JP2007147314A - 表面プラズモンセンサーおよび表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法 - Google Patents

表面プラズモンセンサーおよび表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法 Download PDF

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    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Abstract

【課題】従来のプラズモン共鳴を利用した測定装置は、機械的なノイズなどの外乱が生じた場合、共鳴角を精度よく測定できない場合がある、あるいは、外乱の影響を少なくすると共鳴角の精度、共鳴角のダイナミックレンジを犠牲にしている。
【解決手段】本発明のプラズモン共鳴を利用した装置は、基板と金属膜との間に誘電体膜を設け、金属膜の捕捉物質を形成した側と金属膜の捕捉物質が形成された側と対向する側とのプラズモン共鳴を測定し、金属膜の捕捉物質が形成された側と対向する側とのプラズモン共鳴をリファレンスとすることで外乱の有無を判定することで、共鳴角のダイナミックレンジを犠牲にすることなく精度良く共鳴角を測定することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面プラズモンセンサーおよび表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法に関する。
血液中には、ガン・肝炎・糖尿病・骨粗しょう症など特定の疾患に対するマーカーが複数存在している。罹患した際には、平時より特定のタンパク質の濃度が増加する。これらを平時からモニターしておくことで、重大な病気を早期に発見することが出来るため、次世代の医療技術として期待されている。
未加工で未精製のタンパク質を分析するための方法の1つは、生物学的なリガンド−アナライト相互作用を利用して特定の化合物を識別するセンサを基本としたものである。
センサには、蛍光免疫法、プラズモン共鳴法、光干渉法など幾つかの方式がある。いずれの方式も、リガントをセンサ表面に固定し、検体中のアナライトを高感度にかつ選択性よく選別して結合することにより夾雑物を排除し、目的とするタンパク質のみを高効率に基板表面に固定化することが共通のステップとなる。
蛍光免疫法は、リガンド−アナライト複合体にさらに蛍光色素で標識した第二のリガントをさらに結合させ、蛍光色素を励起し、蛍光量を測定することでアナライトの濃度を測定する。プラズモン共鳴法では、金属プラズモンが界面物質の屈折率変化に高感度に反応することを利用して、金属薄膜や金属の微粒子の上に固定化されたリガンドに結合するアナライトの濃度を測定している。
表面プラズモン共鳴法に関する技術は、例えば、特許文献1ならびに特許文献2に記載されている。
図7は、特許文献1に開示された表面プラズモン共鳴法を用いた測定装置を示す断面図である。測定装置1は、表面プラズモン顕微鏡2と加熱ヒータ3(サーミスタ19)とを具え、誘電体物質からなる測定試料4の加熱に伴う状態変化の観察を可能にしたものである。表面プラズモン顕微鏡2は、透明基板5の一方の表面に測定試料4を接触保持する金属薄膜6を、他方の表面にマッチングオイル7を介して光学プリズム8を設け、単色光レーザ光源9から偏光板10、ビームエキスパンダ11、絞り12、集光レンズ13、光学プリズム8、マッチングオイル7、透明基板5を経て金属薄膜6にP偏光の収束光を入射させ、その反射光をNDフィルタ14およびシリンドリカルレンズ15を経て焦平面に平行に配置したフォトダイオードアレイ16で受光して反射光強度の角度依存性を求めるよう構成されている。
全反射の条件で金属薄膜6にP偏光を入射しても、表面プラズモンが誘起されると、その誘起された角度では反射率が極端に減少する。したがって、フォトダイオードアレイ16をシリンドリカルレンズ15の焦平面に平行に配置してその各素子を光の反射角に対応させれば、その出力から表面プラズモン共鳴により発生した暗線、すなわち最低の反射率に対応する素子を検知することができ、その素子位置から吸収ピークの反射角を求めることにより、表面プラズモン共鳴が生じる入射角つまり共鳴角を検出することができる。
尚、透明基板5は、X−Yステージ17に固定され、光学プリズム8は、プリズム固定部材18に固定されている。
図8は、特許文献2に開示された表面プラズモン共鳴法を用いた測定装置を示す断面図である。表面プラズモンセンサーは、紙面に垂直な方向に長軸が延びる三角柱形のプリズム20と、このプリズム20の一面(図中の上面)に形成されて、試料21に接触させられる例えば金、銀等からなる金属膜22と、1本の光ビーム23を発生させる半導体レーザ等からなる光源24と、上記光ビーム23をプリズム20に通し、該プリズム20と金属膜22との界面20aに対して、種々の入射角が得られるように入射させる光学系25と、上記界面20aで全反射した光ビーム23を平行光化するコリメーターレンズ26と、この平行光化した光ビーム23を検出する光検出手段27と、この光検出手段27に接続された差動アンプアレイ28と、ドライバ29と、コンピュータシステム等からなる信号処理部30と、この信号処理部30に接続された表示手段31とを備えている。
特開平6−167443 特開平11−326194
特許文献1に記載の技術は、プラズモン共鳴を利用した化学センサ、バイオセンサに関して開示されたものである。しかし、機械的なノイズなどの外乱が生じた場合、共鳴角を精度よく測定できない場合がある。
また、特許文献2には、外乱の影響を少なくするという課題に対する解決法の一つが示されている。しかしながら、該手法では装置がコンパクトになっているものの、共鳴角の精度、共鳴角のダイナミックレンジを犠牲にしている。
本発明は、基板と、少なくとも基板上の一方の面に誘電体層と金属薄膜とがこの順に形成された多層膜と、金属膜の誘電体層と接する側と対向する側に固定された化学物質と、基板の誘電体層が形成された側に対向する側に対し、基板と鉛直方向から角度Θで入射される入射光を発する光源を含む第1の光学系と、第1の光学系からの入射光を受けて基板と鉛直方向から角度−Θで反射される反射光を受光する第2の光学系と、第1の光学系と第2の光学系とを角度の関係を維持した状態で角度Θを走査する走査手段とを有することを特徴とする表面プラズモンセンサーである。
又、基板と、少なくとも基板上の一方の面に誘電体層と金属薄膜とがこの順に形成された多層膜と、金属膜の誘電体層と接する側と対向する側に固定された化学物質と、基板の誘電体層が形成された側に対向する側に対し入射光を発する第1の光学系と、入射光の基板からの反射光を受ける第2の光学系を有し、入射光は、基板と鉛直方向からなす角度Θが異なる複数の光束からなリ、第2の光学系は、入射光の鉛直方向からなす角度Θに対し基板と鉛直方向からなす角度−Θの反射角度の反射光を走査する手段とを有することを特徴とする表面プラズモンセンサーである。
更に、基板と、少なくとも基板上の一方の面に誘電体層と金属薄膜とがこの順に形成された多層膜と、金属膜の誘電体層と接する側と対向する側に固定された化学物質と、基板の誘電体層が形成された側に対向する側に対し、基板と鉛直方向から角度Θで入射される入射光を発する光源を含む第1の光学系と、第1の光学系からの入射光を受けて基板と鉛直方向から−Θで化学物質により反射される反射光を受光する第2の光学系とを有する表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の測定方法であって、化学物質が標的物質を補足する前に、反射光強度の角度依存性を測定し、金属膜の化学物質が固定された面の界面で生じる第1の表面プラズモン波形と、金属膜の化学物質が固定された面と対向する側の界面で生じる第2の表面プラズモン波形とを測定する工程と、化学物質に標的物質を捕捉させた後、反射光強度の角度依存性を測定し、金属膜の化学物質が固定された面の界面で生じる第3の表面プラズモン波形と、金属膜の化学物質が固定された面と対向する側の界面で生じる第4の表面プラズモン波形とを測定する工程とを有することを特徴とする表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法。
本発明のプラズモン共鳴センサは、基板と金属膜との間に誘電体膜を設け、金属膜の捕捉物質を形成した側と金属膜の捕捉物質が形成された側と対向する側とのプラズモン共鳴を測定し、金属膜の捕捉物質が形成された側と対向する側とのプラズモン共鳴をリファレンスとし、外乱の有無を判定することで、共鳴角のダイナミックレンジを犠牲にすることなく精度良く共鳴角を測定することができる。
この表記でいいと思います。
以下、図を参照しながら本発明に関わる実施形態につき説明するが、本発明は本実施形態の内容に限定されるものではない。
本発明の第一の実施形態である表面プラズモン共鳴法を用いた測定装置(表面プラズモン共鳴センサ)を、図1に示す模式的断面図を用いて詳細に説明する。
表面プラズモン共鳴法を用いた測定装置は、三角柱型のプリズム状の形態をした誘電体ブロック105の三角の一辺に試料を配置し、三角の残りの2辺の一方から入射光113を入射し、他方の面から試料からの反射光114を出射する構成となっている。
試料は、入射光113に対して透明な基板103上に、誘電体薄膜102と金属薄膜101が蒸着された多層膜を形成し、金属薄膜101に、標的物質110を補足する捕捉体109が固定化されている。
基板上に誘電体薄膜102と金属薄膜101が蒸着された多層膜を形成し、金属薄膜101に、標的物質110を補足する捕捉体109が固定化された入射光113に対して透明な基板103を三角柱型のプリズムに固定したものを、標的物質検出素子116を称する。
試料は、透明な基板103の誘電体薄膜102と対向する面でマッチングオイル104を介し、誘電体ブロック105に密着している。誘電体ブロック105に対して、光源106からコリメートレンズ115、偏光板107を介して入射光113を入射する。入射光は、コリメートレンズ115を介することで平行な光となる。
平行光となった入射光は、誘電体ブロックの基板が形成された面に鉛直方向から角度Θの入射角で入射される。該入射光が、角度−Θの反射角で反射され、該反射光を光センサ108で測定する。
入射角をモーター等の図示しない走査手段を用い、走査することでさまざまな角度で照射し、走査された入射光による反射光を、同様に、モーター等の図示しない走査手段を用い、入射角に同期させ反射角を測定し、反射光強度が測定される。
捕捉体109に標的物質を補足した後、同様の測定をすることにより、共鳴曲線のシフトが測定できそのシフト量から標的物質の結合量を見積もることが可能となる。一方、標的物質の動的な解析をおこなう場合には、共鳴角付近のある角度に入射光ならびに反射光の角度を固定させて、反射光の変化から動的な測定をおこなうことができる。
Kretchmann配置の表面プラズモン共鳴の共鳴角度は式(1)で与えられる。
Figure 2007147314
ここでεm(ω)は金属の誘電率、nSは誘電体薄膜もしくは検体の屈折率、nは基板の屈折率である。
入射光113により、金属薄膜101の基板側の面と金属薄膜101の基板側の面に対向する捕捉体109が固定された面の両面で表面プラズモンを発生する。
検体もしくは誘電体の界面で生じるプラズモン波の波数は、(2)式で表される。ここでnは金属膜と接している物質の屈折率、ωは光の周波数、cは光速、θは、基板の法線方向からの角度である。
Figure 2007147314
プリズムのみで誘電体膜がない場合は、(2)式における屈折率nが大きいので、プラズモン波の波数kspが全角度領域において入射している光子の波数より大きくなるため、プリズムと金属膜界面に由来するディップは存在しない。一方、プリズムよりも小さい屈折率nを有する誘電体膜を一層挿入することにより、kspは小さくなり、ある角度において光子の波数とプラズモンの波数が同じになり、ディップを生じさせることが可能となる。よって本発明の構成によると、(1)式より、金属膜と検体との界面でのプラズモン112に由来するプラズモン波形は、第1の極小値となるディップA、さらに金属膜と誘電体との界面でのプラズモン111に由来するプラズモン波形は、第2の極小値となるディップBが測定される。
図2(a)は、図1に示す装置を用いて測定した標的物質を捕捉していない場合の反射光強度の角度依存性である。標的物質を捕捉後に反射光強度の角度依存性を測定した結果が図2(b)、(c)に示されている。
金属膜と検体との界面でのプラズモン112に由来するプラズモン波形を示す。第1の極小値となるディップAは、金属膜に固定された捕捉体となる化合物が標的物質を捕捉する前後でシフトする。
一方、金属膜と誘電体との界面でのプラズモン111に由来するプラズモン波形を示す、第2の極小値となるディップBは、金属膜に固定された捕捉体となる化合物が標的物質を捕捉する前後で金属膜と誘電体との界面の変化がないので、ディップBはシフトしない(図2(b))ので、外乱は生じていない。これに対し、ディップBがシフトした場合は(図2(c))、検体を搬送するポンプからの振動やセンサチップ搬送ロボットの動きに由来する機械的な外乱が生じたと判定できる。
測定のフローチャートを図3に示す。まず、緩衝溶液のプラズモン共鳴を測定する。次に標的物質を含む検体溶液を注入し、捕捉体により標的物質を補足させ、プラズモン共鳴角を測定する。共鳴角Bのシフトがなければ得られた共鳴曲線から標的物質の量を見積もることが可能となる。一方、共鳴角Bのシフトが生じた場合、外乱の影響によるノイズと考えられるので、緩衝溶液の測定の項目に戻り再度測定をおこなうことで外乱の影響によるノイズなく測定することが可能となる。
外乱の影響を除くことができない従来の測定では、
1.生化学反応によるばらつき、
2.測定装置によるばらつき、
3.センサ素子によるばらつき、
を考慮して、同じ測定を何度もおこない再現性の確認やデータのばらつき評価をおこない、データの質を向上させるようにしている。
外乱の影響を除くことで測定装置によるばらつきが軽減できるので、測定の回数を減らすことが出来、測定のプロトコール数を減らすことが可能となる。
金属薄膜101としては、検体や緩衝溶液ならびに誘電体薄膜102との界面で、プラズモンが生ずる物質であれば特に制限はない。本構成では、Au、Ag、Cu、Ptなど貴金属を用いることが好ましい。
誘電体薄膜102としては、誘電体ブロック105ならびに基板103より屈折率が低く可視光に対して透明であれば特に制限はない。具体的には、Al23、Sb23、BeO、Bi23、BiF3、CaF2、CeO2、CeF3、HfO2、LaF3、La23、PbCl2、PbF2、LiF、MgF2、MgO、NdF3、Nd23、Pr611、Sc23、SiO、Si23、NaF、Ta25、TiO2、TlCl、ThO2、ThF4、Y23、ZnSe、ZnS、ZrO2、が適宜選択して用いられる。
誘電体薄膜の膜厚は、下限は、特に制限されるものではないが、均一な膜厚の誘電体薄膜を形成する点で10nm以上にすることが好ましいが、均一な膜厚が得られるのでれば10nm以下であっても良い。上限については、用いる波長λ以下であることが好ましい。
基板103としては、各種ガラス、光学結晶などが用いられるが、誘電体ブロック105と同程度の屈折率のものを用いることが好ましい。
マッチングオイル104としては、誘電体ブロック105と基板103とほぼ同程度の屈折率を持つものを用いることが好ましい。
誘電体ブロック105としては、可視光に対して透明であれば特に制限はない。具体的には屈折率1.4以上のものを用いることができるが、本構成では1.5以上のものであることが好ましい。
106の光源としては、波長が200nm〜1000nmの範囲のレーザーダイオードまたはガスレーザを選択して用いる。本構成では、調べようとしている化学物質のラマン散乱が、効率よく生じる波長のものを用いることが好ましい。
107の偏光フィルタとしては、消光比が高いものが用いられる。本構成では消光比10-3以上が好ましい。
108の光センサとしては、フォトダイオード、光電子増倍管を用いることができる。本構成では、反射光の強度によってフォトダイオード、光電子増倍管が適宜選択することができる。
標的物質捕捉体109、標的物質と特異的な結合対を形成するものであれば、特に制約はない。
標的物質110としては、標的物質捕捉体と特異的な結合対を形成するものであれば、特に制約はない。具体的には、検体中に含まれる標的物質は、非生体物質と生体物質に大別される。
非生体物質として産業上利用価値の大きいものとしては、環境汚染物質としての塩素置換数/位置の異なるPCB類、同じく塩素置換数/位置の異なるダイオキシン類、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる内分泌撹乱物質等が挙げられる。
生体物質としては、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質及びそれらの複合体から選択される。生体物質が含まれ、更に詳しくは、核酸、タンパク質、糖鎖、脂質から選択される生体分子を含んでなるものであり、具体的には、DNA、RNA、アプタマー、遺伝子、染色体、細胞膜、ウイルス、抗原、抗体、レクチン、ハプテン、ホルモン、レセプター、酵素、ペプチド、スフィンゴ糖、スフィンゴ脂質の何れかから選択された物質を含むものであれば、如何なる物質にも本発明を適用することができる。更には、前述の「生体物質」を産生する細菌や細胞そのものも、本発明が対象とする「生体物質」として標的物質となり得る。
次に本発明の第ニの実施形態である表面プラズモン共鳴法を用いた測定装置を、図4に示す模式的断面図を用いて詳細に説明する。
本実施形態の測定装置は、第一の実施形態で示した測定装置(図1参照)の入射光側を、コリメートレンズ115から集光レンズ401に変えたものである。光源としてレーザ光を用いた場合であってもレーザーダイオードから得られる光は拡散するため第一の実施形態ではコリメートレンズを用いて平行光とした。入射光が平行光の場合、入射光側の光学系(入射光学系)と反射光を受光する側の光学系(受光光学系)は、入射光学系を走査し、入射光学系の走査に同期して、受光光学系を走査する必要がある。
本実施形態では、集光レンズ401を用いるので、光源から拡散された光を集光レンズで集光する。この結果、集光された光は、図4に示す用に角度の異なった光束が一点に集光することとなる。
異なった角度の入射光による反射光は、異なった角度の光の集合となり、測定する位置により反射角度の異なった反射光を測定することができるので、基板表面からの反射光を、光センサ402で走査し、入射光の角度に対応する反射光を検出し、反射光の角度依存を測定する。標的物質を補足した後、同様の測定をすることにより、共鳴曲線のシフトが測定できそのシフト量から標的物質の結合量を見積もることが可能となる。標的物質の動的な解析をおこなう場合には、共鳴角付近のある角度に入射光ならびに反射光の角度に注目して、動的な測定をおこなう。
本実施形態においても、各角度に対応した反射光強度を検出することにより、図2のようなプラズモン共鳴曲線が得られ、標的物質の濃度を検出することが可能となる。
表面プラズモン共鳴法を用いた測定装置は、第一の実施形態と同様に、三角柱型のプリズム状の形態をした誘電体ブロック105の三角の一辺に試料を配置し、三角の残りの2辺の一方から入射光113を入射し、他方の面から試料からの反射光を出射する構成となっている。
試料は、入射光113に対して透明な基板103上に、誘電体薄膜102と金属薄膜101が蒸着された多層膜を形成し、金属薄膜101に、標的物質110を補足する捕捉体109を固定化されている。
試料は、透明な基板103の誘電体薄膜102と対向する面でマッチングオイル104を介し、誘電体ブロック105に密着している。誘電体ブロック105に対して、光源106から集光レンズ401、偏光板107を介して入射光113を入射する。入射光は、光源106、集光レンズ401および偏光板107からなる入射光学系を用い、さまざまな角度で照射される。
さまざまな角度入射された入射光113の反射光は、入射光の入射角度に同期して移動する光センサ402により反射光強度が測定される。
本実施形態の測定装置は、第一の実施形態で示した測定装置(図1参照)と、
入射光側:コリメートレンズ115⇒集光レンズ401
受光側 :光センサ108⇒光センサ402
に変えたものである。
第一の実施形態(図1)の構成のコリメートレンズ115と光センサ108の組み合わせの場合、入射光側の光学系の照射角と、受光側の光学系の受光角とを同期させて走査する必要がある。これに対して本実施形態の構成(図4)では機械的動作は不要で、光源106ならびに光センサ402を動かすことなく必要がない。図6のようなkinetics曲線を測定する場合、図1の構成では、入射光側と受光側とを角度を同期して動かす必要があり、装置の機会精度を上げるとともに、得られたデータを後で処理する必要があるが、図4の構成にすることで解決できる。
捕捉体109に標的物質を補足した後、同様の測定をすることにより、共鳴曲線のシフトが測定できそのシフト量から標的物質の結合量を見積もることが可能となる。一方、標的物質の動的な解析をおこなう場合には、共鳴角付近のある角度に入射光ならびに反射光の角度を固定させて、反射光の変化から動的な測定をおこなうことができる。
<実施例>
以下本発明の実施例を述べるが、本発明はここに記述した内容だけに制限を受けるものではない。
<実施例1>
<標識物質検出素子>
基板103として顕微鏡用のカバーガラスを用い、カバーガラスに誘電体薄膜MgF2を50nm蒸着させた後、金50nmを蒸着させる。基板を充分にアセトン、IPAにて洗浄した後、11−Amino−1−undecanethiol, hydrochloride(同仁化学社製)で表面修飾し、Biotin−AC5 Sulfo−OSu(同仁化学性)を1hr.インキュベートし固定化させた。
<標的物質の測定>
図5に示す表面プラズモン測定装置を用いて測定を行なった。光源501、コリメートレンズ502および偏光フィルタ503がこの順に配置された入射光学系を常磐(不図示)に固定し、標的物質検出素子116を構成する三角柱型のプリズム状の形態をした誘電体ブロックへ入射する。
光源501には、レーザーダイオード(三洋電機、DL3038−033)を用い、コリメートレンズ502は、平凸レンズ(シグマ光機、平凸レンズ5mmφ)を、偏光フィルタ503は可視光偏光フィルター(シグマ光機、SPF−30C−32)を用いた。これら入射光学系を常盤の上に固定した。
光センサ504は、パワーメータ(アドフィルタ、TQ8210)を用い、アーム505に固定する。ゴニオメータ506は、2軸小型自動回転ステージ(シグマ光機、SKIDS−60YAW(θz)−Aθ(Ver2.0))を用いた。ゴニオメータの中心に標的物質検出素子116を設置し、回転盤とアームを同期させながら回転させることにより、反射光の角度スペクトルを測定することができる。
尚、本発明において、入射角と反射角とを同期させながら回転させるとは、三角柱型のプリズム状の形態をした誘電体ブロックの基板が形成された面と鉛直方向から角度Θで入射される入射光と、基板と鉛直方向から−Θで化学物質により反射される反射光を受光するように入射光学系と受光部とを同期して移動させることを示している。
まず、標的物質検出素子を覆うように配置された溶液セル(不図示)に、リン酸緩衝液を注入し、角度走査させながら反射強度の角度依存性を測定する。その後、10nMのavidin溶液(和光純薬工業(株)製)を5mLで3hr.反応させ、同様に反射光強度の角度依存性について測定をおこなった。
上記した方法により測定される反射光の角度依存性が、図2(b)で示すようであれば、共鳴曲線から標的物質の吸着量を見積もることが可能となり、図2(c)のようであれば、測定中に外乱の影響があったと予想されるため、検出素子を交換して再度測定をおこなえばよい。
(実施例2)
標的物質検出素子としては、実施例1と同じものを用いる。
<標的物質の測定>
図4に示した表面プラズモン測定装置を用いて測定を行なった。光源106、コリメートレンズ401および偏光板107がこの順に配置された入射光学系を常磐(不図示)に固定し、標的物質検出素子116を構成する三角柱状の誘電体ブロックへ入射する。
光源106は、レーザーダイオード(三洋電機、DL3038−033)を用い、集光レンズ401は、両凸レンズ(シグマ光機、両凸レンズ5mmφ)を用い、偏光板107は可視光偏光フィルター(シグマ光機、SPF−30C−32)を用いた。標的物質検出素子116により反射された反射光を受ける光センサ402は、ラインセンサ(浜松ホトニクス製、Siフォトダイオードアレイ)を用いた。
まず、標的物質検出素子を覆うように配置された溶液セル(不図示)に、リン酸緩衝液を注入し、ある範囲内のさまざまな角度で反射強度の角度依存性を測定する。その後、10nMのavidin溶液(和光純薬工業株)を5mLで3hr.反応させ、同様に反射光強度の角度依存性について測定をおこなう。
上記した方法により測定される反射光の角度依存性が、図2(b)に示すようであれば、共鳴曲線から標的物質の吸着量を見積もることが可能となる。図2(c)のようであれば、検出素子を交換して再度測定をおこなう。
(実施例3)
標的物質検出素子としては、実施例1と同じものを用い、標的物質の測定については実施例2と同じものを用いた。
標的物質検出素子を覆うように配置された溶液セル(不図示)に、10nMのavidin溶液(和光純薬工業(株)製)を5mL注入した。光センサ402の一つの素子(ある特定の角度に相当)の信号の差分について時間変化を表示させると、図6のようなグラフが得られ、avidinの動的な振る舞いを知ることが可能となる。
本発明の実施形態1を表す図である。 本発明で得られるプラズモン共鳴曲線である。 本発明の実施形態および実施例を説明するための図である。 本発明の実施形態2および実施例2、3を説明するための図である。 本発明の実施例1を説明するための図である。 本発明の実施例3を説明するための図である。 特許文献1の表面プラズモン測定装置の模式的断面図である。 特許文献2の表面プラズモン測定装置の模式的断面図である。
符号の説明
1 測定装置
2 顕微鏡
3 加熱ヒータ
4 測定試料
5 透明基板
6 金属薄膜
7 マッチングオイル
8 光学プリズム
9 単色光レーザ光源9
10 偏光板
11 ビームエキスパンダ11
12 絞り
13 集光レンズ
14 NDフィルタ
15 シリンドリカルレンズ
16 フォトダイオードアレイ
17 X−Yステージ
18 プリズム固定部材
19 サーミスタ
20 三角柱形のプリズム
20a 界面
21 試料
22 金属膜
23 光ビーム
24 光源
25 光学系
26 コリメーターレンズ
27 光検出手段
28 差動アンプアレイ
29 ドライバ
30 コンピュータシステム等からなる信号処理部
31表示手段
101 金属薄膜
102 誘電体薄膜
103 基板
104 マッチングオイル
105 誘電体ブロック
106 光源
107 偏光板
108 光センサ
109 捕捉体
110 標的物質
111 金属/誘電体界面の表面プラズモン
112 金属/標的物質界面の表面プラズモン
113 入射光
114 反射光
115 コリメートレンズ
116 標的物質検出素子
401 集光レンズ
402 光センサ
501 レーザーダイオード
502 コリメートレンズ
503 偏光フィルタ
504 光センサ
505 アーム
506 ゴニオメータ

Claims (6)

  1. 基板と、
    少なくとも前記基板上の一方の面に誘電体層と金属薄膜とがこの順に形成された多層膜と、
    前記金属膜の前記誘電体層と接する側と対向する側に固定された化学物質と、
    前記基板の前記誘電体層が形成された側に対向する側に対し、基板と鉛直方向から角度Θで入射される入射光を発する第1の光学系と、
    前記第1の光学系からの入射光を受けて前記基板と鉛直方向から角度−Θで反射される反射光を受光する第2の光学系と、
    前記第1の光学系と前記第2の光学系とを、前記角度の関係を維持した状態で角度Θを走査する走査手段とを有することを特徴とする表面プラズモンセンサー。
  2. 基板と、
    少なくとも前記基板上の一方の面に誘電体層と金属薄膜とがこの順に形成された多層膜と、
    前記金属膜の前記誘電体層と接する側と対向する側に固定された化学物質と、
    前記基板の前記誘電体層が形成された側に対向する側に対し入射光を発する第1の光学系と、前記入射光の前記基板からの反射光を受ける第2の光学系を有し、
    前記入射光は、前記基板と鉛直方向からなす角度Θが異なる複数の光束からなり、
    前記第2の光学系は、前記入射光の鉛直方向からなす角度Θに対し、前記基板と鉛直方向からなす角度−Θの反射角度の反射光を走査する手段とを有することを特徴とする表面プラズモンセンサー。
  3. 前記誘電体膜の屈折率が、前記誘電体基板の屈折率より小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の表面プラズモンセンサー。
  4. 基板と、
    少なくとも前記基板上の一方の面に誘電体層と金属薄膜とがこの順に形成された多層膜と、
    前記金属膜の前記誘電体層と接する側と対向する側に固定された化学物質と、
    前記基板の前記誘電体層が形成された側に対向する側に対し、基板と鉛直方向から角度Θで入射される入射光を発する光源を含む第1の光学系と、
    前記第1の光学系からの入射光を受けて前記基板と鉛直方向から−Θで前記化学物質により反射される反射光を受光する第2の光学系とを有する表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の測定方法であって、
    前記化学物質が前記標的物質を補足する前に、反射光強度の角度依存性を測定し、
    前記金属膜の前記化学物質が固定された面の界面で生じる第1の表面プラズモン波形と、前記金属膜の前記化学物質が固定された面と対向する側の界面で生じる第2の表面プラズモン波形とを測定する工程と、
    化学物質に標的物質を捕捉させた後、反射光強度の角度依存性を測定し、
    前記金属膜の前記化学物質が固定された面の界面で生じる第3の表面プラズモン波形と、前記金属膜の前記化学物質が固定された面と対向する側の界面で生じる第4の表面プラズモン波形とを測定する工程とを有することを特徴とする表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法。
  5. 前記第2の表面プラズモン波形と、前記第4の表面プラズモン波形とをリファレンスとし、
    前記第2の表面プラズモン波形と、前記第4の表面プラズモン波形とを用いて機械的な外乱の有無を検出することを特徴とする請求項5に記載の表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法。
  6. 前記第2の表面プラズモン波形の極小値と、前記第4の表面プラズモン波形の極小値を示す角度が同一である場合、前記機械的な外乱が生じていないと判定することを特徴とする請求項4に記載の表面プラズモンセンサーを用いた標的物質の検出方法。
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