JP2007139913A - 画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料を無駄無く使って低コストにカラーフィルタ層を形成できるとともに、明るく見易い高品位な画像を表示してモバイル機器等の商品性を著しく高め得る画像表示装置を提供する。
【解決手段】後方基板3上に表示電極1の外周を囲む隔壁11を形成して移動空間20Sを形成し、帯電粒子6を分散させた分散液体7を充填して、前方基板4で封止している。表示電極1の表面に形成されたカラーフィルタ層としての着色層8は、平均直径20nmのAu微粒子(9)を核として周囲に厚さ50nmのSiO層(10)を形成した青色の透過波長選択粒子を積層した構造である。着色層8は、インクジェットプリンタを用いて印刷形成することにより、形成場所と形成厚さとを制御した。
【選択図】図1

Description

本発明は、変調媒体に印加した電界に応じて表示セルの透過光が変調される画像表示装置、詳しくは、表示セルにカラー表示を行わせるためのカラーフィルタ層とその製造方法とに関する。
パソコンや各種モバイル機器における電力消費の削減、軽量化、商品性の向上等を目的として、従来の液晶ディスプレイに代わる各種の画像表示装置が提案されている。
特許文献1には、液晶ディスプレイのような偏光素子を不要として照明光の利用効率を顕著に高めた電気泳動表示装置が示される。ここでは、白色の表示面における黒色の帯電粒子による被覆率を電界制御して階調表示を行う。
電気泳動表示装置は、3つの表示セル(副画素)で1つの画素を構成して、3つの表示セルに三原色(RGB)のカラーフィルタ層を配置すれば、液晶ディスプレイのように画素のフルカラー表示が可能である。ただし、画素を構成する3つの表示セルでカラーフィルタ層がそれぞれ可視光の2/3づつの波長帯域を遮断するので、モノクロ表示に比較すると画像はかなり暗くなる。
また、電気泳動表示装置は、液晶ディスプレイと同様、観察側の前方基板に対向配置された後方基板に反射面を設ければ、観察側の照明光(外部光)に頼ってバックライトが不要となる反射型画像表示装置を設計できる。
特許第3421494号公報 『超微粒子とは何か』、丸善書店、川村清著、1987年2月出版 「色材」、第75巻、第2号、66〜70頁、2002年
画像表示装置でカラー表示を行わせる場合、上述したように、カラーフィルタ層の透過損失が画面の明るさを大きく左右する。しかし、感光性樹脂の透明レジスト材料に原色の顔料粒子を分散させた従来のカラーフィルタ材料は、顔料粒子による透過光の散乱に起因して、透過すべき波長帯域での透過率もそれほど高くないため、照明光の使用効率が一段と低かった。
特に、反射型画像表示装置では、バックライト等の自己照明に頼ることができず、また、液晶層等の反射往復に伴って照明光がカラーフィルタ層を2回透過するため、散乱も増える。そして、表示された画像が極端に暗くなると視覚的な階調感が乏しくなって表示画像の魅力が大きく損なわれてしまい、周囲に比べて極端に暗い画面は、画像観察それ自体が苦痛となるほどであった。
また、従来の画像表示装置におけるカラーフィルタ層は、原色レジスト材料の塗布/パターン露光/未露光部分の現像除去を3回繰り返して、三原色のストライプ状のカラーフィルタ層を形成していたので、原色レジスト材料の無駄が多い、工程数が多くて工程自体も精密で複雑、現像剤を含めて廃棄物が多い、従って製造コスト高、という種々の問題を抱えていた。
本発明は、材料を無駄無く使って低コストにカラーフィルタ層を形成できるとともに、明るく見易い高品位な画像を表示してモバイル機器等の商品性を著しく高め得る画像表示装置を提供することを目的としている。
本発明の画像表示装置は、観察側に配置された前方基板と、前記前方基板と対向配置された後方基板と、前記前方基板と前記後方基板との間で、表示セルごとに印加された電界に応じて前記表示セルの透過光を変調する変調媒体とを備えた画像表示装置において、金属超微粒子を核として周囲に光透過層を形成した透過波長選択粒子を積層したカラーフィルタ層を備えるものである。
本発明の画像表示装置は、透明材料に分散させた原色顔料の表面ではなくて、絶縁性材料の光透過層にはみ出して形成された金属超微粒子の電子軌道が透過光の波長帯域の選択吸収/選択透過を制御する。従って、金属超微粒子の表面から遠く離れた領域まで透過光の選択吸収/選択透過に寄与するので、金属超微粒子自体がそのサイズから散乱性を持たないことに加えて、必要な選択吸収/選択透過の機能を実現するための金属超微粒子の空間密度も原色顔料に比べて極小で済む。つまり、カラーフィルタ層は、高度に透明な空間となって、散乱を生じることなく透過光が選択吸収/選択透過される。
また、性状不安定で取り扱いが難しい金属超微粒子を光透過層でコーティングして安定化させ、光透過層の厚みで金属超微粒子の凝集を回避して電子軌道の空間密度を適正に制御できる。従って、高価な金属超微粒子を節約しつつ、高い選択吸収/選択透過機能をカラーフィルタ層の全面、全厚で均一に実現できる。そして、光透過層によって金属超微粒子が顔料粒子に近い粒径の透過波長選択粒子となるので、一般的なインクジェット吐出装置等を用いてカラーフィルタ層を印刷形成することも不可能ではなくなる。
そして、透過性の高いごく薄いカラーフィルタ層でも、十分な選択吸収/選択透過の機能を実現でき、原色顔料を用いた場合に比較して、反射型の往復光路における散乱損失を大幅に減らして、明るい画像表示を実現できる。これにより、低消費電力で明るく見易い高品位な画像を表示して、モバイル機器等の商品性を著しく高め得る。
以下、本発明の一実施形態である反射型の電気泳動表示装置100について、図面を参照して説明する。電気泳動表示装置100は、無数の表示セル20を格子状に配列した画像表示装置であるが、図面では、1つの表示セルで代表して図示し、以下の説明では、専ら1つの表示セルについて詳細な説明を行う。
本発明の画像表示装置は、以下に説明する実施形態の構成部材には限定されず、構成部材の一部または全部を同等な機能の別の構成部材によって置き換えた種々の実施形態で実施可能である。
例えば、反射面を兼ねた表示電極1を後方基板3に形成する代わりに、表示電極1を透明電極に置き換えた透明な後方基板3の背後に共通の反射面を配置してもよい。不図示の薄膜トランジスタ素子(TFT)によってアクティブマトリクス型の駆動を行う代わりに、アクティブマトリクス型以外の表示セル駆動方式を採用してもよい。変調媒体としては、帯電粒子6の代わりに、一般的な偏光板と液晶層の組み合わせが採用されてもよい。
また、本発明のカラーフィルタ層は、従来の顔料や染料を用いたカラーフィルタ層の1色、2色を置き換えて実施してもよい。すなわち、必要な原色のすべてを金属超微粒子9の着色に依存する必要は無い。
また、本発明のカラーフィルタ層およびその製造方法は、反射型のモバイル機器のみならず、透過型の各種画像表示装置、例えばバックライトを用いた液晶ディスプレイ等にも利用可能である。
特許文献1に示される電気泳動表示装置の一般的な構造や製造方法、例えば、材料、封止構造、配線形態、薄膜トランジスタ素子の構造、ドライバを含む画像表示回路、駆動信号処理、成膜プロセス、パターン形成技術等については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、煩雑を避けるべく、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図、図2は着色層にコート層を形成した表示セルの説明図、図3はインクジェット吐出装置による着色層の形成手順の説明図である。第1実施形態の電気泳動表示装置100は、インクジェット吐出法により形成したカラーフィルタ層を、表示セル20の反射面を兼ねた表示電極1上に配置している。
図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100は、観察側の前方基板4と反射側の後方基板3との間に隔壁11を配置して、前方基板4と後方基板3との間隔を所定間隔に保持している。隔壁11は、表示セル20ごとの移動空間20Sを仕切って隣接する表示セルを隔てており、移動空間20Sには、変調媒体の一例としての帯電粒子6を分散させた透明な分散液体7が充填されている。帯電粒子6は、正極性に帯電した黒色の粒子である。
前方基板4は、最大限の透過光を得るべく、透明ガラスや透明樹脂フィルム等の光透過性材料で構成される。後方基板3は、必ずしも透明である必要はなく、フィルム基板や金属基板等で構成しても良い。後方基板3には、不図示の駆動配線、薄膜トランジスタ素子、電子回路を保護する層間絶縁層が形成されている。後方基板3上には、Al等の金属を用いて形成され、電極と反射板とを兼ねて表面を白色化された表示電極1が配置され、絶縁性材料の平坦化層5によって覆われている。
隔壁11の表面には、後方基板3上の多数の表示セル20に共通な電極である隔壁電極2が形成され、隔壁電極2は、帯電粒子6との直接接触を回避するための絶縁層12で覆われている。
後方基板3の平坦化層5の上に着色層8が積層されている。着色層8は、金属超微粒子9を核にして透明な絶縁性材料の粒子間隔保持部材10を形成した透過波長選択粒子(以下では金属超微粒子9で代表させる)を積層して形成されている。
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極1と隔壁電極2との間に、表示セル20の駆動電圧を発生する不図示の駆動電圧発生装置が接続されている。駆動電圧発生装置は、表示電極1に表示セル20ごとの電圧を印加して、隔壁電極2と表示電極1との間に電界を形成して、帯電粒子6を移動空間20Sで移動(分散液体7中を泳動)させる。そして、帯電粒子6による表示電極1の表面の被覆状態を変化させることにより、前方基板4側から見通した表示セル20の階調を変化させる。
図1では、隔壁電極2を0Vとして表示電極1に正極性の電圧信号を印加して、帯電粒子6を隔壁11に集めた状態を示しており、この状態で、観察者は、着色層8を見透かした色の表示電極1を観察する。そして、表示電極1に負極性の電圧信号を印加して、帯電粒子6を表示電極1に集めると、帯電粒子6の黒色によって、表示セル20は黒表示となる。図1の状態から表示電極1に印加される負極性の電圧信号の電圧や印加時間を調整すれば、帯電粒子6によって表示電極1の一部を覆った中間階調も表示可能である。
隔壁11は、一般に使用されているレジスト材料、或いは熱可塑性材料、紫外線硬化材料などで形成することができる。隔壁11の厚さは5〜30μm程度である。隔壁電極2は、Al、Ti等の金属膜、或いはITO等で構成する。
隔壁11で仕切られた移動空間20Sには、帯電粒子6を分散させた分散液体7が封入されている。分散液体7としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、またはその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物を用いることができる。分散液体7に界面活性剤等を配合してもよい。
帯電粒子6は、分散液体7中の空間電位差に応答して電気泳動する性質を有する有機あるいは無機の粒子である。帯電粒子6としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン等の白色顔料、アゾ系顔料、その他着色顔料等の1種類または2種類以上を用いることができる。これらの顔料には、必要に応じて、電解質、界面活性剤、樹脂、ゴム、油等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示電極1、平坦化層5、着色層8を形成した後方基板4に隔壁11を形成し、隔壁11の表面に隔壁電極2と絶縁層12とを形成している。そして、隔壁11で囲まれた移動空間20Sに、帯電粒子6を分散させた分散液体7を注入したのち、前方基板4を上面に配置して周囲を封止してある。
このとき、前方基板4の内壁面等、分散液体7の界面を覆って機能性の表面層を形成してもよい。機能性の表面層としては、帯電粒子6が貼り付かず、移動空間20Sにおける良好な電気泳動を確保できるような薄膜層を形成したり、表面処理をしたりする。分散液体7との濡れの良好な表面を形成して分散液体7の封入を容易にする場合もある。
帯電粒子6や必要な添加剤を調合した分散液体7を移動空間20Sに注入する方法としては、後方基板3上に分散液体7を滴下するだけでも良いが、表示セル20毎の帯電粒子6の数を増やし、表示セル20毎の帯電粒子6の数を揃えるためには、分散液体7を滴下する際に、表示電極1に負極性の電圧を印加して、分散液体7中の帯電粒子6を速やかに表示電極1に拘束させる処理を同時に行うことが効果的である。
帯電粒子6および分散液体7を表示セル20へ均一に注入した後、前方基板4を隔壁11上に載せて気泡が入らないように外周を封止する。このとき、前方基板4は、例えばPETフィルムやPESフィルム等の柔軟性のあるものが好ましく用いられる。前方基板4の外周を封止する際には、前方基板4の中央側に端部よりも若干圧力を掛けて余分な分散液体7を外側へ追い出すなどの方法で行うと良い。また、帯電粒子6を分散させた分散液体7の注入は、溶液の滴下及び塗布でも行えるが、さらにインクジェット吐出装置を用いて表示セル20毎に定量供給することも可能である。
かかるようにして、帯電粒子6と分散液体7とを表示セル20内に封入した後、前方基板4の周辺部を封止し、分散液体7等の流出を防ぐ処理を行う。封止の方法は特に限定されないが、例えば、前方基板4の内側面(画素内部側)と隔壁11の上部とを光硬化性樹脂で被覆しておき、帯電粒子6と分散液体7とを封入した後に、光照射によって表示セル20毎に密閉封止する方法等を利用できる。
<着色層>
着色層8の金属超微粒子9は、粒子間隔保持部材10によって金属超微粒子9の間隔を概ね一定に保持された状態で、膜状に表示セル20の底面を覆っている。粒子間隔保持部材10で被覆された金属超微粒子9(透過波長選択粒子)は、ほぼ同形状で、表示セル20の底面上に、概略均一に分散して積層していることが好ましい。以後、金属超微粒子9(透過波長選択粒子)が積層した薄膜状の着色層8を金属超微粒子凝集層と呼ぶ。
図1では、模式的に金属超微粒子9(透過波長選択粒子)が2層積層した状態を示したが、積層数や積層厚さは、これに限定されるものではなく、必要な着色が確保される最低限の積層を越えていれば良い。
また、金属超微粒子9(透過波長選択粒子)の隙間を透明材料で充填して、透過波長選択粒子の表面での散乱を減らしてもよい。図2に示すように、積層された金属超微粒子9(透過波長選択粒子)を覆って透明材料のコート層13を形成して、帯電粒子6の貼り付きを減らしてもよい。
図1では、着色層8は、反射面を兼ねる表示電極1の上に積層されている。このような反射型画像表示装置では、前方基板4から入射した外光は、分散液体7、着色層8、平坦化層5を通過したのち、表示電極1により反射する。反射した光は、平坦化層5、着色層8、分散液体7を逆に通過して前方基板4から射出して観察者に届く。
従って、反射型画像表示装置では、表示セル20に入射した外光は、着色層8を往復2回通過することになるため、片道1回通過するだけの透過型画像表示装置とは異なり、着色層8による光損失の影響が大きくなる。しかし、上述した様に、金属超微粒子9は、強い着色力を有しているため、金属超微粒子9と粒子間隔保持部材10からなる金属超微粒子凝集層(着色層8)を用いて、薄くても色再現性の良好なカラーフィルタ層を提供できる。
金属超微粒子凝集層(着色層8)は、主たる構成成分として、金属超微粒子9と、金属超微粒子9が凝集した状態で金属超微粒子9同士の間隔を一定距離に保つための粒子間隔保持部材10からなる。
金属超微粒子9としては、例えばRGBやCMYといった所望の色に対応する表面プラズモン吸収の波長を有するものであれば特に限定されないが、可視域に表面プラズモン吸収が生じることが良く知られている金属群としては、貴金属・白金族が好ましい。例えばAg、Au、Cu、Pt等は好ましく用いられる。また、金属超微粒子9の大きさや形状についても、所望の色を呈色するものを適宜選択して用いるとよい。
粒子間隔保持部材10は、透明であって、後述するように、容易に金属超微粒子9の表面に積層できる材料であれば特に限定されない。例えば、無機酸化物であるSiO、TiO、Al、NiO、ZnO、及びこれらの混合物などが好ましく用いられる。また、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及びその原材料である各種モノマー、脂肪酸及び脂肪酸塩、液晶分子、水溶性高分子も好ましく用いられる。
粒子間隔保持部材10は、金属超微粒子9の表面に稠密なシェル層を形成できるものであることが好ましい。また、所望の着色にコントロールする方法の1つに、かかる粒子間隔保持部材10の厚みを制御する方法があるが、適度な時間で数nm〜数百nmの厚みを制御できる方法であれば尚、好ましい。
加えて、後述する金属超微粒子凝集層(着色層8)を形成するために溶液組成物を調整することが必要になるので、水溶性・非水溶性いずれの溶媒にも分散可能な材質であることが好ましい。例えば、SiO、TiO、は、水溶性溶媒に対して比較的分散性の良好なコロイド溶液を調合できることが知られている。
一方、金属超微粒子9を樹脂でコートした場合には、一般的に、非水系有機溶媒に分散性の良好な溶液組成物を調整できることが知られている。かかる粒子間隔保持部材10を具備した金属超微粒子9を分散性の良好な溶液組成物に調整するために、さらに適宜微量の分散剤を加えることも好ましい。
また、例えば、RGB、CMYといった異なる原色の着色層8を複数配置するには、前述の金属超微粒子9を形成する金属材料種が異なるものを選択する、金属超微粒子9自体の粒子サイズの異なるものを選択する、粒子間隔保持部材10の厚みの異なるものを選択する、といった方法が好ましく用いられる。とりわけ、金属超微粒子9を同一材料として、その表面に形成する粒子間隔保持部材10の厚みを変調して複数の微粒子を作成し、所望の複数色のカラーフィルタを形成する方法は、インクジェット吐出装置用の溶液組成物の作成が煩雑にならないことから最も好ましく用いられる。
上述の金属超微粒子凝集層(着色層8)を形成する場合には、予め、かかる粒子間隔保持部材10を具備した金属超微粒子9を分散させた溶液組成物を用意し、塗布法、インクジェット吐出法等で膜形成する方法が好ましい。かかる製造方法の一例を図3の模式図に基づいて説明する。
図3の(a)に示すように、予め、後方基板3上に表示電極1、平坦化層5A、5B、隔壁11、隔壁電極2を順次形成した状態の後方基板3を用意する。一方、粒子間隔保持部材10を具備する金属超微粒子9を所定の溶媒等に分散させた溶液組成物14を調合しておき、図3の(a)に示すように、各表示セル20に所望の着色を呈する溶液組成物14をインクジェット吐出装置の吐出ヘッドのノズル19から吐出させる。このとき、表示セル20の表示電極1を必要なだけ着色させるための金属超微粒子9の密度と量、金属超微粒子凝集層(着色層8)の厚みを予め調べておき、1回又は複数回の吐出によって表示セル20内に金属超微粒子9を吐出させるようにすると良い。
溶液組成物14を吐出し終わった状態を図3の(b)に示す。次に、インクジェット吐出法を行うために要した溶液成分(溶媒)を除去する。これによって、図3の(c)に示すように、概略、金属超微粒子9と金属超微粒子9に具備された粒子間隔保持部材10が、密集して薄膜を形成する。溶液成分の除去は、例えば、加熱・放置乾燥・減圧乾燥などによって行うと良い。
本実施形態の着色層8は、図1に示すような溶液部分を除去した金属超微粒子凝集層のことを指すが、上述の様に、溶液組成物の付与工程と溶媒除去工程を行う際に、同時に図3の(c)に示すように、金属超微粒子凝集層の最表面に透明なコート層13を形成することも可能である。例えば、溶液組成物中に適量のモノマーを添加しておき、主たる溶媒を除去した後、最終的に、加熱・光硬化などの樹脂硬化工程を加えるなどしてコート層13を形成することが可能である。コート層は、明るいカラー表示を行う反射型表示装置に必須のものではないが、表示材料、例えば、電気泳動表示装置100の場合には、帯電粒子6の張り付き状態に影響する場合があるので、表示セル20の底面を着色する場合に、最表面のごく薄い領域のみを、張り付きの少ない材料にすることが実用的に好ましい。
また、溶液組成物の形成においては、金属超微粒子9を被覆する粒子間隔保持部材10と溶媒は濡れの性の良好なものを選択すると良い。さらに、上述したように、コート層13を形成するための材料を溶液組成物に予め微量添加する場合には、コート層13の材料が溶液組成物の溶媒と相溶性の良好なものを選択することが好ましい。
コート層13を有する着色層8の別の形成方法としては、上述したのと同様に、粒子間隔保持部材10を具備する金属超微粒子9を分散させた溶液組成物をインクジェット吐出法で表示セル20の底面に印刷配置して溶媒を十分に除去した後、再びインクジェット吐出法で、コート層13の材料を溶解した溶液組成物を金属超微粒子凝集層(着色層8)の上に印刷配置し、過熱・光硬化などの樹脂硬化工程を加えるといった方法も好ましく行える。
また、RGB等、隣接する表示セルに異なる原色の着色層を形成する場合には、複数のノズルを用いて各原色で順次吐出を行う、あるいはマルチノズルを用いて同時に複数の原色の吐出を行う、等の方法が好ましく用いられる。
かかる方法で作製する金属超微粒子凝集層(着色層8)の厚みは、所望の着色力を呈する様に設定すればよい。従来の反射型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ層は少なくとも500nm、一般的には1μm程度の厚みが必要であることが良く知られているが、粒子間隔保持部材10に囲まれた金属超微粒子9を積層してなる金属超微粒子凝集層(着色層8)を用いれば、500nm以下の厚みで所望の着色を行うことが可能である。最終的な金属超微粒子9のミクロな凝集状態(後述する溶液組成物の加熱乾燥過程等)によっても影響されるが、50〜300nm程度の薄膜で所望の着色を実現できる。
金属超微粒子9の製造方法としては、ガス蒸着法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理手法、コロイド法、アルコキシド法、均一沈殿法等の化学的液相法、有機金属化合物の熱分解法などの化学的気相法、といった種々の製造方法が知られている。
物理的な製造方法としては、一般に、超微粒子の原料を蒸発させて核を形成し、核が成長したと同時に適宜有機化合物を付着させることにより、所望の材料で被覆された金属超微粒子9を得る。
また、液相法、例えばコロイド法ではアルコール中で貴金属塩を環境条件下で還元することにより、高分子に被覆された金属超微粒子9がコロイド状に析出する。
また、Auの粒径数nmの金属超微粒子を所望の溶媒に均一に分散させた溶液組成物を製造する場合、上述の物理的な製造方法を用いて、Auの金属超微粒子9をトルエン等の非水溶系有機溶媒に単分散した溶液組成物を作製できる。一方、同じAuの金属超微粒子をエタノール+水などの水系溶媒に単分散した溶液組成物を作製できることも知られている。
金属超微粒子9の表面に所望の厚みの粒子間隔保持部材10を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の様な方法が挙げられる。
まず、所望のサイズの金属超微粒子9が分散するコロイド溶液を作製する。次に、シランカップリング剤を加えてシラノール基を導入し、金属超微粒子9の表面にごく薄いシリカ層を形成する。次に、エタノール中に金属超微粒子9を移し、テトラエトシキシラン存在下でSiO層を所望の厚さまで成長させる。
このとき、温度や反応物溶液の濃度を調整することで、数分〜数時間といった時間で、粒子間隔保持部材10としてのSiO層を、数nm〜数百nmの範囲で制御することが可能である。作製後のコロイド溶液は、凝集・沈殿することなく、インクジェット吐出法等によって、安定に、注入、印刷、膜形成等できる。
別の方法として、数種類の脂肪酸金属塩を不活性ガス中で熱分解することにより、コアとしての金属超微粒子9の表面が脂肪酸で覆われた微粒子(数nmの粒子間隔保持部材10を有する金属超微粒子9)を作製する方法が挙げられる。脂肪酸で覆われた金属超微粒子9は、有機溶媒に良好な分散性を示し、非水系溶液組成物として、金属超微粒子凝集層(着色層8)を作製すると良い。また、このとき、粒子間隔保持部材10の厚みが不足な場合には、例えば光硬化性・熱硬化性のモノマーを溶媒中に適量溶解し、一定温度で撹拌しながら、モノマーを粒子表面に吸着固化させる等の方法で、粒子間隔保持部材10の厚みを調整してもよい。
粒子間隔保持部材10の形成方法は、以上の方法に限定させるものではなく、金属超微粒子9の表面に均一な表面層を形成する方法であればどのような方法でも良い。
ここで、着色材として用いる金属超微粒子9の着色現象について説明する。近年、ナノテクノロジーへの取り組みが盛んであるが、中でも微粒子をナノサイズにしたことによる物性の変化が注目されている。その中で、金属超微粒子9は通常バルクでは金属光沢を示すが、非特許文献1に示されるように、ナノサイズの微粒子になると特定の波長の電磁波を吸収して着色する現象(プラズモン吸収)が良く知られている。
こういったナノサイズの金属超微粒子を用いた透明材料の着色現象は、古くからステンドグラス等の着色に用いられてきたもので、自然光の吸収と透過による濁りのないクリアな色を示すという優れた着色特性を有し、従来カラーフィルタに用いられている顔料よりもはるかに着色能が高いことが指摘されている。例えば、非特許文献2には、銀ナノ粒子を、高彩度の有機顔料であるPY110を比較すると、銀ナノ粒子の単位体積あたりの着色力は有機顔料の100倍程度であることが報告されている。
さらに、ナノ粒子による着色では、ナノ粒子による光の散乱が無視できることから、従来の有機顔料を分散して着色した場合に比べて、格段に透明度の高いクリアな着色が可能になる。
第1実施形態の電気泳動表示装置100における表示セル20のカラー表示は、金属超微粒子9の金属超微粒子凝集層(着色層8)を配置することにより、金属超微粒子9固有のプラズモン吸収による着色力の強さを利用して、反射型画像表示装置においても、鮮やかなカラー表示を行うことを可能にしている。
金属超微粒子凝集層(着色層8)を用いたカラー表示は、反射型表示素子であれば、特に変調媒体や変調方式を問わず、例えば液晶でも、明るく鮮やかなカラー表示を行うことができる。とりわけ、後述する様に、カラーフィルタ層の膜厚を従来よりも薄くしても着色力を高く確保できるため、外光が着色層8を2回通過する際の損失光が低減できる。
また、カラーフィルタ層の膜厚を薄くできるため、In−plane型電気泳動表示装置のように、表示セル20の駆動のための電極対によって形成される電界領域内にカラーフィルタ層が配置される場合には、特に駆動電圧の低減も同時に実現できるために特に好ましい。
第1実施形態の電気泳動表示装置100を試作した。図1に示すように、表示セル20の大きさは100μm×100μmである。各表示セル20は、格子状の隔壁11によって仕切られ、隔壁11は、幅8μm、高さ20μmである。隔壁11の表面には隔壁電極2が膜状に形成され、その上を平坦化層5で被覆している。後方基板3には、よく洗浄したガラス基板を使用し、後方基板3の全面に蒸着したアルミニウム層を通常のフォトリソグラフィー法を用いて表示セル20ごとの表示電極1にパターニングした。
平坦化層5の形成後、後方基板1の全面に感光性の樹脂材料を塗布し、再びフォトリソグラフィー法を用いて隔壁11をパターニングした。隔壁11の表面に真空蒸着法でチタンからなる隔壁電極2を成膜/パターニングし、出来上がった隔壁電極2の表面に、エポキシ樹脂からなる絶縁層12を形成して隔壁電極2を被覆した。
次に、平均粒径20nmのAu微粒子表面にシラノール基を予め導入した後、エタノール水溶液中に移し、テトラエトキシシランの加水分解により、SiO2層を50nmに成長させ、粒子間保持部材10を形成する。
図3の(a)に示すように、粒子間保持部材10を結合するための水溶性モノマーを溶液組成物14に極微量添加して良く撹拌すると青い色を示す。こうして作製した溶液組成物14をインクタンクに導入し、インクジェット吐出装置の吐出ヘッドのノズル19を用いて、各画素内、即ち電極1上に積層した平坦化層5上に、等量づつを吐出する。次に後方基板3を比較的穏やかな温度である60℃に保持し、溶液組成物14中の溶媒を加熱除去したのち、UV光を3分照射すると、粒子間保持部材10のSiO層で被覆された金属超微粒子9のために、表示電極1の表面が青く色付く。
次に、帯電粒子6の分散液体7として、炭化水素型溶媒(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いる。分散液体7には、帯電粒子6の帯電を安定化させるためのゴム誘導体(商品名:クラプレンLIR410、クラレ社製)を添加する。誘導体の添加濃度は0.8wt%である。帯電粒子6としては、平均粒径1〜2μm程度であるカーボンブラック含有のポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂からなるポリマービーズを使用した。帯電粒子6は正極性に帯電させている。
帯電粒子6を分散させた分散液体7を、隔壁11で囲まれた移動空間20Sに充填したのち、透明なPET樹脂板の前方基板4を隔壁11の上に設置し、気泡が残らないように前方基板4の外周を密閉した。
このようにして作製した電気泳動表示装置100の隔壁電極2を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、前方基板4側から表示セル20を観察したところ、濁りのない鮮やかな青色の表示が確認できた。
その後、作製した電気泳動表示装置100の前方基板4を剥がし、金属超微粒子凝集層(着色層8)をSEM(走査型電子顕微鏡)及びTEM(透過型電子顕微鏡)で観察したところ、金属超微粒子9としてのAu微粒子の表面に50nm厚のSiO層が積層された平均粒径120nmの透過波長選択粒子(金属超微粒子9)が最稠密状態で積層していることが確認できた。
実施例2では、図2に示すように、金属超微粒子凝集層(着色層8)の表面にコート層13を形成した。まず、実施例1と同様な手順を用いて、SiO層を同様に50nm程Au微粒子表面に形成してコロイド溶液を調整した。また、コート層13の材料として、光硬化型モノマーを適量有機溶媒に溶解させた溶液組成物を準備した。
実施例1と同様に、図3に示すインクジェット吐出法の手順により、SiO層を形成したAu微粒子の溶液組成物を各表示セル20内に吐出し、その後、充分に加熱乾燥させる。充分乾燥させたのち、再びインクジェット吐出法で、モノマー溶液組成物をその上に吐出し、加熱乾燥しながらUV照射する。こうして作製した表示セル20は、表示電極1上のSiO層で被覆された金属超微粒子9のために、表示電極1上が青く色付いている。
次に、実施例1と同様に、帯電粒子6を分散させて帯電安定化剤等を添加した分散液体7を移動空間20Sに充填して、透明なPET樹脂板の前方基板4を隔壁11の上に設置し、気泡が残らないように周囲を密閉した。
作製した電気泳動表示装置100の隔壁電極2を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、濁りのない鮮やかな青色の表示が確認できた。このとき、顕微鏡下で帯電粒子6の応答を詳細に観察したところ、金属超微粒子凝集層(着色層8)が形成された表示電極1の表面上に張り付いて動かなくなる帯電粒子6は殆ど無く、電圧変化に対する応答の良い良好な帯電粒子6の泳動特性が確認された。
実施例3では、図3に示すように、インクジェット吐出法により、2列の液晶セル20列に別々のカラーフィルタ層を形成した。まず、実施例1と同様に、前方基板4と後方基板3とを準備した。後方基板3には、表示電極1、平坦化層5、隔壁11、隔壁電極2等が形成されている。
次に、平均粒径20nmのAu微粒子表面にシラノール基を予め導入した後、エタノール水溶液中に移し、テトラエトキシシランの加水分解により、Au微粒子表面にSiO層を50nmに成長させ、粒子間隔保持部材10を形成する。この溶液組成物14に水溶性モノマーを極微量添加して良く撹拌する。撹拌した溶液は、青い色を示す。さらに、平均粒径20nmのAu微粒子表面に同様にシラノール基を導入した後、エタノール水溶液中に移し、テトアエトキシシランの加水分解によって、SiOを180nmに成長させた厚い粒子間隔保持部材10を形成する。この溶液組成物に水溶性モノマーを微量添加して良く撹拌すると赤い色を示す。
こうして作製した青と赤、2種類の溶液組成物を別々のインクタンクに導入し、図3の(a)に示すように、後方基板3上の表示セル20群の隣接する2列に対して、インクジェットヘッドノズル2個を同時に用いて、後方基板3を100μmピッチでステップ送りしながら、列毎に異なる色、すなわち青と赤の溶液組成物14をライン状に吐出した。
次に、後方基板3を比較的穏やかな温度である60℃に保持し、図3の(b)に示すように、溶液組成物14中の溶媒を加熱除去したのち、UVを3分照射すると、SiO層で被覆された金属超微粒子9のために、表示電極1上が表示セル20の列毎に青色と赤色とに呈色した。さらに、今度は、全部の表示セル20に対して、実施例2と同様に、再びインクジェット吐出法でコート層13となるモノマー溶液組成物をその上に吐出し、加熱乾燥しながらUV照射し、図3の(c)に示すように、青色又は赤色に色分けされた全表示セル20の表面に樹脂のコート層13を形成した。そして、実施例1と同様に、帯電粒子6と分散液体7とを用意し、気泡が残らないように表示セル20に充填し、透明なPET樹脂板の前方基板4を重ねて周囲を密閉した。
作製した電気泳動表示装置200Bの隔壁電極2を接地し、青色の表示セル20の表示電極1と、赤色の表示セル20の表示電極1とを別々に束ね、互いに極性が異なるようにして、各々+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、黒、青、赤、青と赤の混色、の4種類の着色状態が確認できた。
<第2実施形態>
図4は第2実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。第2実施形態の電気泳動表示装置200は、表示電極1との間に電界を形成する面状電極15を前方基板4側に配置し、着色層18を面状電極15上に配置した以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図4中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示すように、第2実施形態の電気泳動表示装置200は、前方基板4と後方基板3との間に隔壁11を配置して、前方基板4と後方基板3との間隔を所定間隔に保持している。隔壁11は、表示セル20ごとの移動空間20Sを仕切っており、移動空間20Sには、帯電粒子6を分散させた透明な分散液体7が充填されている。なお、隔壁11を設けず、帯電粒子8を分散させた分散液体9をマイクロカプセル(不図示)に内包した状態で、前方基板4と後方基板3との間に多数配置する構成を採用してもよい。
後方基板3には、不図示の駆動配線、薄膜トランジスタ素子等が形成され、表示電極1を配置して平坦化層5で覆っている。表示電極1に対向させて、前方基板4には、透明な面状電極15が配置され、面状電極15を覆って着色層18が配置されている。着色層18は、金属超微粒子9の表面に所望の厚みの粒子間隔保持部材10を形成した透過波長選択粒子(以下では金属超微粒子9で代表させる)を積層して形成されている。
第2実施形態の電気泳動表示装置200は、表示電極1と面状電極15との間に電圧を印加して、正極性(または負極性)に帯電した帯電粒子6を上下方向に移動させて表示セル20の表示切替えを行う。そのため、帯電粒子6と分散液体7とは、両方とも不透明である。例えば、帯電粒子6を黒色、分散液体7を白色とすると、帯電粒子6が電界によって前方基板4(面状電極15)側に集められた状態では帯電粒子6の黒、逆に後方基板3(表示電極1)側に集められた状態では分散液体7の白が着色層18を通して前方基板4側から観察される。従って、分散液体7が反射面を形成するため、表示電極1が反射面である必要はない。
また、正極性(または負極性)に帯電した黒色帯電粒子と、負極性(または正極性)に帯電した白色帯電粒子とを透明な分散液体中に分散させてもよい。この場合、面状電極15に黒色帯電粒子を集めて表示電極1に白色帯電粒子を集めた状態で黒、一方、面状電極15に白色帯電粒子を集めて表示電極1に黒色帯電粒子を集めた状態で白という2種類の表示切替えが可能である。
第2実施形態の電気泳動表示装置200では、前方基板4から入射した外光は、面状電極15、着色層18を通過して移動空間に入射する。そして、帯電粒子6の配置状態に応じて強度変調された反射光が、再び着色層18、面状電極15を透過して前方基板4から射出する。
従って、画像表示の照明光である外光は、着色層18を往復で2回通過することになるが、上述したように、金属超微粒子9は強い着色力を有しているため、粒子間隔保持部材10を具備する金属超微粒子9で形成した着色層8を用いると、光損失の少ない鮮やかなカラー表示を行うことができる。
また、面状電極15と表示電極1との間に電圧を印加して帯電粒子6を移動させるために要する駆動電圧は、通常、面状電極15に配置される着色層18の誘電率と膜厚とに大きく影響を受ける。しかし、ごく薄い着色層18によって十分なカラーフィルタ性能を発揮できるので、こういった影響を低減して低電圧でも高速の表示書替えが可能である。
第2実施形態の電気泳動表示装置200の製造方法としては、第1実施形態と同様に、後方基板3上に表示電極1、隔壁11、平坦化層5を形成し、前方基板4に面状電極15を形成して不図示の絶縁層で覆う。
そして、前方基板4の着色層18を配置したくない領域にレジスト層が残るように、フォトリソグラフィー法でレジストパタ−ンを形成する。一方、粒子間隔保持部材10を形成した金属超微粒子9(透過波長選択粒子)を溶媒に分散させて熱硬化型のモノマーを微量添加した溶液組成物をスピン塗布法で、前方基板4の上記パターン上に塗布し、その後加熱乾燥させて溶液組成物中のモノマーを硬化させる。その後、フォトリソグラフィー法で形成したレジストパターンをレジスト剥離液で除去すると、図4に示すように、金属超微粒子凝集層(着色層18)を表示セル20の隔壁11を避けた領域内のみに形成できる。
次に、隔壁11によって表示セル20毎に区切られた構造体を形成した後方基板3側に、第1実施形態と同様に、インクジェット注入法で泳動粒子6と分散液体7を吐出付与し、その上から基板4を位置調整しながら注意深く張り合わせる。
第2実施形態の電気泳動表示装置200における別の製造方法としては、隔壁11を前方基板4側に形成する方法が挙げられる。すなわち、後方基板3上には、表示電極1及び表示電極1上の平坦化層5を形成しておき、一方、前方基板4上には、面状電極2および隔壁11を形成しておく。次に、隔壁11によって囲まれた移動空間20Sに、第1実施形態と同様に、インクジェット吐出法で、粒子間隔保持部材10を具備した金属超微粒子9(透過波長選択粒子)を分散した溶液組成物を吐出し加熱乾燥して金属超微粒子凝集層を形成して着色層18とする。さらに、その上に、インクジェット吐出法で光硬化型モノマーの希薄溶液を吐出し、光照射してコート層13を作成する。
次に、同じく前方基板4側の表示セル20毎に、第1実施形態と同様にインクジェット吐出法で、帯電粒子6と分散液体7とを吐出し、後方基板3を位置調整しながら注意深く張り合わせる。
第2実施形態の電気泳動表示装置200を作製した。図4に示すように、後方基板3には、表示伝電極1および平坦化層5を実施例1と同様の手順で形成した。すなわち、後方基板3の全面にアルミニウム薄膜を積層して表示電極1をフォトリソグラフィー法によりパターニングした。その上に、樹脂を1000Åスピンコーティング法で膜形成して平坦化層5とした。
一方、PET樹脂板の前方基板4上にITO透明薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法でパターニングして面状電極15とした。その後、前方基板4上に隔壁11となる感光性樹脂材料層を形成し、フォトリソグラフィー法でパターニングして隔壁11を形成した。
次に、隔壁11が形成された前方基板4を仰向けにし、実施例2と同様な手順で50nm厚のSiO層を表面に形成したAu微粒子が分散した溶液組成物をインクジェット吐出法によって各表示セル20の移動空間20Sに対して等量ずつ吐出し、加熱乾燥させて溶媒を充分除去する。続けて、実施例2と同様に、再びインクジェット吐出法でモノマー溶液組成物を移動空間20Sの金属超微粒子9の上に吐出し、加熱乾燥しながらUV照射する。こうして着色層18を形成した前方基板4は、ITOの面状電極15が青色に呈色する。
次に、金属超微粒子9による着色層18を設けた前方基板4を仰向けにしたまま、実施例2と同様に、帯電粒子6を分散させた分散液体7を移動空間20Sに滴下/充填して、その上から後方基板3を重ねて、顕微鏡下で注意深く位置合わせをしながら貼り付けた。
作製した電気泳動表示装置200の面状電極15を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、濁りのない鮮やかな青色の表示が確認できた。このとき、顕微鏡下で帯電粒子6の応答を詳細に観察したところ、コート層13によって、金属超微粒子凝集層(着色層8)が形成された面内に張り付いて動かなくなる帯電粒子6は殆ど無く、良好な泳動特性を示した。
実施例5では、Au微粒子の表面に粒子間隔保持部材10を形成しないで、直接透明樹脂材料に分散させて硬化させることにより着色層8を形成した。まず、実施例4と同様に、隔壁11を形成した前方基板4と後方基板3とを準備した。
次に、平均粒径20nmのAu微粒子をトルエンに分散したものを用意して、そこに光硬化型モノマーを溶解した。モノマーの量は、予め、Au微粒子の表面全体に180nm積層される量を見積もって決定した。モノマーを添加した後、溶媒が飛ばないように閉容器中で充分撹拌する。
次に、実施例1と同様、インクジェット吐出法で溶液組成物を表示セル20の移動空間20S毎に等量ずつ吐出したのち、加熱乾燥して着色層18を形成した。加熱乾燥後の前方基板4の面状電極15は、概ね赤い色を呈するものの、顕微鏡下で詳細に観察すると、若干黒く濁った赤色の領域があった。
次に、実施例4と同様に、泳動粒子6を分散させた分散液体7を用意し、気泡が残らないように表示セル20の移動空間20Sに充填し、後方基板3を重ね合わせて接合/封止した。比較例では、前方基板4側に各表示セル20に対応して着色層18と面状電極15とが配置されているため、後方基板3と前方基板4のアライメントを考慮して、用心深く封止した。
作製した実施例5の電気泳動表示装置(200)の面状電極15を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、部分的に泳動特性に不具合が生じる場合があった。その後、後方基板3から前方基板4を剥がして、金属超微粒子9を含む着色層18をSEM及びTEMで観察したところ、駆動の不具合が生じた表示セル20の中でも、赤色が黒ずんで見えた領域は、金属超微粒子9同士の間隔が不均一で、一部多数の金属超粒子9が凝集している様子が確認できた。
従って、実施例1〜実施例4と実施例5との比較から明らかなように、金属超微粒子9に、金属超微粒子9の凝集した状態での粒子間隔を等しく保持するための粒子間隔保持部材10を予め具備することによって、金属超微粒子凝集層で着色層8、18を形成した鮮やかなカラー表示の反射型画像表示装置を提供できる。特に、薄くても着色力に優れ、着色層8、18による散乱と吸収に起因する光利用効率低減を抑制できる。さらに、電界の途中に着色層8、18を配置した場合の駆動電圧の上昇あるいは応答速度の低下を抑制できる。
<第3実施形態>
図5は第3実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。第3実施形態の電気泳動表示装置300は、実施例5と同様、分散層16に直接金属超微粒子9を分散させて着色層8Bが形成される以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図5中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図5に示すように、第3実施形態の電気泳動表示装置300は、観察側の前方基板4と反射側の後方基板3との間に隔壁11を配置して、前方基板4と後方基板3との間隔を所定間隔に保持している。隔壁11は、表示セル20ごとの移動空間20Sを格子状に仕切っており、隔壁11の表面には、後方基板3上の表示セル20に対して共通に接続された隔壁電極2が形成されている。隔壁電極2の表面は絶縁層12で覆われている。移動空間20Sには、帯電粒子6を分散させた透明な分散液体7が充填されている。
後方基板3には、不図示の駆動配線、薄膜トランジスタ素子等が形成され、表面が白色化された表示電極1を配置して、表示電極1上に着色層8Bが配置されている。着色層8Bは、金属超微粒子9を分散層16に分散させてある。
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、いわゆるInPlane型であって、帯電粒子6を分散させた分散液体7を移動空間20Sに保持している、そして、表示電極1と隔壁電極2との間に電圧を印加して形成された電界が、帯電粒子6を表示電極1と隔壁電極2との間で水平方向に移動させ、帯電粒子6による表示電極1の被覆状態に応じて表示セル20の表示階調が変化する。
図5では、表示電極1と隔壁電極2との間に電圧を印加して、帯電粒子6を隔壁電極2に寄せた状態が示されており、観察者は、表示セル20底面の表示電極1で反射されて着色層8Bを往復透過した光の色を観察する。そして、観察者から見た際の表示電極1の帯電粒子6による被覆状態によって反射光量が変調されるので、分散液体7は透明液体である。
着色層8Bは、表示セル20の底面を膜状に覆って配置され、分散層16に分散配置された金属超微粒子9は、ほぼ同形状で、分散層16中に概略単一分散配置した状態であることが好ましい。
第3実施形態の電気泳動表示装置300では、着色層8Bは、反射板を兼ねた表示電極1の上に積層されている。この様な反射型の画像表示装置では、前方基板4からの入射光は、分散液体7から着色層8Bを通過して表示電極1で反射され、再び着色層8Bから分散液体7を通過して前方基板4から観察側へ射出する。
この様に、外光は、着色層8Bを2回通過するため、反射型の画像表示装置では透過型の画像表示装置よりも着色層8Bによる光損失の影響が大きくなる。上述した様に、金属超微粒子9は強い着色力を有しているため、金属超微粒子9を分散させた着色層8Bを用いて、薄くても色再現性の良好なカラーフィルタ層を提供できる。
着色層8Bは、主たる構成成分として、金属超微粒子9と、金属超微粒子9を分散固定するための分散層16とからなる。金属超微粒子9としては、例えばRGBやCMYといった所望の原色に対応する表面プラズモン吸収の波長を有するものであれば特に限定されないが、可視域に表面プラズモン吸収が生じることが良く知られている金属群としては貴金属・白金族が好ましい。例えばAg、Au、Cu、Pt等は好ましく用いられる。また、金属超微粒子9の大きさや形状についても、所望の原色を呈色するものを適宜選択して用いるとよい。
金属超微粒子9の分散層16は透明であって、容易に膜形成できる材料であれば特に限定されない。例えば、無機酸化物であるSiO、TiO、Al、NiO、ZnO、及びその混合物などが好ましく用いられる。また、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂なども好ましく用いられる。
例えば、上述の無機酸化物を分散層16に用いる場合には、予めかかる無機酸化物の微粒子のスラリー(懸濁液)を用意し、その中に金属超微粒子9を分散させて単一液としたのち、塗布法、インクジェット吐出法等で膜形成する方法が好ましい。
或いは、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いる場合には、所望の樹脂のモノマー材料を溶媒に溶解したものを用意し、その中に金属超微粒子8を分散させて単一液としたのち、同じように、塗布法、インクジェット吐出法等で膜形成する方法が好ましい。ここで、容易に単一液にするためには、金属超微粒子9を予め分散させる溶媒は、分散層16の材料と相溶性の良いものが望ましい。
また、インクジェット吐出法以外にも、溶液混合物を後方基板3の全体に滴下したのち、余分な液体を除去する方法や、スピンコート法で後方基板3の全面の空隙に溶液組成物を行き届かせる方法も、適宜好ましく用いられる。
金属超微粒子9の製造方法としては、ガス蒸着法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理手法、コロイド法、アルコキシド法、均一沈殿法等の化学的液相法、有機金属化合物の熱分解法等の化学的気相法等の種々の製造方法が知られている。
このうち、物理的手法では、一般に、金属超微粒子9の材料を蒸発して核を形成し、核が成長したと同時に適宜有機化合物を付着させ、所望の材料で被覆された金属超微粒子9を得る。また、コロイド法等の液相法では、アルコール中で貴金属塩を所定の環境条件下で還元させることにより、高分子に被覆された金属超微粒子9がコロイド状に析出する。
例えば、Auの粒子径が数nmの金属超微粒子9を所望の溶媒に均一に分散させた溶液組成物を得ようとする場合、上述の物理的手法を用いてAuの金属超微粒子9をトルエン等の非水溶系有機溶媒に単分散した溶液組成物が作製できる。一方、同じAuの金属超微粒子9をエタノール+水などの水系溶媒に単分散した溶液組成物が得られることも知られている。
分散層16の材料を含む溶液組成物と、金属超微粒子9を含む溶液組成物とを混合した後に、塗布法やインクジェット法によって着色層8Bを形成することになるので、上述したように、溶液組成物の溶媒を同一のもの、あるいは相溶性の良いものとしておくことが好ましい。
隔壁11は、一般に使用されているレジスト材料、或いは熱可塑性材料、紫外線硬化材料などで形成できる。隔壁11の高さは、5μm〜30μm程度である。隔壁11の表面には、Al、Ti等の金属膜、或いはITO等を用いて隔壁電極2が形成されている。
隔壁11で仕切られた移動空間20Sに充填される分散液体7としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、または、その他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合した溶液組成物を用いることができる。
帯電粒子6は、分散液体7中で帯電状態を保持し、分散液体7中の電界に応答して電気泳動により移動する有機あるいは無機の粒子である。帯電粒子6としては、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン等の白色顔料、ジアゾ系顔料、その他着色顔料等の1種類または2種類以上を用いることができる。これらの顔料には、必要に応じて、電解質、界面活性剤、樹脂、ゴム、油等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
第3実施形態の電気泳動表示装置300では、表示電極1と隔壁電極2との間に、表示セル20の駆動電圧を発生する不図示の駆動電圧発生装置が接続されている。駆動電圧発生装置は、表示電極1に表示セル20ごとの電圧を印加して、隔壁電極2と表示電極1との間に形成した電界によって、帯電粒子6を移動空間で移動(分散液体7中を泳動)させる。そして、帯電粒子6による表示電極1の表面の被覆状態を変化させることにより、前方基板4側から見通した表示セル20の階調を変化させる。
なお、分散液体7の界面に機能性の表面層を形成したり、機能を改善する表面処理を行ってもよい。分散液体7と前方基板4との屈折率差による影響を低減するための光学的な表面層、分散液体7との濡れの良好な表面を有する材料により分散液体7の封入を容易にする表面層や表面処理、上述した帯電粒子6の貼り付きを回避する表面層や表面処理がある。
帯電粒子6を分散させた分散液体7を表示セル20の移動空間20Sに注入したのち、隔壁11上に前方基板4を載せ、気泡が入らないように外周を封止する。前方基板4にPETフィルムやPESフィルム等の柔軟性のあるものが好ましく用いられる。封止する方法としては、特に限定されないが、例えば、前方基板4の内側面と隔壁11の上部を光硬化性樹脂で被覆しておき、分散液体7の封入後に光照射によって表示セル20毎に密閉封入する方法等を採用できる。
第3実施形態の電気泳動表示装置300では、図5に示すように、帯電粒子6が隔壁電極2に集められている場合、前方基板4から移動空間20Sの分散液体7へ入射した外光は、着色層8Bを通過して表示電極1で反射され、再び着色層8Bを透過して移動空間20S、前方基板4を経て観察側へ射出する。
従って、画像表示の照明光である外光は、着色層8Bを往復で2回通過することになるが、上述したように、金属超微粒子9は、強い着色力を有しているため、金属超微粒子9を分散層16に分散させた着色層8Bを用いると、光損失の少ない鮮やかなカラー表示を行うことができる。
また、隔壁電極2と表示電極1との間に電圧を印加して帯電粒子6を移動させるために要する駆動電圧は、通常、表示電極1上に配置される種々の絶縁層の誘電率及び膜厚に大きく影響を受ける。しかし、ごく薄い着色層8Bによって十分なカラーフィルタ性能を発揮できるので、こういった影響を低減して低電圧でも高速の表示書替えが可能である。
図5に示した第3実施形態の電気泳動表示装置300を試作した。表示セル20の大きさは100μm×100μm、各表示セル20は、幅8μm、高さ20μmの隔壁11により格子状に囲まれている。隔壁11の表面には、隔壁電極2が膜状に形成され、隔壁電極2の表面は平坦化層5で被覆されている。
よく洗浄したガラス基板(後方基板3)上にアルミニウムを蒸着し、通常のフォトリソグラフィー法を用いて表示電極1を形成する。次に、隔壁11の材料を積層して、再びフォトリソグラフィー法を用いて隔壁11を形成する。隔壁11の表面には、真空蒸着法により、チタンからなる隔壁電極2を成膜する。その後、さらに、隔壁電極2の表面に、エポキシ樹脂からなる平坦化層5を形成して被覆する。
次に、SiOゾル水溶液に、エタノール水溶液中に平均粒径10nmのAg微粒子を単分散した水溶液を加え、SiOとAgの固形分濃度が各々30wt%と5wt%になるように調整したのち、超音波水槽中で充分撹拌する。撹拌した混合液は、Ag微粒子の添加によって黄色く着色する。この混合液を移動空間20Sに各々適量ずつ充填し、溶媒を加熱除去して着色層8Bを形成した。ここでは、フォトリソグラフィー法で形成した隔壁11に影響がない温度として、180℃で30分ベークする。すると、表示電極1の表面が鮮やかな黄色に呈色する。
帯電粒子6の分散液体7としては、炭化水素形容媒(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いる。分散液体7には、帯電粒子6の帯電を安定化させるためのゴム誘導体(商品名:クラプレンLIR410、クラレ社製)を添加する。誘導体の添加濃度は0.8wt%である。帯電粒子6としては、平均粒径1〜2μm程度であるカーボンブラック含有のポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂からなるポリマービーズを使用する。分散液体7中の帯電粒子6は正極性に帯電している。
隔壁11で囲まれた移動空間20Sに、帯電粒子6を分散させた分散液体7を充填したのち、PET樹脂板の前方基板4を隔壁11の上に設置し、気泡が残らないように密閉する。
作製した電気泳動表示装置300の隔壁電極2を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、濁りのない鮮やかな黄色の表示が確認できた。
その後、動作確認された後方基板3を取り出して、裏面から注意深くヘキ開し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、平坦化層5上に形成された着色層8Bの厚さは500nmであることが確認できた。
実施例6と同様な手順で図5に示した表示素子を作製し、SiOとAgの固形分濃度だけを異ならせて着色層8Bを形成した。表示電極1、隔壁電極2、隔壁11等は、実施例1と同様に作製した。
次に、SiOゾル水溶液に、エタノール水溶液中に平均粒径10nmのAg微粒子を単分散した水溶液を加え、SiOとAgの固形分濃度が各々20wt%と5wt%になるように調整したのち、超音波水槽中で充分撹拌する。撹拌した混合液は、Ag微粒子の添加によって黄色く着色する。この混合液を移動空間20Sに各々適量ずつ充填し、溶媒を加熱除去して着色層8Bを形成した。ここでは、フォトリソグラフィー法で形成した隔壁11に影響がない温度として、180℃で30分ベークする。すると、表示電極1の表面が鮮やかな黄色に呈色する。
次に、実施例6と同様に、帯電粒子6を分散させて帯電安定化剤等も添加した分散液体7を移動空間20Sに充填したのち、透明なPET樹脂板の前方基板4を隔壁11の上に設置し、気泡が残らないように密閉した。
作製した電気泳動表示装置300の隔壁電極2を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、濁りのない鮮やかな黄色の表示が確認できた。さらに、表示電極1に+12Vと−12Vの矩形波を1Hzで交互に印加したところ、±15Vの場合と同等の駆動が確認できた。さらに、±12Vの矩形波印加時の応答を、反射光をフォトマルチメーターでディテクトして実施例6の電気泳動表示装置300と比較したところ、実施例7の電気泳動表示装置300の方が高速応答する様子が確認できた。
その後、動作確認された後方基板3を取り出して、裏面から注意深くヘキ開し、その断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、平坦化層5上に形成された着色層8Bの厚さは300nmであることが確認できた。これにより、着色層8Bの厚さを薄くすることによって、液晶セル20の応答速度が高められることが確認された。
<第4実施形態>
図6は第4実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。第4実施形態の電気泳動表示装置400は、分散層16に直接金属超微粒子9を分散させて着色層18Bが形成される以外は、第2実施形態の電気泳動表示装置200と同様に構成されている。従って、図6中、図4と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、観察側の前方基板4と反射側の後方基板3とは、隔壁11によって所定間隔に対向保持されている。後方基板3に配置された表示電極1は、平坦化層5で覆われ、前方基板4の内面に配置された面状電極15は、カラーフィルタ層としての着色層18Bで覆われている。隔壁11で囲まれた表示セル20ごとの移動空間20Sに、帯電粒子6を分散させた分散液体7が充填されている。
第4実施形態の電気泳動表示装置400では、表示電極1と面状電極15との間に電圧信号を印加して、正極性(または不極性)に帯電した帯電粒子6を上下方向に移動させて表示切替えを行う。そのため、帯電粒子6と分散液体7とは、両方とも不透明なものを用いている。
例えば、帯電粒子6を黒色、分散液体7を白色とすると、帯電粒子6が前方基板4側に引き寄せられている場合には、表示セル20が黒を表示し、帯電粒子6が後方基板3に引き寄せられている場合には、表示セル20が着色層18Aを通じた白表示、すなわち着色層18Aの色表示となる。なお、逆極性に帯電した黒色帯電粒子と白色帯電粒子とを透明な分散液体7に分散させても、同様な表示切替えが行えることは第2実施形態で上述したとおりである。
第4実施形態の電気泳動表示装置400では、外光は、前方基板4、面状電極15、着色層18Aを通過したのち、帯電粒子6が分散された分散液体7に入射する。そして、分散液体7中の帯電粒子6の位置に応じた反射光が再び着色層18A、面状電極15、前方基板4を通過して観察者に視認される。このとき、外光は、着色層18Aを往復2回通過することになるが、金属超微粒子9は強い着色力を有しているため、金属超微粒子9を分散させた分散層16からなる着色層18Bを用いると、光損失の少ない鮮やかなカラー表示を行うことができる。また、表示電極1と面状電極15との間に電圧を印加して帯電粒子6を移動させるために要する駆動電圧は、面状電極15に配置される着色層18Bの膜厚に大きく影響を受けるが、着色力を損なうことなく着色層18Bを薄く形成して、表示セル20の電圧応答性を高めて、表示書替えを高速に行わせることができる。
第2実施形態とほぼ同様な手順を用いて、第4実施形態の電気泳動表示装置400を試作した。後方基板3上にアルミニウムの表示電極1をフォトリソグラフィー法により作製し、その上に、平坦化層5として100nmの樹脂層をスピンコーティング法により膜形成した。次に、第2実施形態(または実施例7)と同様にして、フォトリソグラフィー法により、後方基板3上に隔壁11を形成した。
一方、樹脂フィルムの前方基板4上に、ITOの透明な面状電極2をフォトリソグラフィー法により作製し、面状電極2上に着色層18Bを形成した。実施例8では、紫外線硬化樹脂用のアクリル系モノマーをトルエンに溶解したものと、Ag微粒子をトルエンに単分散させた溶液を混合した溶液組成物を超音波水槽中で充分撹拌する。撹拌した混合液は、実施例1と同様に銀微粒子の添加によって黄色く着色する。この溶液組成物をパターニングしたITO上にスピンコートしてパターニングした。
次に、実施例7と同様に帯電粒子6等を調合した分散液体7を用意し、後方基板3上に形成された移動空間20Sに充填して、気泡が残らないように前方基板3を重ね合わせて、周囲を封止処理した。
作製した電気泳動表示装置400の面状電極2を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、濁りのない鮮やかな黄色の表示が確認できた。
実施例8とほぼ同様な手順を用いて、着色層18Bの金属超微粒子9の種類を異ならせた第4実施形態の電気泳動表示装置400を試作した。後方基板3上にアルミニウムの表示電極1をフォトリソグラフィー法により作製し、その上に、平坦化層5として100nmの樹脂層をスピンコーティング法により膜形成した。次に、実施例8と同様に、フォトリソグラフィー法により、後方基板3上に隔壁11を形成した。
一方、樹脂フィルムの前方基板4上に、ITOの透明な面状電極2をフォトリソグラフィー法により作製し、面状電極2上に着色層18Bを形成した。実施例9では、2種類の色の異なる溶液組成物を準備した。一方は、紫外線硬化樹脂用のアクリル系モノマーと平均粒径5nmのAg微粒子をトルエンに単分散させた溶液を混合した溶液組成物であり、他方は、同モノマーと平均粒径5nmのAu微粒子をトルエンに単分散させた溶液を混合した溶液組成物である。この2種類の溶液組成物をそれぞれ超音波水槽中で充分撹拌すると、撹拌した状態で、Ag微粒子を含んだ溶液組成物は、Ag微粒子添加によって黄色く着色し、Au微粒子を含んだ溶液組成物は、Au微粒子添加によって赤く着色していた。
この色の異なる2種類の溶液組成物を順次パターニングして、表示セル20毎に異なる色の着色層18Bを形成した。まず、Ag微粒子を含んだ溶液組成物を前方基板4にスピンコートし、所望の表示セル20に対応した箇所にUV照射されるようにマスクを介して光照射し、その後不要な表示セル20の膜を除去する。次に、Au微粒子を含んだ溶液組成物を前方基板4にスピンコートし、所望の別の表示セル20に対応した箇所にUV照射されるように別のマスクを介して光照射し、その後、不要な表示セル20の膜を除去した。このようにして、表示セル20によって黄色か赤かいずれかの着色層18Bを形成した。
次に、実施例8と同様に帯電粒子6等を調合した分散液体7を用意し、後方基板3上に形成された移動空間20Sに充填して、気泡が残らないように前方基板3を重ね合わせて、周囲を封止処理した。また、実施例8では、前方基板4側に各表示セル20に対応して着色層18Bと面状電極15とが配置してあるため、後方基板3と前方基板4とのアライメントを考慮して用心深く封止した。
作製した電気泳動表示装置400の面状電極2を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、画素毎に濁りのない鮮やかな黄色か赤色の表示が各々確認できた。
実施例9とほぼ同様な手順を用いて、着色層18Bの厚みを薄くした第4実施形態の電気泳動表示装置400を試作した。すなわち、実施例9で使用した上述のAg微粒子、Au微粒子を含んだ溶液組成物において、アクリル系モノマーの重量分率のみ2/3にしたものを各々用意した。そして、実施例9と同様な手順を用いて面状電極15を形成した前方基板4の全面に溶液組成物をスピンコートして表示セル20ごとのパターニングを行った。この操作を2種類の溶液組成物についてそれぞれ繰り返すことにより、表示セル20ごとに色が異なり、実施例8よりも厚みが薄い着色層18Bを得た。
作製した電気泳動表示装置400の面状電極15を接地し、表示電極1に+15Vと−15Vの矩形波を1Hzで交互に印加して、その様子を観察したところ、表示セル20毎に濁りのない鮮やかな黄色か赤色の表示が各々確認できた。さらに、駆動電圧を下げていったところ、+12Vと−12Vまで電圧を下げても、同様に鮮やかな色の表示書き換えが可能であることが確認された。
ポリイミド前駆体を有機溶媒に溶解させたものに実施例10で用いた溶液組成物(Ag微粒子)を混合した溶液組成物を、ステンレス基板上にスピンコートして硬化させた後に剥がして、着色ポリイミド膜を作製した。
次に、高彩度顔料としてよく用いられるPigmentYellow110(PY110顔料)で着色したポリイミド樹脂の膜を作製した。このとき、PY110顔料で着色した樹脂膜の明度が、Ag微粒子で着色した膜と等しくなるように顔料の含有量を調整した。
作製した2種類の樹脂膜の分光特性を測定したところ、Ag微粒子によって着色した樹脂膜は、PY110顔料によって着色した樹脂膜に比較して、非常に彩度が高いことが確認できた。同時に単位体積あたりのAg微粒子の着色力がPY110顔料の50倍以上に及ぶことが確認できた。
実施例11と同様の方法で、顔料としてPigmentYellow110(PY110顔料)を用いた樹脂膜と、Ag微粒子を顔料として用いた樹脂膜とを、膜厚と顔料の固形分濃度を様々に変化させて作製し、着色状態を比較したところ、PY110顔料を用いた場合に比較して、Ag微粒子を用いた場合には、500nm以下の膜厚で、特に濁りのない鮮やかな色を呈することが確認できた。さらに、Ag微粒子を用いた場合、膜厚300nmでも充分に黄色を呈色するのに対し、PY110顔料を用いた場合には、充分な黄色を表現することは難しく淡くなってしまうことが確認できた。薄い膜厚のままPY110顔料の濃度をさらに増加させると、粒子による膜の濁りが生じ、鮮やかな黄色の呈色は困難であった。
以上説明したように、第3実施形態の電気泳動表示装置300および第4実施形態の電気泳動表示装置400では、金属超微粒子9を分散させた分散層15によって形成される着色層8B、18Bによって、鮮やかなカラー表示の反射型画像表示装置を提供できる。特に、薄くても着色力に優れた着色層8B、18Bを用い、着色層8B、18Bによる吸収に起因する光利用効率低減を抑制できる。さらに、電界の途中に着色層8B、18Bを配置した場合の駆動電圧の上昇あるいは応答速度の低下を抑制できる。
<粒子移動型表示装置>
近年、パソコンや各種モバイル端末等の情報機器の発達、ネットワーク環境の充実によって、オフィスは勿論、家庭、さらにはアウトドア環境でも情報機器の画像表示装置を利用することが多くなった。また、特にオフィスでは、情報機器を介して入手した膨大な量の情報を、一旦紙に出力してから熟読し、暫くしてから破棄するといった動作が頻繁に行われ、紙の消費量が増加の一途を辿っている。同時に、液晶、CRT等の発光ディスプレイ画面を長時間に渡って正視することを強いられるために生じるストレス障害が指摘されている。
現代社会において、紙の消費量増加による環境破壊を防ぎ、長時間正視してもストレスが少なく、視認性が良く、可搬性に優れた、低消費電力で表示書き換えが可能な画像表示装置の普及が求められており、近年、電子ペーパー、ペーパーライクディスプレイ、といった新しい画像表示装置の研究開発が盛んである。既に実用化されたものとしては、反射型液晶装置が挙げられる。さらに、他の代表的な表示方式としては、電気泳動によってモノクロ画素の書き換えを行うものがあり、外光の反射による紙のような視認性の表示が行える。例えば、特許文献1に示されるメモリ性を有する電気泳動表示装置を用いれば、低消費電力で長時間の戸外での利用が可能になる。
しかしながら、反射型液晶装置では一般に偏光板を用いて透過光を調光しているので、偏光板を通過する際に透過光の30%〜50%が吸収されてしまい、明るい表示が困難である。また、カラー表示を行う場合には、反射型液晶方式、電気泳動方式、いずれの場合も、RGBのカラーフィルタ層を画素毎に配置して、可視光の2/3のスペクトル成分を捨てるため、反射光の利用効率が極端に低くなり、明るいカラー表示は困難である。さらに、カラーフィルタ層の着色には、染料や顔料を用いるのが一般的であるが、例えば戸外で長時間直射日光に晒して使用すると染料や顔料が退色するといった場合がある。
従って、情報機器からの紙による出力を低減し、反射型でストレス無く長時間目視することのできる良好な視認性を有し、長時間戸外で使用しても退色しない発色の良いカラー画像表示装置が求められている。
一方、反射型の画像表示装置において明るいカラー表示を行うためには、反射光の利用効率を損なうこと無く、鮮やかな色調を表示しなければいけないという課題がある。通常のパソコンに搭載されている液晶ディスプレイは、殆どバックライトを用いた透過型であり、バックライトから射出された照明光がカラーフィルタ層を一回透過するだけで人間の目に入射する。バックライト方式では、色再現性を向上させるためにカラーフィルタ層の膜厚を増加させて、光の透過率が低下したとしても、バックライトの光強度アップで補うことにより、カラー表示における色再現性と明るさとを両立することが可能である。
しかし、反射型の画像表示装置では、照明光となる外光は、一旦カラーフィルタ層を透過したのち、後方基板の反射板で反射され、再びカラーフィルタ層を透過して人間の目に入るような仕組みになっている。従って、往復2回のカラーフィルタ層通過に伴う光利用効率の低下が避けられない。このため、光利用効率が低く、明るいカラー表示が困難である。この光量不足は、カラーフィルタ層の膜厚を薄くすることで、ある程度は抑制可能であるが、その場合には、カラーフィルタの色濃度が低下するため、カラーフィルタ層自身の色相の変化をもたらし、そのためカラー表示を行う際の色再現性が低下する。
また、カラーフィルタ層を薄くしても色濃度が低下しないように、着色材である顔料や染料の濃度を増加させる方法があるが、実際には、樹脂バインダーとの相溶性や、膜形成したあとの濃度ムラやヘイズ等の問題が発生するため、着色材の濃度の増加と薄膜化では、上述の課題を解決するには至っていない。
加えて、反射型、透過型を問わず、従来のカラーフィルタ層を用いてカラー表示を行う画像表示装置では、例えば、フルカラー表示を行う場合には、RGB、CMY、といった複数色のカラーフィルタ層を、順次フォトリソグラフィー法などによってパターニングしてストライプ状に成形する必要があった。そのため、製作工程が煩雑になり、製造コストの低減も困難であった。
このような問題に対して、本実施形態では、金属超微粒子9を用いたカラーフィルタ層(着色層8、18、8B、18B)を用いることにより、反射型の画像表示装置においても、明るく鮮やかなカラー表示を可能にしている。また、金属超微粒子9を用いた複数のカラーフィルタ層(着色層8)を、特にインクジェット吐出法で行うことを容易にし、かかる反射型の画像表示装置の製造工程を容易にしている。
<発明との対応>
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、観察側に配置された前方基板4と、前方基板4と対向配置された後方基板3と、前方基板4と後方基板3との間で、表示セル20ごとに印加された電界に応じて表示セル20の透過光を変調する帯電粒子6とを備える。そして、金属超微粒子9を核として周囲に粒子間隔保持部材10を形成した透過波長選択粒子を積層した着色層8を備える。
着色層8では、透明レジスト材料に分散させた原色顔料の表面ではなくて、粒子間隔保持部材10にはみ出して形成された金属超微粒子9の電子軌道が透過光の波長帯域の選択吸収/選択透過を制御する。従って、金属超微粒子9の表面から遠く離れた領域まで透過光の選択吸収/選択透過に寄与するので、金属超微粒子9自体がそのサイズから散乱性を持たないことに加えて、必要な選択吸収/選択透過の機能を実現するための金属超微粒子9の空間密度も原色顔料に比べて極小で済む。つまり、着色層8は、高度に透明な空間となって、散乱を生じることなく透過光が選択吸収/選択透過される。
また、性状不安定で取り扱いが難しい金属超微粒子を粒子間隔保持部材10でコーティングして安定化させ、粒子間隔保持部材10の厚みで金属超微粒子9の凝集を回避して電子軌道の空間密度を適正に制御できる。従って、高価な金属超微粒子9を節約しつつ、高い選択吸収/選択透過機能を着色層8の全面、全厚で均一に実現できる。そして、粒子間隔保持部材10によって金属超微粒子9が顔料粒子に近い粒径の透過波長選択粒子となるので、一般的なインクジェット吐出装置等を用いて着色層8を印刷形成することも不可能ではなくなる。
そして、透過性の高いごく薄い着色層8でも、十分な選択吸収/選択透過の機能を実現でき、原色顔料を用いた場合に比較して、反射型の往復光路における散乱損失を大幅に減らして、明るい画像表示を実現できる。これにより、低消費電力で明るく見易い高品位な画像を表示して、モバイル機器等の商品性を著しく高め得る。
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、観察側に配置された前方基板4と、前方基板4と対向配置された後方基板3と、前方基板4と後方基板3との間で、表示セル20ごとに印加された電界に応じて表示セル20の透過光を変調する帯電粒子6とを備える。そして、金属超微粒子9を分散層16に分散させて透過波長選択性を付与した着色層8Bを備える。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、前方基板4を通じて表示セル20に入射した外光を反射する表示電極1を後方基板3に設けている。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の表示セル20は、反射面を兼ねて表示セル20ごとに配置した表示電極1と、表示電極1の周囲を囲んで表示セル20ごとの移動空間20Sを形成する隔壁11と、隔壁11の起立面に配置された隔壁電極2と、移動空間20Sに充填された帯電粒子6とを備える。
第2実施形態の電気泳動表示装置200は、後方基板3に配置された表示セル20ごとの表示電極1と、表示電極1に対向させて前方基板4に配置した面状電極15と、表示電極1の周囲を囲んで表示セル20ごとの移動空間20Sを形成する隔壁11と、帯電粒子6を分散させて移動空間20Sに充填された分散液体7とを備える。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の着色層8は、前方基板4と後方基板3との間に帯電粒子6を配置した電気泳動表示装置100の後方基板3に配置される。そして、金属超微粒子9を核として周囲に絶縁性材料の粒子間隔保持部材10を形成した透過波長選択粒子が積層されている。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の着色層8は、絶縁性材料がSiOである。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の着色層8は、金属超微粒子9は、Au微粒子である。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の着色層8は、同一種類の金属超微粒子9を核として、異なる厚さの粒子間隔保持部材10を形成することにより、透過波長選択粒子に異なるプラズモン吸収帯域を設定している。すなわち、平均粒径20nmのAu微粒子を核として厚さ50nmのSiO層を形成して青色帯域を透過させる透過波長選択粒子を実現し、また、同じ平均粒径20nmのAu微粒子を核として厚さ180nmのSiO層を形成して赤色帯域を透過させる透過波長選択粒子を実現している。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の着色層8は、透過波長選択粒子の間隔を、粒子間隔保持部材10とは異なる透明材料で充填することにより、透過波長選択粒子による透過光の散乱を減らせる。
第1実施形態の電気泳動表示装置100の着色層8は、積層された透過波長選択粒子を覆って粒子間隔保持部材10とは異なる透明材料のコート層を形成することにより、帯電粒子の泳動性能を向上できる。
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、金属超微粒子9を核として周囲に粒子間隔保持部材10が形成された透過波長選択粒子を、表示セル20の底に積層させている。そして、揮発性液体と少量の凝固性液体に透過波長選択粒子を分散させて溶液組成物とし、吐出量と吐出領域とを制御可能なインクジェット吐出装置を用いて、表示セル20の底に定量の溶液組成物を吐出させて試作された。
第3実施形態の電気泳動表示装置300の着色層8Bは、前方基板4と後方基板3との間に帯電粒子6を配置した電気泳動表示装置300の後方基板3に配置される。そして、金属超微粒子9を分散させた絶縁性材料の分散層16が積層されている。
第1実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。 着色層にコート層を形成した表示セルの説明図である。 インクジェット吐出装置による着色層の形成手順の説明図である。 第2実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。 第3実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。 第4実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成を模式的に示した説明図である。
符号の説明
1 表示電極
2 隔壁電極
3 後方基板
4 前方基板
5、12 絶縁層(平坦化層、絶縁層)
6 変調媒体(帯電粒子)
7 分散液体
8、18、8B、18B カラーフィルタ層(着色層)
9 金属超微粒子
10 粒子間隔保持部材
11 隔壁
13 コート層
14 溶液組成物
15 面状電極
16 分散層
19 インクジェット吐出手段(ノズル)
20 表示セル
20S 移動空間
100、200、300、400 電気泳動表示装置

Claims (15)

  1. 観察側に配置された前方基板と、
    前記前方基板と対向配置された後方基板と、
    前記前方基板と前記後方基板との間で、表示セルごとに印加された電界に応じて前記表示セルの透過光を変調する変調媒体と、を備えた画像表示装置において、
    金属超微粒子を核として周囲に光透過層を形成した透過波長選択粒子を積層したカラーフィルタ層を備えることを特徴とする画像表示装置。
  2. 観察側に配置された前方基板と、
    前記前方基板と対向配置された後方基板と、
    前記前方基板と前記後方基板との間で、表示セルごとに印加された電界に応じて前記表示セルの透過光を変調する変調媒体と、を備えた画像表示装置において、
    金属超微粒子を光透過材料に分散させて透過波長選択性を付与したカラーフィルタ層を備えることを特徴とする画像表示装置。
  3. 前記前方基板を通じて前記表示セルに入射した外光を反射する反射手段を、前記後方基板に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の画像表示装置。
  4. 前記表示セルは、前記反射手段を兼ねて前記表示セルごとに配置した表示電極と、前記表示電極の周囲を囲んで前記表示セルごとの移動空間を形成する隔壁と、前記隔壁の起立面に配置された隔壁電極と、前記移動空間に充填された前記変調媒体としての帯電粒子と、を備えることを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
  5. 前記後方基板に配置された前記表示セルごとの表示電極と、前記表示電極に対向させて前記前方基板に配置した面状電極と、前記表示電極の周囲を囲んで前記表示セルごとの移動空間を形成する隔壁と、前記変調媒体としての帯電粒子を分散させて前記移動空間に充填された分散液体と、を備えることを特徴とする請求項1または2記載の画像表示装置。
  6. 前方基板と後方基板との間に変調媒体を配置した画像表示装置の前記前方基板または前記後方基板に配置されたカラーフィルタ層において、
    金属超微粒子を核として周囲に絶縁性材料の光透過層を形成した透過波長選択粒子が積層されていることを特徴とするカラーフィルタ層。
  7. 前記絶縁性材料は、金属酸化物であることを特徴とする請求項6記載のカラーフィルタ層。
  8. 前記金属超微粒子は、貴金属微粒子または銅微粒子であることを特徴とする請求項6または7記載のカラーフィルタ層。
  9. 同一種類の前記金属超微粒子を前記核として、異なる厚さの前記光透過層を形成することにより、前記透過波長選択粒子に異なるプラズモン吸収帯域を設定したことを特徴とする請求項6乃至8いずれか1項記載のカラーフィルタ層。
  10. 金微粒子を核として厚さ50nmの前記光透過層を形成した、青色帯域を透過させる前記透過波長選択粒子を有することを特徴とする請求項9記載のカラーフィルタ層。
  11. 金微粒子を核として厚さ180nmの前記光透過層を形成した、赤色帯域を透過させる前記透過波長選択粒子を有することを特徴とする請求項9記載のカラーフィルタ層。
  12. 前記透過波長選択粒子の間隔を、前記光透過層とは異なる透明材料で充填したことを特徴とする請求項6乃至11いずれか1項記載のカラーフィルタ層。
  13. 積層された前記透過波長選択粒子を覆って前記光透過層とは異なる透明材料のコート層を形成したことを特徴とする請求項6乃至12いずれか1項記載のカラーフィルタ層。
  14. 金属超微粒子を核として周囲に光透過層が形成された透過波長選択粒子を、カラーフィルタ配置領域に積層させるカラーフィルタ層の製造方法であって、
    揮発性液体または凝固性液体に前記透過波長選択粒子を分散させて溶液組成物とし、
    吐出量と吐出領域とを制御可能なインクジェット吐出手段を用いて、前記カラーフィルタ配置領域に前記溶液組成物を吐出することを特徴とするカラーフィルタ層の製造方法。
  15. 前方基板と後方基板との間に変調媒体を配置した画像表示装置の前記前方基板または前記後方基板に配置されたカラーフィルタ層において、
    金属超微粒子を分散させた絶縁性材料の光透過層が積層されていることを特徴とするカラーフィルタ層。
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