JP2007145616A - 結晶質半導体粒子の製造方法、光電変換装置の製造方法 - Google Patents

結晶質半導体粒子の製造方法、光電変換装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡素かつ安全な工程で、水素が注入された結晶質半導体粒子を製造することができる結晶質半導体粒子の製造方法、および該製造方法により製造された結晶質半導体粒子が使用され、高い光電変換効率を有する光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】結晶質シリコン粒子3の材料であるシリコン融液11を粒状に排出して、落下させるとともに、該落下中にシリコン融液11を冷却させて凝固させることにより結晶質シリコン粒子3を製造する。この際、シリコン融液11を、水素化合物を含有する雰囲気中で落下させるとともに、該落下中にシリコン融液11を冷却させて凝固させる。従って、簡素かつ安全な工程で、結晶中のダングリングボンドに水素が結合され、結晶欠陥が不活性化された結晶質シリコン粒子3を製造することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光を電気に変換する太陽電池等の光電変換装置に使用される結晶質半導体粒子の製造方法、および光電変換装置の製造方法に関する。
現在、石油等の燃料の代替エネルギー源として、太陽電池等の光電変換装置が注目されている。この太陽電池においては、一般に、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換材料として、単結晶シリコン、多結晶シリコン等のバルク結晶が用いられている。
ここで、太陽電池等の光電変換装置においては、光電変換効率の向上等の性能面に加え、シリコン等の光電変換材料の省資源化や製造コストの低減化等が求められている。しかし、単結晶シリコン、または多結晶シリコン等のバルクを切断して、結晶シリコンウェーハを作成する従来の方法では、切断ロスが多く、高価なシリコン材料が無駄になるため、省資源化を図ることができず、また製造コストが高くなるという問題があった。
そこで、上述の省資源化と製造コストの低減化を図るべく、太陽電池等の光電変換装置に使用される光電変換材料として、結晶質シリコン粒子等の結晶質半導体粒子が提案されており、この結晶質半導体粒子を製造する方法として、溶融落下法が開示されている。より具体的には、例えば、原料となるシリコンを坩堝に収容するとともに、加熱して溶融させ、不活性ガス雰囲気において、坩堝の下方に回転可能に配設され、表面部が1100℃〜1300℃に加熱された棒状体上にシリコン融液を落下させ、シリコン融液を棒状体の表面で飛散させて、冷却することにより結晶質シリコン粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上述の溶融落下法により製造された結晶質シリコン粒子においては、一般に、CZ法(チョクラルスキー法)で製造された単結晶シリコンと異なり、結晶中にダングリングボンド(未結合手)が多く存在するため、光照射により、当該結晶質シリコン粒子内で発生した少数キャリアの拡散長が小さくなる。従って、この結晶質シリコン粒子を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置において、高い光電変換効率を得ることが困難であるという問題があった。
そこで、シリコン原料をプラズマ生成ガスが存在するプラズマ中を通過させて加熱することにより結晶質シリコン粒子を製造する方法が開示されている。より具体的には、石英管等の管状体の内部において、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスと水素ガスとを含むプラズマ生成ガスを高周波コイルにより電離してプラズマを生成させ、シリコン原料を、プラズマへ供給するとともに、当該プラズマ中を通過させることにより溶融させ、その後、自由落下させる方法が開示されている。このような方法により、プラズマ中のラジカル水素を結晶質シリコン粒子に注入して、結晶中のダングリングボンドに結合させることができるため、結晶質シリコン粒子の結晶欠陥を不活性化することができ、結果として、キャリアの寿命を長くして、光電変換効率を向上することができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−78115号公報 特開2002−104819号公報
ここで、一般に、第1導電型(例えば、p型)の結晶質シリコン粒子の表面に第2導電型(例えば、n型)の半導体層を形成することにより、pn接合された光電変換素子を作製する方法として、大掛かりな装置を必要とせず、安価かつ生産性よく第2導電型の半導体層を形成できる熱拡散法が好適に使用される。しかし、上述のごとく、上記特許文献1に記載の溶融落下法により製造された結晶質シリコン粒子においては、少数キャリアの拡散長が小さいため、溶融落下法により製造された第1導電型の結晶質シリコン粒子の表面に、熱拡散法により、第2導電型の半導体層を形成した光電変換素子を備える光電変換装置においても、高い光電変換効率を得ることが困難であり、熱拡散法を有効に使用することができないという問題があった。
また、上記特許文献2に記載の方法においては、高価かつ取り扱いが困難な水素を大量に導入(例えば、数十リットル/分の速度で導入)してプラズマを発生させる必要があるため、結晶質シリコン粒子の製造工程が複雑になるとともに、安全性を確保することが困難であるという問題があった。また、結晶質シリコン粒子の製造コストが高くなるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、簡素かつ安全な工程で、水素が注入された結晶質半導体粒子を製造することができる結晶質半導体粒子の製造方法、および該製造方法により製造された結晶質半導体粒子が使用され、高い光電変換効率を有する光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、結晶質半導体粒子の材料の融液を粒状に排出して、落下させるとともに、該落下中に融液を冷却させて凝固させることにより結晶質半導体粒子を製造する結晶質半導体粒子の製造方法において、融液を、水素化合物を含有する雰囲気中で落下させることを特徴とする。
同構成によれば、大量の水素を使用するプラズマ処理等の複雑な処理を行うことなく、結晶中のダングリングボンドに水素が結合され、結晶欠陥が不活性化された結晶質半導体粒子を製造することができる。従って、水素を含有する結晶質半導体粒子の製造工程が簡素化できるとともに、当該結晶質半導体粒子の製造工程が安全になる。また、水素を含有する結晶質半導体粒子の製造コストが安くなる。また、光照射により、当該結晶質半導体粒子内で発生した少数キャリアの拡散長を大きくすることが可能になるため、結晶質半導体粒子を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置において、高い光電変換効率が得ることが可能になる。特に、熱拡散法により、第1の導電型(例えば、p型)の結晶質半導体粒子の表面に、第2導電型(例えばn型)の半導体層が形成された、pn接合された光電変換素子を備える光電変換装置においても、高い光電変換効率が得ることが可能になる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の結晶質半導体粒子の製造方法であって、結晶質半導体粒子の材料が、シリコンであることを特徴とする。同構成によれば、結晶質半導体粒子の材料として、ゲルマニウムやガリウム−砒素を使用する場合に比し、結晶質半導体粒子を安価に製造することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の結晶質半導体粒子の製造方法であって、結晶質半導体粒子中の水素濃度が、1×1016〜1×1020atoms/cm3であることを特徴とする。同構成によれば、結晶質半導体粒子を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置において、光電変換効率の低下を防止することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の結晶質半導体粒子の製造方法であって、凝固により得られた結晶質半導体粒子を熱処理することにより、再溶融させて結晶化することを特徴とする。同構成によれば、多結晶体である結晶質半導体粒子に含有される鉄、クロム、ニッケル、モリブテン等の金属不純物が低減化されるため、キャリアの再結合を抑制して、少数キャリアの長寿命化を図ることができる。従って、結晶質半導体粒子を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置において、光電変換効率を更に向上させることが可能になる。なお、上記効果が顕著になるとの観点から、当該再溶融により結晶化を行う際に、凝固により得られた結晶質半導体粒子を単結晶化することが、特に好ましい。
請求項5に記載の発明は、結晶質半導体粒子の製造方法であって、結晶質半導体粒子の材料の融液を粒状に排出して、落下させるとともに、該落下中に融液を冷却させて凝固させることにより結晶質半導体粒子を製造する工程と、結晶質半導体粒子を、水素化合物を含有する雰囲気中で加熱溶融した後に、固化することにより単結晶化する工程と、を少なくとも備えることを特徴とする。
同構成によれば、大量の水素を使用するプラズマ処理等の複雑な処理を行うことなく、結晶中のダングリングボンドに水素が結合され、結晶欠陥が不活性化された結晶質半導体粒子を製造することができる。従って、水素を含有する結晶質半導体粒子の製造工程が簡素化できるとともに、当該結晶質半導体粒子の製造工程が安全になる。また、水素を含有する結晶質半導体粒子の製造コストが安くなる。また、光照射により、当該結晶質半導体粒子内で発生した少数キャリアの拡散長を大きくすることが可能になるため、結晶質半導体粒子を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置において、高い光電変換効率が得ることが可能になる。特に、熱拡散法により、第1の導電型(例えば、p型)の結晶質半導体粒子の表面に、第2導電型(例えばn型)の半導体層が形成された、pn接合された光電変換素子を備える光電変換装置においても、高い光電変換効率が得ることが可能になる。
請求項6に記載の発明は、導電性の基板に、第2導電型を有する半導体部が形成された複数の第1導電型の結晶質半導体粒子を接合する工程と、半導体部が形成された結晶質半導体粒子の上部が露出するように、結晶質半導体粒子の間に絶縁体を形成する工程と、結晶質半導体粒子上に透光性導電体を形成する工程と、を少なくとも備える光電変換装置の製造方法において、結晶質半導体粒子が、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の結晶質半導体粒子の製造方法により製造されたものであることを特徴とする。
同構成によれば、大量の水素を使用するプラズマ処理等の複雑な処理を行うことなく製造された、結晶中のダングリングボンドに水素が結合され、結晶欠陥が不活性化された結晶質半導体粒子を使用することができるため、高い変換効率を有する光電変換装置を、簡素、かつ安全に製造することができる。また、光電変換装置の製造コストが安くなる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光電変換装置の製造方法であって、結晶質半導体粒子を、水素雰囲気中で、基板に接合することを特徴とする。同構成によれば、結晶質半導体粒子を基板に接合する際に、結晶中のダングリングボンドに結合された水素の外方拡散を抑制することができるため、光電変換装置における高い変換効率を維持することが可能になる。
本発明によれば、水素を含有する結晶質半導体粒子の製造工程が簡素化できるとともに、当該結晶質半導体粒子の製造工程が安全になる。また、水素を含有する結晶質半導体粒子の製造コストが安くなる。また、結晶質半導体粒子を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置において、高い光電変換効率が得ることが可能になる。
以下に、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る光電変換装置の全体構成を示す断面図である。この光電変換装置1は、下部電極となる導電性の基板2と、当該基板2上に配列され、当該基板2の表面に接合された、第1導電型(例えば、p型)を有する略球形状の結晶質半導体粒子である結晶質シリコン粒子3と、当該結晶質シリコン粒子3の間に形成された絶縁体4と、を備えている。なお、図1に示すように、複数の結晶質シリコン粒子3が基板2の表面に接合されている。また、光電変換装置1は、結晶質シリコン粒子3の上部における表面の一部に形成された第2導電型(例えば、n型)を有する半導体部5と、絶縁体4、および半導体部5の上部を覆うように形成された透光性導体層6と、当該透光性導体層6の上部に形成され、上部電極となるグリッド電極7と、を備えている。
導電性の基板2としては、当該基板2の一主面(即ち、結晶質シリコン粒子3が接合される主面)に導電層が形成されているものであれば良く、例えば、金属基板や、ガラス、セラミック等からなる絶縁基板の一主面に、上述の導電層を形成したものであっても良い。また、基板2として、金属基板を使用する場合は、アルミニウム、銀、銅、錫等の金属を使用することが好ましく、また、導電層としては、例えば、アルミニウム層、またはアルミニウムを含む金属層(アルミニウムを含む銀、銅、または錫からなる金属層)を使用することが好ましい。これは、これらの金属は、高い光反射率を有するため、基板2からの反射光を、光電変換を行う半導体粒子のpn接合部へと多く導くことが可能になるため、光電変換効率を向上させることができるからである。また、基板2として、アルミニウムからなる金属基板を使用することにより、例えば、結晶質半導体粒子である結晶質シリコン粒子3と基板2の接合部にアルミニウムとシリコンの共晶が形成され、結晶質シリコン粒子3と基板2との間の接着強度が向上するため、特に、好ましい。
また、一般に、結晶質半導体粒子の材料としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム−砒素等が使用できるが、本実施形態のごとく、結晶質半導体粒子の材料としてシリコンを使用することが好ましい。これは、ゲルマニウムやガリウム−砒素を使用する場合に比し、結晶質半導体粒子を安価に製造することができるからである。また、本実施形態においては、結晶質シリコン粒子3は、溶融落下法により製造される。より具体的には、まず、容器内において、シリコン原料全体を加熱して溶融させる。次いで、シリコン融液の液滴を、容器のノズルから噴出させて、雰囲気ガス中に自由落下させ、当該自由落下中に冷却して凝固させることにより、結晶質シリコン粒子3が製造される。
また、例えば、結晶質半導体粒子として、結晶質シリコン粒子3を使用する場合、溶融させるシリコンに、予め所定の不純物(ドーパント)を含有させ、第1の導電型(例えば、p型)を呈する結晶質シリコン粒子3を形成する構成としても良い。例えば、結晶質シリコン粒子3がp型である場合は、p型ドーパントとして、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等が使用でき、n型である場合は、n型ドーパントとして、リン、砒素等が使用できる。
絶縁体4は、正極と負極の分離を行うためのものであり、本実施形態においては、当該絶縁体4の材料として、ポリイミド樹脂を使用することが好ましい。これは、結晶質シリコン粒子3の間に絶縁体4を形成する際の処理温度を低く抑えることが可能であり、また、ポリイミド樹脂の弾性係数が小さく、基板2と絶縁体4との熱膨張係数の差を吸収できる点で好ましいからである。また、ポリイミド樹脂は、250℃以上の耐熱性を有するため、絶縁体4の上部を覆うように形成される透光性導体層6の形成過程における昇温により、絶縁体4が変性するのを回避することが可能になるからである。
半導体部5は、第1導電型を有する結晶質シリコン粒子3と逆の第2導電型を有するように、シリコンに所定の不純物(ドーパント)を含有させたものが使用される。例えば、結晶質シリコン粒子3がp型である場合は、半導体部5は、シリコンに、n型ドーパントとして、リン、砒素等が含有されたものが使用される。
また、この半導体部5は、単結晶質、多結晶質、非晶質、微結晶質、ナノ結晶質のうち、いずれの結晶質であっても良い。ここで、微結晶質とは、結晶粒径が0.1μm以上50μm未満の結晶粒からなるものをいい、ナノ結晶質とは、結晶粒径が1nm以上50nm未満の結晶粒からなるものを言う。半導体部5が、単結晶質、または多結晶質であれば、半導体部5での光吸収を小さくすることができ、光電変換効率が向上するため、好ましい。
また、半導体部5は、プラズマCVD法、触媒CVD法、スパッタリング法、イオン注入法等により、結晶質シリコン粒子3の表面に形成しても良いが、熱拡散法で形成することが好ましい。これは、当該熱拡散法は、大掛かりな装置を必要とせず、安価かつ生産性良く、第2導電型の半導体部5を形成することができるからである。この熱拡散法は、例えば、第2導電型のドーパント(例えば、元素周期律表の5族元素であるリン、砒素、アンチモンや、3族元素であるホウ素、アルミニウム、ゲルマニウム)を、例えば、石英からなる拡散炉に導入して加熱し、当該第2導電型のドーパントを第1の導電型の結晶質シリコン粒子3内へ熱拡散させることにより、当該結晶質シリコン粒子3の表面に半導体部5を形成する方法である。
透光性導体層6は、各結晶質シリコン粒子3で発生した光電流を収電するためのものであり、絶縁体4、および半導体部5の上部を覆うように形成されて、個々の結晶質シリコン粒子3によって形成された光電変換素子を並列に接続するものである。この透光性導体層6は、光透過率の高い材料、例えば、錫ドープ酸化インジウム膜、酸化スズ膜、酸化亜鉛膜等から形成されている。なお、ここでいう光透過率の高い材料とは、光透過率が70%以上の材料をいう。また、反射防止効果の観点から、透光性導体層6の膜厚を850Å程度とすることが好ましい。また、透光性導体層6は、量産に適した信頼性の高い均質な膜質を得るために、スパッタリング法で形成するのが好ましいが、CVD法、ディップ法、電析法により形成することもできる。
グリッド電極7は、透光性導体層6の直列抵抗値を低くするためのものであり、透光性導体層6上に銀ペーストや銅ペースト等を、所定のパターンによって、くし状に塗布することにより形成される。
ここで、本実施形態においては、結晶質シリコン粒子3を、上述の溶融落下法により形成するに際し、結晶質シリコン粒子3の材料となる半導体材料(即ち、シリコン材料)の融液を排出して、水素化合物(例えば、水蒸気、アンモニア、炭化水素、アルコール等の水素を含有するガス)を含有する雰囲気中で落下させるとともに、当該落下中にシリコン材料の融液を冷却させて凝固させることにより、結晶質シリコン粒子3を製造する点に特徴がある。以下、図面を参照して、本特徴を詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態に係る結晶質半導体粒子の製造方法が使用される結晶質半導体粒子の製造装置の概略図である。
図2に示すように、結晶質シリコン粒子3の製造装置10は、シリコン材料の融液であるシリコン融液11を収容する容器である坩堝12と、水素化合物を含有する雰囲気9を調整可能な管状体13と、水素化合物を管状体13内に供給するための供給ノズル14と、製造された結晶質シリコン粒子3を回収するための回収部15と、を備えている。
坩堝12は、円筒状の本体部材16と、この本体部材16の底部に取り付けられる円盤状のノズル部材17と、を備えている。また、坩堝12の本体部材16は、シリコン融液11との反応を抑えるための内壁部材18と、当該内壁部材18の外側に配設され、坩堝12の強度を確保するための外壁部材19により構成される。
この内壁部材18と外壁部材19は、鋳込み成形法やホットプレス法などで緻密化された焼結体などで構成されている。また、シリコンとの反応を抑えるために、内壁部材18と外壁部材19は、酸化アルミニウム、炭化珪素、グラファイト等により形成されるが、加工のし易さの観点から、内壁部材18と外壁部材19には、ホットプレスで焼結したグラファイトが好適に使用される。また、内壁部材18と外壁部材19をグラファイトで形成する場合、加工した後に、その純度を上げるために、酸による洗浄を行なった後、水洗と乾燥を行なって使用する。また、内壁部材18と外壁部材19は、例えば、内壁部材18の外側と外壁部材19の内側に設けられたネジ20により取り付けられる構成となっている。
また、ノズル部材17は、坩堝12の先端側に設けられており、当該ノズル部材17にはノズル孔21が形成されている。即ち、図2に示すように、先端に小径部22を有する坩堝12の外壁部材19とは別体に、シリコン融液を排出するためのノズル孔21を有するノズル部材17を設け、当該ノズル部材17を坩堝12の本体部材16の小径部22の内側に設ける構成となっている。このノズル部材17は、炭化珪素、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、立方晶窒化ボロンなどからなり、これらの各材料には、単結晶体あるいは多結晶体が用いられる。
なお、ノズル部材17に、ノズル孔21を複数設ける構成としてもよい。このような構成とすることにより、ノズル孔21の個数だけ、結晶質シリコン粒子3の生産性を向上することが可能になる。また、ノズル孔21は、機械加工、レーザー加工、あるいは超音波加工などで形成することができる。
また、坩堝12において、本体部材16とノズル部材17とを別部材で形成し、各々を組み立てる構造にすることで、ノズル部材17のみを差し替えることが可能となり、高価な坩堝12の本体部材16は繰り返して使用することが可能になる。
管状体13は、気密性を保つことができるものが使用され、石英管、アルミナ管、あるいはステンレス管等を使用することができる。また、管状体13の内部の雰囲気9の調整は、当該管状体13内の圧力とガス濃度を調整することにより行われる。また、水素化合物を管状体13内に供給する供給ノズル14は、管状体13と同様に、例えば、石英、アルミナ、あるいはステンレス等により形成される。
次に、結晶質シリコン粒子の製造方法について説明する。まず、坩堝12に、所定の不純物(例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等のp型ドーパント)を含有させたシリコン原料を投入し、誘導加熱、または抵抗加熱ヒータ(不図示)による加熱を行うことにより、シリコン原料全体を溶融させる。次いで、坩堝12内に収容されたシリコン融液11の上部を、アルゴンガス等で、例えば0.5MPa以下で図中の矢印Xの方向に加圧して、ノズル部材17のノズル孔21から押し出すことにより、シリコン融液11を坩堝12から排出して、当該シリコン融液11を多数の粒状にする。そうすると、粒状のシリコン融液11は、供給ノズル14により、図中の矢印Yの方向に供給された水素化合物を含有する管状体13内の雰囲気9中を自由落下するとともに、当該自由落下中に冷却されて、凝固することにより、第1の導電型(例えば、p型)を呈する結晶質シリコン粒子3が形成される。この際、水素化合物中の水素を結晶質シリコン粒子3に注入して、結晶中のダングリングボンドに結合させることができるため、結晶質シリコン粒子3の結晶欠陥を不活性化することができる。
即ち、本実施形態においては、上述の従来技術において説明した、大量の水素を使用するプラズマ処理を行うことなく、結晶中のダングリングボンドに水素が結合され、結晶欠陥が不活性化された結晶質シリコン粒子3を製造することができる。従って、水素を含有する結晶質シリコン粒子3の製造工程が簡素化できるとともに、当該結晶質シリコン粒子3の製造工程が安全になる。また、高価な水素の代わりに、水蒸気等の水素化合物を使用するため、水素を含有する結晶質シリコン粒子3の製造コストが安くなる。また、光照射により、当該結晶質シリコン粒子3内で発生した少数キャリアの拡散長を大きくすることが可能になるため、結晶質シリコン粒子3を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置1において高い光電変換効率を得ることが可能になる。特に、上述の熱拡散法により、第1の導電型(例えば、p型)の結晶質シリコン粒子3の表面に第2導電型(例えば、n型)の半導体部5が形成された、pn接合された光電変換素子を備える光電変換装置1においても、高い光電変換効率が得ることが可能になる。
なお、水素化合物を含有する雰囲気9としては、例えば、不活性ガスであるヘリウム、ネオン、アルゴン等に、水蒸気、アンモニア、炭化水素、アルコール等の水素を含有するガスを混入したものを使用することができる。
また、光電変換効率の低下を効果的に防止するとの観点から、結晶質シリコン粒子3は、水素を1×1016〜1×1020atoms/cm3含むことが好ましい。これは、水素濃度が1×1016atoms/cm3より小さい時は、粒子内部の欠陥が起因して変換効率が低下し、水素濃度が1×1020atoms/cm3より大きい時は、結晶欠陥を増大させ変換効率が低下するからである。なお、当該水素濃度は、1×1017〜1×1019atoms/cm3であることが、特に好ましい。
また、シリコン融液11が、自由落下中に冷却されて、凝固するまでに、水素化合物中の水素を結晶質シリコン粒子3に注入することが好ましい。溶融シリコンは、非常に活性であり、水素自体と反応するというよりも、むしろ、水素と結合している酸素、窒素、あるいは炭素と激しく反応することにより、水素化合物中の水素が結晶質シリコン粒子3に注入される。従って、水素注入効果は、シリコン融液11が、冷却されて、凝固するまでの間が、最も活性であり、凝固した後は、当該水素注入効果が低下するためである。なお、自由落下中に冷却されて、凝固したシリコン融液11を、再度溶融させて、水素化合物中の水素を結晶質シリコン粒子3に注入する構成とすることもできる。
また、本実施形態においては、水素化合物を含有する雰囲気ガスを、微少量(例えば、流速が、50cc/min程度)、管状体13内に導入する(例えば、水素化合物を、150cc/minの流速を有するアルゴンガスでバブリングして、導入する)ことにより、水素化合物中の水素を結晶質シリコン粒子3に注入することができる。従って、溶融シリコンと、酸素、窒素、あるいは炭素自体との反応を抑制することができ、水素化合物中の水素を結晶質シリコン粒子3に効率良く注入することができる。
水素化合物中の水素が注入された結晶質シリコン粒子3は、回収部15において回収される。この回収部15としては、例えば、結晶質シリコン粒子3を回収する際の落下による衝撃を緩和するための液体を満たしたものを使用することができる。
次いで、回収した(即ち、凝固により得られた)結晶質シリコン粒子3を、皿状の石英容器に均一に敷き詰めて雰囲気焼成炉で石英容器共に熱処理を行なうことにより、再溶融させて結晶化する。これは、回収部15により回収された結晶質シリコン粒子3は、多結晶体を多く含んでいる場合があり、当該多結晶体中に含有される鉄、クロム、ニッケル、モリブテン等の金属不純物や、結晶粒界の境界に存在する再結合中心により、キャリアの再結合が生じるため、少数キャリアの寿命が減少して、結晶質シリコン粒子3が使用される光電変換装置1の光電変換特性が低下する場合があるためである。即ち、当該再溶融による結晶化を行うことにより、多結晶体中に含有される鉄、クロム、ニッケル、モリブテン等の金属不純物が低減化されるため、キャリアの再結合を抑制して、少数キャリアの長寿命化を図ることができ、結果として、結晶質シリコン粒子3を用いてpn接合された光電変換素子を備える光電変換装置1において、光電変換効率を更に向上させることが可能になる。
なお、上記効果が顕著になるとの観点から、回収した結晶質シリコン粒子3を再溶融させて結晶化を行う際に、当該結晶質半導体粒子3を単結晶化することが、特に好ましい。より具体的には、回収した結晶質シリコン粒子3を、石英ガラス製のサヤに充填する。次いで、不活性ガスであるアルゴン雰囲気で十分にガス置換された雰囲気焼却炉内に、石英ガラス製のサヤを収容する。次いで、雰囲気焼却炉内に、酸素ガスと窒素ガスの反応ガスを導入しながら、雰囲気焼却炉内の温度を室温から昇温させて、結晶質シリコン粒子3の表面に酸窒化被膜を形成する。次いで、更に昇温させて、酸窒化被膜内部の結晶質シリコン粒子3を溶融させた後、降温させて、溶融した結晶質シリコン粒子3を凝固させる。そして、熱アニール処理を行い、室温付近まで降温させることにより、上述の金属不純物が低減化された単結晶粒子を作製する。
そして、作製した単結晶化された結晶質シリコン粒子3の表面に形成された酸窒化被膜を、フッ酸、およびフッ硝酸でエッチング除去する。この際、単結晶化された結晶質シリコン粒子3における不純物濃度の高い結晶表面歪層を除去するために、除去される酸窒化被膜の膜厚は、1μm以上であることが好ましい。
以上のようにして製造された、単結晶化された結晶質シリコン粒子3を使用して、上述の図1において説明した光電変換装置1を製造する。より具体的には、まず、上述の熱拡散法により、第1導電型(例えば、p型)を有する結晶質シリコン粒子3の表面に第2導電型(例えば、n型)を有する半導体部5を形成する。次いで、少なくともアルミニウム層、またはアルミニウム合金層が形成された導電性の基板2の一主面に、表面に第2導電型の半導体部5が形成された結晶質シリコン粒子3を、最密六方状を成すようにして複数個配置する。次いで、多数の結晶質シリコン粒子3の上に荷重をかけながら、共晶点(577℃)以上の温度で窒素あるいは窒素水素の還元雰囲気の加熱炉内において熱板で加熱させることによって、結晶質シリコン粒子3を導電性の基板2の一主面に接合させる。この際、結晶質シリコン粒子3と基板2との接合部において、アルミニウムとシリコンの共晶の形成が促進され、導電性の基板2と結晶質シリコン粒子3との接合界面には、アルミニウムとシリコンの共晶から成る接合層8が形成される。次いで、基板2上の結晶質シリコン粒子3の間にポリイミド樹脂からなる絶縁体4を形成する。この際、基板2上の、結晶質シリコン粒子3間の全面において、ムラが発生しないように、絶縁体4をコーティングする。また、結晶質シリコン粒子3の上部が露出するように、絶縁体4を形成する。次いで、例えば、錫ドープ酸化インジウム膜からなる透光性導体層6を、絶縁体4、および半導体部5の上部を覆うように、結晶質シリコン粒子3上に形成する。そして、透光性導体層6上に銀ペーストや銅ペースト等を、所定のパターンによって、くし状に塗布することにより、グリッド電極7が形成され、図1に示す光電変換装置1が製造されることになる。
このような光電変換装置1の製造方法によれば、大量の水素を使用するプラズマ処理等の複雑な処理を行うことなく製造された、結晶中のダングリングボンドに水素が結合され、結晶欠陥が不活性化された結晶質シリコン粒子3を使用することができるため、高い変換効率を有する光電変換装置1を、簡素、かつ安全に製造することができる。また、光電変換装置1の製造コストが安くなる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当該実施形態を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
例えば、水素を含有する結晶質シリコン粒子3の製造方法として、まず、結晶質シリコン粒子3の材料であるシリコン融液11を粒状に排出して、落下させるとともに、該落下中に粒状のシリコン融液11を冷却させて凝固させることにより結晶質シリコン粒子3を製造する。次いで、製造した結晶質シリコン粒子3を、水素化合物を含有する雰囲気(上述の実施形態における雰囲気9に相当)中で加熱溶融した後に、固化させて単結晶化することにより、水素を含有する結晶質シリコン粒子3を製造する方法を採用することもできる。結晶質シリコン粒子3を、水素化合物を含有する雰囲気中で加熱溶融した後に、固化することにより単結晶化する方法としては、例えば、まず、回収した結晶質シリコン粒子3を、石英ガラス製のサヤに充填する。次いで、水素化合物を含有する不活性ガス(例えば、アルゴン)雰囲気中で十分にガス置換された雰囲気焼却炉内に、石英ガラス製のサヤを収容する。次いで、雰囲気焼却炉内に、酸素ガスと窒素ガスの反応ガスを導入しながら、雰囲気焼却炉内の温度を室温から昇温させて、結晶質シリコン粒子3の表面に酸窒化被膜を形成する。次いで、更に昇温させて、酸窒化被膜内部の結晶質シリコン粒子3を溶融させた後、降温させて、溶融した結晶質シリコン粒子3を凝固させる。次いで、熱アニール処理を行い、室温付近まで降温させることにより、単結晶化する方法を採用することができる。このような製造方法においても、上述の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。また、このような製造方法により製造された単結晶化された結晶質シリコン粒子3を使用して、上述の光電変換装置1の製造方法により当該光電変換装置1を製造することもできる。このような光電変換装置1の製造方法においても、上述の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。
また、光電変換装置1の製造方法において、結晶質シリコン粒子3を、水素雰囲気(例えば、水素を5%含むフォーミングガス)中で、基板2に接合することもできる。このような方法により、結晶質シリコン粒子3を基板2に接合する際に、結晶中のダングリングボンドに結合された水素の外方拡散を抑制することができるため、光電変換装置1における高い変換効率を維持することが可能になる。なお、水素の外方拡散は、例えば、二次イオン質量分析(SIMS)装置により、結晶質シリコン粒子3内の不純物の分布を調べるとともに、プラズマ質量分析(ICP−MS)装置により、結晶質シリコン粒子3内の不純物の総量を調べることにより、測定できる。
また、結晶質シリコン粒子3の表面に微細な凹凸を形成し、粗面とする構成としてもよい。この場合、照射される光が多重反射されて、光電変換を行う半導体粒子内に効率良く光を取り込むことができる。微細な凹凸の形成方法としては、ガスエッチ法、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を使用するアルカリ液エッチ法等が挙げられる。なお、この場合、光の乱反射による入射光の利用効率を改善する観点から、結晶質シリコン粒子3の表面の算術平均粗さ(JIS B0601)が0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。
また、上記実施形態においては、結晶質半導体粒子の材料として、シリコンを使用する構成としたが、当該材料として、例えば、ゲルマニウム、ガリウム−砒素等を使用する構成としても良い。
以下に、本発明を実施例、比較例に基づいて説明する。
(実施例1)
(結晶質シリコン粒子の作製)
内径19mmφ、外径25mmφ、長さ140mmの寸法に加工され、ノズル孔をレーザー加工したノズル部材を有するグラファイトから成る坩堝を、アルゴン不活性ガス雰囲気に維持できる炉の中にセットして、坩堝全体を1430℃に加熱した。次いで、この坩堝へ、同じく不活性雰囲気に保たれた経路を通じて、ホウ素がドーピングされた粒径約400μmのシリコン原料80gを供給して完全に溶融させた。次いで、供給ノズルにより、管状体の内部に充填された不活性雰囲気ガスであるアルゴンガス中に、水蒸気を、アルゴンガスに対して、3%となるように供給した。次いで、十分に溶解した状態のシリコン融液に0.3MPaのガス圧力をかけて、ノズル孔から一気に全量を噴霧して排出し、粒状のシリコン融液を、管状体内の水蒸気を含有する雰囲気中を自由落下させるとともに、当該自由落下中に冷却して、凝固させることにより、水素が注入された結晶質シリコン粒子を作製した。なお、管状体には石英管を用い、内部の圧力が外気圧と同じになるように維持した。また、不活性雰囲気であるアルゴンガスの流量に対する水蒸気の流量によって、雰囲気中の水素濃度を調整した。
(水素濃度の測定)
作製した結晶質シリコン粒子の水素濃度を、二次イオン質量分析(SIMS)装置により測定したところ、結晶質シリコン粒子の平均水素濃度は、1×1019atoms/cm3含有されていた。
(単結晶シリコン粒子の作製)
作製した結晶質シリコン粒子を、石英ガラス製のサヤ上に一層で充填し、不活性ガスであるアルゴン雰囲気で十分にガス置換された雰囲気焼却炉内に、石英ガラス製のサヤを収容した。次いで、雰囲気焼却炉内に、酸素ガスと窒素ガスの反応ガスを導入しながら、雰囲気焼却炉内の温度を室温から約1200℃まで昇温させて、結晶質シリコン粒子の表面に酸窒化被膜を形成した。なお、雰囲気ガス中の各分圧はアルゴン:酸素:窒素=75:5:20とした。次いで、シリコンの融点(1420℃)以上の約1440℃で被膜内側のシリコンを約3分間溶融させた後、約1390℃まで冷却し約10分間、温度を保持して凝固させた。その後、約1300℃まで降温し、酸素分圧5%のアルゴン雰囲気ガス中で約10分間の熱アニールを行った。熱アニール後、1000℃まで降温し酸素分圧0%のアルゴン雰囲気ガス中で熱処理を30分間行った。そして、熱処理後は室温まで降温を行い、水素が注入された単結晶シリコン粒子を作製した。なお、作製した単結晶シリコン粒子の表面に形成された酸窒化被膜と単結晶シリコン粒子の最表面層を、フッ酸、およびフッ硝酸でエッチングして、約10μm除去した。また、単結晶シリコン粒子を75℃の水酸化ナトリウム溶液中に浸漬して、エッチングすることにより、単結晶シリコン粒子の表面に微細な凹凸(表面の算術平均粗さが4μm)を形成した。
(半導体部の形成)
次に、作製された単結晶シリコン粒子を、石英ボート上に載置して、900℃に制御された石英管の中に導入するとともに、窒素バブリングさせた塩化ホスホリル(POCl)ガスを、当該石英管に送り込んで、単結晶シリコン粒子を30分間熱処理することにより、単結晶シリコン粒子の表面にリン不純物を熱拡散させて、単結晶シリコン粒子の表面におよそ1μmの厚さのn型半導体部を形成した。
(光電変換装置の製造)
次に、n型半導体部が形成された複数の単結晶シリコン粒子を、幅が50mm、長さが50mm、厚みが500μmの高純度アルミニウムからなる基板上に、最密六方状に配設した。次いで、単結晶シリコン粒子が配設された基板を、窒素ガス、または5%水素を含む窒素ガスの還元雰囲気の加熱炉に導入し、600℃で加熱して、単結晶シリコン粒子を導電性の基板の一主面に接合させた。この際、基板と単結晶シリコン粒子との接合界面には、アルミニウムとシリコンの共晶から成る接合層が形成されていた。次いで、基板上の単結晶シリコン粒子の間にポリイミド樹脂からなる絶縁物質を充填塗布して、乾燥させ、絶縁体を形成した。次いで、複数の単結晶シリコン粒子上の全面に、錫ドープ酸化インジウム膜を、スパッタリング法により成膜し、280℃に昇温することにより、厚さが850Åの透光性導体層を形成した。そして、透光性導体層上に、銀ペーストを、ディスペンサーにより所定のパターンによって、くし状に塗布することにより、グリッド電極を形成し、光電変換装置を製造した。
(光電変換効率の測定)
次いで、ソーラーシュミレーター(WACOM(株)製、商品名WXS155S−10)を使用して、製造した光電変換装置に光(スペクトル:AM1.5、照射強度:100mW/cm)を25℃のもとで照射した場合の、当該光電変換装置の光電変換効率を評価した。以上の結果を、表1に示す。
(比較例1)
結晶質シリコン粒子を作製する際に、水素化合物である水蒸気を供給しなかったこと以外は、上述の実施例1と同様にして、n型半導体部が表面に形成された単結晶シリコン粒子を作製し、光電変換装置を製造した。また、上述の実施例1と同一条件により、光電変換効率の測定を行った。以上の結果を表1に示す。
Figure 2007145616
表1から判るように、実施例1においては、14.1%の光電変換効率が得られており、比較例1の13.2%よりも0.9%高いことが判る。これは、実施例1においては、粒状のシリコン融液を、水蒸気を含有する雰囲気中を自由落下させるとともに、当該自由落下中に冷却して、凝固させることにより、水蒸気中の水素が、結晶質シリコン粒子に注入されて、結晶中のダングリングボンドに結合したため、結晶質シリコン粒子の結晶欠陥を不活性化することができたためであるものと考えられる。
本発明の活用例としては、光を電気に変換する太陽電池等の光電変換装置に使用される結晶質半導体粒子の製造方法、および光電変換装置の製造方法が挙げられる。
本発明の実施形態に係る光電変換装置の全体構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る結晶質半導体粒子の製造方法が使用される結晶質半導体粒子の製造装置の概略図である。
符号の説明
1…光電変換装置、2…基板、3…結晶質シリコン粒子(結晶質半導体粒子)、4…絶縁体、5…半導体部、6…透光性導体層、7…グリッド電極、8…接合層、9…水素化合物を含有する雰囲気、10…結晶質シリコン粒子の製造装置、11…シリコン融液、12…坩堝

Claims (7)

  1. 結晶質半導体粒子の材料の融液を粒状に排出して、落下させるとともに、該落下中に前記融液を冷却させて凝固させることにより結晶質半導体粒子を製造する結晶質半導体粒子の製造方法において、
    前記融液を、水素化合物を含有する雰囲気中で落下させることを特徴とする結晶質半導体粒子の製造方法。
  2. 前記結晶質半導体粒子の材料が、シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の結晶質半導体粒子の製造方法。
  3. 前記結晶質半導体粒子中の水素濃度が、1×1016〜1×1020atoms/cm3であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の結晶質半導体粒子の製造方法。
  4. 前記凝固により得られた結晶質半導体粒子を熱処理することにより、再溶融させて結晶化することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の結晶質半導体粒子の製造方法。
  5. 結晶質半導体粒子の材料の融液を粒状に排出して、落下させるとともに、該落下中に前記融液を冷却させて凝固させることにより結晶質半導体粒子を製造する工程と、
    前記結晶質半導体粒子を、水素化合物を含有する雰囲気中で加熱溶融した後に、固化することにより単結晶化する工程と、を少なくとも備えることを特徴とする結晶質半導体粒子の製造方法。
  6. 導電性の基板に、第2導電型を有する半導体部が形成された複数の第1導電型の結晶質半導体粒子を接合する工程と、
    前記半導体部が形成された前記結晶質半導体粒子の上部が露出するように、前記結晶質半導体粒子の間に絶縁体を形成する工程と、
    前記結晶質半導体粒子上に透光性導体層を形成する工程と、を少なくとも備える光電変換装置の製造方法において、
    前記結晶質半導体粒子が、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の結晶質半導体粒子の製造方法により製造されたものであることを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  7. 前記結晶質半導体粒子を、水素雰囲気中で、前記基板に接合することを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置の製造方法。

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