JP2007144969A - 型内発泡用金型洗浄樹脂及びそれを用いた熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊の除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気孔等、金型に付着した樹脂溶融塊を、治具を用いたり、金型を分解することなく、効率的に除去する方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られる型内発泡用金型洗浄樹脂。ワックスは、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を含み、洗浄樹脂全体に占めるワックスの合計量が1重量%〜30重量%であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られる型内発泡用金型洗浄樹脂。ワックスは、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を含み、洗浄樹脂全体に占めるワックスの合計量が1重量%〜30重量%であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、発泡樹脂成形体の型内発泡用金型の蒸気孔等に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊の除去方法に関する。
一般的に発泡樹脂成形体(特に発泡ポリスチレン)は、各種緩衝材、断熱容器、断熱用途の建材等に多く使用されており、特に魚箱等に多く使用されている。以下、発泡樹脂成形体の製造方法について簡単に説明する。
図1は発泡体の一般的な製造工程を示すフロー図である。また、図2は型内発泡用金型の概略断面図であり、図3は型内発泡用金型の蒸気孔の上面図及び断面図である。
図1に示すように、まず発泡ポリスチレンビーズを一定の嵩密度となるまで予備発泡し、熱可塑性樹脂予備発泡粒子とする。この粒子を熟成した後、成形機に移送する。成形工程では、予備発泡粒子を型内発泡用金型の空隙22に充填し、蒸気孔16から蒸気を吹き込んで予備発泡粒子を加熱し粒子同士を融着させる。その後、水冷、放冷にて冷却後発泡成形体を得る。
図1に示すように、まず発泡ポリスチレンビーズを一定の嵩密度となるまで予備発泡し、熱可塑性樹脂予備発泡粒子とする。この粒子を熟成した後、成形機に移送する。成形工程では、予備発泡粒子を型内発泡用金型の空隙22に充填し、蒸気孔16から蒸気を吹き込んで予備発泡粒子を加熱し粒子同士を融着させる。その後、水冷、放冷にて冷却後発泡成形体を得る。
型内発泡用金型は、厚みが10〜15mm程度のアルミ材であり、対向する2つの成形用型12,14からなる。図2に示したように、金型には蒸気を吹き込むための蒸気孔16が多数設けられている。蒸気孔16は、成形品により種類及び大きさが違う。通常、図3に示すように直径が5〜15mmの円形状で、中に1〜2mm幅のスリット状の孔が開いているものが多く用いられている。蒸気孔の材質は真鍮、アルミ材が多い。
蒸気孔は、成形用型12,14に20〜100mmピッチで配置されており、孔部分の金属厚さは1mm程度である。成形用型12,14のスリット孔開口率は、大きい方が蒸気が多く通過し、品質的には良い成形品が得られるが、成形用型の強度面から上記のピッチとなっている。尚、金型は熱伝導率、加工の容易さ、コストさらには耐久性からアルミ材が一般的となっている。
蒸気孔は、成形用型12,14に20〜100mmピッチで配置されており、孔部分の金属厚さは1mm程度である。成形用型12,14のスリット孔開口率は、大きい方が蒸気が多く通過し、品質的には良い成形品が得られるが、成形用型の強度面から上記のピッチとなっている。尚、金型は熱伝導率、加工の容易さ、コストさらには耐久性からアルミ材が一般的となっている。
ところで、蒸気孔は成形用型との材質の差や周囲との厚さの違いから、蒸気による加熱に対し周囲と比べての温度の上下動が激しく、周囲との温度変化との時間差もあり、また、過熱されることから、長い期間使用すると蒸気孔に予備発泡粒子の樹脂溶融塊が付着することがある。この塊を放置しておくと、徐々に塊が大きくなり、蒸気の噴出が阻害され成形品の強度の大きな因子である融着が悪化する。この場合、一時的には蒸気の噴出時間及び蒸気圧力を調整し、融着の悪化を抑制することが可能であるが、生産性及びエネルギーコスト的には素早く樹脂溶融塊を除去することが望ましい。
樹脂溶融塊の除去方法として、初期の溶融塊であれば、へら等の簡単な治具で除去することができる。しかしながら、蒸気孔は成形用型に多数設けられているため、この方法ではかなりの時間を要する。
尚、初期の溶融塊を除去せず、放置した後に除去する場合、へら等の工具では蒸気孔の表面付近に付いた溶融塊は除去できても、蒸気孔内部の溶融塊は除去できない場合が多い。このため、蒸気孔の内部が目詰まりを起こし、良好な品質の成形品が得られなくなる。この段階になると、樹脂溶融塊を除去するには、金型を分解し、サンドブラストで除去したり、溶剤で塊を膨潤させたのち、高圧の水にて除去する等の処理が必要となる。従って、大変な労力と時間を費やす必要があるため、初期の樹脂溶融塊を効率よく除去する方法が検討されている。
尚、初期の溶融塊を除去せず、放置した後に除去する場合、へら等の工具では蒸気孔の表面付近に付いた溶融塊は除去できても、蒸気孔内部の溶融塊は除去できない場合が多い。このため、蒸気孔の内部が目詰まりを起こし、良好な品質の成形品が得られなくなる。この段階になると、樹脂溶融塊を除去するには、金型を分解し、サンドブラストで除去したり、溶剤で塊を膨潤させたのち、高圧の水にて除去する等の処理が必要となる。従って、大変な労力と時間を費やす必要があるため、初期の樹脂溶融塊を効率よく除去する方法が検討されている。
樹脂溶融塊を除去する方法として、特許文献1では溶剤を剥離剤として金型面に塗布し、溶融塊を膨潤させた後、除去する方法が記載されている。しかしながら、上述したように、蒸気孔は多数あることから、塗布するのに時間を費やしたり、重力の影響で金型下方向は多く塗布され、上部は少なく塗布される等の問題点があった。
特開2004−106231号公報
本発明は上記問題に鑑みて、蒸気孔等、金型に付着した樹脂溶融塊を、治具を用いたり、金型を分解することなく、効率的に除去する方法を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、本発明者はワックスの接着効果に着目した。熱可塑性樹脂予備発泡粒子に、例えば、パラフィンワックス及び/又はエチレン−酢酸ビニル樹脂を塗布(コーティング)又は含浸させたものを一般的な発泡ポリスチレン成形機を用いて成形した成形品では、離型直後の成形品内部の温度が高い場合、各発泡粒子が融着していないため、成形品は発泡粒子の界面で割れる。一方、成形品内部の温度がパラフィンワックス及び/又はエチレン−酢酸ビニル樹脂の融点以下に下がると、パラフィンワックス及び/又はエチレン酢酸ビニル樹脂によって発泡粒子同士が接着される。この接着力により、成形体を割っても発泡粒子の界面で割れることなく、発泡粒子自体が割れる。発泡粒子が融着しているように見えるが、これはパラフィンワックス及び/又はエチレン−酢酸ビニル樹脂のコーティング層と粒子の接着性(凝集力)のためである。
本発明者は、上記のようなワックスと発泡粒子の接着性を利用することにより、型内発泡用金型の蒸気孔等に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊を効率よく除去できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の型内発泡用金型洗浄樹脂及び熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊の除去方法が提供される。
1.熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られる型内発泡用金型洗浄樹脂。
2.前記ワックスがパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を含み、前記洗浄樹脂全体に占める前記ワックスの量が1重量%〜30重量%である1記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
3.前記熱可塑性予備発泡樹脂粒子が、発泡スチレン樹脂、発泡ポリプロピレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、発泡アクリロニトリル・スチレン樹脂、発泡ポリ(メタ)アクリル樹脂、又はこれらの共重合樹脂あるいは混合樹脂からなる1又は2記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
4.前記パラフィンワックスの融点が40℃〜100℃であり、前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニル成分含有量が10重量%以上50重量%以下であり、前記ワックスに占めるエチレン−酢酸ビニル樹脂の重量が5重量%以上30重量%以下である2記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
5.上記1〜4のいずれかに記載の型内発泡用金型洗浄樹脂を型内発泡用金型にて発泡成形することにより、型内発泡用金型に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊を除去する熱可塑性樹脂予備発泡粒塊の除去方法。
6.前記型内発泡用金型洗浄樹脂を蒸気により加熱し、熱融着させる5記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒塊の除去方法。
本発明によれば、以下の型内発泡用金型洗浄樹脂及び熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊の除去方法が提供される。
1.熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られる型内発泡用金型洗浄樹脂。
2.前記ワックスがパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を含み、前記洗浄樹脂全体に占める前記ワックスの量が1重量%〜30重量%である1記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
3.前記熱可塑性予備発泡樹脂粒子が、発泡スチレン樹脂、発泡ポリプロピレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、発泡アクリロニトリル・スチレン樹脂、発泡ポリ(メタ)アクリル樹脂、又はこれらの共重合樹脂あるいは混合樹脂からなる1又は2記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
4.前記パラフィンワックスの融点が40℃〜100℃であり、前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニル成分含有量が10重量%以上50重量%以下であり、前記ワックスに占めるエチレン−酢酸ビニル樹脂の重量が5重量%以上30重量%以下である2記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
5.上記1〜4のいずれかに記載の型内発泡用金型洗浄樹脂を型内発泡用金型にて発泡成形することにより、型内発泡用金型に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊を除去する熱可塑性樹脂予備発泡粒塊の除去方法。
6.前記型内発泡用金型洗浄樹脂を蒸気により加熱し、熱融着させる5記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒塊の除去方法。
本発明の型内発泡用金型洗浄樹脂を使用することによって、治具の使用や金型を分解することなく、効率的に熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊を除去できる。
以下、本発明の型内発泡用金型洗浄樹脂について説明する。
本発明の型内発泡用金型洗浄樹脂は、熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られるものである。
本発明に使用される熱可塑性予備発泡粒子は、熱可塑性樹脂粒子に炭化水素系の発泡剤を含浸したもの(発泡性樹脂粒子)を、予備発泡と呼ばれる密度を決めるための(一次)発泡工程で発泡としたものである。
本発明の型内発泡用金型洗浄樹脂は、熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られるものである。
本発明に使用される熱可塑性予備発泡粒子は、熱可塑性樹脂粒子に炭化水素系の発泡剤を含浸したもの(発泡性樹脂粒子)を、予備発泡と呼ばれる密度を決めるための(一次)発泡工程で発泡としたものである。
発泡性樹脂粒子の材料としては、種々のものが使用可能であるが、ポリスチレンや、スチレンとアクリロニトリル、メタクロニトリル、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、アクリル酸エステル等のアクリル酸系単量体、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等のメタクリル酸系単量体を共重合させたスチレン系共重合体、メタクリル酸系単量体の単独重合体、メタクリル酸系単量体及びアクリル酸系単量体の二種類以上の組み合わせによる共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリ乳酸系等の生分解樹脂が挙げられる。
上記の中でも、製造コスト、リサイクル性、発泡成形性等の点から、スチレン系共重合体が好ましく、耐熱性、耐油性、に優れるアクリロニトリル・スチレン共重合体が製造コストや性能の点から好適である。尚、アクリロニトリル・スチレン共重合体の発泡性樹脂粒子としては、例えば、日立化成工業株式会社製の「HIBEADS GR」(商品名)を用いることができる。
発泡性樹脂粒子の発泡剤としては、発泡性スチレン系樹脂等の製造に一般的に用いられている発泡剤を用いることができる。この発泡剤は、常圧常温下で気体又は液体であり、かつ上記熱可塑性樹脂を溶解しないような易揮発性有機化合物であるのが好ましい。例えば、ブタン、プロパン、ペンタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素等が挙げられる。また、必要に応じて、熱可塑性樹脂を溶解又は膨潤させることができるエチルベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン等の有機溶剤やエポキシ化大豆油、植物油等を可塑剤として使用してもよい。
発泡性樹脂粒子を予備発泡することにより予備発泡粒子が得られる。
本発明における予備発泡粒子の密度は、好ましくは0.016g/ml〜0.1g/mlである。発泡樹脂成形体の密度は、好ましくは0.016g/ml〜0.1g/mlである。密度が0.016g/ml未満では、成形時に予備発泡粒子が熱収縮して、発泡圧力が低下することにより、蒸気孔への密着性が悪くなり、熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊との接着性が悪くなり、除去効果が薄れるおそれがある。一方、0.1g/mlを超えると、成形時間が長くなるため、結果として溶融塊の除去に要する時間が長くなるおそれがある。
本発明における予備発泡粒子の密度は、好ましくは0.016g/ml〜0.1g/mlである。発泡樹脂成形体の密度は、好ましくは0.016g/ml〜0.1g/mlである。密度が0.016g/ml未満では、成形時に予備発泡粒子が熱収縮して、発泡圧力が低下することにより、蒸気孔への密着性が悪くなり、熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊との接着性が悪くなり、除去効果が薄れるおそれがある。一方、0.1g/mlを超えると、成形時間が長くなるため、結果として溶融塊の除去に要する時間が長くなるおそれがある。
予備発泡は、発泡性樹脂粒子を予備発泡機と呼ばれる攪拌機付きの加熱槽に定量供給し、スチーム等を熱媒として加熱することで、所定の密度まで発泡させることにより行うことができる。尚、予備発泡は後述するように、ワックスの塗布、含浸工程と同時に行なうことができる。
熱可塑性樹脂予備発泡粒子に塗布又は含浸させるワックスとしては、金型に付着した溶融塊を除去できる接着力を有するものであれば特に限定されない。
ワックスの好適例としては、パラフィンワックス、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物が挙げられる。
ワックスの好適例としては、パラフィンワックス、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物が挙げられる。
本発明で使用するパラフィンワックスは、分子量が300から800程度であることが好ましい。また、融点は40℃から100℃の範囲であることが好ましく、特に、60℃〜90℃の範囲であることが好ましい。融点が40℃未満では、作業性が低下したり、ワックスの接着効果が低い場合がある。一方、100℃を超えると、予備発泡工程での加工温度とワックスの融点が近づくため、発泡樹脂粒子へのコーティングが不均一となるおそれがある。
原料として使用するパラフィンワックスの形状は、ブロック状、粒子状、粉状があるが、本発明では限定されない。ただし、ブロック状の場合、後述する予備発泡工程でのパラフィンワックスの溶融が不完全になる場合があることから、別途溶融槽と定量供給装置が必要となる。パラフィンワックスは、単一種類のものを用いても良いし、異なる融点のものを複数種混合し用いても良い。
本発明で使用するエチレン−酢酸ビニル樹脂としては、樹脂を構成する酢酸ビニル単位の含有量が10重量%以上50重量%以下であることが好ましく、特に、15重量%〜30重量%であることが好ましい。酢酸ビニル成分量が10重量%以下では、コーティング層と予備発泡粒子の接着効果が薄れるおそれがある。一方、酢酸ビニル成分量が50重量%を超えるとパラフィンと共融が難しく固化するときに層分離を起こすため、コーティングが不均一となり、コーティング層の離脱やコーティング層と粒子の接着効果が低下するおそれがある。
エチレン−酢酸ビニル樹脂の分子量は、パラフィンワックスとの共融の可否、コーティング層と粒子の接着性から適宜調整すればよく、特に制限されるものではない。尚、分子量はメルトフローインデックスで表すことができる。
エチレン−酢酸ビニル樹脂の分子量は、パラフィンワックスとの共融の可否、コーティング層と粒子の接着性から適宜調整すればよく、特に制限されるものではない。尚、分子量はメルトフローインデックスで表すことができる。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂は、個別又は予め共融混合して、発泡性樹脂粒子の予備発泡工程時に投入して、粒子に塗布又は含浸させることができる。より均一なコーティングを行うには、予め共融混合したものを使用することが好ましい。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合比は、パラフィンワックスの分子量、エチレン−酢酸ビニル樹脂の分子量との共重合比率、相溶化剤の有無により範囲は異なる。ワックス全体に占めるエチレン−酢酸ビニル樹脂の重量は、好ましくは5重量%以上30重量%以下、より好ましくは14重量%〜28重量%である。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合は、攪拌機をつけた加熱槽の中に、規定量のパラフィンとエチレン−酢酸ビニル樹脂を入れ、融点以上に加熱することで実施できる。混合物は、適宜ペレタイザ等により粒状に成形できる。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合比は、パラフィンワックスの分子量、エチレン−酢酸ビニル樹脂の分子量との共重合比率、相溶化剤の有無により範囲は異なる。ワックス全体に占めるエチレン−酢酸ビニル樹脂の重量は、好ましくは5重量%以上30重量%以下、より好ましくは14重量%〜28重量%である。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合は、攪拌機をつけた加熱槽の中に、規定量のパラフィンとエチレン−酢酸ビニル樹脂を入れ、融点以上に加熱することで実施できる。混合物は、適宜ペレタイザ等により粒状に成形できる。
本発明の洗浄樹脂において、洗浄樹脂全体に占めるワックスの重量は、好ましくは1重量%〜30重量%、より好ましくは5重量%〜20重量%である。また、パラフィンワックス等は、表面を覆うだけではなく、粒子内に一部が取り込まれる(含浸)される場合も含まれる。
次に、本発明の洗浄樹脂の製造方法の一例として、回分式発泡機を使用した製造方法について説明する。
回分式発泡機での発泡性樹脂粒子へのワックスのコーティングは、常時攪拌しながら、通常、次の六工程を経ておこなわれる。
(1)発泡槽を予備加熱する。
(2)発泡槽に発泡性樹脂粒子を規定量供給する。
(3)発泡槽にパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物(好ましくは共融混合物)を規定量供給する。
(4)発泡槽へスチームを導入して発泡槽内の温度を上昇させる(発泡性樹脂粒子は予備発泡し、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物の融点以上まで昇温することワックスは溶融する)。
(5)発泡性樹脂粒子が発泡し、発泡槽に設置してあるレベルセンサーまで体積が増加したら、加熱を停止させる。
(6)発泡槽に空気を導入し、温度を降下した後、発泡槽外へワックスがコーティング又は含浸された洗浄樹脂を排出する。
回分式発泡機での発泡性樹脂粒子へのワックスのコーティングは、常時攪拌しながら、通常、次の六工程を経ておこなわれる。
(1)発泡槽を予備加熱する。
(2)発泡槽に発泡性樹脂粒子を規定量供給する。
(3)発泡槽にパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物(好ましくは共融混合物)を規定量供給する。
(4)発泡槽へスチームを導入して発泡槽内の温度を上昇させる(発泡性樹脂粒子は予備発泡し、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物の融点以上まで昇温することワックスは溶融する)。
(5)発泡性樹脂粒子が発泡し、発泡槽に設置してあるレベルセンサーまで体積が増加したら、加熱を停止させる。
(6)発泡槽に空気を導入し、温度を降下した後、発泡槽外へワックスがコーティング又は含浸された洗浄樹脂を排出する。
尚、工程(6)において、洗浄樹脂の発泡機からの取り出しは、ワックスの融点以下に冷却した後におこなう方が、予備発泡樹脂粒子のケーキング防止が可能となる等、ハンドリング上好ましい。
こうして作製した洗浄樹脂を熟成(予備発泡樹脂粒子内の減圧緩和)する。熟成工程は、従来公知の設備、方法がそのまま適用できる。通常、通気性の良い布製、サラン製もしくは金網製のサイロに、常温にて、約8時間以上、72時間以内保管することで熟成はおこなわれる。
上記(3)〜(6)の、発泡性樹脂粒子へのワックスのコーティング及び/又は含浸は、従来公知の予備発泡機に、ワックス等の定量供給装置を追加することで、そのまま転用できる。また、発泡機の方式には、連続式のものと回分式のものが公知であり転用可能であるが、より精度良く定量供給するためには回分式予備発泡機に定量供給装置を追加したものが好ましい。
尚、予備発泡工程に用いられる予備発泡機は、通常、攪拌翼を備えた発泡槽と、発泡槽へスチームを供給するためのチャンバーからなり、これら二層は金網等で仕切られ材料の移動はないものの、熱媒であるスチームは金網等を通過し発泡槽へ供給される構造となっている。
続いて、本発明の洗浄樹脂の使用方法について説明する。
洗浄樹脂の使用は、製品の製造により型内発泡用金型が汚れたとき等、製品原料に置き換えて、本発明の洗浄樹脂を成形装置に投入し、洗浄樹脂を成形することで行なう。洗浄樹脂を成形することにより、洗浄樹脂の表面付近のワックスが溶融する。ワックスは金型に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒塊等の汚染物と洗浄樹脂との間にも存在するため、これを冷却することにより両者の間に接着力が生じる。このため、金型を開いて成形物を取り出した際に、その接着力によって成形物と一緒に汚染物も除去できる。
洗浄樹脂の使用は、製品の製造により型内発泡用金型が汚れたとき等、製品原料に置き換えて、本発明の洗浄樹脂を成形装置に投入し、洗浄樹脂を成形することで行なう。洗浄樹脂を成形することにより、洗浄樹脂の表面付近のワックスが溶融する。ワックスは金型に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒塊等の汚染物と洗浄樹脂との間にも存在するため、これを冷却することにより両者の間に接着力が生じる。このため、金型を開いて成形物を取り出した際に、その接着力によって成形物と一緒に汚染物も除去できる。
本発明の洗浄樹脂を使用することにより、特に、蒸気孔等のような細部に付着した予備発泡粒子塊でも除去が可能である。このため、従来のように治具を用いたり、金型を分解することなく、金型に付着した汚染物を除去できる。従って、成形機の稼動を止めることがないため、汚染物を効率的に除去できる。
本発明の洗浄樹脂は、従来公知の設備に使用できる。例えば、発泡スチロール等の成形装置は、予備発泡粒子間の熱融着に用いる加熱媒体であるスチーム、冷却水及び圧縮エアーを、タイマーや圧力スイッチによって電気的に制御する成形機に、一定量のスチームを均一に供給するチャンバー室と、原料樹脂を充填する閉塞しうるが密閉しえない空隙を有する金型(型内発泡用金型)を取り付けたものである。金型内に予備発泡樹脂粒子を充填したのち、スチームを熱媒として加熱し発泡させ、その後冷却することで発泡樹脂成形体が得られる。
尚、本発明においてワックスの融点以上の温度で減圧冷却したり、脱型することは好ましくない。ワックスの融点以上の温度では、洗浄樹脂と汚染物間の接着力が発現しづらいためである。また、ワックスの融点以上での成形体の金型からの脱型は、溶融したワックスの一部が、脱型のための圧縮エアーに同伴され蜘蛛の巣状に飛散してしまうことから好ましくない。
以下、実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。尚、以下に説明する実施例は、本発明を好適に説明する例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
実施例1
[洗浄樹脂の作製]
発泡性樹脂粒子として、発泡性アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:HIBEDS GR)、ワックスとして、粒状パラフィンワックス(日本精蝋株式会社製、商品名:PALVAX1230、融点65℃)を用い、発泡スチロール用の回分式予備発泡機(日立化成テクノプラント株式会社製発泡機、商品名:HBP−500LW)にて以下の工程(1)〜(6)により、ワックスがコーティングされた予備発泡樹脂粒子(洗浄樹脂)を得た。
(1)発泡槽の予備加熱は、スチーム加熱により、約80℃に上げた。
(2)攪拌翼を回しながら、発泡性樹脂粒子を1.1kg発泡槽上部より投入した。
(3)攪拌翼を回しながら、165gの粒状ワックスを発泡槽上部より投入した。
(4)発泡槽へスチームを導入し、発泡槽温度を約100℃まで上げるとともに加熱を維持した。発泡性樹脂粒子は発泡し、スチーム導入後、約100秒で発泡槽の容積50リットルの位置に設けられたレベルセンサーに到達した。
(5)空冷エアーで55℃まで発泡槽温度を下げた。
(6)発泡槽外へワックスがコーティングされた予備発泡樹脂粒子を排出した。
この予備発泡樹脂粒子の嵩密度は0.025g/ml(発泡倍数:40倍)であった。
[洗浄樹脂の作製]
発泡性樹脂粒子として、発泡性アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:HIBEDS GR)、ワックスとして、粒状パラフィンワックス(日本精蝋株式会社製、商品名:PALVAX1230、融点65℃)を用い、発泡スチロール用の回分式予備発泡機(日立化成テクノプラント株式会社製発泡機、商品名:HBP−500LW)にて以下の工程(1)〜(6)により、ワックスがコーティングされた予備発泡樹脂粒子(洗浄樹脂)を得た。
(1)発泡槽の予備加熱は、スチーム加熱により、約80℃に上げた。
(2)攪拌翼を回しながら、発泡性樹脂粒子を1.1kg発泡槽上部より投入した。
(3)攪拌翼を回しながら、165gの粒状ワックスを発泡槽上部より投入した。
(4)発泡槽へスチームを導入し、発泡槽温度を約100℃まで上げるとともに加熱を維持した。発泡性樹脂粒子は発泡し、スチーム導入後、約100秒で発泡槽の容積50リットルの位置に設けられたレベルセンサーに到達した。
(5)空冷エアーで55℃まで発泡槽温度を下げた。
(6)発泡槽外へワックスがコーティングされた予備発泡樹脂粒子を排出した。
この予備発泡樹脂粒子の嵩密度は0.025g/ml(発泡倍数:40倍)であった。
得られた予備発泡樹脂粒子を通気性の良い網袋に入れて、約17時間熟成させて、洗浄樹脂を作製した。。
[洗浄樹脂の使用]
発泡スチロール用成形機(日立化成工業株式会社製、商品名:モルデックスC10VS)に、約10,000ショット成形した金型(700L×500W×50tボード状:目視で蒸気孔は70%閉塞)をセットした。
以下の条件(1)〜(3)により、上記で作製した洗浄樹脂を成形した。
(1)0.07MPaの蒸気を18秒間金型に導入し予備加熱を行った。
(2)洗浄樹脂を金型に充填した後、0.07MPaの蒸気圧で金型を2秒間加熱し、その後、金型の一面を4秒間加熱、次ぎに他の一面を4秒間加熱、その後、両面を10秒間加熱した。
(3)続いて、5秒間水冷した後、真空冷却を100秒行った。その後、金型を開き成形品を取り出した。
以下(2)〜(3)を繰り返した。繰り返しを4回行ったところ、蒸気孔の閉塞は50%に低減し、さらに、合計10回行ったところ、閉塞は20%にまで低減した。
発泡スチロール用成形機(日立化成工業株式会社製、商品名:モルデックスC10VS)に、約10,000ショット成形した金型(700L×500W×50tボード状:目視で蒸気孔は70%閉塞)をセットした。
以下の条件(1)〜(3)により、上記で作製した洗浄樹脂を成形した。
(1)0.07MPaの蒸気を18秒間金型に導入し予備加熱を行った。
(2)洗浄樹脂を金型に充填した後、0.07MPaの蒸気圧で金型を2秒間加熱し、その後、金型の一面を4秒間加熱、次ぎに他の一面を4秒間加熱、その後、両面を10秒間加熱した。
(3)続いて、5秒間水冷した後、真空冷却を100秒行った。その後、金型を開き成形品を取り出した。
以下(2)〜(3)を繰り返した。繰り返しを4回行ったところ、蒸気孔の閉塞は50%に低減し、さらに、合計10回行ったところ、閉塞は20%にまで低減した。
尚、上記においては、ワックスコーティングした予備発泡粒子を金型に充填し、金型蒸気孔に付着した、熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊の除去例を示したが、金型表面に離型不良等で付着した樹脂塊の除去にも適用可能である。さら、パラフィンワックス等の発泡性樹脂粒子へのコーティング及び/又は含浸工程の、予備発泡工程でも、金型蒸気孔同様に予備発泡機蒸気孔の樹脂塊除去にも有効である。
本発明の洗浄樹脂及び除去方法は、発泡スチロール等の発泡樹脂成形体の製造に好適に適用できる。
12、14 成形用型
16 蒸気孔
22 成形品用空隙
16 蒸気孔
22 成形品用空隙
Claims (6)
- 熱可塑性予備発泡粒子にワックスを塗布又は含浸して得られる型内発泡用金型洗浄樹脂。
- 前記ワックスがパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を含み、前記洗浄樹脂全体に占める前記ワックスの量が1重量%〜30重量%である請求項1記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
- 前記熱可塑性予備発泡樹脂粒子が、発泡スチレン樹脂、発泡ポリプロピレン樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、発泡アクリロニトリル・スチレン樹脂、発泡ポリ(メタ)アクリル樹脂、又はこれらの共重合樹脂あるいは混合樹脂からなる請求項1又は2記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。
- 前記パラフィンワックスの融点が40℃〜100℃であり、
前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニル成分含有量が10重量%以上50重量%以下であり、
前記ワックスに占めるエチレン−酢酸ビニル樹脂の重量が5重量%以上30重量%以下である請求項2記載の型内発泡用金型洗浄樹脂。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の型内発泡用金型洗浄樹脂を型内発泡用金型にて発泡成形することにより、型内発泡用金型に付着した熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊を除去する熱可塑性樹脂予備発泡粒塊の除去方法。
- 前記型内発泡用金型洗浄樹脂を蒸気により加熱し、熱融着させる請求項5記載の熱可塑性樹脂予備発泡粒塊の除去方法。
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JP2005369389A JP2007144969A (ja) | 2005-10-25 | 2005-12-22 | 型内発泡用金型洗浄樹脂及びそれを用いた熱可塑性樹脂予備発泡粒子塊の除去方法 |
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JP2014125519A (ja) * | 2012-12-26 | 2014-07-07 | Jsp Corp | 予備発泡粒子及び発泡粒子成形体 |
CN111673960A (zh) * | 2020-06-17 | 2020-09-18 | 苏州德林泰精工科技有限公司 | 一种基于树脂垫片的基板封装包封模具清洗方法 |
-
2005
- 2005-12-22 JP JP2005369389A patent/JP2007144969A/ja active Pending
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