JP2007139704A - ノズル先端基準高さ位置調整装置及びサンプリング装置 - Google Patents

ノズル先端基準高さ位置調整装置及びサンプリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ノズル先端の破損が少なく、XY平面に対して精度良くノズル先端基準高さ位置を調整することのできるノズル先端基準高さ位置調整装置を提供する。
【解決手段】 XY平面に対して直交するZ軸方向に移動可能なプレートに備えられたノズル先端の基準高さ位置を決定するノズル先端高さ位置調整装置であって、プレート及びノズル位置を制御するプレート位置制御手段と、プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端がXY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、ノズル先端がXY平面に接触した際にノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備えたもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は例えばマイクロウェル基板上からノズルを用いてウェル内の微小検体を回収して別の場所へ移動させるサンプリング装置に用いることのできるノズル先端基準高さ位置調整装置及びサンプリング装置に関するものである。
近年、バイオチップの技術進歩は目覚ましく、DNAをチップ上に配列して診断していた技術を経て、実際のタンパク質や細胞等の微小検体をチップ上に数十万個のウェルを配置したマイクロウェル集積体上の各ウェルで免疫反応シグナルを読み取るチップへと技術が推移してきている。
しかし、チップ上のウェル内のタンパク質や細胞等の微小検体1つ1つを自動で回収操作する装置は未だ存在せず、現在でも微小検体をチップ上で操作をするためにはマイクロマニピュレーターが多く利用されており、微細ガラスチップで1つ1つの細胞を手動で操作しているのが現状である。
作業効率向上や作業員の労務軽減の観点からも自動で目的の微小検体を回収し移動させる装置がユーザーから熱望されている。自動で微小検体を回収して移動させるためには、ノズルをいかに各ウェル上に正確に移動させるかが重要になってくる。
しかしながら、ノズルとウェルとの位置関係を正確に把握するための手段は未だ満足できるものは存在せず、現状では、次のような方法で暫定的にノズルの位置計測・補正を行っている。例えば、X,Y軸(水平方向)については実際にチップに試し打ちを行い、目的の位置に対する実際のスポット位置のズレを補正する方法、Z軸(上下方向)については目視でノズルをチップ付近まで下ろし、微調整する方法、また、マイクロマニピュレータではノズルが顕微鏡視野内に入るように目視で大まかに位置合わせを行い、後は手動で微細な位置調整を行う方法等がある。
しかし、従来のノズル先端位置計測方法では、ノズルとウェルとのマイクロメートルオーダーの正確な位置情報が得られず、物理的に固定ノズル先端を接触させる場合では、ノズル先端を破損する危険性があり、異物混入(所謂、コンタミネーション事故)が発生する原因となる。更に、手作業で行う場合、時間がかかったり、位置データにばらつきが出たりする可能性が高い等の問題があった。
そこで、本出願人は、上記の問題点を解決するために、試し打ちすることなく非接触でノズル先端の位置を計測することができるシステムを提案した(特許文献1参照)。これは、光学システムによりノズルの先端位置を高精度に計測することができるものである。
特開2005−49197号公報
しかしながら、前記提案の技術を利用すればノズルの位置情報を確実に得ることができるが、実際に微小検体を回収するサンプリング装置のノズルがサンプリングするマイクロウェル基板に対して高い位置決め精度を有したり、高精度の形状でなければならないという問題点も浮き彫りになってきている。
本発明はこれらを鑑み、ノズル先端の破損が少なく、XY平面に対して精度良くノズル先端基準高さ位置を調整することのできるノズル先端基準高さ位置調整装置を提供するものである。マイクロウェル基板の精度に関係なく、マイクロウェル基板上の位置情報を正確に得るサンプリング装置を提供するものである。
請求項1に記載された発明に係るノズル先端基準高さ位置調整装置は、予め定められたXY平面に対して直交するZ軸方向に移動可能なプレートに備えられたノズルの前記XY平面に対するノズル先端の基準高さ位置を決定するノズル先端高さ位置調整装置であって、
前記プレート及びノズルの位置を制御するプレート位置制御手段と、
前記プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端が前記XY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、
前記ノズル先端が前記XY平面に接触した際に前記ノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明に係るノズル先端基準高さ位置調整装置は、請求項1に記載のノズルフローティング手段が、
前記ノズルを保持するノズル保持具と、
このノズル保持具を前記プレート上のZ軸方向にスライド可能に配するスライドガイドとを備え、
前記ノズル接触検知手段が、
前記ノズル保持具のプレート上のZ軸方向の微小の位置ズレを計測するリニアエンコーダと、
このリニアエンコーダの計測に応じて前記プレート位置制御手段を制御するノズル位置演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明に係るノズル先端基準高さ位置調整装置は、請求項2に記載のノズル位置演算手段が、前記ノズル先端のXY平面への接触による前記リニアエンコーダの計測が検知された際に、プレートの移動を停止させて、停止時の高さ位置情報から前記リニアエンコーダの位置ズレの微小距離を差し引いてノズル先端基準位置とすることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明に係るノズル先端基準高さ位置調整装置は、請求項3に記載のノズル位置演算手段が、前記ノズル先端基準位置に対して予め定められたXY平面とノズル先端との間隙距離を開けるように前記プレート位置制御手段を制御することを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明に係るサンプリング装置は、複数のマイクロウェルを備えたマイクロウェル基板上の個々のマイクロウェル内の微小検体を別の場所へ移動させるサンプリング装置であって、
基台上に載置された前記マイクロウェル基板の平面をXY平面とし、このXY平面に対して互いに直交するXYZ3軸方向に相対移動可能なプレートと、
前記プレートに備えられ、前記マイクロウェル基板上の個々のウェル内の微小検体を採取するノズルと、
前記個々のウェルの位置情報に基づいて前記プレート及びノズルの位置を制御するプレート位置制御手段と、
ノズル先端のXY基準位置からの位置ズレを補正するXY位置補正手段とを備えたサンプリング装置において、
前記プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端が前記XY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、
前記ノズル先端が前記XY平面に接触した際に前記ノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備え、
前記ノズルフローティング手段が、
前記ノズルを保持するノズル保持具と、
このノズル保持具を前記プレート上のZ軸方向にスライド可能に配するスライドガイドとを備え、
前記ノズル接触検知手段が、
前記ノズル保持具のプレート上のZ軸方向の微小の位置ズレを計測するリニアエンコーダと、
このリニアエンコーダの計測に応じて前記プレート位置高さ制御手段を制御するノズル位置演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明に係るサンプリング装置は、請求項5に記載のノズル位置演算手段が、前記ノズル先端のXY平面への接触による前記リニアエンコーダの計測が検知された際に、プレートのZ軸方向の移動を停止させて、停止時の高さ位置情報から前記リニアエンコーダの位置ズレの微小距離を差し引いてノズル先端基準高さ位置とすることを特徴とするものである。
本発明は、ノズル先端の破損が少なく、XY平面に対して精度良くノズル先端基準高さ位置を調整することができると言う効果がある。また、マイクロウェル基板の精度に関係なく、マイクロウェル基板上の位置情報を正確に得ることができるという効果がある。
本発明においては、予め定められたXY平面に対して直交するZ軸方向に移動可能なプレートに備えられたノズルの前記XY平面に対するノズル先端の基準高さ位置を決定するノズル先端高さ位置調整装置であって、
前記プレート及びノズルの位置を制御するプレート位置制御手段と、
前記プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端が前記XY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、
前記ノズル先端が前記XY平面に接触した際に前記ノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備える。これにより、ノズル先端の破損がなく、XY平面に対して精度良くノズル先端基準高さ位置を調整することができる。
本発明のノズルとしては、予め定められたXY平面に対してZ軸方向の先端の基準高さ位置を正確に決定することが必要なノズルを対象とする。例えば、タンパク質や細胞等の微小検体を採取・回収するサンプリングノズルを始めとして、微小位置のウェル中の試薬等の液体を採取及び/又は微小位置にスポットするスポッティングノズルや、直径1mm以下の微細な高圧流体を噴射して高精度の加工を行う噴射ノズル等を含む。そのため、ノズル自身が微細であるため脆弱であったり、被加工対象物が噴射ノズルに対して脆弱であったりする。
本発明のXY平面としては、前記ノズル先端との距離を厳密に計測するべき対象のXY平面を指す。例えば、サンプリングノズルやスポッテイングノズルにおいては、複数のマイクロウェルを備えたマイクロウェル集積体の基板平面を指し、高圧水噴射ノズルにおいては、加工されるXY平面を指す。尚、加工される面が曲面である場合に、加工対象とする微小曲面をXY平面とみなすことも含まれる。
本発明のプレートとしては、ノズルを備え少なくともXY平面に対して直交するZ軸方向に移動可能なものであればよい。従って、XY平面をプレートに対して縦・横・高さの3方向に移動させる構成や、XY平面に対してプレートを縦・横・高さの3方向に移動させる構成等も含む。
本発明のノズル接触検知手段としては、ノズル先端がXY平面に接触したことを検出するものであればよい。即ち、ノズル先端がXY平面に接触した高さ位置を基準高さ位置とするため、プレート位置制御手段にノズル先端がXY平面に接触したことを知らせるセンサー等でもよい。尚、ノズル先端がXY平面に接触した後もプレートが下降すると当然のことながらノズルが破損する。接触の検知を受けてプレート位置制御手段がプレートの下降を停止した場合でも、脆弱なノズルの破損や脆弱な被加工対象物表面に無用の傷が発生する可能性は残っている。そのため、本発明ではノズルフローティング手段を備える。
本発明のノズルフローティング手段としては、ノズル先端がXY平面に接触した際にノズルをZ軸方向に上昇させるものであればよい。例えば、プレートの駆動を停止して下降を停止させ、逆駆動によってプレートを上昇させるのではなく、プレートの駆動とは別の駆動系を搭載してノズル自体を上昇させるものでもよいが、好ましい態様としては、ノズルフローティング手段が、ノズルを保持するノズル保持具と、このノズル保持具をプレート上のZ軸方向にスライド可能に配するスライドガイドとを備えるものが、別の駆動系を必要とせず、従って、メンテナンスも容易となる利点がある。
尚、この場合には、好ましくは、ノズル接触検知手段としては、ノズル保持具のプレート上のZ軸方向の微小の位置ズレを計測するリニアエンコーダと、このリニアエンコーダの計測に応じて前記プレート位置制御手段を制御するノズル位置演算手段とを備えるものがよい。これにより、リニアエンコーダの位置ズレが生じた時点が基準高さ位置となり、プレートが停止した後に基準高さ位置又はXY平面とノズル先端との間隙距離を予め定めた距離とする際にも良好に行うことができる。
即ち、好ましい態様としては、ノズル位置演算手段が、ノズル先端のXY平面への接触によるリニアエンコーダの計測が検知された際にプレートの移動を停止させて、停止時の高さ位置情報から前記リニアエンコーダの位置ズレの微小距離を差し引いてノズル先端基準位置とする。また、更に好ましくは、ノズル位置演算手段が、ノズル先端基準位置に対して予め定められたXY平面とノズル先端との間隙距離を開けるようにプレート位置制御手段を制御する。
本発明におけるスライドガイドとしては、ノズルを保持するノズル保持具をZ軸方向にスライド可能に配するものであればよい。好ましくは、直線状のガイド上をスライダーが摺動するLMガイド(Linear Motion Guide)を挙げることができる。これにより、プレートの下降により、ノズル先端がXY平面に当接したまま更にプレートが下降してもノズル保持具を搭載したスライダーがガイド上をスムーズに移動することができるため、ノズル先端の破損がなく、XY平面に対して精度良くノズル先端基準高さ位置を調整することができる。
本発明におけるリニアエンコーダとしては、Z軸方向の位置ズレを計測するものであればよく、直線上の移動距離を1m以下のオーダ、より具体的には、10μm〜100μmのオーダで計測することのできるものであればよい。リニアエンコーダにはワイヤ式、光学式、静電式等のものがあるが、好ましくは、スケールの移動距離を非接触形式で計測するものが精度が高いため、光学式、静電式が選択される。
以上のようなノズル先端基準高さ位置調整装置は、具体的には、マイクロウェル基板上からノズルを用いてウェル内の微小検体を回収して別の場所へ移動させるサンプリング装置に用いることのできる。このサンプリング装置では、ノズルの先端位置を、Z軸方向だけでなくX軸方向及びY軸方向について高精度に基準位置を定める必要がある。
そこで、本発明のサンプリング装置では、複数のマイクロウェルを備えたマイクロウェル基板上の個々のマイクロウェル内の微小検体を別の場所へ移動させるサンプリング装置であって、
基台上に載置された前記マイクロウェル基板の平面をXY平面とし、このXY平面に対して互いに直交するXYZ3軸方向に相対移動可能なプレートと、
前記プレートに備えられ、前記マイクロウェル基板上の個々のウェル内の微小検体を採取するノズルと、
前記個々のウェルの位置情報に基づいて前記プレート及びノズルの位置を制御するプレート位置制御手段と、
ノズル先端のXY基準位置からの位置ズレを補正するXY位置補正手段とを備えたサンプリング装置において、
前記プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端が前記XY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、
前記ノズル先端が前記XY平面に接触した際に前記ノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備え、
前記ノズルフローティング手段が、
前記ノズルを保持するノズル保持具と、
このノズル保持具を前記プレート上のZ軸方向にスライド可能に配するスライドガイドとを備え、
前記ノズル接触検知手段が、
前記ノズル保持具のプレート上のZ軸方向の微小の位置ズレを計測するリニアエンコーダと、
このリニアエンコーダの計測に応じて前記プレート位置高さ制御手段を制御するノズル位置演算手段とを備える。これにより、マイクロウェル基板としてシリコン又はガラス基板の精度に関係無く、細胞等の微小検体の回収の自動化が可能になるものである。
本発明のサンプリング装置のXY位置補正手段としては、ノズル先端のXY基準位置からの位置ズレを補正するものであればよく、XY基準位置を予め定めておいてノズルをXY基準位置に移動させて位置ズレを補正すればよい。位置ズレの補正は手動で行ってもよいし、光学的又は機械的計測手段と組み合わせて自動で行ってもよい。より具体的には、既に知られている前記特許文献1に開示されたものを用いてもよく、これにより人を介さず自動でXYZの基準位置が調整可能となるため、作業効率向上や作業員の労務軽減が達成される。
尚、本発明でのノズル先端基準高さ位置調整と、XY位置補正とはどちらを先に行ってもよいが、XY平面の基準高さ位置が先に定まり易いため、ノズル先端基準高さ位置調整を行った上で、XY位置補正を行う方が誤差が少ないと思われる。
本発明のサンプリング装置でも、好ましい態様としては、ノズル位置演算手段が、ノズル先端のXY平面への接触によるリニアエンコーダの計測が検知された際に、プレートのZ軸方向の移動を停止させて、停止時の高さ位置情報から前記リニアエンコーダの位置ズレの微小距離を差し引いてノズル先端基準高さ位置とするもの、更に、ノズル位置演算手段が、ノズル先端基準位置に対して予め定められたXY平面とノズル先端との間隙距離を開けるように前記プレート高さ位置制御手段を制御する。
1.ノズル先端基準高さ位置調整装置
図1は本発明のノズル先端基準高さ位置調整装置の一実施例を備えたサンプリング装置の構成を示す説明図である。図2は図1のノズル先端の移動状態を示す説明図である。図3は図1のプレートの停止時のノズル先端の状態を示す説明図である。図4は図1のXY平面とノズル先端との間隙距離(スタンドオフ距離)を設けた場合の状態を示す説明図である。
図1に示す通り、Z軸方向のサーボモータ19で駆動するステージ11上に、本システムを配置できるだけの大きさのプレート10を固定する。高精度ボールスライダ12に、リニアスケール13を張り付けたノズルホルダ治具14を取り付け、更にノズルホルダ15及びノズル16を取り付ける。
これらを前述のプレー卜10にボールスライダ12のLMガイド(Linear Motion Guide)17側を固定することによりノズル16のフローティング手段が得られる。さらにリニアスケール13に隣接してリニアエンコーダ18を取り付けることでサブミクロン単位の位置決めが可能になる。
即ち、リニアエンコーダ18は、ノズルホルダ治具14に貼り付けたリニアスケールの移動を計測して、ノズル位置演算手段22に送り、ここで必要な距離を計算してその数値をプレート位置制御手段23に送り、このプレート位置制御手段23がサーボモータ19の駆動を制御する。
図2に示す通り、サーボモータ19の駆動によりノズル16を下降させて下方のテーブル20上のシリコン又はガラス基板21に接触させる。ノズル16がシリコン又はガラス基板21に接触するとフローティング手段が働き、ノズル16、ノズルホルダ15、ノズルホルダ治具14及びリニアスケール13を備えたノズルユニッ卜が上方に移動する。
図3に示す通り、ノズルユニット10が動くとリニアエンコーダ18の値も変動する。値が変動すると同時にノズル位置演算手段22及びプレート位置制御手段23はZ軸方向のサーボモータ19の駆動を止める。この止まったときのリニアエンコーダ18の値はノズル16の先端が基板21に接触してからZ軸方向に移動した距離である。ノズル位置演算手段22はその距離を演算して求め、その値分Z軸方向を上方に移動させることをプレート位置制御手段23に指示することにより、ノズル16とシリコン又はガラス基板21との接触点(基準高さ位置)となる。
更に、図4に示す通り、ノズル16とシリコン又はガラス基板21とに隙間(SOD:スタンドオフ距離)を設けたい場合は、予めそのスタンドオフ距離をノズル位置演算手段22に設定しておけば、基準高さ位置を演算した際にさらに上方に目的のスタンドオフ距離分上昇させるようにプレート位置制御手段23に指示すればよい。
2.サンプリング装置
図5は図1〜図4に示したノズル先端基準高さ位置調整装置を組み込んだサンプリング装置の構成を示す説明図である。図6は図5のサンプリング装置のZステージを含む要部の構成を示す説明図であり、a図は正面図、b図はノズル先端XY位置測定用の光学システムで撮像された状態を示す説明図である。
図に示す通り、基台51の対向する平行な2辺を囲むように一対のレール52,53が立上り、このYアーム部としてのレール52,53上に横架された状態で移動可能なYステージ54が備わっている。Yステージ54は一対のレール上を移動させるためのリニアモータ(図示せず)が搭載され、高い位置精度を得ることができる。
Yステージ54にはレール52,53に直行する方向に渡されたXアーム部55に沿って移動可能なXステージ56が備わっている。このXステージ56にもXアーム部55上を移動させるためのリニアモータ(図示せず)が搭載され、高い位置精度を得ることができる。このXステージ56には高さ方向に延ばされたZアーム部57に沿って移動可能なZステージ11が備わっている。このZステージ11では図1〜図4に示したように、サーボモータ19でZアーム部57上を移動させる。
Zステージ11のプレート10には、図1〜図4には示されていなかったが、テーブル20上に載置・固定されたシリコン又はガラス基板(XY平面)21に形成されたマイクロウェルを撮像するエリアカメラ24がノズル16に並設されている(図6参照)。
シリコン又はガラス基板21が載置・固定されているテーブル20上には、ノズル先端XY位置測定用の光学システム60が並設されている。ノズル先端XY位置測定用の光学システム60には、サンプリングノズル16が挿入される基準エリアとしての基準孔61が形成されている。
図7は本発明のサンプリング装置の一実施例の構成を示す説明図であり、a図は側方断面図、b図は底面図である。図7のa図に示す通り、基準孔61の直下には、ミラー62とその近傍にXY位置決め用撮像手段としての対物レンズ63とが配されている。b図に示す通り、対物レンズ63で得られた基準孔61に挿入されたノズル16の映像であり、この映像から基準孔61の中央からの位置ズレを計測し、位置ズレ値を補正してXY基準位置とする。
また、ノズル先端基準高さ位置調整は、前述の1.ノズル先端基準高さ位置調整装置及び図1〜図4に示した通りである。以上の操作により、ノズル16のXYZ軸方向の高精度な位置計測補正を行うことができる。
以上説明したサンプリング装置により、リンパ球細胞等の微小検体を回収、移動させることができる。図8は図5のノズルの拡大状態を示す説明図である。図9は図8の微小検体を回収した状態を示す説明図である。
前述の通り、ノズル先端のXY基準位置及び基準高さ位置を定めた後、図6のb図に示すカメラでの撮像画像上で目的の細胞(ウェル)を指定して、図6のa図に示すようにノズル高さをウェル上方100μmに設定して位置決めする。
微小検体の回収に際しては、ゆっくりノズル16を下降させ、図8に示す通り、リニアエンコーダの値と実際に設けたい隙間(SOD)を10μmとした。図9に示す通り、間隙をほぼ0μmとしてノズル16先端の孔からエアを吸引して微小検体を回収した。微小検体を回収したノズルを別の場所に移動させて、微小検体を回収する。
本装置により、ノズルとシリコン又はガラス基板との正確な位置情報が、マイクロメートルオーダーで得らえる。また、ノズル先端がシリコン又はガラス基板に接触した場合でも、ノズル先端を破損する危険性がないため、破損に由来する異物混入(コンタミネーション)が発生しない。更に、細胞の回収をすべて自動で行うことができ作業時間短縮、作業者によるばらつきなどが軽減される等の利点がある。
本発明のノズル先端基準高さ位置調整装置の一実施例を備えたサンプリング装置の構成を示す説明図である。 図1のノズル先端の移動状態を示す説明図である。 図1のプレートの停止時のノズル先端の状態を示す説明図である。 図1のXY平面とノズル先端との間隙距離を設けた場合の状態を示す説明図である。 図1〜図4に示したノズル先端基準高さ位置調整装置を組み込んだサンプリング装置の構成を示す説明図である。 図5のサンプリング装置のZステージを含む要部の構成を示す説明図であり、a図は正面図、b図はノズルと平行に設置したエリアカメラ24で撮像したチップ表面を示す説明図である。 本発明のサンプリング装置の一実施例の構成を示す説明図であり、a図は側方断面図、b図は底面図である。 図5のノズルの拡大状態を示す説明図である。 図8の微小検体を回収した状態を示す説明図である。
符号の説明
10…プレート、
11…ステージ、
12…高精度ボールスライダ、
13…リニアスケール、
14…ノズルホルダ治具、
15…ノズルホルダ、
16…ノズル、
17…LMガイド、
18…リニアエンコーダ(ノズル接触検知手段)、
19…サーボモータ、
20…テーブル、
21…シリコン又はガラス基板(XY平面)、
22…ノズル位置演算手段、
23…プレート位置制御手段、
24…エリアカメラ、
51…基台、
52…レール、
53…レール、
54…Yステージ、
55…Xアーム部、
56…Xステージ、
57…Zアーム部、
60…XY位置測定用の光学システム、
61…基準孔、
62…ミラー、
63…XY位置決め用撮像手段(対物レンズ)、

Claims (6)

  1. 予め定められたXY平面に対して直交するZ軸方向に相対移動可能なプレートに備えられたノズルの前記XY平面に対するノズル先端の基準高さ位置を決定するノズル先端高さ位置調整装置であって、
    前記プレート及びノズルの位置を制御するプレート位置制御手段と、
    前記プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端が前記XY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、
    前記ノズル先端が前記XY平面に接触した際に前記ノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備えたことを特徴とするノズル先端基準高さ位置調整装置。
  2. 前記ノズルフローティング手段が、
    前記ノズルを保持するノズル保持具と、
    このノズル保持具を前記プレート上のZ軸方向にスライド可能に配するスライドガイドとを備え、
    前記ノズル接触検知手段が、
    前記ノズル保持具のプレート上のZ軸方向の微小の位置ズレを計測するリニアエンコーダと、
    このリニアエンコーダの計測に応じて前記プレート位置制御手段を制御するノズル位置演算手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のノズル先端基準高さ位置調整装置。
  3. 前記ノズル位置演算手段が、前記ノズル先端のXY平面への接触による前記リニアエンコーダの計測が検知された際にプレートの移動を停止させて、停止時の高さ位置情報から前記リニアエンコーダの位置ズレの微小距離を差し引いてノズル先端基準位置とすることを特徴とする請求項2に記載のノズル先端基準高さ位置調整装置。
  4. 前記ノズル位置演算手段が、前記ノズル先端基準位置に対して予め定められたXY平面とノズル先端との間隙距離を開けるように前記プレート位置制御手段を制御することを特徴とする請求項3に記載のノズル先端基準高さ位置調整装置。
  5. 複数のマイクロウェルを備えたマイクロウェル基板上の個々のマイクロウェル内の微小検体を別の場所へ移動させるサンプリング装置であって、
    基台上に載置された前記マイクロウェル基板の平面をXY平面とし、このXY平面に対して互いに直交するXYZ3軸方向に相対移動可能なプレートと、
    前記プレートに備えられ、前記マイクロウェル基板上の個々のウェル内の微小検体を採取するノズルと、
    前記個々のウェルの位置情報に基づいて前記プレート及びノズルの位置を制御するプレート位置制御手段と、
    ノズル先端のXY基準位置からの位置ズレを補正するXY位置補正手段とを備えたサンプリング装置において、
    前記プレートをXY平面方向に下降させた際にノズル先端が前記XY平面に接触したことを検出するノズル接触検知手段と、
    前記ノズル先端が前記XY平面に接触した際に前記ノズルをZ軸方向に上昇させるノズルフローティング手段とを備え、
    前記ノズルフローティング手段が、
    前記ノズルを保持するノズル保持具と、
    このノズル保持具を前記プレート上のZ軸方向にスライド可能に配するスライドガイドとを備え、
    前記ノズル接触検知手段が、
    前記ノズル保持具のプレート上のZ軸方向の微小の位置ズレを計測するリニアエンコーダと、
    このリニアエンコーダの計測に応じて前記プレート位置高さ制御手段を制御するノズル位置演算手段とを備えたことを特徴とするサンプリング装置。
  6. 前記ノズル位置演算手段が、前記ノズル先端のXY平面への接触による前記リニアエンコーダの計測が検知された際に、プレートのZ軸方向の移動を停止させて、停止時の高さ位置情報から前記リニアエンコーダの位置ズレの微小距離を差し引いてノズル先端基準高さ位置とすることを特徴とする請求項5に記載のサンプリング装置。

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