吸引量を減少させる。ヘッド部1300のクリーニングの際に、比較的多くのインクがヘッド部1300から吸引される。したがって、低インクとなったときにクリーニング動作を禁止することにより、残り少ないインクがクリーニングのためにヘッド部1300から吸引されることを回避でき、クリーニングのためにインクが不足するという事態を回避できる。あるいは、前述のように、クリーニングの回数を減少したり、ポンプ1434の吸引力を弱めてもよい。制御部1400が、液体容器1内のインク残量に基づいて、印刷動作制御部1406及びクリーニング制御部1442がどのような低インク処理を実行するかを選択する。
【0184】
図9は、図8に示した記録装置制御部2004を変形した実施形態を示す。この実施例では、半導体記憶手段7が液体容器1に装着され、記録装置制御部2006が情報記憶制御回路部1444を有している。その他は、図8に示した記録装置制御部2004と同様の構成である。したがって、半導体記憶手段7及び情報記憶制御手段1444と関係ない要素についてはその説明を省略する。
【0185】
本実施の形態の液体容器1は、半導体記憶手段7を有する。半導体記憶手段7は、例えば、EEPROM等の書き換え可能なメモリである。制御回路部1506は、情報記憶制御回路部1444を有する。
【0186】
液体消費状態検出部1210は、半導体スイッチSWA〜SWC及びアクチュエータ106A〜106Cを制御して液体容器1内の液体の消費状態を検出し、アクチュエータ106A〜106Cを用いた液体消費状態の検出に関連する消費関連情報を制御回路部1506へ出力する。
【0187】
制御部1400は、情報記憶制御回路部1444を介して、消費関連情報を半導体記憶手段7に書き込む。更に、情報記憶制御回路部1444は、消費関連情報を半導体記憶手段7から読み出して、制御部1400へ出力する。
【0188】
次に、半導体記憶手段7について詳細に説明する。半導体記憶手段7は、アクチュエータ106A〜106Cを用いた液体の消費状態の検出に関連する消費関連情報を記憶する。消費関連情報は、検出された液体の消費状態の情報を含む。情報記憶制御回路部1444は、アクチュエータ106A〜106Cを用いて得られた消費状態情報を半導体記憶手段7に書き込む。そして、この消費状態情報が読み出され、記録装置制御部2006において使用される。
【0189】
消費状態情報を半導体記憶手段7に記憶することは、特に液体容器1を脱着する場合において有利である。例えば、液体が途中まで消費された状態で、液体容器1がインクジェット記録装置から取り外されたとする。この時、液体消費状態を記憶した半導体記億手段7が常に液体容器1と共にある。液体容器1は、再度同じインクジェット記録装置に装着されるか、あるいは他のインクジェット記録装置に装着される。この時、半導体記憶手段7から液体消費状態が読み出され、その液体消費状態に基づいて記録装置制御部2006が動作する。例えば、液体が空または液体残量が少ない液体容器1が装着された場合でも、その旨がユーザに伝えられる。このように、液体容器1を脱着する場合であっても、液体容器1の以前の消費状態情報を確実に利用できる。
【0190】
半導体記憶手段7は、さらに、液体吐出カウンタ1450がカウントしたインク滴の数に基づいて液体消費量算出部1452が算出した液体消費状態を記憶してもよい。アクチュエータ106A〜106Cは、アクチュエータ106A〜106Cの装着位置におけるインク液面の通過を確実に検出できるが、液面通過の前後のインク消費状態についての検出は困難である。従って、液面通過の前後のインク消費状態について、液体消費量算出部1452が算出した液体消費状態から推定し、当該推定値を半導体記憶手段7に格納することが好ましい。
【0191】
また、消費関連情報は、液体の消費状態に応じて検出されるべき検出特性情報を含む。本実施形態では、検出特性情報として、消費前検出特性情報および消費後検出特性情報が記憶される。消費前検出特性情報は、インクの消費が開始される前の検出特性、すなわち、インクフル状態における検出特性を示す。消費後検出特性情報は、インクが所定の検出目標まで消費されたときに検出される予定の検出特性、具体的には、インク液面がアクチュエータの取付位置レベルを下回ったときの検出特性を示す。
【0192】
情報記憶制御回路部1444は、半導体記憶手段7から検出特性情報を読み出し、液体消費状態検出部1210は、その検出特性情報に基づいてアクチュエータを用いて液体消費状態を検出する。消費前検出特性に対応する検出信号が得られた場合、インクの消費がまだ進んでおらず、インクの残量は多いと考えられる。少なくとも、インク液面がアクチュエータより上であることは確実に分かる。一方、消費後検出特性に対応する検出信号が得られたときは、インクの消費が進み、残量が少ないので、インク液面はアクチュエータを下回っていることが分かる。
【0193】
検出特性情報を半導体記憶手段7に記憶することの利点の一つを説明する。
【0194】
検出特性情報は、液体容器1の形状、アクチュエータの仕様、インクの仕様、等の各種の要因によって決まる。従って、改良等の設計変更が行われたときには、検出特性も変化することがある。液体消費状態検出部1210が常に同じ検出特性情報を使用すると、こうした検出特性の変化への対処が困難である。一方、本実施の形態では、検出特性情報が半導体記憶手段7に記憶され利用される。したがって、検出特性の変化に容易に対処できる。例えば、新しい仕様の液体容器1が提供されるときも、その液体容器1の検出特性情報を、記録装置制御部2006が容易に利用できるのである。
【0195】
液体容器1の仕様が同じでも、製造ばらつきによって検出特性が異なることがある。例えば、液体容器1の形状や肉厚に応じて、検出特性が異なることもある。従って、さらに好ましくは、個々の液体容器1ごとの検出特性情報が測定されて半導体記億手段7に格納される。本実施の形態では、各液体容器1が半導体記憶手段7を有するので、その半導体記憶手段7に固有の検出特性情報を格納できる。これにより、製造ばらつきの検出への影響を低減でき、検出精度を向上できる。このように、本実施の形態は、個々の液体容器1の検出特性の相違に対応できて有利である。
【0196】
図10は、図9に示した記録装置制御部2006の動作手順を示すフローチャートである。
【0197】
まず、インクカートリッジが装着されたか否かが判定される(S10)。すなわち、新品のインクカートリッジまたは途中まで使用されたインクカートリッジが装着されたことが検出される。この処理には、インクジェット記録装置に備えられたスイッチ等(図示せず)が用いられる。
【0198】
インクカートリッジが装着されると、半導体記憶手段7から検出特性情報等を含む消費関連情報が読み出される(S12)。記録装置制御部2008の提示処理部1404、印刷動作制御部1406、インク補充処理部1408、カートリッジ交換処理部1410、印刷データ記憶処理部1412及びクリーニング制御部1442が、読み出された消費関連情報を利用する。例えば、読み出された消費関連情報により液体容器1内の液体残量が少ないことが分かると、ディスプレイ1416に液体残量が少ないことを表示したり、ヘッド部1300の動作を停止させる。
【0199】
液体消費状態検出部1210は、読み出された検出特性情報に基づいて、アクチュエータ106A〜106Cを用いて液体の消費状態を検出する(S14)。検出された液体消費状態に基づいて、液体容器1内の液体の有無が判定される(S16)。「液体無し」が検出された場合には、液体無し対応工程(S18)が実行される。液体無し対応工程(S18)としては、印刷データ記憶処理部1412によって印字データを記憶するステップ(S24)、印刷動作制御部1406によって印刷動作を停止するステップ(S26)及び提示処理部1404によって液体無しを表示するステップ(S28)が含まれる。
【0200】
この場合、液体無し表示ステップ(S28)の指示により、後述するようにユーザがインクカートリッジを交換することで、インクジェット記録装置にインクが補充される。
【0201】
あるいは、液体無し対応工程(S18)として、カートリッジ交換処理部1410によって自動的にインクカートリッジを交換(S20)してもよいし、インク補充処理部1408によって自動的にインクを補充(S22)してもよい。この場合、インクは自動的にインクジェット記録装置に補充され、ユーザがインクカートリッジを交換する必要が無い。この場合、後述するカートリッジ交換判断ステップ(S32)を経ずに、液体消費情報読出しステップ(S12)に戻る。なお、インク補充ステップ(S22)が実施される場合、インクが補充された後、どれだけの量のインクが記録装置に補充されたかの情報が半導体記憶手段7に格納される(S34)。
【0202】
液体無し対応手段(S18)として、印字データ記憶ステップ(S24)、印刷動作停止ステップ(S26)及び液体無し表示ステップ(S28)が実行された後、検出された液体消費状態は半導体記憶手段7に格納される(S30)。インクカートリッジ内にインクがないことは、液体無し表示ステップ(S28)によってユーザに伝達されているので、ユーザが液体無し表示ステップ(S28)の指示に従ってインクカートリッジを交換する。この場合(S32,Y)、液体消費状態検出ステップ(S14)に戻る。一方、ユーザがインクカートリッジを交換しない場合、インクカートリッジを交換するよう更にユーザに促すような表示がディスプレイ又はスピーカにより提示されて、プロセスを終了する。
【0203】
図11は、測定回路部800の回路構成を示す図である。測定回路部800は、駆動電圧生成部850、基準電位生成部816、ハイパスフィルタ824、増幅部860及び比較器836を有する。駆動電圧生成部850は、相補に並列にベースB同士及びエミッタE同士が接続されたNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812の2個のバイポーラトランジスタを含む。NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は、アクチェエータ106A〜106Cを駆動するためのトランジスタである。アクチュエータ106A〜106Cは、一方の端子が、それぞれ半導体スイッチSWA〜SWCを介して、互いに接続されたNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812のエミッタEに接続され、他方の端子が、グランドGNDに接続される。アクチュエータ106A〜106Cの他方の端子は、電源Vcc(5V)に接続されてもよい。
【0204】
端子840から駆動電圧生成部850に入力されるトリガ信号が、LowからHighとなると、互いに接続されたNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812のベースBが立ち上がり、NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は入力されたトリガ信号の電流を増幅して、導通状態の半導体スイッチを介して1つのアクチュエータに与える。図11の場合、PNP型トランジスタ812のエミッタEとコレクタCとの間の電圧が、アクチュエータに与えられる。このため、アクチュエータは急激に充電されて発振する。更に、アクチュエータは、発振後に残留する振動により逆起電力を発生する。アクチュエータの残留振動により発生した逆起電力は、ハイパスフィルタ824を介して増幅部860に出力される。
【0205】
NPN型トランジスタ810(PNP型トランジスタ812も同様)のベースB及びエミッタE間はPN接合になっており、ベースBとエミッタEとの電位差が0.6V以下ではエミッタE側にほとんど電流が流れず、0.6Vを超えると大きく増幅された電流がエミッタEに流れる。すなわち、NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は、それぞれ0.6Vの不感帯又はバイアス電圧を有しており、NPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812は合計1.2V程度のバイアス電圧を有する。アクチュエータの逆起電力を含めた端子電位が不感帯の範囲内であれば、トランジスタが動作してエミッタEに電流が流れ込むことはなく、トランジスタの動作のためにアクチュエータの残留振動を抑えてしまうことがない。不感帯がないと、アクチュエータの電圧はトランジスタにより制御されて一定値となり、逆起電力を調べることができない。
【0206】
図11において、バイポーラトランジスタとしてNPN型トランジスタ810及びPNP型トランジスタ812が用いられているが、バイポーラトランジスタの代わりに電界効果トランジスタを用いてもよい。電界効果トランジスタを用いる場合、図11のNPN型トランジスタが配置されている位置にN型電界効果トランジスタを配置する。N型電界効果トランジスタのゲートをNPN型トランジスタ810のベースBの位置に配置し、ソースをエミッタEの位置に配置する。また、PNP型トランジスタ812が配置されている位置にP型電界効果トランジスタを配置する。P型電界効果トランジスタのゲートをPNP型トランジスタ812のベースBの位置に配置し、ソースをエミッタEの位置に配置する。更に、P型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタのゲート同士及びソース同士を接続する。アクチュエータは、一方の端子が半導体スイッチを介して互いに接続されたP型電界効果トランジスタ及びN型電界効果トランジスタのソースに接続され、他方の端子が電源Vcc又はグランドGNDに接続されることが好ましい。
【0207】
ハイパスフィルタ824は、コンデンサ826と抵抗器828とを有している。駆動電圧生成部850の出力は、このようなハイパスフィルタ824を介して増幅部860に出力される。ハイパスフィルタ824は、アクチュエータの出力のうち高周波成分を増幅部860へ出力する一方、低周波成分を取り除く。更に、ハイパスフィルタ824は、増幅部860の出力が基準電位を中心として0〜5Vの範囲に収まるように調整する役割がある。
【0208】
基準電位生成部816は、直列に接続された抵抗818及び820と、抵抗820に並列に接続されたコンデンサ822と、を有する。これにより、基準電位生成部816は、2〜3V程度の安定した直流電位を基準電位として生成し、ハイパスフィルタ824、増幅部860及び比較器836へ供給する。このため、ハイパスフィルタ824及び増幅部860が出力する信号波形の電圧は、基準電位を中心にして振動する。
【0209】
増幅部860は、オペアンプ834と抵抗830及び832とを有する。オペアンプ834、抵抗830及び832は、入力信号を反転せずに増幅して出力する非反転増幅回路として構成されている。駆動電圧生成部850が出力した逆起電力信号が、ハイパスフィルタ824を介してオペアンプ834の+端子に入力される。オペアンプ834の−端子は、負帰還抵抗830を通して出力端子と接続する一方、抵抗832を通して基準電位と接続している。これにより、アクチュエータが出力した微弱な逆起電力信号が基準電位を中心として増幅され、比較器836へ出力される。このように増幅された逆起電力信号の波形は、図4に示したアナログ波形として表され得る。
【0210】
比較器836には、増幅部860から出力された逆起電力信号の電圧と基準電位生成部816が生成した基準電位とが入力され、逆起電力信号の電圧が基準電位以上のときにHighの信号を、逆起電力信号の電圧が基準電位以下のときにLowの信号を出力する。これにより、デジタル波形の逆起電力信号が生成される。すなわち、オペアンプ834の出力が基準電位を中心に振動する一方、比較器836の−端子の電圧が基準電位と等しいので、比較器836は基準電位を基準にして逆起電力信号の電圧を比較して、デジタル波形の逆起電力信号を出力する。比較器836は、生成したデジタル波形の逆起電力信号を、端子844へ出力する。
【0211】
なお、前述のように、圧電素子への駆動電圧信号の供給は、端子840からのトリガ信号の入力によってなされる。このトリガ信号の入力は、制御装置840cによってなされ得る。制御装置840cは、例えば、液体容器が搭載されるインクジェット記録装置等の各種の液体消費装置に設けられ得る。
【0212】
図12は、図5の検出回路部1100の回路構成を示す。検出回路部1100は、デジタル回路部900及び液体有無判定部1000を有する。デジタル回路部900は、フリップフロップ910及び918と、カウンタ912及び920と、NANDゲート914及び916と、を有する。カウンタ920は、最高値(1111、1111)まで数えたら、次にクロックパルスが入力されても(0000、0000)にならず、最高値を維持するものとする。
【0213】
トリガ信号が、端子842からフリップフロップ910のクロック入力ピンCLKに入力されると、フリップフロップ910は、カウンタ912に対して、測定回路部800から出力された逆起電力信号のパルス数の計測をカウンタ912が開始するよう制御する信号を出力する。更に、カウンタ912が逆起電力信号のパルスを8個数えると、NANDゲート916を介してフリップフロップ910がクリアされる。したがって、フリップフロップ910は、トリガ信号が入力されてから逆起電力信号が8パルス目までの間Highとなっている信号を、カウンタ912のカウントイネーブル端子ENPに供給する。
【0214】
カウンタ912は、カウンタイネーブル端子ENPに入力される信号がHighのときのみ、クロックを計数する。カウンタ912は、トリガ信号がフリップフロップ910に入力されてから逆起電力信号のパルス数の計数を開始し、パルス数を8個数えた時点でカウントイネーブル端子ENPに入力される信号がLowになるのでパルス数のカウントを終了する。カウンタ912は、4パルス目から8パルス目までがHighとなっている信号を、出力ピンQCからフリップフロップ918の入力ピンDに出力する。
【0215】
フリップフロップ918は、カウンタ912が出力した4パルス目から8パルス目までがHighとなっている信号を入力ピンDから受容し、端子846から入力した16MHzの周波数のクロックをクロック入力ピンCLKから受容して、入力ピンDから入力された信号を当該クロックに同期させて出力する。
【0216】
【数1】
Figure 0004150157
【0217】
図12の回路では、逆起電力波形の4パルス目から8パルス目までの間に存在する16MHzのクロックパルスのパルス数をカウントしたが、カウンタ912の出力を用いる計数回路を追加して組み合わせることにより、8カウント目までの時間ばかりでなく任意のカウント目まで数えることもできる。すなわち、異なったカウント間隔内の時間を検出することができる。
【0218】
図13は、図12に示した液体有無判定部1000の詳細な回路構成を示す。液体有無判定部1000は、カウンタ920が出力した逆起電力信号の4パルス目から8パルス目までの間に現れる16MHzのクロックパルス数のカウント値に基づいて、液体容器1内の液体の有無を判断する。液体有無判定部1000は、図13に示すように、上限値レジスタ1011と、下限値レジスタ1012と、比較部1014及び1016と、ANDゲート1018とを有する。上限値レジスタ1011にはカウント値の上限値が格納され、下限値レジスタ1012にはカウント値の下限値が格納されている。
【0219】
比較部1014は、デジタル回路部900が出力したカウント値をB端子から受容し、カウント値の上限値を上限値レジスタ1011からA端子を介して受容する。カウント値が上限値より小さい場合、比較部1014はHighの信号をアンドゲート1018に出力する。一方、カウント値が上限値以上の場合、比較部1014は、Lowの信号をアンドゲート1018に出力する。カウント値が上限値以上の場合は、逆起電力波形の周波数が下限値より低く、逆起電力波形が正常に測定されていないので、液体容器が記録装置に装着されていないかまたは確実に装着されていない可能性がある。
【0220】
一方、比較部1016は、デジタル回路部900が出力したカウント値をA端子から受容し、カウント値の下限値を下限値レジスタ1012からB端子を介して受容する。カウント値が下限値より大きい場合、比較部1016はHighの信号をアンドゲート1018及び端子1022に出力する。一方、カウント値が下限値以下である場合、比較部1016はLowの信号をアンドゲート1018及び端子1022に出力する。カウント値が下限値以下である場合、液体容器1内の液体がアクチュエータ106の装着位置において存在しないことを意味する。
【0221】
比較部1014及び1016の双方がHighの信号を出力した場合、すなわち、カウント値が上限値より小さく下限値より大きい場合、アンドゲート1018はHighの信号を出力する。この場合、逆起電力波形の周波数が上限値より低いので、液体容器1内の液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて存在する。しかも、逆起電力波形の周波数が下限値より高いので、液体容器1が記録装置に確実に装着されており、液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて存在することがわかる。すなわち、端子1020がHighの場合は、液体容器1が記録装置に確実に装着されており、液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて存在する正常な状態である。
【0222】
比較部1014がLowの信号を出力し、比較部1016がHighの信号を出力した場合、すなわち、カウント値が上限値以上で下限値より大きい場合、アンドゲート1018はLowの信号を出力する。また、端子1022には、Highの信号が入力される。この場合、端子1020がLowなので異常であり、端子1022がHighなので液体容器1が記録装置に装着されていないか又は確実に装着されていないと判定できる。
【0223】
比較部1014がHighの信号を出力し、比較部1016がLowの信号を出力した場合、すなわち、カウント値が上限値より小さく下限値以下の場合、アンドゲート1018はLowの信号を出力する。この場合、端子1020がLowなので異常であり、端子1022がLowなので液体がアクチュエータ106の装着位置レベルにおいて無いことがわかる。
【0224】
なお、半導体スイッチSWA〜SWCの実装例について、図14(a)〜図14(c)を用いて説明する。図14(a)は、図5及び図6に示す液体容器1の場合の例であり、図14(b)は、図7に示す液体容器1の場合の例であり、図14(c)は、図9に示す液体容器1の場合の例である。図14(a)〜図14(c)に示すように、半導体スイッチSWA〜SWCは、IC回路ICBに形成されることが好ましい。特に、図14(c)に示すように、半導体記憶手段7として、IC回路ICBにメモリロジック回路を設けることが好ましい。なお、図14(c)において、TSBは、3ステートバッファである。
【0225】
図14(c)に示す場合、各IC回路ICBに半導体スイッチSWA〜SWCが設けられており、メモリとのデータ線とセンサのための線とが共通化されている。メモリとのアクセス時には、半導体スイッチSWA〜SWCはOFFとされ、制御回路部1500によってメモリロジック部にアクセスされる。センサとのアクセス時には、3ステートバッファTSBの出力をハイインピーダンスにして、且つ、半導体スイッチSWA〜SWCのいずれか1つをONにして、アクチュエータ106A〜106Cのいずれかを選択・駆動する。このように、メモリアクセスのための線及びピンを、インクレベル測定のための線及びピンと共通化すると、回路構成の効率化が図れる。
【0226】
IC回路ICBの具体例について、さらに図15及び図16を用いて説明する。
【0227】
図15に示すようなIC回路ICBにおいて、メモリブロックに対する通常のデータのアクセスは、図16(A)に示すタイミングチャートに従ってなされる。すなわち、信号CSの立ち下がりでサイクルが開始し、データ信号はクロック(CLK)に同期して入出力される。データ信号は、R/W情報、アドレス及びデータであり、DATA線を介して伝送される。CSの立ち下がりの直後に、データ信号の最初の1ビットであるR/W情報が伝送される。R/W情報とは、当該データ信号のサイクルがリードかライトかを示すビット情報である。例えばLならリード、Hならライト、と設定され得る。その後、アドレス(例えば8ビット)が伝送され、1クロック分空けて、データ出力あるいはデータ入力が開始される。1クロック空けるのは、リードアクセス時において、DATA線がICからみて入力から出力に移行するため、その移行期間を与えるためである。
【0228】
一方、アクチュエータ106Aへのアクセスは、図16(B)に示すようなタイミングチャートに従ってなされる。この場合、アクチュエータ106Aにアクセスするための特別なアドレスが1つ用意され、当該アドレスが与えられると、ICはメモリの内容の入出力は行わず、アクチュエータ106Aに通ずるスイッチSWAを閉じる。これにより、DATA線がアクチュエータ106Aにアナログ的に接続される。このようなアドレスの伝送は、メモリアドレスの伝送と同様に行われる。この場合のR/W情報は、リード(L)である。アドレスの転送後、スイッチSWAが閉じられてDATA線がアクチュエータ106Aと接続されると、信号CSがHとなるまで接続状態が維持される。
【0229】
尚、図14(c)の3つのIC回路ICBが、それぞれ異なるアドレス空間を有する。
【0230】
図17は、アクチュエータ106の製造方法を示す。
図17では、複数のアクチュエータ106(図17の例では4個)が一体に形成されている。図17に示した複数のアクチュエータの一体成形物を、それぞれのアクチュエータ106において切断することにより、図18に示すアクチュエータ106を製造する。図17に示す一体成形された複数のアクチュエータ106のそれぞれの圧電素子が円形である場合、一体成形物をそれぞれのアクチュエータ106において切断することにより、図1に示すアクチュエータ106を製造することができる。複数のアクチュエータ106を一体に形成することにより、複数のアクチュエータ106を同時に効率良く製造することができ、運搬時の取り扱いが容易となる。
【0231】
アクチュエータ106は、薄板又は振動板176、基板178、弾性波発生手段又は圧電素子174、端子形成部材又は上部電極端子168、及び端子形成部材又は下部電極端子170を有する。
【0232】
圧電素子174は、圧電振動板又は圧電層160、上部電極164及び下部電極166を含む。基板178の上面に振動板176が形成され、振動板176の上面に下部電極166が形成されている。下部電極166の上面には、圧電層160が形成され、圧電層160の上面に、上部電極164が形成されている。したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部及び下部電極166の主要部によって、上下から挟まれるように形成されている。
【0233】
図17に示す場合、振動板176上に、複数(図17の例では4個)の圧電素子174が形成されている。振動板176の表面に下部電極166が形成され、下部電極166の表面に圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成される。上部電極164及び下部電極166の端部に上部電極端子168及び下部電極端子170が形成される。そして、4個のアクチュエータ106が、それぞれ別々に切断されて個別に使用される。
【0234】
図18は、圧電素子が矩形のアクチュエータ106の一部分の断面を示す。図19は、図18に示したアクチュエータ106の全体の断面を示す。
【0235】
図19に示すように、基板178の圧電素子174と対向する面には、貫通孔178aが形成されている。貫通孔178aは振動板176によって封止されている。振動板176は、アルミナや酸化ジルコニア等の、電気絶縁性を備えると共に弾性変形可能な材料によって形成されている。
【0236】
貫通孔178aに対応する位置に、圧電素子174が振動板176上に形成されている。下部電極166は貫通孔178aの領域から一方向、図19では左方に延びるように振動板176の表面に形成されている。上部電極164は貫通孔178aの領域から下部電極とは反対の方向、図19では右方に延びるように圧電層160の表面に形成されている。
【0237】
上部電極端子168及び下部電極端子170は、それぞれ補助電極172及び下部電極166の上面に形成されている。下部電極端子170は、下部電極166と電気的に接触し、上部電極端子168は、補助電極172を介して上部電極164と電気的に接触して、圧電素子とアクチュエータ106の外部との間の信号の受け渡しをする。上部電極端子168及び下部電極端子170は、電極164及び166と圧電層160とを合わせた圧電素子174の高さ以上の高さを有する。
【0238】
図20は、図17に示したアクチュエータ106の製造方法を示す。
まず、グリーンシート40に、プレスあるいはレーザー加工等を用いて貫通孔40aを穿孔する。グリーンシート40は、焼成後に基板178となるものである。グリーンシート40は、セラミック等の材料で形成される。
【0239】
次に、グリーンシート40の表面に別のグリーンシート41を積層する。グリーンシート41は、焼成後に振動板176となるものである。グリーンシート41は、酸化ジルコニア等の材料で形成される。
【0240】
次に、グリーンシート41の表面に、導電層42、圧電層160、導電層44を、圧膜印刷等の方法で順次形成する。導電層42は、後に下部電極166となるものであり、導電層44は、後に上部電極164となるものである。
【0241】
次に、形成されたグリーンシート40、グリーンシート41、導電層42、圧電層160及び導電層44を、乾燥して焼成する。
【0242】
スペーサ部材47、48は、上部電極端子168と下部電極端子170の高さを底上げして圧電素子より高くするための部材である。スペーサ部材47、48は、グリーンシート40、41と同材料を印刷するかあるいは積層して形成する。スペーサ部材47,48を用いることにより、貴金属である上部電極端子168及び下部電極端子170の材料が少なくて済む。また、上部電極端子168及び下部電極端子170の厚みを薄くできるので、上部電極端子168及び下部電極端子170を精度良く印刷でき、精度の良い高さとすることができる。
【0243】
導電層42の形成時に、導電層44との接続部44’及びスペーサ部材47及び48を同時に形成すると、上部電極端子168及び下部電極端子170を容易に形成したり、強固に固定することができる。最後に、導電層42及び導電層44の端部領域に、上部電極端子168及び下部電極端子170を形成する。上部電極端子168及び下部電極端子170を形成する際、上部電極端子168及び下部電極端子170が、圧電層160に電気的に接続されるように形成する。
【0244】
図21は、本発明が適用されるインクカートリッジのさらに他の実施形態を示す。図21(A)は、本実施形態によるインクカートリッジの底部の断面図である。本実施形態のインクカートリッジは、インクを収容する容器1の底面1aに貫通孔1cを有する。貫通孔1cの底部はアクチュエータ650によって塞がれ、インク溜部を形成する。
【0245】
図21(B)は、図21(A)に示したアクチュエータ650及び貫通孔1cの詳細な断面を示す。図21(C)は、図21(B)に示したアクチュエータ650及び貫通孔1cの平面を示す。アクチュエータ650は、振動板72および振動板72に固定された圧電素子73を有する。圧電素子73が振動板72及び基板71を介して貫通孔1cに対向するように、アクチュエータ650は、容器1の底面に固定される。振動板72は、弾性変形可能で、耐インク性を備える。
【0246】
容器1のインク量に依存して、圧電素子73及び振動板72の残留振動によって発生する逆起電力の振幅及び周波数が変化する。アクチュエータ650に対向する位置に貫通孔1cが形成されているため、最小限の一定量のインクが貫通孔1cに確保される。したがって、貫通孔1cに確保されるインク量により決まるアクチュエータ650の振動の特性を予め測定しておくことにより、容器1のインクエンドを確実に検出することができる。
【0247】
図22は、貫通孔1cの他の実施形態を示す。図22(A)、(B)、及び(C)のそれぞれにおいて、左側の図は、貫通孔1cにインクKが無い状態を示し、右側の図は、貫通孔1cにインクKが残った状態を示す。図21の実施形態においては、貫通孔1cの側面は垂直な壁として形成されている。図22(A)においては、貫通孔1cは、側面1dが上下方向に斜めであり外側に拡大して開いている。図22(B)においては、段差部1e及び1fが、貫通孔1cの側面に形成されており、上方の段差部1fが下方の段差部1eより広くなっている。図22(C)においては、貫通孔1cは、インクKを排出しやすい方向すなわちインク供給口2の方向へ延びる溝1gを有する。
【0248】
図22(A)〜(C)に示した貫通孔1cの形状によれば、インク溜部のインクKの量を少なくできる。従って、図1および図2で説明したM’cavを、M’maxと比較して小さくすることができる。このため、インクエンド時におけるアクチュエータ650の振動特性を、容器1に印刷可能な量のインクKが残存しているインク残存時と大きく異ならせることができ、インクエンドをより確実に検出することができる。
【0249】
図23は、アクチュエータの他の実施形態を示す斜視図である。アクチュエータ660は、アクチュエータ660を構成する振動板72の貫通孔1cよりも外側にパッキン76を有する。アクチュエータ660の外周には、カシメ孔77が形成されている。アクチュエータ660は、カシメ孔77を介して、カシメにより容器1に固定される。
【0250】
図24(A)、(B)は、アクチュエータの更に他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態においては、アクチュエータ670は、凹部形成基板80および圧電素子82を備える。凹部形成基板80の一方の面には、凹部81がエッチング等の手法により形成され、他方の面に圧電素子82が取り付けられている。凹部形成基板80のうち、凹部81の底部が振動領域として作用する。従って、アクチュエータ670の振動領域は、凹部81の周縁によって規定される。
【0251】
アクチュエータ670は、図1の実施例によるアクチュエータ106において、基板178および振動板176が一体として形成された構造と類似する。この場合、インクカートリッジを製造する際の製造工程を短縮することができ、コストが低減される。アクチュエータ670は、容器1に設けられた貫通孔1cに埋め込み可能なサイズであることが好ましい。それによって、凹部81がキャビティとしても作用することができる。尚、図1の実施例によるアクチュエータ106を、図24の実施例によるアクチュエータ670と同様に、貫通孔1cに埋め込み可能なように形成してもよい。
【0252】
図25は、アクチュエータ106を取付モジュール体100として一体形成した構成を示す斜視図である。モジュール体100は、インクカートリッジの容器1の所定個所に装着される。モジュール体100は、インク液中の少なくとも音響インピーダンスの変化を検出することにより、容器1内の液体の消費状態を検知するように構成されている。
【0253】
本実施形態のモジュール体100は、容器1にアクチュエータ106を取り付けるための液体容器取付部101を有する。液体容器取付部101は、平面がほぼ矩形の基台102と、駆動信号により発振するアクチュエータ106を収容する基台102上の円柱部116と、を有している。また、モジュール体100は、インクカートリッジに装着されたときに、モジュール体100のアクチュエータ106が外部から接触できないように構成されている。これにより、アクチュエータ106を外部の接触から保護することができる。なお、円柱部116の先端側エッジは丸みが付けられていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0254】
図26は、図25に示したモジュール体100の分解図である。モジュール体100は、樹脂からなる液体容器取付部101と、プレート110および凹部113を有する圧電装置装着部105(図25参照)とを含む。さらに、モジュール体100は、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106及びフィルム108を有する。好ましくは、プレート110は、ステンレス又はステンレス合金等の錆びにくい材料から形成される。
【0255】
液体容器取付部101に含まれる円柱部116および基台102は、リードワイヤ104a及び104bを収容できるように中心部に開口部114が形成されると共に、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110を収容できるように開口部114の周囲に凹部113が形成されている。
【0256】
アクチュエータ106は、プレート110にフィルム108を介して接合され、プレート110およびアクチュエータ106は凹部113(液体容器取付部101)に固定される。従って、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、フィルム108及びプレート110は、液体容器取付部101に一体として取り付けられる。
【0257】
リードワイヤ104a及び104bは、それぞれアクチュエータ106の上部電極及び下部電極と結合して、圧電層に駆動信号を伝達する一方、アクチュエータ106が検出した共振周波数の信号を記録装置等へ伝達する。
【0258】
アクチュエータ106は、リードワイヤ104a及び104bから伝達された駆動信号に基づいて、一時的に発振する。また、アクチュエータ106は、発振後に残留振動し、その振動によって逆起電力を発生させる。このとき、逆起電力波形の振動周期を検出することによって、液体容器内の液体の消費状態に対応した共振周波数を検出することができる。
【0259】
フィルム108は、アクチュエータ106とプレート110とを接着して、アクチュエータを液密にする。フィルム108は、ポリオレフィン等によって形成し、熱融着で接着することが好ましい。アクチュエータ106とプレート110とをフィルム108によって面状に接着して固定することにより、接着の場所によるばらつきが無くなり、振動部以外の部分が振動しない。したがって、アクチュエータ106をプレート110に接着しても、アクチュエータ106の振動特性は変化しない。
【0260】
なお、プレート110は円形状であり、基台102の開口部114は円筒状に形成されている。アクチュエータ106及びフィルム108は矩形状に形成されている。リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、フィルム108及びプレート110は、基台102に対して着脱可能としてもよい。基台102、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、フィルム108及びプレート110は、モジュール体100の中心軸に対して対称に配置されている。また、基台102、アクチュエータ106、フィルム108及びプレート110の中心は、モジュール体100のほぼ中心軸上に配置されている。
【0261】
また、基台102の開口部114の面積は、アクチュエータ106の振動領域の面積よりも大きく形成されている。プレート110の中心でアクチュエータ106の振動部に直面する位置には、貫通孔112が形成されている。図1および図2に示したように、アクチュエータ106にはキャビティ162が形成されており、貫通孔112とキャビティ162とが、共にインク溜部を形成する。プレート110の厚さは、残留インクの影響を少なくするために、貫通孔112の径に比べて小さいことが好ましい。例えば、貫通孔112の深さはその径の3分の1以下の大きさであることが好ましい。貫通孔112は、モジュール体100の中心軸に対して対称なほぼ真円の形状である。また、貫通孔112の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の開口面積よりも大きい。貫通孔112の断面の周縁は、テ-パ形状であっても良いし、ステップ形状であってもよい。モジュール体100は、貫通孔112が容器1の内側へ向くように、容器1の側部、上部又は底部に装着される。インクが消費され、アクチュエータ106周辺のインクがなくなると、アクチュエータ106の共振周波数が大きく変化することに基いて、インクの水位変化を検出することができる。
【0262】
図27は、モジュール体の他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態のモジュール体400は、液体容器取付部401に圧電装置装着部405が形成されている。液体容器取付部401は、平面がほぼ角丸の正方形上の基台402と、基台402上の円柱状の円柱部403と、を有している。更に、圧電装置装着部405は、円柱部403上に立てられた板状要素406および凹部413を含む。板状要素406の側面に設けられた凹部413には、アクチュエータ106が縦向きに配置されている。なお、板状要素406の先端は所定角度に面取りされていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0263】
図28は、図27に示したモジュール体400の分解斜視図である。図25に示したモジュール体100と同様に、モジュール体400は、液体容器取付部401および圧電装置装着部405を含む。液体容器取付部401は基台402および円柱部403を有し、圧電装置装着部405は板状要素406および凹部413を有する。アクチュエータ106は、プレート410に接合されて凹部413に固定される。モジュール体400は、リードワイヤ404a及び404b、アクチュエータ106、及びフィルム408をさらに有する。
【0264】
なお、本実施形態では、プレート410は矩形状であり、板状要素406に設けられた開口部414も矩形状に形成されている。リードワイヤ404a及び404b、アクチュエータ106、フィルム408、及びプレート410は、基台402に対して着脱可能として構成しても良い。アクチュエータ106、フィルム408及びプレート410は、開口部414の中心を通り開口部414の平面に対して鉛直方向に延びる中心軸に対して、対称に配置されている。更に、アクチュエータ406、フィルム408及びプレート410の中心は、開口部414のほぼ中心軸上に配置されている。
【0265】
プレート410の中心に設けられた貫通孔412の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の開口の面積よりも大きく形成されている。アクチュエータ106のキャビティ162と貫通孔412とは、共にインク溜部を形成する。プレート410の厚さは、貫通孔412の径に比べて小さく、例えば貫通孔412の径の3分の1以下の大きさに設定することが好ましい。貫通孔412は、モジュール体400の中心軸に対して対称なほぼ真円の形状である。貫通孔412の断面の周縁は、テ-パ形状であっても良いし、ステップ形状であってもよい。モジュール体400は、貫通孔412が容器1の内部に配置されるように、容器1の底部に装着することができる。アクチュエータ106が垂直方向に延びるように容器1内に配置されるので、基台402の高さを変えてアクチュエータ106が容器1内に配置される高さを変えることにより、インクエンドの時点の設定を容易に変えることができる。
【0266】
図29は、モジュール体の更に他の実施形態を示す。図25に示したモジュール体100と同様に、図29のモジュール体500は、基台502および円柱部503を有する液体容器取付部501を含む。また、モジュール体500は、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、フィルム508、及びプレート510をさらに有する。液体容器取付部501に含まれる基台502は、リードワイヤ504a及び504bを収容できるように中心部に開口部514が形成され、アクチュエータ106、フィルム508、及びプレート510を収容できるように開口部514の周囲に凹部513が形成される。アクチュエータ106は、プレート510を介して、圧電装置装着部505に固定される。従って、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、フィルム508及びプレート510は、液体容器取付部501に一体として取り付けられる。
【0267】
本実施形態のモジュール体500は、平面がほぼ角丸の正方形状の基台502上に、上面が上下方向に斜めな円柱部503が形成されている。円柱部503の上面の上下方向に斜めに設けられた凹部513上に、アクチュエータ106が配置されている。
【0268】
すなわち、モジュール体500の先端は傾斜しており、その傾斜面にアクチュエータ106が装着されている。このため、モジュール体500が容器1の底部又は側部に装着されると、アクチュエータ106が容器1の上下方向に対して傾斜するように配置される。モジュール体500の先端の傾斜角度は、検出性能を鑑みて、ほぼ30°から60°の間とすることが望ましい。
【0269】
モジュール体500は、アクチュエータ106が容器1内に配置されるように容器1の底部又は側部に装着される。モジュール体500が容器1の側部に装着される場合には、アクチュエータ106が、傾斜しつつ、容器1の上側、下側、又は横側を向くように容器1に取り付けられる。一方、モジュール体500が、容器1の底部に装着される場合には、アクチュエータ106が、傾斜しつつ、容器1のインク供給口側を向くように容器1に取り付けられることが好ましい。
【0270】
図30は、図25に示したモジュール体100を容器1に装着したときの、インク容器の底部近傍の断面図である。モジュール体100は、容器1の側壁を貫通するように装着されている。容器1の側壁とモジュール体100との接合面には、Oリング365が設けられ、モジュール体100と容器1との液密を保っている。このようにOリングでシールが出来るために、モジュール体100は、図25で説明したような円柱部を備えることが好ましい。
【0271】
モジュール体100の先端が容器1の内部に挿入されることで、プレート110の貫通孔112を介して、容器1内のインクがアクチュエータ106と接触する。アクチュエータ106の振動部の周囲が液体か気体かによって、アクチュエータ106の残留振動の共振周波数が異なるので、モジュール体100を用いてインクの消費状態を検出することができる。
【0272】
また、モジュール体100に限らず、図27に示したモジュール体400、図29に示したモジュール体500、又は図31及び図32に示すモジュール体700A、700B、750A、及び750B、及び、モールド構造体600を容器1に装着して、インクの有無を検出してもよい。
【0273】
図31は、モジュール体100の更に他の実施形態を示す。図31(A)のモジュール体750Aは、アクチュエータ106bと基台部360とを有する。モジュール体750Aは、その前面が容器1の側壁の内面と略一体となるように、容器1に装着されている。アクチュエータ106bは、圧電層160、上部電極164、下部電極166、及び振動板176を含む。振動板176の上面に下部電極166が形成されている。下部電極166の上面には圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成されている。したがって、圧電層160は、上部電極164及び下部電極166によって上下から挟まれるように形成されている。圧電層160、上部電極164、及び下部電極166は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板176上に形成されている。圧電素子及び振動板176の振動領域は、アクチュエータが実際に振動する振動部である。容器1の側壁には貫通孔385が設けられている。したがって、インクは容器1の貫通孔385を介して、振動板176と接触する。
【0274】
次に図31(A)に示したモジュール体750Aの動作について説明する。上部電極164及び下部電極166は、圧電層160に駆動信号を伝達すると共に、圧電層160が検出する共振周波数の信号を記録装置に伝達する。圧電層160は、上部電極164及び下部電極166によって伝達された駆動信号により発振し、その後残留振動する。この残留振動により、圧電層160は逆起電力を発生する。そして、逆起電力波形の振動周期をカウントし、その時点での共振周波数を検出することで、インクの有無を検出できる。
【0275】
モジュール体750Aは、アクチュエータ106bの振動部の圧電素子側とは反対の面、すなわち、図31(A)に示すように、振動板176のみが、インク容器1内のインクと接触するようになっている。図31(A)のモジュール体750Aでは、図25から図29に示したリードワイヤ(104a、104b、404a、404b、504a及び504b)の電極のモジュール体への埋め込みが不要となる。このため、成形工程が簡素化される。更に、モジュール体750Aの交換やリサイクルが可能となる。また更に、アクチュエータ106bは基台部360により保護されているので、アクチュエータ106bを外部との接触から保護できる。
【0276】
図31(B)は、モジュール体の更に他の実施形態を示す。図31(B)のモジュール体750Bは、アクチュエータ106bと基台部360とを有する。モジュール体750Bは、その前面が容器1の側壁の内面と略一体となるように、容器1に装着されている。アクチュエータ106bは、圧電層160、上部電極164、下部電極166、及び振動板176を含む。振動板176の上面に下部電極166が形成されている。下部電極166の上面には圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成されている。したがって、圧電層160は、上部電極164及び下部電極166によって上下から挟まれるように形成されている。圧電層160、上部電極164、及び下部電極166は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板176上に形成されている。圧電素子及び振動板176の振動領域は、アクチュエータが実際に振動する振動部である。容器1の側壁には薄壁部380が設けられている。モジュール体750Bは、アクチュエータ106bの振動部の圧電素子側とは反対の面、すなわち、図31(B)に示すように、振動板176のみが、インク容器1の薄壁部380と接触するように容器1に装着される。したがって、アクチュエータ106bの振動部は、薄壁部380と共に残留振動する。
【0277】
次に図31(B)に示したモジュール体750Bの動作について説明する。上部電極164及び下部電極166は、圧電層160に駆動信号を伝達すると共に、圧電層160が検出する共振周波数の信号を記録装置に伝達する。圧電層160は、上部電極164及び下部電極166によって伝達された駆動信号により発振し、その後共振周期で振動する。振動板176が容器1の薄壁部380と接触しているので、アクチュエータ106bの振動部は、薄壁部380と共に残留振動する。薄壁部380の容器1の内面側は、インクと接触するので、アクチュエータ106bが薄壁部380と共に残留振動する際、この残留振動の共振周波数及び振幅は、インク残量により変化する。この残留振動により、圧電層160は逆起電力を発生する。そして、逆起電力波形の振動周期をカウントし、その時の共振周波数を検出することにより、インク残量を検出することができる。
【0278】
図31(B)のモジュール体750Bでは、図25から図29に示したリードワイヤ(104a、104b、404a、404b、504a及び504b)の電極のモジュール体への埋め込みが不要となる。このため、成形工程が簡素化される。更に、モジュール体750Bの交換やリサイクルが可能となる。また更に、アクチュエータ106bは基台部360により保護されているので、アクチュエータ106bを外部との接触から保護できる。
【0279】
図32(A)は、モジュール体700Bを容器1に装着したときのインク容器の断面図を示す。図32(A)の場合、取付構造体の1つとしてモジュール体700Bを使用する。モジュール体700Bは、その液体容器取付部360が容器1の内部に突出するようにして、容器1に装着されている。取付プレート350に貫通孔370が形成され、貫通孔370とアクチュエータ106bの振動部とが面している。更に、モジュール体700Bの底壁に孔382が形成され、圧電装置装着部363が形成されている。アクチュエータ106bは、孔382を塞ぐようにして配備される。
【0280】
したがって、インクは、圧電装置装着部363の孔382及び取付プレート350の貫通孔370を介して、振動板176と接触する。圧電装置装着部363の孔382及び取付プレート350の貫通孔370は、共にインク溜部を形成する。圧電装置装着部363とアクチュエータ106bとは、取付プレート350及びフィルム部材によって固定されている。また、液体容器取付部360と容器1との接続部には、シーリング構造372が設けられている。シーリング構造372は、合成樹脂等の可塑性の材料により形成されてもよいし、Oリングにより形成されてもよい。図32(A)のモジュール体700Bと容器1とは別体であるが、図32(B)に示すように、モジュール体700Bの圧電装置装着部を容器1の一部で構成してもよい。
【0281】
図32(A)のモジュール体700Bでは、図25から図29に示したリードワイヤのモジュール体への埋め込みが不要となる。このため、成形工程が簡素化される。更に、モジュール体700Bの交換が可能となり、リサイクルが可能となる。
【0282】
インクカートリッジが揺れる際に、インクは容器1の上面あるいは側面に付着し得る。このようなインクは、容器1の上面あるいは側面から垂れてアクチュエータ106bに接触して、アクチュエータ106bを誤作動させる可能性がある。しかし、モジュール体700Bの液体容器取付部360が容器1の内部に突出している場合、容器1の上面や側面から垂れてきたインクによりアクチュエータ106bが誤作動することはない。
【0283】
また、図32(A)の例では、振動板176と取付プレート350の一部のみが、容器1内のインクと接触するように容器1に装着される。
【0284】
図32(B)は、アクチュエータ106bを容器1に装着したときの他の例についてのインク容器の断面図を示す。図32(B)の例によるインクカートリッジでは、保護部材361が、アクチュエータ106bとは別体として容器1に取り付けられている。従って、保護部材361とアクチュエータ106bとはモジュールとして一体となっていない。しかしながら、保護部材361は、アクチュエータ106bをユーザーの手が触れないように保護することができる。アクチュエータ106bの前面に対応して、容器1の側壁に孔380が配設されている。
【0285】
アクチュエータ106bは、圧電層160、上部電極164、下部電極166、振動板176及び取付プレート350を含んでいる。取付プレート350の上面に振動板176が形成され、振動板176の上面に下部電極166が形成されている。そして、下部電極166の上面に圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成されている。したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部及び下部電極166の主要部によって上下から挟まれるように形成されている。圧電層160、上部電極164及び下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板176上に形成されている。圧電素子及び振動板176の振動領域は、アクチュエータが実際に振動する振動部である。取付プレート350には、貫通孔370が設けられている。したがって、インクは、容器1の孔380及び取付プレート350の貫通孔370を介して、振動板176と接触する。容器1の孔380及び取付プレート350の貫通孔370は、共にインク溜部を形成する。また、図32(B)の例では、アクチュエータ106bは、保護部材361により外部との接触から保護されている。
【0286】
尚、図32(A)および(B)の例におけるアクチュエータ106b及び取付プレート350は、図1の基板178を有するアクチュエータ106で置換可能である。
【0287】
図32(C)は、アクチュエータ106bを含むモールド構造体600を備える実施形態を示す。図32(c)の例では、取付構造体の1つとしてモールド構造体600を使用する。モールド構造体600は、アクチュエータ106bとモールド部364とを有する。アクチュエータ106bとモールド部364とは、一体に成形されている。モールド部364は、シリコン樹脂等の可塑性の材料によって成形される。モールド部364は、アクチュエータ106b側から延びる2本の足を有するように形成されている。モールド部364の足部は、内部にリードワイヤ362を有する。モールド部364は、モールド部364と容器1とを液密に固定するために、モールド部364の2本の足の端が容器1の外側で半球状に形成されている。モールド部364は、アクチュエータ106bが容器1の内部に突出するように容器1に装着される。これにより、アクチュエータ106bの振動部が容器1内のインクと接触する。モールド部364によって、アクチュエータ106bの上部電極164、圧電層160、及び下部電極166が、インクとの接触から保護されている。
【0288】
図32(C)のモールド構造体600は、モールド部364と容器1との間にシーリング構造372を必要としないで、インクが容器1から漏れにくい。また、容器1の外部からモールド構造体600が突出しない形態であるので、アクチュエータ106bを外部との接触から保護することができる。またモールド構造体600は、モールド部364が容器1の内部に突出しているので、容器1の上面や側面から垂れてきたインクにより、アクチュエータ106bが誤作動することがない。
【0289】
図33は、図1に示したアクチュエータ106を用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録装置の実施形態を示す。複数のインクカートリッジ180は、それぞれのインクカートリッジ180に対応した複数のインク導入部182及びホルダー184を有するインクジェット記録装置に装着される。複数のインクカートリッジ180は、それぞれ異なった種類、例えば異なった色のインクを収容する。複数のインクカートリッジ180のそれぞれの底面には、少なくとも音響インピーダンスを検出する手段であるアクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106をインクカートリッジ180に装着することによって、インクカートリッジ180内のインク残量を検出することができる。
【0290】
図34は、インクジェット記録装置のヘッド部周辺の詳細を示す。インクジェット記録装置は、インク導入部182、ホルダー184、ヘッドプレート186及びノズルプレート188を有する。インクを噴射するノズル190が、ノズルプレート188に複数形成されている。
【0291】
インク導入部182は、空気供給口181とインク導入口183とを有する。空気供給口181は、インクカートリッジ180に空気を供給する。インク導入口183には、インクカートリッジ180からインクが導入される。
【0292】
インクカートリッジ180は、空気導入口185とインク供給口187とを有する。空気導入口185には、インク導入部182の空気供給口181から空気が導入される。インク供給口187は、インク導入部182のインク導入口183にインクを供給する。インクカートリッジ180に空気導入口185から空気を導入することによって、インクカートリッジ180からインク導入部182へのインクの供給が促される。ホルダー184は、インクカートリッジ180からインク導入部182を介して供給されたインクをヘッドプレート186に連通するものである。
【0293】
図35は、図32に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す。図35(A)のインクカートリッジ180Aは、上下方向に斜めに形成された底面194aに、アクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106が、インク容器194の上下方向に対し斜めに装着されているので、インクの掃けが良好になる。
【0294】
インクカートリッジ180のインク容器194の内部には、インク容器194の内部底面から所定の高さに、アクチュエータ106と直面する位置に防波壁192が設けられている。アクチュエータ106と防波壁192との間には、インクで満たされた間隙が形成される。防波壁192とアクチュエータ106との間隔は、毛細管力によりインクが保持されない程度に空けられている。
【0295】
インク容器194が横揺れしたときに、インク容器194内部にインクの波が発生し、その衝撃によって、気体や気泡がアクチュエータ106によって検出されてアクチュエータ106が誤作動する可能性がある。しかし、防波壁192を設けることによって、アクチュエータ106付近のインクの波を防いで、アクチュエータ106の誤作動を防ぐことができる。
【0296】
図35(B)のインクカートリッジ180Bのアクチュエータ106は、インク容器194の供給口の側壁上に装着されている。インク供給口187の近傍であれば、アクチュエータ106は、インク容器194の側壁又は底面に装着されてもよい。また、アクチュエータ106は、インク容器194の幅方向の中心に装着されることが好ましい。
【0297】
インクは、インク供給口187を通過して外部に供給されるので、アクチュエータ106をインク供給口187の近傍に設けることにより、インクニアエンド時点までインクとアクチュエータ106とが確実に接触する。したがって、アクチュエータ106は、インクニアエンドの時点を確実に検出することができる。
【0298】
更に、アクチュエータ106をインク供給口187の近傍に設けることで、インク容器をキャリッジ上のカートリッジホルダに装着する際に、インク容器上のアクチュエータ106とキャリッジ上の接点との位置決めが確実となる。その理由は、インク容器とキャリッジとの連結において最も重要なのは、インク供給口と供給針との確実な結合であるからである。これらの間に少しでもずれがあると、供給針の先端を痛めてしまったりあるいはOリングなどのシーリング構造にダメージを与えてしまい、インクが漏れ出してしまう。このような問題点を防ぐために、通常、インクジェットプリンタは、インク容器をキャリッジにマウントする時に正確な位置合わせができるような特別な構造を有している。従って、供給口近傍にアクチュエータを配置させることにより、アクチュエータの位置合わせをも同時に確実なものとなるのである。さらに、アクチュエータ106をインク容器194の幅方向の中心に装着することで、より確実な位置合わせが実現できる。インク容器が、ホルダへの装着時に、幅方向中心線を中心として軸揺動した場合に、もっともその揺れが少ないからである。
【0299】
図36は、インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図36(A)は、インクカートリッジ180Cの断面図、図36(B)は、図36(A)に示したインクカートリッジ180Cの側壁194bを拡大した断面図、及び、図36(C)は、その正面からの透視図である。
【0300】
インクカートリッジ180Cは、半導体記憶手段7とアクチュエータ106とが、同一の回路基板610上に形成されている。図36(B)及び図36(C)に示すように、半導体記憶手段7は回路基板610の上方に形成され、アクチュエータ106は同一の回路基板610において半導体記憶手段7の下方に形成されている。
【0301】
アクチュエータ106の周囲を囲むように、異型Oリング614が、側壁194bに装着される。側壁194bには、回路基板610をインク容器194に接合するためのカシメ部616が複数形成されている。カシメ部616を介して回路基板610をインク容器194に接合し、異型Oリング614を回路基板610に押しつけることで、アクチュエータ106の振動領域がインクと接触することをできるようにしつつ、インクカートリッジの外部と内部とを液密に保つ。
【0302】
半導体記憶手段7及び半導体記憶手段7付近には、端子612が形成されている。端子612は、半導体記憶手段7とインクジェット記憶装置等の外部との間の信号の受け渡しをする。半導体記憶手段7は、例えばEEPROMなどの書き換え可能な半導体メモリによって構成され得る。半導体記憶手段7とアクチュエータ106とが同一の回路基板610上に形成さているので、アクチュエータ106及び半導体記憶手段7をインクカートリッジ180Cに取付ける際に1回の取付け工程で済む。また、インクカートリッジ180Cの製造時及びリサイクル時の作業工程が簡素化される。更に、部品の点数が削減されるので、インクカートリッジ180Cの製造コストが低減できる。
【0303】
アクチュエータ106は、インク容器194内のインクの消費状態を検知する。半導体記憶手段7は、アクチュエータ106が検出したインク残量などのインクの情報を格納する。また、半導体記憶手段7は、インク残量等を検出する際に用いられるインク及びインクカートリッジの特性等の特性パラメータに関する情報を格納する。
【0304】
半導体記憶手段7は、予めインク容器194内のインクがフルの時すなわちインクがインク容器194内に満たされた時、又は、インクがエンドの時すなわちインク容器194内のインクが消費された時の共振周波数を、特性パラメータの一つとして格納する。インク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数は、インク容器が初めてインクジェット記録装置に装着されたときに格納されてもよい。また、インク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数は、インク容器194の製造中に格納されてもよい。
【0305】
半導体記憶手段7に予めインク容器194内のインクがフル又はエンドのときの共振周波数を格納し、インクジェット記録装置側で共振周波数のデータを読出すことにより、インク残量を検出する際のばらつきを補正できる。これにより、インク残量が基準値まで減少したことを正確に検出することができる。
【0306】
図37は、インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図37(A)に示すインクカートリッジ180Dは、インク容器194の側壁194bに複数のアクチュエータ106が装着されている。図17に示した一体成形された複数のアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106の各々として用いることが好ましい。複数のアクチュエータ106は、上下方向に間隔をおいて、側壁194bに配置されている。複数のアクチュエータ106を上下方向に間隔をおいて側壁194bに配置することによって、インク残量を段階的に検出することができる。
【0307】
図37(B)に示すインクカートリッジ180Eは、インク容器194の側壁194bに上下方向に長いアクチュエータ606が装着されている。上下方向に長いアクチュエータ606によって、インク容器194内のインク残量の変化を連続的に検出することができる。アクチュエータ606の長さは、側壁194bの高さの半分以上の長さを有することが望ましい。図37(B)におけるアクチュエータ606は、側壁194bのほぼ上端からほぼ下端までの長さを有している。
【0308】
図37(C)に示すインクカートリッジ180Fは、図37(A)に示したインクカートリッジ180Dと同様に、インク容器194の側壁194bに複数のアクチュエータ106が装着されている。また、複数のアクチュエータ106の直面に所定の間隔をおいて、上下方向に長い防波壁192を備える。図17に示した一体成形された複数のアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106の各々として用いることが好ましい。
【0309】
アクチュエータ106と防波壁192との間には、インクで満たされた間隙が形成される。また、防波壁192とアクチュエータ106との間隔は、毛細管力によりインクが保持されない程度に空けられている。
【0310】
インク容器194が横揺れしたときにインク容器194内部にインクの波が発生し、その衝撃によって気体や気泡がアクチュエータ106によって検出されてしまい、アクチュエータ106が誤作動する可能性がある。しかし、図37(c)のように防波壁192を設けることによって、アクチュエータ106付近のインクの波立ちを防いで、アクチュエータ106の誤作動を防ぐことができる。また、防波壁192は、インクが揺動することで発生した気泡がアクチュエータ106に侵入することを防ぐ。
【0311】
図38は、インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図38(A)のインクカートリッジ180Gは、インク容器194の上面194cから下方に延びる複数の隔壁212を有する。それぞれの隔壁212の下端とインク容器194の底面とは所定の間隔が空けられており、インク容器194の底部は連通している。インクカートリッジ180Gは、複数の隔壁212のそれぞれによって区画された複数の収容室213を有する。複数の収容室213の底部は互いに連通する。
【0312】
複数の収容室213のそれぞれにおいて、インク容器194の上面194cにアクチュエータ106が装着されている。図17に示した一体成形されたアクチュエータ106を、これら複数のアクチュエータ106の各々として用いることが好ましい。アクチュエータ106は、インク容器194の収容室213の上面194cのほぼ中央に配置される。
【0313】
収容室213の容量は、インク供給口187側が最も大きく、インク供給口187からインク容器194の奥へ遠ざかるにつれて徐々に小さくなっている。したがって、アクチュエータ106が配置される間隔も、インク供給口187側が広く、インク供給口187からインク容器194の奥へと遠ざかるにつれ、狭くなっている。
【0314】
インクはインク供給口187から排出され、空気は空気導入口185から入る。このため、インク供給口187側の収容室213のインクから順にインクカートリッジ180Gの奥の方の収容室213のインクが消費される。例えば、インク供給口187に最も近い収容室213のインクが消費されて、インク供給口187に最も近い収容室213のインクの水位が下がっている間、他の収容室213にはインクが満たされている。インク供給口187に最も近い収容室213のインクが消費され尽くすと、空気が、インク供給口187から数えて2番目の収容室213に侵入し、2番目の収容室213内のインクが消費され始めて、2番目の収容室213のインクの水位が下がり始める。この時点で、インク供給室187から数えて3番目以降の収容室213には、インクが満たされている。このように、インク供給口187に近い収容室213から遠い収容室213へと順番にインクが消費される。
【0315】
このように、アクチュエータ106がそれぞれの収容室213ごとにインク容器194の上面194cに配置されているので、アクチュエータ106はインク量の減少を段階的に検出することができる。更に、収容室213の容量が、インク供給口187から奥へ向かって徐々に小さくなっているので、アクチュエータ106がインク量の減少を検出する時間間隔が徐々に小さくなり、インクエンドに近づくほど頻度を高く検出することができる。
【0316】
図38(B)のインクカートリッジ180Hは、インク容器194の上面194cから下方に延びる一つの隔壁212を有する。隔壁212の下端とインク容器194の底面とは所定の間隔が空けられており、インク容器194の底部は連通している。インクカートリッジ180Hは、隔壁212によって区画された2室の収容室213a及び213bを有する。収容室213a及び213bの底部は互いに連通する。
【0317】
インク供給口187側の収容室213aの容量は、インク供給口187から見て奥の方の収容室213bの容量より大きい。特に、収容室213bの容量は、収容室213aの容量の半分より小さいことが好ましい。
【0318】
収容室213bの上面194cに、アクチュエータ106が装着される。更に、収容室213bには、インクカートリッジ180Hの製造時に入る気泡を捕らえる溝であるバッファ214が形成される。図38(B)においては、バッファ214は、インク容器194の側壁194bから上方に延びる溝として形成されている。バッファ214は、インク収容室213b内に侵入した気泡を捕らえる。このため、気泡によってアクチュエータ106がインクエンドを誤認識することを防止することができる。
【0319】
なお、アクチュエータ106を収容室213bの上面194cに設けているため、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に対しては、ドットカウンタによって把握した収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正をかけることで、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや間隔を変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
【0320】
図38(C)のインクカートリッジ180Iは、図38(B)のインクカートリッジ180Hの収容室213bに、多孔質部材216が充填されたものである。多孔質部材216は、収容室213b内の上面から下面までの全空間を埋めるように設置されており、アクチュエータ106と接触している。
【0321】
インク容器が倒れた時やキャリッジ上での往復運動中に、空気がインク収容室213b内に侵入してしまい、これがアクチュエータ106の誤作動を引き起こす可能性がある。しかし、多孔質部材216が備えられていれば、多孔質部材21が空気を捕らえるため、アクチュエータ106と空気が接触することを防ぐことができる。また、多孔質部材216はインクをも保持するので、インク容器が揺れた場合等でも、インクがアクチュエータ106にかかってアクチュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出するのを防ぐことができる。多孔質部材216は、最も容量が小さい収容室213に設置することが好ましい。
【0322】
なお、アクチュエータ106を収容室213bの上面194cに設けているため、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に対しては、ドットカウンタによって把握した収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正をかけることで、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや間隔を変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
【0323】
図38(D)のインクカートリッジ180Jは、図38(C)のインクカートリッジ180Iの多孔質部材216が、孔径の異なる2種類の多孔質部材216A及び216Bによって構成されたものである。多孔質部材216Aが、多孔質部材216Bの上方に配置されている。上側の多孔質部材216Aの孔径は、下側の多孔質部材216Bの孔径より大きい。あるいは、多孔質部材216Aは、多孔質部材216Bよりも液体親和性が低い部材で形成されてもよい。
【0324】
孔径の小さい多孔質部材216Bの方が孔径の大きい多孔質部材216Aより毛細管力は大きいので、収容室213b内のインクは下側の多孔室部材216Bに集まり、保持される。したがって、一度空気がアクチュエータ106まで到達して、アクチュエータ106がインク無しを検出すると、インクが再度アクチュエータに到達してアクチュエータ106がインク有りと検出することが無い。更に、アクチュエータ106から遠い側の多孔質部材216Bにインクが吸収されるため、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良い。このため、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。
【0325】
なお、アクチュエータ106を収容室213bの上面194cに設けているため、インクニアエンドが検出されてから完全にインクエンド状態になるまでのインク量に対しては、ドットカウンタによって把握した収容室213aでのインクの消費状態に対応した補正をかけることで、最後までインクを消費することができる。更に、収容室213bの容量を隔壁212の長さや間隔を変えたりすることなどによって調節することにより、インクニアエンド検出後の消費可能インク量を変えることができる。
【0326】
図39(A)は、図38(C)に示したインクカートリッジ180Iを変形した実施形態であるインクカートリッジ180Kを示す断面図である。図39(A)に示すインクカートリッジ180Kの多孔質部材216の下部は、インク容器194の底面の方向にむけて徐々に小さくなるように圧縮され、水平方向の断面積及び孔径が小さくなるように設計されている。図39(A)に示すように、インクカートリッジ180Kは、多孔質部材216の下部をその孔径が小さくなるように圧縮するために側壁にリブが設けられている。多孔質部材216下部の孔径は、圧縮されることにより小さくなっているので、インクは多孔質部材216下部へと集められ、保持される。アクチュエータ106から遠い多孔質部材216下部にインクが吸収されるため、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良い。このため、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによってインクカートリッジ180K上面に装着されたアクチュエータ106にインクがかかっていしまい、アクチュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出することを防止することができる。
【0327】
一方、図39(B)及び図39(C)のインクカートリッジ180Lは、多孔質部材216の下部が、インク容器194の幅方向においてインク容器194の底面にむけて徐々に小さくなるように圧縮され、水平方向の断面積及び孔径がインク容器194の底面の方向にむけて徐々に小さくなっている。多孔質部材216下部の孔径は、圧縮されることにより小さくなっているので、インクは多孔質部材216の下部へと集められ、保持される。アクチュエータ106から遠い多孔質部材216Bの下部にインクが吸収されるため、アクチュエータ106近傍のインクの捌けが良い。このため、インク有無を検出するときの音響インピーダンス変化の変化量が大きくなる。したがって、インクが揺れることによってインクカートリッジ180Lの上面に装着されたアクチュエータ106にインクがかかっていしまい、アクチュエータ106がインク無しをインク有りと誤検出することを防止することができる。
【0328】
図40(A)は、アクチュエータ106を用いたインクカートリッジの更に他の実施形態を示す。図40(A)のインクカートリッジ220Aは、インクカートリッジ220Aの上面から下方へと延びるように設けられた第1の隔壁222を有する。第1の隔壁222の下端とインクカートリッジ220Aの底面との間には所定の間隔が空けられており、インクは、インクカートリッジ220Aの底面を通じてインク供給口230へ流入できるようになっている。第1の隔壁222に対するインク供給口230側には、インクカートリッジ220Aの底面より上方に延びるように第2の隔壁224が形成されている。第2の隔壁224の上端とインクカートリッジ220A上面との間には所定の間隔が空けられており、インクは、インクカートリッジ220Aの上面を通じてインク供給口230へ流入できるようになっている。
【0329】
第1の隔壁222によって、インク供給口230から見て第1の隔壁222の奥の方に第1の収容室225aが形成される。一方、第2の隔壁224によって、インク供給口230から見て第2の隔壁224の手前側に第2の収容室225bが形成される。第1の収容室225aの容量は、第2の収容室225bの容量より大きい。第1の隔壁222及び第2の隔壁224の間には、毛管現象を起こせるだけの間隔が空けられる、すなわち、毛管路227が形成される。したがって、第1の収容室225aのインクは、毛管路227の毛細管力により毛管路227に集められる。このため、気体や気泡が第2の収容室225bへ混入することを防止することができる。また、第2の収容室225b内のインクの水位は、安定的に徐々に下降できる。インク供給口230から見て、第1の収容室225aは第2の収容室225bより奥に形成されているので、第1の収容室225aのインクが消費された後で、第2の収容室225bのインクが消費される。
【0330】
そして、インクカートリッジ220Aのインク供給口230側の側壁、すなわち、第2の収容室225bのインク供給口230側の側壁に、アクチュエータ106が装着されている。アクチュエータ106は、第2の収容室225b内のインクの消費状態を検知する。アクチュエータ106を第2の収容室225bの側壁に装着することによって、インクエンドにより近い時点でのインク残量を安定的に検出することができる。更に、アクチュエータ106を第2の収容室225bの側壁に装着する高さを変えることにより、どの時点でのインク残量をインクエンドとするかを、自由に設定することができる。
【0331】
毛管路227を介して第1の収容室225aから第2の収容室225bへインクが供給されるため、アクチュエータ106は、インクカートリッジ220Aの横揺れによるインクの横揺れの影響を受け難い。従って、アクチュエータ106はインク残量をより確実に測定できる。更に、毛管路227がインクを保持するので、インクが第2の収容室225bから第1の収容室225aへ逆流することが防止される。
【0332】
また、インクカートリッジ220Aの上面には、逆止弁228が設けられている。逆止弁228は、インクカートリッジ220Aが横揺れしたときに、インクがインクカートリッジ220A外部に漏れることを防ぐ。更に、逆止弁228をインクカートリッジ220Aの上面に設置することで、インクのインクカートリッジ220Aからの蒸発をも防ぐことができる。インクカートリッジ220A内のインクが消費されて、インクカートリッジ220A内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、逆止弁228が開いて、インクカートリッジ220Aに空気を吸入する。これにより、インクカートリッジ220A内の圧力が略一定に保持される。
【0333】
図40(C)及び(D)は、逆止弁228の詳細の断面を示す図である。
図40(C)の逆止弁228は、ゴムにより形成された羽根232aを有する弁232を有する。羽根232aは、インクカートリッジ220の外部との通気孔233と対向している。羽根232aの変形によって、通気孔233が開閉される。すなわち、インクカートリッジ220内のインクが減少し、インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、羽根232aがインクカートリッジ220の内側に変形して(開いて)、外部の空気がインクカートリッジ220内に取り入れられる。
【0334】
図40(D)の逆止弁228は、ゴムにより形成された弁232とバネ235とを有する。インクカートリッジ220内の負圧が逆止弁228の圧力を越えると、弁232がバネ235に抗して(押圧して)下降し(開いて)、外部の空気がインクカートリッジ220内に吸入される。
【0335】
一方、図40(B)に示すインクカートリッジ220Bは、図40(A)のインクカートリッジ220Aにおいて、逆止弁228を設ける代わりに、第1の収容室225aに多孔質部材242を配置したものである。多孔質部材242は、インクカートリッジ220B内のインクを保持すると共に、インクカートリッジ220Bが横揺れしたときにインクがインクカートリッジ220Bの外部へ漏れことを防ぐ。
【0336】
以上、キャリッジ及びキャリッジに装着されるキャリッジと別体のインクカートリッジに対して、当該インクカートリッジ又はキャリッジにアクチュエータ106を装着する場合について説明した。しかしながら、キャリッジと一体化され、キャリッジと共にインクジェット記録装置に装着されるインクタンクにアクチュエータ106を装着してもよい。更に、キャリッジと別体の、チューブ等を介してキャリッジにインクを供給するオフキャリッジ方式のインクタンクにアクチュエータ106を装着してもよい。また、記録ヘッドとインク容器とが一体となって交換可能に構成された部材のインクカートリッジ相当部分に、本発明のアクチュエータを装着してもよい。
【0337】
なお、記録装置制御部2000、2002、2004、2006、それらの各要素及び制御装置840c(図10参照)は、コンピュータシステムによって構成され得る。ここで、コンピュータシステムにこれらの各要素を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体201(図5参照)も、本件の保護対象である。
【0338】
さらに、前記の各要素が、コンピュータシステム上で動作するOS等のプログラムによって実現される場合、当該OS等のプログラムを制御する各種命令を含むプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体202も、本件の保護対象である。
【0339】
ここで、記録媒体201、202とは、フロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、各種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0340】
なお、液体の例としては、インクの他に、グルー、マニキュア等が用いられ得る。
【0341】
以上、本発明を複数の実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0342】
【発明の効果】
本発明によれば、液体消費状態検出器が複数の圧電素子に対して共通に設けられ、各導通用スイッチの他側に対して共通に設けられた1本の接続線が駆動信号線と検出信号線とを兼ねるため、設置スペースの点でもコストの点でも有利であって、液体消費状態検出器の構成が効率化されつつ、複数の圧電素子の各配置位置毎の液体消費状態を区別して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクチュエータ106の詳細を示す図である。
【図2】アクチュエータ106の周辺およびその等価回路を示す図である。
【図3】インクの密度とアクチュエータ106によって検出されるインクの共振周波数との関係を示す図である。
【図4】アクチュエータ106の逆起電力波形を示す図である。
【図5】アクチュエータが音響インピーダンスの変化を検知することで液体容器1内の液体の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を制御する記録装置制御部2000の構成を示す図である。
【図6】アクチュエータが音響インピーダンスの変化を検知することで液体容器1’内の液体の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を制御する記録装置制御部2000の構成を示す図である。
【図7】アクチュエータが音響インピーダンスの変化を検知することで液体容器1A〜1C内の液体の消費状態を検出し、検出した結果に基づいてインクジェット記録装置を制御する記録装置制御部2000の構成を示す図である。
【図8】図5に示した記録装置制御部2000の更に他の実施の形態を示す図である。
【図9】図8に示した記録装置制御部2004の更に他の実施の形態を示す図である。
【図10】図9に示した記録装置制御部2006の動作手順を示すフローチャートである。
【図11】測定回路部800の回路構成を示す図である。
【図12】検出回路部1100の回路構成を示す図である。
【図13】図12に示した液体有無判定部1000の詳細な回路構成を示す図である。
【図14】半導体スイッチの実施例について示す図である。
【図15】IC回路の具体例について示す図である。
【図16】図16に示したIC回路におけるデータアクセスのタイミングチャートの例である。
【図17】アクチュエータ106の他の実施形態を示す図である。
【図18】図17に示したアクチュエータ106の一部分の断面を示す図である。
【図19】図18に示したアクチュエータ106の全体の断面を示す図である。
【図20】図17に示したアクチュエータ106の製造方法を示す図である。
【図21】本発明のインクカートリッジの更に他の実施形態を示す図である。
【図22】貫通孔1cの他の実施形態を示す図である。
【図23】アクチュエータ660の他の実施形態を示す図である。
【図24】アクチュエータ670の更に他の実施形態を示す図である。
【図25】モジュール体100を示す斜視図である。
【図26】図25に示したモジュール体100の構成を示す分解図である。
【図27】モジュール体100の他の実施形態を示す図である。
【図28】図27に示したモジュール体400の構成を示す分解図である。
【図29】モジュール体100の更に他の実施形態を示す図である。
【図30】図25に示したモジュール体100をインク容器1に装着した断面の例を示す図である。
【図31】モジュール体100の更に他の実施形態を示す図である。
【図32】モジュール体100の更に他の実施形態を示す図である。
【図33】図1および図2に示したアクチュエータ106を用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録装置の実施形態を示す図である。
【図34】インクジェット記録装置の詳細を示す図である。
【図35】図34に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す図である。
【図36】インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す図である。
【図37】インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す図である。
【図38】インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す図である。
【図39】図38(C)に示したインクカートリッジ180の他の実施形態を示す図である。
【図40】モジュール体100を用いたインクカートリッジの更に他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1、1’、1A〜1C 容器
1a 底面
1b 側壁
1c、40a 貫通孔
1d 側面
1e、1f 段差部
1g、1h 溝
2 インク供給口
40、41 グリーンシート
42、44 導電層
44’ 接続部
47、48 スペーサ部材
67 板材
68 フロート
71 接着剤層
78、80、178 基板
73、82、圧電振動板
74、75 インク吸収体
76 パッキン
77 カシメ孔
81 凹部
100、400,500、700 モジュール体
101、401、501 液体容器取付部
102 基台
104、362 リードワイヤ
105、405、505 圧電装置装着部
106、106b、650、660、670 アクチュエータ
106A〜106C アクチュエータ
SWA〜SWC 半導体スイッチ
108 フィルム
110 プレート
112、412、370 貫通孔
113 凹部
114 開口部
116 円柱部
160 圧電層
162 キャビティ
164 上部電極
166 下部電極
168 上部電極端子
170 下部電極端子
172 補助電極
174 圧電素子
176 振動板
180 インクカートリッジ
181 空気供給口
182 インク導入部
183 インク導入口
184 ホルダー
185 空気導入口
186 ヘッドプレート
187 インク供給口
188 ノズルプレート
190 ノズル
192 防波壁
194 インク容器
194a 底面
194b 側壁
194c 上面
212 隔壁
213、213a、213b 収容室
214 バッファ
216、216a、216b 多孔質部材
220 インクカートリッジ
222 第1の隔壁
224 第2の隔壁
225a 第1の収容室
225b 第2の収容室
227 毛管路
228 逆止弁
230 インク供給口
232 弁
232a 羽根
233 通気孔
235 バネ
242 多孔質部材
250 キャリッジ
252 記録ヘッド
254 インク供給針
256 サブタンクユニット
258、258’ 凸部
260、260’ 弾性波発生手段
262 インク室
266 膜弁
270 弁体
272 インクカートリッジ
274 容器
274a 底面
274b 側面
276 インク供給口
278 凹部
280、280’ ゲル化材
282 パッキン
284 バネ
286 弁体
288 半導体記憶手段
290 容器
290a 底面
292、294、296 インク室
298、300、302 インク供給口
304、306、308 ゲル化材
310、312、314 凹部
316 板材
318 フロート
350 取付プレート
360 液体容器取付部
364 モールド部
372 シーリング構造
402、502 基台
403、503 円柱部
404、504 リードワイヤ
408、508 フィルム
410、510 プレート
413、513 凹部
414、514 開口部
600 モールド構造体
606 アクチュエータ
610 回路基板
612 端子
800 測定回路部
810 NPN型トランジスタ
812 PNP型トランジスタ
816 基準電位生成部
818、820、828,830、832 抵抗
822、826 コンデンサ
824 ハイパスフィルタ
834、840、842、844、846 端子
836 比較器
840c 制御装置
850 駆動電圧生成部
860 増幅部
880 ノイズ影響判別部
900 デジタル回路部
910、918 フリップフロップ
912、920 カウンタ
914,916 NANDゲート
1000 液体有無判定部
1010 液体消費状態補正部
1011 上限値レジスタ
1012 下限値レジスタ
1014、1016 比較部
1018 ANDゲート
1020、1022 端子
1100、1104 検出回路部
1200、1210 液体消費状態検出部
1300 ヘッド部
1400 制御部
1402 記録装置動作制御部
1404 提示処理部
1406 印刷動作制御部
1408 インク補充処理部
1410 カートリッジ交換処理部
1412 印刷データ記憶処理部
1414 印字データ記憶部
1416 ディスプレイ
1418 スピーカ
1420 印刷動作部
1422 インク補充装置
1424 カートリッジ交換装置
1432 クリーニング駆動部
1434 ポンプ
1436 クリーニング部
1440 ヘッド駆動部
1442 クリーニング制御部
1444 情報記憶制御回路部
1450 液体吐出カウンタ
1452 液体消費量補正部
1500、1502、1506 制御回路部
2000、2004、2006 記録装置制御部

Claims (10)

  1. 複数の液体容器と、当該複数の液体容器と着脱可能に接続され当該液体容器内に収容されている液体を消費する液体消費本体部と、を備える液体消費装置であって、
    前記複数の液体容器は、各々が、液体を収容するための収容空間を区画する壁部と、前記液体を収容する収容空間に少なくとも一部が露出すると共に当該収容空間に対して振動可能な振動部と、前記振動部の液体収容空間と反対側に配置された圧電素子と、一側が圧電素子の一側に接続された導通用スイッチと、を有しており、
    前記圧電素子は、導通用スイッチを介しての駆動信号の印加に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に駆動信号の印加による振動後の振動部の残留振動によって逆起電力信号を発生させるようになっており、
    前記圧電素子の他側はそれぞれ接地されており、
    前記液体消費本体部は、前記各振動部の残留振動によって発生された各圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出する液体消費状態検出部を有すると共に、前記各液体容器に接続されて当該液体容器内に収容されている液体を消費するようになっており、
    前記液体消費状態検出部は、前記逆起電圧信号の周波数を測定し、当該周波数に基づいて前記液体収容空間の液体消費状態を検出するようになっており、
    当該液体消費状態検出部は、前記各導通用スイッチの他側に対して共通に設けられた1本の接続線を介して前記各圧電素子と接続されており、
    前記導通用スイッチは、いずれか1つの導通用スイッチが導通状態の時に他の導通用スイッチが非導通状態であるように制御されるようになっており、
    更に、前記複数の液体容器は、各々が、半導体メモリを有しており、
    当該各半導体メモリは、前記1本の接続線を介して前記液体消費本体部に対してメモリ内容の入出力を行うようになっている一方、前記のいずれか1つの導通用スイッチが導通状態の時には前記メモリ内容の入出力は行わないようになっている
    ことを特徴とする液体消費装置。
  2. 液体容器と、当該液体容器と着脱可能に接続され当該液体容器内に収容されている液体を消費する液体消費本体部と、を備える液体消費装置であって、
    前記液体容器には、壁部によって、液体を収容するための複数の収容空間が区画されており、
    前記複数の収容空間の各々には、当該収容空間に少なくとも一部が露出すると共に当該収容空間に対して振動可能な振動部が設けられており、
    前記振動部の前記収容空間と反対側には圧電素子が配置されており、
    前記圧電素子の一側には、導通用スイッチの一側が接続されており、
    前記圧電素子は、導通用スイッチを介しての駆動信号の印加に基づいて振動部を振動させることが可能であると共に駆動信号の印加による振動後の振動部の残留振動によって逆起電力信号を発生させるようになっており、
    前記圧電素子の他側はそれぞれ接地されており、
    前記液体消費本体部は、前記各振動部の残留振動によって発生された各圧電素子からの逆起電力信号に基づいて液体消費状態を検出する液体消費状態検出部を有すると共に、前記各収容空間に接続されて当該収容空間内に収容されている液体を消費するようになっており、
    前記液体消費状態検出部は、前記逆起電圧信号の周波数を測定し、当該周波数に基づいて前記液体収容空間の液体消費状態を検出するようになっており、
    当該液体消費状態検出部は、前記各導通用スイッチの他側に対して共通に設けられた1本の接続線を介して前記各圧電素子と接続されており、
    前記導通用スイッチは、いずれか1つの導通用スイッチが導通状態の時に他の導通用スイッチが非導通状態であるように制御されるようになっており、
    更に、前記液体容器は、半導体メモリを有しており、
    当該半導体メモリは、前記1本の接続線を介して前記液体消費本体部に対してメモリ内容の入出力を行うようになっている一方、前記のいずれか1つの導通用スイッチが導通状態の時には前記メモリ内容の入出力は行わないようになっている
    ことを特徴とする液体消費装置。
  3. 前記導通用スイッチは、それぞれ半導体スイッチである
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の液体消費装置。
  4. 前記導通用スイッチは、IC回路の一部として構成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体消費装置。
  5. 液体消費状態検出部は、逆起電力信号の所定時間の振動回数を計測するカウンタを有しており、当該カウンタにより計測された数値に基づいて、逆起電力信号の周波数を測定するようになっている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体消費装置。
  6. 液体消費状態検出部は、逆起電力信号が所定回数だけ振動する間の時間を計測するためのクロックカウンタを有しており、当該クロックカウンタにより計測された時間に基づいて、逆起電力信号の周波数を測定するようになっている
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体消費装置。
  7. 振動部の液体収容空間に対して露出する部分は、液体収容空間側から見て対称な形状となっている
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液体消費装置。
  8. 圧電素子は、振動部の液体収容空間に対して露出する部分の略中心の位置で、当該振動部の液体収容空間側とは反対側に固定されている
    ことを特徴とする請求項7に記載の液体消費装置。
  9. 振動部の液体収容空間に対して露出する部分は、液体容器内面側から見て円形となっている
    ことを特徴とする請求項7または8に記載の液体消費装置。
  10. 圧電素子の振動方向は、振動部の液体収容空間に対して露出する部分に対して略垂直となっている
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の液体消費装置。
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