JP2007147306A - 追尾処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 航空機外と通信して、広域センサの観測情報を入手する広域情報入力手段14と、広域情報入力手段14から転送された広域センサからの観測情報に最も近いクラスタ(目標予測存在範囲の集合体)を、クラスタに含まれる航跡の情報を参照して、対象クラスタとして選択する広域情報相関手段10と、広域情報相関手段10で指定した対象クラスタに含まれる仮説のうち、航跡数が広域情報の観測値と一致するもの及びそれ以上観測している仮説の信頼度を向上させる信頼度補正手段11と、信頼度補正手段11の信頼度の補正結果を元に、仮説生成・準最適化のフェーズで、仮設の信頼度を決定する相関・統合手段5とを備えた。
【選択図】 図1
Description
また、広域センサの観測情報を追尾処理本体のシーケンスには加えないため、処理対象の観測点数を増やすことなく、MHT(Multiple Hypothesis Tracking)等の追尾処理を実現でき、処理負荷を抑える効果もある。
この時、複数のセンサから得た観測情報を使って、目標を追尾する方法が、システム全体の性能に大きな影響を与える。
また、目標を追尾するには、センサを目標方向に継続して指向することが必要になるが、移動体に搭載されるセンサでは、観測対象までの距離が近いため、観測対象の角度的な変化が大きくなり、広域を観測するセンサの情報と比べて観測の更新レートが早い。
このため、一般に、移動体に搭載されるセンサは広域を観測するセンサと比べて、観測覆域が狭く、探知距離が短い。
また、広域を観測するセンサでは、搭載条件の制約が移動体よりも緩やかなため、大きな記憶容量を有することが可能であり、現時点での目標位置、速度の把握だけでなく、目標が移動してきた経路の把握や記録を行うことが可能である。
このため、それぞれの特徴を活かすことが可能な広域センサからの観測情報を利用する移動体に搭載されるセンサシステムが求められる。
移動体のセンサシステム及び広域を観測するセンサシステムでは、個々のシステムにおいても複数のセンサの情報を組合せた構成が考えられている。
複数のセンサからの観測情報を使って、目標の軌跡を追尾するシステムを構築するためのものがある。
広域に配置されたセンサの観測情報を使ったもの、レーダと光学センサを組合せたものがある。
また、探知データから航跡を作成する場合には、JPDA(Joint Probabilistic Data Association)や航跡型MHT(Multiple Hypothesis Tracking)等のアルゴリズムを利用している。
この方式は、センサが観測した全ての探知データを利用可能で、かつ、追尾能力が高い特徴がある。
ただし、複数のセンサを観測に用いる場合には、センサによって観測精度や更新周期、また、観測可能な項目が異なる場合がある。
このようなケースに対応するため、例えば、目標の方位、距離及び速度を観測できる電波センサ用と、目標の方位のみを観測する光学センサ用のフィルタを設けて、観測で利用したセンサに応じた処理方法を用いている。
前記の追尾方式では、観測精度が劣る探知データや更新周期が遅い情報(追尾処理実行時刻よりも遅延して入力される情報)を利用することも可能だが、追尾能力の向上への寄与は一般に小さいことがわかっている。
一方で、本特許で対象とするセンサである移動体に搭載されるセンサと、広域を観測するセンサにおいても、観測精度に差がある(一般に、移動体に搭載されるセンサが精度が高い)。
目標が航空機のように、高速で高機動の運動が可能な場合には、精度が高く、遅延時間の少ない情報を利用する必要が高い。
広域を観測するセンサシステムでは、大きな記憶容量を有することが可能であり、現時点での目標位置、速度の把握だけでなく、目標が移動してきた経路の把握や記録を行うことが可能である。
このため、搭載センサの観測情報と組合せてセンサデータ融合で相関・統合を行っても、追尾能力向上の効果を上げることは困難である。
図4は課題が発生するシナリオの概要の図、図5は各センサから情報が入力されるタイミングを表すグラフ、図6は各センサから入力される情報(観測値)を時系列で示した図である。
図7は課題が発生する時刻T4付近の概要の図である。
ここで、移動体には2つの異なるセンサが搭載されており、また、広域センサからの情報を通信手段を通じて得られると仮定する。
センサの観測レンジ(観測可能な距離)は、広域センサが移動体のセンサよりも長く、分解能及び観測精度は移動体のセンサが広域センサよりも優れているとする。
図4において、目標の経路で強調表示され、時刻T0〜T9と記載した部分に対する各センサから情報が入力されるタイミングを表すグラフが図5、各センサから入力される情報(観測値)を時系列で示したのが図6である。
ここでは、一般的な搭載センサと広域センサの傾向から、搭載センサは目標を観測した時刻に目標情報を相関・統合処理に入力し、広域センサでは通信による伝送時間等のために観測時刻から遅延して目標情報を相関・統合処理に入力すると仮定する。
また、搭載センサは広域センサよりも情報の更新周期が短いとし、搭載センサの更新周期は同じと仮定した。
また、搭載センサBの情報についても、時刻T1、T3、T5、T7、T9と2単位時刻周期で入力され、観測時刻と情報入力時刻は同じとした。
広域センサについては、時刻T4、T8と4単位時刻周期(4単位時刻に一度)で情報を入力する。
情報入力時刻の遅延については4単位時刻とした(時刻T0の観測結果が時刻T4で相関統合処理に入力される)。
ここでは、対象時刻の観測値と過去の観測値を提示している(各時刻では、過去の観測値に加えて、対象の時刻で新たに加わった観測値を提示している)。
例えば、時刻T0では、搭載センサAの観測情報p0だけが表示されている。次の時刻T1では搭載センサBの観測情報p1が、時刻T2では搭載センサAのp2、時刻T3では搭載センサBのp4のように観測値が増えていく。
ここで、w1-1とw1-2が重なっているのは、センサの観測では分離不能であるが、過去の観測結果から2目標とわかっているため、同じ位置で2目標のデータを観測結果としていることを表す。
時刻T0からT3までは、p0、p1、p2、p3と、搭載センサから1個づつの目標情報が入力される。
この時、装置で利用されている航跡型MHTのアルゴリズムでは、次のような仮説、仮航跡が生成される。
仮航跡は本航跡の候補であり、航跡型MHTのアルゴリズムで算出する信頼度が高い仮航跡(仮航跡が所属するする仮説)が選択され、本航跡となる。
以下、記述を簡略化するため、仮航跡と構成要素の観測結果をtr0-1={p0}、仮説と構成要素の航跡をH0−1=[tr0-1]で、空集合をΦで示す。
時刻T0では、tr0-1={p0}と、H0−1=[tr0-1]、H0−2=[Φ]が生成される。
航跡型MHTのアルゴリズムでは、センサの観測精度や探知確率等から、仮説に対する信頼度を算出する。
次に、時刻T1で観測結果「p1」が入力される。
ここでは、p1がtr0-1のゲート内と仮定する。
追尾処理では関連する観測値を繋いで航跡を生成していく。
ゲート内にある観測値が、航跡を構成する観測値の候補となる(ゲートを生成し、観測値のゲート内外を判定する処理をゲート判定処理と呼ぶ)。
航跡型MHTは、ゲート内と判定された観測値と既存の航跡との対応を延期決定することが特徴である。
仮説H1−1は観測結果p0とp1が同じ目標の観測値(仮航跡tr1-1)とする仮説、仮説H1−2は仮説H0−1が正しくp2はクラッタ(仮航跡tr0-1のみが存在)とする仮説、仮説H1−3はp0とp1が異なる目標の航跡(仮航跡tr0-1とtr1-2が存在)とする仮説である(仮説H1−1〜H1−3は仮説H0−1が正しい前提の仮説)。
航跡型MHTでは、上記のように観測値が入力されると仮説を生成しながら処理を進めていく。
ここでは、時刻T2、T3と処理を進めた結果、仮航跡としてtr3-1={p0,p1,p2,p3}、仮航跡tr3-2={p0,p1,p3}(時刻T2で観測値無しの航跡)、仮航跡tr3-3={p2}が、仮説としてH3−1=[tr3-1]、H3−2=[tr3-2, tr3-3]が存在する状態になったと仮定する。
時刻T4では、搭載センサから観測値p4-1とp4-2が、広域情報として観測値w4-1とw4-2が入力される。
この時点で、既に時刻T0〜T3の搭載センサの観測値が処理済みであり、観測精度もp0〜p3、p4-1及びp4-2がw4-1とw4-2よりも良い。
追尾処理では航跡を生成する。
移動体システムで航跡を生成する主要な目的は、1.目標に対処した行動を実施するため、現在の目標の位置と速度を知ることと、2.搭載センサを指向するために次の時刻での目標位置(及び速度)を予測することである。
一般に、観測するセンサの精度が同じであれば、次の時刻での位置・速度の予測は、最新の時刻の観測結果で追尾処理を実施した方が、航跡の精度は高い。
精度が良く観測時刻が新しいい情報(p4-1とp4-2)がある状況では、時刻T4のw4-1とw4-2のように、観測時刻が古く、観測精度が低いセンサの情報を、MHTのような追尾処理の観測値として入力しても、航跡の精度向上に寄与する可能性は低い(仮航跡tr3-1〜tr3-3に、p4-1とp4-2に加え、w4-1とw4-2を追加入力しても、時刻T4での予測位置・速度が向上する可能性は低い)。
このため、時刻T4のw4-1とw4-2のように、観測時刻が古く、観測精度が低いセンサの情報の入力を制限する機能や、これらの観測値を含む仮説の生成を制限する機能を設けて対応していた。
時刻T4のw4-1とw4-2の観測情報が利用されない場合の動作を示す。
ここでは、説明を簡略化するため、代表的な仮航跡と仮説のみを生成する例で説明する。
従来システムの時刻T4では、観測値p4-1とp4-2だけを使って、仮航跡と仮説の更新が行われる。
この場合、基準となるH3−1の信頼度が90%、H3−2の信頼度が10%であったため、仮説H4−1が27%、仮説H4−2が27%、仮説H4−3が18%、仮説H4−4が18%、仮説H4−5が7%、仮説H4−5が3%となる。
この状態で上位2個の仮説を選択すると、仮説H4−1と仮説H4−2だけが選択され、真の値に近い2つの仮航跡を候補としていた仮説が棄却されてしまう。
この影響で、2つの観測値が連続して入力される時刻T8、T9を経過するまで、2目標を識別できる可能性が低くなる課題があった。
また、観測値を入力として航跡を生成する処理では、観測時刻が古く、観測精度が低いセンサの情報の入力を制限することが有利である。
ここでは、時刻T4において、広域センサからの観測値の入力を制限したことではなく、広域センサが得ていた2目標が存在しているという情報を活用できないことが課題となる。
この発明は、以上のような状況および課題の基になされたものであり、信頼度補正手段の信頼度の補正結果を元に、仮説生成・準最適化のフェーズで、仮設の信頼度を決定する相関・統合手段を備えることを特徴とする。以下に、より詳細な実施例について説明する。
図1はこの発明の実施例1の構成図であり、1は追尾処理システム、2は観測データ選択手段、3はクラスタ更新手段、4は航跡関連データ記憶手段、5は相関・統合手段、6はクラスタ管理手段、7は予測手段、8は航跡決定・表示手段、9はセンサ制御手段、10は広域情報相関手段、11は信頼度補正手段、12−1は搭載センサ1、12−2は搭載センサ2、12−Nは搭載センサN、13は表示装置、14は広域情報入手手段である。
追尾処理システム1は、追尾処理計算を実施するシステムである。
搭載センサ1(12−1)、搭載センサ2(12−2)、…、搭載センサN(12−N)は、航空機に搭載されたセンサである。
本特許では、搭載センサの個数は1個以上の任意の個数で実施可能であるが、複数センサ搭載時の最小の個数である、搭載センサ2個の例で説明する。
この搭載センサを搭載センサ1(12−1)及び搭載センサ2(12−2)とする。
搭載センサ1(12−1)と搭載センサ2(12−2)のセンサの性能(観測精度、観測可能な情報の種類、センサの更新周期、観測から情報出力までの遅延時間等)は同等の例で説明する。
広域情報入手手段14は、電波等の手段を用いて航空機外と通信して、広域センサの観測情報を入手し、その内容を追尾処理システム1に伝送する装置である。
表示装置13は、追尾処理システム1の処理結果を、操作する人間に提示するための装置である。
追尾処理システム1では、搭載センサからの目標情報が入力されると、まず、STEP1−1の目標入力のフェーズとなる。
ここでは、追尾処理システム1内の観測データ選択手段2が、搭載センサからの観測情報を受け付ける。
この実施例1では、説明を簡易にするため、搭載センサからの情報は全てSTEP1−2の処理で利用する例で説明する。
この時、追尾処理システム1は、STEP1−1の目標入力のフェーズから、STEP1−2のクラスタ更新のフェーズへ遷移する。
航跡型MHTのアルゴリズムでは、仮説、仮航跡、観測結果(搭載センサの探知結果)をクラスタという論理単位で管理する。航跡型MHTのアルゴリズムは、延期決定を行うため、過去の観測情報をクラスタ単位で管理しており、この情報を航跡関連データ記憶手段4に記録する。
更新終了後、クラスタ毎にSTEP1−3〜STEP1−6の処理を実施する。
STEP1−3〜STEP1−5を相関・統合手段5で、STEP1−6をクラスタ管理手段6が、STEP1−7を予測手段7で実施する。
このうち、STEP1−3、STEP1−4、 STEP1−6及びSTEP1−7については、処理を実施し、航跡関連データ記憶手段4を参照・更新する。
追尾処理システム1では、搭載センサからの目標情報が入力されると、上記STEP1−1〜STEP1−7を実施して、クラスタ情報(目標の航跡情報)を更新する。
一方で、追尾処理システム1の処理結果を、操作する人間に提示するための情報を生成する。
これは、必ずセンサからの情報入力と同期する必要がないため、ここでは、センサとは独立に一定周期で出力情報を生成する例で説明する。
この時、航跡決定・表示手段8がSTEP1−8で航跡関連データ記憶手段4を参照して、表示対象の航跡を選択し(航跡型MHTでは仮航跡と呼ぶ複数の航跡の候補を保持している)、STEP1−9で表示対象の航跡(本航跡)を表示装置13に送付する。表示装置13は、送付された情報をディスプレイ等に表示して、操作する人間に提示する。
広域センサからの目標情報が入力されると、まず、STEP2−1の広域目標入力のフェーズとなる。
ここでは、広域情報入手手段14が情報を受け付け、広域情報相関手段10へ情報を送付し、STEP2−2へ遷移する。
ここでは、各クラスタにおいて、広域センサからの観測情報の観測時刻を基準に、クラスタ内の仮航跡の現在位置を算出し、仮説の信頼度で重み付けを行った結果を元にクラスタの重心位置を算出し、その重心位置と、広域センサの観測位置の相対距離を求め、その最も近いものを選択することとする。なお、仮航跡及び広域センサからの観測情報には、目標の位置、速度及び観測時刻の情報を含み、速度を使った外挿入により、指定時刻での観測位置を算出できるとする。
STEP2−3では、信頼度補正手段11が、広域情報相関手段10で指定した対象クラスタに含まれる仮説のうち、航跡数が広域情報の観測値と一致するもの及びそれ以上観測している仮説の信頼度を向上させる。
この信頼度の補正結果を元に、STEP1−5の仮説生成・準最適化のフェーズで、相関・統合手段5が、仮設の信頼度を決定する。
本装置では、STEP2−1〜STEP2−3及びSTEP1−5の動作が従来装置と異なる。
このため、図3〜図7の時刻T4のw4-1とw4-2の観測情報が広域情報相関手段10と信頼度補正手段11により、STEP1−5の仮説の更新において、航跡数2以上の仮説の信頼度を補正させる。
図3〜図7の時刻T4では、まず、仮説生成の基準となる仮説H3−1と仮説H3−2の信頼度を補正する。
ここでは仮説H3−1の航跡数が1、仮説H3−2の航跡数が2のため、航跡数2以上である仮説H3−2の信頼度を向上させ、仮説H3−1を40%、仮説H3−2を60%とする。
仮説H4−5と仮説H4−6は双方とも航跡数が2のため、信頼度の比は7:3のままとする。
この結果、時刻T4の処理終了後の信頼度は、仮説H4−1が8%、仮説H4−2が8%、仮説H4−3が12%、仮説H4−4が12%、仮説H4−5が42%、仮説H4−5が18%となる。
広域センサの情報を利用することで、真の航跡数に近い、2航跡を保持する仮説の信頼度が向上する。
選択された仮説に基づく航跡(本航跡)は、航跡決定・表示手段8が航跡関連データ記憶手段4を参照して、表示装置13に送付され、表示装置13で、ディスプレイ上に航跡を表示し目標の状態を操作する人間に提示される。
また、広域センサの観測情報を追尾処理本体のシーケンスには加えないため、処理対象の観測点数を増やすことなく、MHT等の追尾処理を実現できるため、処理負荷を抑える効果もある。
また、搭載センサ1(12−1)と搭載センサ2(12−2)を、位置・速度を観測可能な同一性能のセンサとしたが、観測精度が異なる等、性能の異なるセンサの組合せにおいても、実施例1と同様の効果を発することができる。
この他、角度のみを観測可能な赤外線センサや、相手の放射する電波を受信して観測するセンサ等、異種のセンサの組合せにおいても、実施例1と同様の効果を発することができる。
図8はこの発明の実施例2の構成図であり、15は信頼度分配手段であり、1〜14は図1と同じものであり、図9は信頼度分配手段15での、クラスタの選択の概要を示した図である。
ここでは、STEP2−2において、広域情報相関手段10は、各クラスタと広域センサの観測値の相対距離を求めた段階で、その結果を信頼度分配手段15に送付する。また、信頼度分配手段15は、航跡関連データ記憶手段4から、クラスタに含まれる航跡数等、クラスタの情報を入手する。
信頼度補正手段11では、信頼度分配手段15から受け取った航跡数を、実施例1で広域情報相関手段10から入手した航跡数と同様の方法で利用する。
航跡数を重み付けして分配する。
ここでは、実施例1と同様に、クラスタの重心と広域センサの観測値の相対距離を基準とした方法で説明する。
図9の例では、分配対象としてクラスタ1からクラスタ3があり、全て航跡数を分配する対象の相対距離に存在している。
また、相対距離の比は、クラスタ1:クラスタ2:クラスタ3で1:1:2である。
また、広域センサでは5個の航跡が密集して存在している。
この場合、相対距離に応じて、クラスタ1に2個、クラスタ2に2個、クラスタ3に1個を割り当てる。
広域センサの観測値は、更新レートが遅いことが多いため、存在可能範囲が大きい場合が多い。このため、特定の1クラスタのみを選択すると、間違ったクラスタに重み付け情報が集中してしまう危険性がある。
本装置では、この間違った対応関係を選択した場合のリスクを低減できる。
実施例2では、広域センサの航跡数をまとめて分配する例で説明したが、航跡毎に判定して重み付けした値で分配することも可能であり、実施例2と同様の効果を発することができる。
この場合にも、上記実施例2と同様の効果を発することができる。
実施例2では、対応するクラスタの選択基準として、クラスタ内の仮航跡と仮説の信頼度を元にクラスタの重心位置を算出する方法で説明したが、広域センサからの観測情報とクラスタの対応と対応関係毎に設定する重み付けの比率を決定できる方法であれば、任意の対応関係選択方法を利用可能であり、実施例2と同様の効果を発することができる。
この他、現在クラスタに含まれる航跡数を考慮して、多くの航跡を含むクラスタに、広域センサの観測結果の航跡を多く割当てる実装も可能であり、上記実施例2と同様の効果を発することができる。
図10はこの発明の実施例3の構成図であり、16は航跡判定支援手段であり、1〜13は図1と同じものである。
ここでは、STEP2−3において、信頼度補正手段11は、各クラスタ別に、仮説に含まれる航跡数と、広域センサで観測された航跡数(広域センサの観測数)の情報を、航跡判定支援手段16に送付する。航跡判定支援手段16は、仮説に含まれる航跡数が広域センサの観測数よりも少ない場合に、新規航跡や観測点数の少ない仮航跡の信頼度を向上させる。
一方で、本装置では、搭載センサが観測値を得た付近に目標がいる可能性が高いという情報を広域センサから得ている。
航跡判定支援手段16は、この広域センサの観測結果を元に、相関・統合手段5での信頼度計算を補正する。
このため、単純に搭載センサの観測値だけを利用する場合よりも早く信頼度が向上し、短時間で航跡として選択が可能になる。
これにより、より少ない探知数で航跡の確立が可能になる。航跡決定までの探知数を減らすことで、遠距離で航跡を確立することができる利点がある。
実施例3では、実施例1に対して航跡判定手段16を加える例で説明したが、実施例2の装置に航跡判定手段16を加える構成でも、実施例3と同様の効果を発することができる。
図11はこの発明の実施例4の構成図であり、17はクラスタ航跡判定支援手段であり、1〜14は図1と同じものである。信頼度補正手段11は、各クラスタ別に、広域センサで観測された航跡数を、クラスタ航跡判定支援手段17に送付する。
目標が密集隊形で飛行した場合等には、センサによる個々の目標の分離が困難になる。この場合、センサの観測値として、一塊の大きな目標として観測されたり、目標数が変動する等の不安定な観測状態となる。
クラスタ航跡判定支援手段17は、広域センサで観測した航跡数の情報を保持している。
相関・統合手段5では、クラスタ目標として対処するか否かの判断が必要になったときに、クラスタ航跡判定支援手段17に問い合わせを行う。
逆に、搭載センサの観測結果であるクラスタ内で補足している目標数が、広域センサで観測した目標数と同じか少ない場合には、クラスタ目標対処が不利との判定結果を返す。
相関・統合手段5では、クラスタ航跡判定支援手段17の判定結果を参照して、クラスタ対処の可否を判断する。
また、クラスタ航跡判定支援手段17から、クラスタ目標として内包する航跡数の予測値を設定することも可能であり、この場合、相関・統合手段5のクラスタ目標の追尾において、クラスタ内に含まれる目標数をより正しく推定できる利点がある。
図12はこの発明の実施例5の構成図であり、18はクラスタ削除支援手段であり、1〜14は図1同じものである。
ここでは、STEP2−3において、広域情報相関手段10は、各クラスタ別に、広域センサで観測された航跡数を、クラスタ航跡判定支援手段8に送付する。クラスタ削除支援手段18は、あるクラスタの周囲に広域センサによる観測目標があるか否か(航跡数が0か否か)の情報を、クラスタ管理手段6に伝える。
クラスタ管理手段6では、一定時間以上情報が更新されないクラスタを削除する。
広域センサによる観測目標がない場合には、この削除までの時間を短縮する。
これにより、搭載センサの情報だけを利用する場合よりも、クラスタの削除を早く行える利点がある。
不要なクラスタを早急に削除できれば、追尾処理システムの計算負荷を削減できる利点がある。
実施例5では、実施例1にクラスタ削除支援手段18を加える例で説明したが、実施例2〜実施例4の装置に、クラスタ削除支援手段18を加える構成でも、実施例5と同様の効果を発することができる。
図13はこの発明の実施例6の構成図であり、19は識別支援手段であり、1〜14は図1と同じものである。
この例では、搭載センサ3(12−3)として、相手の放射電波を受信して、その電波諸元から、目標の方位と識別結果を出力するセンサを有し、その観測情報を他の搭載センサと融合した結果が、航跡関連データ記憶手段4に記録されている。
搭載センサで観測した電波諸元と対象目標の過去の経路情報を対応付けることで、例えばA地域の空港から飛行した航空機、B地域の空港から飛行した航空機を区別することで、目標(航空機)の所属などの識別精度を向上させる。
電波諸元等は搭載センサでの観測が有利であり、目標の過去の経路情報等は広域センサでの観測が有利である。
この有利な情報を組み合わせて識別を行うことができる効果がある。
実施例6では、実施例1に識別支援手段19を加える例で説明したが、実施例2〜実施例5の装置に識別支援手段19を加える構成でも、実施例6と同様の効果を発することができる。
図14はこの発明の実施例7の構成図であり、20は先見情報利用手段であり、1〜14は図1と同じもの、19は図13と同じものである。
先見情報利用手段20は、事前にセンサの観測とは別に入手した情報を保持している。
この情報と、域情報相関手段10からの広域センサ情報とクラスタの相関情報を参照して、識別に関する情報を識別支援手段19へ、航跡数に関する情報を信頼度補正手段11へ送付する。
また、ある地点(方位)から飛行してくる目標が4機単位で飛行してくる確率が80%以上といった情報があれば、広域センサでは2目標の観測であっても、4目標までの信頼度を向上させる指示を信頼度補正手段11へ送付する。
Claims (7)
- 広域センサからの目標の観測情報を入手する広域情報入手手段と、
仮説の集合体であるクラスタ単位の航跡関連データを記憶している航跡関連データ記憶手段と、
複数の搭載センサからの目標情報と、上記航跡関連データ記憶手段に記憶している既存のクラスタ情報から、クラスタの新規作成および更新を行うクラスタ更新手段と、
上記航跡関連データ記憶手段に記憶された航跡関連データを参照して、クラスタの重心位置と、上記広域情報入手手段で得られた目標の観測位置の相対距離が最も近いものを、対象クラスタとして選択する広域情報相関手段と、
上記広域情報相関手段で選択した対象クラスタに含まれる仮説のうち、広域情報の観測数以上の航跡数を観測している仮説の信頼度を向上させる信頼度補正手段と、
上記信頼度補正手段で向上した信頼度を元に、仮設の信頼度を決定する相関・統合手段と、
を具備することを特徴とする追尾処理システム。 - 上記広域情報相関手段で求めた各クラスタと広域センサの観測値の相対距離を受け取り、広域情報に対応する複数のクラスタを選択し、選択した複数のクラスタに対して、航跡数を重み付けして分配する仮説信頼度分配手段を具備し、
上記信頼度分配手段で配分を決定したクラスタ毎の航跡数を信頼度補正手段へ送付することを特徴とする請求項1記載の追尾処理システム。 - 上記信頼度補正手段の信頼度の補正結果を元に、信頼度計算を補正する航跡判定支援手段を、
具備することを特徴とする請求項1記載の追尾処理システム。 - 上記信頼度補正手段の信頼度の補正結果を元に、クラスタ内で補足している目標数と広域センサで観測した目標数との比較によって、クラスタ目標対処の可否を判定するクラスタ航跡判定支援手段を
具備することを特徴とする請求項1〜請求項3のいづれか1項記載の追尾処理システム。 - 上記広域情報相関手段で求めた所定のクラスタの周囲に広域センサによる観測目標があるか否かの情報を、クラスタ管理手段に伝えるクラスタ削除支援手段を
具備することを特徴とする請求項1〜請求項4のいづれか1項記載の追尾処理システム。 - 上記広域情報相関手段からの広域センサ情報とクラスタの相関情報と、上記航跡関連データ記憶手段を参照して、搭載センサの航跡情報と広域センサの観測情報を対応付ける識別支援手段を
具備することを特徴とする請求項1〜請求項5のいづれか1項記載の追尾処理システム。 - 上記域情報相関手段からの広域センサ情報とクラスタの相関情報を参照して、識別に関する情報を上記識別支援手段へ、航跡数に関する情報を上記信頼度補正手段へ送付する手段を
具備することを特徴とする請求項1〜請求項6のいづれか1項記載の追尾処理システム。
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